平成25年12月19日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成24年第3328号 不正競争行為差止等請求控訴事件
(原審・大阪地方裁判所平成21年第15343号)
(口頭弁論終結日 平成25年9月19日)

判決
控訴人(1審原告) 株式会社ElDorado
同訴訟代理人弁護士 波多 野進
同 冨宅 恵
被控訴人(1審被告) 株式会社Dazzy
同訴訟代理人弁護士 永井 浩一郎

主文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は,控訴人に対し,1677万5000円及びこれに対する平成21年10月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 訴訟費用は,第1審,第2審とも被控訴人の負担とする。
4 仮執行宣言

第2 事案の概要
1 事案の要旨
本件は,原判決別紙原告商品目録記載のカラーコンタクトレンズ(以下,項番ごとに「原告商品1」などといい,総称して「原告商品」という。)を販売する控訴人が,被控訴人に対し,原判決別紙イ号商品目録記載1~3(以下,項番ごとに「イ号商品1」などといい,総称して「イ号商品」という。),原判決別紙ロ号商品目録記載1~6(前同)及び原判決別紙ハ号商品目録1,2(前同。また,イ号商品,ロ号商品及びハ号商品を総称して「被告商品」という。)を輸入,販売する行為について,①主位的には不正競争防止法2条1項3号(控訴人の地位を,主位的には開発者,予備的には独占販売権者であると主張して)の不正競争,②予備的には同項1号の不正競争に該当する旨主張して,同法4条に基づき,損害賠償金1677万5000円及びこれに対する不法行為の後の日である平成21年10月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
原審は,控訴人の請求を棄却する判決をし,これに対し,控訴人が本件控訴をした。
(以下において,原判決を引用する場合も含め,書証のうち枝番号のあるものについては,枝番号の表示を省略する。また,以下の略称は,引用ないし後記補正後の原判決のそれによるが,そのうちG&G社〈甲128,129〉,Dueba社〈甲160〉,BESCON社及びインタービア社〈弁論の全趣旨〉は個人企業,ピア社〈甲128,160,乙4〉及びベルモア社〈乙39,40〉は株式会社である。)。

2 判断の基礎となる事実及び争点
原判決「事実及び理由」第2の1,2に記載のとおりであるから,これを引用する。

3 争点に関する当事者の主張
後記4のとおり,当審における「争点1(不正競争防止法2条1項3号該当を理由とする請求)-1(控訴人の請求主体性)のうち,原告商品が同号によって保護されるべき形態を有するか否か。」に関する当事者の主張を付加するほかは,原判決「事実及び理由」第3の1ないし3に記載のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決4頁末行の「ピア社」を「ピアコーポレーション株式会社(以下「ピア社」という。)」と改め,6頁7行目の「原告商品」の次に「7」を,12頁11行目の「同法19条1項5号」の次に「ロ」をそれぞれ加え,13頁1行目の「約3か月後」を「約1か月半後」と改める。

4 当審における「争点1(不正競争防止法2条1項3号該当を理由とする請求)-1(控訴人の請求主体性)のうち,原告商品が同号によって保護されるべき形態を有するか否か。」に関する当事者の主張
【控訴人の主張】
(1) カラーコンタクトレンズにおける商品形態の類型
ア カラーコンタクトレンズは,装着することにより本来の目元や顔全体の印象と大きく異ならせる効果を得るということが近時の主流になっており,多くの商品が,①全体が球面体の一部を平面によって切り取った透光性を有する曲面体の中心点を囲む透明色の小円形である「中央部」,②上記曲面体の最外縁を略一定幅の細幅帯状に透明色で縁取る「縁部」,③縁部の隣接内側において濃色で帯状に模様が施された「外周部」,④外周部の内側において模様を有する「内周部」によって構成されているもの(以下,上記によって構成されたものを「模様パターン1」という。)と,上記①ないし④に加えて,⑤中央部の外周を囲み,内周部を縁取るように施された濃色模様を有する「内周縁部」によって構成されているもの(以下,上記によって構成されたものを「模様パターン2」という。)とに大別される(本判決別紙商品比較表〈以下「商品比較表」という。ただし,同表中に「本件物件」とあるのを,いずれも「原告商品」と読み替える。〉5頁,8頁,13頁,16頁,19頁,21頁〈商品比較表の頁数は,同表の右肩に表示された番号による。以下,同じ。〉)。
イ 原告商品1ないし3及び原告商品5は模様パターン1に属し,原告商品4,6,7は模様パターン2に属する。
 G&G社商品①-BT02,G&G社商品③,G&G社商品④は模様パターン1に属し,G&G社商品①-BT03,G&G社商品②,BESCON社商品は模様パターン2に属する。

(2) 原告商品の形態
ア 原告商品1ないし3
《基本的構成態様》
 商品比較表5頁の該当欄記載のとおりである(模様パターン1)。
《具体的構成態様》
 商品比較表5~12頁の該当欄記載のとおりである。
 すなわち,外周部の太さは,縁部を除いた外周部の直径をaとし,外周部の黒色が濃い箇所の平均の太さをbとした場合,外周部の全体に占める割合b/aは,約9%である。また,外周部の模様は,外周部の全体が,ほぼ黒色で配色されている。
 内周部の構成は,外周部と同様色によって中央部に向かって線状かつ放射状に延びている細長略三角形部と,細長略三角形部の間で比較的濃いブラウン色(原告商品1),比較的濃いグレー色(原告商品2),あるいは比較的濃いブルー色(原告商品3)で色づけされている発色部とからなる。
 また,内周部の模様は,細長略三角形部が外周部から分離することなく,自然な状態で中央部に向かって,長短合わせて約45個延びており,発色部の中間(商品比較表5頁左第1段の図の緑色の円形点線)から中央部付近まで伸びている比較的長い細長略三角形部は約25個であり,比較的長い細長略三角形部の割合は,25/45=約56%である上,所々,太めの細長略三角形部が見受けられている。 そして,外周部の太さは,外周部と内周部とを合わせた太さをcとした場合,c/aは,約29%であり,内周部は眼球の黒目部分のぎりぎりまで設けられている。

イ 原告商品4,6,7
《基本的構成態様》
 商品比較表13頁の該当欄記載のとおりである(模様パターン2)。
《具体的構成態様》
 商品比較表13~18頁,23~25頁の該当欄記載のとおりである。
 すなわち,外周部の太さは,縁部を除いた外周部の直径をaとし,外周部の黒色が濃い箇所の平均の太さをbとした場合,外周部の全体に占める割合b/aは,約11%である。また,外周部の模様は,外周部の全体が,ほぼ黒色で配色されている。
 内周部の太さは,外周部・内周部及び内周縁部を合わせた太さをcとした場合,c/aは,約30%であり,内周部は,眼球の黒目部分のぎりぎりまで設けられており,内周部の模様は,背景に比較的濃いブラウン色(原告商品4),比較的濃いグレー色(原告商品6),あるいは比較的濃いブルー色(原告商品7)が色づけされており,当該ブラウン色(原告商品4),グレー色(原告商品6),あるいはブルー色(原告商品7)の上に外周部から伸び出す黒色模様を有し,当該黒色模様は,概ね均一な間隔で,外周部から内周縁部付近まで伸び出す約17個の山状模様によって構成されており,山状模様は,極端に多数存在するわけではなく,かつ,複数の黒点が集まったような模様を有している。
 内周縁部の模様は,中央部の外周を囲むように施されたイモムシ状の黒色模様を有し,当該黒色模様が外側に向けて放射状に延び,隣接する黒色模様が所々結合することによって,全体が略「太陽のコロナ」状の模様を有する。
 内周部の模様と内周縁部の模様との関係は,内周部の山状模様は中心点に向かうように施されており,かつ,内周縁部のイモムシ状の模様は外側に向かって放射状に延びており,加えて,内周部の山状模様の一部は,内周縁部のイモムシ状の模様の一部の延長線上に設けられているので,内周部の模様と内周縁部の模様とは,一部がつながっている。

ウ 原告商品5
《基本的構成態様》
 商品比較表19頁の該当欄記載のとおりである(模様パターン1)。
《具体的構成態様》
 商品比較表19~22頁の該当欄記載のとおりである。
 すなわち,外周部の太さは,縁部を除いた外周部の直径をaとし,外周部の黒色が濃い箇所の平均の太さをbとした場合,外周部の全体に占める割合b/aは,約12%となり,外周部及び内周部は,黒く塗りつぶしたようにはっきりと輪郭付けられている。
 内周部の模様は,濃い黒色を有するアメーバー状柄が外周部から分離することなく,自然な状態で中央部に向かって約22個延びており,アメーバー状柄の先端部分は,尖ることなく丸みを帯びた形状で終端しており,アメーバー状柄は,それぞれが涙の滴のような丸みを帯びた自然な形状をしている。

(3) G&G社商品及びBESCON社商品の形態
ア G&G社商品①-BT02
《基本的構成態様》
 商品比較表5頁該当欄記載のとおりである(模様パターン1)。
《具体的構成態様》
 商品比較表5~7頁,11~12頁の該当欄記載のとおりである。
 すなわち,外周部の太さは,縁部を除いた外周部の直径をmとし,外周部の黒色が濃い箇所の平均の太さをnとした場合,外周部の全体に占める割合n/mは,約5%となり,外周部の全体がほぼ黒色で配色されている。
 内周部の構成は,外周部と同様色によって中央部に向かって線状かつ放射状に延びている細長略三角形部と,細長略三角形部の間で比較的薄く黄みがかったブラウン色(BT02「Brown」),青みがかったグレー色(同「Gray」),あるいはスカイブルー色(同「SkyBlue」)で色づけされている発色部とからなり,細長略三角形部が外周部から分離することなく,自然な状態で中央部に向かって,長短合わせて約48個延び,発色部の中間(商品比較表5頁の右第1段の図の緑色の円形点線)から中央部付近まで伸びている線状に近い形状の比較的長い細長略三角形部は,約21個であり,比較的長い細長略三角形部の割合は,21/48=約44%である。また,比較的長い細長略三角形部は,黒色であり,発色部が比較的薄いブラウン色(BT02「Brown」),青みがかったグレー色(同「Gray」),あるいはスカイブルー色(同「Sky Blue」)である。
 外周部と内周部とを合わせた太さをoとした場合,o/mは,約22%であり,内周部の内縁から眼球の黒目部分までは余裕がある。

イ G&G社商品①-BT03
《基本的構成態様》
 商品比較表8頁の該当欄記載のとおりである(模様パターン2)。
《具体的構成態様》
 商品比較表8~12頁の該当欄記載のとおりである。
 すなわち,外周部の太さは,縁部を除いた外周部の直径をmとし,外周部の黒色が濃い箇所の平均の太さをnとした場合,外周部の全体に占める割合n/mは約5%となり,外周部の全体が,ほぼ黒色で配色されている。
 内周部の構成は,外周部と同様色によって中央部に向かって線状かつ放射状に延びている細長略三角形部と,細長略三角形部の間で比較的薄く黄みがかったブラウン色(BT03「Brown」),青みがかったグレー色(同「Gray」),あるいはスカイブルー色(同「SkyBlue」)で色づけされている発色部とからなり,内周部では,細長略三角形部が外周部から分離することなく,自然な状態で中央部に向かって,長短合わせて約48個延びており,発色部の中間(商品比較表8頁の右上段の図の緑色の円形点線)から中央部付近まで伸びている比較的長い細長略三角形部は,約21個であり,比較的長い細長略三角形部の割合は,21/48=約44%である。そして,線状に近い形状である細長略三角形部の太さは,それぞれ細く,黒色であり,発色部が比較的薄く黄みがかったブラウン色(BT03「Brown」),青みがかったグレー色(同「Gray」),あるいはスカイブルー色(同「Sky Blue」)である。また,内周部の内縁には,発色部よりも濃い黄みがかったブラウン色(BT03「Brown」),あるいは黄色(同「Gray」,同「Sky Blue」)を有する内周縁部が設けられており,細長略三角形部は,内周縁部に向かって伸びている線状の模様であり,細長略三角形部と内周縁部とが内側の模様として機能し,発色部は,細長略三角形部の背景色としてのみ機能している。
 外周部,内周部,内周縁部を合わせた太さをoとした場合,o/mは,約31%であり,内周部と内周縁部とを合わせた上で,黒目部分のぎりぎりまで,内側の模様が形成されている。

ウ G&G社商品②(I.fax「Ring」以外)
《基本的構成態様》
 商品比較表13頁の該当欄記載のとおりである(模様パターン2)。
《具体的構成態様》
 商品比較表13~15頁,23~24頁の該当欄記載のとおりである。
 すなわち,外周部の太さは,縁部を除いた外周部の直径をmとし,外周部の黒色が濃い箇所の平均の太さをnとした場合,外周部の全体に占める割合n/mは約9%であり,外周部の全体が,ほぼ黒色で配色されている。
 内周部の太さは,外周部・内周部及び内周縁部を合わせた太さをoとした場合,o/mは,約30%であり,内周部は,眼球の黒目部分のぎりぎりまで設けられており,背景に比較的薄いブラウン色(I.fax「Brown」),比較的薄いグレー(同「Black」),非常に薄いグレー色(同「Green」),あるいはブルー色(同「BlueBlack」)を有しており,比較的薄いブラウン色(I.fax「Brown」),比較的薄いグレー(同「Black」),非常に薄いグレー色(同「Green」),あるいはブルー色(同「Blue Black」)の上に,外周部から伸び出す黒色模様を有し,当該黒色模様は,概ね均一な間隔で,外周部から内周縁部付近まで伸び出す約44個の先端が尖った三角模様によって構成されている。
 内周縁部は,中央部の外周を囲むように,ほぼ等間隔に設けられた13個の略四角形の黒模様によって構成され,いくつかの略四角形の黒模様の内周部側からは,角が伸び出るような模様が形成されている。
 内周部の三角模様は中心点に向かうように施されており,かつ,内周縁部のいくつかの略四角形黒模様は外側に向かって角が伸びるように形成されており,三角模様と略四角形黒模様とは一部において,連結しているものの,全体としては,別々に形成された模様である。

エ G&G社商品③(I.fax「Ring」)
《基本的構成態様》
 商品比較表19頁の該当欄記載のとおりである(模様パターン1)。
《具体的構成態様》
 商品比較表19~20頁の該当欄記載のとおりである。
 すなわち,外周部の太さは,縁部を除いた外周部の直径をmとし,外周部の黒色が濃い箇所の平均の太さをnとした場合,外周部の全体に占める割合n/mは,約7%となり,内周部と外周部とが連結しており,共に黒色であるため,外周部の太さは,ある程度確保されているが,内周部はドット状柄の集合体であるため,黒の色合いが薄く,しかも,内周部における線状柄が細い。
 内周部は,ドット状の細長三角形模様が外周部から延び出て,中央部に向かって約27個延びており,細長三角形模様の先端部分は,ほとんどが1ドット(1つの点模様)で終端し,尖った形状となっている。

オ G&G社商品④(BTⅡ「Black」)
《基本的構成態様》
 商品比較表21頁の該当欄記載のとおりである(模様パターン1)。
《具体的構成態様》
 商品比較表21~22頁の該当欄記載のとおりである。
 すなわち,外周部の太さは,縁部を除いた外周部の直径をmとし,外周部の黒色が濃い箇所の平均の太さをnとした場合,外周部の全体に占める割合n/mは,約9%となる。
 内周部では,濃い黒色を有するアメーバー状柄が外周部から分離することなく,自然な状態で中央部に向かって約30個延びており,アメーバー状柄の先端部分は,尖ることなく丸みを帯びた形状で終端している。ただし,各アメーバー状柄は,全体的に中心に向かって細く伸び進んでいる。
 外周部及び内周部は,黒く塗りつぶしたようにはっきりと輪郭付けられている。

カ BESCON社商品
《基本的構成態様》
 商品比較表16頁の該当欄記載のとおりである(模様パターン2)。
《具体的構成態様》
 商品比較表16~18頁,24~25頁の該当欄記載のとおりである。
 すなわち,外周部の太さは,縁部を除いた外周部の直径をmとし,外周部の黒色が濃い箇所の平均の太さをnとした場合,外周部の全体に占める割合n/mは,約7%であり,外周部の全体がほぼ黒色で配色されている。
 内周部の太さは,外周部・内周部及び内周縁部を合わせた太さをoとした場合,o/mは,約30%であり,内周部が,眼球の黒目部分のぎりぎりまで設けられており,内周部は,背景に非常に薄いブラウン色(tutti Circle「BROWN」),非常に薄いグレー色(同「GRAY」),あるいは非常に薄いスカイブルー色(同「BLUE」)を有しており,非常に薄いブラウン色(tutti Circle「BROWN」),グレー色(同「GRAY」),あるいはスカイブルー色(同「BLUE」)の上に,外周部から伸び出す黒色模様を有し,当該黒色模様は,概ね均一な間隔で,外周部から突出する約18個の三角模様によって構成されており,当該三角模様は,外周部から二等辺三角形状に突出しており,突出の高さは,外周部の幅と同程度であり,三角模様と内周縁部とは明らかに隔離した模様である。
 内周縁部は,中央部の外周を囲むように施された黒点模様であり,当該黒点模様が外側に向けて所々突出するような模様を有する。
 内周部の三角模様と内周縁部の模様とは,各模様の頂点が対向するように設けられているものの連結することなく,全体として観察した場合,外周部に対して,ドット状の内周縁部が中央部の回りに施されており,外周部から三角模様が少し突出した模様となっている。

(4) 原告商品とG&G社商品,BESCON社商品との相違点
 原告商品とG&G社商品及びBESCON社商品との相違点は,商品比較表5~25頁の下線部に記載したとおりであり,かかる相違点の存在により,
 需要者をして以下のとおりの印象を与える。
ア 原告商品1ないし3とG&G社商品①-BT02
 原告商品1ないし3の外周部の太さは,縁部を除いた外周部の直径をaとし,外周部の黒色が濃い箇所の平均の太さをbとした場合,外周部の全体に占める割合b/aは,約9%であるのに対し,G&G社商品①-BT02の外周部の太さは,縁部を除いた外周部の直径をmとし,外周部の黒色が濃い箇所の平均の太さをnとした場合,外周部の全体に占める割合n/mは約5%となるため,原告商品1ないし3の方が需要者に縁取りの濃いカラーコンタクトレンズであるとの印象を与える。
 原告商品1ないし3の内周部発色部は,G&G社商品①-BT02のそれより濃い色で構成されているため,原告商品1ないし3の方が需要者に発色のよいカラーコンタクトレンズであるとの印象を与える。
 原告商品1ないし3の内周部の細長略三角形部が長短合わせて約45個で,比較的長い細長略三角形部は約25個であり,比較的長い細長略三角形部の割合は25/45=約56%である上に,所々,太めの細長略三角形部が見受けられるため,細長略三角形部は,密に設けられている印象を与えるのに対し,G&G社商品①-BT02の内周部の細長略三角形部が長短合わせて約48個で,比較的長い細長略三角形部は約21個であり,比較的長い細長略三角形部の割合は21/48=約44%である上に,細長略三角形部は線状に近い形状であるため,細長略三角形部は,疎に設けられている印象を与える。また,原告商品1ないし3の内周部の発色部が比較的濃い色で着色されており,黒色が着色部にとけ込むような印象を与え,黒色と発色(ブラウン色,グレー色,スカイブルー色)とが一体となる模様としての印象を与えるのに対し,G&G社商品①-BT02の内周部の発色部が比較的薄い色で着色されているため,黒色の方がよく目立ち,着色は背景色としてのみ機能しているとの印象を与え,黒色部分のみが模様としての印象を与える。
 原告商品1ないし3の外周部と内周部とを合わせた太さをcとした場合,c/aは約29%であり,内周部は眼球の黒目部分のぎりぎりまで設けられているのに対し,G&G社商品①-BT02の外周部と内周部とを合わせた太さをoとした場合,o/mは,約22%であり,内周部の内縁から眼球の黒目部分までは余裕がある。
 以上の具体的構成の相違点の存在により,原告商品1ないし3の全体的印象は,外周部がはっきりと認識されるように設けられ,内周部では,黒色と各発色とが交互に縞模様を有するように設けられているとの印象を与えるのに対し,G&G社商品①-BT02の全体的印象は,細長略三角形部が外周部から中央部に向かって伸びているにすぎず,かつ,発色は背景色として存在しているにすぎないとの印象を与える。

イ 原告商品1ないし3とG&G社商品①-BT03
原告商品1ないし3には内周縁部が存在しないにもかかわらず,G&G社商品①-BT03には内周縁部が存在する。
原告商品1ないし3の縁部を除いた外周部の直径をaとし,外周部の黒色が濃い箇所の平均の太さをbとした場合,外周部の全体に占める割合b/aは,約9%であり太めの印象を与えるのに対し,G&G社商品①-BT03の該当部分は約5%であるため細めの印象を与える。
 原告商品1ないし3の内周部の細長略三角形部が長短合わせて約45個で,比較的長い細長略三角形部は約25個であり,比較的長い細長略三角形部の割合は25/45=約56%である上に,所々,太めの細長略三角形部が見受けられるため,細長略三角形部は,密に設けられている印象を与えるのに対し,G&G社商品①-BT03の内周部の細長略三角形部が長短合わせて約48個で,比較的長い細長略三角形部は約21個であり,比較的長い細長略三角形部の割合は21/48=約44%である上に,細長略三角形部は線状に近い形状であるため,細長略三角形部は,疎に設けられている印象を与える。また,原告商品1ないし3の内周部の発色部が比較的濃い色で着色されており,黒色が着色部にとけ込むような印象を与え,黒色と発色とが一体となる模様としての印象を与えるのに対し,G&G社商品①-BT03の内周部の発色部が比較的薄い色で着色されているため,黒色の方がよく目立ち,着色は背景色としてのみ機能しているとの印象を与え,黒色部分のみが模様としての印象を与える。
 原告商品1ないし3の外周部と内周部とを合わせた太さをcとした場合,c/aは約29%であり,内周部は眼球の黒目部分のぎりぎりまで設けられているのに対し,G&G社商品①-BT03の外周部,内周部,内周縁部を合わせた太さをoとした場合,o/mは約31%であり,内周部と内周縁部とを合わせた上で,黒目部分のぎりぎりまでは内側の模様が形成されている。
 以上の相違により,原告商品1ないし3では外周部が太めであり,内周部において細長略三角形部が密に設けられていることに加え,発色を濃くすることによって,黒色が発色部にとけ込むような配色を内周部が有し,さらに,内周部が眼球の黒目部分までぎりぎりに設けられていることによって,全体としては,外周部がはっきりと認識されるように設けられ,内周部では,黒色と発色とが交互に縞模様を有するように設けられているとの印象を与えるのに対し,G&G社商品①-BT03では外周部が細めであり,内周部において細長略三角形部が疎に設けられている印象を与え,着色が薄いため細長略三角形部の黒色部分が目立ち,内周縁部による模様を設けることによって,細長略三角形部と内周縁部とによって,内側の模様が形成されているとの印象を与える。

ウ 原告商品4,6,7とG&G社商品②
 原告商品4,6,7の縁部を除いた外周部の直径をaとし,外周部の黒色が濃い箇所の平均の太さをbとした場合,外周部の全体に占める割合b/aは約11%であるのに対し,G&G社商品②のそれは約9%であり,G&G社商品②と比較して,原告商品4,6,7の外周部の方が太い印象を与える。
 原告商品4,6,7の外周部から伸び出す黒色模様は概ね均一な間隔で外周部から内周縁部付近まで伸び出す約17個の山状模様によって構成されており,山状模様は極端に多数存在するわけではなく,かつ,複数の黒点が集まったような模様を有しているため,外周部から自然に伸び出ているような印象を与えるのに対し,G&G社商品②の外周部から伸び出す黒色模様は概ね均一な間隔で,外周部から内周縁部付近まで伸び出す約44個の三角模様によって構成されており,三角模様が多数存在し,先端が尖っているため外周部からギザギザした鋸の刃のような模様が人工的に伸び出ているような印象を与える。
 原告商品4,6,7の内周縁部は,中央部の外周を囲むように施されたイモムシ状の黒色模様を有し,当該黒色模様が外側に向けて放射状に延び,隣接する黒色模様が所々結合することによって,全体が略「太陽のコロナ」状の模様を有するのに対し,G&G社商品②の内周縁部は,中央部の外周を囲むように,ほぼ等間隔に設けられた13個の略四角形の黒模様によって構成されており,いくつかの略四角形の黒模様の内周部側からは角が伸び出るような模様が形成されている。
 原告商品4,6,7の内周部の山状模様は中心点に向かうように施されており,かつ,内周縁部のイモムシ状の模様は外側に向かって放射状に延びており,加えて,内周部の山状模様の一部は,内周縁部のイモムシ状の模様の一部の延長線上に設けられているので,内周部の模様と内周縁部の模様とは,一部がつながっており,内周部及び内周縁部の模様によって,内周縁部から略「太陽のコロナ」状に延びる模様の一部が,内周部の一部と連続性を有するような模様となり,内周部の模様と内周縁部の模様とは一体感を有するのに対し,G&G社商品②の内周部の三角模様は中心点に向かうように施されており,かつ,内周縁部のいくつかの略四角形黒模様は外側に向かって角が伸びるように形成されており,三角模様と略四角形黒模様とは一部において,連結しているものの,全体としては,別々に形成された模様であるとの印象を与え,内周縁部の模様が内周部の模様と比較して目立ち,内周部の模様と内周縁部の模様との一体感はほとんど感じられない。
 原告商品4とG&G社商品②(ブラウン),原告商品6とG&G社商品②(グレー),原告7とG&G社商品②(ブルー)の内周部の色が異なる。

エ 原告商品4,6,7とBESCON社商品
 原告商品4,6,7の縁部を除いた外周部の直径をaとし,外周部の黒色が濃い箇所の平均の太さをbとした場合,外周部の全体に占める割合b/aは,約11%であるのに対し,BESCON社商品のそれは約7%であり,原告商品4,6,7の外周部の方が太い印象を与える。
 原告商品4,6,7の外周部から伸び出す黒色模様は概ね均一な間隔で,外周部から内周縁部付近まで伸び出す約17個の山状模様によって構成されており,山状模様は,極端に多数存在するわけではなく,かつ,複数の黒点が集まったような模様を有しているため,外周部から自然に伸び出ているような印象を与えるのに対し,BESCON社商品の外周部から伸び出す黒色模様は概ね均一な間隔で,外周部から突出する約18個の三角模様によって構成されており,三角模様は,外周部から二等辺三角形状に突出しており,突出の高さは,外周部の幅と同程度でしかないため,三角模様と内周縁部とは明らかに隔離するような模様を有し,三角模様が占める範囲は,内周部全体においては少ないため,内周部において黒色の模様は疎な印象を与える。
 原告商品4,6,7の内周縁部は,中央部の外周を囲むように施されたイモムシ状の黒色模様を有し,当該黒色模様が外側に向けて放射状に延び,隣接する黒色模様が所々結合することによって,全体が略「太陽のコロナ」状の模様を有するのに対しBESCON社商品の内周縁部は,中央部の外周を囲むように施された黒点模様であり,当該黒点模様が外側に向けて所々突出するような模様を有する。
 原告商品4,6,7の内周部の山状模様は中心点に向かうように施されており,かつ,内周縁部のイモムシ状の模様は外側に向かって放射状に延びており,加えて,内周部の山状模様の一部は,内周縁部のイモムシ状の模様の一部の延長線上に設けられているので,内周部の模様と内周縁部の模様とは,一部がつながっており,内周部及び内周縁部の模様によって,内周縁部から略「太陽のコロナ」状に延びる模様の一部が,内周部の一部と連続性を有するような模様となり,内周部の模様と内周縁部の模様とは一体感を有するのに対し,BESCON社商品の内周部の三角模様と内周縁部の模様とは,各模様の頂点が対向するように設けられているものの連結することなく,全体として観察した場合,外周部に対して,ドット状の内周縁部が中央部の回りに施されており,外周部から三角模様が少し突出した模様となっているにすぎず,全体として,黒点模様が疎に設けられているとの印象が強い。
 原告商品4とBESCON社商品(ブラウン),原告商品6とBESCON社商品(グレー),原告商品7とBESCON社商品(ブルー)とは内周部の色が異なる。

オ 原告商品5とG&G社商品③
 原告商品5の縁部を除いた外周部の直径をaとし,外周部の黒色が濃い箇所の平均の太さをbとした場合,外周部の全体に占める割合b/aは,約12%であり,外周部及び内周部は黒く塗りつぶしたようにはっきりと輪郭付けられているため,外周部が太いとの印象が強く与えられるのに対し,G&G社商品③の外周部の全体に占める割合は約7%であり,内周部と外周部とが連結しており共に黒色であるため,外周部の太さがある程度確保されているものの,内周部はドット状柄の集合体であるため,黒の色合いが薄く,しかも,内周部における線状柄が細い印象を受けるので,実際の割合に比べて,外周部の太さはそれほど太くないという印象を与える。
 原告商品5の内周部では,濃い黒色を有するアメーバー状柄が外周部から分離することなく,自然な状態で中央部に向かって約22個延びており,アメーバー状柄の先端部分は,尖ることなく丸みを帯びた形状で終端しており,アメーバー状柄は,それぞれが涙の滴のような丸みを帯びた自然な形状をしており,アメーバー状柄は黒色で塗りつぶすようにはっきりと輪郭付けられており,内周部に占める黒色の割合は相当多く,内周部においては全体的に濃い黒色であるとの印象を与えるのに対し,G&G社商品③の内周部は,ドット状の細長三角形模様が外周部から延び出て,中央部に向かって約27個延びている。細長三角形模様の先端部分は,ほとんどが1ドット(1つの点模様)で終端するように,尖ったような形状で終端しており,外周部は黒く濃く色づけされているのに比べて,細長三角形模様はドット状柄によって構成されているので,内周部は,全体に薄く模様付けされているとの印象を与える。

カ 原告商品5とG&G社商品④
 原告商品5の縁部を除いた外周部の直径をaとし,外周部の黒色が濃い箇所の平均の太さをbとした場合,外周部の全体に占める割合b/aは,約12%となり,外周部及び内周部は,黒く塗りつぶしたようにはっきりと輪郭付けられているので,外周部が太いとの印象が強く与えられるのに対し,G&G社商品④の外周部の全体に占める割合は約9%であり,原告商品5と比較すれば外周部の太さは細い印象を与える。
 原告商品5の内周部では濃い黒色を有するアメーバー状柄が外周部から分離することなく自然な状態で中央部に向かって約22個延びており,アメーバー状柄の先端部分は,尖ることなく丸みを帯びた形状で終端し,アメーバ状柄は,それぞれが涙の滴のような丸みを帯びた自然な形状をしており,アメーバー状柄は,黒色で塗りつぶすようにはっきりと輪郭付けられており,内周部に占める黒色の割合は,相当多く,内周部においては,全体的に濃い黒色であるとの印象を与えるのに対し,G&G社商品④のアメーバー状柄は約30個延びており,アメーバー状柄の先端部分は,尖ることなく丸みを帯びた形状で終端しているものの,各アメーバー状柄は,全体的に中心に向かって細く伸び進んでおり,原告商品5と比べて細長くスリムな印象を与え,アメーバー状柄からは,原告商品5のような涙の滴のような印象は受けない上に,外周部及び内周部が黒く塗りつぶしたようにはっきりと輪郭付けられ,外周部及び内周部は黒く塗りつぶしたようにはっきりと輪郭付けられているものの,内周部に形成されているアメーバー状の模様が細長く形成されているので,原告商品5に比べて,黒色が密な印象を受けず,その結果として原告商品5と比較して,外周部が太いとの印象は弱まる。

(5) 取引の実情
ア カラーコンタクトレンズのインターネットによる通信販売(以下「ネット販売」という。)においては,ホームページに直径3cmから5cmに拡大された商品の画像とこれを装着した有名タレントやモデルの画像が紹介され(甲322~348),店頭販売においては,直径2cmから3cmに拡大された商品の写真とこれを装着した有名タレントやモデルの写真が紹介され(甲349~372),いずれの媒体においても,需要者は,各商品の色彩,模様,装着時の印象等を総合して,他社商品と比較の上,自分の好みに合った商品を選択することが可能となっている。

イ カラーコンタクトレンズの販売は,ネット販売が主流であり,実際に店頭で商品を購入する需要者も,事前にインターネットで商品を確認してから購入するケースが多く,いずれの販売方法にせよ,需要者が商品を購入する際には,ネット販売における拡大率である直径3cmから5cmの画像を参考にするというのが実情である。

ウ 上記実情を踏まえ,商品比較表1~4頁に示された原告商品等の写真は,いずれも直径2.5cmから3cm(店頭販売の拡大率と同程度,ネット販売の拡大率と同程度かやや低い。)に拡大されたものとした。

(6) 需要者の認識
ア 原告商品1ないし3及び4ないし7が様々な雑誌で取り上げられ,これらと異なる商品として複数の商品が紹介されている(甲189~218。
 ただし,原告商品3を取り上げた雑誌を証拠として提出できていないが,原告商品3は原告商品2と同一模様であり,内周部から外周部に施された着色についても近似した彩度の着色を採用しているという点も考慮して実質的に同一と評価することができ,原告商品2と同一に論じることができる。)。このような市場において,需要者である若い女性は,原告商品と他社商品とを明確に区別して,装着目的や自身の趣向に応じて商品選択を行っている。

イ 控訴人は,控訴人がカラーコンタクトレンズを販売する「SBY SHIBUYA 109店」(東京)及び「SBY SHIBUYA109 ABENO店」(大阪)において,平成25年1月19日ないし同月29日に,上記各店舗を訪れた女性(東京47名,大阪34名の合計81名,年齢13歳~28歳)を対象としてアンケート方式により,原告商品1とG&G社商品①,原告商品4とG&G社商品②,原告商品5とG&G社商品③,原告商品5とG&G社商品④との相違について調査した(東京:甲320,大阪:甲321)。上記調査結果によると,ほぼすべての需要者は,「原告商品1,G&G社商品①-BT02のブラウン,G&G社商品①-BT03のブラウン」(質問4),「原告商品4,G&G社商品②のブラウン,BESCON社商品のブラウン」(質問5),「原告商品5,G&G社商品③,G&G社商品④」(質問6)がそれぞれ異なる商品であると認識した上で,それぞれの使用目的に応じて商品を選択している(「一番デカ目に盛りたい時」〈目元を殊更に強調したい時〉には原告商品を選択し,「ナチュラルに盛りたいとき」〈自然な印象を与えたいとき〉には原告商品を選択しない。)。

(7) 商品の「実質的同一性」
ア 商品の「実質的同一性」の判断は,需要者の基準により判断されるところ,原告商品とG&G社商品やBESCON社商品との「実質的同一性」の判断においても,需要者である比較的若い女性の判断基準に基づいて行わなければならない。そして,上記(6)のとおり,比較的若い女性で,原告商品とG&G社商品やBESCON社商品とが実質的に同一であると判断した者は皆無に等しい。また,控訴人が原告商品の販売を開始した直後から控訴人が運営するウェブサイトのアクセス数が飛躍的に増加している事実(甲106)や,控訴人が現在も多額の売上を確保し事業を拡大させている事実(甲293,294)は,原告商品がG&G社商品やBESCON社商品を含む他の商品と相違し,需要者にとって魅力的な商品であることを如実に示している。さらに,原告商品とG&G社商品やBESCON社商品の相違点は,前記(4)のとおりであり,実に多くの相違点が存在する。
 したがって,原告商品とG&G社商品やBESCON社商品とは実質的に同一の商品とはいえない。

イ 原告商品とイ号商品及びロ号商品とは,被控訴人が本件訴訟の当初完全に同一の商品であると説明するほど近似しており,実際の商品を数十倍に拡大すること(乙47,48)ではじめて確認することができる差異にすぎない。ちなみに,被控訴人は,原告商品1とイ号商品1の拡大写真,原告商品2とイ号商品2の拡大写真を提出するが,当該写真(乙46)によっても,両商品の差異は確認することはできない。また,被控訴人は,ハ号商品が原告商品4,6と実質的に同一であることを争っていない。

ウ 以上のことから,原告商品は,G&G社商品やBESCON社商品とは顕著な相違点が存在する控訴人独自の商品であり,イ号商品,ロ号商品及びハ号商品は,原告商品と実質的に同一の商品であるといえる。

(8) 控訴人の請求主体性
 控訴人は,平成19年12月から平成20年8月までの間,G&G社に図案,サンプル写真,装着写真等に基づいて模様や着色の指示を与えており,サンプル品を確認しては,更なる指示を出すという方法により,多大な時間と労力を費やして原告商品の開発を行った(甲120,121,124,126,127)。したがって,控訴人は,不正競争防止法2条1項3号の請求主体たり得る。

【被控訴人の主張】
(1) 商品の比較
ア 原告商品と被告商品を比べるには,デッドコピーか否かを明らかにするためにできるだけ拡大して比較するべきである。
 他方,原告商品と従前の商品を比較するのは,そもそも原告商品が従前の商品との間で,不正競争防止法2条1項3号の保護に値する程度の違いがあるか否か,すなわち,控訴人が開発のために資本及び労力を投下し,ありふれた形態でない全く新たな商品を開発したといえるか否かを明らかにするためである。商品を実物より拡大している広告があるからといって,実際には,実物よりかなり小さなサイズの広告も多いから,拡大して従前の商品と原告商品に何らかの違いが見えたとしても意味はない。 小さなサイズの広告しかない場合が多いということは,小さなサイズの広告のみを見て判断する需要者(消費者)が多いということである。そうすると,少なくとも最も小さなサイズで明確に違いが分からなければ,需要者は区別さえついていないことになるから,従前の商品と違い保護に値する商品であるとは到底いえない。したがって,どのサイズの広告の割合が多いか否かに関わらず,最も小さなサイズで比較しなければ意味がない。

イ 被控訴人は,いわゆる従来型携帯電話で閲覧するホームページのみで被告商品を販売していた(甲14)。被控訴人以外にも,従来型携帯電話向けホームページでカラーコンタクトレンズを販売している業者が複数存在した(甲95)。従来型携帯電話は,一般的に6cm×3.5cm程度の画面サイズであり,この画面に表示されたホームページを閲覧し,ホームページ内に表示された直径5mmから1cm程度の実物よりも小さなサイズの商品画像(甲2,乙49)を見て,需要者は商品を選択する。 従来型携帯電話向けホームページは,パソコンで閲覧することはできない仕様になっているため,従来型携帯電話で閲覧するほかない。しかるに,控訴人提出の「ネット販売の実情」に関する証拠(甲322~348)は,いずれもパソコンで閲覧するホームページであるから,インターネットの通信販売において3cmから5cmに拡大された商品の画像とこれを装着したモデル等の画像が紹介されているとの控訴人の主張は,少なくとも従来型携帯電話向けホームページでの販売に関しては全く事実に反する。
 また,Dueba社の商品カタログ(乙2),BESCON社の商品カタログ(乙3)及びホームページ(乙50)の画像も1cm程度である。

ウ 被控訴人の調査によると,需要者は,カラーコンタクトレンズの色を最も重視し,その次に大まかなデザインを選ぶとの結果が出ている。需要者は,微細なデザインの違いは全く認識していないし重視もしていない。カラーコンタクトレンズを装着する目的は,目を鮮やかな色に見せるという点にある。目に装着するから,装着時には黒目部分と重なることにより,微細なデザインの違いは外見から認識することができない。当然,需要者は微細なデザインの違いを重視していない。需要者が,微細な差異にまで拘って商品を選択しているのであれば,小さなサイズの画像しか表示されないのに,従来型携帯電話向けホームページでカラーコンタクトレンズを販売する商売が成り立つはずがない。

エ 以上により,原告商品と従前の商品の比較は,5mm程度のサイズで行うべきである。

(2) 商品比較表
 上記のとおり,原告商品と従前の商品の比較は,5mm程度のサイズで行うべきである。商品比較表1~4頁について,サイズを従来型携帯電話の画面に表示されるサイズ(5mm程度及び1cm程度)に調整すると,原告商品と従前の商品との間には,商品比較表において控訴人が主張するような,線が何本であるとか太さがどの程度であるとかいった差異は全く認識できない(乙51)。したがって,原告商品1ないし7がありふれた形態であるという客観的事実には何ら変わりはなく,控訴人の請求が認められる余地は一切ない。

ア 原告商品1について
 控訴人は,原告商品1及びG&G社商品①-BT02「Brown」について,基本的構成が同一であることを認めた上で,外周部等の太さがやや違うこと,色がやや違うことを指摘し,それらが違うのだから実質的同一性がない旨主張する。しかし,少なくとも基本的構成が変化していなければ,不正競争防止法上の保護に値するとはいえないところ,控訴人は自ら基本的構成に変化がないことを認めている。控訴人が主張する差異は,要するに,着色面積がやや広い,色の濃さがやや違うといった程度である。
 その他控訴人の主張する,細長略三角形部が約3~4個違うといった程度の差異は,仮にそのような差異があるとしても印刷の誤差にすぎないとも考えられるし,基本的デザインを同じままに,線の数を数本変え,着色面積をやや変えることに,一体どのような開発の資本及び労力が掛かるというのであろうか。この程度の差異であれば,印刷の誤差で生じ得るとも考えられるし,意図的に変化させていたとしても,印刷の段階で印刷機をやや調整する程度で対応でき,そこには何一つ創意工夫は存在せず,開発の資本及び労力を要しない。また,線が45個か48個かといった差異を需要者が認識することはあり得ない。さらに,原告商品1のような色,着色範囲の商品は,いくらでも存在していたのであり,それ自体ありふれた形態といえ,不正競争防止法上の新たな商品であるといえるものではない。

イ 原告商品2について
 控訴人は,原告商品2及びG&G社商品①-BT02「Gray」についても,基本的構成が同一であることを認める。その上で,アと同様の差異が存在する旨主張するが,到底新たに開発した商品とはいえないのもアと同様である。また,原告商品2の発色部の色は,G&G社のBT01「Black」(乙1・10枚目)の色と同一であり,その点からもありふれた形態であるといえる。

ウ 原告商品3について
 控訴人は,原告商品3及びG&G社商品①-BT02「Sky Blue」についても,基本的構成が同一であることを認める。これについても,到底新たに開発した商品とはいえないのは同様である。また,控訴人は,原告商品3をG&G社商品①-BT02「Sky Blue」と比較しているが,原告商品3の発色部の色は,G&G社商品①-BT02「Aqua」(乙1・10枚目)の色と同一である。控訴人は,色の差異さえ存在しないことが一目瞭然になることを避けるために意図的に違う色の商品画像を並べたものと思われる。

エ 原告商品4について
 控訴人は, 原告商品4及びG &G 社商品② (I .fax「Brown」)についても,基本的構成が同一であることを認める。また,外周部の太さについて到底需要者が認識できる差異ではない。内周部について,控訴人は,「山状模様」及び「三角模様」と区別するが,明確な差異は見いだせない。いずれも,外周部から黒色の線が中央部に向かって複数伸び,内周縁部の黒色部分が,外周部に向かって斑に伸びている点で同一である。
 次に,控訴人は,原告商品4及びBESCON社商品(tutti Circle「BROWN」)についても,基本的構成が同一であることを認める。後者については,印刷の関係でBESCON社の商品カタログ(乙3)の画像より極めて薄くなっているが,原告商品4を上記画像と比較すれば明らかなとおり,内周縁部の黒色の点に見える模様がほぼ同一の配置でデザインされている。

オ 原告商品5について
 控訴人は,原告商品5及びG&G社商品③(I.fax「Ring」),G&G社商品④(BTⅡ「Black」)についても,基本的構成が同一であることを認める。また,3個とも黒色一色で構成されており,黒く塗りつぶされた外周部から,中央部に向かって複数のアメーバ状の模様が描かれている点も同一である。控訴人の主張する差異は,要するに原告商品5は他の2個よりも黒く着色された部分がわずかに多いといった程度である。そのような差異は,縮小されたサイズや現物大であればもちろん,商品比較表のように拡大されたサイズであっても需要者が明確に認識し得るものではない。さらに,着色部分を僅かに増やすことに「開発の資本及び労力」といえるものが存在するはずがなく,損害賠償請求の請求主体性を認める価値など一切ないのはその他の原告商品と同様である。

カ 原告商品6について
 控訴人は,原告商品6及びG&G社商品②(I.fax「Black」,I.fax「Green」),BESCON社商品(tutti Circle「GRAY」)についても,基本的構成が同一であることを認める。
 その他,エと同様に,明確な差異は全く見いだせない。

キ 原告商品7について
 控訴人は,原告商品7及びG&G社商品②(I.fax「Blue Black」),BESCON社商品(tutti Circle「BLUE」)についても,基本的構成が同一であることを認める。その他,エと同様に,明確な差異は全く見いだせない。他の原告商品と同様に,控訴人の主張するような差異が仮にあるとしても,いずれも基本的なコンセプトは全く同じであり,「新たな商品」といえる点は全く存在しない。

(3) 需要者の認識
ア 控訴人主張の調査資料(甲320,321)は,無記名であり年齢が書かれ職業欄に丸印がつけられているにすぎず,実際に行ったとは全く信用できない。仮に,実際に行っていたとしても,調査対象者を無作為に抽出したか否か不明である。また,アンケートの質問形式は,原告商品と従前の商品を並べ,それらの商品の間に違いが認識できるか否かを問うものであり,そもそも質問自体,違いがある旨回答するよう誘導しており有用性が全くない。さらに,調査結果の内容が控訴人の集計どおりであることは認めるが,回答者がわずか81名であって,何ら統計としての価値もない。
イ そもそも原告商品と従前の商品を無作為に並べたうえで,需要者が,それらの中から原告商品を的確に選び出せなければ,原告商品が従前の商品と違った特徴を有していることにはならない。そうでなければ,需要者は,それらを「新たに開発された」原告商品として認識しておらず,需要者の認識は,せいぜい,同じような商品がいくつもあり,指摘されなければ違いがあるとは全く思わず,指摘されればそれぞれ若干のデザインの違いがあると思えなくもないが,どれがどこの商品であるかは全く分からないといった程度である。他の商品と区別してそれを控訴人の商品であると需要者が明確に認識さえできないのに,原告商品に不正競争防止法上の保護が与えられることはあり得ない。

(4) 控訴人の請求主体性
 韓国におけるカラーコンタクトレンズ業界では,BESCON社が1961年(昭和36年)に設立された老舗の会社であり,1999年(平成11年)に設立されたG&G社等はBESCON社のデザインに似た商品を製造して販売してきたというのが実態である。原告商品1ないし7が,イ号及びロ号よりも後れて発売されていることからも明らかなとおり,G&G社は,単に他社のデザインを基に原告商品1ないし7を製造しただけであり,控訴人は,それらをG&G社から輸入しただけである。控訴人が負担した旨主張する資本及び労力は,そもそも到底「開発」と呼べる商品でないことから開発の資本及び労力とは全くいえない。また,控訴人は,単に商品の購入代金を負担しただけであり,仮にそれ以外の出費があるとしても商品売買契約締結に向けて商取引上当然に負担する程度のものにすぎない。したがって,控訴人は,不正競争防止法2条1項3号の請求主体たり得ない。

【控訴人の反論】
(1) 従前商品と原告商品との同一性判断,原告商品と被告商品との同一性判断については,いずれも需要者の視点から,通常の購入行為の過程で比較対象商品との実質的相違点を判別できるか否かを基準とすべきであり,両者について異なる拡大率を適用する実質的理由は何ら存しない。被控訴人は,従来型携帯電話(の基本画面)に表示される画像の大きさを殊更重要視しているが,そもそも従来型携帯電話においても画像拡大機能が備わっているのであるから,需要者が購入する際には拡大画像も参照するのが通常である。したがって,取引の実情を無視し,特定の広告,特定の媒体による販売状況を一般化して実質的同一性の判断を行うことは許されない。
(2) カラーコンタクトレンズは,視力補正を目的としないものですら高度管理医療機器に指定されており(薬事法2条5項),販売業者は,都道府県知事の許可を受け,営業所ごとに管理者を置かなければ販売することができないなど(同法39条),強い規制の対象となる商品である。これを受けて,日本コンタクトレンズ協会によって,販売方法に関する自主基準が策定され,販売業者において,眼科医の処方・指示に基づき販売すべきことが指針として示されている(甲374)。したがって,販売業者としても,上記基準を満たすべく,店頭における対面販売を原則形態としてカラーコンタクトレンズの販売を行っている(甲349~373)。
 他方,需要者としても,カラーコンタクトレンズは身体へのリスクを伴うものである以上,試着することが予定されている商品である。需要者は試着により,眼球に違和感が発生することがないか,サイズが合致しているかなど装着感を慎重に判断し,購入に至るのが通常である。そうすると,需要者の立場からも,通常の販売形態は店頭販売ということになる。
 以上によれば,カラーコンタクトレンズの商品比較において基準とすべきは,店頭販売において通常用いられる直径2cmから3cmに拡大した画像(甲349~373)であるといえる。

【被控訴人の再反論】
(1) 従来型携帯電話には,画像の拡大機能は存在しない。
(2) 控訴人主張の自主基準(甲374)は,平成24年6月1日に制定されていることからも明らかなように,控訴人主張の薬事法の規定や自主基準は現在における状況であり,本件で問題となっている平成20年当時には全く当てはまらない。平成20年当時は,カラーコンタクトレンズは「雑貨」に当たり,主にホームページ,特に従来型携帯電話向けサイトで販売されていたものである。控訴人が主張するように,試着して購入するのが通常であれば,インターネット上のみでカラーコンタクトレンズを販売する商売が成り立つはずがない。

第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も,控訴人の請求はいずれも棄却すべきものと判断する。その理由は,後記(1)のとおり原判決を補正し,(2)のとおり,当審における当事者の主張に対する判断を付加するほかは,原判決「事実及び理由」第4の1,2に記載のとおりであるから,これを引用する。

(1) 原判決の補正
ア 18頁21,22行目の「『BT02』,『BT03』(乙1・10枚目。以下「G&G社商品①」という。)」を「『BT02』,『BT03』(乙1・10枚目。以下,前者を『G&G社商品①-BT02』,後者を『G&G社商品①-BT03』といい,両者を一括する場合は「G&G社商品①」という。)」と改める。

イ 19頁5行目の「甲126・2頁,甲129・5,6頁」を「甲126・2頁,7~9頁,甲129・4~6頁」と,7行目の「BT02color(G&G社商品①)」を「BT02color(G&G社商品①-BT02)」とそれぞれ改め,12行目の「甲124・8枚目」の次に「,甲126・11頁,甲129・9頁」を,17行目の「甲129」の前に「甲126・10頁,」を,20行目の「甲129」の前に「甲126・15頁,」をそれぞれ加える。

ウ 20頁1行目の「甲129」の前に「甲126・16頁,」を加え,3,4行目の「甲129・同頁」を「甲126・16頁,甲129・12頁」と改め,8行目の「甲129」の前に「甲126・18頁,」を,12行目の「了とした」の次に「(甲126・19頁,甲129・15頁)」をそれぞれ加える。

エ 21頁3行目の「原告商品2,5」を「原告商品2,6」と,4行目の「原告商品3,6」を「原告商品3,7」とそれぞれ改める。

オ 22頁12行目の末尾の次に改行して,「さらに,G&G社商品①-BT03においては,瞳孔径の外側に,瞳孔径を縁取るように,背景と違う色の模様が配置されている。」を加える。

カ 23頁12,13行目の「平成20年10月14日である」の次に「(判断の基礎となる事実(2)ア)」を加える。

キ 24頁10行目の「灰色,黒色,青色の商品がある。」を「黒色である。」と改める。

ク 25頁21行目から26頁24行目までにある「G&G社商品①」をいずれも「G&G社商品①-BT02」と改める。

ケ 27頁4行目の「15.5mm」の次に「及び16.0mm」を加え,8行目の「G&G社商品①」を「G&G社商品①-BT02」と改める。

コ 28頁14行目の「G&G社商品①」を「G&G社商品①-BT02」と改める。

サ 30頁3行目の末尾の次に,「また,G&G社商品①-BT03においても,瞳孔径の外側に瞳孔径を縁取るように模様が配置されている。」を加える。

シ 33頁9行目から16行目までにある「G&G社商品①~③」をいずれも「G&G社商品①ないし④」と改め,12行目の「ピアコーポレーション株式会社」を「ピア社」と改める。

(2) 当審における当事者の主張に対する判断
ア 「商品の形態」とは,需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様,色彩,光沢及び質感をいう(不正競争防止法2条4項)ところ,引用に係る原判決(「事実及び理由」第4の1(5)ア)判示のとおり,不正競争防止法2条1項3号の規定及び趣旨によれば,自身又は他人が開発し,既に市場に流通している商品の形態に何らかの変更を加えて新たな商品として販売する者が,同号による保護を受けるのは,当該変更が新たな商品形態の開発といえる場合に限られ,当該変更前の商品と変更後の商品の形態が実質的に同一であって,需要者においてこれを新たな形態の商品として認識し得ないような場合には,たとえ当該変更過程で相応の資金や労力の投下が行われていたとしても,当該変更により新たに商品形態の開発がされたとはいえず,同号による保護は受けられないというべきである。
 そうすると,変更後の商品が同号によって保護されるべき形態を有するか否かについては,基本的には,両商品の形態を形状,模様,色彩,光沢及び質感その他必要な要素に分解して対比的に観察した上で,全体として(全体観察を行って)両商品の形態が実質的に同一であると判断されるか否かによって決することになる。
 また,その判断の基準は,需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって,上記要素を踏まえて,変更後の商品の形態を全体としてみたときに,当該変更前の商品の形態のそれとは別の個性を与えられたものであると認識し得るか否かによることとなる。

イ(ア) カラーコンタクトレンズ(非視力補正用コンタクトレンズ,いわゆる「おしゃれ用カラコン」)は,主として若い女性が需要者であり,平成21年11月4日より薬事法上の「医療機器」となったが,それまでは「雑貨品」扱いであり,控訴人が原告商品の販売を開始した平成20年10月ないし平成21年7月(前記判断の基礎となる事実(2)ア)当時,インターネットの通信販売(ネット販売)や量販店での購入が可能であった(甲162,甲374,乙42,弁論の全趣旨)。

(イ) 平成20年当時,カラーコンタクトレンズのレンズ直径は,略椀状で13.1mmから14.8mmまでのものが日本又は韓国で販売されており,平成21年には15.5mmから16.0mmのものも販売されるに至っていた(原判決「事実及び理由」第4,1(5)イ(イ)a)。

(ウ) カラーコンタクトレンズの需要者である若い女性向けの雑誌には,原告商品を含む控訴人の商品及び複数の異なる他社商品について,商品名,虹彩色(内周部の発色)及びセールストークとともに,直径5mmから2.5cmのカラーコンタクトレンズの写真とこれを装着したタレントやモデルの写真が紹介されている(甲189~218,弁論の全趣旨)。
 ネット販売においては,ホームページに,商品名,虹彩色(内周部の発色)及びセールストークとともに,カラーコンタクトレンズの画像とこれを装着したタレントやモデルの画像が紹介されており(後掲証拠,弁論の全趣旨),カラーコンタクトレンズの画像には,①直径5mmから1cmのもの(控訴人のホームページ:甲1,96),②主として直径5mmから1cmのもの(被控訴人のホームページ:甲2,5,6,8~13,21,22,97,乙49),③直径5mmから1.4cmのもの(被控訴人の携帯電話サイト:甲14,44),④直径7mm~1.5cmのもの(甲52),⑤直径1cmから2.5cmのもの(甲51),⑥直径3cmから5cmに拡大されたもの(甲322~348),⑦直径4.5cmから5cmに拡大されたもの(甲50)などがある。ネット販売においては,その性質上,需要者が商品を試着した上で購入することはあり得ない。
 店頭販売(量販店)においては,商品名,虹彩色(内周部の発色)及びセールストークとともに,直径2cmから3cmに拡大されたカラーコンタクトレンズの写真とこれを装着したタレントやモデルの写真が紹介されている(甲349~373)。そして,カラーコンタクトレンズが「雑貨品」扱いであった平成20,21年当時,量販店における店頭販売の際,需要者が商品を試着して購入していたとは考え難い。

(エ) 以上認定の取引の実情によれば,需要者は,各商品の模様,色彩,装着時の印象等を総合して,他社商品と比較の上,自分の好みにあった商品を選択することが可能であったといえる。しかし,おしゃれ用カラコンという商品の性格,需要者が若い女性であること,上記広告宣伝方法,商品の写真や画像は実物を大幅に拡大したものばかりではないことに照らすと,需要者は,商品の写真や画像を子細に見比べた上で商品を選択するのではなく,商品名や虹彩色(内周部の発色)の表示で各商品を区別した上で,具体的な商品選択の動機には,セールストーク及び商品を装着したタレントやモデルの印象が少なからず影響しているものと考えられる。

ウ 補正後の引用に係る原判決(「事実及び理由」第4の1(1)ないし(3))認定のとおり,原告商品1ないし3はG&G社商品①-BT02に,原告商品4,6,7はG&G社商品②に,原告商品5はG&G社商品③にそれぞれ変更を加えたものである。
 また,原判決別紙原告商品目録,証拠(上記イ(ウ)掲記の各証拠,乙1~3)及び弁論の全趣旨によれば,①カラーコンタクトレンズにおける商品形態の類型は,前記第2,4の【控訴人の主張】(以下「【控訴人の主張】という。)(1)のとおりであること,②商品比較表1~4頁に示された原告商品と従前の商品(G&G社商品及びBESCON社商品)の写真は,いずれも直径2.5cmから3cmに拡大されたものであり,同表5~25頁に示された原告商品及び従前の商品の写真は,いずれも直径4.5cmから5cmに拡大されたものであることが認められる。
 上記②の拡大写真によれば,原告商品,G&G社商品及びBESCON社商品の基本的構成態様は,商品比較表の該当箇所に記載のとおりであり(当事者間に争いがない。),具体的構成態様は,概ね同表の該当箇所に記載のとおりであることが認められる。
 そうすると,原告商品とG&G社商品及びBESCON社商品との対比は,基本的構成態様が同じもの同士について,具体的構成態様の相違点の有無,相違点によって形態全体の印象が異なるか否かを検討する方法で行うべきである(控訴人は,原告商品1ないし3とG&G社商品-BT03とを対比している〈商品比較表の該当箇所・【控訴人の主張】(4)イ〉が,前者は模様パターン1に,後者は模様パターン2にそれぞれ属しており,内周縁部の有無について,基本的構成要素を異にしている。)。
 しかし,商品比較表1~4頁について,控訴人及び被控訴人のネット販売におけるホームページの商品画像のサイズである5mm及び1cm程度(上記イ(ウ)①,②)に調整すると,原告商品と対比すべきG&G社商品及びBESCON社商品との間には,控訴人が商品比較表の該当箇所に基づいて具体的構成態様の相違点として主張する,線の本数や太さの程度等といった差異を認識することはできない。すなわち,控訴人が商品比較表の該当箇所に基づいて主張する上記各対比商品間の具体的構成態様の相違点である外周部の太さ,着色面積,色,色の濃さ,模様の個数等(【控訴人の主張】(4)ア,ウ,エ,オ,カ)は,同表の拡大写真(直径2.5cmから3cm・直径4.5cmから5cm)を子細に観察分析することによって,ようやく認識することができるものであり,前記認定のカラーコンタクトレンズの取引の実情に照らすと,需要者である若い女性が,通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識し得るものではない。これに加えて,カラーコンタクトレンズは,先進地である韓国製の輸入品(乙1~3,弁論の全趣旨)を含めて多数の商品が多数の業者によって販売されており(甲189~218,322~372),各業者が独自の模様,色彩を施すことにより,需要者の関心を得て自社商品を選択してもらうべくしのぎを削っている状況にあり,商品に施すことができる模様,色彩について選択の幅が狭小化していること(弁論の全趣旨)に鑑みると,控訴人主張の上記相違点は,需要者である若い女性において,通常の用法に従った使用に際して知覚によって容易に認識し得ない,模様,色彩に関する微細な違い(差異)にすぎない。
 以上の事情を総合考慮すると,原告商品1ないし3の形態はG&G社商品①-BT02の形態と,原告商品4,6,7の形態はG&G社商品②の形態と,原告商品5の形態はG&G社商品③及びG&G社商品④の各形態と,実質的には同一であるから,原告商品の形態が変更前の商品ないし先行商品の形態とは別の個性を与えられたものであるとして,新たに開発された商品形態であるということはできない。

エ 控訴人提出のアンケート調査の結果(甲320,321)は,東京及び大阪のカラーコンタクトレンズ販売店において店舗を訪れた女性を対象に下記商品の相違につきアンケートを実施した結果というのであるが,質問形式が「原告商品1,G&G社商品①-BT02のブラウン,G&G社商品①-BT03のブラウン」(質問4),「原告商品4,G&G社商品②のブラウン,BESCON社商品のブラウン」(質問5),「原告商品5,G&G社商品③,G&G社商品④」(質問6)について,「①一番デカ目に盛りたい時は,どのレンズを使用しますか?」,「②ナチュラルに盛りたい時は,どのレンズを使用しますか?」(質問5,6では「最もナチュラルに…」),「③外国人のような透き通ったきれいな目にしたい時は,どのレンズを使用しますか?」(質問4のみ)と,各商品間に違いがある旨回答するよう誘導しており,有用性に疑問があるし,そもそも回答者が81名であり,統計的価値にも疑問がある。
 そして,他に,原告商品の形態が新たに開発された商品形態であると認めるに足りる的確な証拠はない。
 したがって,原告商品と従前の商品とは実質的に同一の商品ではなく,原告商品の形態が新たに開発された商品形態であるとする,控訴人の主張は採用することができない。

オ 以上によれば,原告商品は,不正競争防止法2条1項3号によって保護されるべき形態を有しない。

2 その他,原審及び当審における当事者提出の各準備書面等に記載の主張に照らし,原審及び当審で提出,当審で援用された全証拠を改めて精査しても,当審及び当審の引用する原審の認定判断を覆すに足りるものはない。

3 よって,これと同旨の原判決は相当であって,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。

大阪高等裁判所第8民事部
裁判長裁判官 小松 一雄
裁判官 長井 浩一
裁判官 横路 朋生

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