平成20年3月25日判決言渡 東京簡易裁判所 平成19年(ハ)第28255号 管理費等請求事件判決
主文
 1 被告は,原告に対し,8609円を支払え。
2 被告は,原告に対し,2万6250円及びこれに対する平成20年1月7日 から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。3 訴訟費用は被告の負担とする。
4 この判決は,1項及び2項に限り仮に執行することができる。
事実及び理由 第1 請 求 主文と同旨
第2 事案の概要
 1 請求の原因
別紙記載のとおり
(7) 平成20年2月4日,被告は原告に対し,31万2360円を支払ったので,原告は未払管理費等に充当した。
(8) よって,原告は被告に対し,平成19年1月分から同年12月分までの未払管理費等の合計31万2360円に対する平成19年12月分の管理 費等の支払期限(平成19年11月27日)の翌日である平成19年11 月28日から平成20年2月4日までの年14.6パーセントの割合によ る確定遅延損害金として8609円及び弁護士費用として2万6250円 及びこれに対する平成20年1月7日(訴状送達の日の翌日)から支払済 みまで年5パーセントの割合による遅延損害金の支払いを求める。2 争点 原告は被告に対し,原告の弁護士費用を請求できるかどうか。
 (原告の主張の要旨)原告の管理規約には違約金として弁護士費用を請求できると定められて いる。また国土交通省標準管理規約等においても同様の規定がある。これらの規定は,建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。) 30条1項に定める「建物の管理に関する事項」であり,被告は本件以前 にも管理費等の未払いを繰り返してきたのであるから,訴訟提起のために 要した弁護士費用を負担させることは何ら不合理ではない。 (被告の主張の要旨)我が国において敗訴者が弁護士費用を含めた訴訟費用を負担するという 制度を取っておらず,法改正等で議論されているところである。従って, 管理規約に弁護士費用を請求できる旨の記載があるとしても,その規定自 体が違法なものであって,被告が負担すべきものではない。また,簡易裁判所の事案であり,原告は本人として訴訟をすることがで きるのであるから,本件請求は棄却されるべきである。第3 当裁判所の判断
1 請求原因事実のうち,1ないし4,5(1)及び7の事実については当事者間に争いがない。
 請求原因事実のうち,5(2)及び6の事実については,証拠によってこれを認めることができる。
 2 争点について
(1) 証拠によれば,原告の管理規約62条2項には,管理組合は,区分所有 者等が管理費等を納付しない場合には,未払管理費等に加えて,年14.6 パーセント以内の約定の遅延損害金及び違約金としての弁護士費用を請求す ることができると記載されていることが認められる。(2) 敗訴者に相手方の弁護士費用を負担させるかどうかについては,法制度 上議論のあるところであり,今だ敗訴者に相手方の弁護士費用を負担させる 旨の法律が制定されていないことは,公知の事実である。しかし,現行法制 上においても,敗訴者に相手方の弁護士費用を負担させる旨の合意等(本件 規約を含む)を定めることは,一律に違法とまではいうべきではなく,既存 の法律の趣旨,条項に違反しない限りは,その効力を認めるべきである。ところで,管理費等の未納者に対し,規約において違約金を定めることは,原告のようなマンション管理組合が区分所有であるマンションを管理運営す る上で必要な事項であり,区分所有法30条1項に定める「建物の管理に関 する事項」に該当するというべきである。そして,規約において,弁護士費用相当額を違約金として規定することに ついては,管理費等の未納者に対しその支払いを求める場合において,事案 に応じて,その手続を弁護士に依頼する場合が想定され,弁護士に依頼をす れば相応の弁護士費用がかかることになり,その費用を違約金として規約に 定めること自体は合理性があり,区分所有法の趣旨に反するものではないと いうべきである。また,本件では,被告は本件以前にも管理費等の未払いがあり,本件訴訟 提起後においても管理費等の未払いの状態が一定期間続いていたこと,違約 金として弁護士費用相当額が2万6250円であること等を考慮すると,弁 護士に対して簡易裁判所へ本件の訴えを提起することを依頼したことについ て不合理であるとの点は認められない。(3) よって,原告の主張は理由がある。
3 その他,原告の請求を妨げるに足りる証拠もない。
4 よって,原告の請求は理由があるので認容し,主文のとおり判決する。東京簡易裁判所民事第5室 裁判官河野文孝
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