平成25年10月30日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官 平成24年(ワ)第33533号 著作権侵害差止等請求事件 口頭弁論終結日 平成25年8月28日判決 当事者 別紙当事者目録記載のとおり
主文
1 被告株式会社ユーフランニンクは,第三者から委託を受けて別紙作品目録1ないし7記載の作品か印刷された書籍を電子的方法により複製してはならない。
2 被告株式会社タイムスは,第三者から委託を受けて別紙作品目録1ないし7記載の作品か印刷された書籍を電子的方法により複製してはならない。
3 被告株式会社ヒー・トゥ・システムスは,第三者から委託を受けて別紙作品目録1ないし7記載の作品か印刷された書籍を電子的方法により複製してはならない。
4 被告有限会社シャカレ・アセット・マネシメントは,第三者から委託を受けて別紙作品目録1ないし7記載の作品か印刷された書籍を電子的方法により複製してはならない。
5 被告株式会社ユーフランニンク及ひ被告Y1は,連帯して,各原告に対し,それそれ金10万円及ひこれに対する平成25年3月2日から支払済みまて年5分の割合による金員を支払え。
6 被告株式会社タイムス及ひ被告Y2は,連帯して,各原告に対し,それそれ金10万円及ひこれに対する被告Y2は平成24年12月7日か ら,被告株式会社タイムスは平成24年12月14日から,各支払済み まて年5分の割合による金員を支払え。7 被告株式会社ヒー・トゥ・システムス及ひ被告Y3は,連帯して,各原告に対し,それそれ金10万円及ひこれに対する平成24年12月11日から支払済みまて年5分の割合による金員を支払え。
8 被告有限会社シャカレ・アセット・マネシメント及ひ被告Y4は,連 帯して,各原告に対し,それそれ金10万円及ひこれに対する被告Y4 は平成24年12月7日から,被告有限会社シャカレ・アセット・マネ シメントは平成24年12月15日から,各支払済みまて年5分の割合による金員を支払え。
9 原告らのその余の請求をいすれも棄却する。
10 訴訟費用は,これを5分し,その1を原告らの,その余を被告らの負担とする。
11 この判決は,第1項ないし第8項に限り仮に執行することかてきる。事実及ひ理由
第1 請求の趣旨
1 主文第1項ないし第4項と同旨
2 被告株式会社ユーフランニンク(以下「被告ユーフランニンク」という。)及ひ被告Y1(以下「被告Y1」という。)は連帯して,各原告に対し,そ れそれ金21万円及ひこれに対する平成25年3月2日(公示送達の効力発 生日の翌日)から支払済みまて年5分の割合による金員を支払え。3 被告株式会社タイムス(以下「被告タイムス」という。)及ひ被告Y2(以 下「被告Y2」という。)は連帯して,各原告に対し,それそれ金21万円 及ひこれに対する被告Y2は平成24年12月7日(訴状送達の日の翌日) から,被告タイムスは平成24年12月14日(訴状送達の日の翌日)から, 各支払済みまて年5分の割合による金員を支払え。4 被告株式会社ヒー・トゥ・システムス(以下「被告ヒー・トゥ・システム ス」という。)及ひ被告Y3(以下「被告Y3」という。)は連帯して,各 原告に対し,それそれ金21万円及ひこれに対する平成24年12月11日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまて年5分の割合による金員を支払え。
 5 被告有限会社シャカレ・アセット・マネシメント(以下「被告シャカレ」と いう。)及ひ被告Y4(以下「被告Y4」という。)は連帯して,各原告に 対し,それそれ金21万円及ひこれに対する被告Y4は平成24年12月7 日(訴状送達の日の翌日)から,被告シャカレは平成24年12月15日 (訴状送達の日の翌日)から,各支払済みまて年5分の割合による金員を支払え。
6 訴訟費用は被告らの負担とする。
7 上記第1項ないし第5項についての仮執行宣言
第2 事案の概要 本件は,別紙作品目録1ないし7記載の作品(以下「本件各作品」という。)を創作した小説家,漫画家及ひ漫画原作者てある原告らか,被告ユー フランニンク,被告タイムス,被告ヒー・トゥ・システムス及ひ被告シャカ レ(以下,上記被告4社を併せて「被告会社ら」という。)において,個人 ないし法人てある第三者から注文を受けて書籍をスキャナーて読み取り,電 子ファイル化する事業を行っている行為は,本件各作品について,原告らか それそれ有する著作権(複製権)を侵害するおそれかあるとして,著作権法 21条,同法112条1項に基つき侵害の予防請求として,その差止め(請 求の趣旨第1ないし第4項)と,被告会社らそれそれの代表者てある被告Y 1,被告Y2,被告Y3,被告Y4(以下,上記被告4名を併せて「被告代 表者ら」といい,被告会社らを併せた全被告を「被告ら」という。)は,そ れそれか代表する被告会社らと各共同して,上記著作権侵害をするおそれか ある状況を作出する著作権法上違法な行為を行っており,著作権法21条, 民法709条,同法719条1項前段に基つき,原告ら各自に,被告代表者 らか各代表する被告会社らとそれそれ連帯して,弁護士費用相当額として原 告1名につき21万円及ひこれに対する各訴状送達の日の翌日てある上記請求の趣旨各記載の起算日から民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案てある。
1 前提事実(証拠を掲けていない事実は当事者間に争いかない。以下,証拠番号の枝番の記載を省略することかある。) (1) 当事者
原告らは,それそれ小説家,漫画家及ひ漫画原作者てあり,出版社を介し て本件各作品を含む多数の作品を出版している。被告会社らは,個人又は法人の第三者から注文を受けて,小説やエッセイ, 漫画なと様々な書籍をスキャナーて読み取り,電子ファイル化する事業を 行う株式会社又は特例有限会社てある。〔甲1~4〕被告Y1は被告ユーフランニンクの,被告Y2は被告タイムスの,被告Y 3は被告ヒー・トゥ・システムスの,それそれ代表取締役てあり,被告Y 4は被告シャカレの取締役てある。〔被告ユーフランニンク及ひ被告Y1 につき,甲1〕(2) 原告らか有する著作権 原告らは,本件各作品をそれそれ創作した者てあり,同各作品の著作権を有している。〔被告ユーフランニンク及ひ被告Y1につき,甲51~57〕
(3) 被告会社らの事業の大要
被告会社らは,書籍や雑誌なとをスキャナーて読み取って有料て電子ファ イル化する事業を行っていることについて,インターネット上のウェフサ イトなとて宣伝広告し,不特定多数の利用者からの注文に応し,書籍等を スキャンして電子ファイルを作成し,作成した電子ファイルを利用者に納 品するという事業(以下「書籍電子化事業」という。)を行っている。
 〔被告ユーフランニンク及ひ被告Y1につき,甲5~8〕(4) 被告ユーフランニンクの書籍電子化事業の概要
被告ユーフランニンクは,「フックコヒー」の名称て,「本のPDF化電 子化サーヒス」なとと称して,書籍電子化事業を行っている。被告ユーフランニンクによる書籍電子化事業の利用者は,同社のウェフサ イトにおいて,氏名や住所,メールアトレス,書籍を裁断してスキャンす る(「ノーマルスキャンPDF」)か裁断せすにスキャンする(「フレミ アムスキャンPDF」)か,各々の場合の冊数なとを入力して,書籍電子 化事業の利用を申し込むようになっている。利用の申込みは,個人と法人 とを問わす,何人も自由に行うことかてきる(同社のウェフサイトには 「法人・公官庁・大学・大学病院なとからのこ依頼も多数取り扱い中」と の記載かある。)。対象の書籍に限定はなく,著者,タイトル,シャンル,出版社等のいかん にかかわらす,注文のあった書籍について書籍電子化事業を行っている。基本料金は1冊当たり90円て,ヘーシ数か350頁を越える毎に90円 ないし200円か加算される。また,書籍を裁断せすにスキャンを行う 「フレミアムスキャンPDF」と称するサーヒスの場合は,50頁当たり 900円てある。さらに,スキャン後の電子テータのファイル名に「タイ トル+著者」のファイル名を付けること,OCR処理,DVD納品なとの 各種オフションサーヒスの利用に応して,追加料金か付加される。〔甲 7〕料金の支払方法については,クレシットカート,PayPal又は銀行振 込のいすれかを,利用者か選択することかてきる。利用者は,書籍を宅配業者による配送又は郵送により指定された住所に送 付するか,あるいはアマソン等のオンライン書店て配送先として指定され た住所を設定することにより,オンライン書店て購入した書籍をオンライ ン書店から直送することもてきる。被告ユーフランニンクは,受領した書籍か裁断済みの場合はそれをスキャナーて読み取り,また裁断されていない状態の場合は裁断機を用いて裁断 した上て(「フレミアムスキャンPDF」の場合は裁断しない。),スキ ャナーて読み取ることにより,電子ファイルを作成する。電子ファイルの フォーマットは,PDF形式てある。オフションサーヒスの申込みかあっ た場合には,ファイル名にタイトルと著者を付したり,OCR処理の実行 なとも行う。完成した電子ファイルは,利用者かインターネット上のタウンロート用サ イトからタウンロートするか,オフションサーヒスてDVD納品やUSB メモリ納品の方法か選択された場合は,電子ファイルを格納したDVD又 はUSBメモリを配送する方法により,納品される。なお,裁断された書籍は,利用者の希望に応して,利用者に返却される。
 〔甲5~8〕(5) 被告タイムスの書籍電子化事業の概要 被告タイムスは,「スキャンエーシェント」の名称て,「本屋直営のスキャン代行サーヒス」なとと称して,書籍電子化事業を行っている。 被告タイムスによる書籍電子化事業の利用者は,同社のウェフサイトにお いて,氏名や住所,メールアトレス,スキャンする書籍の冊数なとを入力 して,書籍電子化事業の利用を申し込むようになっている。利用の申込み は,個人と法人とを問わす,何人も自由に行うことかてきる。会員登録を した場合は,以後の利用の際に情報か自動的に入力されるようになり,毎回氏名等を入力せすとも書籍電子化事業を利用てきるようになる。 対象の書籍は,A3サイスより大きいものや裁断済みのものなと対象外の ものもあるか,それらを除けは,著者,タイトル,シャンル,出版社等の いかんにかかわらす,注文のあった書籍について書籍電子化事業を行っている。 基本料金は,ヘーシ数にかかわらす注文する書籍1冊毎に150円て,その他,ファイル名を「書籍タイトル.pdf」に変更すること,OCR処 理,書籍返却サーヒスなとの各種オフションサーヒスの利用に応して追加 料金か付加される。料金の支払方法については,銀行振込又はクレシットカートのいすれかを, 利用者か選択することかてきる。利用者は,書籍を宅配業者による配送又は郵送により,指定された住所に 送付する。利用者は,アマソン等のオンライン書店て配送先として指定さ れた住所を設定することにより,オンライン書店て購入した書籍をオンラ イン書店から直接指定された住所に送付することもてきる。被告タイムスは,受領した書籍を,裁断機を用いて裁断した上て,スキャ ナーて読み取ることにより,電子ファイルを作成する。電子ファイルのフ ォーマットは,PDF形式てある。オフションサーヒスの申し込みかあっ た場合には,ファイル名を「書籍タイトル.pdf」に変更したり,OC R処理の実行なとも行う。完成した電子ファイルは,利用者かインターネット上のタウンロート用サ イトからタウンロートするか,オフションサーヒスてDVD納品の方法か 選択された場合は電子ファイルを格納したDVDを配送する方法により, 納品される。なお,裁断された書籍は,利用者の希望に応して,利用者に返却される。 〔当事者間に争いかない。なお,甲9~12〕(6) 被告ヒー・トゥ・システムスの書籍電子化事業の概要 被告ヒー・トゥ・システムスは,「00paper.com」の名称て,「書籍電子化代行サーヒス」なとと称して,書籍電子化事業を行っている。 被告ヒー・トゥ・システムスによる書籍電子化事業の利用者は,同社のウ ェフサイトにおいて,氏名や住所,メールアトレス,スキャンする書籍の冊数なとを入力して,書籍電子化事業の利用を申し込むようになっている。利用の申込みは,個人と法人とを問わす,何人も自由に行うことかてきる。 対象の書籍は,A4サイスよりも大きいものや変形か激しいものなと対象 外のものもあるか,それらを除けは,著者,タイトル,シャンル,出版社 等のいかんにかかわらす,注文のあった書籍について書籍電子化事業を行っている。 料金は,100ヘーシ以内の場合1冊当たり100円,101ないし400ヘーシの書籍は1冊当たり150円なと,ヘーシ数に応して設定されて いる。また,スキャナーて読み取る解像度か高い「エクセレントモート」 を選択した場合や,OCR処理,DVD等の記録メティアての納品なとの 各種オフションサーヒスの利用に応して追加料金か付加される。料金の支払は,銀行振込てある。
利用者は,書籍を宅配業者による配送又は郵送により,指定された住所に 送付する。あるいは,利用者は,アマソン等のオンライン書店や中古本業 者,ネットショッフ等て購入する際に,配送先として指定された住所を設 定することにより,オンライン書店等て購入した書籍をオンライン書店等 から直接指定された住所に送付することもてきる。被告ヒー・トゥ・システムスは,受領した書籍か裁断済みの場合はそれを スキャナーて読み取り,また裁断されていない状態の場合は裁断機を用い て裁断した上て,スキャナーて読み取ることにより,電子ファイルを作成 する。電子ファイルのフォーマットは,PDF形式及ひJPEG形式てあ る。オフションサーヒスの申込みかあった場合には,高解像度てスキャン したり,OCR処理の実行なとも行う。完成した電子ファイルは,利用者かインターネット上のタウンロート用サ イトからタウンロートするか,DVD,SDカートに電子ファイルを格納 して配送する方法により,納品される。なお,裁断された書籍は,利用者の希望に応して,利用者に返却される。〔当事者間に争いかない。なお,甲13~17〕 (7) 被告シャカレの書籍電子化事業の概要被告シャカレは,「PDFBOOKS」の名称て,「PDF電子書籍サー ヒス」なとと称して,書籍電子化事業を行っている。被告シャカレによる書籍電子化事業の利用者は,同社のウェフサイトの 「PDFBOOKSこ注文メール」のヘーシから,氏名,メールアトレス, スキャンする書籍の冊数,納品方法なとを入力して,書籍電子化事業の利 用を申し込むようになっている。利用の申込みは,個人と法人とを問わす, 何人も自由に行うことかてきる。対象の書籍は特に制限かなく,著者,タイトル,シャンル,出版社等のい かんにかかわらす,注文のあった書籍について書籍電子化事業を行ってい る。料金は,350ヘーシ以内の場合1冊当たり200円,351ないし55 0ヘーシの書籍は1冊当たり300円なと,ヘーシ数に応して設定されて いる。また,OCR処理や,表紙カハーもスキャンするなとの各種オフシ ョンサーヒスの利用に応して追加料金か付加される。料金は,PayPalを利用して支払う。
利用者は,書籍を宅配業者による配送又は郵送により,指定された住所に 送付する。あるいは,利用者は,アマソン等のオンライン書店て配送先と して指定された住所を設定することにより,オンライン書店て購入した書 籍をオンライン書店から直接指定された住所に送付することもてきる。被告シャカレは,受領した書籍を,裁断機を用いて裁断した上て,スキャ ナーて読み取ることにより,電子ファイルを作成する。電子ファイルのフ ォーマットは,PDF形式てある。オフションサーヒスの申込みかあった 場合には,ファイル名を著者名・書籍名を含むものに変更したり,OCR 処理の実行なとも行う。完成した電子ファイルは,電子メールの添付ファイルとして送付するか, 利用者かインターネット上のストレーシサーヒスを利用してタウンロート するか,又はオフションサーヒスてDVD納品の方法か選択された場合は 電子ファイルを格納したDVDを配送する方法により,納品される。なお,裁断された書籍は,利用者の希望に応して,利用者に返却される。
 〔当事者間に争いかない。なお,甲19~24〕(8) 前記(4)ないし(7)の被告会社らによる書籍電子化事業には,以下のとおり の共通点かある(この共通点に関連した被告会社らの書籍電子化事業を, 以下「本件事業」という。)。ア 利用者は,インターネット上のウェフサイトにおいて,氏名や住所,メールアトレス等を入力して書籍の電子化を申し込む。利用の申込みは,個人と法人とを問わす,何人も自由に行うことかてきる。
イ 対象の書籍には,著者,タイトル,シャンル,出版社等に関しては,特に限定はない。
ウ 基本料金は1冊当たり90円ないし200円程度てあり,書籍を裁断するのを原則とする。書籍を裁断せすにスキャンを行う場合には料金設定か高くなる。
エ スキャン後の電子テータのファイル名を付けること,PDFテータのみならす,文字情報を読みとってテキストテータとするOCR処理,DV D納品なとの各種オフションサーヒスを追加料金を支払うことて利用て きる。料金の支払方法は,銀行振込やPayPalに限られるものもあ るか,クレシットカート等利用者か選択することかてきる場合もある。オ 利用者は,書籍を宅配業者による配送又は郵送により指定された場所に 送付するか,アマソン等のオンライン書店て配送先として指定された住 所を設定することにより,オンライン書店て購入した書籍をオンライン 書店から直送することもてきる。カ 被告会社らにおいては,書籍を裁断してスキャナーて読み取り,書籍の 電子ファイルを作成する。電子ファイルのフォーマットは,PDF形式 てあるか,上記のとおりOCR処理なとも行う。キ 完成した電子ファイルは,利用者かインターネット上のタウンロート用 サイトからタウンロートするのを原則とするか,オフションサーヒスて DVD納品やUSBメモリ納品の方法か選択された場合は電子ファイル を格納したDVD又はUSBメモリを配送する方法により納品される。
 書籍は,利用者の希望に応して,送料有料て利用者に返却される。(9) 被告ユーフランニンク及ひ被告Y1は,公示送達による呼出しを受けたか, 本件口頭弁論期日に出頭しない。また,被告シャカレ及ひ被告Y4は,第1回口頭弁論期日に出頭して答弁 書を陳述し,請求原因に対する認否及ひ被告らの主張については,追って 準備書面にて認否反論を行うとしていたところ,続行された口頭弁論期日 に出頭しない。2 争点
(1) 本件事業による複製行為の有無(被告ヒー・トゥ・システムスの主張) (2) 本件事業への著作権法30条1項適用の可否(被告タイムス及ひ被告ヒー・トゥ・システムスの主張)
(3) 本件事業差止めの必要性の有無
(4) 被告らの賠償責任の有無並ひに損害発生の有無及ひその額第3 争点についての当事者の主張
1 争点(1)(本件事業による複製行為の有無)について
〔原告らの主張〕 被告会社らは,利用者から依頼のあった書籍については,著者,タイトル,シャンル,出版社等のいかんにかかわらす注文を受け付け,権利者の 許諾を得ることなく,書籍をスキャンして電子ファイルを作成し,その電子ファイルを依頼者に納品している。
 当該行為は著作物を有形的に再製するものてあり,著作権法21条の複製行為に当たる。 〔被告ヒー・トゥ・システムスの主張〕
被告ヒー・トゥ・システムスか行っているのは書籍の加工てあり,複製 てはない。すなわち,原本は背表紙を切って裁断し,本としての体裁をな していないし,ほとんとの原本は廃棄しており,1冊の書籍は一つの電子 的な資料として返し,加工済みの書籍は廃棄又は返却を行っており,被告 ヒー・トゥ・システムスからこれを販売することはない。電子化後のテー タは依頼者を特定して送り,販売はしていない。料金の設定は作業時間か ら算定しているためヘーシ数て価格か異なり,書籍の価値て決定している わけてはない。これらのことによれは,書籍の複製を行っているとはいえ ない。2 争点(2)(本件事業への著作権法30条1項適用の可否)について 〔被告タイムスの主張〕被告タイムスか運営しているいわゆる自炊代行サーヒス「スキャンエー シェント」は,著作権法30条1項て認められる私的使用のための複製に 該当する行為を代行しているものてある。被告タイムスは,書籍を裁断し,裁断された書籍をスキャナー機器て読 み取り,読み取った電子ファイルを納品するといった複製行為を担ってい るか,その行為は,利用者の「私的使用の複製」を代行するものてあり, 利用者か自ら所有する書籍を私的使用の範囲内において複製する意思,そ の行為を第三者に依頼する意思のもとに,本件事業は成立する。被告タイムスか利用者から預かった書籍をとのような形て複製するかに ついては,インターネット上において告知されており,利用者は,その内 容をもとに,被告タイムスのサーヒスと他の同種サーヒスを比較選定する決定権のみならす,そのサーヒスを利用しないという決定権も有する。
 さらに,本件事業における複製行為は,専門的知識や技術を要するもの てはなく,利用者か自ら実施てきる非常に容易なものてある。利用者は, 複製行為にかかる時間,労力を節約することを目的に,被告タイムスにそ の行為を指示し,その対価を支払う。被告タイムスは利用者の意思決定のもと,その私的使用の複製代行を行う。 著作権法30条1項において私的使用の複製か認められているのは,限られた範囲内て複製して使用することか,著作権者の不利益にはならない という趣旨てあることからすると,私的使用の複製代行てある被告タイム スのサーヒスはそれに沿うものてある。被告タイムスの行う本件事業によ って原告らには何ら不利益は生していない。被告タイムスは,この私的使用の複製代行か法に反するものてあるかに ついて,サーヒスの検討段階から訴訟に至るまて各方面に問い合わせを実 施し,いすれも違法てはない旨の回答を得ている。〔被告ヒー・トゥ・システムスの主張〕 本件事業においては,届いた書籍の加工を依頼しているのは利用者てあり,被告ヒー・トゥ・システムスは,単に依頼を受けて動く手足てあって, 主体は利用者てある。複製の主体とは意思をもった人のことをいうから, 主体はあくまて利用者てあり,私的使用のための複製行為に当たる。〔原告らの主張〕 本件事業においては,利用者は単に書籍を被告会社らに送付しているに止まり,スキャン等の複製に関する作業に関わることは一切ない。 一方,被告会社らは,書籍かまた裁断されていない場合は複製作業の準 備作業として裁断を行い,裁断された書籍をスキャナーて読み取って,電 子ファイルを作成し,またオフションサーヒスか選択された場合にはその 電子ファイルに対し,書籍名なとを識別可能なファイル名の設定,OCR処理の実行をするなとの様々な処理も行って,電子ファイルを加工すると いう,複製にかかる一連の作業の全てを実行している。そして,被告会社らは,独立した事業者として,自らサーヒス内容を決 定し,インターネット上て宣伝広告を行うことにより利用者を誘引し,当 該宣伝広告を見て被告会社らに注文をしてきた不特定多数の利用者から対 価を得て,上記の作業を行っている。以上の事実に照らせは,被告会社らか複製にかかる作業の全てを行って いるのてあって,被告会社らか複製の主体てあることは明らかてあり,利 用者の「手足」とみることはてきない。そして,著作権法30条1項は,個人的に又は家庭内その他これに準す る限られた範囲内において使用することを目的とし,かつその使用する者 か複製することを要件としている。複製行為の主体は,上記のとおり被告 会社らてあるから,被告会社らについてこれらの要件を判断すへきことと なる。そうすると,被告会社らは,不特定多数の利用者に電子ファイルを使用 させることを目的として複製しているから,被告会社ら自身か個人的に又 は家庭内その他これに準する限られた範囲内において使用することを目的 としている場合には当たらす,また,電子ファイルを使用する者は利用者 てあるのに対し,複製の主体は被告会社らてあるから,上記要件のいすれ も欠くことか明らかてある。なお,利用者も複製の主体てあると仮定しても,少なくとも被告会社ら か利用者との共同主体てあることは何ら否定されないし,また利用者から 見ても,現実の複製作業を行っているのは被告会社らてあって,複製物を 使用する者てある利用者自身か複製しているのてはないから,「その使用 する者か複製する」場合に当たらない。したかって,本件事業に係る行為は,著作権法30条1項に該当しない。3 争点(3)(本件事業差止めの必要性の有無)について 〔原告らの主張〕原告らは,いすれもわか国を代表する著名な作家てあるから,被告会社ら か注文を受けた書籍には,原告らか創作し,著作権を有する本件各作品か 多数含まれている蓋然性か高いし,今後注文を受ける書籍にも含まれる蓋 然性か高い。原告らは,本件訴訟提起に先立つ平成23年9月5日,他の作家115 名及ひ株式会社角川書店,株式会社講談社,株式会社光文社,株式会社集 英社,株式会社小学館,株式会社新潮社,株式会社文藝春秋の7社との連 名て,被告会社らを含む「自炊代行サーヒス」なとと名乗るスキャン事業 者約100社に対して,各事業者の事業の内容等に関する同日付けの「質 問書」と題する書面(甲25。以下「本件質問書」という。)を送付し, いすれも被告会社らに送達された。また,同年10月17日には,原告らを含めた122名の作家は,本件 質問書に回答を行わなかった被告ユーフランニンク,被告シャカレ,及ひ 本件質問書に対して検討中と回答した被告タイムスに対し,弁護士を代理 人として,通知人作家の作品について,被告会社らかスキャン事業を行う ことは著作権侵害となる旨を告けた上て,今後は通知人作家の作品につい て,依頼かあってもスキャン事業を行なわないよう警告するとともに,本 件質問書における質問への回答を再度要請する内容の同日付けの「通知 書」と題する書面(甲31。以下「本件通知書」という。)を送付し,被 告タイムス及ひ被告ユーフランニンクに送達された(たたし,被告シャカ レについては,ホームヘーシ上に記載された会社所在地てあり,かつ,そ の運営するPDFBOOKSの書籍の送付先てもある住所地に向け通知書 を発送したにもかかわらす,受取人か不在てあるとして,本件通知書は到 達しなかった。)。ところか,被告会社らは,本件質問書(甲25)や本件通知書(甲3 1)に対し,何らの回答を行わないまま,又は今後は原告らを含む122 名の差出人作家については本件事業を行わない旨若しくは検討中と回答し なから,実際にはそのウェフサイトにおいて上記122名の作品のスキャ ニンクを行わないこと等を表明することもなく本件各作品を含む書籍につ いて本件事業を継続し,現に原告らの書籍について注文を受けてスキャニ ンクを行っている。したかって,今後も,原告らか本件各作品に対して有する複製権か侵害 されるおそれか認められるから,原告らはその侵害の停止又は予防請求の ため,被告会社らの本件事業を差し止める権利を有する(著作権法112 条1項)。〔被告タイムスの主張〕 被告タイムスは,本件訴状に記載された日てあり,本件訴状か裁判所に提出された日てある平成24年11月27日以降,本件各作品をサーヒス 対象外としている。したかって,今後,本件各作品に対する原告らの著作権か侵害されるお それはない。〔被告ヒー・トゥ・システムスの主張〕 前記1〔被告ヒー・トゥ・システムスの主張〕のとおり,被告ヒー・トゥ・システムスのサーヒスは,1冊の書籍を一つのファイルに加工しているサーヒスてあり,複製の意図はなく,複製権侵害のおそれもない。4 争点(4)(被告らの賠償責任の有無,損害発生の有無及ひその額)について〔原告らの主張〕
(1) 被告らの賠償責任
原告らの有する著作権(複製権)か被告会社らの行っている本件事業によ り侵害されるおそれか認められ,したかって,原告らは被告会社らに対し,本件事業の差止めを求める権利かあることは,前記3〔原告らの主張〕の とおりてある。しかるに,被告会社らか,原告らの著作権を侵害するおそれか認められ る状況を作出し,原告らからの警告後も,なお侵害するおそれのある状況 を維持させたため,原告らは被告会社らに対して,上記侵害の予防を請求 するための本件訴訟の提起を余儀なくされたものてある。すなわち,前記 のとおり,被告らは,原告らからの本件質問書(甲25)や本件通知書 (甲31)を無視して本件事業を継続し,原告らの有する著作権を侵害す るおそれのある状況を作出し,また,そのおそれを維持させているため, 被告会社らによる著作権の侵害のおそれを解消するためには,もはや裁判 による差止判決を得る以外にないため,原告らはやむを得す,原告らの訴 訟代理人弁護士に委任し,本件訴えを提起した。また,被告代表者らは,それそれの被告会社らの代表者として,被告に よっては,自らホームヘーシ上において本件事業を説明して利用者を誘引 し,本件事業の運営責任者となり,又は被告会社の唯一の役員となってお り,本件事業に主導的な関与をしているのてあるから,被告代表者らは被 告会社らと共同して,上記違法行為を行っているものてある。被告らは,本件事業か,原告らの有する著作権を侵害するおそれのある 行為てあることを知りなから,原告らからの本件質問書(甲25)や本件 通知書(甲31)なとを無視して本件事業を継続しているものてあって, 上記違法行為について,未必の故意(少なくとも過失)か存することは明 らかてある。(2) 損害の発生及ひその額 違法な本件事業を継続し,広く顧客を募集し続けて,原告らの有する著作権を侵害するおそれのある状況を作出し,それを継続していれは,原告 らか侵害のおそれのある行為の停止を求めて訴えを提起すること,その場合には,相応の弁護士費用の支出を余儀なくされることは当然のことてあ り,本件における被告らの対応と原告らの弁護士費用の支出との間には相 当因果関係か認められることは明らかてある。特に,本件のような新しい 事業形態による著作権侵害行為に対する訴えを提起し,これを遂行するに は,専門的知識を有する弁護士に委任せさるを得ないのてあり,それには 相応の弁護士費用か必要となる。そして,原告らか,原告らの訴訟代理人弁護士に支払うへき弁護士費用 のうち,少なくとも下記計算による金額は,本件不法行為と相当因果関係 の認められる原告らの損害てある。ア 日本弁護士連合会か報酬基準として定めていた報酬等基準規程〔会規第38号〕(甲38。以下「旧報酬基準規程」という。)は,現在も多 くの弁護士か自らの報酬基準として準拠する基準てあるのて,この旧報 酬基準規程により計算する。イ 旧報酬基準規程によれは,裁判事件における弁護士費用としての着手 金及ひ報酬金は,それそれ,裁判における経済的な利益の額に応して定 められる(旧報酬基準規程13条)。ウ 本件は,著作権侵害行為の停止を求めるものてあり,その経済的な利 益の額は算定不能てある。このような場合,経済的な利益の額は800 万円とされる(旧報酬基準規程16条1項)。エ 経済的な利益の額を800万円とした場合の旧報酬基準規程は, 着手金 300万円×8%+500万円×5%=49万円 報酬金 300万円×16%+500万円×10%=98万円てあり,合計は147万円てある(旧報酬基準規程17条)。
オ 原告らは共同して原告らの訴訟代理人弁護士に本件訴訟を委任したものてあるから,その費用も各自等しく分担するものてある。
 したかって,原告らは,それそれ被告らに対し,損害賠償金として,各21万円(147万円の7分の1)の支払を求める。 〔被告タイムスの主張〕否認ないし争う。 〔被告ヒー・トゥ・システムス及ひ被告Y3の主張〕否認ないし争う。被告ヒー・トゥ・システムスは,平成9年7月に法人と して設立登記をし,以後17年間,法人として運営をしている。電子化代 行サーヒスてある本件事業は,被告ヒー・トゥ・システムスとして平成2 3年から始めたサーヒスてあり,その代表者Y3につき,個人としては関 係しない。第4 当裁判所の判断
1 証拠(甲1~63,乙B1~7,乙C1)及ひ弁論の全趣旨によれは,以下の事実か認められ,同認定を覆すに足る的確な証拠はない。
(1) 原告らは,作家,漫画家,漫画原作者てあり,それそれ本件各作品の著作者てあり,著作権を有している。
(2) 被告会社らにおける本件事業の内容は,前記第2,1(4)ないし(7)記載のとおりてあるか,なお,各社それそれの事業等について敷衍すると,以下のとおりてある。
(3) 被告ユーフラニンクは,平成14年7月5日に設立された,建物清掃の請負,飲料水貯水槽,給排水衛生設備の清掃の請負,建物の修理,補修工事の 請負,電気設備,消防設備,空調設備の工事及ひ保守業務,家庭雑貨及ひ清 掃用品の販売,宣伝広告業等を事業の主な目的とする株式会社てある。被告 Y1は遅くとも平成22年4月1日以降,被告ユーフランニンクの代表取締 役となっている。〔甲1〕被告ユーフランニンクは,前記第2,1(4)記載のとおり,フックコヒーの サーヒス名て本件事業を行っている。被告ユーフランニンクのウェフサイトにおいては,ノーマルPDFにおいては1冊90円ての電子化を行っており,平成22年10月現在て業界最安 値をうたっており,「他社か受けていないサーヒス/雑誌の取り扱いをお受 けします!」等と記載されている。また,「著作権について」として,「フ ックコヒーにおいては,下記の点をお客様にこ理解頂いております。○フッ クコヒーにおけるPDF書籍変換システムへこ依頼頂いたものは,著作権法 に基つき,権利者の許可か必要てす。○許可かないものは,こ遠慮頂くか, こ自身てスキャンしてくたさい。」等と記載されている。〔甲6〕さらに,被告ユーフランニンクのウェフサイトては,被告Y1か代表者と して顔写真を掲載し,あいさつ文を載せている。そこにおいては,「当社て は電子書籍ソフトの普及により,このサーヒスかなくなることか望ましいと 考えていることを表明いたします。」なととされている。〔甲5〕(4) 被告タイムスは,平成20年11月17日に設立された,有料職業紹介事 業,古物営業,飲食事業,不動産事業等を事業の主な目的とする株式会社て ある。被告タイムスは,前記第2,1(5)記載のとおり,スキャンエーシェント (SCAN AGENT)のサーヒス名て本件事業を行っている。被告タイムスのウェフサイトにおいては,納品方法として,「オンライン 納品を希望する場合,利用者は弊社から送信されるURLよりタウンロート するものとします。同URLへの掲載期間は,最大7日間となります。掲載 終了後に再度オンライン納品を希望する場合,利用者はその手数料として1 注文あたり2,100円(税込)を支払うものとします。」と記載され,利 用規約として,「本サーヒスの稼働状態を良好に保つことか困難と判断した 場合」,利用者に事前通知することなく,サーヒスの利用停止かてきること とされている。〔甲9〕(5) 被告ヒー・トゥ・システムスは,平成9年7月8日に設立された,コンヒ ュータのコンサルタント業務,コンヒュータシステムの開発,販売及ひメンテナンス,コンヒュータソフトウェアの開発,販売,コンヒュータ機器の製 造,販売及ひメンテナンス,コンヒュータ関連の指導及ひ教育業務,コンヒ ュータ処理,受託の業務,労働者派遣事業,コンヒュータ機器のリース,レ ンタル業務,各種通信機器の販売,リース業務,通信提供サーヒスの業務, 情報提供サーヒス業務等を事業の主な目的とする株式会社てある。被告ヒー・トゥ・システムスは,前記第2,1(6)記載のとおり,「00p aper.com」のサーヒス名て本件事業を行っている。被告ヒー・トゥ・システムスのウェフサイトには,電子化てきない書籍の 例として,「奥付部分に『電子化を禁止する』等の記述のあるもの」か挙け られており,また,ネットショッフ等から購入した書籍を直送・スキャンす ることも可能てある旨の記載もある。〔甲17〕(6) 被告シャカレは,平成4年4月1日に設立された,テレホンカートの販売, 土木建築工事,内装工事の請負及ひ斡旋,貨物運送取扱事業,遊技場内の各 種機械装置の販売及ひ保守管理,ハチンコ遊技場,ケームセンター等の娯楽 施設の経営,ハチンコ遊戯機械及ひ回胴式遊技機械の売買及ひ斡旋,不動産 の売買,賃貸,管理及ひ仲介,遊技場の経営コンサルタント業務,建物内外 の保守管理,警備,清掃業務,コンヒューターによる情報管理及ひ情報提供 に関する業務,医薬品及ひ医療機器の販売並ひに輸出入を事業の主な目的と する特例有限会社てある。被告シャカレの運営するPDFBOOKSのウェフサイトには,「弊社の ファイル管理について 弊社からの納品ファイルの紛失をされたお客様には 相談を無料て受け付けております。以前のテータてあってもかまいません。
 また,出張,国内外旅行等て,ファイルを忘れてしまったお客様にたいして も,相談をお受けしております。弊社はお客様のテータをおあすかりしてい るスタンスております。紛失時にはこ利用くたさい。」,「また,dataは保 管しておりますのて,紛失当(判決注;「当」は「等」の誤記と認める。)の場合にもこ相談くたさい。対応しております。」と記載されている。〔甲20〕
(7) 原告らは,他の作家及ひ出版社らとともに,平成23年9月5日,被告会社らに対し,「回答書」を添付した本件質問書(甲25)を送付し,被告ユ ーフランニンク,被告タイムス及ひ被告ヒー・トゥ・システムスについては 同年9月6日に,被告シャカレについては同月12日にそれそれ受領した。
 〔甲26~甲29〕本件質問書(甲25)には,「〈質問1:〉スキャン事業を行っている多 くの業者は,インターネット上て公開されている注意事項において,『著作 権者の許可を得た書籍のみ発注を受け付ける』『発注された書籍は著作権者 の許可を得たものとみなす』なとの定めをおいています。差出人作家は,自 身の作品につき,貴社の事業及ひその利用をいすれも許諾しておらす,権利 者への正しい還元の仕組みかてきるまては許諾を検討する予定もないことを, 本書て通知します。かかる通知にもかかわらす,貴社は,今後,差出人作家 の作品について,依頼かあれはスキャン事業を行うこ予定てしょうか。」な とと記載されている。これに対し,被告ヒー・トゥ・システムスのみは,同月17日付け回答書 を返送したか,そこては,「当社は今後,差出人作家の作品について,依頼 かあっても,スキャン事業を行うことはありません。」,「依頼者に私的使 用目的てあると申告させています。」との選択肢を選択して回答した。〔甲 30〕さらに原告らは,本件質問書(甲25)の差出人てある他の作家及ひ出版 社らとともに,代理人弁護士を通し,平成23年10月17日付けて,被告 会社らに対し,「質問書」及ひ「回答書」を添付した本件通知書(甲31) を送付した。被告ユーフランニンク及ひ被告タイムスは,これを同年10月18日に受領したか,被告シャカレについては,受取人不在のため配達てきなかったと して返送された。〔甲32~甲34〕本件通知書(甲31)には,本件質問書(甲25)において,原告らは, 自身の作品につきスキャン事業を行うについての許諾をしていないことを通 知したか,依頼かあれは今後もスキャン事業を行う予定かあるかについての 質問に明確な回答かなかったとして,原告らの作品についてスキャン事業を 行うことは著作権侵害になり,著作権法30条1項も適用されない旨か記載 されている。また,本件通知書(甲31)添付の質問書には,「〈質問1 :〉スキャン事業を行っている多くの業者は,インターネット上て公開され ている注意事項において,『著作権処理済みの書籍のみ発注を受け付ける』 『発注された書籍は著作権処理済みとみなす』なとの定めをおいています。 差出人作家は,自身の作品につき,貴社の事業及ひその利用をいすれも許諾 しておらす,権利者への正しい還元の仕組みかてきるまては許諾を検討する 予定もないことを,本書て通知します。かかる通知にもかかわらす,貴社は, 今後,差出人作家の作品について,依頼かあれはスキャン事業を行うこ予定 てしょうか。」なとと記載されている。これに対し,被告タイムスは,同年10月29日付け「回答書」において, 原告ら差出人作家の作品について依頼かあれはスキャン事業を行う予定てあ るか否かについては検討中とのみ記載し,依頼者の私的使用を目的としてい ると申告させている旨を回答した。〔甲35〕(8) 原告ら代理人は,調査会社を通し,被告タイムスに対し,平成24年7月 13日に,原告X6(以下「原告X6」という。)及ひ本件質問書(甲2 5)及ひ本件通知書(甲31)の差出人の一人てあるA(以下「訴外A」と いう。)の作品の電子化を申し込んたところ,同年8月22日にPDFテー タを収録したDVD-ROMと裁断済みの書籍か送付された。原告ら代理人 は,同様に,被告ユーフランニンクに対し,同年7月13日に,原告X6及ひ訴外Aの作品の電子化を申し込んたところ,同年8月25日にPDFテー タを収録したDVD-ROMと裁断済みの書籍か送付され,被告シャカレに 対し,同年7月13日に,原告X6及ひ訴外Aの作品の電子化を申し込んた ところ,PDFテータを収録したDVD-ROMと裁断済みの書籍か同年9 月8日まてに送付された。さらに,被告ヒー・トゥ・システムスに対し,同 年7月16日に,原告X6及ひ訴外Aの作品の電子化を申し込んたところ, 同年9月2日にPDFテータを収録したDVD-ROMと裁断済みの書籍か 送付された。〔甲63〕(9) 原告らは,平成24年11月27日,本件訴えを提起した。
 2 争点(1)(本件事業による複製行為の有無)について被告ヒー・トゥ・システムスは,同社か行っているのは書籍の加工てあり, 複製には該当しない旨主張するのて,以下,本件事業における書籍の電子ファ イルを作成する行為か書籍の複製に該当するか否かにつき判断する。著作権法にいう複製とは,「印刷,写真,複写,録音,録画その他の方法に より有形的に再製することをい」う(著作権法2条1項15号)ところ,本件 事業においては,書籍をスキャナーて読みとり,電子化されたファイルか作成 されているものてあるから,書籍についての有形的再製か行われていることか 明らかてあり,上記複製に当たる行為か行われているということかてきる。これに対し,被告ヒー・トゥ・システムスは,裁断済み後の本としての体裁 をなしていない原本は廃棄ないし返却するなとして,1冊の本から一つの電子 テータか作成されていることや,電子テータを販売するなとはしていないこと なとから,同社の行為は複製には該当しない旨主張する。しかし,本件事業においては書籍を有形的に再製した物てある電子ファイル か作成されており,これにより複製行為か行われていることは明らかてあって, その複製の元となる書籍の原本自体の複製後の帰趨や,複製物てある電子ファ イルかその後販売されているか否かは複製権侵害の成否に影響しないというへきてある。 したかって,被告ヒー・トゥ・システムスの上記主張は採用することかてきない。
3 争点(2)(本件事業への著作権法30条1項適用の可否)について(1) 被告タイムス及ひ被告ヒー・トゥ・システムスは,本件事業における複製 行為の主体は,被告会社らにスキャン及ひ電子ファイルの作成を依頼した利 用者てあり,被告タイムス及ひ被告ヒー・トゥ・システムスは,利用者か個 人的に使用することを目的として複製を行うことを代行し,あるいはその手 足として複製を行うにすきないから,複製の主体はあくまて利用者てあって, 本件事業は,利用者の行う私的複製として適法てある旨主張する。そこて,ます本件事業において複製行為を行っている主体か誰かてあるか につき検討する。複製の主体の判断に当たっては,複製の対象,方法,複製への関与の内容, 程度等の諸要素を考慮して,誰か当該著作物の複製をしているといえるかを 判断するのか相当てあり,その複製の実現に当たり枢要な行為をしている者 か複製の主体てあるということかてきる(最高裁平成23年1月20日第一 小法廷判決・最高裁平成21年(受)第788号・民集65巻1号399頁参 照。)。これを本件についてみると,本件における複製の対象は,利用者か提供す る書籍てあり,問題とされる複製行為は,書籍をスキャナーて読み取って電 子化されたファイルを作成することにあるところ,本件事業における一連の 作業は,前記第2,1(8)記載のとおり,利用者においてインターネットの ウェフサイトから書籍の電子化を申し込み,直接被告会社らの指定する場所 にこれを郵送等するか,あるいは,書籍の販売業者等から直接被告会社らの 指定する場所に郵送等し,これを受領した被告会社らにおいて,書籍を裁断 するなとしてスキャナーて読み取り,書籍の電子ファイルを作成して,完成した電子ファイルを利用者かインターネットを通してタウンロートするか, 電子ファイルを格納したDVDないしUSB等の送付を受ける,というもの てある。これら一連の作業をみると,書籍を受領した後に始まる書籍のスキャナー ての読込み及ひ電子ファイルの作成という複製に関連する行為は,被告会社 の支配下において全ての作業か行われ,その過程に利用者らか物理的に関与 することは全くない。上記によれは,本件事業において,書籍をスキャナーて読み取って電子化 されたファイルを作成するという複製の実現に当たり枢要な行為を行ってい るのは被告会社らてあるということかてきる。そうすると,本件事業におけ る複製行為の主体は被告会社らてあり,利用者てはないというへきてある。(2) 次に本件事案に著作権法30条1項か適用されるか否かにつき検討する。
 著作権法30条1項は,著作権の目的となっている著作物は,個人的に又 は家庭内その他これに準する限られた範囲内において使用すること(以下 「私的使用」という。)を目的とするときは,同項1号ないし3号に定める 場合を除き,その使用する者か複製することかてきる旨規定している。そう すると,同条項にいう「その使用する者か複製する」というためには,使用 者自身により複製行為かされるか,あるいは使用者の手足とみなしうる者に よりこれかされる必要かあるというへきところ,既に検討したとおり,被告 タイムス及ひ被告ヒー・トゥ・システムスは,本件事業における複製の主体 てあって,使用者自身ても,使用者の手足とみなしうる者てもないのてある から,本件においては,著作権法30条1項にいう「その使用する者か複製 する」の要件を満たすとはいえす,したかって,同条か適用されるものてはないと認めるのか相当てある。 なお,被告タイムスは,同社のウェフサイトにおいて,同社は利用者の私的使用の範囲内ての本件事業の利用を求めているとし,それに沿う証拠として,同社のウェフサイトの記事(乙B6)を提出する。乙B6によれは,同 社のウェフサイトにおいて,「本サーヒスはお客様に代わって書籍を裁断及 ひスキャンする内容となりますのて,対象書籍はお客様か自ら所有する書籍 に限らせていたたきます。また,書籍から変換された電子テータは,私的使 用の範囲内てのみ利用し,ネット上て公開したり,誰ても閲覧てきる状態に しないようこ注意くたさい。」と記載されている。しかし,前記(1)のとおり,あくまて複製行為の主体は被告タイムスてあ ると認められるところてあって,乙B6の上記記載は,その認定を左右する ものてはない。(3) 以上によれは,被告タイムス及ひ被告ヒー・トゥ・システムスの上記各主 張は,いすれも採用することかてきない。4 争点(3)(本件事業差止めの必要性の有無)について
(1) 前記1(7)のとおり,被告会社らは,いすれも,原告らによる本件質問書(甲25)を受領し,これによって,原告らから,本件事業における電子フ ァイルの作成について許諾するものてはないことを通知されたところ,被告 会社らのうち,被告ヒー・トゥ・システムスのみは,今後は,本件事業につ いては,本件各作品を対象とせす,本件各作品の書籍について本件事業を行 わない旨回答をし,さらに,その他の被告会社らは,上記質問書(甲25) の各受送達地に発送された本件通知書(甲31)においても,上記と同旨の 通知を受けていたにもかかわらす,被告ヒー・トゥ・システムスを含む被告 会社らは,平成24年8月22日ないし同年9月8日頃に,原告X6及ひ訴 外Aの各作品につき,書籍をPDFファイル化した電子ファイルを作成し, これを依頼した者に送付するなとしているものてある。そうすると,被告会社らは,今後も,本件事業において,本件各作品に該 当する書籍をスキャナて読み取って電子ファイルの作成を行い,原告らの著 作権(複製権)を侵害するおそれかあるといえるから,被告会社らの行う本件事業について,これを差し止める必要性かある。
(2) この点に関して被告タイムスは,本件訴状か提出された日以降は,本件各作品は電子化サーヒスの対象外としており,その複製権を侵害するおそれは ない旨主張し,それに沿う証拠として電子メール(乙B3)を提出する。しかし,被告タイムスの提出する乙B3は,2件の依頼に対し,本件訴訟 て係争中の原告らの書籍てあることを理由として電子化依頼を断ったとする ものにすきす,上記のとおり,被告タイムスか,原告らからの2度にわたる 警告を含む通知のあった後においても,原告X6の作品てある書籍を電子フ ァイル化したこと等に照らせは,原告らの複製権を侵害するおそれかないと はいえない。したかって,被告タイムスの上記主張は採用することかてきない。(3) また,被告ヒー・トゥ・システムスは,同社には複製の意図はなく,複製 権侵害のおそれもないと主張するか,本件事業か複製行為に該当することは 前記2て説示したとおりてあり,また上記(1)の認定事実に照らせは,被告ヒ ー・トゥ・システムスについて,複製権侵害のおそれもあるということかてきる。
 したかって,被告ヒー・トゥ・システムスの主張は採用することかてきない。
5 争点(4)(被告らの賠償責任の有無並ひに損害発生の有無及ひその額)について
(1) 著作権者か,その著作権を侵害するおそれのある者に対し,著作権法112条1項に基つく差止請求をするについては,不法行為てある著作権侵害を 理由とする損害賠償請求をするのと同様に,著作権者において,自らか著作 権者てある事実と,著作権侵害ないしそのおそれに係る事実を主張立証する 責任かあるところ,著作権者か主張立証すへき事実は,故意ないし過失及ひ 損害額を除けは,不法行為に基つく損害賠償請求訴訟と異なるところはない。そうすると,著作権法112条1項に基つく差止請求権は,不法行為に基つ く損害賠償請求権と同様,弁護士に委任しなけれは訴訟活動をすることか困 難な類型に属する請求権てあるということかてきる。そして,本件のように, 著作権者か著作権法112条1項に基つく差止請求をする訴えの提起を余儀 なくされ,その訴訟追行を弁護士に委任した場合には,その弁護士費用は, 事案の難易その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内て,著 作権侵害ないしそのおそれと相当因果関係に立つ損害てあると解される(最 高裁昭和44年2月27日第一小法廷判決・昭和41年(オ)第280号・民 集23巻2号441頁,最高裁平成24年2月24日第二小法廷判決・平成 23年(受)第1039号・裁判集民事240号111頁参照。)。(2) 被告ユーフランニンク及ひ被告Y1の賠償責任につき 上記認定事実によれは,被告ユーフランニンクは,本件質問書(甲25)を平成23年9月6日に受領し,原告らから,本件事業における電子化ファ イルの作成について許諾するものてはないことを通知され,さらに本件通知 書(甲31)を同年10月18日に受領し,同旨の通知を受けていたにもか かわらす,平成24年7月13日に原告ら代理人か申込みをした原告X6及 ひ訴外Aの各作品につき,書籍をPDFファイル化した電子ファイルを作成 し,同年8月25日まてに送付するなとしているものてある。こうした被告 ユーフランニンクの対応により,原告らは,被告ユーフランニンクらに対す る差止請求の訴訟提起を余儀なくされ,訴訟追行を弁護士に委任したものと 認められるし,被告ユーフランニンクの過失も認められる。また,証拠(甲5,26,32,48)によれは,被告Y1は,被告ユー フランニンクの代表者てあって,上記2通の質問書等も受領しており,イン ターネットのウェフサイト上においても代表者として会社案内の挨拶文を記 載し,顔写真も載せるなとしていることや,被告ユーフランニンクの本店所 在地に存する建物の所有者は,担保不動産の競売により平成24年11月9日に移転登記かされるまては被告Y1てあったことなとからすると,別途事 業責任者として訴外Y1の氏名か会社案内には記載されているものの,被告 Y1は,被告ユーフランニンクの行う本件事業の責任者てあったことか認め られるから,被告ユーフランニンクと同様に,過失か認められ,被告ユーフ ランニンクと共同して不法行為を行ったものと認められる。(3) 被告タイムス及ひ被告Y2の賠償責任につき 上記認定事実によれは,被告タイムスは,被告タイムス訴外Y2(以下「Y2」という。)宛て本件質問書(甲25)の内容証明郵便を,同月6日 に受領し,原告らから,本件事業における電子化ファイルの作成について許 諾するものてはないことを通知され,さらに本件通知書(甲31)も,同月 18日に受領した。これに対し,被告Y2において,原告ら代理人宛てに, 本件各作品について本件事業を行うかは検討中てある旨等を返答した。しか し,被告タイムスは,平成24年7月13日に原告ら代理人か申込みをした 原告X6及ひ訴外Aの各作品につき,書籍をPDFファイル化した電子ファ イルを作成し,同年8月22日まてに送付するなとしているものてある。こ うした被告タイムスの対応により,原告らは,被告タイムスらに対する差止 請求の訴訟提起を余儀なくされ,訴訟追行を弁護士に委任したものと認めら れるし,被告タイムスの過失も認められる。この点に関して被告タイムスは,本件事業の適法性について,本件各作品 の出版元てある出版社や,一般社団法人日本雑誌協会等,複数の出版関係事 業者等に問い合わせをしたか,いすれも適法てあるとの回答を得た旨主張す る。しかし,被告タイムスは,それに沿う証拠を何ら提出しないはかりか,か えって,原告らからは,これと反する証拠(一般社団法人日本雑誌協会事務 局長Bの陳述書。甲46)か提出されており,被告タイムスか,本件事業の 適法性について,本件事業を的確に説明した上て,本件各作品の出版事業に関わる者等から適法てある旨の回答を得ていたか等については,これを認め ることかてきないというへきてある。また,被告Y2は,被告タイムスの代表者てあって,被告Y2のほかには, 上記Y2も含め,被告タイムスの取締役はおらす,上記のとおり,被告Y2 において,原告ら代理人に対し被告タイムスの代表者として回答しているこ となとからすると,被告Y2は,被告タイムスの行う本件事業の責任者てあ ったことか認められるから,被告タイムスと同様に,過失か認められ,被告 タイムスと共同して不法行為を行ったものと認められる。(4) 被告ヒー・トゥ・システムス及ひ被告Y3の賠償責任につき 上記認定事実によれは,被告ヒー・トゥ・システムスは,本件質問書(甲 25)を平成23年9月6日に受領し,原告らから,本件事業における電子 化ファイルの作成について許諾するものてはないことを通知され,これに対 して,被告Y3において,被告ヒー・トゥ・システムスの代表者として,今 後,依頼かあっても本件各作品については,本件事業を行うことはない旨の 回答をしていたものてある。ところか,平成24年7月16日に原告ら代理 人か申込みをした原告X6及ひ訴外Aの各作品につき,書籍をPDFファイル化した電子ファイルを作成し,同年9月2日まてに送付するなとしている。
 こうした被告ヒー・トゥ・システムスの対応により,原告らは,被告ヒー・ トゥ・システムスらに対する差止請求の訴訟提起を余儀なくされ,訴訟追行 を弁護士に委任したものと認められるし,被告ヒー・トゥ・システムスの過 失も認められる。また,証拠(甲13)によれは,被告Y3は,被告ヒー・トゥ・システム スの代表者てあって,上記のとおり,被告ヒー・トゥ・システムスの代表者 として今後本件各作品について本件事業を行わない旨回答していたものてあ り,インターネットのウェフサイト上においても運営責任者として表記され ている者てあることか認められることからすると,被告Y3は,被告ヒー・トゥ・システムスの行う本件事業の責任者てあったというへきてあるから, 被告ヒー・トゥ・システムスと同様に,過失か認められ,被告ヒー・トゥ・ システムスと共同して不法行為を行ったものと認められる。(5) 被告シャカレ及ひ被告Y4の賠償責任につき 上記認定事実によれは,被告シャカレは,本件質問書(甲25)を平成23年9月12日に受領し,原告らから,本件事業における電子化ファイルの 作成について許諾するものてはないことを通知され,さらに本件通知書(甲 31)を発せられたか,受取人不在・保管期間満了て,同年10月26日に 原告代理人のもとに返送された。そして,平成24年7月13日に原告ら代 理人か申込みをした原告X6及ひ訴外Aの各作品につき,書籍をPDFファ イル化した電子ファイルを作成し,同年9月8日まてに送付するなとしてい るものてある。こうした被告シャカレの対応により,原告らは,被告シャカ レらに対する差止請求の訴訟提起を余儀なくされ,訴訟追行を弁護士に委任 したものと認められるし,被告シャカレの過失も認められる。また,証拠(甲19,29)によれは,被告Y4は,被告シャカレの唯一 の取締役てあり代表者てあって,上記被告Y4宛ての本件質問書(甲25) も受領しており,インターネットのウェフサイト上においても代表者として 掲載されていることなとからすると,被告Y4は,被告シャカレの行う本件 事業の責任者てあったというへきてあるから,被告シャカレと同様に,過失 か認められ,被告シャカレと共同して不法行為を行ったものと認められる。(6) 損害発生の有無及ひその額につき 前記(1)ないし(5)て検討したところによれは,被告会社らに対する差止請求に係る弁護士費用相当額は,被告会社らによる著作権侵害のおそれと相当 因果関係のある損害てあるということかてきる。そこて,被告会社らかそれそれ負担すへき弁護士費用相当額は,上記差止 請求の内容,経過等に照らすと,原告1名につき10万円と認めるのか相当てあり,被告代表者らは,それそれか代表する被告会社らとの間て連帯して,上記金額につき損害賠償の責めを負うというへきてある。
 6 結論以上のとおり,被告会社らの行う本件事業については,原告らの著作権 (複製権)を侵害するおそれかあり,これについて著作権法30条1項の適 用もないから,本件各作品か印刷された書籍について,被告会社らによる第 三者からの委託を受けた電子的方法による複製の差止めを求める内容の請求 (主文第1項ないし第4項),及ひ,被告代表者らにおいて,それそれ代表 する被告会社らとの間て連帯して,原告1名につき10万円及ひこれに対す る各遅延損害金の支払を求める限度(主文第4項ないし第8項)において, 原告らの請求にはそれそれ理由かあるからその限度て認容し,その余は理由 かないからいすれも棄却すへきてある。また,仮執行宣言については,第1項ないし第8項について相当てあるの てこれを付すこととする。よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官
裁判官
東海林 保
今井弘晃

裁判官
実本滋
(別紙)
当事者目録 東京都千代田区<以下略>
原 告X1 東京都文京区<以下略>
原 告X2 東京都新宿区<以下略>
原 告X3 東京都新宿区<以下略>
原 告X4 東京都千代田区<以下略>
原 告X5 東京都文京区<以下略>
原 告X6 東京都千代田区<以下略>
原 告X7
原告ら訴訟代理人弁護士 伊藤真
同 平井佑希
同 前田哲男
同 福井健策
同 北澤尚登
同 久保利英明 同上山浩
住居所不明(最後の住所 相模原市<以下略>)
被 告 株式会社ユーフランニンク
住居所不明(最後の住所 相模原市<以下略>)
被 告Y1 東京都品川区<以下略>
(送達場所 東京都葛飾区<以下略>)
被 告 株式会社タイムス 東京都葛飾区<以下略>
被 告Y2 横浜市<以下略>
被 告 株式会社ヒー・トゥ・システムス 横浜市<以下略>
被 告Y3 東京都立川市<以下略>
(送達場所 東京都新宿区<以下略>)
被 告 有限会社シャカレ・アセット・マネシメント 東京都新宿区<以下略>(送達場所 東京都新宿区<以下略>)
被 告Y4
以下別紙省略
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