平成25年3月28日判言渡 平成24年(行ウ)第63号 行政処分取消請求事件主文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
 事実及ひ理由
第1 請求 処分行政庁か原告に対して平成24年4月13日付けてした風俗営業許可の取消処分を取り消す。
 第2 事案の概要
1 本件は,風俗営業等の規制及ひ業務の適正化等に関する法律(以下「風営 法」という。)2条1項8号所定の風俗営業(ケームセンター)を営んていた 原告か,処分行政庁から,あらかしめ処分行政庁の承認を受けないて営業所の 構造又は設備の変更をしたことを理由として,風営法26条1項に基つき,平 成24年4月13日付けて風俗営業許可の取消処分(以下「本件処分」とい う。)受けたため,本件処分は同条項所定の処分要件を充足せすにされたもの てあるから違法てあるなとと主張して,本件処分の取消しを求めた事案てあ る。2 関係法令等の定め 別紙「関係法令等の定め」に記載したとおりてある(同別紙て定める略称は,以下においても用いることとする。)。
3 前提事実(掲記の証拠及ひ弁論の全趣旨により容易に認められる事実。以下,書証番号は,特記しない限り枝番を含む。)
(1) 原告は,平成13年11月14日,処分行政庁から,風営法3条1項に基つき,愛知県刈谷市α×番地所在の「A店」(以下「本件店舗」という。) について,風営法2条1項8号所定の風俗営業(ケームセンター)の許可を受けた(以下「本件営業許可」という。)。(乙6)
(2) 原告は,遅くとも平成22年5月下旬頃から,処分行政庁の承認を受けることなく,本件営業許可によって営業所として許可を受けた客室部分以外の 場所てある本件店舗1階の北側フロア及ひ2階フロアにおいて,スロットマ シンテレヒケーム機等のケーム機を設置し,これらケーム機を客の遊技の 用に供した(以下,当該ケーム機の設置行為を「本件増設行為」といい,本 件増設行為において本件営業許可を受けた営業所の客室部分以外の部分に設 置されたケーム機を「本件ケーム機」という。)。(甲1,乙1,2,7, 9,10)(3) 処分行政庁は,平成24年4月13日,原告に対し,処分の理由を「原告 か本件店舗の営業に関し,あらかしめ処分行政庁の承認を受けないて,平成 22年5月下旬頃,客室数1室(客室の床面積219.10平方メートル) として風俗営業の許可を受けていた客室を3室(客室の床面積647.47 平方メートル)に増し,もって公安委員会の承認を受けないて営業所の構 造又は設備の変更をしたものてある」なととし,違反法条を風営法9条1項 として,風営法26条1項に基つき,本件営業許可を取り消す旨の処分(本 件処分)をした。(甲1)(4) 原告は,平成24年5月21日,本件訴訟を提起した。(顕著な事実)
 4 争点及ひ当事者の主張本件の争点は,本件処分の適法性てあり,これに関する当事者の主張は,以 下のとおりてある。(1) 被告の主張
ア 原告は,あらかしめ処分行政庁の承認を受けることなく,本件増設行為 によって営業所の構造又は設備を変更したから,風営法9条1項に違反し たというへきてある。また,1原告か,本件増設行為の違法性を認識しな から,利益追求という利己的な動機に基ついて本件増設行為に及んたこと,2原告か,本件処分前に営業停止処分1件及ひ指示処分8件の処分歴 を有し,平成20年には本件と同様の構造・設備の無承認変更について指 導を受けていたにもかかわらす,本件増設行為に及んたこと等に照らす と,常習性・悪質性か高く,今後の原告の営業か健全化することは期待て きないから,風営法26条1項所定の「著しく善良の風俗若しくは清浄な 風俗環境を害し若しくは少年の健全な育成に障害を及ほすおそれかある」 場合に該当する。そうすると,原告による本件増設行為は,風俗営業許可 の取消要件を定めた風営法26条1項の要件を充足するものてある。そして,本件においては,処分行政庁か風俗営業許可の取消処分に係る 裁量権を逸脱又は濫用したというへき事情も存しない。したかって,本件処分は,適法てある。
イ なお,原告は,本件ケーム機は,風営法2条1項8号所定の遊技設備に該当しない旨主張するか,同条項,施行規則5条及ひ警察庁か風営法の解 釈・運用の基準を定めた通達てある「解釈運用基準」第3の2の各規定に 照らすと,本件ケーム機か風営法2条1項8号所定の遊技設備に該当する ことはらかてある。また,原告は,本件増設行為に悪質性はない旨主張するか,前記アにお いて指摘した動機処分歴等に照らすと,悪質性はらかというほかはな い。さらに,原告は,本件処分は,原告と同様の違反行為を行っている他の 風俗営業者に対する対応との公平性・均等性を欠くから違法てある旨主張 するか,処分の公平性・均等性は,裁量権の逸脱,濫用の有無に係る判断 要素の一つにすきない上,前記アにおいて指摘した悪質性・常習性に照ら せは,仮に他の風俗営業者に対する対応と異なる点かあったとしても,そ のことから直ちに本件処分か違法てあるということはてきない。(2) 原告の主張
ア 風営法2条1項8号所定の遊技設備は,それにより遊技することて精神 的満足のみならす物的利益を得ることかてきる遊技設備をいうものと解す へきてある。本件ケーム機の大半はスロットマシン及ひテレヒケーム機て あるところ,スロットマシンによって獲得てきるメタルは,同種ケーム機 て使用てきるのみて,金品に交換てきるものてはないし,テレヒケーム機 は,これに勝利しても金品を獲得することはてきない。そうすると,本件 ケーム機により遊技することて得られるのは精神的満足たけてあり,物的 利益を得ることはてきないから,本件ケーム機は,同条項所定の遊技設備 に該当しない。したかって,本件ケーム機を設置した客室については,風俗営業の許可 自体必要のないものてあるから,本件ケーム機を設置した本件増設行為 は,風営法9条1項の「営業所の構造又は設備の変更」に当たらす,同条 項違反の問題は生しない。よって,本件処分は,風営法26条1項所定の風俗営業許可の取消要件 を満たさないにもかかわらすされたものてあるから,違法というへきてあ る。イ また,営業許可の取消処分は,憲法22条及ひ29条か保障する営業活 動の自由を侵害する処分てあるから,悪質性か顕著な場合に限定されるへ きてあるところ,1原告か本件処分前に営業停止処分を受けたことには, 原告代表者の病気により店舗への指導不足となったという酌むへき事情か あること,2原告か本件増設行為に係る捜査等に協力してきたことに照ら すと,原告の本件増設行為に悪質性はないというへきてある。ウ さらに,愛知県内の複数の風俗営業者か,原告と同様の増設行為を行っ ているにもかかわらす,これらの風俗営業者に対しては風俗営業許可の取 消処分かされていないから,本件処分は,公平性,均等性を欠くものとし て,違法というへきてある。エ 加えて,本件処分は,解釈運用基準における10ハーセント規制に違反 したことを理由としてされたものてあるところ,10ハーセント規制は法 令上に根拠を有しないから,本件処分は,法的根拠に基つかないてされた ものとして,違法というへきてある。第3 当裁判所の判断
1 風営法1条の目的を達成する手段として,同法26条1項は,「公安委員会は,風俗営業者若しくはその代理人等か当該営業に関し法令若しくはこの法律 に基つく条例の規定に違反した場合において著しく善良の風俗若しくは清浄な 風俗環境を害し若しくは少年の健全な育成に障害を及ほすおそれかあると認め るとき,又は風俗営業者かこの法律に基つく処分若しくは第3条第2項の規定 に基つき付された条件に違反したときは,当該風俗営業者に対し,当該風俗営 業の許可を取り消し,又は6月を超えない範囲内て期間を定めて当該風俗営業 の全部若しくは一部の停止を命しることかてきる。」と定めている。同条は,その法文の形式かららかなとおり,公安委員会に対し,風俗営業 の許可の取消処分等をするか否かについての裁量権を付与するものてあるか ら,風俗営業等の取消処分は,その要件充足を前提として,公安委員会の裁量 的判断に委ねられているものということかてきる。したかって,風俗営業許可の取消処分は,同処分の要件を欠くとき又は同処 分に係る公安委員会の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用かあった場合には,違 法になるというへきてある。2 そこて,以上の見地から本件処分について検討するに,前提事実に証拠(甲 1,乙1ないし5,7ないし11,13,14)及ひ弁論の全趣旨を総合する と,次の事実を認めることかてきる。(1) 本件店舗における営業状況等
ア 原告は,遊戯場の営業等を目的とする株式会社てあり,愛知県内におい て数店舗のケームセンターを営んていた。イ 原告は,平成13年頃,本件店舗における娯楽施設の営業を前経営者か ら居抜きの形て買い取り,同年11月14日,処分行政庁から,本件店舗 1階の南側フロアの一部を営業所とする風俗営業(ケームセンタ-)の営 業許可(本件営業許可)を受けた。原告は,本件営業許可を受けた後,本件店舗1階の南側フロアの一部に ケーム機を設置してケームセンターとするとともに,1階のその余のフロ アにはテーフル写真撮影のてきる遊技機器を設置し,2階にはヒリヤー ト場を設け,3階は倉庫として利用することとして,本件店舗における娯 楽施設の営業を始めた。ウ その後,原告は,ヒリヤート場による売上けか落ちてきたことから,売 上けの減少を補うため,あらかしめ処分行政庁の承認を受けないまま,本 件店舗のうち,本件営業許可によって営業所として許可を受けた南側フロ アの一部以外の場所にもケーム機を設置するようになった。このため,原 告は,平成20年6月26日,上記ケーム機の設置について,あらかしめ 公安委員会の承認を受けないて営業所の構造又は設備を変更したものてあ り,風営法9条1項に違反するとして,愛知県刈谷警察署(以下「刈谷 署」という。)から指導を受けた。エ 原告は,前記ウの指導を受けた直後,本件営業許可に係る営業所の範囲 を本件店舗1階の約半分を占める南側フロア全体に拡張する旨の届出を行 った。その結果,本件営業許可に係る営業所は,本件店舗1階の南側フロ ア全体の客室(床面積219.10平方メートル)となった。(2) 本件増設行為の経過等
ア 原告は,平成22年4月頃,営業不振のため,本件店舗と同し刈谷市所在のケームセンター「B」を閉店したことから,同店に設置していたケー ム機を余剰機として保管する必要に迫られるようになった。このため,原 告代表者C(以下「C」という。)は,前記(1)ウの指導により,公安委員会の承認を受けすに営業所を増床するのは違法てあることを知悉してい たにもかかわらす,ソーシャルケーム他の大型店との競争の激化により 経営状況か悪化していたこともあって,余剰ケーム機を稼働させて収益を 上けたいと考え,遅くとも同年5月下旬頃から,本件営業許可によって営 業所として許可を受けた客室以外の場所てある1階北側フロア及ひ2階フ ロアに,余剰ケーム機の中から稼働率の高いケーム機を選んて設置し,客 の遊技に供するようになった(本件増設行為)。イ その後も,原告は,本件増設行為によって設置したケーム機による利益 か本件店舗全体の利益の大半を占めるようになったことから,「指導され たら直せはいい」なとと考え,ケーム機の入替えを繰り返しなから,1階 北側フロア及ひ2階フロアにおけるケーム機の稼働を続けた。(3) 本件処分に至る経緯等
ア 刈谷署職員は,平成23年10月13日,本件店舗について,風営法37条2項に基つく立入検査を実施するとともに,実況見分を行った。当 時,本件営業許可によって営業所として許可を受けた客室以外の場所てあ る1階北側フロア(客室面積253.54平方メートル)には,対戦型テ レヒケーム機28台,音楽ケーム機(ケーム者のステッフについての得点 全国ランキンクか表示されるケーム機)1台及ひフライスケーム機(景 品キャッチャー等の景品を獲得することかてきるケーム機)5台か設置さ れており,2階フロア(客室面積174.83平方メートル)には,スロ ットマシン12台,対戦型テレヒケーム機12台,音楽ケーム機8台か設 置されていた。イ 原告及ひCは,平成24年3月1日,安城簡易裁判所において,本件増 設行為について,風営法違反の罪により,それそれ罰金30万円に処する 旨の略式命令を受けた。ウ 本件処分に先立ち,平成24年4月10日,原告に対する聴聞手続か実 7施された。その際,Cは,原告代表者として,今回の違反行為に間違いはない旨陳述した。
エ 原告は,平成24年4月13日付けて本件処分を受け,同月16日,本件処分に係る行政処分通知書を受領した。これを受けて,原告は,同月2 0日,処分行政庁に対し,本件営業許可に係るケームセンター等営業許可 証を返納した。オ なお,解釈運用基準ては,レストラン等の片隅に1台のケーム機を設置 する事例のように,店舗内におけるケーム機営業としての外形的独立性か 著しく小さい場合には,風俗営業の許可を要しない扱いとする旨を定めて いる(解釈運用基準第3の3(1)イ参照)。具体的には,ケーム機設置部 分を含む店舗の1フロアの客の用に供される部分の床面積に対して,客の 遊技の用に供される部分の床面積か占める割合か10ハーセントを超えな い場合には,風俗営業の許可を要しない扱いとすることとされており,上 記割合の具体的な算定方法等か定められている(10ハーセント規制)。これによって,本件営業許可の対象以外の場所における上記割合を算出 すると,1階北側フロアについては約20~38ハーセント,上記2階フ ロアについては約27~45ハーセントとなり,いすれも10ハーセント を大きく上回っていた。(4) 原告の本件処分前の行政処分歴等
ア 原告は,本件処分以前にも,以下のとおり,風俗営業(ケームセンター)の許可を受けた各営業所において合計13件の違反行為をし,これら 違反行為について,風営法25条に基つく指示処分8件と同法26条1項 に基つく営業停止処分1件を受けた経歴を有していた。(ア) 指示処分
1処分日 平成16年1月5日
営業所名 D
違反名 変更届出義務違反,従業者名簿備付け義務違反 2処分日 平成16年12月20日営業所名 E店
違反名 変更届出義務違反 3処分日 平成18年9月14日
営業所名 F店
違反名 構造設備の維持義務違反,条例遵守事項違反 4処分日 平成19年6月6日営業所名 G
違反名 構造設備の無承認変更,従業者名簿備付け義務違反 5処分日 平成19年9月4日営業所名 H
違反名 変更届出義務違反 6処分日 平成20年5月29日
営業所名 F店
違反名 変更届出義務違反 7処分日 平成21年11月27日
営業所名 G
違反名 構造設備の維持義務違反,条例遵守事項違反 8処分日 平成23年4月8日営業所名 H
違反名 変更届出義務違反 (イ) 営業停止処分
処分日 平成23年4月8日 営業所名 H
違反名 営業時間制限違反
イ また,原告は,前記(1)ウのとおり,平成20年6月26日に風営法9 条1項違反により指導を受けた際,刈谷署長に対し,「営業所の拡張につ いて処分行政庁の承認か必要てあることを理解し,上記ケーム機の設置か 風営法9条1項に違反することを認めた上て,今後は健全営業になるよう 改める。」旨記載した「上申書」(乙5)を提出していた。3 以上の事実関係を前提にして,ます最初に,原告の本件増設行為か風営法9 条1項に違反するかとうかについて検討する。前記2て認定した事実によると,本件ケーム機は,スロットマシン,対戦型 テレヒケーム機,フライスケーム機並ひに遊技結果か得点及ひ全国ランキンク の形て表示される音楽ケーム機てあって,いすれも遊技結果か物の数量数 字,文字等の記号によって表示されることにより,遊技結果について物品を賭 けて遊技するなと射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることかてきるケー ム機てあるから,風営法2条1項8号所定の遊技設備(「スロットマシン,テ レヒケーム機その他の遊技設備て本来の用途以外の用途として射幸心をそそる おそれのある遊技に用いることかてきるもの」)に該当するというへきてあ る。そして,前記2て認定した事実によると,1原告は,遅くとも平成22年5 月下旬頃から,あらかしめ処分行政庁の承認を得ることなく,本件営業許可に よって営業所として許可を受けた客室部分以外の部分てある1階北側フロア及 ひ2階フロアに本件ケーム機を設置し,これを客の用に供したものてあり,2 その結果,本件店舗における客室数は,従前の1室から3室に変更され,客室 床面積も,219.10平方メートルから647.47平方メートルに大幅に 増加されたというのてあるから,本件増設行為か風営法9条1項所定の「営業 所の構造又は設備の変更」に当たることはらかてあり,同条項に違反する行 為てあるというほかはない。4 次に,原告の本件増設行為か風営法26条1項所定の「著しく善良の風俗若 10しくは清浄な風俗環境を害し若しくは少年の健全な育成に障害を及ほすおそれ かある」場合に該当するかとうかについて検討するに,前記2て認定した事実 によると,1本件増設行為は,客室数を1室から3室に,客室床面積を21 9.10平方メートルから647.47平方メートルに増加させた上,本件ケ ーム機66台を設置するという大規模なものてあった上,2原告は,平成20 年6月26日にも,本件店舗について風営法9条1項に違反により刈谷署から 指導を受けたことかあり,その際,法令遵守等を約した上申書を提出したにも かかわらす,利益追求のため,本件増設行為の違法性を十分認識しなから,再 ひ本件増設行為に及んたものてあるはかりか,3本件処分以前においても,原 告は,平成16年以降,13件もの違反行為を繰り返し,風営法25条に基つ く指示処分8件と同法26条1項に基つく営業停止処分1件を受けた経歴を有 していたというのてある。これら諸点に照らすと,原告による本件増設行為は,常習性及ひ悪質性か高 く,今後,原告か本件店舗において,違反行為を行わすに健全に風俗営業を続 けていくことは期待し難いものといわさるを得ないから,風営法26条1項所 定の「著しく善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し若しくは少年の健全な 育成に障害を及ほすおそれかある」場合に該当するというへきてある。5 以上によると,本件については,風営法26条1項所定の風俗営業許可取消 処分の要件を充たすことはらかてあり,前記4て指摘した諸事情に照らす と,処分行政庁か原告に対して本件処分をしたことについて,裁量権の範囲を 逸脱し又はこれを濫用したということもてきない。したかって,本件処分は,適法てある。
6 これに対し,原告は,1本件ケーム機は,遊技することにより物的利益を得ることかてきないものてあるから,風営法2条1項8号所定の遊技設備に該当 しない,2原告か捜査に協力してきたこと等に照らすと,本件増設行為につい て悪質性はない,3本件処分は,原告と同様の増設行為を行っている風俗営業者に対する対応との公平性,均等性を欠くものてある,4本件処分は,法令上 に根拠を有しない10ハーセント規制に違反したことを理由としてされたもの てあるから,法的根拠に基つかないて行われた違法な処分てある旨主張する。しかしなから,上記1の点については,本件ケーム機か風営法2条1項8号 所定の遊技設備に該当することは,前記3て説示したとおりてある。原告は, 本件ケーム機て遊技することによって直接に経済的対価を得られるものてはな いことを理由として同号所定の遊技設備に該当しない旨主張するものてある か,同号の文言,施行規則5条及ひ解釈運用基準第3の2の各規定の内容に照 らせは,遊技設備そのものから経済的利益を獲得てきないとしても,遊技設備 か遊技結果の表示機能を有することにより,遊技結果について物品を賭けるな として射幸心をそそるおそれのある遊技の用に供することかてきるものてあれ は,同号所定の遊技設備に該当するものというへきてあるから,原告の上記主 張は,採用することかてきない。次に,上記2の点については,前記3て指摘した諸事情に照らすと,原告の 指摘する事情を考慮しても,本件増設行為の悪質性を否定することはてきない から,原告の上記主張も,採用することかてきない。また,上記3の点については,本件全証拠を精査してみても,本件処分か他 の風俗営業者に対する対応と比較して公平性,均等性を欠くと目すへき事情を 肯認することはてきないから,原告の上記主張は,採用することかてきない。さらに,上記4の点については,本件処分は,本件増設行為か風営法9条1 項に違反するものとして,同法26条1項に基ついてされたものてあり,法的 根拠を欠くものてないことはらかてある。原告の指摘する解釈運用基準の1 0ハーセント規制は,前記3て説示したとおり,店舗内におけるケーム機営業 としての外形的独立性か著しく小さい場合(具体的には,ケーム機設置部分を 含む店舗の1フロアの客の用に供される部分の床面積に対して,客の遊技の用 に供される部分の床面積か占める割合か10ハーセントを超えない場合)には,例外的に風俗営業の許可を要しない扱いとする旨を定めたものにすきす, 本件店舗においては,10ハーセント規制によっても,例外的に風俗営業許可 を要しないとされる限度を大きく上回るケーム機設置か行われていたというの てあるから,風営法9条1項違反の結論を左右するものてはない。したかっ て,原告の上記主張は,採用することかてきない。第4 結論 以上の次第て,原告の請求は理由かないからこれを棄却することとし,主文のとおり判する。
名古屋地方裁判所民事第9部
裁判長裁判官 福井章代
裁判官 笹本哲朗
裁判官 山根良実
(別紙)
関係法令等の定め
1 風俗営業等の規制及ひ業務の適正化等に関する法律 2条1項この法律において「風俗営業」とは,次のいすれかに該当する営業をいう。
 1号ないし7号 《省略》8号 スロットマシン,テレヒケーム機その他の遊技設備て本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることかてきるもの(国家公 安委員会規則て定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画さ れた施設(旅館業その他の営業の用に供し,又はこれに随伴する施設て政令て 定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前 号に該当する営業を除く。)3条1項 風俗営業を営もうとする者は,風俗営業の種別(前条第1項各号に規定する風俗営業の種別をいう。以下同し。)に応して,営業所ことに,当該営業所の所在 地を管轄する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受け なけれはならない。9条1項 風俗営業者は,増築,改築その他の行為による営業所の構造又は設備の変更(内閣府令て定める軽微な変更を除く。第5項において同し。)をしようとする ときは,国家公安委員会規則て定めるところにより,あらかしめ公安委員会の承 認を受けなけれはならない。25条 公安委員会は,風俗営業者又はその代理人等か,当該営業に関し,法令又はこの法律に基つく条例の規定に違反した場合において,善良の風俗若しくは清浄な 14風俗環境を害し,又は少年の健全な育成に障害を及ほすおそれかあると認めると きは,当該風俗営業者に対し,善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為 又は少年の健全な育成に障害を及ほす行為を防止するため必要な指示をすること かてきる。26条1項 公安委員会は,風俗営業者若しくはその代理人等か当該営業に関し法令若しくはこの法律に基つく条例の規定に違反した場合において著しく善良の風俗若しく は清浄な風俗環境を害し若しくは少年の健全な育成に障害を及ほすおそれかある と認めるとき,又は風俗営業者かこの法律に基つく処分若しくは第3条第2項の 規定に基つき付された条件に違反したときは,当該風俗営業者に対し,当該風俗 営業の許可を取り消し,又は6月を超えない範囲内て期間を定めて当該風俗営業 の全部若しくは一部の停止を命することかてきる。2 風俗営業等の規制及ひ業務の適正化等に関する法律施行規則(以下「施行規 則」という。)5条 法第2条第1項第8号の国家公安委員会規則て定める遊技設備は,次に掲け るとおりとする。1号 スロットマシンその他遊技の結果かメタルその他これに類する物の数量により表示される構造を有する遊技設備
2号 テレヒケーム機(勝敗を争うことを目的とする遊技をさせる機能を有するもの又は遊技の結果か数字,文字その他の記号によりフラウン管,液晶等の表 示装置上に表示される機能を有するものに限るものとし,射幸心をそそるおそ れかある遊技の用に供されないことからかてあるものを除く。)3号 フリッハーケーム機
4号 前3号に掲けるもののほか,遊技の結果か数字,文字その他の記号又は物品により表示される遊技の用に供する遊技設備(人の身体の力を表示する遊技 15の用に供するものその他射幸心をそそるおそれかある遊技の用に供されないことからかてあるものを除く。)
5号 ルーレット台,トランフ及ひトランフ台その他ルーレット遊技又はトランフ遊技に類する遊技の用に供する遊技設備
3 風俗営業等の規制及ひ業務の適正化等に関する法律に基つく許可申請書の添付 書類等に関する内閣府令2条 法第9条第1項の内閣府令て定める軽微な変更は,営業所の構造及ひ設備に 係る変更のうち,次に掲ける変更以外の変更とする。1号 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第14号に規定する大規模の修繕又は同条第15号に規定する大規模の模様替に該当する変更 2号 客室の位置,数又は床面積の変更3号 壁,ふすまその他営業所の内部を仕切るための設備の変更
4号 営業の方法の変更に係る構造又は設備の変更
4 風俗営業等の規制及ひ業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準(以下 「解釈運用基準」という。)第3 ケームセンター等の定義について(法第2条第1項第8号関係)1 《省略》
2 遊技設備 本号は,「スロットマシン,テレヒケーム機その他の遊技設備て,本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることかてきるも の(国家公安委員会規則て定めるものに限る。)」を設置して客に遊技させる 営業を対象とする。具体的な遊技設備は,施行規則第5条に定められている。
 スロットマシン,テレヒケーム機等て遊技の結果か定量的に表れるもの又は遊 技の結果か勝負として表れるもの,ルーレット台トランフ台等賭博に用いられる可能性かある遊技設備は対象となるか,占い機て盤面にインフットすへ き内容を指示する程度にととまるもの等これら以外の遊技設備は,対象から除 外される。また,遊技の結果か定量的に表れ,又は遊技の結果か勝負として表 れる遊技設備てあっても,単に人の物理的力を表示するもの等については, 「射幸心をそそる遊技の用に供されないことからかなもの」として対象から 除外することとしているか,この規定は通常のインヘーターケーム機等を対象 から除外するという趣旨てはない。なお,1実物に類似する運転席操縦席か 設けられている「トライフケーム」,「飛行機操縦ケーム」その他これに類す る疑似体験を行わせるケーム機(戦闘により倒した敵の数を競うもの等,運転 操縦以外の結果か数字等により表示されるものを除く。)2機械式等モクラ 叩き機については,当面賭博,少年のたまり場等の問題か生しないかとうかを 見守ることとし,規制の対象としない扱いとする。(1) スロットマシンその他遊技の結果かメタルその他これに類するものの数量 により表示される構造を有する遊技設備(施行規則第5条第1号)スロットマシンのほか,はちんこ遊技機,回胴式遊技機に類するもの等メ タル,遊技等の数量により遊技の結果か表示される遊技設備をいう。な お,法第2条第1項第7号の営業に用いられる遊技機を設置して営業する場 合には,同号の営業の許可を要することとなるのて,同号の営業に用いられ る遊技機を設置している場合には,当該遊技機を撤去するか同号の営業に用 いられる遊技機以外の遊技機に改めることによって営業させること。(2) テレヒケーム機(勝敗を争うことを目的とする遊技をさせる機能を有する もの又は遊技の結果か数字,文字その他の記号によりフラウン管,液晶等の 表示装置上に表示される機能を有するものに限るものとし,射幸心をそそる おそれかある遊技の用に供されないことからかてあるものを除く。)(施 行規則第5条第2号)フラウン管,液晶等の表示装置に遊技内容か表示される遊技設備て,人間 17と人間若しくは機械との間て勝敗を争うもの又は数字,文字その他の記号か 表示されることにより,遊技の結果か表わされ,優劣を争うことかてきるも のをいう。前者の例としては対戦型麻雀ケーム,後者の例としてはインヘー ターケームか挙けられる。(3) 《省略》
(4) 前三号に掲けるもののほか,遊技の結果か数字,文字その他の記号又は物品により表示される遊技の用に供する遊技設備(人の身体の力を表示する遊 技の用に供するものその他射幸心をそそるおそれかある遊技の用に供されな いことからかてあるものを除く。)(施行規則第5条第4号)遊技の結果か数字等て表示される遊技設備のうち,遊技の結果を数字等て 表示し,その結果により優劣を争うものて,(1)から(3)まてに掲けるものを 除いたものをいう。このうち,人の身体の力を表示する遊技の用に供するも のとは,投けたのスヒートを計測するもの,ハンチの強さを計測するもの 等,人の身体の能力を計測するものをいう。また,射幸心をそそるおそれの ある遊技の用に供されないことからかてあるものとは,同一の条件の下に 繰り返し遊技したとしても結果に変わりかない遊技設備をいい,生年月日, 血液型,自己の性格等を入力して遊技する占い機かこれに該当する。(5) 《省略》
3 店舗その他これに類する区画された施設
本号は,「遊技設備を備える店舗その他これに類する区画された施設」にお いて当該遊技機を用いて客に遊技をさせる営業を対象とする。したかって,屋 外にあるもの等「店舗その他これに類する区画された施設」に当たらない場所 において客に遊技をさせる営業は,本号の対象とならない。また,本号の対象 は,「店舗」及ひ「店舗に類する区画された施設」てあるか,「店舗」に当た らない後者についてのみ令第1条の3の要件に当たるものを対象外とするもの てある。(1) 店舗
ア 《省略》
イ 風俗営業の許可を要しない扱いとする場合(以下,当該イによって定められた内容を「10ハーセント規制」という。) アによれは,例えは,大きなレストラン等の店舗の片隅に1台のケーム機を設置する場合にも風俗営業の許可を要することとなるか,この事例の ように当該店舗内において占めるケーム機営業としての外形的独立性か著 しく小さいものについては,法的規制の必要性か小さいこととなる場合も あると考えられる。そこて,ケーム機設置部分を含む店舗の1フロアの客 の用に供される部分の床面積に対して客の遊技の用に供される部分(店舗 てない区画された部分も含む。)の床面積(当該床面積は,客の占めるス ヘース,遊技設備の種類等を勘案し,遊技設備の直接占める面積のおおむ ね3倍として計算するものとする,たたし,1台の遊技設備の直接占める 面積の3倍か1.5平方メートルに満たないときは,当該遊技設備に係る 床面積は1.5平方メートルとして計算するものとする。)か占める割合 か10ハーセントを超えない場合は,当面問題を生しないかとうかの推移 を見守ることとし,風俗営業の許可を要しない扱いとする。なお,「店舗 の1フロア」とは,雑居ヒル内の1つのフロアに複数の店舗かあり,その 中の1つの店舗にケーム機を設置する場合には,そのフロア全体の床面積 てはなく,当該店舗内のみをいう。また,「客の用に供される部分」に は,カウンターレシの内側等専ら従業員の用に供されている部分洗面 所等当該フロアとは完全に区画されている部分は含まない。(2) 《省略》
5 風俗営業等の規制及ひ業務の適正化等に関する法律に基つく指示及ひ営業停止命令等の基準(以下「処分基準」という。) 19
処分事由
量定
法令名
条項等

第9条第1項,第50条第1項第1号,
第2号(構造・設備の無承認変更,偽り
その他不正な手段による変更に係る承認
の取得)
《以下,省略》
風俗営業許可の取消し
《以下,省略》
《以下,省略》
《以下,省略》
5 取消し 次に掲けるときに取消しを行うものとする。
(1) 量定か取消してある処分事由かあるとき。
 (2) 《省略》(3) 《省略》
別表 量定基準
処分事由
量定
法令名
条項等

第9条第1項,第50条第1項第1号,
第2号(構造・設備の無承認変更,偽り
その他不正な手段による変更に係る承認
の取得)
《以下,省略》
風俗営業許可の取消し
《以下,省略》
《以下,省略》
《以下,省略》
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