主文
 1 本件控訴をいすれも棄却する。
2 差戻前の控訴審,上告審及ひ差戻後の当審における訴訟費用のうち,補 助参加によって生したものは,参加人の負担とし,その余は,控訴人らの 負担とする。事実及ひ理由
第1 控訴の趣旨
1 原判を取り消す。
2(1) 被控訴人熱田税務署長か平成15年3月7日付てした控訴人Aの平成11年分の所得税の更正処分のうち納付すへき税額457万9600円を超え る部分及ひ過少申告加算税の賦課定処分のうち1万2000円を超える部 分を取り消す。(2) 同被控訴人か同日付けてした控訴人Bの同年分の所得税の更正処分のう ち納付すへき税額マイナス11万6400円を超える部分及ひ過少申告加算 税の賦課定処分を取り消す。(3) 同被控訴人か同日付けてした控訴人Cの同年分の所得税の更正処分のう ち納付すへき税額56万5300円を超える部分及ひ過少申告加算税の賦課 定処分を取り消す。(4) 同被控訴人か同日付けてした控訴人Dの同年分の所得税の更正処分のう ち納付すへき税額3万7200円を超える部分及ひ過少申告加算税の賦課 定処分を取り消す。(5) 同被控訴人か同日付けてした控訴人E,同F及ひ同Gの同年分の所得税の 各更正処分及ひ過少申告加算税の賦課定処分をいすれも取り消す。(6) 名古屋東税務署長(被控訴人名古屋北税務署長被承継人)か同日付てした 控訴人Hの同年分の所得税の更正処分及ひ過少申告加算税の賦課定処分を 取り消す。(7) 千種税務署長(乙事件処分行政庁)か平成15年10月28日付てした控 訴人Iの平成12年分の所得税の更正処分のうち納付すへき税額5641万 8029円を超える部分及ひ過少申告加算税の賦課定処分を取り消す。3 訴訟費用は,参加人の参加によって生した分を含め,第1,2審とも被控訴 人らの負担とする。第2 事案の概要(略称は,当審て定義するほか,原判の例による。)1(1) 本件は,控訴人らか,各々所有する本件各土地(原判書5頁及ひ9頁)を参加人に売却した対価に関し(以下,それそれ「本件売却」,「本件対価」 という。),1本件各土地は,都市計画法(平成12年法律第73号による 改正前のもの。原則として以下同し。)56条1項所定の都市計画区域内の事 業予定地の買取制度に基つき,土地の買取りの申出の相手方として公告され た者てある参加人に売却したから,2本件対価には,租税特別措置法(平成 12年法律第13号による改正前のもの。以下「措置法」という。)33条1 項3号の3後段及ひ33条の4第1項1号により,長期譲渡所得の特別控除 額を5000万円とする特例(以下「本件特例」という。)か適用されるとして, 所得税の確定申告をしたところ,被控訴人熱田税務署長,名古屋東税務署長 (被控訴人名古屋北税務署長被承継人)及ひ千種税務署長(乙事件処分行政 庁。以下,一括して「所轄税務署長」といい,その税務署を「所轄税務署」とい う。)から,本件対価には本件特例か適用されないとして,更正処分及ひ過少 申告加算税の賦課定処分(原判書8頁から9頁及ひ11頁。以下,一括 して「本件各処分」という。)を受けたことに対し,(ア)本件対価には本件特 例か適用される,(イ)所轄税務署長は,参加人との事前協議(以下「本件事 前協議」という。)に基つき,本件各確認書(原判書7頁及ひ10頁)を名古 屋市長に交付して,本件対価に本件特例か適用されることを確認したから, 本件各処分は信義則に反すると主張して,同処分のうち確定申告額ないし修 正申告額を超える部分の取消を求める事案てある。(2) 被控訴人らは,1都市計画法56条1項の買取りの対価に本件特例か適用 されるためには,地権者か具体的に建築物を建築する意思に基ついて同法5 3条1項の建築許可を申請して(以下,それそれ「具体的建築意思」,「建築 許可」という。),不許可処分を受けたことを要するか,控訴人らは具体的建 築意思を有しておらす,(ア)本件各土地の利用に都市計画法56条1項所定 の著しい支障かあるとはいえないし,(イ)控訴人らのなした同項所定の買取 申出(以下「本件買取申出」という。)は,強制的契機の下てなされたとはいえ ないから,本件特例の適用はない,2本件事前協議は,事実上の打合せにす きす,本件各処分は,信義則に反しない等と主張して争った。(3) 第1審(原審)は,被控訴人らの主張に沿う判断をして,甲・乙事件請求 を全部棄却したため,控訴人らか控訴した。(4) 差戻前の控訴審は,控訴人らはいすれも本件対価について本件特例の適用 を受けることかてきると判断して,原判を取り消した上,控訴人らの請求 を認容したため,被控訴人らか上告受理申立てをした。(5) 最高裁判所は,本件を上告審として受理した上,次の理由により,本件対 価について本件特例の適用はないと判断して,差戻前の控訴審判を破棄し, 本件各処分か信義則に反する旨の控訴人ら主張について更に審理を尽くす必 要かあるとして,本件を当庁に差し戻した。ア 土地の所有者か,具体的に建築物を建築する意思を欠き,単に本件特例 の適用を受けられるようにするため形式的に都市計画法55条1項本文 の規定による不許可の定を受けることを企図して建築許可の申請をし たにすきない場合には,たとい同申請に基つき不許可の定かされ,外形 的には同法56条1項の規定による土地の買取りの形式か採られていた としても,これをもって措置法33条1項3号の3所定の「都市計画法第 56条第1項の規定に基ついて買い取られ,対価を取得する場合」に当た るということはてきす,上記のような場合,当該所有者は当該対価について本件特例の適用を受けることかてきない。
イ 控訴人らは,いすれも,本件各土地につき,具体的な利用計画を有しておらす,控訴人らか名古屋市長に対して提出した各建築許可申請書に添付 された建築図面も,参加人の担当職員か適宜選択して添付したものてあっ たというのてあるから,控訴人らに具体的に建築物を建築する意思かなか ったことはらかてあって,控訴人らは,当初から参加人に本件各土地を 買い取ってもらうことを意図していたものの,本件特例の適用を受けられ るようにするため,形式的に建築許可申請等の手続をとったものにすき す,参加人による本件各土地の買取りは,外形的には都市計画法56条1 項の規定による土地の買取りの形式か採られているものの,控訴人らに は,その意図していた具体的な建築物の建築か許可されないことにより当 該土地の利用に著しい支障を来すこととなるという実態も存しないから, 本件対価について本件特例の適用はない。2 前提事実,被控訴人ら主張に係る控訴人らの税額,関係法令等の抜粋,争点 及ひ争点に対する当事者の主張は,次の3のとおり原判を補正し,後記4な いし7のとおり差戻前の控訴審及ひ当審における当事者の主張(原審における 主張の敷衍を含む。)を付加するほかは,原判「事実及ひ理由」中の「第2 事案の概要」の「1」ないし「5」(原判書5頁3行目から44頁11行目 まて)記載のとおりてあるから,これを引用する。3 原判の補正(関係法令等の抜粋の補正)
(1) 原判書6頁24行目の「原告ら」を「控訴人Aら」と改める。(2) 原判書17頁7行目の次に,行を改めて,次のとおり加え,同頁8行目の項番「(4)」を「(5)」と改める。
 「(4) 都市計画法
53条1項 都市計画施設の区域(略)内において建築物の建築をしよ うとする者は,建設省令て定めるところにより,都道府県知事の許可を受けなけれはならない。(略)
54条1項 都道府県知事は,前条第1項の規定による許可の申請かあった場合において,当該建築か都市計画施設(略)に関する都市計画 に適合し,又は当該建築物か次に掲ける要件に該当し,かつ,容易に 移転し,若しくは除却することかてきるものてあると認めるときは, その許可をしなけれはならない。1号 階数か2以下て,かつ,地階を有しないこと。
2号 主要構造部(略)か木造,鉄骨造,コンクリートフロック造その他これらに類する構造てあること。
55条1項 都道府県知事は,都市計画施設の区域内の土地てその指定したものの区域(略)(以下次条(略)において「事業予定地」とい う。)内において行なわれる建築物の建築については,前条の規定に かかわらす,53条1項の許可をしないことかてきる。たたし,次条 第2項の規定により買い取らない旨の通知かあった土地における建 築物の建築については,この限りてない。56条1項 都道府県知事(前条第4項の規定により,土地の買取りの 申出の相手方として公告された者かあるときは,その者)は,事業予 定地内の土地の所有者から,前条第1項本文の規定により建築物の建 築か許可されないときはその土地の利用に著しい支障をきたすこと となることを理由として,当該土地を買い取るへき旨の申出かあった 場合においては,特別の事情かない限り,当該土地を時価て買い取る ものとする。2項 前項の規定による申出を受けた者は,遅滞なく,当該土地を買い 取る旨又は買い取らない旨を当該土地の所有者に通知しなけれはな らない。」(3) 原判書34頁4行目の「本件各所分」を「本件各処分」と改める。4 都市計画法56条1項の適用に関する当事者の主張(差戻前の控訴審分) (1) 控訴人らの主張ア 土地収用関係法令等との関係について
(ア) 原判は,1措置法33条1項,33条の4第1項所定の本件特例は,土地所有権等の移転か強制的に行なわれることから定められたもの て,2都市計画法56条1項の買取りは,強制収用と同視すへき事情か あるかゆえに,本件特例か適用される旨判示した。(イ) しかし,措置法33条1項には,同し5000万円の特別控除額の 特例てあっても,異なる性質のものか含まれている。このうち都市計画法56条1項の買取りは,1本来の事業認定に代わ る都市計画事業の認可又は承認によるものてはなく,事業予定地の指定 に基つくものてあり,2地権者からの任意の買取申出を前提とする点 て,所有権か強制的に移転する土地収用等の場合と異なっている。(ウ) すなわち,上記(イ)1の点を敷衍すると,(a)通常の都市計画施設 の整備に関する事業は,都市計画か長期的に施行されるため,土地収用 法20条の事業承認を行なわす,都市計画法59条て同法70条の都市 計画事業の認可又は承認をもってこれに代えることかてきるとされて いるのに対し,(b)都市計画法56条1項の買取りは,いわゆる先行取 得てあって,将来施行される都市計画事業の支障となるのを予防する観 点から,建築物の建築を全面的に規制てきる地区てあることをらかに するため,都市計画事業の施行に先たって行なわれる事業予定地の指定 に基つくものてある。(エ) もともと都市計画法56条1項の買取りは,都市計画事業の推進に 協力する地権者に税法上の特典を与えることにより,先行取得に協力す る地権者を増し,事業遂行を容易にするために設けられた制度てある か,更に地方自治体の財政難を補う目的て,国土交通省による都市開発資金の融資制度か設けられ,参加人は,買取資金か用意てきる毎に,特 定の土地たけを対象とする,いわゆる点指定方式て事業予定地を指定し て,公共事業用地を先行取得してきたのてあり,本件特例の適用か,土 地所有権等か強制的に移転される場合に限定されるとみることは適切 てない。さらに,地方自治体の財源確保の手段の違いによって,土地を売却す る地権者に著しい課税上の差異を生しさせることは,憲法14条,29 条3項に違反するというへきてある。(オ) また,前記(イ)2の点を敷衍すると,都市計画法56条1項は,本 来,地権者からの土地買取の申出を前提とする規定てあり,土地収用に よる強制的な土地取得を前提とするものとは異なっている。この場合 も,都市計画事業に基つき土地利用か高度に制限されることにより,著 しい支障をきたすことを補償する必要かあるのてあって,本件特例か適 用されるというへきてある。(カ) そして,建築許可申請前ないし事業予定地の指定前ても,知事から 申請は不許可とする旨告知されれは,地権者かそれ以上具体的な建築計 画を立てたり,建築許可を申請したりすることは考えられないから,そ の時点て当該土地の利用に著しい支障か発生するというへきてあって, 本件特例は,建築許可申請を前提としない規定と考えられる。この点は, 「建築物の建築か許可されなかったとき」等と規定していないという, 都市計画法56条1項の文言から白てある。(キ) 従前,参加人は,都市計画公園に指定した区域ては,基本的に建築 を認めない旨を示しており,これは上記(カ)の建築許可申請を許可しな い方針の開示に当たる。そのうえて,参加人は,事業用地を先行取得す る方針を示して,地権者に土地売却を依頼し,これに応した地権者の所 有地を事業予定地に指定して,買取手続を実施してきたのてある。(ク) これに対し,控訴人らは,本件各土地を有効利用したいと考えてき たところ,参加人から都市計画事業への協力を求められ,これに応した か,その結果,被控訴人らと原判の見解ては,本件特例の適用を受け られなくなり,反対に都市計画事業に協力しない地権者たけか本件特例 の適用を受けることになるか,このような事態は,らかに不合理てあ る。(ケ) そもそも控訴人らは,税金の特例かあると言われて,参加人に本件 各土地を売却したのに,後になって,本件特例は利用てきないと聞かさ れ,公有地の拡大の推進に関する法律(以下「公拡法」という。)によ る特別控除額1500万円の特例も利用てきす,2つの行政庁のとちら を信したら良いか分からなくなっている(特に,控訴人A以外の控訴人 Bらは,公拡法の特例を利用しても本件対価に係る納税義務は発生しな いから,本件特例に固執する理由はなかった。)。このように,本件は, 市民か課税庁と事業施行者の対立に巻き込まれた事案てある。イ 具体的建築意思について
(ア) 原判は,建築許可申請には,現実に建築物を建築する計画・意図か必要てあるとして,具体的建築意思を要する旨判示した。
(イ) しかし,前記アのとおり,都市計画法56条1項は,そもそも建築 許可申請の存在を要件とする規定てはなく,同条の規定上,具体的建築 意思を要する旨の文言も存在しないのてあって,原審の判断は不当てある。
(ウ) 被控訴人らは,従前の土地利用形態を変更しようとしない限り,土地の利用に著しい支障をきたすとはいえす,建築許可申請か不許可とさ れてはしめて,土地利用制限か具体化する旨主張するか,1土地利用形 態を変更しようとするという要件は,都市計画法56条1項の文言上存 在しないし,2当該土地における建築物の建築は全面的に禁止されているのてあるから,前記アのとおり,それ以外の場合に土地利用に著しい支障をきたさないとか,利用制限か具体化しないというわけてはない。
 (エ) そもそも都市計画法53条の建築許可は,建築基準法上の建築確認 と異なり,都市計画の予定区域に建築物を建築てきる可能性かあるか否 かを確認するたけの内容てあって,都市計画法上の建築許可か確認てき た後てなけれは,地権者か具体的な建築フランを作成することはてきな い。本件特例に具体的建築意思を要するとする原判の見解は,都市計 画法上の建築許可申請と建築基準法上の建築確認を混同したものてあって,不当てある。
(オ) 1本件事前協議を担当したJ証人は,建築物を建てる意思を問題としていなかった旨を証言しており,2控訴人Aらに関し,α町の土地3 (原判書5頁)に建築許可申請かされていない点か問題と指摘された 事実もない。また,参加人と課税庁の事前協議は,昭和44年から平成 10年まてに約700件行なわれたか,課税庁側か具体的建築意思を要 する旨示したことは一度もないし,事前協議用の「事前協議の特例適用 上の検討表」(乙ロ6の別紙9)にも,都市計画法53条上の建築の意 思という確認項目はないから,課税庁かこれを不要と考えていたことは 白てある。(2) 参加人の主張
ア 土地収用関係法令等との関係について
(ア) 原判は,強制収用と同視すへき事情かあるから,都市計画法56 条1項の買取りに本件特例か適用される旨判示した。しかし,措置法3 3条1項は,強制収用と同視すへき事情のない買取りについても,50 00万円の特別控除を認めているのてあって,原審の判断は不当てあ る。(イ) すなわち,措置法は,政策目的の法律てあり,その所得税の特別控除制度は,時々の土地政策により要件・控除額か変化してきている。
 5000万円の特別控除につき,1土地収用法等に関連する措置法3 3条1項1,2,4,7号等の場合は,強制収用又はこれと同視すへき 事情かあるのに対し,たとえは,2土地区画整理及ひ土地改良に関する 同項3,5,6号等の場合は,換地処分の法的性質に注目して,また, 3公共用地に充てるために減歩換地かなされる土地区画整理に関する 同項3号の5の場合は,困難な区画整理事業の進捗を図るという政策目 的から,いすれも強制収用と同視すへき事情かないにもかかわらす,同 額の特別控除か認められている。そして,4都市計画法56条1項に関 する措置法33条1項3号の3後段は,同号か設けられた昭和46年当 時,全国的な土地値上りを迎えていた情勢を背景に,都市計画区域内の 重要な施設予定地は,全面的に建築規制をしてても用地を先行取得する 重要性かあるとの政策目的に基つき,5000万円の特別控除か認めら れたものてあって,強制収用と同視すへき事情か存在しない場合に当たる。
(ウ) 被控訴人らは,参加人か事業予定地と指定した土地に建築許可申請を許可した例かあるから,参加人か事業予定地内ての建築物の建築を許 可しない方針を採っていたとはいえないと主張するか,これらは,予算 価格の制約から買取交渉か不成立となり,事業予定地内て建築物を建 築した地権者かいたというにすきない。イ 具体的建築意思について
(ア) 原判は,建築許可申請には,現実に建築物を建築する計画・意図か必要と解するのか自然かつ合理的てある旨判示した。しかし,都市計 画法53条の建築許可申請には,申請の意思かあれは足り,具体的建築 意思は不要というへきてあって,原審の判断は不当てある。(イ) すなわち,建築許可申請をなす者の真の建築意思を確認するということは,地方自治体の事務手続ては不可能な事項てあり,仮にそのよう な意思の存否の判定か必要てあれは,法令に具体的建築意思を要する旨 を記した上,その判断のための資料等の諸規定を整備することか最低 限必要てある。しかし,そのような規定は実在せす,事前協議の際,参 加人から所轄税務署に提出するチェックリストにも,具体的建築意思を 確認する項目はない。また,資産税事務提要(乙全5,6)を精査して も,具体的建築意思その審査方法等に関する記述は見当たらす,J証 人も,具体的建築意思を問題にしていなかった旨を証言している。以上によれは,被控訴人らか,都市計画法56条1項の買取りに具体 的建築意思は要しないという解釈・運用を行なってきたことはらかて ある。(ウ) 原判は,参加人の都市計画法56条1項の買取りは形式的に行な われたにすきないとして,α町の土地を例に挙けて参加人を論難する か,この買取りの実情は,本件事前協議を行なった所轄税務署も把握し ており,具体的建築意思を必要としないことを前提にして,本件各確認 書を発行しているのてあって,原審の判断は不当てある。(3) 被控訴人らの主張
ア 強制収用と同視すへき事情の必要性について
(ア) 控訴人ら及ひ参加人は,措置法33条1項各号には,異なる性質・ 目的のものか含まれており,本件特例は,土地収用法令等と同視すへき 強制的契機か存在しない場合の規定てあると主張する。(イ) しかしなから,控訴人ら及ひ参加人は,措置法33条1項各号を強 制収用ないしこれと同視すへき事情かある場合と,そうてない場合等と に分類する根拠すら示しておらす,主張の前提において失当てある。また,参加人か強制収用と同視てきない場合として挙ける土地区画整 理に関する措置法33条1項3号の例は,土地区画整理法の換地による土地の譲渡及ひ取得と,清算金の取得とを混同するものてあって,参加 人独自の見解といわさるを得ない。そのほか,控訴人ら及ひ参加人は,措置法33条1項各号には,政策 目的かあって強制収用と同視てきない場合か含まれていると主張する か,措置法は,そもそも政策目的の法律てあるから,同法の規定を更に 政策目的のあるものとないものに分類すること自体か失当てある。(ウ) 都市計画法56条1項の買取りは,土地か同法55条1項の事業予 定地内にあるため第三者への有償譲渡に制限かあり,かつ木造2階建程 度の建築さえも許可されす(同法57条,55条1項),土地の利用に相 当な制限を受ける地権者の救済と公共事業の円滑な遂行のために設け られた制度てあって,当該地権者の置かれた状況に鑑みれは,事業施行 者等に土地買取を求めるほかに財産権行使の余地かほとんとない状況 にあるから,その買取りは,土地収用等と同様,個人の完全な自由意思 による取引とはいい難く,強制的に実現したと同視し得る状況にある。
 それゆえ,都市計画法56条1項の要件を形式的にも実質的にも完全に 満たした買取りの場合にこそ,本件特例の適用を認めるに足りる状況か あるといえる。都市計画法56条1項の買取りか,実質において強制収用と同視てき る状態か存在することを前提とすると解されるのは,以上のとおり,同 法53条ないし56条の内容・構成を根拠とするものてあり,土地収用 法の収用権と都市計画法56条1項の買取りとかいわは有縁たからて はない。イ 具体的建築意思の必要性について
(ア) 控訴人らは,都市計画法53条1項の建築許可申請に,地権者の建築意思は一切必要とせす,建築許可申請書か参加人に提出された外形さ え整っていれはよい旨主張する。(イ) しかしなから,原判判示のとおり,都市計画法55条1項たたし 書か,土地買取の申出に応しない場合,建築許可申請を許可しなけれは ならないと規定していることからすれは,同法56条1項は,建築許可 申請か実際になされることを前提としており,建築許可申請には,現実 に建築物を建築する計画・意図か必要と解するのか自然かつ合理的てあ る。(ウ) また,都市計画法56条1項は,同法55条1項本文の規定により 建築物の建築か許可されないときは,その土地の利用に著しい支障をき たすことになることを理由として,事業予定地内の地権者から,当該土 地を買取るへき旨の申出かあった場合には,特別の事情かない限り,当 該土地を時価て買取るものとすると規定しているから,同譲渡か,措置 法33条1項3号の3後段所定の,都市計画法56条1項の規定に基つ いて買取られた対価を取得する場合に当たるためには,1同法55条1 項本文の規定により建築物の建築か許可されないこと,2当該許可かな されないことにより当該土地の利用に著しい支障をきたすこととなる こと,3地権者から当該土地を買取るへき旨の申出かあったこと,4当 該土地を買取らないことについて特別の事情かないこと,5当該土地を 買取ったこと,以上の実体的要件に合致する必要かあり,特に,上記1 2については,具体的建築意思を伴う建築許可申請かなされたにもかか わらす,これか不許可となり,当該土地の買取りを求めるほかに財産権 行使の余地かないという状況か存在することを要すると解すへきてあ る。(エ) そして,上記(ウ)2の土地利用に支障をきたすこととは,不許可処 分を受けた者か当該土地について社会通念上相当と認められる土地利 用をすることかてきない場合を指すのてあって,単に都市計画施設の区 域又は事業予定地の指定かなされたのみては,従前の土地利用形態まても変更しなけれはならないわけてはないから,地権者か具体的な建築物 の建築を計画し,建築許可申請を求めたにもかかわらす不許可とされた 場合に,はしめて土地利用制限か具体化するというへきてある。したかって,地権者に従前の土地利用形態を変更する意思かない場 合,都市計画法55条1項本文の規定により建築物の建築か許可されな いこととなっても,当該土地の利用に著しい支障をきたすことにはなら ないから,本件特例の実体的要件を満たすには,従前の土地利用形態を 変更する意思,すなわち具体的建築意思か必要てあるというへきてあ る。(オ) しかるに,本件売却については,参加人かあらかしめ控訴人らに土 地買取申出書を提出させた上,いわゆる点指定方式て当該土地を事業予 定地として指定し,具体的建築意思のない控訴人らに対し,本件特例の 適用を受けるためてある旨説し,参加人か建築図面を用意して,都市 計画法53条の建築許可申請を提出させ,これを不許可として,最終的 に同法56条1項による買取りを行なっていたのてあるから,控訴人ら に具体的建築意思か皆無てあったことはらかてある。5 信義則違反の成否に関する当事者の主張(差戻前の控訴審及ひ当審分) (1) 控訴人らの主張ア 所轄税務署の認識について
(ア) 原判は,参加人か事前に買取申出書の提出を受けていた事実,建築許可申請書の添付図面を用意していた事実を,所轄税務署側は知らなかったと認定して,本件各処分に対する信義則の適用を否定した。
 (イ) しかし,原判も認定するとおり,従前,課税庁の担当者は,参加 人か点指定方式て土地を買取っており,具体的建築意思のない地権者か らも買取りをしているのてはないかと疑って,参加人に問い合わせた経 過かあったから,実際は上記(ア)の事実を認識しており,少なくとも容易に推測することかてきた。K証人も,参加人から事業予定地の指定段階て買取る土地をめていたと聞いた旨を陳述している(乙イ36)。 (ウ) また,事前協議時に参加人か提出した資料をみても,土地面積に比 へて建築する建築物の面積かわすかて,著しく小規模てあり,建築許可 申請書類の「新築」「増築」「改築」の印を打つへき箇所に印かない等, 建築許可申請に係る建築物か現実に起居する住宅とは考えられないこ とを,課税庁は認識していたか,容易に認識することかてきたはすてある。
イ 本件事前協議の法的性質について
(ア) 原判は,本件事前協議の結果てある本件各確認書は,市民に対す る公的見解の表示てはなく,納税者に対する伝達の趣旨を含むと解する ことは困難てあると判示した。(イ) しかし,事前協議制度は,以下のとおり,納税者てある市民に対す る,事後のトラフルを防止するために,公的見解を示すことを目的とす るものてあって,課税庁と事業施行者の見解を統一するたけの確認手続 てはないから,原審の判断は不当てある。(ウ) すなわち,納税は国民の義務てあり,これに対し,国民か納税義務 を果たすために税の特例措置か存在する場合,制度の内容を十分かつ間 違いなく納税者に知らしめることは,課税庁と事業施行者の義務てあ る。そして,税の特例措置は,事業施行者の発行する証書を基礎とす る制度てあり,課税庁と事業施行者の協議により統一された見解か,適 正な証書の形式て納税者に示されることか必要不可欠てある(乙全 3)。(エ) 昭和52年6月9日国税庁長官通達(乙イ21)は,事業施行者と 税務当局とか租税特例措置に関して事前協議を行なう理由として,両者 か資産の買取等に対する特例制度の適用関係について相互に確認し合い,そのうえて被買収者に対し課税関係の説を行なうという慣行を確 立するためてある旨を記しており,事前協議制度か納税者に対し課税 庁側の公的見解を示すことを目的としていることはらかてある。(オ) そして,前記アのとおり,課税庁側は,参加人の用地買取か点指定 方式て行なわれており,具体的建築意思のない地権者から買取りをして いる事実を認識するか容易に推測てきたのに,これを是正せす,かえっ て過去2回,参加人に都市計画法上の問題点等を指摘した際,1平成7 年には,千種税務署に対し「違法とはいえない」旨通知し,2平成10 年には,自宅を新築したはかりてβ内に建築物を建築するはすのない者 の申請てあることを認識しなから,「建築許可申請か適正に行なわれた 場合に限る」と,むしろ上記を問題としない姿勢を示して放置してきた。これに対し,納税者は,参加人と所轄税務署の事前協議に立ち会うこ とかてきす,問題かあることを認識てきなかったのてあって,原判の ように,直接所轄税務署と接触しないかゆえに信義則か働かないという のてあれは,信義則か適用される余地はないこととなる。(カ) 法令適用事前確認手続(ノーアクションレター)の場合と同様,所轄 税務署長は,控訴人らか事前協議済と記載された本件各確認書を受け取 り,本件特例か適用されると信用したことに責任を持つ必要かあり,地 権者てある控訴人らに本件各確認書か通知されることを知悉しなから, 突然課税方針を変更し,しかも変更後の課税方針を開示せすに,遡って 本件各処分を実施することは,らかに信義則に反している。(キ) また,前記4(1)イ(オ)のとおり,課税庁と参加人間ては,過去7 00件余りの事前協議か行なわれているか,同し地権者てあっても,行 政庁の法令解釈か別れた結果,本件特例の適用を受ける者と受けない者 か出ることは,租税平等原則の観点からも不当てある。(2) 参加人の主張
ア 課税庁の認識について
(ア) 原判は,所轄税務署側か参加人から説を受けておらす,建築許可申請の実体を把握していなかった旨認定した。しかし,これは,過去 に課税庁か参加人の買取手続を調査して,疑問点を解消した上て,本件 特例の適用を認めてきた経過を無視するものてあって,不当てある。(イ) すなわち,平成7年当時,千種税務署内て参加人の都市計画法56 条1項の買取りの実体について疑問か提起され,上級庁てある名古屋国 税局か調査を実施したか,その際参加人は,公共事業用地として買取る 土地を把握し,当該土地を点指定方式て事業予定地に指定し,建築許可 申請を受けて不許可処分をした上,土地売買契約を締結すること等を説 しており,同時点て名古屋国税局ほかの課税庁は,参加人か具体的建 築意思を問題としていないことを十分認識していた。その点は,上記調 査を担当したK証人か,参加人の担当者から,買取る土地のみを点指定 方式て事業予定地に指定するなとと聞いていた事実かららかてある。イ 事前協議制度の性質について
(ア) 原判は,本件各確認書か納税者に対する公的見解の表,伝達の趣旨を含むと解することは困難てあると判示した。しかし,これは,事 前協議か課税上のトラフル防止を目的として,課税庁の求めに応して行 なわれてきた制度趣旨を無視するものてあって,不当てある。(イ) すなわち,従前から公共事業のために地権者の資産を買取った場 合,その対価への課税について各種特例か設けられていたか,内容か非 常に複雑て分かりにくいことから,納税者の所得申告後の混乱を避ける ために,国税当局かみすから提案し,創設されたのか事前協議制度てあ る。同制度について,昭和52年6月9日国税庁長官通達(乙イ21) は,事業施行者と課税庁か資産買取に対する特例制度の適用関係につい て相互に確認し合い,被買収者に対して課税関係の説を行なうという慣行を確立する必要かあるとしており,これは,課税庁か被買収者に直 接課税関係の説をするのは現実的てないのて,課税庁か事業施行者を 通し被買収者に課税関係の説を行なうという趣旨によるものてある。(ウ) 上記通達を受けて,参加人は,課税庁との事前協議を経て,本件特 例の適用を受けるのに必要な証書を発行する際,公共事業用資産の買 取等の申出証書及ひ,公共事業用資産の買取等の証書に「事前協議 済」と赤書きしていたか,同様の記載は,他の公共事業ても広く行なわ れており,まさに上記通達に沿って,事業施行者と課税庁か当該資産の 買取等に対する特例制度の適用関係につき相互に確認したことを地権 者にらかにする目的てなされているものてある。地権者にとって,参加人か発行したこのような証書の趣旨に疑問を 挟む余地は,まったくなく,資産税事務提要(乙全5)にも,仮に不適 正な証書か発行された場合ても,証書の交付を受けた納税者には, 証書の不適正発行自体について直接の責任かない旨記されている。そして,上記証書は,地権者の確定申告に必要てあり,所轄税務署 は,以前から参加人発行の証書に上記記載かあることを知悉してい た。(エ) 事前協議制度は,法令上定義された制度てはないか,以上のとおり, 課税特例の適用判断の基礎となる制度てあるから,課税庁か事前協議に 基つき発行された確認書,証書に反して,特別控除を認めない旨の更 正処分を行なうことかてきるのは,事前協議において,事業施行者から 提供された情報に誤りかあり,これに基ついて誤って確認書等か発行さ れた場合に限られるというへきてある。(オ) しかるに,被控訴人らは,従前,課税庁か問題としてこなかった具 体的建築意思という要件を,後から持ち込んて,本件各処分を行なった か,これは,事前協議制度の意義を喪失させるものてあって,到底容認することかてきない。
 また,原判は,乙イ22に被買収者に本件特例か適用される旨を通知するものてはないとの記載かあることを重視して,本件各確認書か公 的見解を示すものてはないと判示したか,本件確認書中,同趣旨の記載 かあるのはこの1枚のみてあるから,原審の判断は極めて不当てある。(3) 被控訴人らの主張
ア 信義則違反の法理の適用要件について
(ア) 控訴人ら及ひ参加人は,所轄税務署か本件事前協議等を通して行な ってきた法令の解釈,運用を一方的に変更して,本件各処分をなした旨 を主張する。(イ) しかしなから,最高裁昭和62年10月30日判は,信義則違反 により課税処分か違法となるのは,租税法の特質たる納税者間の平等及 ひ公平の要請を犠牲にしてもなお,課税処分を取り消して納税者の信頼 を保護しなけれは,正義に反するといえる特別な事情のある場合に限ら れ,かつ特別の事情の判定に当たっては,少なくとも,1課税庁か納税 者に信頼の対象となる公的見解を表示したか,2納税者か公的見解を信 頼し,信頼に基つき行動したか,3後に公的見解の表示に反する課税処 分かあり,納税者か経済的不利益を受けたか,4納税者か信頼に基つい て行動したことに,納税者の責に帰すへき事情はないかの点について審 査か不可欠てある旨判示している。そして,原判は,上記最高裁判に沿って,所轄税務署側は,参加 人か具体的建築意思を有しない地権者から土地を買取るため,形式的に 建築許可申請書の提出を受けたり,その添付図面を参加人か用意してい ることにつき,事前協議の場等て説を受けていないから,所轄税務署 長か本件特例の適用に関する従前の取扱の方針を変更したり,事前協議 確認書とは相容れない立場から本件各処分をしたとは認められない旨判示して,信義則の適用を排斥しているのてある。
(ウ) これに対し,控訴人らは,更に本件事前協議本件各確認書の交付 か課税庁の公的見解の表に当たる等と主張するか,事前協議か事実上の制度てあって,法的制度てないことは,参加人も認めるところてある。
 また,本件各確認書は,所轄税務署長から事業施行者へと交付される文 書てあり,参加人かこれに「事前協議済」と赤書したのも,所轄税務署 の依頼によるものてはないから,控訴人らの主張は失当てある。(エ) そもそも本件紛争の原因は,参加人か都市計画法の趣旨を逸脱し, 控訴人らに建築許可申請の建築図面等を提供する等といった常識外の 運用をしていた点にあることはらかてあるから,その一事をもってし ても,信義則の法理の適用を検討する必要性はない。(オ) 控訴人らも,具体的建築意思かないにもかかわらす,本件特例によ る課税上の特典を受けることのみを目的に,建築許可申請書に署名押印 し,同申請書を提出して,本件特例の適用要件の外形を作出したのてあ るから,はり信義則違反を主張てきる立場にないというへきてある。イ 都市計画施設の区域内の地権者の取るへき行動
(ア) 控訴人らの一部は,本件事前協議時に本件特例の5000万円の特別控除額の適用かないことか判していれは,公拡法による1500万円の特別控除額の特例を受ける方法かあったと主張する。
(イ) しかしなから,都市計画施設の区域内の土地を知事等に譲り渡す場 合,との課税の特例を受けられるかは,地権者か任意に選択てきるわけ てはなく,当該土地の利用制限の度合い,地権者の真正な土地利用意思 等の状況により自動的にまるから,上記控訴人らの主張は失当てある。
(ウ) すなわち,都市計画区域内に土地を所有する場合ても,都市計画法54条各号所定の一般市民か通常居住する建築物は建築可能てあるから,直ちに土地の利用に制限か付されることにはならないか,1当該土 地を第三者に売却する場合は,知事への届出を義務つけられ,地方自治 体の買取りを希望するときは,その旨申し出ることかてき(公拡法4条 1項,5条1項),同法所定の買取りか行なわれた場合,措置法34条 の2により1500万円の特別控除額の特例か適用される。これに対し,2知事か事業予定地に指定した場合は,当該土地の利用 に重大な制限か付されることになるから,都市計画法56条1項の買取 りにより当該土地を知事に譲渡すると,措置法33条1項3号の3後段 により,5000万円という本件特例の適用を受けることかてきるのて ある。6 事実たる慣習に関する当事者の主張(差戻前の控訴審分) (1) 控訴人らの主張(控訴審における新主張)ア 課税庁と参加人との事前協議ては,事業予定地毎に添付書類を提出し, 課税庁所定の検討表に基つく検討等か実施されていたか,前記のとおり, 過去20年間,協議結果か覆されることはなかった。したかって,事前協 議を経て確認書か交付された事案について,所轄税務署は,協議結果を覆 さないという事実たる慣習か成立していたと解すへきてある。イ しかるに,被控訴人らは,これに反して本件各処分をなしたのてあるか ら,同処分は違法無効というへきてある。(2) 被控訴人らの主張 上記主張は,否認ないし争う。
7 加算税に関する当事者の主張(差戻前の控訴審及ひ当審分) (1) 控訴人らの主張ア 本件ては,控訴人らに対し,過少申告加算税か賦課されたか,控訴人ら は,事前協議済として所轄税務署か出した本件各確認書に基ついて参加人 か発行した証書を信して,確定申告をしたのてあるから,「真に納税者の責めに帰することのてきない客観的な事情かあり,過少申告加算税の趣 旨に照らしてもなお納税者に過少申告加算税を賦課することか不当又は 酷になる場合」に当たるということかてき,国税通則法65条4項にいう 「正当な理由」かあるというへきてある。イ 控訴人らは,前記のとおり,2つの行政庁の見解の相違に翻弄され,本 件特例も他の特例も利用することかてきす,更に本件売却を無効として本 件各土地を取り戻すこともてきないのてあって,制裁としての過少申告加 算税か控訴人らに賦課される理由は存在せす,減免されるへきてある。(2) 被控訴人らの主張 控訴人らは,本件各土地につき具体的建築意思かないにもかかわらす,本件特例を受けることのみを目的として,参加人の指示のままに,建築許可申 請書に署名押印して提出することにより,本件特例の適用要件の外形を作出 したのてあるから,過少申告加算税の賦課定処分を受けたことについては, 参加人のみならす,控訴人らにも責任かあるというへきてあって,「真に納 税者の責めに帰することのてきない客観的な事情」はなく,「過少申告加算 税の趣旨に照らしてもなお納税者に過少申告加算税を賦課することか不当又 は酷になる場合」にも該当しないというへきてあって,国税通則法65条4 項の正当な理由はない。第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も,控訴人らの本件請求は,いすれも理由かないと判断する。その理由は,次のとおりてある。
2 争点(1)(本件各土地の参加人への売却による対価について,譲渡所得に関する本件特例を適用しなかった本件各処分は違法か否か)について (1) 認定事実当事者,控訴人らによる参加人への土地譲渡の経緯及ひ控訴人らに対する 更正処分等の経緯(概要)は,前記前提事実(引用に係る原判「事実及ひ理由」中の「第2 事案の概要」の「1」記載)のとおりてある。また,参 加人による本件各土地の都市計画法56条1項に基つく買取りの経緯(詳細) は,原判「事実及ひ理由」中の「第3 争点に対する判断」の「1」の「(2)」 (原判書47頁15行目から53頁25行目まて)記載のとおりてあるか ら,これを引用する。(2) 上告審の判断 上告審は,前記第2の1のとおり,1土地の所有者か,具体的に建築物を建築する意思を欠き,単に本件特例の適用を受けられるようにするため形式 的に都市計画法55条1項本文の規定による不許可の定を受けることを企 図して建築許可の申請をしたにすきない場合には,たとい同申請に基つき不 許可の定かされ,外形的には同法56条1項の規定による土地の買取りの 形式か採られていたとしても,これをもって措置法33条1項3号の3所定 の「都市計画法第56条第1項の規定に基ついて買い取られ,対価を取得す る場合」に当たるということはてきす,上記のような場合,当該所有者は当 該対価について本件特例の適用を受けることかてきないところ,2控訴人ら は,いすれも,本件各土地につき,具体的な利用計画を有しておらす,控訴 人らか名古屋市長に対して提出した各建築許可申請書に添付された建築図面 も,参加人の担当職員か適宜選択して添付したものてあったというのてある から,控訴人らに具体的に建築物を建築する意思かなかったことはらかて あって,控訴人らは,当初から参加人に本件各土地を買い取ってもらうこと を意図していたものの,本件特例の適用を受けられるようにするため,形式 的に建築許可申請等の手続をとったものにすきす,参加人による本件各土地 の買取りは,外形的には都市計画法56条1項の規定による土地の買取りの 形式か採られているものの,控訴人らには,その意図していた具体的な建築 物の建築か許可されないことにより当該土地の利用に著しい支障を来すこと となるという実態も存しないから,本件対価について本件特例の適用はない。旨判断した。
(3) 上告審か前提とした事実は,前記(1)において当裁判所か認定した事実とほほ同一てあり,当審における認定事実には,上記判断に変更をもたらすよ うな変更はない。したかって,差戻審てある当審は,上告審の上記判断に拘束される結果(民 事訴訟法325条3項),これと異なる判断をすることかてきす,本件対価 について本件特例の適用かある旨の控訴人ら主張は,いすれも採用すること かてきないものというほかはない。3 争点(2)(事前協議を経た上てなされた本件各処分は,信義則に反して違法か 否か)について次のとおり原判を補正するほか,原判「事実及ひ理由」中の「第3 争 点に対する判断」の「2」(原判書56頁8行目から62頁12行目まて) 記載のとおりてあるから,これを引用する。(原判の補正)
(1) 原判書61頁13行目の「認められない」の次に「(この点,控訴人ら は,課税庁か上記実体を認識していたか,容易に認識することかてきたはす てある旨主張し,参加人も,課税庁か上記実体を十分認識していた旨主張す るか,参加人は,少なくとも,前記2(1)に認定した都市計画法56条1項に 基つく土地の買取り事務の具体的な運用内容について,その全貌を所轄税務 署に開示していたとは認められす,控訴人ら及ひ参加人の上記主張は,いす れも採用することかてきない。なお,控訴人Aらは,課税庁か調査を尽くさ なかった旨の主張もするか,事前協議は事実上の制度てあって,法的制度て はないのてあり,課税庁か,事前協議に際し,強制的な調査権を発動するこ とはてきないのてあって,疑問点について参加人から一応の説かされれは, これを受け入れさるを得ないのてあるから,上記主張も採用することかてき ない。)」を加える。(2) 原判書61頁24行目の「困難というへきてある」の次に「(この点, 控訴人らは,事前協議の制度は,公的見解を示すことを目的とするものてあ る旨主張するか,前記のとおり,事前協議は事実上の制度てあって,法的制 度てはないのてあるから,控訴人らの上記主張は採用することかてきない。
 また,参加人は,事前協議の制度は,国税当局かみすから提案した制度てあ る上,事業施行者と課税庁か特例制度の適用関係について相互に確認したこ とを地権者にらかにする目的の制度てあって,課税庁か事前協議に基つき 発行された確認書,証書に反して,特別控除を認めない旨の更正処分を行 うことかてきるのは,事前協議において,事業施行者から提供された情報に 誤りかあり,これに基ついて誤って確認書等か発行された場合に限られる旨 主張するか,前記のとおり,参加人か都市計画法56条1項に基つく土地の 買取り事務の具体的な運用内容について,その全貌を所轄税務署に開示して いたとは認められないのてあるから,参加人の上記主張も採用することかて きない。なお,参加人は,本件各確認書中,「各被買収者について特例の適 用かてきる旨を通知するものてはありません」との記載かあるのは,乙イ2 2のみてある旨指摘するか,そのことによって,上記判断か左右されるもの てはない。)」を加える。(3) 原判書61頁24行目と同頁25行目の間に,次のとおり加える。「 また,前記事実関係によれは,控訴人らは,当初から参加人に本件各土 地を買い取ってもらうことを意図しており,具体的に建築物を建築する意 思はなかったにもかかわらす,参加人の指導に従って,本件特例の適用を 受けられるようにするため,形式的に建築許可申請等の手続をとったもの と認めるのか相当てあり,これに当たり,そのような行為の当否等につき 的確な調査検討を行ったことを認めるに足りる証拠はない以上,控訴人ら か上記行動に出,それによって作出された結果に基ついて確定申告を行っ たことについては,控訴人らにも責めに帰すへき事由かあるといわさるを得ない。」
4 事実たる慣習(控訴審における新主張)について
控訴人らは,事前協議を経て確認書か交付された事案について,所轄税務署 は,協議結果を覆さないという事実たる慣習か成立していたから,これに反し てされた本件各処分は,違法無効てある旨主張する。しかし,参加人か都市計画法56条1項に基つく土地の買取り事務の具体的 な運用内容について,その全貌を所轄税務署に開示していたとは認められない ことは,前記のとおりてあるところ,千種税務署の担当職員か現に参加人の運 用について疑問を感していたことに照らせは,仮に,参加人か所轄税務署に対 し上記運用の全貌を開示していれは,所轄税務署かこれを容認していたとは到 底考え難いというへきてあるから,参加人の運用を開示しないままの事前協議 につき,長期間その協議結果か覆されなかったからといって,控訴人ら主張の ような事実たる慣習か成立していたということはてきす,その成立を前提とし て本件各処分か違法無効てあるとする控訴人らの上記主張は採用することかて きない。5 加算税について 控訴人らは,事前協議済として所轄税務署か出した本件各確認書に基ついて参加人か発行した証書を信して,確定申告をしたのてあるから,「真に納税 者の責めに帰することのてきない客観的な事情かあり,過少申告加算税の趣旨 に照らしてもなお納税者に過少申告加算税を賦課することか不当又は酷になる 場合」に当たるということかてき,国税通則法65条4項にいう「正当な理由」 かあると主張する。しかし,上記2ないし4に認定判断したところからすれは,控訴人らは,的 確な法的根拠のない参加人の指導に安易に従って,本件特例の適用要件の外形 を作出したものと認めるのか相当てあり,これを覆すに足りる証拠はないから, 少なくとも,この点において,控訴人らは非難を受けてもむを得ないというへきてあって,本件においては,控訴人らの責めに期することのてきない客観 的事情かあるとはいえす,過少申告加算税を賦課することか不当又は酷になる ということはてきない。したかって,控訴人らの上記主張は採用することかて きない。なお,控訴人らか所轄税務署と参加人の見解の相違に翻弄されたと控 訴人らか主張する点については,そのことを参加人に対する損害賠償請求にお いて考慮すへきか否かはともかく,本件において考慮すへきものとは解されな い。6 まとめ 次のとおり原判を補正するほか,原判「事実及ひ理由」中の「第3 争点に対する判断」の「3」(原判書62頁13行目から同頁22行目まて) 記載のとおりてあるから,これを引用する。(原判の補正)
(1) 原判書62頁18行目の「本件各処分を巡る上述の諸点に照らして検討してみると,」を「前記のとおり,」と改める。
(2) 原判書62頁22行目の「てある」の次に「(以上のほか,控訴人ら及ひ参加人の差戻前の控訴審及ひ当審における主張及ひ立証を精査しても,上記判断を覆すほとの事情は,これを見出すことかてきない。)」を加える。
 第4 結論以上のとおり,控訴人らの本件請求は,いすれも理由かなく,原判は正当 てあるから,控訴人らの本件控訴をいすれも棄却することとし,訴訟費用の負 担につき,民事訴訟法67条1項,61条,65条1項本文,66条を適用し て,主文のとおり判する。名古屋高等裁判所民事第4部
裁判長裁判官 渡 辺 修 
裁判官 嶋 末 和 秀
裁判官 末 吉 幹 和
判例本文

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