平成24年(う)第946号 強盗殺人,死体遺棄被告事件 平成25年5月28日 東京高等裁判所第10刑事部判決主文 原判決を破棄する。
被告人を懲役18年に処する。
 原審における未決勾留日数中630日をその刑に算入する。理由
第1 控訴の趣意 本件控訴の趣意は,要するに,第1に,原判決は,原判示第1ないし第3の各強盗殺人(以下「本件各強盗殺人」という。)について被告人 と共犯者らの共謀を認めた理由を示していない点,同第1及ひ第3の各 強盗殺人について共謀の成立時期を示していない点において理由不備の 違法かある,第2に,被告人に本件各強盗殺人の故意や共犯者らとの共 謀はないのに,共謀共同正犯の成立を認めた原判決には事実の誤認かあ る,第3に,被告人を懲役28年に処した原判決の量刑は重すきて不当 てあるというのてある(以下の月日は,特に記載しない限り,平成22 年を指すものてある。)。第2 理由不備の論旨について 所論は,原判決には上記のとおり刑訴法378条4号の理由不備かある旨主張するか,所論指摘の点は,いすれも同法44条1項,335条 1項により要求される判決の理由には当たらないから,原判決中にこれ らの点の説示かないからといって理由不備になるものてはない。なお, 原判決は,1本件各強盗殺人について,有罪認定の理由の第3の2及ひ

3の各項において共謀共同正犯の成立を認めた理由を説示している上, 2原判示第1及ひ第3の各強盗殺人について,有罪認定の理由の第2の 1及ひ2の各項において被告人とAの共謀か3月初めから中旬まてに成 立し,Aを介してB及ひCとも順次共謀した旨を説示しているから,所 論は原判決を正解しないものてある。第3 事実誤認の論旨について
1 原判決か,本件各強盗殺人として認定した罪となるへき事実は,要旨,被告人は,長野市内にある高利貸し業,建築業等を営む企業体て あるXクルーフ(会長D)の従業員てあるA,B及ひCと共謀の上, 1同クルーフ内て専務と呼はれていたEを昏睡させた上て殺害し,そ の管理する現金を強取しようと企て,3月24日午前1時20分ころ, 長野市内のD方において,Aか,睡眠導入剤ハルシオン(以下「睡眠 導入剤」という。)を混入した雑炊をE(当時30歳)に食へさせて 昏睡状態に陥らせた上,同日午前9時10分ころ,D方2階のE夫婦 の寝室において,A及ひCか,Eに対し,殺意をもって,所携のロー フをその頸部に巻き付け,両端をそれそれ強く引っ張って絞め付け, そのころ頸部圧迫により窒息死させて殺害し,同日午後10時30分 ころ,Bか,D方2階隠し物置内からEか管理する現金約281万円 を強取し,2上記のとおりAかEを昏睡状態に陥らせたところ,Eの 妻Fか夫か朝になっても目覚めないことに不審を抱いたことから,E に対する強盗殺人を成功させるには邪魔なFをも殺害するしかないと 決意し,同日午前8時50分ころ,E夫婦の寝室に隣接する居間にお いて,Aか,F(当時26歳)に対し,殺意をもって,背後から所携 のローフをその頸部に巻き付け,両端を強く引っ張って床面に転倒さ



せた上,さらに,A,B及ひCか,ローフの両端を代わる代わる強く 引っ張って絞め付け,そのころ頸部圧迫により窒息死させて殺害し, 上記のとおりE管理の現金約281万円を強取し,3Dを殺害してそ の所有する現金を強取しようと企て,同日午前9時25分ころ,D方 2階のDの居間において,A及ひBか,リクライニンクソファーて眠 っていたD(当時62歳)に対し,殺意をもって,所携のローフをそ の頸部に巻き付け,両端をそれそれ強く引っ張って絞め付け,そのこ ろ頸部圧迫により窒息死させて殺害する傍ら,Bか,Dのハック内に 在中し,あるいは,ワコン上にあった,同人所有の現金約135万円 を強取したというものてある。これに対し,所論は,本件各強盗殺人について,被告人に故意や共 犯者3名との共謀はなく,その関与の程度は共同正犯の域に達してい ない旨主張し,Eに対する殺人幇助罪か成立するにととまると主張す る。2 本件各強盗殺人の故意について
(1) D及ひE(以下「D親子」という。)に対する強盗殺人の故意所論は,Aか被告人にD親子の所持金の話をしたのは1回たけて あり,その話し方も,早口てまくし立てるように,足場材か10ト ン車3台分て約300万円くらいになるからそれて払う,売り先も 決まっているなとと話した後に,付け加えるように,D親子か常に 二,三百万円を所持している旨話したにすきないこと,金庫内の現 金についても,上記所持金の話とは別の機会に仕事の話の合間に雑 談程度に話したたけて,期待しないてほしいなとと言っていたこと, また,被告人はAの報酬支払能力に疑問を持っておらす,報酬の原

資や調達方法に関心かなかったことなとに照らせは,被告人は,A らかD親子を殺害する際にその所持金を奪うことまては認識してい なかった旨主張する。そこて検討すると,関係証拠によれは,被告人は,廃フラスチッ ク販売業の経営に行き詰まり金に困っていたところ,2月中旬ころ, 取引相手のAから,D親子の殺害を企てているのて,二人の遺体を 150万円から200万円の報酬て預かってほしい旨依頼された際, 報酬の支払に関心を持ち,「お金大丈夫なの。」なとと確認し,こ れに対し,Aか,足場材か10トン車3台分て約300万円くらい になるからそれて払う,売り先も決まっているなとと言ったほか, D親子か常に二,三百万円持ち歩いているのて大丈夫なとと話した こと,その後,同月下旬ころまてに,Aから,Xクルーフの仲間と 二人てD親子を殺害する意図てあることを聞き,さらに,D方の金 庫内に現金かあれは報酬を上乗せてきるか期待しないてほしいなと と言われたことか認められる。このように,報酬の支払に関心を持 って質問した被告人か,Aから,報酬の原資の一つの当てとしてD 親子の所持金の話を聞き,さらに,不確実てはあるかD方の金庫内 に現金かあれはこれも奪う趣旨の話も聞いたのてあるから,所論指 摘の諸事情を踏まえても,被告人は,2月下旬ころには,Aらか, D親子を殺害する際,その所持金かあれは奪う意図てあることを認 識したものと優に認められる。被告人も,報酬の支払は,Aか足場 材ということを言っているし,社長たちの二,三百万円という話も 言っているから,払えるたろうと考えていた旨原審公判て述へてお り,上記の認識を裏付ける。所論は,被告人か,AとBの共謀内容

を知らなかったこと,Aらの犯行動機はD親子の殺害てあると認識 していたこと,D親子の所持金を奪わないと報酬か得られないとは 考えていなかったこと,報酬は遺体の運搬保管の対価てあり,強取 金の分け前とは考えていなかったこと,BかD親子の所持金を強取 したことを知らなかったことなとに照らせは,D親子に対する強盗 殺人の故意はなかった旨主張する。しかし,これらの事情は,被告 人かAらの強盗殺人の意図を認識していたことと矛盾したり,これ を否定するものてはなく,上記認定を左右しない。(2) Fに対する強盗殺人の故意 所論は,被告人は,AらかEの所持金を奪うためにFを殺害することを認識していなかった,Aに対する恐怖心等からハニック状態 となり,依頼を拒めす遺体の搬出等を手伝ったにすきないなとと主 張する。しかしなから,上記(1)のとおり,被告人は,AらかD親子を殺 害し,その所持金を奪う意図てあることを認識していた中て,犯行 当日,D親子の遺体を入れるトラム缶を積んた普通貨物自動車を運 転してD方付近の駐車場に臨場した際に,Aから,運ふ遺体か二つ から三つになる,Eの妻を,うるさいから,邪魔たからなとという 理由て殺害するなとと言われたのてあるから,被告人は,その時点 て,Aらか,Eに対する強盗殺人を実行するため,その障害となっ ているFをも殺害する意図てあることを認識したものと認められる。確かに,被告人は,Aから,突然,手短に上記のとおりFも殺害 する旨言われたことや,殺害後に,急きょ,D方て遺体の搬出を手 伝うことになり,その際,初めてCの関与を知り,また,他に寝て

いる人もいると言われたことなとから,事態の推移を十分に把握て きす,その後の展開もよく分からすに,戸惑いや不安て緊張しなか らAらの指示に従って行動していたことか窺われる。しかし他方て, 被告人は,Fも殺害する旨伝えられた後もD方付近にととまり,遺 体を入れる三つ目のトラム缶か用意てきないかを確認するなとして その手配に努めなからAらか殺害を終えるまて待機し,その後,A の求めに応してFを含めた遺体の搬出も手伝っていること,愛知県 て死体を遺棄するに至るまての間,被告人かAを強く畏怖していた 様子は窺われないことなとに照らすと,被告人か,Aへの恐怖心等 からハニック状態になっていたとは到底認め難く,所論は採用てき ない。3 本件各強盗殺人の共謀共同正犯の成立について
(1) 原判決は,被告人は,12月下旬ころ,共犯者らかD親子を殺害した上,その所持金を奪い,その中から報酬を支払うことを十分 に知りなから,報酬欲しさに遺体の運搬処分を引き受け,その後, Fを殺害する旨告けられても翻意せす,積極的に報酬200万円を 受け取ったほか,23月上旬に,屈強なEを殺害するために,Aに 対し,睡眠導入剤の使用を勧めて提供し,これをAらかEに飲ませ たことからすると,被告人の関与の程度は,単なる幇助犯にととま らす,自己の犯罪として主体的に関与する共謀共同正犯の域に達し ている旨判示している。また,その共謀か成立した時期については, D親子に対する強盗殺人は睡眠導入剤を提供した時点,Fに対する 強盗殺人はAからその殺害を告けられ承諾した時点てある旨判示し ている。そして,被告人のこのような関与行為は,被告人自身かD親子を殺害し,現金を強取するという犯行計画全体の完遂を意欲し ていたことを物語っていること,また,被告人による遺棄行為は殺 害計画実行の上て重要な位置を占めていたことを被告人は理解して いたことを指摘している。これに対し,所論は,1について,Aと被告人との間の報酬に関 する話の内容やその回数,Aの話し方等からすれは,被告人は,遺 体の運搬保管に対する報酬かD親子の所持金から支払われることを 認識していなかった,Aらは被害者らの遺体を長野市内の倉庫に隠 すこともてきたから,被告人か遺体の運搬保管を引き受けたことは 本件各強盗殺人の実行に不可欠て重要な行為てはなかった,2につ いて,睡眠導入剤の使用の提案及ひ提供はAの相談に応したものて ある上,睡眠導入剤には殺傷能力はなく,これを飲ませること自体 容易てはないから直ちに殺害を可能にするものてはないなとと論難 する。そして,被告人は,被害者らの殺害や所持金の奪取,さらに は報酬の金額や支払時期等に関する話し合いに全く関与せす,Aか ら一方的に指示されて行動したにすきないから,謀議といえる実体 はないこと,被告人とAらは,計画段階から実行に至るまて,本件 各強盗殺人はAらか行い,被告人は遺体の運搬保管たけを行うとい うように,明確に役割を区別して行動しており,被告人はもとより, Aらにおいても,本件各強盗殺人を被告人か共同実行するという認 識はなかったことなとに照らせは,本件各強盗殺人の共謀はなく, 被告人には共謀共同正犯か成立しない旨主張する。(2) そこて検討すると,上記2(1)のとおり,被告人は,Aから,報酬の原資について,一方て,足場材か約300万円くらいになり売
 
り先も決まっている旨の具体的な説明を受けていたのてあり,他方て,D親子か二,三百万円持ち歩いている,金庫に現金かあれは上乗せてきる旨の説明を受けていたものの,Aの意図するとおりに間違いなく奪取てきるという確実性のある話てもないのてあるから,報酬はD親子から奪取した金から支払われるという明確な認識を抱
くような会話内容とはいえす,被告人の認識としては,奪取した金から報酬か支払われる可能性も相当程度あるという認識かあったと認定てきるにととまるというへきてある。この点,原判決は,被告人の原審公判供述に依拠して上記2(1)と同様の事実を認定していなから,D親子から現金を奪って報酬に充てる趣旨は十分に認識していたと考えると説示しているところ,そこていう認識の内容は必すしも明らかてはないか,原判示全体をみると奪取した金をもって報酬に充てるという明確な認識を前提とするものと理解てき,そうてあれはその判断は合理的とはいえない。また,原判決は,被告人か,被害者3名の殺害直後に報酬として100万円を当然のことく受領したことは,D親子の所持金から報酬か支払われることを十分に認識していたことの証左てあり,既定の方針てあったために誰からも出所か告けられなかったと考えるへきてある旨説示するか,被告人は遺体の運搬保管の報酬として150万円から200万円を受
け取ることか約束されていたのてあるから,その出所を確認するまてもなく当然のものとして100万円を受領したと理解することもてきるのてあって,原判示は正確とはいい難い。さらに,検察官は,答弁書において,Dか所持するハック内の100万円を当日そのまま支払う,残りの50万円から100万円は足場材を売って支払う

 
旨述へたAの原審公判供述は信用てきると主張するか,Aと被告人間の電話ての会話内容に関するAの原審公判供述は,同人の検察官調書(原審弁28)やBの原審公判供述とその内容か異なる上,被告人の原審公判供述と異なる部分について特段の裏付けもないこと
に鑑みると,細かい会話内容についてまて,被告人の供述を排斥してAの供述とおり認定てきるほとの信用性は認め難いから,上記認定を左右しない。なお,Gの原審公判供述によれは,被告人かGに対し,D方の金庫から金を奪って報酬としてもらうなとと確実性の高い話として述へていたことか窺われるか,懇意にしていたホステスのGとスナックて飲酒した上ての会話と思われ,被告人の真意かとうかなと正確性には疑問か残るのてあって,同様に上記認定を左右しない。
そして,被告人かD親子の遺体の運搬保管を引き受けるに至るま
ての被告人とAとの話し合いについては,関係証拠をみると,1Aは,専らBとの間てD親子の殺害やその方法等について決めていたのに対し,同時に並行して話をしていた被告人には遺体の運搬保管
を依頼したたけてあり,被告人においても,依頼の内容としては遺体の運搬保管たけの認識てあって,報酬もこの点に対するものとして約束されていたこと,2D親子の殺害の動機や方法等はAから被
告人に一方的に伝えられたたけてあり,依頼に関連して,被告人から殺害や所持金の奪取について進んて意見を述へるなとしたことも認められないこと,3他方て,遺体の運搬保管に関しては,被告人かトラム缶を準備するなと,その方法等について被告人から意見を述へるなとしてAとの間て決められたこと,以上の事情か指摘てき
 
る。このように,被告人とAとの間ては,あくまてAらか殺害したD親子の遺体を,殺害後に被告人か運搬保管して報酬を得るという前提ての話に終始していたのてあって,被告人かその報酬の原資を確認した際に,D親子から奪取した金を充てる可能性も相当程度あ
ることを知るに至ったからといって,それたけて被告人に強盗殺人についても正犯意思か生し,自己の犯罪として関与するに至ったと認めることは到底てきない。報酬の原資の調達はAらにおいて確保すへき事柄てあり,被告人かこのように考えていたことは,3名殺害後現場にAから呼はれた際にも,Aの指示て遺体の運搬を手伝ったたけて,D親子の金を奪うことに関与するような行動を一切していないはかりてなく,Aらに金を奪取したかとうかについて確認すらしていないことからも窺われる。原判決は,現金を奪って報酬に
充てる趣旨を十分に認識していたなとの事実たけから,直ちに被告人の正犯性を認めるものてはないか,上記の事実を強盗殺人の共謀の認定に当たって重視し過きているというほかない。
次に,被告人かAに対して睡眠導入剤の使用を提案し,これを提
供した点についてみると,関係証拠によれは,1被告人は,既にD親子を絞殺することを決めていたAから,首を絞めるときに屈強な
Eか暴れると絞殺か難しいのて眠らせたいなとと相談を受けた際,自らも使用経験かある睡眠導入剤の使用を提案したところ,Aかそれを求めてきたことから,当時たまたま持っていた睡眠導入剤を送
付して提供したものてあり,被告人から睡眠導入剤を用いて絞殺することを積極的に提案したり,被告人から進んて提供したものてはないこと,2本件睡眠導入剤は,被告人自身かそれまてに同種のも
 
のを使用していて,医師の処方箋かあれは正式に入手てき一般に入手困難なものてはなかった上,上記のAからの相談は1回の電話の機会における仕事話の合間になされたものてあったことから,被告人かAから求められるまま安易に提供してしまった疑いも否定し切れないこと,3Aらは,睡眠導入剤の提供を受けた後も,殺害の実
行日時や場所等について被告人に相談せすに決定し,3月24日午前6時まてに長野県に来るよう指示しなからもその前日の23日にD親子の殺害を試みるなとしており,さらに,犯行当日も被告人には一方的に待機等の指示をするたけて状況を詳しく知らせす,殺害直前に会った際にもFの遺体を追加して運搬保管することを依頼し
たたけて殺害等への協力を求めす,他方て殺害等にCを誘って実行し,殺害後の遺体の搬出の段階になって初めて被告人に協力を求め
ており,被告人においても,睡眠導入剤の提供以降もAの指示に従
って行動し強盗殺人の計画や実行について積極的に関わる姿勢を示
していないなと,睡眠導入剤の提供の前後て,被告人とAらとの関係やD親子に対する強盗殺人への関わり方に有意な変化かみられないこと,以上の事情か存する。これらの事情を考慮すると,睡眠導入剤の使用の提案や提供をしたといっても,それにより被告人にお
いてD親子に対する強盗殺人に自らも関与する認識に変わり,Aら
においても被告人とともに強盗殺人を実行する認識に変わったとは
到底いえない。また,客観的にみても,確かに,睡眠導入剤を提供
した事実は,その後の強盗殺人の遂行の上て重要な行為てあったことは否定てきないか,強盗殺人の実行を決断させるのに重要な働きをしたとまてはいえないし,提供するに至った経緯やその状況は,

Aからの相談や交付要請に応答した受動的なものてあったことは否定てきない。そうすると,被告人において,遺体の運搬保管の報酬は奪取した金から充てられる可能性も相当程度あることを認識して
いたことに加え,さらに,睡眠導入剤の使用を提案しこれを提供し
たことを併せ考慮しても,被告人にD親子に対する強盗殺人につい
て正犯意思か形成され,Aとの共謀を遂けたと認めることはてきないというへきてある。
本件犯行当日,Aか被告人に対し,運ふ遺体か二つから三つになる,邪魔たからFを殺すなとと説明し,これに対し被告人か遺体を入れる三つ目のトラム缶を手配しようとしなから殺害か終わるまて付近て待機していたことについてみても,上記のとおり,D親子に対する強盗殺人について被告人の正犯意思やAとの共謀か認められない状況におけるやりとりてあること,Aは被告人にFの遺体の運搬保管を依頼したにととまり,被告人もこれを承諾したにととまっていることからすれは,Fに対する強盗殺人についても同様に被告人の正犯意思やAらとの共謀かあったとは認められない。
なお,被告人か200万円の報酬を受領した点については,遺体
の運搬保管に対する報酬としてあらかしめ150万円から200万円の報酬か支払われることか約束されていたこと,Aらか強取した金額か合計約416万円てあったためその半額近くを占める結果になったにすきないこと,被告人の報酬額やその支払方法,事後の強取金の分配等は,すへてAらか決め,被告人は特段関与していないことなとに照らすと,本件各強盗殺人の共謀を裏付ける事情とはいい難い。


したかって,被告人か遺体の運搬保管の報酬を期待して一連の犯行に及んたことは認められるものの,さらに,被告人自身かD親子を殺害して現金を強取するという犯行の完遂を意欲していたとする
原判決の指摘は相当てはない。また,確かに,本件犯行において,3名の遺体の遺棄行為か殺害遂行の上て重要てあったことは原判示のとおりてあるか,殺害に必須な行為とか,殺害に移るための決定的な要因とかいうものてはない上,殺害行為は遺棄行為とは全く異なる重大な行為てあるから,被告人か上記の重要性を認識した上て遺棄行為に及んたとしても,そのことか直ちに殺害行為についてまて主体的に関与したことを示す事情といえるのかは疑問か残る。(3) 本件は,そもそも,遺体の運搬保管を依頼され,その依頼とおりの行動に終始した事案てある。これに加えて,その前提の強盗殺人の計画を知っていたとしても,強盗殺人の正犯としての罪責まて問うには合理的理由か必要てある。原判決は,上記(1)12の各事情の存在はその共謀を肯定する域に達していると説明する。しかし,
上記(2)に説示したとおり,その判断は共謀を否定する方向の事情を適切に考慮していないというほかないし,上記(1)12の各事情か,被告人において,強盗殺人まても自己の犯罪として犯したといえる程度に,その遂行に重要な役割を果たしたといえるたけの合理的理由を示したものとはいい難い。そうすると,本件各強盗殺人につい
て共謀共同正犯の成立を認めた原判決には,判決に影響を及ほすことか明らかな事実の誤認かあり,破棄を免れない。論旨は理由かある。
第4 破棄自判
 


よって,刑訴法397条1項,382条により原判決を破棄し,同 法400条たたし書により,被告事件について更に次のとおり判決す る。1 原判示第1ないし第3の各事実に代えて当裁判所か新たに認定し た事実被告人は,愛知県において廃フラスチック販売業を営んていたか, 1長野市内にある「Xクルーフ」と称し,いわゆる高利貸し業,建築 業等を営む企業体の従業員てあるA及ひBか共謀の上,同クルーフ内 て専務と呼はれていたEを昏睡させた上て殺害し,現金を強取しよう と企て,3月24日午前1時20分ころ,長野市(以下省略)所在の D方て,Aか睡眠導入剤を混入した雑炊をE(当時30歳)に食へさ せて昏睡状態に陥らせた後,さらに同クルーフの従業員てあるCとも 上記Eに対する強盗殺人の共謀を遂け,同日午前9時10分ころ,D 方2階のE夫婦寝室において,A及ひCか,Eに対し,殺意をもって, 所携のローフをその頸部に巻き付け,その両端を強く引っ張って絞め 付け,そのころEを頸部圧迫により窒息死させて殺害し,同日午後1 0時30分ころ,BかD方2階隠し物置内からE管理の現金約281 万円を強取し,2上記のとおり,AかEを昏睡状態に陥らせたところ, Eの妻Fか,夫か朝になっても目覚めないことに不審を抱いたことか ら,A,B及ひCか共謀の上,Eを殺害し現金を強取するためには, 邪魔なFをも殺害するしかないと決意し,同日午前8時50分ころ, E夫婦の寝室に隣接する居間において,殺意をもって,Aか,F(当 時26歳)に対し,その背後から所携のローフを頸部に巻き付け,ロ ーフの両端を強く引っ張ってFを床面に転倒させた上,A,C及ひB

か,ローフの両端を代わる代わる強く引っ張って絞め付け,そのころ Fを頸部圧迫により窒息死させて殺害し,上記1のとおり,Eか管理 する現金約281万円を強取し,3A,B及ひCか共謀の上,同クル ーフ会長のDを殺害してその管理する現金を強取しようと企て,同日 午前9時25分ころ,D方2階のDの居間において,A及ひBか,リ クライニンクソファーて眠っていたD(当時62歳)に対し,殺意を もって,所携のローフをその頸部に巻き付けた上,両端を強く引っ張 って絞め付け,そのころDを頸部圧迫により窒息死させて殺害する傍 ら,Bか,Dのハック内に在中し,あるいは,ワコン上にあったその 所有する現金約135万円を強取した際,上記1ないし3に先立ち, Aほか1名かD親子を殺害し,その管理する現金を奪う意図てあるこ とを認識しなから,2月下旬ころ,Aの依頼に応し,殺害後のD親子 の遺体を長野県から愛知県まて運搬し,同県西尾市内の被告人か管理 する資材置場に埋めることを150万円から200万円の報酬の約束 て引き受けるとともに,3月上旬ころ,Aの依頼に応し,同人に対し, 屈強なEを殺害する際に暴れられないよう昏睡させるための睡眠導入 剤約25錠を送付して受領させ,さらに,Aの指示を受けて,同月2 4日午前8時30分ころまてに遺体を運搬するため普通貨物自動車を 運転してD方付近の長野市(以下省略)内のY駐車場に赴き,そのこ ろ同所において,Aの依頼に応し,同人らかEに対する強盗殺人を実 行するためにFを殺害することを認識しなから,殺害後のFの遺体に ついても上記同様に運搬して埋めることを引き受け,被害者3名の殺 害か終わるまて同所て待機するなとし,もってAらの被害者3名に対 する強盗殺人を容易にしてこれらを幇助した。

2 上記認定事実についての証拠の標目 原判決の挙示する原判示全事実及ひ同第1ないし第3の各事実に対する証拠と同一てある。
3 被害者3名に対する強盗殺人幇助を認めた理由
(1) 弁護人は,上記認定の強盗殺人幇助に関し,被告人には被害者 3名に対する強盗殺人の故意はなく,Eに対する殺人幇助か成立す るにととまる旨主張する。(2) 強盗殺人の故意 控訴趣意に対する判断(第3の2(1)及ひ(2))に説示したとおり,被告人は,AらかD親子を殺害する際,その所持金を奪う意図てあ ること,及ひAらかEの強盗殺人を実行するため,その障害となっ ているFを殺害する意図てあることを認識していたことか認められ るから,被害者3名に対する強盗殺人の故意か認められる。(3) 強盗殺人の幇助 ア 幇助行為該当性
関係証拠によれは,被告人は,上記1のとおり,1報酬を約束 してD親子の遺体を運搬して埋めることを引き受けた上,普通貨 物自動車を運転してD方付近の駐車場に赴いたこと,同所におい て,Fの遺体についても同様に運搬して埋めることを引き受けて 待機したこと,2Aに対し睡眠導入剤約25錠を送付したことか 認められる(以下,上記1及ひ2の行為を併せて「本件幇助行為」 という。)。ます,1の行為か,各強盗殺人の幇助行為に当たるか検討する。
 AらはD親子に雇われて同居するなとしていたため,遺体を放置
 
すれは容易に犯行か発覚し,Aらか疑われる可能性かあることか ら,犯行直後に遺体を搬出して遠方に遺棄する行為は,各強盗殺 人を実行する上て重要な位置を占めていたと考えられる。実際に, Aは,計画の初期の段階て,被告人に150万円から200万円 もの多額の報酬の支払を提示し,その原資についてもおおよそを 説明するなとしてD親子の遺体の運搬保管を引き受けるよう説得 し,被告人かこれを引き受けたことを踏まえて,BやCにその旨 を伝え具体的な実行時期を決めたり犯行に使用するローフ等を準 備したりしている。また,犯行当日も,Aは,被告人に指示して D方付近に臨場させ,時間的余裕のない切迫した状況て被告人に 会い,Fの遺体の運搬保管も追加して依頼した上てその場に待機 させ,被害者3名に対する強盗殺人を実行した後は,被告人を呼 んて直ちに遺体を運搬し,その後にBにおいて更に金を奪うなと している。このような経緯に照らせは,被告人か,被害者3名の 強盗殺人の実行前に遺体の運搬保管を引き受け,普通貨物自動車 を運転してD方付近に臨場し,殺害か終わるまて待機していた行 為は,A及ひBの被害者3名に対する各強盗殺人の犯意を強固に させるとともに,殺害後の遺体処理の懸念を抱くことなく各強盗 殺人を実行てきる心理的な支えとなって,その成就にも寄与した 面かあることか認められる。そして,被告人は,AとBやCとの 間のやりとりやローフ等の準備の点を除き,上記のような事情や 経緯を認識していたから,1の行為か,A及ひBの各強盗殺人の 犯意を強固にし,その実行を心理的に支えていることを認識して いたものと認められる。1の行為は,被害者3名の死体遺棄の準
 
備的な行為てもあるか,強盗殺人の幇助と認められるその行為の 違法性は,死体遺棄罪により評価し尽くされているとはいえない から,別途強盗殺人の幇助罪を構成するというへきてある。また,2の睡眠導入剤の使用の提案及ひ提供行為は,実際に, Aか,3月24日深夜に睡眠導入剤を混入した雑炊をEに食へさ せて昏睡状態にさせ,その状態を利用してEを絞殺したことから すると,Eに対する強盗殺人を物理的かつ心理的に容易にしたこ とか明らかてあり,その提供の経緯に照らせは,被告人は2の行 為かEに対する強盗殺人を容易にすることを認識していたものと 認められる。睡眠導入剤の影響によりEか昏睡している傍らてA らかFを殺害したことや,同し機会にDも殺害していることに照 らすと,2の行為は,FやDに対する強盗殺人の実行をも容易に したものといえるか,被告人とAは,あくまてEの強盗殺人に使 用するものとして睡眠導入剤のやりとりをしたこと,提供当時, AらにFを殺害する意図はなく,Dの殺害についても,Eと同し 機会に実行するかは決まっていなかったことを考慮すると,被告 人において,2の行為かDやFに対する強盗殺人を容易にするこ とまて認識していたとは認められない。以上の範囲において,被告人には,被害者3名に対する各強盗 殺人についてそれそれ幇助罪か成立する。イ 罪数関係 上記1の行為は,被害者3名に対する各強盗殺人の幇助行為てあるか,遺体の運搬保管を引き受け,殺害現場付近て待機してい た一連の行為をみれは,社会的,自然的事象としては一個の行為
 
といえる。また,上記2の睡眠導入剤の提供等と上記1の行為は, 別の機会に行われた性質の異なる幇助行為てあるか,いすれもE に対する強盗殺人を幇助する行為という関係においては一罪を構 成する。そうすると,本件幇助行為は,全体として,被害者3名に対す る各強盗殺人についての一個の幇助行為と評価するのか相当てあ る。(4) 訴因変更の要否 本件は,被告人か共謀共同正犯として起訴されていることから,上記認定の幇助行為は,公訴事実には記載されていない。しかし, 本件の具体的審理の経過をみると,原審第1回公判前整理手続期日 において,弁護人の釈明要求に対し,検察官か被害者3名に対する 各強盗殺人の共謀共同正犯か認められない場合,縮小認定として幇 助犯を認定てきると考える旨述へ,また,弁護人は,各強盗殺人の 訴因については睡眠導入剤の提供に関しEに対する殺人の幇助の限 度て成立するにととまる旨主張している。また,原審第1回公判期 日において,検察官か冒頭陳述て被害者3名に対する各強盗殺人の 共謀及ひ正犯性を根拠付けるものとして主張する事実には,本件幇 助行為に当たる事実か含まれ,この事実に関し,弁護人も冒頭陳述 て事実認定及ひ法的評価の両面から反論を述へており,本件幇助行 為の事実認定及ひ法的評価か重要な争点とされている。さらに,両 当事者は,Aの証人尋問を中心とする証拠調へや被告人質問により, 本件幇助行為やその法的評価に影響を及ほす事実等について十分な 立証,反証活動を展開し,その結果に基つく論告及ひ弁論ても上記
 
争点に関する詳細な意見を述へている。以上の審理経過に鑑みると, 本件幇助行為の事実認定の点ては,それか明確に審判の対象とされ, 被告人の防御活動も十分になされているといえるし,それか幇助行 為に当たるかという法的評価の点も,両当事者の意見か十分に述へ られているから,訴因変更手続を経ないて被害者3名に対する強盗 殺人の幇助を認定しても,被告人の防御に実質的な不利益を及ほす おそれはない。4 法令の適用 当裁判所の認定した上記1の所為は,被害者ことに刑法62条1項,240条後段に,原判決か認定した原判示第4の所為は,死体ことに 刑法60条,190条に,それそれ該当するところ,いすれも1個の 行為か3個の罪名に触れる場合てあるから,当裁判所の認定した所為 は,刑法54条1項前段,10条により1罪として犯情の最も重いE に対する強盗殺人幇助罪の刑て処断し,原判示第4の所為は,犯情の 軽重の差か認め難いのて刑法10条によりいすれか重いかを決するこ とはてきす,刑法54条1項前段により1罪として死体遺棄罪の刑て 処断し,上記強盗殺人幇助罪について所定刑中無期懲役刑を選択し, 同罪は従犯てあるから,刑法63条,68条2号,14条1項により 法律上の減軽をし,以上は刑法45条前段の併合罪てあるから,刑法 47条本文,10条により重い強盗殺人幇助罪の刑に刑法14条2項 の制限内て法定の加重をした刑期の範囲内て,被告人を懲役18年に 処し,刑法21条を適用して,原審における未決勾留日数中630日 をその刑に算入し,原審及ひ当審における訴訟費用は刑訴法181条 1項たたし書を適用してこれを被告人に負担させないこととする。

5 量刑の理由
(1) 本件は,上記1のとおりの被害者3名に対する強盗殺人幇助と,被告人か,共犯者3名と共謀の上,強盗殺人の犯跡隠蔽のため,被 害者3名の遺体を遺棄しようと企て,3月24日午前9時40分こ ろから午前10時30分ころまての間,D方において,各遺体をハ ックに押し入れた上,自動車2台のトランク及ひ後部座席に押し込 み,同日午前11時15分ころ,被告人,A及ひCにおいて,長野 市内の倉庫内て,各遺体を貨物自動車後部荷台に積み替え,被告人 とAか,翌25日朝,愛知県西尾市内の資材置場まて運ひ,そのこ ろから同日午後1時30分ころまての間,同所において,盛り土の 斜面に穴を掘って各遺体を順次入れ,覆土して押し固めて遺棄した という事案てある。(2) 量刑の中心となる強盗殺人幇助をみると,正犯者らの犯行は, 同一機会に3名もの尊い命を奪い,約416万円の多額の現金を強 取した極めて重大な犯行てある。FはEに対する強盗殺人の障害に なるという理不尽な理由て巻き添えとなり,D親子も自宅て睡眠中 に襲われて落命しており,無念さは甚大と察せられる。その犯行態 様は,無防備な被害者らに対し,いきなり首にローフを掛け,二人 又は三人かかりて執拗に絞め上けた,冷酷かつ非情なものてある。被告人の幇助行為をみると,Aから協力を持ちかけられて報酬欲 しさに遺体の運搬保管を引き受け,AからEの殺害方法を相談され ると,睡眠導入剤の使用を提案して手持ちの錠剤を提供し,遺体を 入れるトラム缶を積んた普通貨物自動車て愛知県から殺害現場付近 まて臨場し,正犯者らか殺害等をしている間はその場に待機するな

としている。このように,被告人は,犯行の計画段階から,首謀者 てあるAの依頼や相談に応して強盗殺人の計画に関与し,これを遂 行する上て重要な行為に及んて完遂に寄与しており,正犯者らの犯 行を容易にした程度は高いから,従犯の中ても責任の重い犯行とい うへきてある。また,死体遺棄についても,報酬欲しさに及んた利欲的犯行てあ り,その態様も死者の尊厳に思いを致さない蛮行てある上,報酬と して200万円を得ており,犯情は甚た悪質てある。本件各犯行により遺族の受けた衝撃や悲しみは極めて大きく,正 犯者らと同様に被告人にも厳しい処罰を望んている。さらに,本件 か社会に及ほした影響や衝撃も大きいものかある。(3) 弁護人は,強盗殺人幇助について,正犯者らか,金品目当てて はなく,D親子による理不尽な扱いから解放されるために強盗殺人 に及んた点は,属人的な犯行動機にととまらす本件の発生原因とい う面も有しており,正犯行為の違法性にも影響する重要な量刑事情 てあるから,被告人の行為の違法性を検討する上ても十分に考慮す るへきてある旨主張する。確かに,正犯者らは,D親子から暴力的 な扱いを受けたり生活や行動を束縛されたりして,思い悩み,耐え 難い心境になるとともに,怒りや恨みの気持ちから強盗殺人に及ん た面かあることは否定てきない。そうすると,被告人の量刑判断に おいても,このような正犯者らとD親子の関係をある程度考慮に入 れる必要はある。しかしなから,被告人自身はD親子との関係か希 薄て何ら理不尽な扱いを受けていたものてはなく,利欲的な動機て 犯行に関与し,強取金から多額の報酬を得ているのてあるから,所

論指摘の点を量刑上大きく考慮することは相当てない。
 また,弁護人は,正犯者らによる犯行計画は極めて杜撰て場当た り的てあったと主張する。確かに,Aらか,犯行前日からD親子の 殺害の機会を窺っていたか実行てきす,Eから夜食を求められて睡 眠導入剤入りの雑炊を食へさせたか殺害に及はないまま朝を迎え, Eか朝になっても目覚めないことに不審を抱いたFをも急きょ殺害することにし,Cを呼ひ出して犯行に及んたという経緯に照らせは, 綿密な計画に基つく犯行とはいい難く,やや場当たり的に実行され た面かあることは否定てきない。しかし,約1か月前からAを中心 に殺害方法や遺体の処分方法か話し合われ,犯行に使用する睡眠導 入剤,ローフ,トラム缶等を準備し,犯行予定日に被告人か愛知県 から長野県に赴いて待機していたという経緯を全体としてみた場合 には,計画性かないとはいえない。(4) 以上のとおり,本件各犯行の罪質,正犯者らによる各強盗殺人 の結果の重大性,被告人の幇助行為の重要性,死体遺棄の動機や態 様の悪質性,さらには遺族の処罰感情や社会に与えた影響等に鑑み ると,被告人の刑事責任は重大というほかない。他方て,強盗殺人については幇助にととまるものてあり,その態 様も,いすれもAからの依頼や相談に応したものてあって,特に, Fに対する強盗殺人幇助については,必すしも状況を十分に把握し ているとはいい難い中てAの指示に従った面かあること,また,正 犯者らの行為についても,上記のような正犯者らとD親子の関係に 起因するものてあって,金品奪取を目的とした典型的な強盗殺人と は異なることなとの事情か存する。さらに,被告人か原審段階て遺

族に対して謝罪文を作成するなとして謝罪の気持ちを表すとともに 被害者らの冥福を祈っており,原判決後,更に反省を深めているこ と,本件各犯行により得た報酬金200万円の返還について原判決 後に被害者側と示談し,家族の協力を得て準備した21万円をその 分割金として支払い,当審公判において今後も誠実に支払う旨約束 していること,高齢の母か原審及ひ当審公判に出廷して被告人の身 を案しるとともに被害弁償に努める旨述へていること,前科かない ことなとの酌むへき事情も認められる。そこて,これらの事情を考慮し,強盗殺人幇助罪について無期懲 役刑を選択した上て,従犯による法律上の減軽をした刑期の上限か ら更に一定の刑を減して,被告人を懲役18年に処するのか相当て あると判断する。(裁判長裁判官 村瀬 均 裁判官 河本雅也 裁判官 池田知史)
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