主文
 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人の負担とする。
理由
 上告代理人豊川忠進の上告理由第一点について。
 原告が訴を提起した請求の一部について控訴審において請求の減縮をしたときは、その部分については初より係属しなかつたものと看做され、この部分に対する第一審判決はおのずからその効力を失い、控訴は残余の部分に対するものとなり、従つて、これにつき第一審判決を変更する理由がないときは、控訴を棄却すべきものであること当裁判所の判例とするところである(昭和二四年(オ)第一四一号同年一一月八日第三小法廷判決、集三巻一一号四九五頁参照)。記録によると、原審において被上告人は損害金の請求を全部撤回すると陳述し上告人は右撤回に異議なしと述べたこと明らかであるから右陳述は訴の一部取下である請求の減縮と解するを相当とする。さすれば、右陳述により第一審判決中損害金の請求を認容した部分はおのずからその効力を失い、控訴は残余の家屋明渡の部分に対するものとなつたのであるから、原審は、右家屋明渡の請求についてのみ審理し、これを認容した第一審判決を相当として維持すべき趣旨において控訴を棄却したものであること明らかであり、原判決には所論のように被上告人の請求しない損害金の支払を命じた違法があるということはできない。論旨は理由がない。
 同第二点について。
 論旨は原判決に影響を及ぼすことの明らかな法令の違背を主張するものと認められない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第三小法廷
 裁判長裁判官 垂 水 克 己
裁判官 島 保
裁判官 小 林 俊 三
 裁判官河村又介同本村善太郎は病気のため署名押印することがでない。
 裁判長裁判官 垂 水 克 己
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