主文
 1 原判を取り消す。
2 被控訴人の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
事実及ひ理由 第1 当事者の求めた裁判
1 控訴人 主文同旨
2 被控訴人
(1) 本件控訴を棄却する。
(2) 控訴費用は控訴人の負担とする。
第2 事案の概要
1 本件は,被控訴人か,処分行政庁に対し,愛知県情報公開条例(平成12年愛知県条例第19号。以下「条例」という。)に基ついて,「発達障害等を有 すると考える児童生徒に対する指導助言か記載されている文書」の開示を請求 したところ,処分行政庁から,当該行政文書かあるかないかを答えるたけて個 人情報(条例7条2号)を開示することになるとして,条例10条に基つき当 該文書の存否をらかにしないて被控訴人の開示請求を拒否する定を受けた ため,その取消しを求める事案てある。原審か被控訴人の請求を認容したため,控訴人か本件控訴に及んた。なお, 控訴人は,当審において,処分理由を追加し,条例7条2号本文後段,同条6 号本文に該当する事由かあると主張している。2 関係法令等の定め,前提事実,争点及ひこれに関する当事者の主張は,次の とおり原判を訂正し,当審における主張を付加するほか,原判第2の1な いし3に記載のとおりてあるから,これを引用する。(原判の訂正)
(1) 原判13頁2行目の「(以下省略)」を次のとおり改める。「イ 法令若しくは条例の定めるところにより又は慣行として公にされ,又は公にすることか予定されている情報
ロ 人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることか必要てあると認められる情報
ハ 当該個人か公務員等(国家公務員法(昭和22年法律第120号)第2条第1項に規定する国家公務員(独立行政法人通則法(平成11年 法律第103号)第2条第2項に規定する特定独立行政法人の役員及 ひ職員を除く。),独立行政法人等(独立行政法人等の保有する情報 の公開に関する法律(平成13年法律第140号)第2条第1項に規 定する独立行政法人等をいう。以下同し。)の役員及ひ職員,地方公 務員法(昭和25年法律第261号)第2条に規定する地方公務員並 ひに地方独立行政法人の役員及ひ職員をいう。)てある場合において, 当該情報かその職務の遂行に係る情報てあるときは,当該情報のうち, 当該公務員等の職及ひ氏名並ひに当該職務遂行の内容に係る部分(当 該公務員等の氏名に係る部分を公にすることにより当該個人の権利利 益を不当に害するおそれかある場合及ひ当該公務員等か規則て定める 職にある警察職員てある場合にあっては,当該公務員等の氏名に係る 部分を除く。)ニ 当該個人か,実施機関か行う事務又は事業て予算の執行を伴うものの 相手方てある場合において,当該情報かこの条例の目的に即し公にす ることか特に必要てあるものとして実施機関の規則(警察本部長にあ っては,公安委員会規則。第23条第2項及ひ第3項並ひに第27条 において同し。)て定める情報に該当するときは,当該情報のうち, 当該相手方の役職(これに類するものを含む。以下同し。)及ひ氏名 並ひに当該予算執行の内容に係る部分(当該相手方の役職及ひ氏名に係る部分を公にすることにより当該個人の権利利益を不当に害するお それかある場合にあっては,当該部分を除く。) (3号ないし5号省略)6号 県の機関又は国,独立行政法人等,他の地方公共団体若しくは地方 独立行政法人か行う事務又は事業に関する情報てあって,公にするこ とにより,次に掲けるおそれその他当該事務又は事業の性質上,当該 業務又は事業の適正な遂行に支障を及ほすおそれかあるものイ 監査,検査,取締り又は試験に係る事務に関し,正確な事実の把握を 困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし,若しくは その発見を困難にするおそれロ 契約,交渉又は争訟に係る事務に関し,国,独立行政法人等,地方公 共団体又は地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位 を不当に害するおそれハ 調査研究に係る事務に関し,その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害 するおそれニ 人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ほ すおそれホ 国若しくは地方公共団体か経営する企業又は独立行政法人等若しくは 地方独立行政法人に係る事業に関し,その企業経営上の正当な利益を 害するおそれ」(2) 原判4頁20行目冒頭から5頁22行目末尾まてを次のとおり改める。
 「ア 知的な遅れのない発達障害者も含め,特別な支援を必要とする生徒 か在籍する愛知県立高等学校においては,特別な支援を必要とする生徒の 存在状態を確認する際に作成された記録これらの生徒に対する指導, 助言なとの本件文書に該当すると考えられる文書か存在する。愛知県教育委員会は,被控訴人から開示の請求を受けた文書について, 3処務規程10条に従い,対象とされた各高等学校(68校)の校長の専 により不開示定を行ったか,その理由は以下のとおりてある。ます,愛知県教育委員会は,情報公開条例に基つく事務を効率的に処理 するため,その権限を部下の職員に委任して行わせているか,これは,愛 知県教育委員会の各部署ならひに各地方機関(県立高校を含む)か管理す る膨大な行政文書に関して行われる情報公開条例に基つく事務の全てを, 条例上の実施機関てある愛知県教育委員会か直接行うことは,事実上不可 能てあることから,その権限を内部的に委任して,自己の権限に属する事 務の一部を部下の職員に行わせるものて,その行為は,あくまても愛知県 教育委員会の名と責任において行われるものてある。そして,愛知県教育委員会は,愛知県の県立学校か保管する行政文書の 開示定等に関することについて,当該県立学校校長の専事項とする ことを定めている(処務規程10条)。被控訴人は,「地区校長会を特別支援学校て開催しない地区高等学校に 限る」との限定を付けて,「発達障害等を有すると考える児童生徒に対す る指導助言か記載されている文書(平成14年度から21年度まて)」の 開示を求める開示請求書を,愛知県教育委員会に提出したか,愛知県立の 高等学校のうち「地区校長会を特別支援学校て開催しない地区(の)高等 学校」は68校あることから,上記開示請求に関する不開示定は,いす れも上記68校の各校長か専によって行ったものてある。(なお,本訴 の対象となっている愛知県立B高等学校以外の67校については,その不 開示定は,全て確定している。)そうてあるところ,上記処務規程に従い,各校長か専て定する場合, 各県立学校ことに定通知書か作成されることとなるため,連絡先として, 当該県立学校の学校名,電話番号を記載しなけれはならす,また,文書か 不存在てある場合には,論理上,不存在による不開示定かなされるへきことになるから,仮に「発達障害等を有すると考える児童生徒に対する指 導助言か記載されている文書」を保管している各県立高等学校か,先に述 へた条例7条2号本文後段もしくは同条6号本文に基ついて全部不開示 定をすると,との県立高等学校に,対象となる「発達障害等を有すると考 える児童生徒」か在籍しているか(あるいは在籍していたか)かわかって しまうこととなる。そして,発達障害等により特別な配慮を要する生徒は,その特有の行動 特徴により,他の生徒と容易に区別されるのてあるから,たとえその氏名 人数か開示されなかったとしても,当該生徒か在籍する学校の他の生徒 保護者等,学校関係者にとっては,容易に,当該生徒を特定てきること となり,その結果,本来,不開示情報とされるへき個人情報(以下「個人 識別情報」という。)を開示したと同様の結果を招来してしまうのてある (条例7条2号本文前段)。上記のような次第て,愛知県教育委員会としては,被控訴人の本件開示 請求に対し,その対象とされた各高等学校(68校)の校長の専により 条例10条に基つき,「行政文書かあるかないかを答えるたけて個人情報 を開示することとなるため,開示請求に係る行政文書かあるともないとも 答えることかてきない。」という内容の存否応答拒否の不開示定を行っ た。イ 愛知県教育委員会か,処務規程において,愛知県公立学校に関する条例 11条に規定する行政文書の開示の請求に対する定等に関することを愛 知県公立学校の校長の専事項として定めたのは,以下の理由に基つくも のてある。1 県立学校か保有する行政文書に対する開示請求については,情報公開 制度を利用する県民の利便性を考慮に入れてめる必要かある。すな わち,仮に,県立学校における情報公開事務を本庁各課て行う場合を想定すると,本庁の所在地てある名古屋市に住む県民にとっては支障 は生しないものの,名古屋市以外の地域に住む多くの県民にとっては, 地元の県立学校の保管文書について閲覧したいという場合に,名古屋 市まて足を運はなけれはならす,かえって不便になってしまう。2 開示請求者は,単に文書を見たいというたけてはなく,担当者から説 を受けたいと考えていることか多い。したかって,開示に当たって は,担当者か対象行政文書を開示請求者に見せなから文書の内容につ いても説するのか普通てあり,開示請求者から質問かあれはそれに 対する回答も行っている。開示の実施に要する時間としては,開示請 求の内容にもよるか,通常は,30分から1時間程度をかけている。 このような開示文書に関する説は,対象行政文書を保有する機関に おいて,最も適切に行うことかてきるものてある。3 そもそも情報公開においては,対象行政文書を保有する機関か,最も 適切に開示・不開示の判断かてきるものてある。特に学校においては, 生徒保護者と日常的に接している学校現場の担当者か最も適切な判 断を行いうると考えられる。4 県立学校て保有している行政文書について,仮に本庁て開示・不開示 の判断を行うことになると,対象行政文書の移動を行わなけれはなら す,移動の際の盗難・紛失等の危険を伴うことになる。特に,開示の 実施の際に,全部開示の文書を閲覧に供する場合には,行政文書の写 してはなく,「原則として原本を閲覧に供する」こととされているこ とから(「愛知県教育委員会情報公開事務取扱要領」(平成17年3 月31日付け16教総第732号教育長通知)第3 4(3)ア),原 本の本庁への持ち出しか不可欠の行為となる。通常,行政機関におい ては,行政文書の原本を外部に持ち出すことは行っていない。それは, 万か一にも文書の盗難・紛失等の事故か発生した場合には,取り返しのつかない事態になるからてある。また,行政文書の移動に伴う人件 費旅費の負担なとの経費負担か増大することも,軽視てきない。 これらの理由から,愛知県教育委員会は,本庁各課と県立学校とか事務分担するという意味て,実施機関の権限を,県立学校の校長に内部委任し ているものてあり,現行の制度は,制度全体のハランスを考慮に入れて制 度設計かなされているものてあって,合理的なものというへきてある。大量の行政文書に対する情報公開事務の遂行する事務を全て実施機関て ある愛知県教育委員会という非常置の合議体か行うことは事実上不可能て あって,実施機関の有する権限を内部委任して,専て取り扱うことに, 何ら問題はない。仮に,開示・不開示に関する定事務たけを実施機関か 行うとしても,非常置の合議体てある教育委員会か,機動性の要求される 定事務を(たとえその一部たけても)行うとすることは,無理かある。 (実際に,47都道府県のうち45の都道府県において,地方機関の文書 に関する専権を,当該地方機関に与えている。)情報公開請求権は,条 例によって創設されるものてある。そして,そのような権利を創設する際, いかなる制度設計をするかについては,条例を制定した地方公共団体の裁 量に委ねられるへきものてある。このような見地から,実施機関の権限を 内部委任する際の制度設計についても,当該地方公共団体の実態に即し, その裁量に委ねられるへきものてあって,その制度設計か著しく不合理て 裁量の範囲の逸脱もしくは濫用と認められるものてないかきり,その内部 規則に従って事務処理かなされることに,何ら違法の問題は生しないとい うへきてある。ウ 本件事案においては,各県立学校ことに応答するか否かによって,全部 不開示という結論に変わりはないから,各県立学校ことに,各校の校長専 により定をしたとしても,条例の趣旨に反することはなく,これを回 避する必要は全くない。」(控訴人の当審における主張)
(1) 本件文書は条例7条2号本文後段,同条6号本文に該当する不開示文書てある。
 被控訴人か開示を求めた発達障害等を有すると考える児童生徒に対する指導助言か記載されている文書(本件文書)は,次のとおり,本来,条例7条 2号本文後段,同条6号本文に該当する不開示文書てある。ア 本件文書には,個々の当該生徒ことに,本人の特性当該生徒に特徴的 な言動,それによって惹起される状況等か,具体的かつ詳細に記載される。 また,この記録には,当該生徒本人その保護者との間の面談の内容か記 録され,当該生徒保護者の気持ち生活状況等か具体的かつ詳細に記載 される。さらに,当該生徒の指導においては,必要に応して,臨床心理士 専門医の助言を受けるなと,専門機関との連携を図ることかあるか,そ の際に専門機関から受けた当該生徒一人一人に対応する助言の内容,当 該生徒たけてなく,その関係者を含めた生活環境についての具体的な支援 方法か記録される。イ ところて,条例7条2号本文後段は,個人情報のうち,特定の個人を識 別することはてきないか,公にすることにより,なお個人の権利利益を害 するおそれかある情報を,不開示とすへき情報と定めている。この規定は,特定の個人か識別されない情報てあって,公にすることに より,人格的・財産的な権利利益等個人の権利利益を害するおそれかある もの(例えは,個人の未発表論文カルテなと個人の人格に密接に関連す る情報等かこれにあたる。)については,仮に,特定の個人か識別されな いとしても,なお,保護する必要性かあることから,条例は,これを秘匿 すへき個人に関する情報として不開示情報と定めたものてある(愛知県情 報公開条例解釈運用基準(平成13年3月30日付け12広報第98号県 民生活部長通知))。そうてあるところ,被控訴人か開示を求めた本件文書は,上記アのとお り,発達障害等を有すると考えられる生徒について,その特徴的な言動 状況,これによって引き起こされる状況,それに対する教員保護者,臨 床心理士専門医等の専門機関の見解助言なとか,詳細に記載されてい る文書てあり,かつ,その全体か,発達障害の有無というセンシティフな 個人情報に関する情報てある。これらの情報は,たとえ学校名個人名か 消されたとしても,生徒本人その保護者か第三者への開示を希望するこ とは,通常考えられない文書てある。これらの情報は,発達障害等を有すると考える児童生徒個々人の人格に 密接に関連する情報というへきてあるから,条例上は,個人識別性の有無 を問わす,その全部を不開示とすへき情報てある。ウ また,条例7条6号本文は,「県の機関・・(中略)・・か行う事務又 は事業に関する情報てあって,公にすることにより・・(中略)・・当該 事務又は事業の性質上,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ほすお それかある」情報について,不開示とすへき情報と定めている。この規定は,県の機関か行う事務事業は,公益に適合するよう適正に遂 行されるものてあるか,これらの事務事業に関する情報の中には,公にす ることにより,当該事務事業の性質上,その適正な遂行に支障を及ほすお それかあるものか含まれるため,これらの情報か記録された行政文書を不 開示とすることを定めたものてある。そうてあるところ,被控訴人か開示を求めた本件文書は,発達障害等を 有すると考えられる生徒の指導に供するため,当該生徒たけてなく,その 保護者関係者に関する情報についても,指導に必要てあると判断される 限り,具体的かつ詳細に記録されている。これらの記録は,当該生徒の在校する学校において,当該生徒に対する 適切な支援策を講しるために,当該生徒を含む関係当事者に関する事実関係について,その生育歴家族関係なとの背景事情も含め,広範に,具体 的かつ詳細に記録することによって,当該生徒の支援に資することを期し て作成されるものてあり,正確な事実の調査及ひ記録と,それを基礎とす る忌憚ない意見の交換かあって,はしめて当該生徒の適切な支援,指導か 図られるものてある。そして,上記文書に記録されている情報の中には,当該生徒のみにとと まらす,当該生徒の家族関係者の健康状態生活歴,疾病歴等の,各関 係者の人格に触れるような個人的な情報か含まれている。仮に,これらの情報か公開された場合を想定すると,当該生徒の家族 関係者において,これらの詳細な事実関係,それに対する忌憚ない意見 をありのまま開示することに萎縮効果か生し,これらの情報の収集記録 か困難になる結果,当該生徒に対する適正な支援配慮か実現てきなくな るおそれか極めて高い。したかって,本件文書に記録されている情報は,条例7条6号本文に定 める「県の機関・・(中略)・・か行う事務又は事業に関する情報てあっ て,公にすることにより・・(中略)・・当該事務又は事業の性質上,当 該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ほすおそれかある」情報に該当し, 全部不開示とされるへき情報てある。(2) B高等学校についての不開示定を取り消す判かなされた場合,その 判の効力は,あくまてもB高等学校の行った不開示定に及ふたけてあり, 他の67校か行った不開示定には何の効力も及はない。その結果,仮に同 判か確定すると,処分者としては,B高等学校に対する開示請求について 改めて定をなすへきことになる(行政事件訴訟法33条2項)か,その際, いかなる定をなすへきか,困難に逢着することになる。なせならは,B高等学校のみを対象として,開示請求に応答し,開示を求 める文書の存否をらかにしてしまうと,条例7条により不開示情報とされている個人識別情報を開示することになるからてある。 このような結果を招来する判は許されないというへきてある。(被控訴人の当審における主張) 存否応答拒否による行政文書不開示定をB高等学校長か専により行政文書不開示定をすることは不可能てある。通常の開示請求に対する行政 文書不開示定通知書の発送ても,期限を守ってうまく処理することかて きないのか県立高等学校てある。また,発達障害の定義,判断基準を提示 することかてきない状態にあるB高等学校長か,専により行政文書不開 示定をすることは不可能てある。したかって,B高等学校長は,教育委員会総務課Aの指示により,行政文 書不開示定をしたと考えるのか妥当てある。第3 当裁判所の判断
1 当裁判所は,控訴人か本件文書を不開示とした本件処分は適法てあると判断するか,その理由は,次のとおり原判を付加訂正し,当審における控訴人 の主張に対する判断を付加するほかは,原判「第3 当裁判所の判断」欄 の1及ひ2に記載のとおりてあるからこれを引用する。2 原判の付加訂正
(1) 原判10頁19行目末尾を改行して次のとおり付加する。「控訴人は,処務規程及ひ事務処理要領の合理性を種々主張するか,前判 示のとおり,条例7条は開示請求に係る行政文書に同条所定の不開示情報 か記録されている場合を除き開示しなけれはならない旨を定め,条例8条 は開示請求に係る行政文書の一部に不開示情報か記録されている場合にお いて部分開示か可能な場合には部分開示をすへき旨定めているのてあり, 本件の場合も各校ことに判断すると個人識別情報を開示するのと同しこと になるか,本件開示請求の対象となる県立高等学校を経過することなく一 括して開示すれは個人識別情報を開示することにはならないのてあるから,上記条例の趣旨からすれは,当然に一括して開示すへきてあって,控訴人 か主張する合理性は,控訴人側から見た合理性を強調しすきるあまり開示 を求める側の利益との調和に欠けるものといわさるを得ない。」(2) 原判10頁22行目の「違法てある」から同24行目末尾まてを「違 法てあるといわさるを得ない。」と改める。3 控訴人の当審における主張に対する判断 控訴人は,当審において,本件文書はもともとそれ自体条例7条2号本文後段,同条6号本文に該当する文書てあるから,不開示文書に該当する旨主張 するのて,その点について判断する。ところて,条例10条に該当することを理由として付記してされた公文書の 開示拒否定の取消訴訟において,当該処分をした行政庁の所属する公共団 体か,同定か適法てあることの根拠として,新たに当該公文書か同条7条 2号本文後段,同条6号本文に該当する旨を追加して主張することは許され ると解される(最高裁判所平成11年11月19日判民集53巻8号18 62号参照)。そこて,本件文書か条例7条2号本文後段,同条6号本文に該当するか否か につき検討するに,証拠(乙6,9,10,当審証人C)及ひ弁論の全趣旨に よれは,本件開示請求の対象となる県立高等学校68校中には,本件文書か存 在する学校かあること,本件文書には,個々の当該生徒ことに,本人の特性 当該生徒に特徴的な言動,それによって惹起される状況等か,具体的かつ詳細 に記載されるのみならす,当該生徒本人その保護者との間の面談の内容か記 録され,当該生徒保護者の気持ち生活状況等か具体的かつ詳細に記載され るものてあること,当該生徒の指導においては,必要に応して,臨床心理士 専門医の助言を受けるなと,専門機関との連携を図ることかあるか,その際に 専門機関から受けた当該生徒一人一人に対応する助言の内容,当該生徒たけ てなく,その関係者を含めた生活環境についての具体的な支援方法か記録されるものてあること,本件文書は,当該生徒の在校する学校において,当該生徒 に対する適切な支援策を講しるために,当該生徒を含む関係当事者に関する事 実関係について,その生育歴家族関係なとの背景事情も含め,広範に,具体 的かつ詳細に記録することによって,当該生徒の支援に資することを期して作 成されるものてあり,正確な事実の調査及ひ記録と,それを基礎とする忌憚な い意見の交換かあって,はしめて当該生徒の適切な支援,指導か図られるもの てあること,これらの情報か公開されると,当該生徒の家族関係者において, これらの詳細な事実関係,それに対する忌憚ない意見をありのまま開示する ことに萎縮効果か生し,これらの情報の収集記録か困難になる結果,当該生 徒に対する適正な支援配慮か実現てきなくなるおそれか高いことか認められ る。ところて,条例7条2号本文後段は,個人情報のうち,特定の個人を識別す ることはてきないか,公にすることにより,なお個人の権利利益を害するおそ れかある情報を,不開示とすへき情報と定めているか,同規定は,特定の個人 か識別されない情報てあっても,公にすることにより,人格的・財産的な権利 利益等個人の権利利益を害するおそれかあるもの(例えは,個人の未発表論文 個人の人格に密接に関連する情報等かこれにあたる。)については,仮に特 定の個人か識別されないとしても,なお,保護する必要性かあることから,不 開示情報と定めたものてある(愛知県情報公開条例解釈運用基準(平成13年 3月30日付け12広報第98号県民生活部長通知),乙7)。そうてあるとすれは,上記認定事実からすると,本件文書には,個人の人格 に極めて密接に関連する情報の記載かあると認められるから,本件文書の記載 内容は,条例7条2号本文後段にいう個人情報のうち,「特定の個人を識別す ることはてきないか,公にすることにより,なお個人の権利利益を害するおそ れかある」情報にあたると認めるのか相当てある。また,条例7条6号本文は,「県の機関・・(中略)・・か行う事務又は事 13業に関する情報てあって,公にすることにより・・(中略)・・当該事務又は 事業の性質上,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ほすおそれかある」 情報について,不開示とすへき情報と定めているところ,同規定は,県の機関 か行う事務事業は,公益に適合するよう適正に遂行されるものてあるか,これ らの事務事業に関する情報の中には,公にすることにより,当該事務事業の性 質上,その適正な遂行に支障を及ほすおそれかあるものか含まれるため,これ らの情報か記録された行政文書を不開示とすることを定めたものてある(愛知 県情報公開条例解釈運用基準(平成13年3月30日付け12広報第98号県 民生活部長通知),乙7)。そうてあるところ,本件文書か公開されると,当該生徒の家族関係者にお いて,これらの詳細な事実関係,それに対する忌憚ない意見をありのまま開 示することに萎縮効果か生し,これらの情報の収集記録か困難になる結果, 当該生徒に対する適正な支援配慮か実現てきなくなるおそれか高いから,本 件文書の記載内容は,条例7条6号本文に定める「県の機関・・(中略)・・ か行う事務又は事業に関する情報てあって,公にすることにより・・(中 略)・・当該事務又は事業の性質上,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を 及ほすおそれかある」情報にあたると認めるのか相当てある。したかって,本件文書は条例7条2号本文後段及ひ同条6号本文に該当する 非開示文書てあることか認められるから,結果的には,本件文書を非開示とし た本件処分は適法てあるというへきてある。3 以上によれは,被控訴人の請求は理由かないからこれを棄却すへきてある。
 よって,これと異なる原判を取り消し,主文のとおり判する。名古屋高等裁判所民事第3部
裁判官 内田計一
裁判官 中 丸 隆
裁判長裁判官高田健一は,定年退官のため署名押印てきない。
裁判官 内田計一
判例本文

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