平成20年(わ)第1946号 殺人被告事件 判
主文 被告人を懲役19年に処する。
未勾留日数中680日をその刑に算入する。
 押収してあるX1台(平成22年押第56号の3)を没収する。訴訟費用は被告人の負担とする。 理由
(罪となるへき事実) 被告人は,夫婦関係調整調停中の妻てある(当時28歳)を,水難事故を装って殺害しようと企て,平成20年6月8日午後2時40分ころから同日午後3 時10分ころての間,愛知県犬山市a番地先の川左岸付近岩場の上において, 同女に対し,身体の機能を麻痺させる目的て,その腹部に高電圧を生しるXと称 する機器(平成22年押第56号の3)を押し当てて電撃を加え,その両膝を地 面等に強く打ち付けるなとして,同女を河川内に水没させ,よって,同日午後5 時37分ころ,同市b番地所在の病院において,同女を溺死させ,って同女 を殺害したのてある。(証拠の標目) 省略
(争点に対する判断)
第1 当事者の主張,本件の争点及ひ当裁判所の判断手法
検察官は,被告人か,に対し,その腹部に高電圧を生しるXを押し当て て電撃を加えるなとして,同女を河川内に水没させて溺死させた旨主張する。
 これに対し,弁護人は,次のとおり主張し,被告人概ねそれに沿う供述をする。
被告人とは,川て長男に水遊ひをさせていたか,との間て離婚調停の話と なり,被告人は,から「ここての話題てはない。」と言われ,横を通り抜けよ うとされた。被告人は,Xを見せれはその場にかととると思い,とっさにX を出した。しかし,予想に反し,か被告人の方に近ついてきたた,Xかの 身体に接触した。その後,二人と川に転落した。被告人は,から,川の中て, 眼鏡に手を掛けられ,の手を払った。その後,少し離れたところて,か溺れ ているのを発見し,を岸辺て引き上けた。以上のとおり,検察官は,被告人かを溺死させて殺害したと主張し,弁護人 は,は事故て死亡したと主張する。したかって,本件の争点は,被告人による 殺害行為の有無ということになる。本件においては,被告人の殺害行為に関する直接証拠か存在しない。そこて, 当裁判所は,関係各証拠から容易に認定てきる事実をす確定し(第2),当事 者間て特に対立のある事実関係について検討を加えた上て(第3),それらの過 程によって認定てきた個々の間接事実の分析及ひ評価を行い(第4),た,そ れらの間接事実を総合的に考慮して(第5),被告人による殺害行為の有無を検 討することとする。第2 前提事実 関係各証拠によれは,以下の事実を認ることかてきる。1 被告人及ひの関係等 被告人とは,平成16年2月7日婚姻し,平成17年8月,長男をうけた。2 被告人との別居の経緯等 被告人,及ひ長男は,愛知県稲沢市内の新居(以下「被告人方」という。)に住んていたか,は,平成18年11月3日,長男を連れて実家へ戻り,被 告人とうく生活てきない,被告人の携帯電話に浮気を窺わせるメール文書か あった,同月2日に被告人の携帯電話の奪い合いて被告人に転倒させられたり したといったことを親に話した。被告人,及ひそれそれの両親は,平成18年11月18日,被告人方におい て,被告人夫婦の今後について話し合いの機会を持ったか,話はとらす, 被告人は,その後,長男を取り戻しに両親の実家に向かい,稲沢駅のロータ リー付近て,の妹夫婦の車の中に長男かいるのを発見し,同夫婦から長男を 引き取った。被告人は,その後現れたとの間て,長男の奪い合いをしたか, 現場に駆けつけた警察官に伴われ,と稲沢警察署て話をすることになり,最 終的には,か長男ととに被告人方へ戻ることとなった。は,平成18年11月29日,再度,長男を連れて,両親の実家に帰っ た。被告人は,同日,両親の実家に訪れ,の父と会ったか,トアかチェー ンロックされた状態て中には入れす,自宅に戻った。3 離婚調停の経緯等 は,平成18年12月1日,被告人を相手方として,家庭裁判所支部に夫婦関係解消を内容とする調停の申立て(被告人との離婚,長男の親権者をと する指定,並ひに被告人に対して相当額の養育費,財産分与及ひ慰謝料の支払を 求るの)を行った。一方,被告人,同月2日,を相手方として,家庭 裁判所に夫婦関係円満を内容とする調停の申立てを,平成19年2月19日,同 家庭裁判所に長男との面接交渉を内容とする調停の申立てをそれそれ行った。 の上記申立ては,平成18年12月26日家庭裁判所に回付された。平成19年1月24日から平成20年5月14日てに行われた上記各申立て に関する離婚調停の経緯は別紙調停経緯一覧表(省略。以下同し。)のとおりて ある。4 呪術団体への依頼等
(1) 被告人は,平成18年12月8日,呪術団体てある「会」に対し,同会て最高額な9万8000円のコースて,の死の呪いを依頼した。
 被告人は,依頼の際,「会」に対し,ハソコンメールて次の内容を含文書を送信した。
希望の呪い への思い
その他
心臓発作によるの死亡(早いほうか良い) 妻の心臓発作により死亡させ,唯一の親権者として 子供を引き取り,た残されている体面を守りなから 生活を続けたい。
 一番強力なエネルキーを送り,絶対いをかなえたい。 そのたの必要な物品(写真,名前,衣服…)は 何て可能な限り提供するのて教えて欲しい。(2) 被告人は,平成18年12月24日,呪術団体てある「」宛に,「黒魔 術に関してお尋ねしたいのてすか,魔術の対象者に悪さをしている対象者の 先祖霊か取り付いている場合,普通の対象者に比へて,魔術か通用しにくい ように思われすかいかかてしょうか。私の思いは,実家に無断て帰った対 象者(妻)の死と妻の実家と縁を切った形て子供を取り返すことてす。こ回 答をよろしくおいしす。」という内容のメール文書を送信した。捜査機関か「」のインターネット上のホームヘーシを調へたところ,「呪 い殺したい奴かいる・・・殺して晴れぬ恨・・・人の力ては解てきない お悩・・・貴方のお望にお応え致しす。」なとの紹介文か掲示されてい た。5 被告人ととの手紙のりとり 被告人及ひ間て次の内容を含手紙のりとりかあった。(1) 平成20年4月初旬頃(被告人から宛) あなた()か私からお金を取れるたけ取るという姿勢なら,私は生きていくことかてきせん。審判に持ち込れたら,裁判所は多額の現金の支払を私 に要求するてしょう。とんなに真面目に働いたって生きる道はなく,その時は 自殺しす。あなたかこのような形て他人の命を奪うとき,間違いなく地獄に おちることてしょう。次回の調停より前に何示さなけれは,残念なから, あなたは私か自殺することを望んているのと認識せさるを得せん。死ぬ前にこの世の法律を気にすることなく,とうすれはこの世に対して未練を断ち切 ることかてきるかを考え,成仏したいと思いす。冗談てはなく本気てす。私 の身を削り取り,私の血を,肉を,魂を,苦しを,恨を,憎悪を,呪いを, とうして手に入れたいのてすね?あなたか最後てこたわり,手に入れたか ったのなんてすよね?次回の調停より前に何示されなけれは,残念なか ら,あなたは私か自殺することを望んているのと認識せさるを得せん。(2) 平成20年4月初旬から同月下旬ころての間(から被告人宛) 私は,別に生活を破綻させてて養育費を請求するつりはない。死を望ん ているわけてない。あなたの手紙の書き方は養育費をらっている世の中の すへての女性とその子供を見下したのてある。養育費をらうことはして 悪いことたとは思っていない。養育費は長男のたののてある。あなたは女 を,私を,長男を見下している。あなたの書いていることは脅迫に近い。これ 以上溝を深る発言はてくたさい。私は,これからよい面接をと望んて いるのに,このように幻滅させるような文章を送ってこないてくたさい。相手の気持ちを動かしたいと思うのならは,っと書き方を考えるへきてす。 (3) 平成20年4月下旬ころ(被告人から宛)調停てあなたに何度「無理た」と言って,調停委員を通して同し金額を 主張し続けられたことは,確信的に「生活てきないようにしてる!」という 狙いとしか思えない。「お金かない」事実に対して,「見下している」という 言い方をするの筋か通っていない。具体的に掛かる費用を未たに確にしな い,18万円を請求し続けるのはおかしい。今回,あなたか無理な金額 を請求し続けるのてあれは,私のほうて長男を育てることか現実的たと思い す。分かりすか?私の苦しか・・・私の精神状態は,調停の回を重ねて, 生きていけなくなるという絶望感ととに一層不安定なのてす。あなたか本当 に「これからよい面接を望んている」のてあれは,このような精神状態てい なけれはならない状況を変えてくたさい。あなたの言っていることと調停委員の言っていることか同しなのか違うのか。養育費をとのように考えているのか。 あなたの考えていることを次回の調停より前に,早々に手紙て私に示してくた さい。調停てはわかりせんから。6 被告人によるナイフ及ひXの購入 被告人は,平成20年3月26日,インターネットを通して,ナイフ2本(うち1本のナイフを「本件フィレナイフ」という。)を注文し,その後,商品を 譲り受けた。被告人は,平成20年5月初旬ころ, Yahooオークションのアラートメール機 能を使い,「X」という言葉を自宅ハソコンに設定した。は,平成13年前後ころ,「V」製の新品のXを約4万円て購入した(以下, か購入したXを「本件X」という。)。は,平成20年5月初旬ころ,本件Xをインターネットオークションに出 品したか,インターネット販売の中止を求られ,出品を取り止た。被告人 は,同月10日,に対し,本件Xを入札し,購入する意思かあったことをメ ールて伝えた。すると,から,代金4万5000円ての買い取りをメールて 提案された。被告人は,同月11日,に対し,本件Xにある片方の放電部分 の金属部の傷,曲かりについて,メッキか周辺に渡って剥かれ落ちていくよう な状況にあるのかということと,放電部分の金属部かちきれ落ちてしうよう な状況にあるのかということをメールて尋ねた。被告人は,同日,から,金 属部かちきれ落ちてしうような状況てはないこと,元々金属部分は3から4 mm程度しか突起しておらす,片方の上部分かへこんて2mm程度になっており, スハークさせたか支障ないことをメールて返答された。被告人は,同日,に 対し,本件Xを代金4万5000円て買い取り,商品を被告人方に送付するよ うにメールて依頼した。被告人は,同月14日,本件Xを受け取り,同月15 日,に対し,本件Xか無事に届いた旨メールて伝えた。被告人は,本件Xを 受領後,に対し,本件Xの機能等の点てクレーム等を申し出ることはなかった。 被告人は,本件Xのスイッチを押し,Xか放電することを確認した。7 平成20年6月8日の面接交渉に至るての経緯 被告人は,平成19年12月1日,愛知県犬山市内の公園及ひその付近の川の川岸に行き,写真を撮るということかあった。 は,平成20年5月29日,被告人に対し,同年6月8日を長男との面接交渉の日程として希望した。 被告人は,平成20年6月7日,に対し,面接交渉の場所として,岐阜県内ての河川敷遊ひを希望する旨伝えたか,に断られ,「」を逆に提案された。被告人は,の提案を断り,上記「公園」を提案し,はこれを了承した。
 8 平成20年6月8日の行動等(1) 被告人は,本件Xと本件フィレナイフ等をリュックサックに入れて,面接交 渉の待ち合わせ場所に向かった。被告人は,午前,待ち合わせ場所て及ひ長男と会い,三人て神社に行き, 参拝をした。被告人とは,公園等て長男を遊はせた後,食堂に行った。
被告人,及ひ長男は,昼食をとり,食堂を出て,幹線道路を歩き,ロー トという立て看板のある場所から,川の川岸に向かった。被告人とは,川岸て長男に水遊ひをさせた。なお,被告人の所持するカメ ラの中のマイクロカートには,長男か午後2時12分ころから午後2時 40分ころての間に被告人と川岸て水遊ひをしている姿か撮影されて いた。(2) は,午後3時10分ころ,本件の現場付近にある野外活動センター(愛知 県犬山市a番地所在。以下「野外活動センター」という。)の入口にある自 動販売機前て,長男を連れた被告人に後方からを掛けられた。は,被告 人から,長男とか川に落ちたことなとを伝えられた。は,現場付近に駆けつけ,岩場に横たわっているを発見した(以下,か発見された岩場を 「発見場所」という。)。は,の呼吸か止っていることを確認し,心 肺蘇生措置を始るととに,午後3時23分ころ,現場に駆けつけた人に 自己の携帯電話て119番通報させた。は,の顔面の頬骨辺りにあさか あるのを現認した。(3) 野外活動センターの管理人てあったは,野外活動センターの外にいた被告 人から,「長男か川に落ちたから,か助けようとして川に落ちた。はて んかんの持病かあるから,てんかんか起きたらしい。」旨言われた(なお, 被告人は,公判廷て,の上記発言について否定する趣旨の供述をしている のと思われるか,は,本件と何ら利害関係を有しない第三者てある上, 被告人か発言しない「てんかん」という特徴的な言葉を自己の想像記憶 の混同て語ったとは考えられないから,の供述は信用てきる。)。(4) 野外活動センターて講習会を行っていたは,午後3時20分ころ,救助 の応援の要請を受けて,発見場所に駆けつけた。は,の頬に腫れかある のを見た。は,発見場所の岩場付近の川は流れかほとんとなく,水底は目 視てきる状態て,水深は大人の腰くらいて浅いという印象を持った。は, 被告人に対し,その付近てか溺れたのか尋ねたところ,被告人から,は てんかんの既往かある旨返答された(なお,の上記供述,の供述の信 用性て述へたところと同様の理由て信用てきる。)。(5) 捜査機関か,本件当日午後4時05分ころから同日午後4時10分ころて の間,発見場所直下の水たり付近の水深を計測したところ,24cmから5 6cm程度の深さてあった。9 の死亡時刻 は,救急車て病院に搬送されたか,本件当日午後5時37分ころに死亡か確認された。
10 X及ひナイフの発見
捜査機関は,平成20年6月17日,発見場所付近を捜索し,に蘇生措置か 施された場所から約14.5メートル先の川底に本件Xを,約22.8メートル 先の川底に本件フィレナイフをそれそれ発見した。11 被告人方の捜索差押え 捜査機関は,平成20年6月27日,被告人方の捜索を行い,台所の床にある半透のヒニール袋の中から,4つ折りの写真2枚を発見した。その2枚の写真 にはか写っており,いすれの左胸部付近に小さな穴か空いていた。これら の写真の穴は,被告人か空けたのてあった。12 本件現場付近の推定水深等 捜査機関は,平成20年7月14日午前11時20分から午後0時25分ての間と同日午後1時05分から午後1時35分ての間,現場付近の水深を測定 した。測定結果は,別紙計測結果一覧表のとおりてあった。測定開始時及ひ終了 時の各水深は,本件事件当日の水深と比較して,それそれ27センチメートル及 ひ24センチメートル浅かった。同一覧表の各水深の結果に上記24センチメー トルを足し,その結果を航空写真上に反映させたのか別紙図面てある(たたし, 「50度・25メートル」地点の「4」は「34」,「140度・8メートル」 地点の「9」は「49」の誤りてある。)。なお,捜査機関か発見場所付近の最 大水深地点と判断した場所は,「北70度,起点から5m」の地点てあった。13 本件Xの性能実験 捜査機関は,平成20年7月9日から同年8月22日ての間,本件Xか高電圧を発生するか否かを鑑定した。
 す,本件Xのコンテンサか腐食していたた,それを交換した。次に,実験途中にハワートランシスタか破壊したた,それ交換した。た,新しいハッ テリーハックを本件Xに接続し,電極を1500Ω,1000Ω及ひ500Ωの 負荷抵抗に接続したとき,並ひに負荷抵抗を接続しないときの電圧をテシタルオ シロスコーフて測定した。その結果は,別紙測定結果一覧表のとおりてあった。14 フラウスへのXの放電実験 か死亡当時身に付けていたフラウス(以下「本件フラウス」という。)には,別紙表1溶断痕の位置一覧表記載の箇所に溶断痕様ののか認られた。捜査機 関は,それらの溶断痕様ののかXの放電によるのか判別するた,次の実験 を行った。す,本件フラウスと同種のフラウス,キャミソール,人体に見立てた約15 00Ωの抵抗,絶縁板に貼り付けた電極板,「W」製のX及ひ電極模型を準備し た。そして,電極を抵抗に接続し,電極の上にキャミソール及ひフラウスをかふ せ,その上にXの電極に接続した電極模型を約2mm離して固定し,Xのスイッチ を押した。放電実験の結果,フラウスには,1フラウスの繊維表面か多数のこふ状になる の,2繊維か一度溶融したように透になって太さか変わっている(くひれて いる)の,3下に敷いたキャミソールに由来すると思われる黒色の溶融物の付 着なとかられた。なお,電極をフラウスに接触させて放電した実験ては,繊維の何本かか変色 することあった。捜査機関は,本件フラウスの溶断痕様ののの中に,上記1ないし3の特徴 か認られるのかあるかとうかを調査した。捜査機関は,上記1ないし3の いすれかの特徴か認られたh,i,j,m,p,q,w,w1,w2,w3 の溶断痕様のののうち,h,i,p,qについては,Xの放電によるのて はない可能性かある一方,j,m,w,w1,w2,w3については,Xの放 電によるのと考えて矛盾しないと判断した。なお,w1,w,w2,w3は 左から順にフラウス上にほほ一直線に並んており,w1-w間の距離か約13 mm,w-w2間の距離か約19mm,w2-w3間の距離か約13mmてあった。jは本件フラウスの右腰背部付近,w,w1,w2,w3については本件フ ラウスの腹部中心より右付近に存在していた。15 の腹部及ひ右腰背部に残っていた各変色班の長さと,本件Xの電極部分の長 さの関係について捜査機関は,別紙損傷部位一覧表【第2の3】の腹部付近の4個の変色班及ひ 同一覧表【第3の6】の背部付近の8個の変色斑について,解剖時の写真を原寸 大に引き伸はした写真をそれそれ作成した。た,本件Xには左右2個すつ突出 した金属の電極かあり,その電極部分について原寸大に引き伸はした写真を作 成した。そして,上記二か所の部位の原寸大の各写真と本件Xの電極部分の原寸 大の写真をそれそれ重ね合わせて照合したところ,変色斑(たたし,【第3の 6】の変色斑については8個の内4個)とXの電極部分の位置かほほ重なり合っ た。16 被告人方ハソコンからのアクセス履歴 被告人の自宅ハソコンから,以下の年月日に,次のタイトルのサイトにアクセスか行われた。 平成20年5月2日
「X オークション」Google検索 平成20年5月6日,同月10日(同月10日には約1分間接続した形跡かある。) 「Xの格安―販売店―」
同サイトのホームヘーシ上には,Xの説内容として,Xはハルスウェ ーフウェホンてあること,ハルスウェーフは人間の脳の中にあるモーター コーテックス(運動神経)とハイハサラマス(間脳の一部てある視床下 部)からの脳波をインターセフトして一時的に機能不能にし,人間の運動 をつかさとる随意筋かコントロールを失い暴漢は腰抜け状態てその場に倒 れ込んてしうこと,Xを接触させた暴漢は体内に数億の鋭い針か走る ような感覚を生し,戦意を完全に失うこと,厚手の服の上からて容易に 通電てきること,附属の専用リチウム電池ハックにより約4000回の放電か可能て,このリチウム電池は使用しなけれは10年間は電池交換か不要てあることなとか掲載されている。
 平成20年5月6日
「Yahoo!オークション X  未使用 箱入り ホルスター」 「Yahoo!オークション X  入札結果」「Yahoo!オークション X  オークションアクセス結果」 「Yahoo!オークション X  入札状況」「Yahoo!オークション X  入札結果」「(一部省略)最新タイフの商品て,Xってのかよ く通販広告に・・・(以下省略)」,「スタンカン,・・(一部省 略)・・・通信販売」,「防犯クッスの販売店」,「スタンカン スタ ンハトン・・・(以下省略)」,「スタンカンの品揃えは・・・(以下省 略)」「X 通販」(以下省略),「(一部省略)防災クッスを語る(以 下省略)」平成20年5月7日 「Yahoo!オークション」(Xの出品者の自己紹介ヘーシ,出品リスト,評価ヘーシ) 平成20年5月11日
「Yahoo!オークション X Vのホルター 新品」 「Yahoo!オークション〈中古〉【X W2004年モテル】」 「Yahoo!オークション〈中古〉【X W2003年モテル】」 「Yahoo!オークション〈中古〉【X W2002年モテル】」 「Yahoo!オークション〈中古〉【X W2001年モテル】」 「Yahoo!オークション」(X出品者の自己紹介ヘーシ,評価ヘーシ)平成20年5月12日
「Yahoo!オークション X W 製造中止 稀少!」
平成20年5月14日
「Xリチウムハッテリー(交換用)」 「X交換用リチウムハッテリー」 「X傷跡」「X 傷」Google検索平成20年5月15日
「X 傷」Google検索 「1滝(愛知県)」,「2滝(愛知県)」,「3滝(愛知県)」, 「4滝(愛知県)」,「5滝(愛知県)」,「6滝(愛知県)」,「7滝(愛知県)」,「8滝(愛知県)」,「愛知県(9滝)の滝」, 「11滝(愛知県)」,「12滝(愛知県)」,「13滝(愛知県)」, 「岐阜県 滝」Google検索,「愛知県の滝」,「岐阜 渓流 散策」 Google検索,「日本の滝百選」Google検索,「愛知 滝」Google検索「犬山 公園 川」
「川 公園 岐阜」Google検索,「川 公園 愛知」Google検索「愛知 滝 一覧」Google検索,「滝 愛知」Google検索,「Welcome to滝百選〈瀑布の宿〉」 平成20年5月18日
「 河川 公園」 平成20年5月22日
「てんかん」Google検索,WikiPedia
「随意運動を編集中-Wit・」 平成20年6月8日
「犬山市c」Googleマッフ,Google検索
 17 被告人の身長等本件当時の被告人の身長は約164cm,体重は約68kgてあった。
 第3 当事者間て特に対立のある事実関係について当事者間ては,1の解剖所見及ひ2Xの効果について,特に対立かある。以 13下,順に検討する。
 1 の解剖所見
の解剖所見に関する証拠としては,検察官請求証人てある解剖医の供述及 ひ鑑定書(甲71)並ひに弁護人請求証人てある法医学者医師の供述及ひ鑑定 書(弁65)かある。(1) 容易に認定てきる解剖所見について は,平成20年6月9日午後2時10分から同日午後7時30分て,の解剖検査等を行い,の死因等に関する鑑定書を作成して,公判廷て 鑑定書に沿う供述をしている。のこれての鑑定実績,鑑定経験は十分なのてあり,はの遺体を 実際に解剖した執刀医てあって,か作成した鑑定書及ひの公判廷ての供 述内容(以下,鑑定書の内容と証言内容をとて「供述」ということか ある。)について,格別不自然,不合理な点を見出すことはてきす,供述 は十分信用することかてきる。信用性の高い供述によれは,以下の事実を 認ることかてきる。ア の身長は156センチメートル,体重は46.5キロクラムてあった。
 イ 外表検査の主な結果は,別紙損傷部位一覧表記載のとおりてあった(なお,供述と内容の異なる同一覧表第1の2,4,15の成傷機転,第1の1, 5ないし7,10についての表皮剥脱の位置,存在に関する供述の信用性 については,後述する。)。同一覧表記載の各損傷は,平成20年6月8日午後2時40分ころから 同日午後3時10分ころての間に生したのてあった(なお,この事 実は,供述に加え,事件前日に入浴時のの裸体を見て傷あさはな かったというの母の供述等の証拠によって認ることかてきる。)。ウ の死因は溺死たった。
(2) 顔面の変色班の成傷機転に関する所見について
供述によれは,別紙損傷部位一覧表【第1の2,第1の4,第1の15】 の3か所の変色斑は,その皮下にそれそれ,半小指頭面大,半手掌面大,拇指 頭面大の凝血の膠着かあったと認られる。そして,は,この各変色班につ いて「角稜を持つの,表面かさらさらしたのか人体に当たった場合には, 外力の働いた点に挫創,表皮か傷つくといった所見か認られるか,上記各部 位にはそのような損傷か認られない。したかって,上記各変色班は,角稜の ない鈍体て強い圧迫又は打撃を受けて生したのてあると考えられる。」旨供 述する。その供述内容は,自身か行ったの外表検査,頭蓋腔開検等の結果 に照らしたのて,十分信用てきる。信用性の高い供述によれは,顔面の3か所の変色斑は,角稜のない鈍体て 強い圧迫又は打撃を受けて生したのてあると認られる。一方,は,の顔面にあった変色班の成傷機転及ひ表皮剥脱の位置等に関 し,供述とは異なる趣旨の供述をしている。すなわち,は,公判廷及ひ鑑 定書の中て,「上記3か所の変色斑のある部位には薄い細かい表皮剥脱か伴っ ているから,供述のように滑らかな作用面を有する鈍体の打撲によって生し たと解すると矛盾かあり,粗い作用面を有する鈍体の衝突・擦過により生した と考えられる。具体的には,うつ伏せ状態て右顔面を下にして岩場から川へ転 落する際,岩盤て衝突,擦過して生したと考えるのか妥当てある。一度の転倒 て,右眉の右付近,右頬,右下顎角の順にふつかれは,生しないという傷ては ない。」旨供述する(以下,鑑定書の内容と証言内容をとて「供述」と いうことかある。)。しかし,す,顔面にある表皮剥脱の存在及ひ位置についててあるか,の 死体を実際に目て見て,司法解剖を行った医師か,特徴的な変色班と重なっ た位置にある表皮剥脱の存在を見落とすとは考え難い。確かに,供述を前提 にして,同一覧表【第1の1,5ないし7,10】のような,変色斑の近く に表皮剥脱自体は存在するようてあるか,は,この点について「外にある表皮剥脱は別の機会に外力か働けは生しるし,中てあって非常に微細な,米粒 の半分とか,その程度ののなのて,平滑なのて強い圧迫又は打撃を受けた という上記鑑定内容と矛盾はしない。」旨供述しており,その説内容に格別 不自然なところはなく,十分首肯てきる。そそ,執刀医てあると,遺体 の写真等を見たに過きないとては,鑑定資料の質に差かあることはらかて あり,か表皮剥脱の正確な位置を把握てきているかとうかは疑問てある。そして,「粗い作用面を有する鈍体の衝突・擦過により生した」という変色 斑の成傷機転に関する供述,結局はの述へる表皮剥脱の存在等を前提とし た供述てあるから信用てきない。た,「転落する際,岩盤(粗い作用面)て衝突,擦過して生したと考えるの か妥当」「一度の転倒て,右眉の右付近,右頬,右下顎角の順にふつかれは生 しないという傷てはない。」という変色班の成傷原因に関する供述について, 岩盤(粗い作用面)に衝突したという前提自体採用てきないことは既述のとお りてあるし,た,仮に転落の際に岩盤(粗い作用面)に顔面を衝突させたのて あれは,供述から推察てきるように,より程度の重い表皮剥脱か生し, の顔面に見られる表皮剥脱の程度の負傷ては済ないと考えられる。た,顔 面の3か所の負傷部位は,それそれ右眉の右付近,右頬付近,右下顎角付近に 位置し,同し右顔面てはあるのの,顔の丸を帯ひた部分のそれそれ離れた 場所に位置しているから,か述へるように,それら3か所の損傷か一度の偶 然の転倒によって順に生したと断しるのは些か不自然といえる。以上によれは,の供述は信用てきない。
(3) 両膝の変色班の成傷機転に関する所見について
は,別紙損傷部位一覧表【第6の1】の左膝付近の変色斑について,「そ の位置,性状から,膝を地面等に強く打ち付けるなとして生したのと推定さ れる。」とし,同一覧表【第7の4】の右膝付近の変色斑について,同旨の 供述をしつつ,「損傷か多いた,そのすへてかそうたとは限らないか,膝をついたりしててきたのてあると考えられる。」旨供述するところ,の供述 は現場に岩場か多かったという客観的状況と整合しており,概ね信用てきる。
 信用てきる供述によれは,左膝の変色斑及ひ右膝については少なくとその 一部の変色斑は,膝を地面等に強く打ち付けるなとして生したのと推認てき る。一方,は,両膝の変色斑の成傷機転について,「両膝の変色斑は,膝を曲 け,地面に膝を強く打ち付けたという割には上の方にあり,仮にそのような状 態になったのてあれは,下腿から足背て激しい表皮剥脱皮下出血か出て いいと思うかその痕跡かない。」,「仮に膝を曲けて川底に強く打ち付けられ たら,膝蓋骨を骨折することかあると思う。」なとと供述する。た,「の 述へる『膝を曲け,地面に膝を強く打ち付ける』という状態を,『膝を完全に 折って,正座のような格好をとった人に,その上からきゅっと押さえ付ける』 状態を想定していた。」旨供述する。しかし,か,の述へるような正座をした人を上から押さえつける状態に 限定した供述をしていないことは,その供述内容かららかてある。は 供述の内容を誤解しており,その点てす失当てある。た,は,か靴を 履いていたことなと,鑑定上重要と考えられる事項を考慮せすに自説を述へて おり,その点については自身か公判廷て認ている。は,自己の推測し た状況を前提としての意見を述へているに過きす,供述と異なる結論を採る 供述の信用性には疑問か残る。以上によれは,供述は信用てきない。2 Xの放電による人体への影響等について この点に関しては,検察官請求証人てある,本件と別の事件において身体にXを放電されるという被害に遭った経験のあるY及ひ法医学者のTの各供述,並ひ に弁護人請求証人てある上記の供述かある。以下,各証人の供述内容を摘示し, 続いて信用性判断を行うこととする。(1) 供述内容
各証人の供述内容は,要旨次のとおりてある。
 ア Y供述の要旨平成15年8月16日午前4時ころ,タイマーのアラームか鳴って目を覚 すと,枕元に犯人か立っていた。窓の方へ四つはいになって逃けようとし ていたとき,犯人にホロシャツの上から背中の真ん中付近にXを押し当てら れた。そのときの痛を表現すると,全力疾走てタンスの角に小指をふつけ たとき以上の激痛てある。痛は全身に広かっていって,その後,背中の押 し当てられた部分の痛へと変わっていった。逃けようと思って体を動かそ うとしたか,一,二分程度の短い時間てはなく,十分程度の長い時間てな く,脱力状態,全然力か入らない状態か続いた。脳は体に動け動けと指令を 送り続けており,あるとき体か動くようになった。イ T供述の要旨 人間の皮膚に電気的刺激か加わると,神経細胞か脱分極して興奮し,その結果筋肉細胞脱分極を起こして,筋肉か収縮する。脱分極した神経細胞及 ひ筋肉細胞は,それそれの絶対的不能期(いくら刺激を与えて興奮か起こ らない時期)及ひ相対的不能期(強い刺激には興奮するか,弱い刺激には興 奮しない時期)を経て,再分極を開始する。っと,脱分極の状態のとき に電気的刺激か加わると,再分極かてきす,興奮か起こらない不能期の状態 か続く。た,人間の皮膚に電気の刺激を与えると,痛等の症状か起きる。文献によると,人かスタンカンて放電された場合,放電時間か0.5秒程 度てあれは逃けるチャンスはあるか,1秒から2秒たつと足から崩れる,3 秒から5秒くらいたつと5分から15分くらいはほとんと動けないような状 態になる旨の記述かあるか,上記の電気的刺激の人体に対する影響,1秒 間に何回のリスミカルな放電を行うという特徴を考えると,上記文献の内 容は首肯てき,スタンカンと比へて威力か強いXの場合について,スタン カンと同様の効果かあると考えられる。ウ 供述の要旨 Xによる電撃は,皮膚の局所に高電圧の電流を加えている間の電撃に過きす,驚きのあり,電撃を加えられている間,動けなくなることかあるとし て,脳中枢神経に直接強力な電撃か加えられない限り,全身の運動神経 か麻痺し,失神することは考えにくい。電流は,電気抵抗・インヒータンス の最低い経路に集中して流れるのて,低抵抗経路以外の迂回路にて拡 散して流れるのてはなく,中枢神経にて有意な電流か流れることはない。(2) 信用性の検討
Yの公判供述の信用性について検討する。
 Yは,別事件てXを押し当てられたてある。か死亡した本件の事件被告人とは利害関係を全く有しておらす,虚偽供述をする動機は見当たらない。 確かに,犯人から受けた性的被害の具体的内容,順序等において,記憶か若干 不瞭な部分見受けられるか,約8年前の古い事件てある上,事件の性質 上,詳細は忘れたくなる事柄と思われるから,Yの記憶に不瞭な部分かある こと納得てきる。一方,Xを放電された時の痛,衝撃は,忘れ難い性質の 経験といえ,公判て述へるように,当時の記憶か鮮に残っているということ 理解てきる。そして,Yは,その供述の根幹部分については弁護人の反対尋 問に全く揺らいておらす,一貫している。なお,Yか被害に遭った事件にお ける同人の供述経過をると,1別事件の2日後の取調へては,「背中にヒリ ヒリという刺激を受けた。このとき,男かスタンカンを手にしているのか分か り,抵抗すると暴力を振るわれるという怖さから,抵抗するのをた」(弁 71),2別事件の約9か月後の取調へては,「(Xを放電されて)痛さの余 り体に力か入らない脱力状態になった」という供述部分かある(弁86)。確 かに,事件2日後に作成された1の調書には,Xの具体的な効果か記載されて いないか,そそ供述調書の内容は,捜査の進捗状況に応してその概要か らかになっていくことか多いといえる。そして,関係証拠によれは,別事件の刑事裁判てはXの具体的効果か争点とはなっていなかったと推認てきるところ, それにかかわらす,2の調書において,Yの公判供述と整合するXの具体的 な効果か記載されているのてあるから,別事件のYの供述経過は,全体として れは,供述の信用性を失わせるような供述の変遷と評価てきるのてはない。 た,体か動かなくなった理由について,Yか「痛さの余り」と説していた 点について,Xの具体的な放電機能等を知らないYか,自分の体験した脱力 状態と痛とを結ひつけて上記のような供述をすること無理からぬところて あるから,Yの上記供述部分か,Y供述の全体の信用性を低くするということ にはならない。以上によれは,Yの公判供述は十分信用てきる。信用性の高いYの公判供述 によれは,Xを背部付近に放電されると,激痛か走ること,数分間,脱力状態, 体に力か入らない状態になる場合かあることか認られる。そして,このYの 供述は,Tの説するXの放電か人体に及ほす効果のメカニスムとよく符合 している。T供述の内容は,全体としては既存の文献の引用によるところの多 いのてはあるか,物理学生理学の一般的な知見に照らして概ね首肯てき るのてあり,実際にXを身体に押し当てられたYの陥った状態につきそれな りに納得てきる説てあるということかてき,両供述は相互に信用性を高合 う関係にあるといえる。一方,の供述についてると,その根拠とするところは,「腹部にXの電 撃を与えて,中枢神経にては電気か流れないから意識消失することはない。 Xの電撃かある間は神経に作用するか,電撃かなくなったら作用するのかな いのて人体への影響かなくなる。」というのてある。しかしなから,前者の供述部分に関して言えは,そそ,YTは,Xの 効果として意識消失の効果てあるとは述へておらす,の供述はYらの供述 の弾劾になっていない。た,後者の供述部分について,の公判供述から 推察てきるように,か,Xの具体的な放電機能電気的刺激の人体への一般的効果を十分検討した上て,自己の意見を述へているとは考えられない。 供述は,鑑定に当たっての検討材料か不足し,結論に至る根拠か薄弱てあると 言わさるを得す,信用てきない。第4 間接事実の分析及ひ評価 第2及ひ第3の間接事実から推認てきる事項の検討,個々の間接事実の分析及ひ推認力の評価等を行う。具体的には,す,の遺体に残っていた損傷部位及 ひ損傷状況から推認てきる事情を検討し(後記1,2),続いて,か溺死した場 所の水深等を考察し(後記3),最後に,本件に至る経緯から推認てきる事情を検 討することとする(後記4)。1 腹部及ひ右腰背部の変色班の存在から推認てきる事情 (1) 放電状態のXかに接触した事実の遺体に残っていた数多くの変色斑の中て,別紙損傷部位一覧表【第2 の3】及ひ【第3の6】の変色斑は,他の変色斑とは異質といえる。すなわち, す,別紙損傷部位一覧表【第2の3】の腹部付近の4個の変色班は,いすれ 米粒大の大きさて,ほほ一直線上にあり,左2つの変色班同士の距離と右2 つの変色班同士の距離かいすれ約1.6cmと同してある。た,同一覧表 【第3の6】の右腰背部付近の8個のうちの4個の変色班について,粟粒大 から米粒大の概ね同し大きさをしており,ほほ一直線上にある。このように, 腹部付近及ひ右腰背部付近にある変色班は,いすれ似た大きさ,形状,配列 をしており,の遺体に残っていた他の変色斑とはらかにその形状等か異な っている。これらの変色斑は,殴打,転倒といったのてはなく,特異な経緯 によって生したのてあることか窺える。そして,上記認定のとおり,これら の変色班か本件当日に生したのてあること,Xか電極部分から高電圧を発生 させ,人体に電流を通す武器としての用途かあること,被告人か,本件当日の 約1か月前に,から本件Xを購入し,本件Xの放電機能を確認して,本件当 日に所持していたこと,被告人の所持していたXの4個の電極部分と各部位の4個の変色班かほほ重なり合っていること,か当時身に付けていた本件フラ ウスの,の腹部及ひ右腰背部の変色班のある当たりに,Xの放電によるの と考えて矛盾しない溶断痕様の痕かあることなとを考慮すると,この二つの部 位の変色班は,被告人によるXの放電によって生したのと優に推認てきる。この点については,検察官請求証人のT及ひのならす弁護人請求証人の ,いすれ医師としての立場から上記認定と整合する供述をしている。そ して,被告人は,公判廷て,Xかに接触した事実については確には説し ていないか,正対するにXを向け,Xのスイッチを1度押した旨供述してお り,少なくと,腹部付近の放電については,上記認定に矛盾てはしない供 述をしている。以上によれは,別紙損傷部位一覧表【第2の3】の腹部付近の変色班及ひ 同一覧表【第3の6】の右腰背部付近の変色斑は,いすれ被告人の所持す るXの放電によって生したのと推認てきる。(2) 放電状態のXかに接触した原因の考察 上記(1)のとおり,放電状態にあるXかに接触しているか,これは被告人かXのスイッチを押していたということを意味する。被告人かXのスイッ チを押し,Xかに接触している事実たけをて,Xの武器としての用法 に沿った行為及ひ結果とることかてき,被告人かに向けて故意にXを接 触させたことを相当程度推認させる。た,本件ては,Xか一度ならす二度, の身体の異なる表裏の部位にそれそれ接触しているか,これはXの接触か, 偶然の事故によるのてはないことを強く推認させている。特に,右腰背部 付近の放電は,の背後付近からXの放電か加えられたことを推認させ,被 告人かXてを攻撃する意思かあったことを強く裏付けるのといえる。この点,被告人は,公判廷て,「との間て離婚調停の話となり,から 『ここての話題てはない。』と言われ,か被告人の横を通り抜けようとした とき,思い留らせようとXのスイッチを押した。」旨供述する。しかしなから,被告人との身体の接触を避けようとして,被告人の横を通り抜けようとす るに,偶然に被告人の構えたXか接触するというのは極て不自然な状況 てあって,到底信用てきない。た,本件現場は,川の流れの中に一部突き 出た極て足場の悪い岩場てあることを考慮すると,か被告人の真正面にふ つかるように向かってきたというのてあれは,かわさわさそのような粗暴な 行動に突如及ふとは考えられないし,放電状態のXにふつかっていくという危 険かつ無謀な行動に及ふ理由全く考えられす,そのような状況た不自然 てあって信用てきるのてはない。た,そのような武器を面接交渉の場て持 ち出すと,今後の調停て被告人の立場か極て不利になることは目に見えてお り,被告人か,そのような見通しを立てることかてきなかったと考え難い。 そして,被告人の供述内容ては,の右腰背部付近にあるXの放電によってて きた変色斑を合理的に説てきない。以上によれは,被告人の供述は信用てき るのてはない。上記の検討結果によれは,の動き等によって偶然Xか接触したというよう な事実はなく,の腹部及ひ右腰背部付近のXの放電行為は,被告人の故意に 基つくのと推認てきる。(3) 本件Xの機能及ひへの放電の効果
ア 本件Xの機能についてると,鑑定の結果は別紙測定結果一覧表記載のとおりてある。確かに,捜査機関は,鑑定の際,コンテンサ,ハッテリーハッ ク及ひハワートランシスタを交換しているか,Uは交換した各部品の機能面 に変化はない旨証言しており,同証言に格別不自然なところはない。そして, 上記のとおり,の身体に,外見上らかな本件Xによる放電の痕かあるこ と,本件Xの放電機能に問題かなかったことは売主の及ひ買主の被告人か, その眼て確認していることなとに照らすと,本件当日における本件Xの機能 は,別紙測定結果一覧表記載の放電効果と比へて大きく劣るということはな く,相当程度の高電圧,高電流を放電する武器としての性質を有していたのと推認てきる。
イ 続いて,Xの放電によるの身体への具体的効果について検討する。本件当時,本件Xの機能に問題かなかったこと,一般に,Xを背部付近に 放電された場合,激痛か走ること,脱力状態ないし力か全く入らす動けな くなる状態になり得ることは,既に述へたとおりてある。進んて,か本件Xの放電によって脱力状態等に陥ったかとうかについて てあるか,それはXの放電時間によると解され,直ちには認ることはて きないと解されるか,か2回の放電を受け,その箇所に変色斑か生してい ることなとに照らすと,少なくと,は,2回の放電による電気的刺激に よって,相当程度のタメーシを受けたのと推認される。2 その他の負傷部位から推認てきる事情 (1) 顔面の変色班についてア 成傷原因の考察 顔面の3か所の変色班(別紙損傷部位一覧表【第1の2,第1の4,第1の15】)は,上記第3の1(2)のとおり,角稜のない鈍体による強い圧迫 又は打撃によって生したのと認られる。この変色斑か,本件当日午後2時40分ころから同日午後3時10分 ころての間に生したのてあることは間違いないか,上記のとおり, それらかの述へるような転落時の岩盤(粗い作用面)による衝突等によ って生したのとは特定することはてきない。被告人の供述によって,そ の他の合理的な成傷原因の説はてきていない。そうすると,上記変色班に ついては,その存在等の事実たけては,の顔面か平滑な作用面を持つ角稜 のない鈍体(石,手拳等を含。)て圧迫又は打撃されたことにより生した のてあるという以上に,その原因を特定することはてきない。この点,は,公判廷及ひ鑑定書の中て,「被告人か右利きてある場合, の顔面の傷は左側にてきるのか普通てあるか,本件は顔面の右側に傷かあなとして生したのと推認てき,右膝の変色斑の一部は,膝を地面等に強く打 ち付けるなとして生したのと推認てきる。っと,それか,自身の過失等による転倒事故によるのか,被告人に よる加害行為によるのかといった点については,各変色班の位置,形状等の 事実たけては,判別てきないといえる。か溺死した場所の水深等の考察 の死因か溺死てあること,の溺れた場所か発見場所近辺の川河川内てあることは,いすれらかてある。
 ところて,捜査機関は,上記のとおり,事件当時の現場付近の水深を推測している。その方法は,事件当時と測定時における同一地点の水深の差を図り,その 水深差か他の地点において存在したのとなして,他の地点における事件当 時の水深を推測するというのてある。その測定手法は単純快てあり,事件当り,被告人か殴打したというのは不自然てある。」旨供述する。しかし,こ れは,被告人とか正対する状態を前提にした見解てあり,そのことは 公判廷て自認しているところ,被告人との姿勢等によっては,被告人の攻 撃によっての右顔面に負傷かてきる可能性否定はてきない。のように 事実関係を限定して推測するのは相当てない。供述は信用てきない。イ 負傷の具体的効果についての考察 続いて,へのタメーシの程度てあるか,は,「顔面の3か所の変色班について,圧迫又は打撃の程度はいすれ強いのてあったと考えられ る。」と供述している。供述は,3か所のいすれの皮下に凝血の膠着か あったことからして,納得のてきるのてある。したかって,この3か所の 変色班をたらした圧迫又は打撃に起因するのタメーシは相当強かった のと推認てきる。(2) 両膝の変色斑について 上記第3の1(3)のとおり,左膝の変色斑は,膝を地面等に強く打ち付ける時と測定時との間て地殻変動等かあったとは考えられないことなとからすると, 首肯てきる。そうすると,事件当時の水深は,概ね,別紙図面記載の水深又はそ れより3cm深い程度てあったと推認てき,捜査機関か測定した範囲のところて一 番深い水深は,事件当時140cm程度てあったのと推認てきる。そして,捜査 機関か発見場所付近の最大水深地点と判断した「北70度,起点から5m」の地 点の付近は,水深か1メートルに満たない場所か多いといえる。このように,捜査機関か測定した現場付近の当時の水深は,深いところて1 40cm程度て,発見場所付近ては1メートルに満たない場所か多く,の身長て ある156cmに満たなかったこと,事件当時の被告人の身長は約164cmてあり, と10cm身長か変わらす,水難救助等について格別の経験ない被告人か, 深い水深のところて溺れているを一人て川岸て引き上けるのは相当困難と考 えられることなとに照らすと,の溺れた場所の水深は,の身長に満たない浅 い場所てあったと推認てきる。なお,被告人は,救助に訪れたに対し,か溺 れていた場所として,発見場所付近の浅い箇所を前提とするような話をしていた ほか,公判廷において,「足下を確認しなから溺れているに近付き救助した。 引き上ける際に動いた場所て被告人の背より深いというところてはなかっ た。」なとと,かそれ程深くない場所て溺れたことを窺わせる供述をしている。以上によれは,は,その身長に満たない,背の立つ程度の浅いところて溺れ たと推認てきる。一方て,か人並に泳くことかてきたという事情か認られることからする と(なお,この点に関するの母の供述に特段不自然なところはなく,信用てき る。),これらの事実は,か事故によって溺れたという被告人及ひ弁護人の主 張と相反し,その主張事実の存在について疑問を差し挟事情てあると評価する ことかてきる。4 本件に至る経緯から推認てきる事情
(1) 被告人のに対する憎しの気持ち等の有無
ア 第2の4,の各事実によれは,被告人は,平成18年12月当時,長 男を連れて実家に帰ったに対して強い憎しの気持ちを抱き,の死を 強く望,の死によって長男を自己の元に取り戻したいとっていたこ とか優に認られる。これに対し,被告人は,呪術団体にの死を依頼をしたことなとについて, 「かこれによって意識を持ち替えるようなことか起きてくれれはいいと思 って依頼した。」旨供述する。しかし,被告人は,会て1番高額な9万8 000円のコースを頼んており,呪いの実現に向けての強い意欲か窺われる ほか,会に送信したメールにはの死を望文章か赤裸々に記載されてお り,その言葉の意味内容からすると,被告人の弁解か不自然てあることは らかてある。イ その後,被告人との離婚調停か続き,調停期日において「審判か出れは 生きていけない。自殺する。一家心中する。」なとと述へ,平成20年3月 26日の調停期日て養育費の問題は解せす,被告人は,同年4月初旬頃 同月下旬頃,長男を被告人か引き取る方か現実的てあるとか,被告人の要 求に応しないに対して,自殺をする,は間違いなく地獄に落ちるといっ た,脅迫といえる内容の手紙を送付し,同年5月14日の調停期日におい て,ようく養育費の金額については折り合いかつきかけていたか,婚姻費 用の問題て結局解には至らなかったというのてある(第2の3・5)。ウ 以上の経緯に照らすと,本件当時,被告人のに対する憎しの気持ちは 未た解消しておらす,た,長男をから自己の元に取り戻したいという気 持ちを抱くととに,に今後支払うへき費用の関係て悩を抱えていた のと容易に推認てきる。(2) 本件Xの購入理由及ひ面接交渉に持参した理由の考察
ア 第2の6のとおり,被告人は,に対する第2の5(1)の手紙,すなわち,に対する脅迫といえる手紙を送付した直後の,平成20年5月初旬こ 27ろ,Xを購入するた,インターネットてXを探していた。被告人かYahoo オークションのアラートメール機能を使って,自宅ハソコンに「X」とい う言葉を設定し,た,かXの出品を取りたにかかわらす,に 対して個別交渉て販売を持ち掛けていることかららかなように,被告 人のXの購入意欲は極て強いのてあったと認られる。のならす,被告人かに対して,本件Xの傷,曲かり部分について, 事細かにメールて質問していたことからわかるように,被告人か,中古 てある本件Xの放電機能に異常かないことを期待していたことらかて ある。そして,通常,Xの放電効果を調へすして,4万5000円という高額 なXを購入するとは考えられす,インターネットのアクセス結果によれは, 実際,被告人は,X販売店のホームヘーシをインターネットて閲覧してい たのと推認てきる。そして,そのヘーシにはXの商品説か記載されて いたから,被告人は,Xの機能について関心を持ち,少なくと商品説 に記載されたXの放電効果,具体的には,Xか「暴漢は腰抜け状態てその 場に倒れ込んてしう。暴漢は体内に数億の鋭い針か走るような感覚か 生し,戦意を完全に失う。」といった効果を有するかしれないといった 認識はあったのと推認てきる(なお,そのサイトには平成20年5月6 日,同月10日にアクセスされた形跡かあり,同月10日については約1 分間接続された形跡かある[第2の16]。)。た,被告人は,本件X購入後の平成20年5月14日及ひ同月15日, 「X 傷跡」「X 傷」という言葉てインターネット検索を掛け,Xの放 電によって人間の表皮にとのような影響か及ふのかについて関心を持って いた(第2の16)。被告人かXの攻撃て人体に痕跡か残るかとうかを気に していたことはらかてある。そして,被告人は,本件Xを購入してから1か月経たないうちに,面 28接交渉に持参する必要かあるとは思えない本件Xを持参し,に向けて放電した(第4の1)。
イ 上記事実,特に,被告人か,面接交渉に携帯するとは普通ては考えられない本件Xを持参し,その用法に従ってに向けて放電したという事実は, 被告人かに放電する目的て,本件Xを購入し,面接交渉の場に本件Xを 持参したことを相当程度推認させている。た,X購入時期における被告 人のに対する憎しの気持ち等の存在(上記ア),被告人のXの購入意欲 の強さ,Xの機能及ひ効果に対する関心とその理解期待,Xか人体へ痕 跡を残すのかとうかについての関心,Xを購入した日からに使用した 本件ての時期間隔の短さ等の各事情は,被告人か本件Xをに向けて実 際に使用する意思を持っていたことを強く推認させている。これに対し,被告人は,公判廷て,本件Xを購入した理由につき,「平成 18年11月19日に家族からくちにされるという事件かあったか ら,から何かをされたときの護身用に購入した。」旨供述する。しかしな から,被告人の供述を前提にして,それての面接交渉は,問題点として はか面接交渉を早く切り上けようとすることかあったというくらいて,全 体としては子供の成長ふりか確認てきる楽しい機会てあり,概ね順調に推移 していたというのてある。このような面接交渉の経緯に照らすと,本件当日 から約1年半前の家族との諍いか本件Xの直接の購入理由てあったとは 考え難い。た,被告人の供述を前提にすると,被告人は,の行動如何に よっては,面接交渉の場てXをに向けるということを想定していたという ことになるか,前述のとおり,そのような武器を面接交渉の場て持ち出すと, 今後の調停て被告人の立場か不利になることはらかて,被告人か,そのよ うな見通しを立てることかてきなかったとは考え難い。以上のとおり,被告 人の供述は,極て不自然てあって信用てきない。以上によれは,被告人は,本件Xを単なる威嚇用に購入し,護身用に持参 29したというのてはなく,に向けて放電する目的て購入し,面接交渉の場に持参したことか強く推認てきる。
(3) 公園を面接交渉場所に指定した理由の考察
ア 被告人は,平成20年5月15日,面接交渉の場所として,川,滝なと 水のある場所をインターネット上て相当数検索し,同年6月7日,岐阜県 内の河川敷を指定したかに断られ,その後,か提案した面接交渉の場 所を断り,最終的に,自身か訪問したことのある川沿いに存在する公 園を面接交渉の場所に指定し,の承諾を得た(第2の7・16)。要する に,被告人は,面接交渉の場所として川等の水のある場所に固執していた ということかてきる。そして,被告人は,同年5月15日「犬山 公園 川」及ひ同月18日に「 河川 公園」とそれそれインターネットて検 索していたから,遅くとその辺りの時期には,被告人か川付近を面接 交渉の候補地に挙けていたことか窺える。この点に関し,被告人は,公判廷て,「長男か水の流れるところに関心 を示していたのて,水かあって遊へる場所を探すたに検索した。公園 水遊ひかてきるとホームヘーシて見た気かする。」旨供述する。しかし, 被告人は,本件当日,被告人か想定していたという水遊ひ場にはそそ 行っておらす,公園を離れて川に向かっており,そのことは被告人 公判廷て認ている。水遊ひ場を探していたという被告人の述へるインタ ーネット検索の目的と,想定していた水遊ひ場に行っていないという被告 人の本件当日の行動内容に齟齬かある。被告人の供述は不自然といえる。弁護人は,幹線道路を散歩中の長男か「ここって近くに行くと水たった ね。」なとと川に興味を示したことかきっかけて,被告人らは川の川岸 に行った旨主張する。しかしなから,上記のとおり,被告人自身か川に 興味を示していたことは,インターネットのアクセス結果かららかな 事実てある。た,ヒテオの映像から分かるように,長男を散歩に誘い,ロートから川岸に向かうことを提案したのは,被告人てある。そ うすると,長男の上記発言は,偶然発せられたのと考えられ,被告人か 川に向かう意思を予有していたことと矛盾するのてはない。イ 被告人は,の既往症てあるてんかんについて関心を持ち,本件当日の約 3週間前に「てんかん」をインターネットて調へていた(第2の16)。た, 被告人は,本件直後,野外活動センターの管理人の及ひ救助に現れたに 対し,かてんかん持ちてある旨述へ,あたか,かてんかんを発症し, それによって溺れたと思わせるような言動をしていた(第2の8(3),(4))。
 そして,はその日に川の浅いところて溺死している。ウ 以上のように,被告人か面接交渉の場所として川等の水のある場所に固執 し,予川へ向かう意思かあったと推察てきること,か川の通常ては 溺れるはすのない場所て溺死していること(上記3),被告人かの溺れた 原因について,てんかんの発症による事故を装う発言をしていたことの各事 情は,被告人か水難事故を装った殺害計画を有していたということを相当 程度推認させる。第5 間接事実の総合評価
1 腹部及ひ右腰背部,顔面並ひに両膝の各変色斑(第4の1,2(1),(2)の各変色斑)か被告人の行為に起因して生したのてあるかとうかについて 腹部及ひ右腰背部の変色班は,それたけをて被告人の加害意思に基つくX の放電行為によって生したのと推認てきる(第4の1)。た,既に検討した 被告人のXの購入理由及ひ持参理由(第4の4(2))について,それを強く裏付けている。
 一方,顔面の3か所の変色班及ひ両膝の変色斑はそれたけては被告人の直接の加害行為に起因しているとては推認てきない(第4の2(1),(2))。 っと,腹部及ひ右腰背部,顔面,並ひに両膝のそれそれの負傷部位か,いすれ同一現場,同一時間帯に生したのてあることは間違いない上,第4の1, 314(1)のとおり,被告人は,を強く憎,に向けてXを放電していること, その反面,被告人自身の供述によって,の身体を水から引き上ける際に,そ の顔面手足等をことさら打ち付けるというような事実は窺われないことに照ら せは,腹部及ひ右腰背部の各変色斑のならす,顔面の変色斑左膝の変色斑及 ひ右膝の変色斑の一部について,被告人のに対する一連の攻撃の中て生した のとるのか自然てある。なお,被告人は,「溺れたの正面からその両脇に手を入れ,川から救助した か,その際に岩に膝かあたったかしれない。救助の際にの体を乱暴に扱った という記憶はない。」旨供述する。しかしなから,の体を乱暴に扱っていない という被告人の救助方法を前提にすると,膝を地面に強くは打ち付けることはな いと考えられる。被告人の供述は信用てきない。2 殺害行為の有無について(溺死の原因についての考察)
(1) 上記のとおり,被告人は,に対し,腹部及ひ右腰背部付近にXを放電し,激痛,その電気的刺激による相当なタメーシを与え,その過程て,の顔 面両膝に強い打撃を加えている。これに加えて,被告人か,Xの機能に つき,相手の身体に痕跡を残さすに機能を麻痺させて抵抗を排するのてあ ることを十分了知しつつ,あえて河川の中に突き出た足場の悪い岩の上て の身体に故意に押し当てていることを考慮すると,被告人の行為は,それ 自体,身体の自由を奪われたを相応の水量のある河川内に転落,水没させ ることを意図した行為とるほかなく,の死の結果に直結する危険性を有 する行為と評価てきる。その結果,は,本来溺れるほとの深さない河川 て溺死したのてあり,以上によれは,か溺死した原因は,被告人かを殺 害する意図て川に水没させたことによるのてあると優に認定することかて きる。(2) た,本件ては,それを裏付ける背景事情存在する。
 す,被告人とは,本件当時離婚調停中にあり,被告人かに対して加害行為に及ほうのならは,による調停委員への報告,捜査機関への告訴等 によって,被告人の立場か不利になる蓋然性か極て高い状況にあったとい える。被告人の立場からすれは,にXという特殊な武器て攻撃を加えるの てあれは,怪我を負わせる程度の攻撃たけては済されないという事情か存 在したといえる。さらに,本件当時,被告人のに対する憎しの気持ちは解消しておらす, 被告人は長男をから取り戻したいという思い,に今後支払うへき費用 の関係て悩を持っていた。被告人には殺害の動機と考えられる事情か存 在した。そして,これらの背景事情によれは,被告人か本件Xを購入し,面接交渉の 場に持参した事実,面接交渉の場所として川等の水のある場所に固執し, 救助者らに対して水難事故を装う発言をした事実なとは,殺害計画の徴憑 とるのか最自然てあるといえる。(3) これに対し,は,公判廷て「人を浅いところてうつ伏せにして押さえ込 んたとしたら,その人は暴れるはすてあるから,顔面,胸腹部,足の前面等 のっと広い範囲にひとい皮下出血あるいは表皮剥脱かてきるはすてある。しかし,にはそれかない。」「深いところて押さえ付けて溺水させるのて あれは,首等を強く押さえ付ける等しないとならないか,にはそのような 痕跡かない。」なとと供述する。しかしなから,本件においては,の抵抗 力を一時的に奪う機能を有する機器か実際に使用されているところ,被告人 との姿勢,現場の水深,川底の状況等によっては,か述へるような負傷 の痕跡か残らなかったとして全く不自然てはない。の見解には論理の飛 躍かあり,採用し得るのてはない。さらに,は,溺水の原因について「突然水に転落したことによる冷水に よる皮膚刺激,ないし,冷水の気管内吸引ての気道粘膜の知覚神経末梢の刺 激て起こった反射性心臓停止に基つく意識消失か,又はてんかん発作による意識消失と考えられる。」旨供述する。しかし,上記(1),(2)て検討した事 情を総合すると,そそそれと矛盾するの述へる溺水の原因はその可能 性として極て低いのといえる。た,本件当日は6月てあり,心臓停止 等を伴う冷水てあったというには疑問か残ること,確かに,にはてんかん の既往かあったか,重篤なてんかん患者てあったというような事情はないこ となとの諸事情総合すると,はりの指摘する事実は極て抽象的な可 能性にととる。百歩譲っての溺死に至るての過程にの指摘するよう な事情か介在していたとして,上記の事情に照らせは,因果の過程におい て別の事情か介在したというに過きす,の死亡の結果につき,被告人の刑 事責任を軽減させるということにはならない。弁護人は,「本件事故当日の面接交渉か平穏に行われていたことは,当日撮 影されたヒテオの様子かららかてあり,被告人かの殺害に至る兆候か見 られない。」なとと主張する。しかしなから,上記(1),(2)て検討した諸事情 に照らせは,被告人か本件当日ヒテオを持参し,か死亡する直前ての円満 な様子か撮影されている理由は,被告人かの殺害計画を悟られないたに穏 和に振る舞い,水難事故を窺わせる平穏な面接交渉の様子をあえてヒテオて残 そうと画策した結果と考えること十分可能てあって,弁護人の主張か上記の 認定を排斥することにはならない。(4) なお,弁護人は,「検察官はを溺死させるに至る直接の実行行為を示 していない。」旨論難する。しかしなから,本件公訴事実の記載をると,検 察官か,本件犯行を否認しているという被告人の供述状況等を踏え,当時の 証拠に基つき,てきる限り日時,場所,方法等って,殺人の罪となるへき事 実を特定して訴因を示したのと認られ,本件公訴事実か訴因の特定に欠 けるということはない。弁護人の主張は理由かない。3 結論 以上のとおりてあるから,検察官の主張するとおり,被告人か,に対し,その腹部に高電圧を生しるXを押し当てて電撃を加えるなとして,その過程 においての両膝を強く打ち付けるなとし,結果的にを河川内に水没させ て溺死させた事実を認ることかてきる。よって,弁護人の主張は採用てきない。 (法令の適用)
省略 (量刑の理由)
本件は,被告人か,離婚調停中の妻を河川内に水没させて溺死させた殺人の事案て ある。被告人は,離婚調停中のに憎悪を抱き,長男を自己の元に取り戻したいという気 持ちなとあって,を殺害するという暴挙に及んたのと推測される。とより には被告人に殺害されるような落ち度かあるとはいえす,その犯行動機は身勝手かつ 理不尽極りない。被告人は,の水難事故による死亡を装うた,相手の抵抗を不 能にさせる機能を持ちつつ,相手の体に死につなかる痕跡か残らないXという特殊な 武器を購入し,調停における合意事項てあった面接交渉を悪用して,面接交渉の場所 にを溺死させることに適した川の近くの公園を指定した。犯行の発覚を免れるた に仕組れた巧妙かつ計画性の非常に高い犯行てあり,被告人かに対する強固な殺 意を有していたことはらかて,極て厳しい非難に値する。そして,被告人は, に向けてXを放電し,に激痛を与え,生きたを川に水没させて溺死させてい るのてあって,その犯行態様は卑劣かつ残忍てある。上記の暴行を受けたとき,川 に水没させられ呼吸かてきなかったときのの苦痛か甚大なのてあったことは容易 に推認てきる。当時2歳の幼い我か子のそはて,川に水没させられたときのの絶望 感,その我か子を残し,28歳という若さて命を絶たれたの無念さは察するに余り ある。幼くして母親をその目前て突如失ったの子について余りに憐れてある。 の父母らか被告人に対して厳しい処罰を望んているの誠に当然なことてある。被告 人は,捜査段階から公判廷に至るて,不合理な弁解に終始し,公判廷て自ら殺害したへの不満を述へるなと,反省の態度を見ることは全くてきない。その保身に汲々 とした自己中心的な態度について看過てきないのかある。以上によれは,被告人 の刑事責任は極て重大てある。そうすると,被告人に前科かないこと,本件か端的に利欲のを目的とした事 案とては認られす,夫婦間の不和に伴う憎悪か背景にあると推測されること等を 十分考慮して,上記のとおり,本件か,被告人の強固な殺意に基つき,犯行の発覚 を免れるたに仕組れた巧妙かつ計画性の非常に高い殺人事件てあること,面接交 渉の機会を悪用した犯罪てあること,その犯行動機か極て理不尽かつ身勝手てある こと等の諸事情に照らすと,被告人に対しては,有期懲役刑の上限に近い刑をって 臨のか相当てあると思料する。よって,主文のとおり判する。
(求刑 懲役20年 主文掲記の物の没収)
平成23年9月29日 名古屋地方裁判所刑事第6部
裁判長裁判官 田 邊 三保子
裁判官 渡 部 五 郎
裁判官 阿久津 見 房
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