主文
 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は,原告の負担とする。
 事実及ひ理由
第1 請求
被告か,平成22年9月28日に行った平成22年再議第3号「名古屋市中期戦 略ヒションに対する再議について」に対する議を取り消す。第2 事案の概要
1 本件は,名古屋市の議会てある被告か平成22年9月28日に行った名古屋 市中期戦略ヒション(以下「本件戦略ヒション」という。)の再議に関する議 (以下「本件議」という。)について,同市の長てある原告か,本件議は議会 の権限を超えるものてあるとして,地方自治法176条7項に基つき,その取消し を求める事案てある。2 前提事実(証拠等の摘示のない事実は当事者間に争いかない。) (1) 当事者ア 原告は,名古屋市の長てある。
イ 被告は,名古屋市の議会てある。
(2) 本件議に至る経緯
ア 原告は,名古屋市基本構想(昭和52年12月20日議)の下,長期的な 展望を持ちつつ新しい時代の流れに対応した市政の基本的な方向性を示す新たな総 合計画を策定することを企図し,平成21年10月,その中間案として「中期戦略 ヒション(仮称)中間案」を作成し,同月22日,これを被告の総務環境委員会に 報告した。その後,原告は,市民有識者の意見を聴取するなとした上,平成22年2月, 上記中間案に各論部分を加えた計画全体案として「名古屋市中期戦略ヒション (案)」を作成し,同月5日,これを被告の総務環境委員会に報告した(以上につき,甲2,3,乙1,弁論の全趣旨)。
イ 被告の平成22年2月定例会において,議員提案により,地方自治法96条2項に基つき,総合計画(平成23年法律第35号による改正前の地方自治法2条 4項に規定する基本構想に基つき,長期的な展望に立った市政全般に係る政策及ひ 施策の基本的な方向性を総合的かつ体系的に定める計画をいう。以下同し。)の策 定等を被告において議すへき事件と定めることなとを内容とする「市会の議す へき事件等に関する条例」の制定に係る議案か提出され,平成22年2月25日, 本会議において,同議案か可された。原告は,上記条例の制定に係る議に異議かあるとして,地方自治法176条1 項に基つき,これを再議に付したか,被告は,同年3月5日,本会議において,同 議と同内容の議をし,これにより,別紙1記載の規定内容を有する市会の議 すへき事件等に関する条例(平成22年名古屋市条例第1号。以下「本件条例」と いう。)か制定された(以上につき,甲4,5の1・2,6,乙3)。ウ その後,原告は,上記アの「名古屋市中期戦略ヒション(案)」に一部修正 を加えた上て,本件戦略ヒションの案を最終的に確定し,平成22年6月14日, 本件条例に基つき,その策定に係る議案を被告の平成22年6月定例会に提出した (以下,原告か議案として提出した本件戦略ヒションの案を「本件戦略ヒション原 案」という。)。本件戦略ヒション原案は,総論(第1章)と各論(第2章)から成り,このうち, 総論においては,1本件戦略ヒション策定の考え方(この中て,計画期間について は,概ね10年先の将来を見据えつつ,平成24年度まてを計画期間とする旨記載 されている。),2長期的な展望に立ったまちつくりの方向性,35つのまちの姿 と45の施策から成る施策体系か記載され,また,各論においては,45の施策こ とに,「基本方針」,「めさす姿」,「現状と課題」,「成果目標」,「施策の展 開」等を記述した施策別シートか記載されているほか,本件戦略ヒションの推進に 当たっての基本的な考え方等か記載されている(以上につき,甲7,8)。エ 上記ウの議案は,総務環境委員会に付議され,審議か行われるとともに,他 の常任委員会においても質疑か行われ,総務環境委員会ての審議において,修正動 議か提出された。そして,被告は,平成22年6月29日,本会議において,同修 正動議とおりに修正した上て同議案を議した(以下,この議を「本件修正議 」という。)。本件修正議による修正箇所は,別紙2中期戦略ヒション修正箇所一覧(以下 「修正箇所一覧」という。)記載のとおりてある(以下,修正箇所一覧2ないし2 4の各修正を,順次「本件修正2」ないし「本件修正24」といい,これらを併せ て「本件各修正」という。)。オ 原告は,平成22年9月9日,本件修正議か議会の権限を超えるものてあ るとして,地方自治法176条4項に基つき,これを再議に付した。カ 被告は,平成22年9月定例会において,上記オの再議(平成22年再議第 3号)を総務環境委員会に付議して審議をした上,平成22年9月28日,本会議 において,本件修正議と同内容の議(本件議)をした。(3) 本件訴えに至る経緯
ア 原告は,平成22年10月18日,本件議か議会の権限を越えるものてあ るとして,地方自治法176条5項に基つき,愛知県知事に対し,審査の申立てを した。イ 愛知県知事は,上記アの審査の申立てにつき,地方自治法255条の5に基 つく自治紛争処理委員の審理を経て,平成23年1月14日,同申立てを棄却する 旨の裁定をした(甲19)。ウ 原告は,平成23年3月15日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。3 争点及ひこれに関する当事者の主張 本件の争点は,本件議か議会の権限を越えるものてあるか否かてあり,これに関する当事者の主張は,次のとおりてある。
 (原告の主張)
(1) 地方自治法(平成23年法律第35号による改正前のもの)2条4項は, 市町村か地域における総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想を定め るには,議会の議を経なけれはならないことを規定している。しかし,この基本 構想の下に策定される基本計画等については,議会に策定権,提案権を認める法令 の規定かないことから,地方自治法148条及ひ149条9号の規定による長の事 務の管理執行権限に基つき,長にその権限か委ねられている。そうてあるとすれは,本件条例により,総合計画の策定か被告の議事項とされ たとしても,策定権及ひ提案権は原告に専属するというへきてあり,策定権及ひ提 案権を有しない被告か,原告の計画策定の趣旨を損なう内容の修正を行うこと, 原告の事務の管理執行に係る個別具体的な内容に踏み込んた修正を行うことは,原 告の策定権及ひ提案権を侵害し,許されないというへきてある。また,同法96条1項か議会の権限を具体的・限定的に列挙し,同条2項による 議事件の追加を補充的・限定的に認めるという規定形式を採用していること,及 ひ総合計画の策定段階ての議会の関与か,二元代表制システムないし首長主義の下 ての修正権の行使にととまるものて,上級行政庁・下級行政庁の間のことき上下関 係の下ての修正権の行使に基つくものてはないことなとに鑑みれは,修正権の行使 か単なる修辞的な字句の訂正にととまるなと,議会の修正権として相応しくないか, その重要度において同条1項の議のような内実を伴わない程度の修正てある場合 には,議会の権限を超えるというへきてある。(2) 本件戦略ヒションは,名古屋市の基本構想の下に策定された総合計画てあ り,長期的な視点に立って施策の方向性を示す基本計画的な内容と具体的な目標 事業を掲けた実施計画的な内容の2つの性格を併せ持つものてある。そして,本件 各修正のうち,本件修正2ないし5及ひ18は基本計画的な内容に係るものてあり, その余の修正は実施計画的な内容に係るものてあるところ,本件各修正は,以下の とおり,いすれも議会の権限を超えるものてある。ア 基本計画的な内容に係る修正(本件修正2ないし5及ひ18)について 4本件修正2は「地域委員会」を「地域主体のまちつくり」に,本件修正3ないし 5及ひ18は,「冷暖房のいらないまち」を「冷暖房のみにたよらないまち」に, それそれ凡庸な表現,用語に変更する修正てある。「地域委員会」「冷暖房のいらないまち」という施策用語は,市政運営の中核 的な基本理念てあり,原告か市長選挙に際してマニフェストにも掲けることにより 市民の負託を得て提示された重要なキーワートてあるとともに,当該施策の実現を 志向し,民意をその目標に向かって誘導するマシックワートてある。このような基 本理念を,被告か安易に一方的に変更することは,原告か実現しようとする重要施 策の趣旨を大幅に損なうことになるから,議会の権限を超えるものてある。なお,「地域委員会」と「地域主体のまちつくり」,「冷暖房のいらないまち」 と「冷暖房のみにたよらないまち」とては,日本語としての客観的な文意において 径庭はなく,趣旨か異なるものてはないといえるかもしれないか,そうてあるなら は,当該字句修正は,修辞上の意味合いにととまるものてあって,はり,議会の 権限を超えるものてある。イ 実施計画的な内容に係る修正(本件修正6ないし17及ひ19ないし24) について総合計画に属する計画てあっても,実施計画的な内容を含む具体的事項について は,実施計画の策定権限か事務の管理執行権限を有する長に専属していることから すれは,議会の修正権は及はないというへきてある。本件修正6ないし17及ひ19ないし24は,いすれも実施計画的な内容を含む 具体的事項について踏み込んた修正を行うものてあって,議会の権限を超えるもの てある。(被告の主張)
(1) 本件条例により,総合計画の策定に当たり被告の議を要することとなっ た以上,原告の提案に係る総合計画を被告か一定の範囲内て修正することは,本件 条例の文言及ひ総合計画の策定を被告の議事件に指定した趣旨からして当然に認められるというへきてある。
 そして,総合計画の修正の範囲については,提案者の提案権を侵害するような修正,すなわち,提案の趣旨を没却するような修正は認められないものの,その程度 に至らないのてあれは,可能と考えるへきてある。具体的には,総合計画に定める都市運営の視点施策の基本的な方向性を変更し, あるいは事務事業の執行に具体的な支障か生するような修正は,原告の提案権を侵 害するものとして許されないか,その程度に至らない修正てあれは,当然被告にお いて行い得るものてあって,議会の権限を超えることにはならないというへきてあ る。(2) 本件各修正は,本件戦略ヒション原案の総論部分に係るものと各論部分に 係るものに分かれるか,以下のとおり,いすれも議会の権限を超えるものてはない。ア 総論部分に係る修正(本件修正2ないし5及ひ18)について本件修正2は,本件戦略ヒション原案の総論中の「都市運営の視点」の箇所に記 載されたイラストに掲けられた「地域委員会」という用語を「地域主体のまちつく り」に修正するものてあるか,もともと,本件戦略ヒション原案において,地域委 員会をその内容に含む施策1の表題か「地域主体のまちつくりをすすめます」とな っており,また,同施策の「施策の展開」の表中には,「住民か主体となったまち つくりの推進」として,地域委員会の創設のほかに,学区連絡協議会なと地域団体 による自主的活動を支援し,住民か主体となったまちつくりの推進を図ることか 記されている。これらを踏まえると,当該修正は,本件戦略ヒション原案の趣旨を 没却してしまう程度に至るものてはない。次に,本件修正3ないし5及ひ18は,本件戦略ヒション原案の総論中の「都市 運営の視点」等の箇所における「冷暖房のいらないまち」という用語を「冷暖房の みにたよらないまち」に修正するものてあるか,もともと,本件戦略ヒション原案 において,施策38の「基本方針」に「冷暖房のみに頼ることなく」と記載されて おり,また,委員会審議において当局の職員から,冷暖房のいらないまちか実現することは,本件戦略ヒションの計画期間の最終年に当たる「10年後てはあり得な い」との答弁かされている。これらを踏まえると,当該修正は,本件戦略ヒション 原案の趣旨を没却してしまう程度に至るものてはない。したかって,本件修正2ないし5及ひ18は,いすれも議会の権限を超えるもの てはない。イ 各論部分に係る修正(本件修正6ないし17及ひ19ないし24)について本件戦略ヒションは,各論部分も含めて,市政の各分野を統括し,施策の方向性 を定めるものてあって,各論部分も総合計画の一部として策定されたものてある。 原告は,各論部分を含んた本件戦略ヒション原案を議案として被告に提出し,被告 の審議を仰いているのてあるから,総論部分,各論部分に区分けすることなく,そ の全体について,本件条例2条1号の規定により被告の議を要するのてあり,各 論部分を含めて,その修正か許されるものてある。本件修正6ないし17及ひ19ないし24は,いすれも,本件戦略ヒション原案 の各論部分に係るものてあるか,その修正は,本件戦略ヒション原案の趣旨を没却 するものてはないし,また,原告の事務事業の執行に具体的な支障を生しさせるも のてもない。したかって,本件修正6ないし17及ひ19ないし24は,いすれも議会の権限 を超えるものてはない。第3 当裁判所の判断
1 本件条例の下ての議会の権限について
(1) 本件条例は,地方自治法96条2項に基つき,総合計画の策定,変更(軽微な変更を除く。以下同し。)又は廃止を議会の議事項と定めたものてある。
 本件においては,名古屋市の総合計画てある本件戦略ヒションの策定に係る議 に際して行われた本件各修正か議会の権限を超えるものてあるか否かか争われてい るところ,この点を判断するに当たっては,ます,本件条例の下において,総合計 画の策定に係る議案の提出権か同市の長てある原告に専属しているのかとうかか問題となる。 そこて,検討するに,本件条例は,総合計画の策定に係る議案の提出権について示的な規定を置いていないか,3条において,原告は,総合計画の策定又は変更 をしようとするときは,その立案過程において,総合計画の策定の目的又は変更の 理由及ひその案の概要を所管の常任委員会に報告しなけれはならない旨規定し,ま た,5条において,被告は,社会経済情勢の変化等の理由により,総合計画の変更 又は廃止をする必要かあると認めるときは,原告に対し,意見を述へることかてき る旨規定しており,これらの規定は,総合計画の策定又は変更の立案は原告か行う ことを前提としているものと解することかてき,他方,本件条例には,被告か総合 計画の策定の立案を行うことについては何ら規定か置かれていないことからすると, 本件条例は,総合計画の策定に係る議案の提出権を原告に専属させる趣旨てあると 解するのか相当てある。(2) ところて,本件条例は,被告において議すへき事件を定めるとともに, 総合計画の立案段階から被告か積極的な役割を果たすことにより,市民の視点に立 った効果的な行政の推進に資することを目的として制定されたものてあり(本件条 例1条),この目的に照らせは,本件条例は,原告から総合計画の策定に係る議案 か提出された場合において,被告かその内容を一部修正して議することを当然許 容しているものと解される。たたし,この場合において,被告か無制限な修正を行 うことかてきるとするならは,総合計画の策定に係る議案の提出権を原告に専属さ せた趣旨を没却することになるのて,被告による修正には制約かあるものと解すへ きてあり,原告から提案された総合計画に定める施策の基本的な方向性を変更する ような修正を行うことは,総合計画の策定に係る議案の提出権を原告に専属させた 趣旨を損なうものとして許されないというへきてある。この点に関し,原告は,地方自治法148条及ひ149条9号を根拠として,総 合計画の策定権及ひ提案権か原告に専属するとした上,総合計画の策定か被告の議 事項とされたとしても,被告か原告の事務の管理執行に係る個別具体的な内容に踏み込んた修正を行うことは,原告の総合計画の策定権及ひ提案権を侵害するもの として許されない旨,また,修正権の行使か単なる修辞的な字句の訂正にととまる なと,議会の修正権として相応しくないか,その重要度において地方自治法96条 1項の議のような内実を伴わない程度の修正てある場合には,議会の権限を超え る旨主張する。しかしなから,同法148条は,普通地方公共団体の長か当該団体の事務を一般 的に管理執行する権限を有する旨を規定した包括的権限規定てあり,また,同法1 49条は,普通地方公共団体の長の担任事務を概括的に例示したものにすきす,こ れらの規定は,総合計画の策定権及ひ提案権か原告に専属するとの立論の根拠とな るものてはない。そして,本件条例の下においては,総合計画の策定は被告の議 によって行うものとされているところ,総合計画は,長期的な展望に立った市政全 般に係る政策及ひ施策の基本的な方向性を総合的かつ体系的に定める計画てあって, 原告の事務事業の執行を個別具体的に拘束する性質のものてはないことに照らすと, 被告の修正権について,原告の事務の管理執行に係る個別具体的な内容に踏み込ん た修正を行うことは許されないとの制約を受けるものてはないというへきてある。 また,原告は,総合計画の策定について専属的な権限を有するものてはないのてあ るから,被告の修正権について,単なる修辞的な字句の訂正は許されないなととい った所論のような制約を受けるものてもないというへきてある。したかって,原告の上記主張はいすれも採用することかてきない。2 本件議の適否について
(1) 上記1て説示したところを前提に,本件各修正か,総合計画の策定に係る議案の提出権を原告に専属させた趣旨を損なうものとして,被告の修正権の範囲を 超えるものてあるか否かを検討する。ア 本件修正2ないし5及ひ18について
(ア) 証拠(甲10,14の1・2)によれは,1本件修正2は,本件戦略ヒシ ョン原案の総論中の「都市運営の視点」の箇所に記載されたイラストに掲けられた「地域委員会」という用語を「地域主体のまちつくり」に修正するものてあること, 2本件修正3ないし5及ひ18は,本件戦略ヒション原案の総論中の「都市運営の 視点」等の箇所における「冷暖房のいらないまち」という用語を「冷暖房のみにた よらないまち」に修正するものてあることか認められる。(イ) 原告は,上記各修正かされる前の「地域委員会」「冷暖房のいらないま ち」という施策用語は,市政運営の中核的な基本理念てあり,原告か市長選挙に際 してマニフェストにも掲けることにより市民の負託を得て提示された重要なキーワ ートてあるとともに,当該施策の実現を志向し,民意をその目標に向かって誘導す るマシックワートてあって,このような基本理念を,被告か安易に一方的に変更す ることは,原告か実現しようとする重要施策の趣旨を大幅に損なうことになる旨主 張する。(ウ) しかしなから,証拠(甲8)によれは,本件戦略ヒション原案において, 地域委員会をその内容に含む施策1の表題か「地域主体のまちつくりをすすめま す」となっており,また,同施策の「施策の展開」の表中には,「住民か主体とな ったまちつくりの推進」として,地域委員会の創設のほかに,学区連絡協議会なと 地域団体による自主的活動を支援し,住民か主体となったまちつくりの推進を図る ことか記載されていること,また,本件戦略ヒション原案において,施策38の表 題は「冷暖房のいらないまちをめさします」となっているか,同施策の「基本方 針」には「自然の力を積極的に活用し,冷暖房のみに頼ることなく,快適に過こす ことかてきるまちを実現します」と記載されていることか認められ,これらの記載 に鑑みれは,本件修正2ないし5及ひ18は,本件戦略ヒション原案に定める施策 の基本的な方向性を変更するものてはないということかてきる。そうすると,本件修正2ないし5及ひ18は,総合計画の策定に係る議案の提出 権を原告に専属させた趣旨を損なうものてはないから,被告の修正権の範囲を超え るものてはないというへきてある。イ 本件修正6ないし17及ひ19ないし24について 10
(ア) 証拠(甲10,14の1・2)によれは,本件修正6ないし17及ひ19 ないし24は,いすれも,本件戦略ヒション原案の各論中の記載を修正するものて あり,このうち,1本件修正6ないし10は,施策1(「地域主体のまちつくりを すすめます」という表題のもの)に関する修正て,「成果目標」の指標から地域委 員会か設置されている地域の数を削除し,「施策の展開」の表中の1「住民か主体 となったまちつくりの推進」の主な事業に「学区連絡協議会なと地域団体に対する 支援の強化」を加えるほか,修正箇所一覧7ないし9記載のとおり文章を修正する ものてあること,2本件修正11は,施策2(「地域住民か互いに支えあうまちつ くりをすすめます」という表題のもの)に関する修正て,「成果目標」の指標中の 「『助け合いの仕組みつくり』の取り組み実施学区の割合」の平成24年度の目標 値を45%から55%に修正するものてあること,3本件修正12は,施策5 (「効率的な行財政運営を行います」という表題のもの)に関する修正て,修正箇 所一覧12記載のとおり文章を修正するものてあること,4本件修正13は,施策 8(「子ともか健かに育つ環境をつくります」という表題のもの)に関する修正 て,「施策の展開」の表中の1「子ともか心身ともに健康に育つための支援」の主 な事業に「トワイライトスクール・留守家庭児童健全育成事業の推進」を加えるも のてあること,5本件修正14は,施策11(「子ともの確かな学力と豊かな心, 健かな体を育みます」という表題のもの)に関する修正て,「施策の展開」の表 中の3「学ひを支える教育環境の充実」の主な事業から「学校支援委員会の設置」 を削除するものてあること,6本件修正15及ひ16は,施策20(「災害時に市 民の安全を守る体制を整えます」という表題のもの)に関する修正て,「成果目 標」の指標中の「救急車の平均現場到着時間」の目標値につき,平成24年度「6. 1分」,平成30年度「6.0分」とあるのを,平成24年度「6.1分以下」, 平成30年度「6.0分以下」と修正するものてあること,7本件修正17は,施 策26(「働く意欲のある人の就労を支援します」という表題のもの)に関する修 正て,修正箇所一覧17記載のとおり文章を修正するものてあること,8本件修正19は,施策38(本件戦略ヒション原案による表題か「冷暖房のいらないまちを めさします」とされていたものか,本件修正18により「冷暖房のみにたよらない まちをめさします」という表題に修正されたもの)に関する修正て,「施策の展 開」の表中の3「エネルキー負荷の低減」の主な事業に「園庭の芝生化」とあるの を「校庭・園庭の芝生化」と修正するものてあること,9本件修正20ないし24 は,施策39(「快適な生活・居住環境を守ります」という表題のもの)に関する 修正て,「現状と課題」の表中の[現状]に「人と生き物か快適に暮らせる都市環 境つくりの一環として,『おいしい空気』も重要な要素のひとつてす。」という文 かあるのを削除し,また,「成果目標」の指標から「なこの空気かおいしいと思 う市民の割合」を削除し,「施策の展開」の表中の1の表題か「『日本一空気のお いしいまち・なこ』への挑戦」とあるのを「大気環境の向上」と修正するほか, 修正箇所一覧21及ひ24記載のとおり文章を修正するものてあることか認められ る。(イ) 上記認定の本件修正6ないし17及ひ19ないし24は,その修正内容に 鑑みれは,本件戦略ヒション原案に定める施策の基本的な方向性を変更するものて はなく,総合計画の策定に係る議案の提出権を原告に専属させた趣旨を損なうもの てはないから,被告の修正権の範囲を超えるものとは認められない。なお,原告は,これらの修正について,実施計画的な内容に係る修正は,議会の 権限を超えるものてある旨主張するか,本件条例の下においては,総合計画の策定 は被告の議によって行うものとされているのてあり,実施計画的な内容を含む形 て総合計画か策定される場合には,被告の修正権は,実施計画的な内容にも及ふも のと解されるから,原告の主張は採用することかてきない。(2) 以上のとおり,本件各修正は被告の修正権の範囲を超えるものてはないか ら,本件議か議会の権限を超えるものとは認められない。3 結論 よって,原告の請求は理由かないから,これを棄却することとし,主文のとおり判する。
名古屋地方裁判所民事第9部
裁判長裁判官 増 田 稔
裁判官 松本敏
裁判官山田亜湖は,差し支えのため署名押印することかてきない。裁判長裁判官増 田 稔
(別紙1)
市会の議すへき事件等に関する条例(平成22年名古屋市条例第1号)1条(趣旨)
この条例は,地方自治法96条2項の規定に基つき,市会において議すへき事 件を定めるとともに,次条1号に規定する基本的な計画の立案段階から市会か積極 的な役割を果たすことにより,もって市民の視点に立った効果的な行政の推進に資 することを目的とする。2条(議すへき事件)
地方自治法96条2項の規定に基つく市会において議すへき事件は,次のとお りとする。1号 総合計画(平成23年法律第35号による改正前の地方自治法2条4項 に規定する基本構想に基つき,長期的な展望に立った市政全般に係る政策及 ひ施策の基本的な方向性を総合的かつ体系的に定める計画をいう。以下同 し。)の策定,変更(軽微な変更を除く。以下同し。)又は廃止2号 名古屋港管理組合設立に伴い,名古屋市か愛知県及ひ名古屋港管理組合 と締結する職員の身分,財産等に関する協定3条(立案過程における報告)
市長は,総合計画の策定又は変更をしようとするときは,その立案過程において, 総合計画の策定の目的又は変更の理由及ひその案の概要を所管の常任委員会に報告 しなけれはならない。4条(実施状況の報告)
市長は,毎年度,総合計画に係る実施状況を取りまとめ,その概要を市会に報告 しなけれはならない。5条(市長への意見)
市会は,社会経済情勢の変化等の理由により,総合計画の変更又は廃止をする必 要かあると認めるときは,市長に対し,意見を述へることかてきる。
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