平成24年(許)第47号 間接強制申立ての却下定に対する執行抗告棄却定 に対する許可抗告事件平成25年3月28日 第一小法廷定
主文 本件抗告を棄却する。
抗告費用は抗告人の負担とする。
 理由
抗告代理人小野直樹の抗告理由について
1 本件は,未成年者の父てある抗告人か,未成年者の母てあり,未成年者を単 独て監護する相手方に対し,抗告人と相手方との間て成立した抗告人と未成年者と の面会及ひその他の交流(以下「面会交流」という。)についての合意を記載した 調停調書に基つき,間接強制の申立てをした事案てある。2 原審の適法に確定した事実関係の概要等は,次のとおりてある。(1) 抗告人と相手方は,平成8年12月に婚姻の届出をし,平成13年4月に 長男を,平成17年6月に二男をもうけた。(2) 平成19年3月,抗告人と相手方は別居し,その後は,相手方か長男及ひ 二男を監護している。(3) 平成21年12月,福島家庭裁判所郡山支部において,抗告人と相手方と の間て抗告人と長男及ひ二男との面会交流について調停か成立した。その調停調書 (以下「本件調停調書」という。)には,次のような条項(以下「本件調停条項」 という。)かある。ア 相手方は,抗告人に対し,長男と,2箇月に1回程度,原則として第3土曜 日の翌日に,半日程度(原則として午前11時から午後5時まて)面接をすること を認める。たたし,最初は1時間程度から始めることとし,長男の様子を見なから 徐々に時間を延はすこととする。イ 相手方は,前項に定める面接の開始時にa県b市のc通りの喫茶店の前て長 男を抗告人に会わせ,抗告人は終了時間に同場所において長男を相手方に引き渡す ことを当面の原則とする。たたし,面接交渉の具体的な日時,場所,方法等は,子 の福祉に慎重に配慮して,抗告人と相手方間て協議して定める。ウ 抗告人と相手方は,上記アに基つく1回目の面接交渉を,平成22年1月末 日まてに行うこととする。エ 抗告人と相手方は,二男については,将来的に長男と同様の面接交渉かてき るようになることを目標にして,面接交渉の是非,方法等について協議する。な お,この協議は,本調停成立日の1年後を目安として始め,その後は二男の成長に 配慮しなから適宜行い,双方は,二男の面接交渉の開始に向けて真摯に協力するこ ととする。(4) 抗告人は,平成22年1月,上記(3)イの喫茶店において長男と面会交流を したか,その後,長男との面会交流は実現していない。(5) 抗告人と相手方は,平成22年12月,仙台高等裁判所において,訴訟に おける和解により離婚し,長男及ひ二男の親権者を相手方と定める一方,上記(3) の合意内容か実現されていないことを確認し,長男及ひ二男の福祉を慎重に配慮し つつ,上記合意内容か早期に実現されるよう努力することを約束する旨の合意をし た。(6) 抗告人は,平成23年3月,相手方に対し,長男との面会交流の再開及ひ 二男との面会交流に関する協議の申入れを行ったか,いすれも実現しなかった。(7) 抗告人は,平成24年4月,福島家庭裁判所郡山支部に対し,本件調停調 書に基つき,本件調停条項アのとおり抗告人と長男との面会交流をさせることを相 手方に対して命するとともに,その義務を履行しないときは相手方か抗告人に対し 一定の金員を支払うよう命する間接強制定を求める申立てをした。3 原審は,本件調停条項は,面会交流をすることを「認める」という文言を使 用していることに照らして,相手方の給付の意思か確に表示されたものと直ちに はいうことはてきす,また,面会交流の内容について強制執行可能な程度に具体的 に特定するものということもてきないなととして,本件調停調書に基つき間接強制 定をすることはてきないとした。4(1) 子を監護している親(以下「監護親」という。)と子を監護していない 親(以下「非監護親」という。)との間て,非監護親と子との面会交流について定 める場合,子の利益か最も優先して考慮されるへきてあり(民法766条1項参 照),面会交流は,柔軟に対応することかてきる条項に基つき,監護親と非監護親 の協力の下て実施されることか望ましい。一方,給付の意思か表示された調停調書 の記載は,執行力のある債務名義と同一の効力を有する(平成23年法律第53号 による廃止前の家事審判法21条1項たたし書,15条)。監護親と非監護親との 間における非監護親と子との面会交流についての定めは,少なくとも,監護親か, 引渡場所において非監護親に対して子を引き渡し,非監護親と子との面会交流の 間,これを妨害しないなとの給付を内容とするものか一般てあり,そのような給付 については,性質上,間接強制をすることかてきないものてはない。そして,調停調書において,監護親の給付の特定に欠けるところかないといえるときは,通常, 監護親の給付の意思か表示されていると解するのか相当てある。したかって,非監 護親と監護親との間て非監護親と子か面会交流をすることを定める調停か成立した 場合において,調停調書に面会交流の日時又は頻度,各回の面会交流時間の長さ, 子の引渡しの方法等か具体的に定められているなと監護親かすへき給付の特定に欠 けるところかないといえるときは,間接強制を許さない旨の合意か存在するなとの 特段の事情かない限り,上記調停調書に基つき監護親に対し間接強制定をするこ とかてきると解するのか相当てある。(2) これを本件についてみると,本件調停条項アにおける面会交流をすること を「認める」との文言の使用によって直ちに相手方の給付の意思か表示されていな いとするのは相当てはないか,本件調停条項アは,面会交流の頻度について「2箇 月に1回程度」とし,各回の面会交流時間の長さも,「半日程度(原則として午前 11時から午後5時まて)」としつつも,「最初は1時間程度から始めることと し,長男の様子を見なから徐々に時間を延はすこととする。」とするなと,それら を必すしも特定していないのてあって,本件調停条項イにおいて,「面接交渉の具 体的な日時,場所,方法等は,子の福祉に慎重に配慮して,抗告人と相手方間て協 議して定める。」としていることにも照らすと,本件調停調書は,抗告人と長男と の面会交流の大枠を定め,その具体的な内容は,抗告人と相手方との協議て定める ことを予定しているものといえる。そうすると,本件調停調書においては,相手方かすへき給付か十分に特定されているとはいえないから,本件調停調書に基つき間接強制定をすることはてきない。
5 以上によれは,原審の判断は是認することかてきる。論旨は採用することか
てきない。
 よって,裁判官全員一致の意見て,主文のとおり定する。(裁判長裁判官 櫻井龍子 裁判官 金築誠志 裁判官 横田尤孝 裁判官 白木 勇 裁判官 山浦善樹)
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