平成25年11月19日判言渡 同日原本領収 裁判所書記官 平成23年(ワ)第26745号 特許権侵害行為差止等請求事件 口頭弁論の終結の日 平成25年9月17日判
新潟県燕市<以下略>
原 告 同訴訟代理人弁護士 同訴訟代理人弁理士
京都府綾部市<以下略>
被 告 同訴訟代理人弁護士 同訴訟代理人弁理士
株式会社エヒス 高 橋 賢 一 吉 井 剛 吉井雅栄
株式会社アカツキ製作所 平 尾 宏 紀 鎌 田 直 也
主文
1 被告は,原告に対し,100万2888円及ひこれに対する平成23年9月18日から支払済みまて年5分の割合による金員を支払え。
 2 原告の主位的請求及ひその余の予備的請求をいすれも棄却する。3 訴訟費用は,これを12分し,その11を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。
4 この判は,第1項に限り,仮に執行することかてきる。
事実及ひ理由
第1 請求 (主位的請求及ひ予備的請求)
 1 1次的請求
被告は,原告に対し,1176万円及ひこれに対する平成23年9月18日 から支払済みまて年5分の割合による金員を支払え。2 2次的請求 被告は,原告に対し,190万7120円及ひこれに対する平成23年9月18日から支払済みまて年5分の割合による金員を支払え。
 第2 事案の概要本件は,水準器に関する特許権及ひ測定機械器具等についての商標権を有す る原告か,主位的に,被告か製造販売した水準器か原告の特許権の特許発の 技術的範囲に属すると主張し,予備的に,被告か水準器の包装に付した標章か 原告の商標権の登録商標に類似すると主張して,被告に対し,不法行為に基つ く損害賠償として,特許法102条1項若しくは商標法38条1項による損害 1176万円又は特許法102条3項若しくは商標法38条3項による損害1 90万7120円及ひ上記各金員に対する不法行為の日の後てあり訴状送達の 日の翌日てある平成23年9月18日から支払済みまて民法所定の年5分の割 合による遅延損害金の支払を求める事案てある。1 前提事実(当事者間に争いかない。) (1) 原告の特許権ア 原告は,発の名称を「水準器」とする特許権(登録番号特許第357 1894号。以下「本件特許権」といい,この特許を「本件特許」とい う。)を有している。イ 本件特許出の書に添付した細書(以下「本件細書」という。) の特許請求の範囲の請求項1の記載は,本判添付の特許公報の該当項記 載のとおりてある(以下,この請求項1に係る発を「本件発」とい う。)。(2) 原告の商標権
ア 原告は,商品の区分及ひ指定商品を「第9類 測定機械器具,水準器を収納する布製水準器用ケース・その他の測定機械器具の附属品,救命用具, 保安用ヘルメット,電気磁気測定器,電気通信機械器具,電子応用機械器具及ひその部品,第16類 文房具類,印刷物,写真,写真立て,紙製包 装用容器,紙製のほり,紙製旗,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーフル ナフキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,荷札」とする商標権(以下「本件 商標権」といい,この商標登録を「本件商標登録」という。)を有してい る。イ 本件商標登録出の書に記載した商標は,本判添付の商標公報の 「登録商標」の項記載のとおりてある(以下,この商標を「本件登録商 標」という。)。(3) 被告の行為 被告は,別紙被告製品目録記載の水準器(以下「被告製品」という。)を製造し,平成22年11月30日から,その包装に別紙被告標章目録記載の 標章(以下「被告標章」という。)を付して販売した。被告か平成23年1 月13日まてに販売した被告製品の個数は3935個てある。(4) 本件発と被告製品との対比 ア 本件発の分説
本件発は,次の構成要件からなる(以下,分説した構成要件をそれそ れの符号に従い「構成要件A」のようにいう。なお,構成要件中の各符号 は本件細書の図面の簡単な説の記載のものを表す。)。A 被測定物aの水平度垂直度なとを測定する水準器てあって,B 水準器本体1の被測定物aと当接する底面2に凹溝3を設け,
C この凹溝3の左右両側の溝縁部4に設けた嵌入部10に磁石11を嵌入固定して成る磁石部5を設け,
D この磁石部5は,凹溝3の長さ方向に沿った細長形状に構成され, E 且つ,磁石部5を構成する磁石11の側縁角部12か前記凹溝3の溝縁部4に略合致するように構成されている。
 F 以上を特徴とする水準器。イ 被告製品の構成 被告製品の構成は,次のとおりてある(以下,それそれの符号に従い「構成」のようにいう。なお,構成中の各符号は,本件発の構成要件 中の各符号に対応するものてある。)。 被告製品は,被測定物a’の水平度垂直度を測定する水準器てある。 T 水準器本体1’の被測定物a’と当接する底面2’には,断面三角形の凹溝3’か設けられている。
U 前記凹溝3’の左右両側の溝縁部4’に設けた嵌入部10’には,水準器本体1’に内蔵された磁石Mと当接する鉄片11’の下端部か嵌入されている。
V 前記鉄片11’は,水準器本体1’の内部て上下動可能てあり,上下動の下限位置において前記底面2’から設計上0.23mm(公差は+0. 2mm)没入し,その上限位置において前記底面2’から設計上0.56 mm(公差は+2mm)没入している。W 鉄片11’は,凹溝3’の長さ方向に沿った細長形状てある。X 鉄片11’の側縁角部12’か前記凹溝3’の溝縁部4’から少なくとも垂直方向に離間している。
Y 以上を特徴とする水準器てある。
ウ 被告製品の構成は構成要件Aを,構成Tは構成要件Bをそれそれ充足 する。(5) 本件登録商標と被告標章との対比 被告標章は,本件登録商標に類似し,被告製品は,本件商標権の指定商品てある「測定機械器具」に含まれる。
(6) 本件商標登録出の日前の商標登録出に係る他人の商標
ア 株式会社佐藤ケミカルは,本件商標登録出の日てある平成22年5月 20日前の平成15年9月30日の商標登録出に係る商標権(商標登録第4766068号)を有している。
イ 上記商標登録出の書に記載した商標並ひに商品の区分及ひ指定商品は,本判添付の商標公報の該当項記載のとおりてある(以下,この商標を「先行商標」という。)。
ウ 本件商標は,先行商標に類似する。
2 争点
(1) 被告製品か本件発の技術的範囲に属するか否か(争点1)(2) 本件特許か特許無効審判により無効にされるへきものと認められるか否か(争点2)
(3) 本件商標権の効力か被告標章に及はないか否か(争点3)(4) 本件商標登録か商標登録の無効の審判により無効にされるへきものと認められるか否か(争点4)
(5) 本件商標権侵害により原告か受けた損害の額(争点5)
3 争点に関する当事者の主張
(1) 争点1(被告製品か本件発の技術的範囲に属するか否か)についてア 被告製品の鉄片11’か本件発の磁石11に当たるか否か (原告)磁石とは,鉄を吸引する性質を示す物体てあり,外部から磁場電流の 供給を受けすに磁石としての性質を有する永久磁石に限らす,一時的に外 部から磁場電流の供給を受けて磁石としての性質を有する電磁石等の物 体も含むところ,被告製品は嵌入部10’に嵌入された鉄片11’か本体 1’に内蔵された磁石Mと当接することにより磁気を帯ひ磁力を発生して 鉄を吸引する性質を示すから,鉄片11’は,本件発の磁石11に当た る。(被告) 被告製品の嵌入部10’に嵌入されているのは鉄片11’てあって,これは本件発の磁石11には当たらない。
イ 被告製品において鉄片11’の側縁角部12’か凹溝3’の溝縁部4’に「略合致する」といえるか否か (原告)
(ア) 本件発は,管材の水平度合を良好に測定することのてきる水準器 に係るものてあるところ,別紙参考図の参考図1のように底面に凹溝 (V溝)かない場合,水準器か被測定物(管材)に吸着固定されす,不 安定となるか,凹溝かある場合ても,同参考図2のように,磁石部か被 測定物(管材)に水平方向(底面の面方向)て接さす近接しないと,磁 石の作用か及はすに水準器は吸着固定されない。そして,同参考図3の ように,磁石部を被測定物(管材)に水平方向て近接すると,磁力か作 用して水準器か吸着固定し,水平度合を測定することかてき,さらに, 同参考図4のように,磁石部か没入しても,吸着固定てきる強さの磁力 か作用する限り,何ら支障はない。このように,構成要件Eにおいて, 「磁石部5を構成する磁石11の側縁角部12か前記凹溝3の溝縁部4 に略合致する」方向は,垂直方向(底面の面方向と直交する方向)ては なく,水平方向のことてあり,本件発は,水平方向における磁石部の 位置を特定したものてある。本件発は,基準面てある底面の縁(凹溝の左右両側の溝縁部)に嵌 入部か設けられ,ここに嵌入固定された磁石により「磁力か作用する部 分」か「磁石部」となり,溝縁部と基準面とか水平方向において略合致 するものてあり,このことは,本件細書の発の詳細な説の段落 【0011】,【0022】及ひ【0028】の記載からもらかてあ る。そして,対比される両者か垂直方向に離反した状態てあっても,水 平方向に同位置にあれは,垂直方向から見たときに両者はひったり合っ ているから,「合致」の通常の用法に従った意味に基つけは,本件発の「略合致」を水平方向のみならす垂直方向にもほほ同位置にあるとの 意味に解さなけれはならない理由はない。また,本件発の作用効果て述へているのは,「磁石」てはなく,凹 溝の左右両側の溝縁部に設けた嵌入部に磁石を嵌入固定し,凹溝の長さ 方向に沿った細長形状をし,磁力か作用して被測定物に当接する「磁石 部」てあって,本件発は,磁石を基準面とするのてはなく,磁石部を 基準面とするものてある。(イ) 被告製品は,鉄片11’の側縁角部12’か凹溝3’の溝縁部4’ と水平方向において「合致」又は「略合致」し,被告製品の構成Vにお ける鉄片11’か底面から没入していても被測定物に対して磁力か作用 するから,被告製品の磁石部は,被測定物に当接するのてある。仮に本 件発の「磁石部」か「磁石」を意味するとしても,被告製品の鉄片1 1’はカタつく構成てあり,その没入量は最大て0.7mm程度の極めて わすかな没入てあって,有意なものてはない。(ウ) そうてあるから,被告製品の鉄片11’の側縁角部12’は,凹溝 3’の溝縁部4’に「略合致」する。(被告)
(ア) 一般に「合致」とは,対比される両者か「ひったり合うこと」を意味し,これらか水平方向にのみ同位置にあっても垂直方向に離反すると, 両者はひったり合っていないから,本件発の「略合致」も,水平,垂 直の両方向にほほ同位置にあることを意味すると解するのか自然てあり, 本件特許出の書に添付した図面(以下「本件図面」という。)の図 3ないし5においても,磁石11の側縁角部12と凹溝3の溝縁部4と か水平,垂直の両方向に同位置にある状態か図示され,側縁角部12と 溝縁部4とか垂直方向に離間している態様は一切開示されていない。本 件発の効果につき記載された本件細書の発の詳細な説の段落【0027】ないし【0029】において,「…板材のような被測定物 とも…磁石部か当接し」,「…磁石部も…確実に被測定物に当接するこ とになり」,「…磁石部と被測定物との当接線か長く」と繰り返し強調 されているとおり,本件発は,水準器本体1の底面を被測定物に当て た際にその底面に露出する磁石部5も被測定物に当接することか大前提 となっているところ,「当接」とは物同士か当たっていて接している状 態をいい,直接に当たってはいないか互いに近くに位置していることを 意味する「近接」とは確に区別される概念てあり,また,段落【00 30】には,「磁石部の側縁角部」との記載かあって,本件特許の請求 項2の発においては被測定物に当接するのか磁石てあることはらか てあるから,これらの「磁石部」は磁石を指すものとして統一的に解釈 されるへきてある。そして,原告は,本件特許出の際に,平成13年 3月16日付意見書及ひ同年8月29日付手続補正書において,本件発 ては磁石部かそのまま基準線(基準面)として機能し得るようにした 点か画期的てある旨主張しているから,本件発の技術的思想の中核は, 磁石11を被測定物に当接させ,吸着手段としての機能とともに基準線 (基準面)としての機能を発揮させる点にある。そうすると,構成要件Eの「略合致」とは,磁石11の側縁角部12 と凹溝3の溝縁部4とか水平及ひ垂直の両方向においてほほ同位置にあ って,磁石11か被測定物に確実に当接する状態を意味すると解すへき てあり,さらに,磁石11か被測定物に当接して測定の基準線となるた めに,磁石11の下面か水準器本体の底面と同一平面を構成するか,水 準器本体の底面から突出している必要かあるから,結局,磁石の下面か 水準器本体の底面と同一平面を構成するように,磁石の側縁角部か凹溝 の溝縁部に完全に合致するか,磁石の側縁角部か凹溝の溝縁部よりも 突出することを意味すると解釈するほかない。(イ) 被告製品は,鉄片11’を意図的に没入させ,鉄片11’の側縁角 部12’か凹溝3’の溝縁部4’から垂直方向に離間していて被測定物 と当接せす,凹溝3’の溝縁部4’に「略合致」しないから,構成要件 Eを充足しない。被告製品の鉄片11’は,水準器本体1’の内部においてその内面か ら突出する凸部Pに嵌合され,鉄片11’と凸部Pの間には隙間かあっ て,鉄片11’は上記隙間分たけの傾きカタつきか許容され,その上 下動の範囲は底面2’から0.23mmないし0.56mm(公差を考慮す ると最大0.43mmないし0.76mm)てあって,上下限の差は0.3 3mmと相当程度大きく,傾きカタつきの度合いもこれに比例して相当 程度大きいから,被告製品は,その鉄片11’を基準面として機能させ ることはない。また,本件発の構成要件Eのように,磁石11の側縁 角部12と水準器本体1の底面2に設けられた凹溝3の溝縁部4とを略 合致させるには,正確な位置合わせのために非常に精密な加工か必要と なって製造コストかかさむ一方,不可避的に生する製造誤差により磁石 の側縁角部か水準器本体の底面から突出してしまうと,被測定物は水準 器本体の底面に当接せす磁石のみに当接することになるから,被告製品 のように鉄片11’か上下動し,傾斜し,カタつく場合には基準面か存 在しなくなってしまって水平度の正確な測定か不可能となる。そこて, 被告製品は,鉄片11’を底面2’からあえて没入させて,凹溝3’と の関係て正確な位置合わせを行う必要をなくし,磁石か被測定物に当接 することを確実に阻止するという本件発とは別異の作用効果を奏する ものとしたのてあって,本件発とは技術的思想か根本的に異なる。(ウ) そうてあるから,被告製品の鉄片11’の側縁角部12’は,凹溝 3’の溝縁部4’に「略合致」しない。(2) 争点2(本件特許か特許無効審判により無効にされるへきものと認めら 9れるか否か)について (被告)
ア 本件特許の特許出前に頒布された刊行物てある米国特許第30466 72号公報(乙11。以下「引用例1」という。)には,次の発(以下 「引用発1」という。)か記載されている。a1 被測定物の水平度垂直度を測定する水準器てある。
b1 水準器本体22の被測定物と当接する底面26に凹溝49を設けて いる。c1 この凹溝49の左右両側の溝縁部に設けた嵌入部48に,水準器本 体22に内蔵される磁石34を嵌入固定してなる磁石部23を設けて いる。d1 この磁石部23は,凹溝49の長さ方向に沿った細長形状に構成さ れている。e1 移動可能な磁石34の下端に形成された傾斜面37の側縁角部か磁 石34の突出位置において前記凹溝49の溝縁部に略合致するように 構成されている。f1 以上を特徴とする水準器てある。
イ 本件特許の特許出前に頒布された刊行物てある米国特許第2789363号公報(乙12。以下「引用例2」という。)には,次の発(以下 「引用発2」という。)か記載されている。a2 被測定物の水平度垂直度を測定する水準器てある。
b2 水準器本体10の被測定物と当接する底面13に凹溝16ないし20を設けている。
c3 この凹溝16ないし20の内部から左右両側の溝縁部にかけて設けた嵌入部14に磁石15を嵌入固定してなる磁石部を設けている。
 d2 この複数の磁石15からなる磁石部は,凹溝16ないし20の長さ方向に沿った細長形状に構成されている。
e2 磁石部を構成する磁石15の凹溝21の溝縁角部か凹溝16ないし20の溝縁部に略合致し,かつその凹溝21の溝縁角部は磁石15全体の両側に位置するように構成されている。
 f2 以上を特徴とする水準器てある。ウ 本件発は,引用発1と同一てある。仮に本件発か凹溝3の左右両 側の溝縁部4に設けた嵌入部10に磁石11を嵌入固定するのに対し,引 用発1は磁石部か支持フレームに対して相対的に移動可能に取り付けら れる点て両発か相違するとしても,本件発は,引用発1に技術常識 又は引用例2に開示された公知技術を組み合わせることによって,当業者 か容易に想到することかてきた。エ 本件発は,引用発2と同一てある。仮に本件発は嵌入部10か凹 溝3の左右両側の溝縁部4のみに設けられているのに対し,引用発2は 嵌入部14か凹溝16ないし20の内部から左右両側の溝縁部にかけて設 けられている点て両発か相違するとしても,本件発は,引用発2に 技術常識又は引用例1に開示された公知技術を組み合わせることによって, 当業者か容易に想到することかてきた。(原告)
ア 引用発1は,a1,b1,d1及ひf1の構成を備えているか,c1の構成は,「この凹溝49の左右両側の溝縁部に設けた嵌入部48に,水 準器本体22に内蔵される磁石34を突没自在に嵌入してなる磁石部23 を設けている。」というものてあり,e1の構成は,「移動可能な磁石3 4の下端に形成された傾斜面37は,磁石34か突出した位置において, 傾斜面37の下端の内側の側縁角部は,凹溝49の溝縁部と略合致するか, 外側の側縁角部は,前記凹溝49の溝縁部よりも外側に位置するように構 成されている。」というものてある。イ 引用発2は,a2,b2,e2及ひf2の構成を備えているか,c2 の構成は,「凹溝16,17の間と,凹溝17,18の間と,凹溝18, 19の間と,凹溝19,20の間に円形の開口14を設け,この開口14 に磁石15を嵌入固定してなる磁石部を設けている。」というものてあり, d2の構成は,「この複数の磁石15からなる磁石部は,凹溝16ないし 20の長さ方向に沿った細長形状に構成されている。」というものてある。ウ 本件発と引用発1は,磁石部か固定式か突没式か,磁石の側縁角部 か凹溝の溝縁部に略合致するかしないかという点て大きく異なり,全く別 の発てある。そして,本件発と引用発1とは,構成も作用効果も大 きく異なり,引用発1には本件発の技術思想か全く開示されていない から,本件発は,当業者か引用発1に基ついて容易に発をすること かてきたとはいえない。エ 本件発と引用発2は,凹溝の左右両側の溝縁部に設けた嵌入部に磁 石を嵌入固定するか凹溝間の開口に凹溝付きの磁石をはめ込み固定するか という点と,磁石部か凹溝の長さ方向に沿った細長形状か円形かという点 て大きく異なり,全く別の発てある。そして,本件発と引用発2と は,構成も作用効果も大きく異なり,引用発2には本件発の技術思想 か全く開示されていないから,本件発は,当業者か引用発2に基つき 容易に発をすることかてきたとはいえない。(3) 争点3(本件商標権の効力か被告標章に及はないか否か)について (被告)被告標章は,本件登録商標と異なる書体て表現された「鳶」の文字からな るか,水準器は,建設現場等て「鳶」と略称される鳶職か用いることか想定 されているものてある上,「鳶レヘル」という標章か「鳶職用の水準器」を 表すものとして一般名称,普通名称として使用されている実情からすると, 被告標章には,用途を示す「鳶用」の「用」の文字を省略しつつ鳶職用てあることか含意されている。そして,被告標章は,被告製品の商品名被告商 号と異なる上,商品名か被告製品自体その包装容器に収納される台紙の複 数箇所に表示されているのに対し,包装容器の背面側に収納される台紙の表 面上部角隅に印刷されているに過きないから,商品名等の表示に対して従属 的なものて,商品の特性を補足説等する目的て使用されているものと理解 される。そうてあるから,被告標章は,鳶職用てあるという商品の用途を普通に用 いられる方法て表示する商標てある。(原告) 水準器測定機械器具は,種々の場所て使用され,鳶職以外の作業者その他種々の者か使用するものてあるから,通常の用途として,建設現場等て鳶 職か用いることか本来的に予定されているとはいえないし,測定機械器具に ついて被告標章を使用した場合に一般需要者かその商品を鳶職用てあると認 識することもないから,被告標章は,鳶職用てあるという商品の用途を普通 に用いられる方法て表示する商標てはない。(4) 争点4(本件登録商標か商標登録の無効の審判により無効にされるへき ものと認められるか否か)についてア 本件登録商標か商品の用途を普通に用いられる方法て表示する標章のみからなる商標に当たるか否か (被告)
水準器を含む測定機械器具は,建設現場等て鳶職か用いることか想定さ れていて,本件登録商標には「鳶」のみて鳶職用てあることか含意されて いるから,ありふれた書体からなる本件登録商標は,その指定商品のうち 「測定機械器具」及ひこれに類似する商品の用途を普通に用いられる方法 て表示する標章のみからなる商標に当たる。(原告)
前記(3)(原告)欄と同様の理由により,本件登録商標は,商品の用途 を普通に用いられる方法て表示する標章のみからなる商標に当たらない。
 イ 本件登録商標か先行商標の商標登録に係る指定商品に類似する商品について使用をするものに当たるか否か (被告)
本件商標登録に係る指定商品てある測定機械器具と先行商標の商標登録 に係る指定商品てある土木機械器具とは,いすれも建設現場て鳶職等の現 場作業者により施工のために用いられ,土木機械器具の専門店て販売され るから,需要者,目的,用途及ひ販売業者か共通する。また,測定機械器 具を製造するメーカーの多くは土木機械器具も製造しているから,製造業 者も一定程度共通する。そうすると,測定機械器具と土木機械器具に同一又は類似の商標を付し た場合には,需要者は両商品か同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤 認混同するおそれか大きいといえるから,測定機械器具は,先行商標の商 標登録に係る指定商品てある土木機械器具に類似する。(原告) 測定機械器具は,先行商標の商標登録に係る指定商品てある土木機械器具に類似しない。
(5) 争点5(本件商標権侵害により原告か受けた損害の額)について (原告)ア 被告は,平成22年11月30日から平成23年7月末まてに被告製品 を2万6400個販売した。原告か被告による侵害の行為かなけれは販売 することかてきた商品てある本件特許の実施品「トヒレヘル」(以下「原 告製品」という。)の単位数量当たりの純利益の額(以下「単位利益額」 という。)は400円てあるから,販売数量にこれを乗して得た1056 万円か原告の受けた損害の額てある。また,弁護士費用相当損害金は120万円か相当てある。
イ 被告製品の出荷価格は1066円てあり,相当な使用料率は出荷価格の 5%てあるから,上記期間における本件登録商標の使用に対し受けるへき金銭の額は,次の算式により算出される140万7120円となるところ, これに相当する額の金銭か原告の受けた損害の額てある。
 (算式)26,400個×1,066円×5%=1,407,120円また,弁護士費用相当損害金は50万円か相当てある。 (被告)ア 被告は,平成23年1月13日まての販売個数3935個を超えて被告 製品を販売していない。被告製品の1個当たりの利益額は,90円を下回 るから,原告製品の単位利益額か100円を上回ることはなく,原告の受 けた損害の額は,39万円を上回ることはない。そして,上記3935個のうち254個は無償て譲渡したものてあるこ と,被告製品か意匠登録され,展示会てもテサインか好評を博したこと, 被告製品の包装カタロクに「超強力マクネット搭載!」,「超強力マク ネット付!」,「テカ気泡管て見易い!」等の記載かあるように,こうし た技術的特徴か被告製品のセールスホイントてあること,被告製品の主た る識別標識はその商品名てあって,被告標章は識別機能か極めて弱いこと からすれは,被告標章の寄与率は5%を上回らない。そうすると,原告の 受けた損害の額は,39万円に5%を乗して得た約2万円を上回ることは ない。イ 本件登録商標の使用に対し受けるへき金銭の額は,被告標章使用期間中 の被告製品の純利益約33万円に5%を乗した約1万6000円てあり, 原告の受けた損害の額は,これを超えることはない。第3 当裁判所の判断
1 特許権侵害について
(1) 争点1(被告製品か本件発の技術的範囲に属するか否か)についてア 証拠(甲5)によれは,(a) 本件発は,磁石付きの水準器に関する ものてある,(b) 被測定物の平面と当接する水準器本体の平面上の底面 に磁石部か設けられた水準器は,磁石部の吸着作用により水準器本体を被 測定物に揺動不能に固定されるように構成されているところ,底面に凹溝 か設けられた水準器は,管材のような被測定物の凸状形状を凹溝に挿入す ることて,凹溝の左右両側の溝縁部を被測定物に2本線て当接させ,水準 器本体を被測定物に手て押しつけて揺動不能に固定てきるように構成され ているか,水準器本体を被測定物に揺動不能とするために手て押しつけ続 けるのは厄介てある,(c) 本件発は,このような問題点を解するた めに,平面にも凸状形状にも磁石部か当接てき,この磁石部による吸着作 用により,板材のような被測定物にも管材のような被測定物にも水準器本 体を揺動不能に固定てきる実用性,作業性に秀れた水準器を提供すること を目的として,本件細書の特許請求の範囲の構成を採用し,このように 構成したことにより,水準器本体の被測定物と当接する底面に凹溝と磁石 部とを最適な位置関係て配設する簡単な構成により,板材のような被測定 物とも管材のような円弧状の被測定物とも磁石部か当接し,この磁石部に よる吸着作用て水準器本体を被測定物に確実に揺動不能に固定して水平度なとを測定することかてきる実用性,作業性に秀れた水準器となり,また, 磁石部の側縁角部か凹溝の溝縁部に略合致するように構成したことにより, 管材のような円弧状の被測定物に水準器本体の底面を当接する場合に磁石 部も凹溝の溝縁部も確実に被測定物に当接することになって,より一層実 用性に秀れた水準器となり,さらに,磁石部か凹溝の長さ方向に沿った細 長形状に構成されていることにより,磁石部と被測定物との当接線か長く なって,必然的に磁石部による吸着作用箇所か長くなり,水準器本体を被 測定物により一層確実に揺動不能に固定てきることになる極めて実用性に秀れた水準器となるとの作用効果を奏する,以上の事実か認められる。
 イ 構成要件Eは,「磁石部5を構成する磁石11の側縁角部12か前記凹 溝3の溝縁部4に略合致するように構成されている」というのてあり,構 成要件Cか磁石11を,「凹溝3の左右両側の溝縁部4に設けた嵌入部1 0に嵌入固定して成る磁石部5を設け」と規定しているから,凹溝3の左 右両側の溝縁部4に設けた嵌入部10に嵌入固定された「磁石11の側縁 角部12」と「凹溝3の溝縁部4」とかほほ同位置にある,ほほ合っていることを規定している。 そこて,さらに,構成要件Eの技術的な意味についてみるのに,証拠(甲5)によれは,本件細書の発の詳細な説には,実施の形態につ いて,「磁石部5は凹溝3の左右両側の溝縁部4に設けられているから, 例えは,水準器本体1の底面2を管材のような円弧状の被測定物aに当接 させた場合,水準器本体1の凹溝3に被測定物aの凸状形状か挿入され, この凹溝3の左右両側の溝縁部4か被測定物aに2本線て当接し,必然的 に前記溝縁部4に設けられた磁石部5か被測定物aに当接し,この磁石部 5の吸着作用により,水準器本体1か被測定物aに揺動不能に固定される ことになる。」(段落【0011】),「尚,溝縁部4及ひ磁石部5と管 材のような円弧状の被測定物aとの当接は線てあるから,溝縁部4及ひ磁 石部5は,径寸法の大きな円弧状の被測定物aにも径寸法の小さな円弧状 の被測定物aにも当接することかてきる。」(段落【0012】),「ま た,凹溝3の左右両側の溝縁部4は水準器本体1の底面2と面一となる位 置てもあるから,水準器本体1の底面2を板材のような被測定物aに当接 させた場合,必然的に前記溝縁部4に設けられた磁石部5か被測定物aに 当接し,この磁石部5の吸着作用により,水準器本体1か被測定物aに揺 動不能に固定されることになる。」(段落【0013】)との記載かある ことか認められる。「当接」とは,「物同士か当たっていて接している状態」,「突き当て た状態に接すること」を意味する(このことは当事者間に争いかない。) ところ,上記認定の事実及ひ前記ア認定の事実によれは,本件発は,特 に管材のような円弧状の被測定物aに水準器本体1の底面を当接する場合 に磁石部5も凹溝3の溝縁部4も確実に被測定物aに当たっていて接して いる状態とするために,「磁石11の側縁角部12」と「凹溝3の溝縁部 4」とか略合致する(構成要件E),すなわち,ほほ同位置にある,ほほ 合っているという技術手段を採用したものと認められる。ウ 原告は,磁石部を被測定物(管材)に水平方向に近接することにより磁 力か作用して水準器か被測定物に吸着固定すること,略合致するのか水平 方向てあることは,本件細書の発の詳細な説の段落【0011】, 【0022】及ひ【0028】の記載かららかてあること,対比される 両者か垂直方向に離反した状態てあっても,水平方向に同位置にあれは, 垂直方向から見たときに両者はひったり合っていることなとを根拠として, 「磁石部5を構成する磁石11の側縁角部12か前記凹溝3の溝縁部4に 略合致する」方向は,水平方向のことてあり,垂直方向への離反は許容さ れているのてあって,被測定物と当接し,基準線(基準面)として機能す る磁石部は,磁石そのものてはなく,磁力か作用する部分のことてあると 主張する。しかしなから,磁力の作用により水準器か被測定物に吸着固定するため には,水平方向のみならす,垂直方向においても磁石部か被測定物に少な くとも近接する必要かあることはらかてあるし,原告か指摘する本件 細書の発の詳細な説の各段落に,「磁石11の側縁角部12」と「凹 溝3の溝縁部4」か略合致する方向を水平方向に限定することの記載はな く,他に本件細書の発の詳細な説本件図面に,「磁石11の側縁 角部12」と「凹溝3の溝縁部4」か略合致する方向を水平方向に限定する,あるいは両者か垂直方向には離反し得ることについての記載もない。 また,磁石部は,磁石そのものてはなく,磁力か作用する部分てあるとす ると,本件細書の発の詳細な説に磁石部と被測定物とか「当接す る」旨の記載か多数あることにそくわない。そうてあるから,原告の上記主張は,採用することかてきない。エ 前記前提事実によれは,被告製品の鉄片11’は,水準器本体1’の内 部て上下動可能てあり,上下動の下限位置において前記底面2’から設計 上0.23mm(公差は+0.2mm)没入し,その上限位置において前記底 面2’から設計上0.56mm(公差は+2mm)没入しているというのてあ り(構成V),また,証拠(甲6)によれは,原告代理人か実際の被告製 品6個の没入度合を測定したところ,下限位置において底面から少なくと も0.1mm没入していることか認められるのてあって,鉄片11’の側縁 角部12’か被測定物と当たっていて接している状態にあるということは てきない。そして,弁論の全趣旨によれは,鉄片11’の側縁角部12’ と凹溝3’の溝縁部4’とか略合致する,すなわち,ほほ同位置にある, ほほ合っているようにするためには,正確な位置合わせのための精密な加 工か必要となって製造コストか嵩む上,略合致させようとしても製造誤差 か確実に発生し,例えは,鉄片11’の側縁角部12’か水準器本体の底 面から突出した場合には,板状の被測定物か水準器本体の底面に当接しないことから,被告製品の構成を上記のようにしたことか認められる。 そうてあれは,被告製品は,被測定物に水準器本体の底面に当接する場 合に鉄片11’の側縁角部12’か被測定物に当たっていて接している状 態とならないようにするために,鉄片11’を水準器本体の底面から没入させるという技術手段を採用したものと認められる。そうすると,これは, 本件発の技術手段とはらかに異なるものてあるから,被告製品の鉄片 11’か本件発の磁石11に当たるものてあるとしても,鉄片11’の側縁角部12’か凹溝3’の溝縁部4’「略合致」するということはてき ない。原告は,鉄片11’かカタつく構成てあり,その没入量も極めてわすか てあるから有意なものてはないと主張するところ,その趣旨は判然としな いか,被告製品は,鉄片11’を水準器本体の底面から没入させているの てあるから,原告の主張は,失当というほかなく,これを採用することは てきない。オ したかって,被告製品は,本件発の構成要件Eを充足しないから,本 件発の技術的範囲に属しない。(2) 以上のとおりてあるから,特許権侵害に基つく主位的請求は,その余の 点について判断するまてもなく,理由かない。2 商標権侵害について
(1) 争点3(本件商標権の効力か被告標章に及はないか否か)についてア 建設現場等て鳶職か水準器を使用することかあるとしても,水準器は, 専ら鳶職たけか使用するというわけてはなく,かえって,証拠(甲1, 2)によれは,水準器には,用途,レヘルの感度精度及ひ機能に応して 多数の種類かあることか認められるから,鳶職以外の者か水準器を使用す ることも多いと考えられるのてあって,水準器の需要者は鳶職に限られな い。そうてあるから,水準器に付された被告標章に接した需要者か,被告 標章について,鳶職の用途を表示するものと認識するということはてきな い。そして,前記前提事実に証拠(甲2,3,乙6)及ひ弁論の全趣旨を総 合すれは,被告標章は,「鳶」との黒色の毛筆様の文字に赤色の影を付し てなるものてあること,被告標章は,フラスチック製の透なケースに挟 まれた台紙の表面左上部に表示され,右上部には赤色て「KOD」との文 字を菱形て囲んた被告の標章か表示され,台紙の裏面には,上部に黒色て「POTECT AMOU」,「フロテクト アーマー」との品名, 下部に黒色て被告の商号か表示され,上記ケースの底部に当たる部分には 黒色て品名と品番か表示されていること,ケース内の被告製品には,中央 に黒色て「鎧」との文字か表示され,その左側に赤色て上記標章,黒色て 「Protect」との文字,右側に赤色て品番,黒色て「Armou r」との文字かそれそれ2段て表示されていること,包装された被告製品 を正面から見ると,被告標章か一番大きく目立つ位置に表示されているこ とか認められ,これらの事実に照らせは,被告標章か普通に用いられる方 法て表示する商標てあるということはてきない。そうてあるから,被告標章か水準器の用途を普通に用いられる方法て表 示する商標てあると認めることはてきない。イ 被告は,水準器は建設現場等て鳶職か用いることか想定されており, 「鳶レヘル」という標章か「鳶職用の水準器」を表す一般名称,普通名称 として使用されている実情からすると,被告標章には鳶職用てあることか 含意されていると主張する。しかしなから,水準器は,専ら鳶職たけか使 用するわけてはないし,「鳶レヘル」との標章か鳶職用の水準器を表す一 般名称普通名称として使用されていることを認めるに足りる証拠はない のてあって,被告標章に鳶職用てあることか含意されているということは てきない。被告の上記主張は,採用することかてきない。被告は,被告標章か商品名等の表示に対して従属的なものて,商品の特 性を補足説等する目的て使用されていると主張する。しかしなから,被 告は,これに赤色の影を付して目立つ態様て表示しているのてある。被告 の上記主張は,採用することかてきない。(2) 争点4(本件登録商標か商標登録の無効の審判により無効にされるへき ものと認められるか否か)についてア 本件登録商標か商品の用途を普通に用いられる方法て表示する標章のみからなる商標に当たるか否か 水準器を含む測定機械器具及ひこれに類似する商品は,専ら鳶職たけか使用するわけてはなく,その需要者は鳶職に限らないのてあって,本件登 録商標に接した需要者か,本件登録商標について鳶職の用途を表示するも のてあると認識するということはてきない。そうてあるから,本件登録商標か商品の用途を普通に用いられる方法て 表示する標章のみからなる商標に当たるとは認められない。イ 本件登録商標か先行商標の登録商標に係る指定商品に類似する商品につ いて使用をするものに当たるか否か測定機械器具と土木機械器具か通常同一営業主により製造又は販売され ていることを認めるに足りる証拠はなく,本件全証拠によっても上記誤認 のおそれかあると認められる関係を窺わせる事情は見出せないから,測定 機械器具と土木機械器具か類似するとは認められない。そうてあるから,本件登録商標は,先行商標の商標登録に係る指定商品 に類似する商品について使用をするものに当たるとは認められない。(3) 争点5(本件商標権侵害により原告か受けた損害の額)について ア 商標法38条1項の主張について(ア) 被告か平成23年1月13日まての販売個数3935個を超えて被 告製品を販売したことを認めるに足りる証拠はない。原告は,被告か同 日後にも被告標章を包装に付した被告製品を販売している証拠として陳 述書(甲10)インターネットの検索結果(甲11,12)を援用す るか,陳述書(甲10)には,被告製品の包装に被告標章か付されてい たことについての記載かないし,インターネットの検索結果(甲11, 12)には包装(台紙)に被告標章か付されていない被告製品の写真か 掲載されているから,これをもって,被告か同日後に被告標章を包装に 付した被告製品を販売したと認めることはてきない。(イ) 証拠(甲9,48)及ひ弁論の全趣旨によれは,原告か販売する原 告製品の販売価格(卸売価格)は899円,1個当たりの製造原価は3 80円,被告の販売期間に対応する原告の会計年度第34期(平成22 年7月21日から平成23年7月20日まて)の原告の全売上高は4億 6238万4942円,うち原告製品の売上高は4994万1569円, また同期間における販売費及ひ一般管理費(以下「販管費」という。) の額か1億3006万4883円,同期間における販売数量(返品数量 を控除後のもの)か5万1714個てあることか認められる。これらによると,原告製品の1個当たりの粗利益額は519円(=8 99円-380円),上記期間中の原告製品の売上高か全売上高に占め る割合か約10.8%(=4994万1569円÷4億6238万49 42円×100),上記販管費の額に上記割合を乗した額か1404万 7007円(=1億3006万4883円×0.108。円未満切捨 て),これを上記販売数量て除した1個あたりの販管費の額か271円 (=1404万7007円÷5万1714個。円未満切捨て)となるこ とか認められ,粗利益額から販管費の額を控除すると,原告製品の単位 利益額は,248円(=519円-271円)となる。原告は,原告製品の単位利益額か400円てあると主張し,これは, 平成21年7月21日から平成23年7月20日まて(第33期及ひ第 34期)の算数値を基礎とし,かつ原告製品においては販管費か他の 製品よりもかからないことを根拠とするものと窺われるか,被告製品か 販売されていない第33期の算数値を考慮すへき理由はなく,また, 原告製品の販管費か他の製品よりもかからないことを認めるに足りる証 拠はないから,原告の上記主張は,採用することかてきない。(ウ) そこて,被告か販売した被告製品の数量3935個に,原告か被告 の侵害行為かなけれは販売することかてきた原告製品の単位利益額248円を乗しると,97万5880円となり,原告か多種の水準器を製造 販売していること原告の売上規模等に照らすと,これは原告の使用の 能力に応した額を超えないと認められる。(エ) ところて,証拠(乙21,22)によると,被告は,上記販売数量 3935個のうち,少なくとも254個については無償て提供したこと か認められるから,この分については原告か販売することかてきなかっ たと認めるのか相当てあり,この個数に応した6万2992円(=25 4個×248円)は,上記97万5880円から控除すへきてある。被告は,テサイン被告製品の技術的特徴かセールスホイントてある こと等も考慮すへきてあると主張するところ,確かに,証拠(乙18) によれは,被告製品か意匠登録を受けたこと,被告製品の包装に「超強 力マクネット搭載!」,「超強力マクネット付!」,「テカ気泡管て見 易い!」といった記載かあることか認められるか(なお,乙6の被告の 製品カタロクは平成23年8月22日に発行された設計変更後の被告製 品か掲載されているものてあるから,被告標章を包装に付した被告製品 か販売されていた当時のカタロクの内容は証拠上判然としない。),証 拠(甲1,11)によれは,原告製品も磁石の強力さ気泡管か暗い場 所て発光し便利てあるといった特徴て売り出していること,被告製品も 原告製品の品名に類似する「鳶レヘル」と表記されることかあることか 認められ,これらの事実に照らすと,被告標章は,相当程度の顧客吸引 力を有するものと認められるから,被告か上記て主張する点を考慮すへ きてあるとまてはいうことかてきない。そうすると,被告か販売した被告製品の数量に,原告製品の単位利益 額を乗した97万5880円から,原告か販売することかてきないとす る事情に相当する数量に応した額てある上記6万2992円を控除する と,91万2888円となり,これか原告の受けた損害の額となる。イ 商標法38条3項の主張について 商標法38条3項による損害額は,上記アにおける損害の額を上回ることはないから,この点については判断しない。
ウ 本件事案の難易,請求額及ひ認容額等の諸般の事情を考慮すると,被告の侵害行為と相当因果関係に立つ弁護士費用相当損害金は,9万円と認めるのか相当てある。
(3) 以上のとおりてあるから,商標権侵害に基つく予備的請求は,100万2888円及ひこれに対する不法行為の日の後てあり訴状送達の日の翌日て ある平成23年9月18日から支払済みまて民法所定の年5分の割合による 遅延損害金の支払を求める限度て理由かある。3 よって,原告の主位的請求は理由かないから,これを棄却することとし,予 備的請求は上記の限度て理由かあるから,これを認容し,その余は理由かない から,これを棄却することとして,主文のとおり判する。東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 高野輝久
裁判官 三井大有
裁判官 志 賀 勝
<添付の特許公報は省略する>
別紙
被告製品目録
下記の品名及ひ品番を有し,別紙被告製品図面に示すように,水準器本体1’の 被測定物と当接する底面2’に凹溝3’か設けられ,この凹溝3’の左右両側の溝 縁部4’に鉄片11’か露出する水平器(水準器)。記
品名 「フロテクトアーマー」
品番 「PA-B(フラック)」(黒色のタイフ) 品番 「PA-(レット)」(赤色のタイフ)
判例本文 判例別紙1

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