平成24年(行ヒ)第187号 徳島県収用委員会裁取消請求事件 平成25年10月25日 第二小法廷判主文 原判を破棄し,第1審判を取り消す。
本件を徳島地方裁判所に差し戻す。
 理由
上告人の上告受理申立て理由について
1 本件は,被上告人か実施した里道の拡幅工事に伴い,当該工事により新設さ れた道路に接する土地の所有者てある上告人か,当該道路を管理する阿南市による 損失の補償について道路法70条4項に基つく土地収用法94条の規定による裁 の申請をしたところ,徳島県収用委員会からその申請を却下する旨の裁を受けた ため,同委員会の所属する被上告人を相手に,裁手続の違法等を主張して,上記 裁の取消しを求める事案てある。2 原審の確定した事実関係等の概要は,次のとおりてある。
(1) 上告人は,徳島県阿南市○○所在の土地(以下「本件土地」という。)ほ か2筆の土地を所有し,これらの土地を自宅の敷地として一体として使用してい る。(2) 被上告人は,平成19年9月11日から同20年3月7日まてを工期とし て,県道××線改良工事の附帯工事として,本件土地に接する里道を拡幅して市道 となる道路を新設する工事(以下「本件工事」という。)を実施した。阿南市は, 道路法所定の道路管理者として,本件工事により新設された道路(以下「本件道路」という。)を市道として管理している。
(3) 上告人は,平成20年12月25日付けて,阿南市長に対し,本件工事により上告人の自宅の敷地への出入りに支障か生しているとして,道路法70条1項 に基つく通路の新築を請求した。これに対し,阿南市は,平成21年1月26日付 け及ひ同年2月4日付けて,上告人に対し,上記請求には応しられない旨の回答を した。(4) 上告人は,平成21年3月4日付けて,徳島県収用委員会に対し,阿南市 との間て道路法70条1項の規定による通路の新築に係る損失の補償についての協 議か成立しなかったとして,同条4項に基つき,土地収用法94条の規定による裁 の申請をした。これに対し,徳島県収用委員会は,本件道路から本件土地への出 入りは可能てあり,本件工事による損失は生していないなととして,上告人の上記 申請を却下する旨の裁(以下「本件裁」という。)をした。3 原審は,上記事実関係等の下において,要旨次のとおり判断して,上告人の 本件訴えを却下すへきものとした。本件裁は,上告人に本件工事による損失か生しておらす損失の補償は不要てあ るとしたものて,道路法70条4項に基つく土地収用法94条8項の規定による裁 てあって,損失の補償に関する事項についてしか判断していないところ,損失の 補償に関する事項については損失の補償に関する訴え(同法133条2項)による へきてあるから,本件裁の取消訴訟は不適法てある。4 しかしなから,原審の上記判断は是認することかてきない。その理由は,次 のとおりてある。土地収用法に基つく収用委員会の裁は,行政事件訴訟法3条2項の「処分」に該当するものてあるから,上記裁の名宛人は,土地収用法133条1項又は行政 事件訴訟法14条3項所定の出訴期間内に,収用委員会の所属する都道府県を被告 として(同法11条1項),収用委員会の裁の取消訴訟を提起することかてき る。また,土地収用法133条2項及ひ3項は,収用委員会の裁のうち損失の補償 に関する訴えに係る出訴期間及ひ被告とすへき者を定めているところ,上記各項か 収用委員会の裁の取消訴訟とは別個に損失の補償に関する訴えを規定しているこ とからすれは,同法において,収用委員会の裁のうち損失の補償に関する事項に ついては損失の補償に関する訴えによって争うへきものとされているのてあって, 上記裁の取消訴訟において主張し得る違法事由は損失の補償に関する事項以外の 違法事由に限られるものと解される(同法132条2項参照)。もっとも,これは 収用委員会の裁の取消訴訟において主張し得る違法事由の範囲か制限されるにと とまり,上記裁の名宛人としては,裁手続の違法を含む損失の補償に関する事 項以外の違法事由を主張して上記裁の取消しを求め得るのてあるから,同法94 条7項又は8項の規定による収用委員会の裁の判断内容か損失の補償に関する事 項に限られている場合てあっても,上記裁の取消訴訟を提起することか制限され るものてはない。そうすると,土地収用法94条7項又は8項の規定による収用委員会の裁の判断内容か損失の補償に関する事項に限られている場合てあっても,その名宛人は,上記裁の取消訴訟を提起することかてきるものというへきてある。そして,以上の理は,道路法70条4項に基つく土地収用法94条7項又は8項の規定による収 用委員会の裁についても同様に当てはまるものてある。
したかって,本件裁についてその名宛人てある上告人か提起した取消訴訟てあ る本件訴えは,本件裁か同条7項又は8項のいすれの規定によるものてあるかに かかわらす,適法てある(なお,本件裁は,道路法70条1項所定の要件を満た さない旨の判断に基ついて申請を却下したものてあり,同条4項に基つく土地収用 法94条7項の規定による裁てあると解される。)。5 以上と異なる見解の下に,本件訴えを却下すへきものとした原審の判断に は,判に影響を及ほすことからかな法令の違反かある。論旨は上記の趣旨をい うものとして理由かあり,原判は破棄を免れない。そして,第1審判を取り消 し,上告人の主張に係る裁手続の違法事由の存否につき審理させるため,本件を 第1審に差し戻すへきてある。よって,裁判官全員一致の意見て,主文のとおり判する。
 (裁判長裁判官 鬼丸かおる 裁判官 千葉勝美 裁判官 小貫芳信)
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