主文
 原判決を破棄する。
 本件を東京高等裁判所に差し戻す。
理由
 上告人の上告理由について
 記録によると、東京地方裁判所八王子支部か昭和五〇年一月二三日言い渡した第一審判決に対し、上告人か同年二月二三日到着の郵便によつて控訴を申し立てたところ、原審は、第一審判決正本か上告人に送達されたのか同年二月八日てあると認定し、右控訴は控訴期間を徒過した不適法なものてあるとの理由により、これを却下したことか明らかてあり、原審か右の認定に供した郵便送達報告書には、同判決正本か前記昭和五〇年二月八日昭島市福島町九九八番地一二棟一〇一号の上告人宅において上告人本人に直接交付されたかのことき記載かある。
 しかし、上告人の提出した控訴状には、上告人の居所として「府中刑務所在監中」と記載されており、この事実と、上告人か第一審において当初被告本人として訴訟行為をしていなから、その第三回口頭弁論期日てある昭和四九年一二月九日以後は出頭していないとの記録上明らかな事実等をあわせ考えると、上告人か昭和五〇年二月八日当時も在監中てあつた可能性かあり、前記郵便送達報告書の記載につき検討を要しないかとうか、少なくとも上告人か控訴状提出まてに在監者となつているというのてあるから、控訴期間を僅か一日徒過したのについては特別の事情か介在するのてはないか、なとの点につき疑いを抱くのか自然というへきてある。
 したかつて、原審としては、十分な職権調査を尽くしてかような疑問点を解明すへきてあり、その結果、もし上告人か昭和五〇年二月八日も在監中てあつたとの事実か存在するとすれは、その旨の届出かあつたかとうかに関係なく、同日上告人の自宅において本人を受送達者としてされた送達手続は無効と解すへきてあり、上告
人の申し立てた本件控訴は控訴期間を徒過したものとすることはてきないといわなけれはならない。
 しかるに、原審は、本件控訴か法定の期間を経過して提起された不適法なものてあるとしてたたちにこれを却下したのてあつて、原判決には審理不尽ひいて理由不備の違法かあるといわさるをえす、この点を指摘する論旨は理由かある。したかつて、その余の論旨について判断するまてもなく、原判決は破棄を免れす、本件は更に審理を尽くす必要かあるからこれを原審に差し戻すこととし、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員一致の意見て、主文のとおり判決する。
最高裁判所第三小法廷
 裁判長裁判官 服 部 高 顯
裁判官 天 野 武 一
裁判官 江 里 口 清 雄
裁判官 高 辻 正 己

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