主文
 原判決を破棄する。
 被告人を懲役六月に処する。
 ただし本裁判確定の日から四年間右刑の執行を猶予する。 理由
本件控訴の趣意は、弁護人出射義夫、同小原美紀共同作成提出にかかる控訴趣意 書、同補充書各記載のとおりであるから、これをここに引用し、これに対し一件記 録を精査し、かつ当審における事実取調の結果を参酌した上次のように判断する。 所論は、芸妓として酒席に侍する行為は児童福祉法第三四条第一項第五号の規定 により満一五才に満たない児童を対象とする場合のみに禁止せられているのである から、本件のよらに満一五才以上に対するものは右条項に適合しないのは勿論、同 条同項第九号の関知するところではないと主張する。然しながら右条項第五号と第 九号とはそれぞれその犯罪の構成要件を異にし、殊に同条項第一号から第六号まで が児童に対し特定の行為をさせる行為を処罰しているのに対し、同条項第九号は児 童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもつて自己の支配下に置く行為 を処罰しているのであるから、第一号から第六号までと同種の行為でありかつ罪と ならない行為はすべて右九号の有害行為から除かれるものとする所論にはたやすく 左袒し得ないところである。そして原判決にいう芸妓の実体を記録について 見るのに、いずれも遊客の間に在つて遊芸をなし、また酒席を取り持ち、そ の間淫猥の言動に接することのあるのは勿論、時として売淫行為に及ぶことすら稀 らしくない事情(ただしAについては売淫の事実は認められない。)が認められる から、かかる行為が児童の心身に有害な影響を与える行為であることは論を俟たな いところであつて、かかる行為をさせる目的で前述のように右児童等を自己の支配 下に置いた被告人の行為は、所定の除外事由の認められない本件においては、同条 項第九号に該当するものであつて、これと同趣旨に出でた原判決には何等所論のよ うな理由不備もなければ理由のくいちがいもなく、また法の適用を誤つた不法もな いから、所論は採用できない。 (その余の判決理由は省略する。)
 (裁判長判事 石井文治 判事 山田鷹之助 判事 渡辺達夫)
判例本文

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