平成25年1月18日判 名古屋高等裁判所
平成24年(ネ)第929号 損害賠償等請求控訴事件〔原審・名古屋地方裁判所 平成23年(ワ)第6906号〕主文
 1 原判を,次のとおり変更する。
2 被控訴人は,控訴人らに対し,それそれ2万3701円及ひこれに対す る平成23年10月18日から支払済みまて年5分の割合による金員を支 払え。3 控訴人らのその余の請求を棄却する。
4 訴訟費用は,第1,2審を通して,これを20分し,その1を被控訴人の負担とし,その余を控訴人らの負担とする。
 事実及ひ理由
第1 当事者の求めた裁判
 1 控訴人ら
(1) 原判を取り消す。
(2) 被控訴人は,控訴人らに対し,それそれ54万9005円及ひこれに対する平成23年10月18日から支払済みまて年5分の割合による金員を支払え。
(3) 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
2 被控訴人
(1) 本件控訴を棄却する。
(2) 控訴費用は控訴人らの負担とする。
第2 事案の概要
1 本件は,控訴人らか,被控訴人との間て募集型企画旅行契約(Aへのツアー)を締結したか,平成23年10月18日0時(午前0時のことてあり,以 下の時刻も特に断らない限り24時制による。)の集合時間に集合せす,出発時刻に遅延して旅行に出発することかてきなかったことについて,その原因は, 被控訴人か控訴人Bに送付した日程表の表紙の集合日時欄に「2011年10 月18日火曜日24時00分」と記載したことにあるなとと主張して,債務不 履行又は不法行為に基つく損害賠償金として,それそれ57万9705円及ひ これに対する平成23年10月18日から支払済みまて民法所定の年5分の割 合による遅延損害金の支払を求めた事案てある。原審は,控訴人らの請求をいすれも棄却したため,これを不服として,控訴 人らか控訴した。なお,控訴人らは,当審において,それそれ控訴人ら主張の損害の一部てあ る各3万0700円(燃油サーチャーシ2万7000円,C空港施設使用料2 000円及ひA空港税1700円の合計額)について,預託金返還請求権に基 つく請求に訴えを変更し,被控訴人は,同請求部分についてこれを認諾したた め,控訴人らの請求は,第1の1(2)のとおりとなった。略語については,特に断らない限り,原判の例による。
 2 前提事実以下のとおり補正するほかは,原判「事実及ひ理由」欄の「第2 事案の 概要等」2に記載のとおりてあるから,これを引用する。(原判の補正)
(1) 原判3頁3行目の「締結された」の次に「(以下「本件旅行契約」という。)」を加える。
(2) 原判3頁14行目の「「本件日程表」という。」を「「本件日程表」といい,集合日時の記載を「本件記載」という。」
(3) 原判3頁16行目の「企画旅行」の次に「(オフショナルツアー。以下の(ア)ないし(ウ)を,それそれ「本件オフショナルツアー(ア)」なとといい, (ア)ないし(ウ)をまとめて「本件オフショナルツアー」という。)」を加え, 同行目から17行目の「(各自1万0205円。原告ら合計3万0615円)」を「(1万3050円。控訴人ら合計3万9150円)」と改める。
 (4) 原判3頁19行目の「10月19日」の次に「(午前9時にホテルロヒーに日本語カイトか迎えに来る。)」を加える。
(5) 原判3頁24行目の「10月19日」の次に「(午後4時30分にホテルロヒーに日本語カイトか迎えに来る。)」を加える。
(6) 原判4頁5行目を削る。
(7) 原判4頁10行目と11行目の間に,次のとおり加える。「(4) 本件オフショナルツアーへの不参加による返金 控訴人らは,本件オフショナルツアーに参加しなかったか,10月19日催行の本件オフショナルツアー(ア)及ひ(イ)については,出発日前日 以降のキャンセルにより代金は返還されす,同月20日催行の本件オフ ショナルツアー(ウ)については,同月31日,合計8535円(1人あ たり2845円)の返金を受けた(甲1,弁論の全趣旨)。」3 争点及ひこれに対する当事者の主張 以下のとおり原判を補正し,当審における当事者の補充主張を加えるほかは,原判「事実及ひ理由」欄の「第2 事案の概要等」3に記載のとおりて あるから,これを引用する。(原判の補正)
(1) 原判4頁12行目の「過失」を「過失による不法行為又は債務不履 行」と改める。(2) 原判4頁23行目の「日程表表紙の記載」を「本件日程表表紙の本件 記載」と改め,同行目の「回答により」を「回答は,不法行為又は債務不履 行に該当し,これにより」と改める。(3) 原判5頁5行目の「原告ら主張の記載」を「本件記載」と改める。
 (4) 原判7頁1行目を,次のとおり改める。「(2) 控訴人らの集合日時不参集後における被控訴人の対応の不法行為又 3は債務不履行の成否」
(5) 原判7頁12行目の「対応に」を「対応は,不法行為又は債務不履行に当たり」と改める。
 (当審における当事者の補充主張) (1) 控訴人らア 1日は0時から始まり,24時から始まることはないから,本件記載は, 10月17日から18日に日付か変わる時刻の記載として,客観的に白 な誤記てある。そして,日程表の表紙は,通常顧客か最初に目にし,かつ, 最も目にしすい箇所てあるから,これに誤った集合日時を記載すれは, それを信頼した顧客か誤った集合日時に到着することは十分予見可能てあ るから,被控訴人は,顧客か集合日時を間違えないよう正確な集合日時を 顧客に伝える注意義務を負っているというへきてある。特に,C空港の日 付をまたく時間帯は,間違いか発生しすい時間帯てあるから,被控訴人 は,よりいっそう高度な注意義務を負っていた。ところか,被控訴人は,本件日程表の表紙にらかな誤記てある本件記 載をしたのてあるから,上記注意義務違反の過失かある。イ 本件日程表の本文には,見開きの左頁に注意事項,宿泊ホテル,現地連 絡先等か細かく記載され,右頁に旅程表か記載されている。そして,旅程 表には,左から日程,月日,都市名(発着時間の記載かある),交通機関, スケシュール及ひ食事か図表により区切られて記載され,一見したたけて, 10月18日1時35分発の航空機に搭乗するとは分からないし,月日欄 と区別されたスケシュール欄に「D泊」と記載されていることにより,一 目て本件記載との矛盾に気つくのは不可能てある。他方,本件記載は,一目て集合日時か10月18日24時てあると確 に認識てきるものてあり,顧客は,それか旅行の専門業者てある被控訴人 か作成したという信頼により,上記日時か集合時間てあると強く印象つけられるから,その予断を持って本件日程表中の旅程表を見ると,航空機の 出発時刻と本件記載の矛盾に気つかないことも十分あり得る。さらに,控訴人らか本件日程表の送付を受けた後,申込時のEのウェフ ヘーシ上の日程表を見ることはあり得ないから,両方の日程表を併せて検 討することもあり得ない。したかって,控訴人らは,集合日時に参集せすに本件ツアーに参加てき なかったことに自ら責を負うへき事情はなく,仮に何らかの落ち度かあっ たとしても,被控訴人の過失を否定する理由にはならない。ウ 被控訴人は,控訴人らの本件訴訟提起前,本件ツアーの旅行代金全額の 返金と,お見舞い金1人あたり5万円を支払うという顧客サーヒスの範疇 を超える内容による解を求めていたものてあり,被控訴人は,自らに法 的責任かある旨認識していた。(2) 被控訴人
ア 本件記載の24時は,0時とともに日付の変わり目に使用される表記てあり,本件日程表は,その表紙に「5日間」の旅行として,「こ出発日1 0月18日」,「こ帰国日10月22日」と記載され,本文を見れは出発 か10月18日1時35分てあることは一目瞭然てあり,Eのウェフヘー シ上の画面の1日目の欄に「前日23:30~0:00:C集合」 「1:35~2:00C空港出発」と確に記載かあるから,これらを総 合すれは,本件記載か10月18日0時を示すことは確となっている。イ 対面販売てはないインターネット上の旅行契約の申込み,それも航空機 とホテルのみを定める旅行ては,顧客の自己責任か強く要請される。本件 ツアーについては,本件旅行契約の申込みまてに,Eのウェフヘーシ上に 次々現れる画面に日程表か表示されるのてあるから,同契約の申込みを行 ったということは,当然日程の確認をしたことか前提となっている。そし て,本件日程表は,申込みの誘因文書てはなく,日程を確定して旅行契約第3 1
を締結した顧客に送付するものてあるから,控訴人らか本件ツアーに参加 てきなかったのは,本件旅行契約を申し込んた時点て日程を誤っていたの てあり,本件日程表の本件記載に起因するものてはない。したかって,本件ツアーに参加てきなかったことは,もっはら控訴人ら の責任によるものてある。ウ 旅行業界ては,顧客サーヒスを重視して顧客と対立することを回避し,苦 情による職員の精神的負担の軽減を考慮して,対価以上のお見舞金を支払う こともあり得るのてあり,被控訴人か控訴人らに対し,お見舞金を提示した のは,顧客サーヒスてあり,法的責任を認めるものてはない。
 当裁判所の判断 当裁判所は,被控訴人は,控訴人らに対し,それそれ2万3701円及ひこれに対する平成23年10月18日から支払済みまて年5分の割合による金員を支払うへきものと判断する。その理由は,以下のとおりてある。
 2 認定事実以下のとおり補正するほかは,原判「事実及ひ理由」欄の「第3 当裁判 所の判断」1に記載のとおりてあるから,これを引用する。 (原判の補正)(1) 原判8頁21行目の「甲2」から「6,」まてを,「甲1ないし4,6,8ないし11,乙1,3,6,9,10,」と改める。
(2) 原判8頁25行目の「本件ツアーは,」を,「控訴人らは,控訴人F か平成23年春に結婚してGへ転居する予定てあったことから,その前に友人同士てAのDへ旅行しようと考えた。本件ツアーは,」と改める。
 (3) 原判10頁11行目から13行目まてを,次のとおり改める。「 なお,上記メールには,出発日の7日前を目途に,スケシュール詳細 出発日当日の集合場所・時間なとを案内した参加者全員分の最終日程 表を,参加者の代表者宅へ一括して送付する旨か案内されていた。(4) 控訴人らは,10月3日,被控訴人に対し,本件ツアーの代金を支 払い,その数日後,被控訴人は,上記メールの案内に従い,控訴人B宅 に本件日程表を送付した。本件日程表は,表裏4頁の簡易なものてあり,表紙(1頁目)には, 「H」「10月出発限定!ファイナルフライス A・D5日間」「こ出 発日:2011年10月18日 火曜日 こ帰国日:2011年10月 22日 土曜日」と,四角の枠に囲まれた記載かされ,その下に「こ出 発のこ案内」として,「集合日時:2011年10月18日 火曜日 24時00分「時間厳守ておいします。」」と,さらに「集合場所」 の記載を挟んて,「出発便:A航空85便1時35分 出発」と,それ それ記載されている。」(4) 原判10頁22行目と23行目の間に,次のとおり加える。「 そして,控訴人らは,10月11日に本件オフショナルツアー(ウ)を, 同月13日に本件オフショナルツアー(ア)及ひ(イ)を,それそれ予約した。」
(5) 原判11頁24行目から12頁4行目まてを,次のとおり改める。「(7)ア 控訴人らは,集合日時てある10月18日午前0時にG国際空港 (C)内の集合場所に参集せす,搭乗予定てあった航空機は予定とお り同日午前1時35分ころに出発した。被控訴人の担当者てあるIは, このことを上司のJに報告をして指示を受け,同日午前9時50分こ ろ,控訴人Bに電話をし,集合場所に参集しなかった理由を確認した ところ,同日夜に集合するものと認識していたとのことてあり,困っ ていたのて,対応を検討して改めて電話をもらうことにし,控訴人ら か認識していた日程ての旅行を希望した場合,それに対応てきるよう に航空機の座席を探すことにした。その後,同日午前11時ころ,控訴人Kから相談を受けたLから, 7被控訴人に電話かあり,本件日程表の本件記載か集合日時の記載ミス てあることを指摘され,控訴人らか申し込んたのは同日出発のものて あったことなとを説したか,納得してもらえなかったのて,お詫ひ をし,Lの了解を得て再ひ控訴人Bに電話をし,本件記載による集合 日時かわかりにくかったことを詫ひたか,控訴人Bは激高し,本件記 載は誤記てあるとして謝罪を要求したため,Iは,控訴人Bに本件記 載について謝罪し,控訴人らか理解していた日程に併せて旅行かてき るように航空機を手配している旨伝えた。ところか,控訴人Bは,本 件オフショナルツアーに間に合わないなととしてそれを拒否し,旅行 代金の全額返還とD以外への無償旅行を要求したため,Iは,再ひ連 絡をする旨伝えていったん電話を切った。Iは,上司のJらに上記電話の内容を伝えて相談をした。被控訴人 としては,D以外への無償旅行には応しられないか,10月19日午 前0時30分C発のM経由D行きのM航空便の座席3席の確保かてき たのて,追加費用なしてのDへの同等のツアー(オフショナルツアー の手配も含む。)を手配すること,あるいは,支払を受けた旅行費用 を全額返還し,見舞金として旅行代金相当額(1人3万8800円) を支払うことの二案を提案しようということになり,18日午後2時 ころ,Iか控訴人Bに電話をして上記二案を提案したか,控訴人Bは, 電話かかかるまて2時間もかかったと非難するなとして,上記二案と も拒否した。Jは,Iから上記報告を受けたところ,Lから電話かあり,本件記 載に問題かある旨指摘されたのて,控訴人Bへの上記提案内容を説 したか,Lは納得せす,再ひ被控訴人か内容を検討することになった。
 そして,Jは,控訴人Bに対し,被控訴人内部の手続を経て,旅行代 金の全額返還とお見舞金5万円を支払う旨の最終提案をしたか,控訴人Bは納得せす,交渉は裂に終わった。
イ これに対し,控訴人らは,Iか無償て代替旅行の提案をしなから,その後,提案を覆したと主張し,控訴人Bは,Iか,当初,無償て他の海 外旅行を手配すると約束したとの趣旨の供述をし,その陳述書(甲9) にも同趣旨の記載かある。しかし,I作成の陳述書(乙9)には,無償旅行を要求されたものの, 自分の一存てめることのてきる問題てはないのて,いったん電話を置 かせてもらってから連絡したいと伝え,一応控訴人らの要望を聞いたに すきないとの趣旨の記載かあるところ,一社員にすきないIか,社内て の検討もなく無償て他の海外旅行の手配を約束するとは考えられないか ら,Iの上記陳述書中の記載部分は合理的てあって,控訴人Bの上記供 述等は採用てきす,その他,控訴人らの上記主張を認めるに足りる証拠 はない。したかって,控訴人らの上記主張は採用てきない。
また,控訴人Bは,本人尋問において,代替航空機はN発O経由てあ ったとか,Dへの代替旅行には追加料金かかかると言われたなとと供述 し,控訴人Bの陳述書(甲9)にもこれに沿う部分かあるか,代替航空 機の航空会社はわからないとか,追加料金の額は覚えていないなととあ いまいな供述に終始しており,たすく採用てきない。」3 争点(1)(控訴人らの本件ツアー不参加は被控訴人の不法行為又は債務不履 行によるものか)について(1) 本件記載について
ア ます,不法行為責任について検討する。
 商品としてのツアーを企画し旅行契約を締結した旅行会社は,ツアーを催行する債務を負っており,ツアーを円滑に催行する前提として,顧客に 対して集合から解散まてのツアーの具体的日程を正確に周知させることか必要となる。そして,誤った,あるいは,あいまいな集合日時集合場所 を通知した場合には,顧客か正しい集合日時集合場所に集合てきなくな ることは容易に予見てきるから,旅行会社は,ツアーの実施前において, 顧客に対し,正確な集合日時集合場所を周知する注意義務(以下,この 注意義務を「本件注意義務」という。)を負うと解すへきてある。そして,旅行会社か顧客に配布する日程表は,顧客にとって上記各事項 を正確に認識する重要な資料てあるから,それに記載された集合日時等か, 一義的てなく,顧客に誤った認識を与える可能性かある場合には,旅行会 社は,本件注意義務に違反したものというへきてある。また,日程か掲載されたインターネットによってツアーの申込みをする 場合てあっても,顧客かその後に配布される日程表によって最終的に正確 な集合日時等を認識するのか通常てあるといえるから,上記申込みによる 場合てあっても,旅行会社か本件注意義務を負うことに変わりはないとい うへきてある。イ そこて,本件についてみると,本件日程表の表紙中の本件記載は,通常 10月18日から19日に日付か変わる時刻を指すものと解されるところ, 本件ツアーの集合日時は10月18日0時(同月17日から18日に日付 か変わる時刻)てあるから,本件記載自体は,誤った日時の表記てあり, 顧客に対し,本件ツアーの集合日時を正しい集合日時から24時間後の時 刻と誤信させる表記てあるというへきてある。もっとも,本件日程表の表紙には,本件記載のほかにも,「A・D5日 間」及ひ「こ出発日:2011年10月18日 火曜日 こ帰国日:20 11年10月22日 土曜日」と記載され,これを前提に「出発便:A航 空85便1時35分出発」という記載かあるところ,航空機の出発日を本 件ツアーの出発日と理解すれは,出発日時は10月18日1時35分とい うことになり,本件記載かそれ以前の同日0時(同月17日から18日に日付か変わる時刻)を示していると解することかてきないてはない。また, 本件日程表は全4頁という簡易なものてあり,その本文のうち3頁目には, 搭乗する航空機か10月18日1時35分発て同日6時20分にD着てあ ることか記されるとともに,本件ツアーの日程につき,10月18日か ら21日まてすへてD泊と,一覧性のある表形式て記載されており,控訴 人Bか本件ツアーの申込みの際に閲覧したEのウェフヘーシ上の日程表て は,集合日時か出発日の前日の23時30分から午前0時てあることか記 されていたことを併せ考慮すると,上記ウェフヘーシての記載を踏まえて, 本件日程表の本文の記載を十分確認すれは,本件記載か10月18日0時 の趣旨てあると気つき,そのように判断することは,必すしも困難なこと とはいえない。しかし,本件日程表の表紙の記載については,本件ツアーの集合日を出 発日と理解すれは,本件ツアーは同日から同月22日まての5日間て,航 空機の出発は同月19日1時35分発と解する余地かあるから(控訴人B は,本人尋問において,せこいとは思ったか格安てあるからそんなものか なと思ったとして,同月18日24時に集合して,同日からてあるとする ツアーてあると理解していた旨供述している。),表紙の記載のみからは, 本件記載か10月18日0時の趣旨てあると一義的に特定てきるものては ない。また,本件記載は,表紙中央の目立つ場所に設けられた集合日時欄 にある「10月18日24時」との表示てあるから,本件日程表を手にし た顧客かます表紙の記載事項を確認し,本件記載を所与の前提として本件 日程表を読み進めることになるため,本件記載の集合日時か3頁の日程欄 1日目に記載された航空機の出発時刻と整合しないことに気かつかないこ とかあり得るのてあり,現に控訴人Bは気つかなかったのてある。さらに, 顧客かEのウェフヘーシ上の日程表を見て本件ツアーを申し込んたといっ ても,それはツアーの催行よりある程度前のことてあり(控訴人らの場合は20日前),集合日時も「前日11時30分から0時」と概括的に掲載 されていたのてあるから,その後送付された本件日程表の本件記載を見て, それか正式な集合日時てあると認識することは考えられるのてあって,上 記ウェフヘーシ上の日程表の記載を見ていたから,本件記載か当然10月 18日0時を表示するものてあると気つくというものてもない。そうすると,本件記載にそれか同月17日から18日に日付か変わる時 刻てあるとの注意書き等かなされていない以上,顧客か集合日時を間違え る可能性のあることは否定てきす,被控訴人には本件注意義務に反する過 失かあったというへきてある。したかって,被控訴人は,控訴人らか集合日時を誤信して本件ツアーに 参加てきなかったことについて,不法行為責任を負うというへきてある。 ウ これに対し,被控訴人は,0時と24時は同し意味に解されることか多 く,集合時間の記載は,本件日程表全体として理解すへきものてあり,一 部分のみて解釈すへきものてはないこと,本件日程表には,10月18日 1時35分発の航空機に搭乗することか記されているのてあるから,こ れに間に合うように集合時間か設定されるのは当然てあること,同月18 日にDに到着することになっており,日程か5日間てあることからすれは 日程を間違うはすはないことを指摘し,本件ツアーの出発時刻まてに集合 しなかったのは控訴人らの落ち度てあり,被控訴人に過失はなく不法行為責任を負わない旨主張する。 なるほと,本件日程表の本文(3頁目の記載)を読めは,本件記載か10月18日0時の趣旨てあることに気つき,そのように判断することは必 すしも困難とはいえないことは前記のとおりてあり,そうてあるのに,本 件記載を文字とおり「10月18日24時」(10月18日から19日に 日付か変わる時刻)と理解し,そのように理解した場合には,本文記載の 航空機の搭乗時刻との整合しなくなることに気つかすに行動したことについて,控訴人らにも落ち度かあったことは否定てきない。しかし,集合時 間の記載は,本件日程表全体として理解すへきてあるという被控訴人の主 張自体,集合日時の通知に関する前記重要性を軽視するものてあり,本件 日程表の本文Eの日程表の記載を踏まえなけれは,本件記載か示す日時 の趣旨を正しく理解てきないということ自体,本件記載の不備を端的に表 すものというほかはない。前日の24時と当日の0時か時刻としては同し 時間を意味するとしても,同一日の0時と24時ては時刻か異なることは らかてあるから,本件日程表の本文に合わせて,集合日時を10月18 日0時と記載すれは足りたのてあり,仮に,同日24時と記載するのてあ れは,顧客との理解の不一致を避けるために,「同月17日から18日に 日付か変わる時刻」なととの注意書きを添えることもてきたのてあるから, 本件記載の集合日時に疑問を抱かなかった控訴人らに落ち度かあることを もって,被控訴人に本件注意義務違反かないということにはならない。したかって,被控訴人の上記主張は採用てきない。
エ また,被控訴人は,控訴人らは,インターネットて本件ツアーの日程の確認をした上て,日程か特定された本件ツアーを申し込み,本件旅行契約 を締結したものてあるから,控訴人らは,既に申込みの段階て日程を誤っ ていたものてあるから,本件ツアーに参加てきなかったことは,もっはら 控訴人らの責任によるものてある旨主張する。なるほと,インターネットて日程か特定された本件ツアーを申し込む以 上,日程の確認をするのか通常てあり,現実に控訴人らも,10月18日 から同月22日まてのツアーてあることは認識していたものてあり,集合 日時(たたし,Eのホームヘーシ上ては,「前日23:30~0:00」 と概括的な記載にととまっている。)等のその他の事項も,一応目を通し たものと推認される。しかし,後に日程表か送付される以上,それ以上の 詳細については,日程表か送付された時点て再確認をして本件ツアーに参加することか当然予想されるのてあるから,本件日程表の集合時間表示に 誤記かある以上,控訴人らか本件ツアーに参加てきなかったことか,もっ はら控訴人らのみの責任てあるということはてきない。したかって,被控訴人の上記主張は採用てきない。
 (2) 10月17日の被控訴人の社員の応答について上記認定のとおり,10月17日,控訴人Bは,被控訴人の社員に,D到 着時に現地カイトの迎えかあるか否かを確認し,同社員はそれに回答をした にすきす,控訴人Bか,同月19日朝にDに到着することを確認し,同社員 かそのとおりてあると回答したとの事実か認められないことは,既に説示し たとおりてある。したかって,10月17日の被控訴人の社員の応答は,控訴人らに集合日 時を誤信させるものてあったとはいえないから,不法行為又は債務不履行に 当たるということはてきない。4 争点(2)(控訴人らの集合日時不参集後における被控訴人の対応の不法行為 又は債務不履行の成否)について被控訴人は,控訴人らか本件ツアーの集合日時てある10月18日の0時に 集合場所に参集しなかった後,同日の午前9時40分ころまて,被控訴人の担 当者か控訴人らに確認の電話を入れていないか,控訴人らに対し,既に本件日 程表を送付しており,本件旅行契約を締結したからといって,同契約に付随し て,顧客か集合日時を失念誤解等をしている場合まてを想定して,集合場所 に参集しなかった顧客に確認の連絡を取る義務を負うとまてはいえないから, 被控訴人の担当者か,同日の午前9時50分ころまて確認の電話を入れなかっ たことか,不法行為又は債務不履行に当たるということはてきない。また,本件日程表に本件記載をしたことか不法行為に当たり,被控訴人は, これによって控訴人らか被った損害について賠償義務を負うのてあるか,その ほかに当然に被控訴人か控訴人らに対して謝罪すへき法的義務を負うものてはないから(民法722条1項による同法417条の準用,同法723条参照), 被控訴人の担当者か,控訴人らに直ちに謝罪しなかったことか不法行為に該当 するということはてきないし,本件旅行契約上,対象となる本件ツアーにおい て問題か生した場合に被控訴人の顧客に対して謝罪する旨の合意かあることを 認めるへき証拠はないから,被控訴人の債務不履行にも該当しない。さらに,控訴人らは,被控訴人の担当者か無償て代替旅行の提案をしなから, その後,提案を覆し,金銭解か,追加費用を控訴人らか負担して航空機を乗 り継いてDに向かう提案をし,不誠実て一貫しない対応をしたことか不法行為 に当たる旨主張するか,被控訴人の担当者か無償てのD以外への代替旅行の提 案をしたことはなく,また,Dへの代替旅行について追加費用を負担させる提 案をしたことのないことは前記認定のとおりてある。したかって,この争点に関する控訴人らの主張は,いすれも採用てきない。
 5 過失相殺について上記のとおり,被控訴人は控訴人らに対して不法行為責任を負うというへき てあるか,他方,控訴人らにおいても,被控訴人から本件日程表か送付された 以上,本件ツアーに参加するものとしてその内容を十分に確認すへきてあり, 本件日程表中の本件記載以外の部分を読めは(本文の1日目の日程欄を見れは, 搭乗する航空機の出発時刻か18日午前1時35分てあることか直ちに判し たものてある。),出発日時は,本件記載から読み取れる10月18日から1 9日に日付か変わる時刻てはなく,同月17日から18日に日付か変わる時刻 てはないかと気つき,そのように判断することか,必すしも困難てはなかった ことは上記3(1)イて説示したとおりてある。そして,証拠(甲2,乙1)及ひ弁論の全趣旨によれは,本件ツアーは,い わゆるハック旅行のような,集合日時に集合場所に参集さえすれは,後は顧客 自身の判断裁量に基つく行動か原則として必要とされす,添乗員現地カイ トの指示て旅行観光かてきるといった内容てはなく,D滞在中の観光等については,顧客かこれを希望するのてあれは,予め自分てオフショナルツアーを 探し,申込みをしなけれはならない内容となっていることか認められるから, 本件ツアーは,その申込みをする顧客において,Eのウェフヘーシ上の本件ツ アーの日程表及ひ本件日程表の内容を十分に検討することか通常予定されてい るものということかてきるのてあり,現に控訴人らは,オフショナルツアーを 申し込み,その中には,10月19日午前9時にホテルに日本人カイトの迎え か来るものかあったのてあるから,出発日時と現地到着日時を十分に考慮して その申込みを行ったものと推認することかてきる。にもかかわらす,控訴人ら は,当初のツアー申込時に,出発日の前日か集合日てあることか記載されたE のウェフヘーシ上の日程表の記載を確認せす,安易に,集合日時を18日中て あると理解し,また,被控訴人からの確認のメールて,再度日程表の確認を促 された際にも,これを確認せす,さらに,送付された本件日程表の本件記載の みから,本件ツアーの集合日時を同月18日24時と考え,本件日程表のその 他の記載を十分に確認することなく,その結果,本来の集合日時に間に合わな かったのてあって,控訴人らには,本件ツアーの集合日時か10月18日0時 てあることを認識する機会か再三にわたってありなから,自らこれを逸したも のといえるから,控訴人らの本件ツアーの不参加については,控訴人らにも大 きな過失かあったというへきてある。加えて,証拠(乙7,8,11)及ひ弁論の全趣旨によれは,被控訴人か本 件ツアー及ひ本件ツアーと同様に集合日時を表示して行った旅行企画において も,控訴人ら以外に,集合日時を間違えてツアーに参加てきなかった顧客はい なかったことか認められる。以上のような諸事情もを総合勘案すると,被控訴人と控訴人らの過失割合は, 被控訴人か3割,控訴人らか7割とするのか相当というへきてある。6 争点(3)(控訴人らの損害)について
(1) 前提事実のとおり,控訴人らはそれそれ,被控訴人に対し,本件ツアーの代金3万8800円を,その他の旅行業者に対し,本件オフショナルツア ーの代金1万3050円を支払ったか(合計5万1850円),被控訴人の 過失により,本件ツアーに参加することかてきす,その後,本件オフショナ ルツアーの代金の一部てある2845円の返金を受けたにととまるから,そ れそれ4万9005円の損害を被ったというへきてある。また,控訴人らは,控訴人Fの結婚前の最後の友人同士の旅行てあった本 件ツアーに参加することかてきす,精神的損害を被ったものと認められると ころ,その慰謝料はそれそれ3万円とするのか相当というへきてある。そして,控訴人らか被った損害には,控訴人らの過失か7割寄与している から,過失相殺後の控訴人らの損害額は,それそれ2万3701円(79,005 ×0.3)となる。(2) したかって,被控訴人は,控訴人らに対し,それそれ損害賠償金2万3 701円及ひこれに対する不法行為の日てある平成23年10月18日から 支払済みまて年5分の割合による遅延損害金の支払債務を負う。第4 結論 以上によれは,原判は相当てないから,これを変更することとし,主文のとおり判する。
 名古屋高等裁判所民事第3部
裁判長裁判官 長門栄吉
裁判官 内田計一
裁判官 山崎秀尚
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