平成24年7月17日判言渡 同日原本領収 裁判所書記官 平成22年第764号 損害賠償請求事件口頭弁論終結日 平成24年4月17日

(当事者の表示 省略)
主文
1 被告は,原告に対し,145万9695円及ひこれに対する平成18年12月28日から支払済みまて年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,これを10分し,その7を原告の負担とし,その3を被告の負担とする。
4 この判は,第1項に限り,仮に執行することかてきる。
事実及ひ理由
第1 請求 被告は,原告に対し,513万5982円及ひこれに対する平成18年12月28日から支払済みまて年5分の割合による金員を支払え。
 第2 当事者の主張1 請求原因
 原告は,横浜市a区b××番×号に所在する店舗(以下「本件店舗」という。)において,墓石の販売等を行っている株式会社てある。本件店舗の地 下には駐車場(以下「本件地下駐車場」という。)かある。被告は,横浜市a区c×丁目××所在のA公園(以下「本件公園」という。) を管理する地方公共団体てある。 本件公園と本件店舗の位置関係は別紙図面1のとおりてあり,別紙図面1 の「本件池」の位置に,B池という名称の池(以下「本件池」という。)か ある。雨か降ると,雨水は本件池に一時的に貯水され,その後,別紙図面1の「流 れ1」の水路(以下「水路1」という。)を通って下流に流され,その一部 か,別紙図面1の「桝1」にある雨水管(以下「雨水管1」という。)を通 って地下に排水される。残りの雨水は,別紙図面1の「流れ2」の水路(以 下「水路2」といい,水路1と併せて以下「本件水路」という。)を通って さらに下流に流され,本件店舗付近にある別紙図面1の「桝2」の雨水管(以 下「雨水管2」という。)を通って地下に排水される。本件水路と上記各雨水管との境目(別紙図面1の桝1・2の位置)には, 落ち葉等か雨水管に浸入することを防く金属製の格子状の溝蓋(それそれ, 「本件スクリーン1」「本件スクリーン2」という。)か設けられている。ア 本件店舗及ひ本件公園かある横浜地区において,平成18年12月26 日から同月27日にかけて,雨量か累計168.5mmに達する大雨か降っ た ( 以 下 「 本 件 雨 」 と い う 。)。イ 上記アの期間において,本件地下駐車場に,約65トンを超える雨水か 浸 入 し た ( 以 下 「 本 件 浸 水 」 と い う 。)。 被告の責任 本件浸水は,本件水路の設置又は管理に下記の瑕疵かあったために発生したものてある。
ア 本件水路内及ひその周辺には落ち葉コミなとか堆積しており,特に本件水路の最後尾付近には大量の落ち葉コミか堆積し,本件水路を塞いて いた。その結果,本件水路から雨水か溢れ,本件地下駐車場に流入した。
 被告においては,本件水路内に堆積した落ち葉等を除去して,雨水か氾 濫しないよう管理すへきてあった。したかって,設置又は管理の瑕疵かあり,落ち葉等の除去を怠った過失かある。
イ 本件水路は木々に囲まれており,落ち葉の季節においては,落ち葉か本件水路の内部に堆積することか予想される。そうてあるにもかかわらす, 本件水路には,落ち葉の堆積を防く柵を設ける,落ち葉か入らないよう本 件水路の脇に網を設ける,本件公園と歩道の境目にクレーチンク付きのU 字溝を設置するなとの降雨対策を講しられていなかった。したかって,設 置・管理の瑕疵かあり,上記対策を講しなかった過失かある。 損害 本件地下駐車場か水没したことにより,駐車していた車両なとか水没し,原告は,下記のとおり,少なくとも合計513万5982円の損害を被った。
 記ア 自動車(トヨタスターレット横浜××・○××××) 41万8626円イ 自動車(トヨタスターレット横浜××・○××××) 35万7936円ウ 自動車(トヨタスフリンター横浜×××・○××××) 51万9178円エ 自動車(トヨタライトエース横浜×××・○××××) 49万4653円オ 自動車備品(テレヒ・ステレオ・スヒーカー) 7万円
カ 代替レンタカー代金 28万9240円
キ 自動車携帯品(地図,カタロク,ファイル,文房具類) 35万4369円ク 地下駐車場保管設備(業務用ヒーター,ロッカー)
80万0780円
ケ ヒル設備(ホンフ交換,仮設工事代金,電気配線工事)
183万1200円
 よって,原告は,被告に対し,国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項,2条1項に基つき,513万5982円の損害賠償及ひ平成18年 12月28日から支払済みまて年5分の割合による遅延損害金の支払を求め る。2 請求原因に対する認否等
 請求原因は認める。
 請求原因は認める。
 請求原因のうち,本件地下駐車場に浸入した水の量か約65トンてある事実については不知,その余は認める。
  請求原因は否認ないし争う。ア 国賠法1条1項について 本件公園の清掃者は,作業計画立案に基つき,定期(週1回)及ひ雨天時に本件水路等の清掃を行っており,平成18年12月26日の夕方にも, 本件スクリーン1及ひ2等に堆積した落ち葉等をすへて除去している。ま た,同日から同月27日まての降水量は,12月の降水量としては異常て あり,予測不可能なものてあった。したかって,落ち葉の除去等について 過失はない。イ 国賠法2条1項について 本件池の構造基準は,昭和43年1月19日建設省河政発第10号河川局長通達タム構造基準及ひタム構造基準細目を準用した港北ニュータウン 地区の雨水貯留施設の設置に関する指導について(方針伺)(昭和60年 7月1日)に基ついている。本件池の貯留量算定は,30mm/hrを降雨 継続時間3時間としており,本件雨(18mm/1時間)にも十分耐え得る構造となっている。 また,上記アのとおり,平成18年12月26日~同月27日の降雨量は異常てあり,これを予測することは不可能てある。この期間の雨か本件 地下駐車場に入り込んたとしても,それは不可抗力てある。したかって,設置及ひ管理に瑕疵はない。 ウ 因果関係
本件浸水の原因は,本件地下駐車場内外の排水設備に重大な欠陥かあっ たことにある。 本件地下駐車場の入口は急な斜面となっており,さらにその敷地は,前面にある幹線道路の最下部に位置することから,本件地下駐車場は,道路の雨水裏山からの雨水等も浸入する構造となっている。
 排水設備の新設等を行おうとする者については,その計画か排水設備 なとに関する法令条例の規定に適合しているかとうかの確認を得るこ とか求められる。しかし,本件店舗の排水設備については,同確認を受けないまま設けられた可能性かある。
 建物外の排水設備については,横浜市下水道条例等により,開きょ(U字溝)を暗きょ(排水管)に接続する箇所には,深さ「ます」を設けな けれはならす,この「ます」には深さ15cmの泥ためを設けなけれはな らない。堆積物による雨水の滞水を防止するためてある。しかし,本件 地下駐車場の入口にあるU字溝と排水管は,直接これらか接続され,上 記「ます」か設置されておらす,上記基準に反している。また,スクリーンはU字溝に設置し,「ます」内及ひ管口には設置し てはならない。スクリーンに詰まったコミ等を外部から除去することか てきるようにするためてある。しかし,原告は,目の細かいスクリーン を管口に設置している。 本件浸水後,本件地下駐車場の入口にあるU字溝内には大量の落ち葉等か堆積しており,原告は日頃から上記U字溝の掃除を怠っていた。
  本件地下駐車場に設置された排水ホンフは,本件浸水前から正常に機 能していなかったか,電源か入っていなかった可能性かある。また,原 告は,雨水か浸入し易いという上記の本件地下駐車場の特質を考慮せすに排水ホンフを設置しており,その点て落ち度かある。  請求原因は否認する。原告は,各車両等の損害について,取得費を損害と主張しており,取得時 から被害時まての減額をしていない。また,復旧工事をしたか疑問てある。第3 裁判所の判断
1 当事者間に争いのない事実に証拠(甲1~3,5,8~13,15~19,21~23,25,26,29,31,35,36,41,42,44,45, 乙1~7,13,16[以上の証拠につき枝番を含む。],証人C[以下「C」 と い う 。], 証 人 D [ 以 下 「 D 」 と い う 。], 証 人 E [ 以 下 「 E 」 と い う 。], 原 告代表者)と弁論の全趣旨を総合すると,次の事実か認められる。ア 本件池は,修景池として,常時,水深2mの深さまて,湧水等を貯留し ている。イ 本件池の上記水深2mを超えた,上部50cmの部分は,大雨時に河川の 氾濫を予防する雨水流出抑制施設として雨水を一時貯留する雨水調整池と しての機能を有している。具体的には,水深か2.5mに至るまては,別紙図面2の越流堤によっ て雨水かそのまま溢れ出るのを防くとともに,別紙図面2のオリフィスに 設けられた孔(直径219mm)によって,本件池からの流水量を,1秒当 たり最大て0.0895mに抑える設計になっている。水深か2.5mを 超えると,上記越流堤を超えて,雨水か本件水路に直接溢れ出る。ウ オリフィスの孔を通った雨水は,本件水路1を通って直径800mmの雨 水管1に排水される。雨水管1の流下能力(流すことのてきる水の量)は,設計上,1秒当たり最大て0.1869mてある。本件池の排水は,基本 的に雨水管1を通して行われる。雨水管1て排水されなかった雨水は,本件水路2に入り,雨水管2へと 排水される。雨水管2の流下能力は,設計上,1秒当たり最大て0.07 52mてある。エ 1時間当たり18mmの降水量の雨か降った場合,本件池から排水される 水量は1秒当たり約0.253mてある。ア 本件公園は,横浜市環境創造局環境活動推進部○○事務所(以下「本件 事務所」という。)か管理しており,本件事務所の「A公園班」(同事務 所の職員2名及ひ嘱託員1名)か,施設の巡視点検,樹木の剪定,草刈り, 清掃及ひ施設の修繕等を行っていた。イ 本件事務所の担当者らは,月末に,翌月の本件公園における作業計画を 作成し,同作業計画に基つき,本件公園の清掃等を行っている。ウ 本件水路の周辺には,本件浸水当時,木々か立ち並ひ,落ち葉も相当数 あった。本件水路の別紙図面1の桝1から桝2まての流路には,F神社の 参道脇の斜面に降った雨水か表層を伝って流れ込む構造になっているとこ ろ,この斜面周辺には木々かあり,落ち葉か本件水路内に流入し易い構造 になっていた。エ 「A公園班」の一人てあるEは,平成18年12月25日,作業計画に 基つき,本件スクリーン1及ひ2に堆積していた落ち葉等を除去した。
 オ Eは,同月26日の午後5時前ころ,雨か強く降り始めたのて,本件スクリーン1及ひ2に堆積した落ち葉と,本件水路に入りそうな落ち葉を除 去し,本件水路内の堰になっている部分に堆積した落ち葉を除去した。た たし,それ以外の本件水路内に堆積していた落ち葉は除去しておらす,本 件水路内には落ち葉か相当数残っていた。カ 本件浸水当時,上記事務所において,大雨警報か発令された場合に緊急に作業をするといった態勢は取られていなかった。
ア 本件公園及ひ本件店舗かある横浜地区において,平成18年12月26日から同月27日まてにかけて,大雨か降った。時間別の降水量は,別紙 のとおりてあり,1時間当たり最大て18mmてあった。また,同月26日の日降水量は約135mmてあり,同月27日の日降雨 量を併せると合計約160mmてあるところ,この日の降水量は,過去29 年間における12月時の最大降雨量(日降水量)の約50mmを大幅に超え ていた。たたし,別の月ては,日降水量か188mm(平成15年8月15日), 244mm(平成6年8月21日),191.5mm(平成16年10月9日) となるなと,上記約160mmの降水量を大きく超える雨か降る日かあった。イ 上記アのとおり,平成18年12月26日から同月27日にかけて,本 件公園付近に降った降雨量の合計は約160mmてあり,本件池の面積は約 3050mてあるから,本件池には合計約488m,すなわち,約488 トンの雨か降った計算となる。ウ 平成18年12月26日午後8時14分には,横浜市に大雨洪水警報か 発令された。ア 同月27日午前6時30分ころの時点て,別紙図面1の桝2の位置から 水か溢れ,道路を伝って,本件地下駐車場の入口の前部にある道路へと流 れ出ていた。この溢れ出た水には,落ち葉落ち葉か砕けた泥のようなも のか含まれていた。また,本件店舗の付近の道路には,別紙図面3(本件店舗の周辺を拡大 した図面)の「C様宅前の車道側溝桝」及ひ「3本件店舗前の車道側溝桝」 の位置に雨水桝か設けられているところ,同日午前7時30分ころの時点 て,これらの雨水桝は,いすれも大量の落ち葉て覆われており,排水か妨 けられていた。イ 雨かほとんとんていた同日午前7時30分ころにおいても,別紙図面 1の桝2の位置から水か溢れていた。この溢れ出た水は,歩道をはみ出し, 車道(複数の車線かある。)の1車線分よりも少し狭い程度にまて流れ出 ており,本件地下駐車場の入口の前部の道路へと流れ出ていた。ウ Eは,別紙図面1の桝2の位置に落ち葉か堆積して本件スクリーン2か 塞かれ,そこから水か溢れているのを確認した。そこて,同日午前8時2 0分ころから,本件スクリーン2に堆積していた落ち葉を除去した。本件スクリーン2の周辺の土の部分は,多数の落ち葉て覆われていた。
 エ 本件スクリーン2から本件地下駐車場の付近まての間の道には,落ち葉か散乱していた。
オ 原告の従業員は,平成18年12月27日の午前8時ころ,本件地下駐車場か浸水しているのを発見した。消防ホンフ自動車により排水したか, 本件地下駐車場に駐車されていた原告所有の車両は,内部まて水に浸かっ ていた。本件地下駐車場から排水された水の量は,約65トンてあった。カ 本件事務所は,落ち葉等か本件スクリーン1及ひ2等に詰まることを防 止するため,平成20年1月中旬から下旬にかけて,本件水路内の複数の 箇所にコミの塞き止めの網を設ける工事を行った。ア 本件店舗は,別紙図面3のとおり,G方面及ひH方面に伸ひる道路(以 下「大道路」という。複数の車線かある。)と,同道路より幅員か狭い道 路 ( 以 下 「 小 道 路 」 と い う 。) か 交 わ る 地 点 ( 以 下 「 本 件 交 差 点 」 と い う 。) の付近に存在する。本件地下駐車場の出入口は小道路に面している。イ 本件交差点付近の大道路においては,H方面から本件交差点に向かって, G方面から本件交差点に向かって,いすれも緩かな下り坂となっている。小道路においては,本件交差点を起点として,本件交差点から本件店舗 に沿って遠さかる方向へ,緩かな下り坂となっている。ウ 本件地下駐車場の入口部分は,小道路と接する部分から排水溝か設置されている部分まて,切り下けられており,同部分から本件地下駐車場内部まて,下り坂となっている。
ア 本件店舗は,平成14年8月ころ,新築された。
イ 本件地下駐車場の入口部分には,U字型の排水溝か設けられ,同排水溝 の端には雨水管か直接接続されており,その接続部分に,ますは設けられ ていない。 本件浸水の当時,本件地下駐車場以外に,本件公園付近て浸水なとの事故 か生したところはなかった。瑕疵について
 国賠法2条1項の規定する営造物の設置又は管理の瑕疵とは,営造物か通 常有すへき安全性を欠いていることをいう(最高裁昭和42年第921号 同45年8月20日・民集24巻9号1268頁)。ア 前記1によると,本件池及ひ本件水路は,雨水流出抑制施設として, 流出する雨水の量を抑制し,雨水を雨水管に流す施設てあると認められる から,その管理に当たっては,降雨時に流出量か抑制され,雨水か雨水管 に適切に流れるよう管理することか求められる。しかるところ,前記1 ~によると,平成18年12月26日~同月27日,本件雨によって運 はれた落ち葉か堆積して本件スクリーン2か詰まり,雨水か雨水管2に流 れす,これか本件公園の外に溢れ出て,全量てはないとしても,歩道沿い に流れ,本件地下駐車場に流れ込んたことか認められる。イ Eは,前記1オのとおり,同月26日に,本件スクリーン2等の落ち 葉を掃除しているか,本件水路内の落ち葉については,その一部しか除去 していない。前記1ウのとおり,本件水路の別紙図面1の桝1から桝2 まての流路には,F神社の参道脇の斜面に降った雨水か表層を伝って流れ 込む構造になっており,この斜面周辺には木々かあり,落ち葉か本件水路 内に流入し易い構造になっていたことか認められ,とりわけ本件スクリーン2については落ち葉により流量か低下することか予測されるということ かてきる。証拠(乙2,16)によると,本件地下駐車場前のU字溝に多 量の落ち葉か残されていたことか認められ,本件建物の周囲に樹木かない ことも考慮すると,本件スクリーン2に落ち葉か堆積して流水量か低下し, そこて溢れた雨水か大道路の歩道,小道路へと流れたことか推認される。
 したかって,本件水路内に落ち葉か入らないよう柵等を設けたり,本件水 路内の落ち葉を夜間てもこまめに除去したり,本件水路内の本件スクリー ン2付近なとにコミの塞き止めの網なとを設置していれは,上記雨水か溢 れ出る事態は生しなかったと考えられる。しかるところ,前記1カのと おり,上記コミの塞き止めの網については現に本件浸水の後に設けられて いることなとにも照らすと,被告において,これらの対策を講しることは 可能てあり,かつ容易てあったと認められる。ウ 前記1アによると,平成18年12月26日~同月27日の最大降 雨量は18mm/1時間てあるところ,証拠(乙7,13)と弁論の全趣 旨によると,降雨量を18mm/1時間とした場合ても,雨水管1及ひ雨 水管2の流下能力は,両雨水管に流れ込む水の量を上回っていると推認 される。 前記1のとおり,本件浸水か生した平成18年12月26日から同 月27日まてにかけて,本件公園付近に降った降雨量の合計は,約16 0mmてあると認められるところ,12月以外ては,これを上回る降雨量 の雨か降った日もあったかその際,その雨か本件公園からあふれ出し, 周辺に被害を及ほす事態は生しなかったと認められる。 上記及ひからすると,本件池の処理能力に問題はなく,本件池か ら水か溢れ出た原因は,前記のとおり,落ち葉の堆積によるものてある。そして,前記1のとおり,本件浸水か生した平成18年12月26 日から同月27日まてにかけての降水量は,12月としては前例のないものてあったか,他の月には,これを大幅に上回る降水量を何度も記録 しており,12月にそれたけの降水量かあれは,落ち葉の堆積状況か他 の月と大きく異なることから被害の状況か異なることはらかてある 上,同月26日夜の段階て大雨洪水警報も発令されていたから,水か溢 れ出す可能性かあることをおよそ想定することかてきなかったとまてい うことはてきない。したかって,不可抗力によるものとは認められない。エ 以上からすると,本件水路は,通常有すへき安全性を欠いていたと認め られ,管理の瑕疵かあると認められる。3 因果関係について
 被告は,本件地下駐車場の入口に設置されたU字型の排水溝に問題かあり,このことか,本件浸水の原因てあると主張する。
 証拠(乙15)と下水道法10条3項,同法施行令8条8号イによると,排水溝内の堆積物によって雨水の排水か滞ることを防くため,同排水溝と雨 水管との接続箇所には,ますを設けなけれはならないか,前記1イのとお り,本件地下駐車場の入口に設置された排水溝には,上記ますか設置されて いなかったと認められる。また,証拠(甲21,乙15~17)と弁論の全趣旨によると,上記ます には,深さ15cmの泥ためを設置するとともに,上記ますの手前にスクリー ンを設置して,良好な排水か行われるようにするのか一般的な施工方法てあ るところ,本件地下駐車場の上記排水溝には,そのような泥ためか設置され ておらす,また,目の細かいスクリーンか雨水管の入口に設置されていたた め,上記一般的な施工方法と比へ,排水能力か弱かったことか認められる。しかし,前記1と証拠(乙2)によると,本件地下駐車場の上記排水溝 の内部には落ち葉か多数入り込んており,これらの落ち葉のほとんとは,本 件公園から溢れ出た水とともに運はれて来たと考えられる。これらの落ち葉 の量からすると,仮に上記一般的な施工方法て施工されていたとしても,これらの落ち葉か詰まり,本件浸水は避けられなかった可能性か高かったとい うことかてきるから,本件地下駐車場の排水溝についての上記の事情か本件 浸水の原因てあると直ちには認められない。 被告は,本件地下駐車場に設置されていた排水ホンフかもともと正常に機 能していなかった可能性かあり,これか本件浸水の原因てあると主張する。 しかし,同排水ホンフか正常に機能していなかったと認めるに足りる証拠 はない。なお,本件地下駐車場の復旧工事の報告書(甲26)には,「既設 排水ホンフは,ホンフ内の詰りの為,排水能力か低下している」との記載(以 下「本件記載」という。)かあるか,これは,「改善策」の欄の「給水ホン フユニット,排水ホンフユニット機器交換取付」と書かれた下に記載されて おり,かつ,同報告書の「原因」の欄には「漏電トリッフ動作により排水ホ ンフか停止し」と記載されているから,本件記載は,排水ホンフを交換した 理由として,本件浸水により既設の排水ホンフか故障していたことを記載し たにすきないものと認められ,本件記載により,既設の排水ホンフかもともと正常に機能していなかったとは認められない。 被告は,排水ホンフか水に浸かったため交換しなけれはならないことは一般に考え難いと主張するか,上記「原因」の欄の記載に照らし,採用するこ とかてきない。被告は,本件浸水前に本件地下駐車場に設置されていた排水ホンフの排水 管か,平面図と異なり,結合して施工されていると主張する。しかし,同平 面図と異なった施工か,本件浸水当時にされていたと認めるに足りる十分な 証拠はないし,そのことか本件浸水の原因となったと認めるに足りる証拠も ない。被告は,本件地下駐車場に行った際,排水ホンフの排水管か雨水管てはな く,汚水ますに接続されており,誤った接続かされていたと主張する。しか し,被告か本件地下駐車場を訪れたのは本件浸水後てあるから,本件浸水当時の排水管の接続状況は不てあり,また,上記誤接続かあったとしても, 排水能力に与えた影響の有無及ひ程度を示す証拠はない。その他,被告か,排水ホンフかもともと正常に機能しなかったことを裏付 ける事情として主張するものは,それを認めるに足りる証拠かなく,採用す ることかてきない。 被告は,原告か,本件地下駐車場の排水設備について,法令に適合してい ることの確認を得ていない可能性かあると主張するか,それを裏付ける証拠 はなく,採用することかてきない。 以上のとおり,因果関係に関する被告の主張を採用することはてきす,本 件浸水は,本件池から水か溢れ出たことか原因となっていると認められる。4 もっとも,本件浸水については,次のような点を指摘することかてきる。  前記1によると,本件地下駐車場は,入口部分か切り下けられており, 証拠(乙5)によると,大道路の中央部分(同号証の1),小道路の中央部 分(同号証の○2-1 )及ひ本件地下駐車場入口(同号証○2-2 ),本件地下駐車場(同 号証の4)の順に標高か低くなっており,しかも,本件交差点を境に,H方 面に向かう大道路,G方面に向かう大道路のいすれも上り勾配になっている から(前記1イ),道路に降った雨は,最も低い本件地下駐車場に,周辺 の道路からの雨水か流入する位置関係にあると認められる。したかって,本 件地下駐車場に浸入した雨水には,本件公園から溢れた雨水のほか,道路から流れ込んた雨水も相当程度含まれていたと認められる。前記1のとおり, 本件地下駐車場以外て浸水の被害等は生していないから,このような本件地 下駐車場の位置形態等か本件浸水に寄与した可能性か高い。 そして,本件地下駐車場の位置形態等かこのようなものてあることから すると,原告としては,普段から浸水防止に気を配り,多量の降雨か予想さ れるときには,本件地下駐車場の入口に防水板を設置し,土のうを積み上け, 通路面より高くしたステッフを設けるなとの浸水への対策を講してしかるへきてあったし,さらには,本件地下駐車場の入口に設置された排水溝の内部 の掃除を夜間も含めてこまめに行うなとの対策もとるへきてあったというこ とかてきる。 しかるに,原告は,以上のような対策をとっているとは認められないから, 本件浸水による原告の損害のすへての賠償責任を被告に負わせることは,損 害の公平な分担に反するものてあり,過失相殺の規定(民法722条2項) の類推適用により,被告か賠償すへき範囲は,原告の全損害の50%と認め るのか相当てある。5 損害について  自動車の物損
証拠(甲2,30)と弁論の全趣旨によると,本件浸水により,本件地下 駐車場に駐車されていた下記の自動車か水没し,原告に下記の損害か生した と認められる。ア トヨタ・スターレット(車台番号○○××-×××××××)
証拠(甲30)によると,原告は,平成16年6月4日に,上記車両を 21万3150円て購入したと認められる。証拠(甲30)によると,上記車両の初年度登録は平成9年10月にさ れており,上記購入時の走行距離は3万8028kmてあり,上記車両の継 続検査かされた平成18年9月29日時点ての走行距離は8万7800km てあったと認められる。以上の事情を総合考慮すると,本件浸水時の上記車両の時価額は,継続 検査かされて間もない時期の浸水てあったことをも考慮して,15万円と 認めるのか相当てある。イ トヨタ・スターレット(車台番号○○××-×××××××) 証拠(甲30)によると,原告は,平成18年1月13日に,上記車両を15万7500円て購入したと認められる。
証拠(甲30)によると,上記車両の初年度登録は平成9年11月にさ れており,上記購入時の走行距離は3万9491kmてあり,上記車両の継 続検査かされた平成18年11月2日時点ての走行距離は6万1900km てあったと認められる。以上の事情を総合考慮すると,本件浸水時の上記車両の時価額は,継続 検査かされて間もない時期の浸水てあったことをも考慮して,13万円と 認めるのか相当てある。ウ トヨタ・スフリンター(車台番号○○×××-×××××××) 証拠(甲30)によると,原告は,平成16年9月24日に,上記車両を10万5000円て購入したと認められる。
 証拠(甲30)によると,上記車両の初年度登録は平成6年8月にされており,上記購入時の走行距離は5万3479kmてあり,上記車両の継続 検査かされた平成18年10月時点ての走行距離は11万8600kmてあ ったと認められる。以上の事情を総合考慮すると,本件浸水時の上記車両の時価額は,継続 検査かされて間もない時期の浸水てあったことをも考慮して,6万円と認 めるのか相当てある。エ トヨタ・ライトエースノア(車台番号○○××-×××××××) 証拠(甲30)によると,原告は,平成18年9月29日に,上記車両を31万5000円て購入したと認められる。 証拠(甲30)によると,上記車両の初年度登録は平成9年8月にされており,上記購入時の走行距離は4万7589kmてあり,上記車両の継続 検査かされた平成18年10月25日時点ての走行距離は4万7600km てあったと認められる。以上の事情を総合考慮すると,本件浸水時の上記車両の時価額は,継続 検査かされて間もない時期の浸水てあったことをも考慮して,29万円と認めるのか相当てある。
オ 原告は,本件浸水前に支出した落札料,整備代,搬送代,継続検査の費用も損害として請求するか,これらは本件浸水かなくても生した費用てあ るから,損害とは認められない(たたし,継続検査かされて間もない時期 の浸水てあったことは,上記のとおり価格において考慮する)。 自動車の備品 証拠(甲30)と弁論の全趣旨によると,上記の車両にはテレヒ,ステレオ及ひスヒーカーか搭載されており,同車両の水没により,これらも水没したと認められ,その損害の時価額は,2万円を相当と認める。
  レンタカー代金上記のとおり,本件地下駐車場に駐車されていた車両か水没しており, 弁論の全趣旨によると,これらの車両は営業に用いられていた車両と認めら れる。本件地下駐車場全体か水に浸かったこと(甲2)に照らすと,レンタ カー費用は本件浸水と相当因果関係のある損害と認められ,その額は,証拠 (甲30)により,原告か支出した同費用のうち原告か請求する平成19年 2月3日まての同費用28万9240円を相当と認める。 自動車携行品(地図,カタロク,ファイル,文房具類) 証拠(甲30)と弁論の全趣旨によると,前記の車両には,株式会社セ ンリン発行の地図(定価1万5750円)5冊,カタロク10冊(1冊当た りの制作費582円),ファイル3冊(1冊300円相当)及ひ文房具(取 得価格合計8万2818円)なと積まれており(上記の合計16万8288円),これらか水没したと認められる。 弁論の全趣旨によると,カタロクを除き,上記物品はいすれも原告の従業員らか使用していたものと認められる。 以上のことを総合考慮すると,自動車携帯品の損害としては,5万円を相当と認める。
 地下駐車場保管設備(業務用ヒーター,ロッカー) 証拠(甲30)と弁論の全趣旨によると,本件地下駐車場には,ストーフ,エアコン2台,祭壇,サンストーフ及ひ写真台かあり,本件浸水によって, これらか水没したこと,これらの物品は,平成12年2月~6月に合計77 万9940円て購入されたものてあることか認められる。上記の物品か購入から6年以上使用されたものてあることに照らすと,損 害額は10万円を相当と認める。 ヒル設備(ホンフ交換,仮設工事代金及ひ電気配線工事) 証拠(甲26,30)によると,本件浸水により,本件地下駐車場に設置 されていた排水ホンフの交換工事等か必要になり,その費用として原告は,183万0150円を支出したと認められるから,同額を損害と認める。
  ~の合計は,291万9390円てあるから,その50%に相当する145万9695円について,被告は原告に対して損害賠償をすへきてある。 第4 結論よって,原告の請求は,国賠法2条1項に基つく損害賠償請求として,14 5万9695円及ひこれに対する平成18年12月28日から支払済みまて年 5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度て理由かある(同法1条1項 に基つく損害賠償か認められるとしても,上記金額を超えることはない。)か ら,その限度て認容することとして,主文のとおり判する。横浜地方裁判所第6民事部
裁判長裁判官森 義之
裁判官 古閑裕二
裁判官 橋本政和
(別紙省略)
判例本文

この判例ページのURL

LINEで送る
Pocket