主文
 1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
 事実及ひ理由
第1 当事者の求める裁判
 1 控訴人
(1) 原判を取り消す。
(2) 処分行政庁か平成22年3月31日付けてA株式会社に対してした道路占用許可処分(高建管第○号)のうち,高槻市α×及ひ同市β×-3を占用場所とする部分をいすれも取り消す。
 2 被控訴人
(1) 本案前の答弁
ア 原判を取り消す。
 イ 本件訴えを却下する。
(2) 本案についての答弁 本件控訴を棄却する。
第2 事案の概要
1 本件は,平成22年3月31日付けて処分行政庁かA株式会社(以下「A」という。)に対してカス管の埋設を目的とする道路占用を平成23年3月31 日まて許可する旨の処分(以下「本件許可処分」という。)をしたところ,占 用許可の対象とされた道路の一部に既にカス管を埋設している控訴人か,保安 協議を欠くこと等を理由として,本件許可処分のうち,控訴人か カス管を埋設している道路を対象とする部分の取消しを求めている事案てあ る。原審は,控訴人の請求を棄却したところ,控訴人はこれを不服として控訴し た。被控訴人は,当審において,原判後,本件許可処分の占用期間か終了した から訴えの利益か失われたとの主張を追加している。2 関連法令の定め,前提事実,争点,争点に関する当事者の主張は,次のとお り改めるほか,原判「第2 事案の概要」の1ないし4に記載のとおりてあ るから,これを引用する。(1) 3頁10行目「カス管埋設工事」の次に「(以下,そのための下記各許可処分を併せて「本件旧許可処分」という。)」を加える。
 (2) 4頁11行目末尾に続き,改行して,次のとおり加える。「オ 処分行政庁は,平成23年3月31日付けて,Aに対し,高槻市か管 理する道路(本件各道路を含む。)の占用につき,以下の内容の道路占 用許可処分(以下「本件新許可処分」という。)を一括して行った(乙 6)。占用目的 占用の場所 占用の期間 占用物件
カス管埋設(継続)
高槻市内一円 平成23年4月1日から平成24年3月31日まて カス管(但し,本件各道路以外の場所において新設されたカス管か新たに若干加わっている。)」
 3 当審における当事者の本案前の主張(1) 被控訴人 本件許可処分は,平成23年3月31日に占用期間か終了し,同日,占用期間を平成24年3月31日まてとする本件新許可処分かなされた。
 本件新許可処分は,本件許可処分と比へ,占用物件てあるカス管の長さか 異なっており,単に,期間を更新したものてはない。したかって,本件許可 処分か違法てあったとしても,そのことから当然に本件新許可処分か違法となるという論理必然の関係は認められない。 よって,本件許可処分の取消しを求める訴えは,その利益を欠き,不適法てある。 控訴人は,最高裁昭和43年12月24日判(民集22巻13号3254頁。以下「昭和43年最判」という。)を援用して,訴えの利益か失われ ない旨主張する。しかし,これは,テレヒションの解説に関し,同一周波数 を巡って競関係にある者か免許人の地位を得るために訴えたものてあり, 事案を異にする。(2) 控訴人 本件許可処分は,占用期間を平成23年3月31日まてとするものてあるか,その占用は,カス管を継続して埋設するためてあるから,本来,カスの 供給目的か継続する限り,継続占用することか予定されている。これを平成 23年3月31日まてとしたのは,処分行政庁か,道路占用許可処分を年度 単位て行っているためてあり,毎年,年度初めに占用期間を1年間延長更新 許可する扱いになっており,更新処分にほかならない。したかって,本件許可処分は,その占用期間の満了後も更新許可されるこ とか予定されており,かつ,その後の路占用許可処分はいすれも本件許可 処分を前提にその占用期間を延長するたけのものてあるから,本件許可処分 の占用期間か満了したからといって,本件許可処分の取消しを求める訴えの 利益か消滅するものてはない(昭和43年最判)。4 当審における控訴人の補充的主張
(1) 本件許可処分は,保安協議を経ておらす,違法てある。原審は,保安協議を経ることは,カス管埋設工事のために道路を占用する ことを許可する場合の要件てあって,工事完了後にカス管を継続して設置す るために道路を占用することを許可する場合の要件てはない旨判示する。しかしなから,法32条1項は,「物件を設け,継続して道路を使用しよ うとする」行為について占用許可を要するものとし,「継続して道路を使用 すること」を「物件を設けること」から分離して規定しておらす,占用許可申請書にも両者を区別せす,「工事実施の方法」を記載するよう定めている (同条2項)。また,高槻市における道路占用許可は,年度単位て行われて いるため,本件許可処分(継続)と,これに先立つ本件旧許可処分(新設) かなされているか,前者は,後者の占用期間を1年間延長する更新処分にほ かならす,実質的に1つの処分てある。したかって,道路占用許可の要件を新設の場合と継続の場合とて別意に解 することは不当てある。(2) 原判は,本件旧許可処分かなされた時点ては判していなかった本件 各道路の埋設物の状況処分後のAによるカス管埋設時の状況に基ついて, 本件許可処分の要件適合性(占用場所と構造)を判断しており,抗告訴訟の 審理構造に反している。また,被控訴人は,本件許可処分の際には,本件各道路の埋設物の状況に ついて何ら調査しておらす違法てある。(3) 占用の場所について
ア 本件各道路は,道路の幅員埋設状況を勘案すれは,雨水管,汚水管,電柱,複数のカス管を埋設することは,危険てあり,「他の占用物件と錯そうするおそれのない場所」に当たらない。
イ 原判は,法は,カス管か埋設されている道路に新たに別のカス管を埋設することを許容していると解するか,そのような根拠はない。
ウ 「他の占用物件と錯そうするおそれのない場所」を要件とするのは,占 用物件か錯そうすると改修工事等を行うに当たって複雑な作業を要し,他 の占用物件を毀損するおそれかあることから,そうした事態を防くためて もある。しかるところ,幅員か3.55メートルから4.8メートルてあ る本件各道路においては,地下埋設物件の維持管理・改修工事のための道 路占用スヘースの確保かそもそも難しい上に,複数のカス管かあれは,い すれのカス管からのカス漏れかか直ちに分からす,Aと控訴人の両方の緊急車両による作業を実施する必要かあるか,そのようなスヘースはない。
 (4) 構造についてア 原審は,控訴人所有のカス管とA所有のカス管は平行部て30センチメ ートル以上の離隔距離か確保され,交差部てもそれたけの距離か確保てき ない箇所については土嚢を挟んて配管されていることを理由にA所有のカ ス管か控訴人所有のカス管の構造に支障を及ほすものてはないと判示する か,維持管理緊急時には,慎重な作業を期待てきす,カス管の材質はP E管てあって容易に損傷し,損傷したときにはカス漏れを生する。したか って,今後の維持管理緊急作業時を考えれは,他の占用物件の構造に支 障かないとはいえないはすてある。イ 原審は,Aのカス管と電柱との関係についても,埋設物間の距離を具体 的に定めた法令は存しないとするか,実際には,カス管破損事故は極めて 多く,工事作業員の不注意かあっても,カス管か損傷されることかないよ うな離隔距離か確保される必要かある。本件は十分な距離か確保されてお らす,控訴人所有のカス管の構造に支障を及ほすものてある。第3 当裁判所の判断
1 本案前の主張について
被控訴人は,本件許可処分は,占用期間てある平成23年3月31日の経 過により,処分の効力か失われ,処分の取消しを求める訴えの利益かない旨 主張する。確かに,本件許可処分は,平成23年3月31日の経過により,効力を失 い,本件新許可処分は,占用期間を更新する旨の処分てはなく,改めて,平 成23年4月1日から平成24年3月31日まての占用を許可する処分てあ るから,形式上新たにされた許可処分てあって,単に期間を更新したものて はない。しかしなから,前提事実及ひ証拠(乙4,6)によれは,本件旧許 可処分,本件許可処分及ひ本件新許可処分は,いすれもAのカス管の埋設を目的とするものてあり,長期間にわたって道路を占用することを前提として いること,本件新許可処分は本件許可処分と比へて占用物件てあるカス管の 長さか若干増加しているか,これは,本件各道路部分以外の地区に新規に敷 設されたカス管分か増加しているたけてあって,その他の事項に変更はなく, 少なくとも本件各道路部分に係る処分については,実質的には占用期間か更 新されているに等しいことか認められる。したかって,本件許可処分におい て,道路の占用か1年間の短期間て終了するものとして,その期間内におい てのみの許可要件について判断したということはあり得す,道路の占用か相 当長期に及ふものてあり,その間,多数回占用許可処分か繰り返されること を前提として,許可要件について判断したものと推認てきる。このことは, 本件新許可処分についても同様てある。そうすると,本件許可処分について 違法事由かあることを理由として判によって取り消されれは,その事情は 本件新許可処分にも引き継かれ,行政庁は,その判によって,その後の許 可を取り消さなけれはならない拘束を受けるものと解される(行政事件訴訟 法33条1項)。よって,訴えの利益の観点からは,本件新許可処分は実質的には本件許可 処分を更新したものと解され,本件許可処分の取消を求める訴えの利益を認 めるのか相当てある。なお,被控訴人は,昭和43年最判は競関係にある当事者からの訴えの 場合てあり,本件とは事案を異にする旨主張するか,競関係てあることは 原告適格を基礎付ける事情てあると解されるから,被控訴人の主張は当たら ない。2 本案について 当裁判所も,本件許可処分は法及ひ施行令に違反せす,控訴人の請求は認められないと判断する。
その理由は,原判「第3 争点に対する判断」に記載のとおりてあるから,これを引用する。
 3 補足説
(1) 保安協議を経ていないことについて 法32条1項は,道路に,工作物,物件又は施設を設け,継続して道路を使用しようとする場合に,道路管理者の許可を要すると定めており,各 号て工作物等か列記されているから,本条は,工作物等を設けて道路を継 続使用する場合か予定されており,工作物等を設けることなく,継続して 道路を使用することを想定しているとは解されない。もっとも,工作物等には,ある程度の期間道路に設置し,その後は撤去 することか予定される物とその撤去時期を予定せすに継続的に工作物等を 設置して道路を占用することか予定される物かあると解されるから,同条 1項の「設け」には,「新たに設ける」場合と「継続して設置する」場合 か含まれると解される。しかるところ,同条2項5号は,「工事実施の方 法」を記載した申請書を提出することを求め,施行令13条6号は,これ を受けて,工事実施の方法に関する基準として,「カス管……か地下に設 けられていると認められる場所又はその付近を掘削する工事にあっては, 保安上の支障のない場合を除き,イ 試掘その他の方法により当該電線等 を確認した後に実施すること ロ 当該電線等の管理者との協議に基つき, 当該電線等の移設又は防護,工事の見回り又は立会いその他の保安上必要 な措置を講すること」を定めるか,このような保安協議等は,工作物等を 新たに設ける場合にのみ意味かあるのはらかてあり,本件のように,既 設のカス管を敷設した状態て道路の占用を継続する場合にまて,保安協議 等を経ることを要件としているとは解されない。そうすると,保安協議を欠くことを理由として,本件許可処分か違法て あるとの控訴人の主張は認められない。なお,控訴人は,本件許可処分か,これに先立つ,本件旧許可処分(新設)と,実質上1つの処分てある旨も主張するか,これらは,別個の処分てあって,控訴人の主張は採用てきない。
 (2) 要件適合性の判断資料について控訴人は,1被控訴人は,本件許可処分をする際,占用の場所及ひ構造 適合性について,要件適合性を調査していない,また,2原判は,処分 後,Aのカス管埋設工事によって判した事情に基ついて,占用場所構 造についての要件適合性を判断しており,不当てあると主張する。しかしなから,処分行政庁は,本件許可処分(及ひその前提となる本件 旧許可処分)を行うに当たり,Aから,道路の占用の目的,場所,工作物 の構造,工事実施の方法等を記載した申請書の提出を受けており(法32 条2項),それによって,本件道路の幅員か3.55メートルないし4. 8メートルてあること住宅街の一般的な市道てあること等の状況を確認 しているのてあるから,控訴人の主張は認められない。また,確かに,原判は,埋設工事の際のカス管の敷設状況(甲16, 20)をも資料として占用の場所構造か処分要件に適合していると判断 しているか,実際に,カス管か設置された後の状況をも資料として,処分 の違法性を判断することは何ら抗告訴訟の構造に反するものてはない。(3) 占用の場所について
ア 施行令10条2号は,法33条の道路の占用許可基準に関する占用の場所について,「イ 一般工作物等の種類又は道路の構造からみて,路 面をしはしは掘削し,又は他の占用物件と錯そうするおそれのない場所 てあること。ロ 保安上又は工事実施上の支障のない限り,他の占用物 件に接近していること。ハ 道路の構造又は地上にある占用物件に支障 のない限り,当該一般工作物等の頂部か地面に接近していること。」を 定めているところ,上記認定事実によれは,本件各道路は,幅員か3. 55メートルないし4.8メートルの住宅街にある一般的な市道てあることか認められ,これによると,本件各道路について,路面をしはしは 掘削するおそれ,他の占用物件と錯綜するおそれのない場所に当たる と判断した行政処分庁の判断か,法32条2項3号,1項,施行令10 条2号に反するとは認められない。イ 控訴人は,法か複数のカス管の敷設を許容していると解すへきてない と主張する。しかしなから,カス管を複数敷設することになることか, 他の占用物件と錯そうするおそれを生しさせることになると解すること はてきす,控訴人の主張は失当てある。また,控訴人は,カス漏れ等の場合に改修工事をする上て支障か生す る旨主張するか,仮に,いすれのカスか漏れているかか不てあった場 合かあり,改修工事の際に支障か生する可能性かあるとしても,他の占 用物件と錯そうするおそれを生しさせる事情として,そのような事情を 考慮すへきてあると解することはてきす,控訴人の主張は失当てある。(4) 構造について 控訴人は,緊急作業時に作業か困難となる旨主張して,Aのカス管の構造か,構造についての要件を充足しない旨主張する。しかしなから,地下 に設けられるカス管については,その構造か堅固て耐久性を有するととも に,道路及ひ地下にある他の占用物件の構造に支障を及ほさす,道路の強 度に影響を与えないものてあれは足り(施行令12条2号),他の占用物 件との距離作業の困難性に影響するかとうかは,上記要件に影響しない。4 以上によれは,控訴人の請求を棄却した原判は相当てあり,本件控訴は 理由かないから,棄却することとし,主文のとおり判する。大阪高等裁判所第7民事部
裁判長裁判官 永 井 ユタカ
(原裁判等の表示)
裁判官 泉 薫
裁判官 舟橋恭子
主文
 1 原告の請求をいすれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
 事実及ひ理由
第1 請求 処分行政庁か平成22年3月31日付けてA株式会社に対してした道路占用許可処分(高建管第○号)のうち,高槻市α×及ひ同市β×-3を占用場所とする部分をいすれも取り消す。
 第2 事案の概要
本件は,処分行政庁かA株式会社(以下「A」という。)に対してカス管の 埋設を目的とする道路占用許可処分(以下「本件許可処分」という。)をした ところ,占用許可の対象とされた道路の一部において既にカス管を埋設してい る原告か,本件許可処分のうち,原告かカス管を埋設している道路を対象とす る部分の取消しを求めている事案てある。1 関係法令の定め 道路法(以下「法」という。)及ひ同法施行令(以下「施行令」という。)は,以下のとおり規定している。
(1) 道路にカス管を設け,継続して道路を使用しようとするときは,道路管理者の許可を受けなけれはならない(法32条1項2号)。この許可を受けよ うとする者は,申請書を提出しなけれはならす(法32条2項),同申請書 には,道路の占用の場所(同項3号),カス管の構造(同項4号),工事の 実施方法(同項5号)等を記載しなけれはならない。(2) 道路管理者は,道路の占用目的か法32条1項各号のいすれかに該当し, かつ,同条2項2号から7号まてに掲ける事項について政令て定める基準に 適合する場合に限り,道路占用許可を与えることかてきる(法33条1項)。(3) カス管を地下に設置しようとする場合,カス管の種類又は道路の構造から みて,路面をしはしは掘削し,又は他の占用物件と錯そうするおそれのない 場所てなけれは,法32条2項3号にいう「道路の占用の場所」について政 令て定める基準に適合しない(施行令11条の3第2項,10条2号)。(4) カス管を地下に設置しようとする場合,当該カス管か堅固て耐久性を有す るとともに,道路及ひ地下にある他の占用物件の構造に支障を及ほさないも のてなけれは,法32条2項4号にいう「構造」について政令て定める基準 に適合しない(施行令12条2号イ)。(5) 既にカス管等か地下に設けられていると認められる場所又はその付近を 掘削する工事にあっては,保安上の支障のない場合を除き,既設のカス管等 の管理者との協議(以下「保安協議」という。)に基つき,保安上必要な措 置を講しなけれは,法32条2項5号にいう「工事実施の方法」について政 令て定める基準に適合しない(施行令13条6号ロ)。2 前提事実(争いかないか,証拠及ひ弁論の全趣旨により容易に認められる事 実。)(1) 当事者等
ア 原告は,カスの販売等を業とする株式会社てあり,後記(2)ア,イの道路占用許可かされる前から,高槻市α×及ひ同市β×-3にある各道路の地 下にカス管を埋設している(争いのない事実)。イ Aは,カスの供給等を業とする株式会社てある(争いのない事実)。
 ウ 被告は,高槻市内の市道を管理する道路管理者てあり(法16条1項),処分行政庁は被告の執行機関てある(争いのない事実)。 (2) カス管埋設工事ア Aは,処分行政庁に対して道路占用許可の申請をし,平成21年6 月30日付けて以下の内容の道路占用許可を受けた(甲2)。占用の目的 カス管埋設(新設)
占用の場所 高槻市α×(路線名・××号線)(以下「本件道路1」という。)
占用の期間 平成21年7月1日から平成22年3月31日まて
イ Aは,処分行政庁に対して道路占用許可の申請をし,平成21年1 1月2日付けて以下の内容の道路占用許可を受けた(甲4)。占用の目的 カス管埋設(新設)
占用の場所 高槻市β×-3(路線名・×××号線)(以下「本件道路2」といい,本件道路1と併せて「本件各道路」とい
う。)
占用の期間 平成21年11月4日から平成22年3月31日まて(3) 取消訴訟の提起及ひその後の経緯
ア 原告は,平成22年1月6日,上記(2)ア,イの各占用許可処分の取消しを求める訴えを提起した(顕著な事実)。
イ Aは,上記(2)ア,イの各占用許可処分の定める占用の期間中に本件各道路におけるカス管の埋設工事を完了した(弁論の全趣旨)。
ウ 処分行政庁は,平成22年3月31日付けて,Aに対し,高槻市か 管理する道路(本件各道路を含む。)の占用につき,以下の内容の道路占用許可処分(本件許可処分)を一括して行った(乙4)。
 占用の目的 カス管埋設(継続)占用の場所 高槻市一円
占用の期間 平成22年4月1日から平成23年3月31日まて エ 原告は,本件訴訟の第3回口頭弁論期日において,本件許可処分の 取消しを求める旨訴えを変更し,第5回口頭弁論期日において,取消しを求める範囲を前記第1「請求」のとおり限定した(顕著な事実)。
 3 争点本件許可処分のうち,本件各道路を対象とする部分か違法か否か。
 4 争点に関する当事者の主張(原告の主張)
(1) 保安協議(施行令13条6号ロ) 既にカス管か埋設されている道路につき新たにカス管埋設の工事を行うためには,既設のカス管の管理者との保安協議に基つき保安上必要な措置を講 しなけれはならない。これは,既設のカス管の状況を正確に把握することに よって事故を未然に防くという趣旨に出たものてあり,保安協議かされるこ となく工事のための道路占用許可かされた場合,当該許可は違法てある。そして,保安協議を経すに埋設工事かされた場合,当該埋設物は危険な状 態て埋設されたことを意味するから,当該埋設物を継続的に保有することを 目的とする道路占用許可処分においても,その違法事由になると解すへきて ある。本件においては,Aかカス管を埋設するに当たって,既にカス管を埋設し ている原告との間て保安協議かされた事実はないから,カス管の埋設工事完 了後にされた本件許可処分のうち,本件各道路を占用場所とする部分は違法 てある。(2) 占用場所(施行令11条の3第2項,10条2号) ア 本件道路1について本件道路1の地下には,原告所有のカス管たけてなく,雨水管汚水管も埋設されており,電柱も設置されている。しかも,道路の幅員は約3. 55mと狭い。そして,Aのカス管は,ある部分においては原告所有のカ ス管の上を,ある部分においてはその下を通過する形て埋設されている。イ 本件道路2について 本件道路2の地下には,原告所有のカス管たけてなく,雨水管汚水管も埋設されており,電柱も設置されている。しかも,道路の幅員は約3.6mと狭い。
ウ 以上ア,イの状況に照らすと,本件各道路は,埋設物の維持管理のために路面をしはしは掘削し,又は他の占用物件と錯そうするおそれのある場 所ということかてき,本件許可処分のうち本件各道路を対象とする部分は, 施行令11条の3第2項,10条2号に反し,違法てある。(3) 構造(施行令12条2号イ) 本件各道路のいすれにおいても,Aのカス管は,原告のカス管に近接した位置に埋設されており,「他の占用物件」たる原告のカス管の構造に支障を 及ほすおそれかあるから,本件許可処分のうち本件各道路を対象とする部分 は,施行令12条2号イに違反し,違法てある。(被告の主張)
(1) 保安協議(施行令13条6号ロ)
原告とAか保安協議を経ていないのは,Aか協議を申し入れたにもかかわ らす原告か拒絶したためてあって,保安協議を経ていないことを原告か違法 事由として主張することは信義則に反し,許されないというへきてある。(2) 占用場所(施行令11条の3第2項,10条2号)
ア 取消訴訟においては,自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることはてきないとされている(行政事件訴訟法10条1 項)ところ,施行令11条の3第2項,10条2号の規定か保護している のは,安全かつ円滑な交通という一般的な公益てあり,他の占用物件に係る私法上の権利を保護するものてはない。したかって,上記施行令の規定 に違反することを理由に本件許可処分の一部か違法てあるとする原告の主 張は失当てある。イ そのことをおくとしても,Aのカス管は,その種類及ひ構造からみて, 路面をしはしは掘削したり,他の占用物件と錯そうしたりするおそれはな く,施行令11条の3第2項,10条2号には反しない。(3) 構造(施行令12条2号イ) Aのカス管は,堅固て耐久性を有するものてあり,原告所有のカス管の構造に支障を及ほすおそれはなく,施行令12条2号イに反しないことはらかてある。
第3 争点に対する判断
1 認定事実 前記前提事実(第2の2),証拠(各項括弧内に掲記)及ひ弁論の全趣旨によれは,以下の事実か認められる。
 (1) 本件道路1の状況本件道路1の形状及ひ地下に埋設されたカス管等の状況はおおむね別紙 図面1のとおりてあり,同図面の赤線は原告所有のカス管を,青線はA所有 のカス管を,「EP」と記載された緑色の円は電柱を,それそれ表している (なお,A所有のカス管のうち,東端の電柱付近のものは,別紙図面1とは 異なり,電柱から数cm程度の間隔を空けた付近に埋設されている。)。本件道路1の幅員は約3.55m~4.8mてあり,地下には雨水管及ひ 汚水管か埋設されている。原告所有のカス管は,道路とほほ平行に埋設され た本支管(カスの輸送のために道路と平行に埋設されるカス管をいう。以下 同し。)及ひ道路に対しほほ垂直に埋設された供給管(本支管から分岐して 各顧客の所有地等まて埋設されるカス管をいう。以下同し。)からなり,道 路の地下約0.75m~0.95mの位置に埋設されている。A所有のカス管も,本支管及ひ供給管からなり,道路の地下約0.6m~ 0.75mの位置に埋設されている。A所有のカス管は原告所有のカス管と 交差している部分かあり,原告所有のカス管の上部又は下部を通過する形て 埋設されている。 (以上につき,甲14から16まて,21,22,26,27,弁論の全趣 旨)(2) 本件道路2の状況 本件道路2の形状及ひ地下に埋設されたカス管等の状況はおおむね別紙図面2のとおりてあり,赤線,青線及ひ緑色の円か表すものは上記(1)と同様て ある。原告所有のカス管は,道路の最北端て東西方向に埋設されている部分 を除き,道路の地下てはなく道路に面する各顧客の所有地等の地下に埋設さ れており,その位置は地下約0.15mてある。A所有のカス管は,道路の地下約0.6m~0.75mの位置に埋設され ており,原告所有のカス管と交差する部分ては,Aの供給管か原告所有のカ ス管の下部を通過する形て埋設されている。なお,交差する上記部分は,い すれも道路内てはなくこれに面する各顧客の所有地等内に位置する。(以上につき,甲18から20まて,23,24,27,弁論の全趣旨)
 2 原告主張の各違法事由について(1) 保安協議(施行令13条6号ロ) 原告は,Aかカス管埋設の工事を行うに当たって原告と保安協議を経ていないことか,本件許可処分のうち本件各道路を対象とする部分の違 法事由になると主張する。しかし,施行令13条6号の規定は,「工事実施の方法」(法32条 2項5号)に関する基準を定めたものてあり,保安上必要な措置を講し ること(前記関係法令の定め(第2の1)(5))のほか,「試掘その他の 方法により当該電線等を確認した後に実施すること」(施行令13条6号イ),「カス管又は石油管の付近において,火気を使用しないこと」 (同号ハ)を要求していることからすれは,工事を行う過程て既存のカ ス管等か損傷されることを防止し,工事関係者周辺住民の安全等を確 保する趣旨に出たものてあることはらかてある。そして,カス管の埋 設工事か完了したことを前提に当該カス管の設置を継続するための道路 占用許可かされる場合,「道路の占用の場所」(法32条2項3号), 「工作物,物件又は施設の構造」(同項4号)等について改めて安全性 の審査かされるのてあるから,こうした事項について法令の定める要件 を満たすにもかかわらす,工事の段階て保安協議を経ていないことを理 由にして,カス管の設置の継続に係る占用許可を与えないとする理由は ないというへきてある。確かに,後に改修工事等を行う場合を想定すると,保安協議を経てい た方か道路の安全確保に資するとも考えられるか,改修工事等を行うに 当たっては原則として道路管理者の許可を受けることか求められており (法32条3項参照),その時点て改めて安全性の審査かされることに なるから,改修工事等を行う際の安全確保の点は,カス管の設置の継続 に係る占用許可を与える場合に保安協議を経ていることを必要とする理 由にはならないというへきてある。したかって,保安協議を経ていないことか本件許可処分のうち本件各 道路を対象とする部分の違法事由になるとする原告の主張は採用てきな い。(2) 占用の場所(施行令11条の3第2項,10条2号イ)
ア 被告は,施行令11条の3第2項,10条2号イの規定は,安全か つ円滑な交通を確保するという公益目的の規定てあり,他の占用物件 に係る私法上の権利を保護するものてはないとして,同規定に違反す ることを理由に本件許可処分の一部の取消しを求める原告の主張は行政事件訴訟法10条1項に反すると主張する。
 しかし,施行令11条の3第2項,10条2号イの規定か,「道路の占用の場所」の基準として「他の占用物件と錯そうするおそれのな い場所てあること」を要求しているのは,許可の対象となる占用物件 と他の占用物件とか錯そうする場合,改修工事等を行うに当たって複 雑な作業か必要となり,他の占用物件を毀損するおそれもあることか ら,こうした事態を未然に防くという趣旨も含むものと解するのか相 当てあり,他の占用物件に係る私法上の権利を保護する趣旨を含まな いとする被告の主張には理由かない。そこて,以下,本件許可処分のうち本件各道路を対象とする部分か 施行令11条の3第2項,10条2号イの規定に反しないかについて 検討を加える。なお,同規定は,一義的には,これからカス管等を埋 設しようとする場面を想定したものとみることかてきるか,埋設時に 他の占用物件と錯そうしていることを看過して占用許可か与えられた カス管について,その設置の継続に係る占用許可を与えることも,同 規定に反し違法てあるとする解釈か可能てあるから,以下てはこうし た解釈を前提として検討を進めることとする。イ 本件道路1 本件道路1については,A所有のカス管以外の「他の占用物件」として,原告所有のカス管のほか,雨水管,汚水管(法32条1項2号) 及ひ電柱(同項1号)かある上,A所有のカス管は原告所有のカス管 と交差している部分かあり,原告所有のカス管の上部又は下部を通過 する形て埋設されている(前記認定事実(1))ことからすると,A所有 のカス管と他の占用物件か錯そうしているようにもみえる。しかし,雨水管,汚水管及ひ電柱は,ほとんとの国民の日常生活に 欠かすことのてきない設備てあるから,多くの道路て埋設されているものと考えられ,これらか埋設されていることのみから新たな物件を 埋設することかてきなくなるというのは法の予定するところてはない と解されるし,本件道路1に埋設された雨水管等か特に複雑な構造て 埋設されているなとの事情も見当たらない。また,法は,既にカス管 か埋設されている道路に新たに別のカス管を埋設することを許容して いるものと解される(前記関係法令の定め(3)から(5)まて)ところ, その場合,カス管の一部か交差することはほとんと不可避と考えられ るから,カス管か交差することをもって「他の占用物件と錯そうする おそれ」かあるとするのは相当てないし,証拠(甲14)によれは, 原告所有のカス管とA所有のカス管か交差する部分か著しく多いとも 認められない。さらに,既存のカス管の埋設状況地面の固さ等から, ある部分については既存のカス管の上部を通過し,他の部分について は下部を通過する形てカス管か埋設されることもある程度まてはむ を得ないといえるところ,Aのカス管かいたすらにその深度を変えて 埋設されているとは認められない。加えて,本件道路1を平面図てみ れは,原告所有又はA所有のいすれをとっても,ほとんとのカス管は 道路と平行又は垂直になるよう整然と配置・埋設されており(甲14), カス管か埋設されている場所についての予測可能性は確保されている といえるから,カス管か「錯そう」しているとまてはいい難い。原告は,道路の幅員か狭いとも主張するか,本件道路1の幅員は約 3.55mから4.8mてあり,カス管の直径かせいせい8cm程度に すきないこと(甲2,15)上てみたカス管の配置・埋設状況からす ると,埋設されるカス管に比較して道路の幅員か狭いとは認め難い。以上検討したところによれは,本件道路1の地下に埋設されたAの カス管は,他の占用物件と錯そうしているとはいえないし,カス管 雨水管等の維持管理のために頻繁に路面を掘削する必要かあるともいい難いから,「路面をしはしは掘削」する必要かあるとも認められな い。したかって,本件許可処分のうち本件道路1を対象とする部分は施 行令11条の3第2項,10条2号イに反しない。ウ 本件道路2 本件道路2にも,本件道路1と同様,雨水管,汚水管及ひ電柱か埋設されているか,これらか埋設されていることのみから新たな物件の 埋設か認められなくなるわけてはないことは上記イのとおりてあるし, 本件道路2における雨水管等か特に複雑な構造て埋設されているなと の事情も見当たらない。また,原告所有のカス管は,道路の最北端て東西方向に埋設されて いる部分を除き,道路の地下てはなくこれに面する各顧客の所有地等 の地下に埋設されており,道路の地下においては,原告所有のカス管 とA所有のカス管か交差することさえない。以上検討したところによれは,本件道路2の地下に埋設されたA所 有のカス管は,他の占用物件と錯そうしているとはいえないし,カス 管雨水管等の維持管理のために頻繁に路面を掘削する必要かあると もいい難いから,「路面をしはしは掘削」する必要かあるとも認めら れない。したかって,本件許可処分のうち本件道路2を対象とする部分も施 行令11条の3第2項,10条2号イに反しない。(3) 構造(施行令12条2号イ) ア 本件道路1
(ア) 原告は,本件道路1において,A所有のカス管か原告所有の カス管に近接して埋設されていることから,原告所有のカス管の 構造に支障を及ほすものてあり,施行令12条2号イに反すると主張する。
 しかし,埋設物間の距離を具体的に定めた法令上の規定は存在しない。また,社団法人B協会か定める「B協会本支管指針(工 事編)JGA指-○-○」(甲29。以下「協会指針」という。) は,「法定基準に規定されている事項(関連通達を含む。)及ひ 保安確保上必要な事項」を「遵守すへき事項」,「保安レヘルの 向上のため考慮すへき事項」を「望ましい事項」とし,前者につ いては,「なけれはならない」,「てはならない」及ひ「とする」 等の表現を,後者については「望ましい」,「推奨する」及ひ「原 則とする」等の表現を用いることとした上て,埋設物間の離隔距 離について,「他企業者の埋設物との離隔距離は,将来の維持管 理他工事による損傷防止を考慮して平行部て30cm以上,交差 部においては接合部を避けることも可能てあるため15cm以上確 保し配管することか望ましい」,「交差部において15cm以上離 隔距離を確保てきない場合は,コム板,砂袋等を用い本支管の防 護を行うとともに,竣工図に詳細を記載しておくと後の維持管理 に有効てある」なととするにととめており,一定の離隔距離を置 くことを不可欠の要請とはしていない。しかも,原告所有のカス 管とA所有のカス管は,平行部ては30cm以上の離隔距離か確保 されているというのてあり(弁論の全趣旨),この部分は協会指 針の定める上記基準を満たしているし,原告から依頼を受けてA の工事に立ち会ったCの陳述書によれは,少なくとも同人か立ち 会っている間は,30cm以上の離隔距離かとれない箇所について は土嚢を挟んて配管かされたというのてある(甲27)から,原 告所有のカス管に支障を及ほさないための措置か講しられている といえる。(イ) 原告は,Aのカス管か電柱のすく横に配管されていること(前 記認定事実(1))から,電柱の入替え工事かされる際に事故か発生 する高度の蓋然性か認められるとして,他の占用物件の構造に支 障かあるとも主張する。しかし,埋設物間の距離を具体的に定めた法令上の規定か存在 しないことは上記(ア)のとおりてあるし,将来電柱の入替え工事 かされるに当たっては,試掘その他の方法によりカス管を確認し た後に工事を実施する(施行令13条6号イ)なと,安全確保の ための措置を講しることか別途求められているのてあるから,電 柱のすく横にカス管か配管されたからといって,電柱の入替え工 事かされる際に事故か発生する可能性か高まるとまてはいい難く, 原告の上記主張に理由はない。(ウ) 以上検討したところによれは,本件道路1におけるAのカス 管の構造は,他の占用物件の構造に支障を及ほすものてはないと いえ,本件許可処分のうち本件道路1を対象とする部分は施行令 12条2号イに反しない。イ 本件道路2 原告は,本件道路2においても,A所有のカス管か原告所有のカス管に近接して埋設されていることから,原告所有のカス管の構造 に支障を及ほすものてあり,施行令12条2号イに反すると主張す る。しかし,本件道路2の地下に埋設されている原告所有のカス管は 少なく,その付近にはA所有のカス管は埋設されていない(前記認 定事実(2),甲18)。そして,道路に面する各顧客の所有地等の地 下に埋設された原告所有のカス管を考慮に入れても,A所有のカス 管は,原告所有のカス管から40cm以上の距離を置いて配管されたというのてあり(甲27),協会指針か定める上記ア(ア)の基準を 満たしている。そうすると,本件道路2におけるAのカス管の構造は,原告所有 のカス管の構造に支障を及ほすものてはないといえ,本件許可処分 のうち本件道路2を対象とする部分は施行令12条2号イに反しな い。3 結論 以上の次第てあり,原告の請求はいすれも理由かないからこれを棄却することとし,主文のとおり判する。
大阪地方裁判所第7民事部
裁判長裁判官吉田 徹
裁判官 小林康彦
裁判官 金森陽介
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