平成23年9月29日判言渡 同日原本領収 裁判所書記官 平成20年(ワ)第35836号 業務禁止等請求事件 口頭弁論終結日 平成23年6月23日判 当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり
主文
1 被告Aは,別紙ティーラー名簿1ないし3を使用し,同名簿記載の者に対し,面会を求め,電話をし,又は郵便物を送付するなとして,別紙 商品目録記載1ないし8及ひ10ないし14の各商品に係る売買契約の 締結,締結の勧誘等の販売業務を行ってはならない。2 被告らは,原告に対し,連帯して440万2099円及ひこれに対す る平成22年9月4日から支払済みまて年5分の割合による金員を支払 え。3 被告Aは,原告に対し,861万0900円及ひこれに対する平成2 2年9月4日から支払済みまて年5分の割合による金員を支払え。4 原告のその余の請求をいすれも棄却する。
5 訴訟費用は,原告に生した費用の8分の1と被告Aに生した費用の4分の1を被告Aの負担とし,原告に生した費用の24分の1と被告オキ シーヘルスシャハン株式会社に生した費用の12分の1を被告オキシー ヘルスシャハン株式会社の負担とし,原告,被告A及ひ被告オキシーヘ ルスシャハン株式会社にそれそれ生したその余の費用を原告の負担とす る。6 この判は,第2項及ひ第3項に限り,仮に執行することかてきる。
 事実及ひ理由第1 請求
1 被告らは,別紙ティーラー名簿1ないし3を使用し,同名簿記載の者に対し,面会を求め,電話をし,又は郵便物を送付するなとして,別紙商品目録記載の商品に係る売買契約の締結,締結の勧誘等の販売業務を行ってはならない。
 2 被告らは,別紙ティーラー名簿1ないし3を廃棄せよ。3 被告らは,原告に対し,連帯して5000万円及ひこれに対する平成22年9月4日から支払済みまて年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,健康器具の販売等を業とする原告か,取締役兼営業担当部長てあっ た被告A(以下「被告A」という。)及ひ同被告か原告を退職した後に設立し た健康器具の販売等を業とする被告オキシーヘルスシャハン株式会社(以下「被 告オキシーヘルス」という。)に対し,被告Aにおいては,不正の手段により 営業秘密か記載された原告の顧客名簿を取得し,原告を退職した後に入社した ハイオネット株式会社(以下「ハイオネット」という。)に上記顧客名簿を開 示し,ハイオネット・被告オキシーヘルスて上記顧客名簿を使用して原告の顧 客らに対する販売活動を行い,被告オキシーヘルスにおいては,ハイオネット から上記顧客名簿を取得し,仮に被告Aによる上記顧客名簿の取得か不正の手 段によるものてなかったとしても,被告Aにおいて図利加害目的て上記顧客名 簿を開示したり使用したりしているとして,労働契約又は不正競争防止法に基つく上記顧客名簿を使用した販売業務の差止め不正競争防止法に基つく上記顧客名簿の廃棄を求めるとともに,債務不履行又は不法行為に基つく上記販売 活動による逸失利益相当額の損害賠償を求め,また,被告Aにおいて,原告の 貸付先等てあったハイオネットに,その財産を不当に流出させ,株式会社ニュ ーロサイエンス(以下「ニューロサイエンス」という。)を経由した被告オキ シーヘルスへの事業譲渡をさせるなとして,ハイオネットを破産させたことに より,原告のハイオネットに対する貸付金等の回収か不能になったとして,不 法行為に基つく貸倒れ等による損失相当額の損害賠償を求める事案てある。1 前提事実(争いのない事実並ひに証拠及ひ弁論の全趣旨により容易に認めら れる事実)(1) 当事者等
ア 原告は,医療器械器具健康器具等の輸出入及ひ製造販売等を業とする 株式会社てある。イ 被告Aは,平成17年3月1日,原告に社員として採用され,同年4月 4日まては営業担当部長として,同月5日からは取締役兼営業担当部長と して,それそれ勤務していた者てあり,平成20年5月31日に原告を退 職するとともに,同年6月にハイオネットに入社した(取締役就任につき 弁論の全趣旨)。ウ 被告オキシーヘルスは,美容・健康器具等の製造販売及ひ輸出入等を業 とする株式会社てあり,平成20年11月7日,被告A等によって設立さ れ,代表取締役を同被告か,取締役をB(以下「B」という。)等か,監 査役をC(以下「C」という。)か,それそれ務めている(目的・取締役・監査役につき弁論の全趣旨)。
エ ハイオネットは,音楽・映像著作物の販売,健康食品・器具等の輸入及 ひ販売等を業とする株式会社てあり,代表取締役をD(以下「D」という。) か務めていた(目的・役員につき甲5)。ハイオネットは,健康器具てある高気圧エア・チェンハー・システム「 asis2」本体付属品等を販売する米国オキシーヘルスCから 国内総輸入販売権を取得して,上記商品を輸入・販売していた。オ ホロニック株式会社(以下「ホロニック」という。)は,電子応用医療機 器・健康機器の製造,販売及ひ輸出入等を業とする株式会社てあり,代表 取締役をCか務めている(乙12)。カ ニューロサイエンスは,神経科学用等の研究機器・機材の輸出入及ひ製 造・販売等を業とする株式会社てあり,代表取締役をE(以下「E」とい う。)か,取締役をB等か,監査役をCか,それそれ務めている(乙13)。キ 株式会社アンス(以下「アンス」という。)は,青果物の仲介及ひ販売, 衛生・健康・美容・医療用機器の輸出入及ひ販売等を業とする株式会社て あり,代表取締役をBか,取締役をE等か,それそれ務めている(乙11)。(2) 原告・ハイオネット間の代理店契約等の締結と顧客情報の蓄積等ア 原告は,平成17年1月5日,ハイオネットとの間て,原告かハイオネ ットから高気圧エア・チェンハー・システム「asis2」本体付 属品等を仕入れて国内の医療関連施設(医師・歯科医師・看護師・理学療 法士・柔道整復師・鍼灸師なと医療関連国家資格及ひこれに準する資格を有する者)に販売する旨の代理店契約及ひ覚書(以下「本件覚書」という。) を締結した。イ 原告は,前記代理店契約及ひ本件覚書に基つき,別紙商品目録記載1な いし8の各商品(以下「本件各商品」という。)及ひ同目録記載9の商品(以 下,本件各商品と併せて「本件各商品等」という。)を販売していくととも に,アフターサーヒスのために,顧客となった代理店エントユーサーの 名称,住所,電話番号,取引実績等から構成される原告以外ては一般に入 手することかてきない顧客情報を原告事務所のハーソナルコンヒュータ内 に蓄積していった。ウ 原告は,平成18年6月8日,ハイオネットとの間て,同社による「 asis2」後継機の開発に資金面て協力する旨の覚書を締結し,平成 19年9月28日,同社に対し,1500万円を貸し付けて資金協力を行 った(以下,この貸付けを「本件貸付け」という。覚書・貸付けにつき甲 15,92の3・4)。(3) 被告Aによる顧客名簿の取得・開示とハイオネットへの転職等ア 被告Aは,平成20年5月2日,原告に対し,同月31日付けて退職する旨申し入れた(甲17)。
イ 被告Aは,平成20年5月15日,部下に対し,原告の顧客情報から代理店(ティーラー)情報を抽出した一覧表を作成するよう指示し,翌16 日,この部下から,ファクシミリて別紙ティーラー名簿1の送付を受けた (日付につき甲3の1,16)。ウ 被告Aは,平成20年5月20日,部下に対し,原告の顧客情報から抽 出する代理店情報を本件各商品等か2台以上販売された先に限定するとと もに都道府県別・業種別にした一覧表を翌21日に行われるハイオネットとの会合まてに作成するよう指示し,この部下から別紙ティーラー名簿2 を受け取った。その上て,被告Aは,上記会合に先立ち,これをハイオネ ットの社員に引き渡した(日付・名簿の引渡しにつき甲16,証人F,被 告A本人)。エ 被告Aは,平成20年5月下旬ころ,原告事務所のハーソナルコンヒュ ータから原告の顧客情報を印刷し,その印刷物をハイオネットの事務所に 持参した上て,これを同社の社員に引き渡し,別紙ティーラー名簿3(以 下,別紙ティーラー名簿1ないし3を「本件各名簿」という。)のとおり, 原告の顧客情報かハイオネットのハーソナルコンヒュータに入力された (時期につき証人F)。オ 被告Aは,平成20年6月から同年11月まての間,ハイオネットにお いて,次のとおり,原告の顧客らに対し,いすれもホロニックを経由して, 本件各商品等を販売した。時期 販売先 商品 数量
(ア) 6~11月 ノースハラマ株式会社 OasisO2 8台(イ) 7月29日 株式会社オフィスナカツ OasisO2 1台(ウ) 8月 6日 有限会社柔薬品商事 OasisO2mild 1台 128万7000円 (エ)10月23日 有限会社柔薬品商事 OasisO2mild 1台 108万9000円(4) 被告オキシーヘルスによる顧客情報の取得とハイオネットの破産等ア ハイオネットは,平成20年7月ころ,資金繰りか悪化し,本件各商品 等の輸入資金か不足した。そこて,ハイオネットは,被告ACホロニック代表取締役兼ニューロサイエンス監査役の紹介て,同月,ニューロサイ販売価格 1600万円 240万円
エンスとの間て,同社に輸入資金を融資(いわゆる輸入ファイナンス)し てもらう代わりに,同社を経由して本件各商品等を仕入れる旨の輸入代行 契約を締結するとともに,アンスとの間て,コンサルティンク契約を締結 した。イ 被告オキシーヘルスは,平成20年11月,ハイオネットから,本件各 商品に関する顧客原告の顧客情報を引き継いた。このため,被告オキシ ーヘルスの代表取締役に就任した被告Aは,以後,被告オキシーヘルスに おいて,ハイオネット原告の顧客らに対し,本件各商品を販売している。ウ ハイオネットは,平成20年12月1日,事業を廃止し,同月12日に 自己破産を申し立て,同月17日,東京地方裁判所から,破産手続開始 定を受けた(平成20年(フ)第23062号,甲6)。(5) 原告の秘密管理に関する諸規定等
ア 平成18年5月22日にいすれも実施された原告の就業規則及ひ秘密管理規定には,次の規定かある。
 (ア) 就業規則
(秘密の保持)
48条 在職中はもとより退職後を通して,業務上知り得た会社顧客のテータ,秘密または情報およひ会社の不利益となる事柄を他に漏らし,もしくは漏らそうとしてはなりません。
 (競業の禁止)
49条 在職中はもとより退職後を通して,書面による会社の承諾なしに,前条のテータ,秘密およひ情報を利用して競業的行為を行うことはてきません。
 (イ) 秘密管理規定
(重要情報の範囲)
2条 この規定において秘密情報とは,次に掲けるものをいう。
1号 取引先の名称,所在地およひ取引実績
2号 顧客に関する情報の一切(担当者名,修理履歴,納品日,掛率等を含む)
3号 保有する全ての個人情報(以下略)
(管理の方法)
3条 秘密情報は,書類ての管理およひテータヘースとしてコンヒューターによる管理とする。
 (閲覧)
4条 秘密情報の書類は経営管理部の書庫て施錠のうえ管理する。
 (アクセス)5条 秘密情報へのアクセスは会社代表者の事前承認を条件とし,社員かその業務に必要な場合のみ閲覧てきるものとする。 (フリントアウト等)6条 秘密情報の開示を受けた社員か次のことをするときは,あらかしめ会社代表者の許可を得なけれはならない。
1号 秘密情報をフリントアウトするとき
2号 秘密情報をハートティスクまたはその他の記録媒体へコヒーしたときは,コヒーしたティスクの保管に責任をもたなけれはならない。
 (保管責任)
7条 秘密情報をフリントアウトした時は,そのヘーハーに責任を持た なけれはならない。また秘密情報をハートティスクまたはその他の 記憶媒体にコヒーしたときは,コヒーした媒体の保管に責任を持た なけれはならない。(情報漏洩の禁止)
8条 秘密情報の開示を受けた社員はそれを第三者に洩らしてはならない。
(不正アクセスの禁止)
9条 代表者の事前承認を受けていない社員は,秘密情報にアクセスしてはならない。
 (甲90,91)
イ 被告Aは,平成18年5月28日,前記就業規則及ひ前記秘密管理規定 を受け,原告に対し,次の誓約事項を含む秘密保持誓約書を提出した。
 (秘密保持の誓約)1条 貴社就業規則およひ貴社秘密管理規定を遵守し,次に示される貴社の秘密情報について,貴社の許可なくいかなる方法をもってしても,開示,漏洩もしくは業務目的以外て使用しないことを約束いたします。 1号 取引先の名称,所在地およひ取引実績2号 顧客に関する情報の一切
3号 保有する全ての個人情報(以下略)
(退職時の秘密情報の返還)
3条 私は,貴社を退職することになった場合は,私か管理もしくは所持している秘密情報およひ記録媒体の一切を退職時まてにすへて貴社に 返還し,私の手元に秘密情報およひ記録媒体は一切残存していないこ とを誓います。(退職後の秘密保持)
4条 秘密情報については,貴社を退職した後においても,開示,漏洩または使用しないことを遵守いたします。
 (甲1)
2 争点及ひ当事者の主張 本件の争点は,労働契約違反に関し,差止め請求については,1被告Aはハイオネット・被告オキシーヘルスて本件各名簿を使用して原告の顧客に対し別 紙商品目録記載の各商品に関する販売活動を行ったか,債務不履行,不法行為 又は会社法350条に基つく損害賠償請求については,更に2被告Aかハイオ ネットに原告の顧客情報を開示し,ハイオネット・被告オキシーヘルスて原告 の顧客らに対して販売活動を行うなとしたことに,正当な理由かあるか,3因 果関係・損害てある。不正競争防止法違反に関し,差止め・廃棄請求については,1本件各名簿に 記載された顧客情報は営業秘密に該当するか,2被告Aはハイオネット・被告 オキシーヘルスて本件各名簿を使用して原告の顧客に対し別紙商品目録記載の 各商品に関する販売活動を行ったか(労働契約違反の争点1に同し。),3被告Aか本件各名簿を取得したのは,不正の手段によるものか,仮に不正の手段によるものてない場合,被告Aかハイオネットに本件各名簿を開示し,ハイオ ネット・被告オキシーヘルスて原告の顧客らに対して販売活動を行うなとした ことに,図利加害目的かあるか,不法行為又は会社法350条に基つく損害賠 償請求については,更に4因果関係・損害てある。債権侵害の不法行為に基つく損害賠償請求については,1被告Aについてハ イオネットに財産を不当に流出させ,ニューロサイエンスを経由した被告オキ シーヘルスへの事業譲渡をさせるなとしたことによる債権侵害の不法行為か成 立するか,2因果関係・損害てある。(1) 労働契約違反について
ア 争点1(被告Aはハイオネット・被告オキシーヘルスて本件各名簿を使使用して原告の顧客に対し別紙商品目録記載の各商品に関する販売活動 を行ったか)について(原告の主張)
被告Aは,ハイオネット・被告オキシーヘルスて,本件各名簿を使用し て,原告の顧客に対し,本件各商品等これらと同種の別紙商品目録記載 10ないし14の各商品等に関する販売活動を行った。被告Aか本件各名 簿を使用していることは,販売先か本件各名簿に記載された顧客に集中し ていることかららかてある。(被告らの主張) 被告Aは,ハイオネット・被告オキシーヘルスて本件各名簿を使用しては原告の顧客に対する販売活動を行っていない。本件各名簿に記載されていた原告の対応に不満を抱く顧客からの購入希望によるものてある。また,被告オキシーヘルスては,別紙商品目録記載9の商品を販売していない。
イ 争点2(被告Aかハイオネットに原告の顧客情報を開示し,ハイオネット・被告オキシーヘルスて原告の顧客らに対して販売活動を行うなとした ことに,正当な理由かあるか)について(被告らの主張)
(ア) 原告とハイオネットの間には,平成20年1月ころから,ハイオネットの経営か悪化していたため,共同てショイントヘンチャーを設立し て経費削減売上け増加を図る計画かあった。被告Aは,前記計画における原告側の担当者てあり,原告の顧客情報 かショイントヘンチャーを円滑に開始させ,ショイントヘンチャーかア フターサーヒスを行ったり保険を掛けたりするのに必要てあった上,ハ イオネットからも度々開示を求められ,原告とハイオネットとか競合す る関係にもなかったため,平成20年5月21日に行われた上記計画に 関するハイオネットとの会合に別紙ティーラー名簿1・2を持参し,原 告退職前の同月に同社に対して別紙ティーラー名簿3を開示したにすき ない。(イ) 被告Aかハイオネットて原告の顧客らに対して販売活動を行ったの は,上記顧客らか,原告の対応に不満を抱き,原告の担当者てあった被 告Aに対応を求め,ハイオネットの代表取締役てあるD専務取締役て あるF(以下「F」という。)からも対応するよう命しられたからてある。そもそも原告とハイオネットとの間て締結された代理店契約本件覚書は,ハイオネットか原告の顧客らに対して販売活動を行うことを禁 していなかった。また,被告Aか被告オキシーヘルスて原告の顧客らに対して販売活動 を行っているのは,米国オキシーヘルスCか被告オキシーヘルスに 対して同被告か国内総輸入販売元となってハイオネットの行っていたア フターサーヒスを継続するよう求めたからてある。さらに,本件覚書て定められた原告の販売先は,医療関連施設に限ら れていたから,被告Aかハイオネット被告オキシーヘルスて医療関連 施設以外の原告の顧客らに対して販売活動を行ったことに,問題はない。(ウ) 以上によれは,被告Aかハイオネットに原告の顧客情報を開示し, ハイオネット被告オキシーヘルスて原告の顧客らに対して販売活動を 行ったことには,正当な理由かある。(原告の主張)
(ア) 原告とハイオネットとの間には,平成20年5月当時,共同てショイントヘンチャーを設立する計画かあり,同月21日にハイオネットと の会合か行われたものの,初会合てあって,原告の顧客情報は必要ては なかった。(イ) 原告の顧客らか原告の対応に不満を抱いていた事実はないし,ハイ オネットの代表取締役てあるD専務取締役てあるFか被告Aに対して 原告の顧客に対応するよう命した事実もない。また,本件覚書は,ハイ オネットか原告の顧客らに対して販売活動を行わないことを前提として いる。さらに,原告は,本件覚書を締結した後,ハイオネットからの要請を 受けて,医療関連施設以外の顧客らに対しても販売活動を行っていたも のてあり,被告Aか上記顧客らに対して販売活動を行ったことか正当化 されるわけてはない。(ウ) 以上によれは,被告Aかハイオネットに原告の顧客情報を開示し, ハイオネット被告オキシーヘルスて原告の顧客らに対して販売活動を 行ったのは,原告とハイオネット被告オキシーヘルスとを競業させる 目的に基つくものてあり,正当な理由かない。ウ 争点3(因果関係・損害)について
(原告の主張)
(ア) 原告は,本件各商品等に関し,被告Aか退職する前てある平成17年3月から平成20年5月まての3年3か月間は毎月平均5765万 7297円の売上けかあったのに,被告Aか退職した後てある同年6 月から同年11月まての6か月間は毎月平均1747万6675円の 売上けしかなく,毎月の売上けか4018万0622円減少した。この 売上けの減少は,被告Aの前記労働契約に違反する販売活動によるもの てある。原告の粗利益率は,最も少ない月ても31.6%はあったから, 原告は,被告Aの労働契約違反により,年間粗利て1億5236万49 18円の損害を被った。(計算式)4018万0622円×0.316×12月=1億5236万4918円(イ) 仮に前記損害か認められないとしても,ハイオネットは,平成20 年6月から同年11月まての6か月間に,前記1(前提事実)(3)オ記載の販売に加え,次のとおり,原告の顧客らに対し,いすれもホロニック を経由して,本件各商品等その付属品を販売し,その販売価格合計は 3701万7600円となる。販売先 商品 数量
松本針灸整骨院 O2リキット 10本
松本針灸整骨院 O2オイル 10本
玉井整骨院 O2リキット 10本
玉井整骨院 O2オイル 10本
有限会社アフトワーク OasisO2 1台 安山整骨院 OasisO2 1台 最上耳鼻咽喉科 OasisO2mild 1台ノースハラマ株式会社 OasisO2 3台
ノースハラマ株式会社 OasisO2 1台
セントラルメティカル株式会社 OasisO2mild 1台
 時期
a 6月
b 6月
c 6月
d 6月
e 8月
f 8月
販売価格 2万8800円 3万円 2万8800円 3万円 225万円 300万円 128万7000円 660万円 170万円 128万7000円 ハイオネットは,粗利から変動経費てある荷造運賃を控除して算出し た限界利益率か39.9%てあったから,上記の取引により合計1478日 g 8月12日 h10月10日 i10月21日 j11月20日7万0022円の利益を得た。
(計算式) 3701万7600円×0.399=1477万0022円また,被告オキシーヘルスは,平成20年11月から平成22年8月 まての1年10か月間に,粗利から変動経費てある運賃・荷造包装費・ 販売奨励金・販売手数料を控除して算出した限界利益額か5168万3921円てあったから,同額の利益を得た。
このため,被告らは,平成20年6月から平成22年8月まての2年 3か月間に,合計6645万3943円の利益を得ており,不正競争防 止法5条2項類推適用により,この利益額か原告の損害額と推定される。(被告らの主張) 争う。本件各商品等の売上けか減少したのは,平成18年秋ころに有名スホーツ選手による「asis2」の使用かマスコミて報しられたこ とて生した本件各商品等のフームか終了したこと,平成20年6月に財 団法人日本アンチ・トーヒンク機構か高圧酸素カフセルの使用はトーヒン ク違反の疑いかあるとして使用自粛を求める見解を通達したこと,同年9 月に本件各商品等についてリコール問題か生したこと,リーマンショック に続く不況か生したことによるものてある。また,前記(原告の主張)aないしeは,キャンセルされた。fは,ハ イオネットから医療関連施設てはないスホーツハンク株式会社に対して 販売され,同社から安山整骨院に対して販売されたにすきない。gの販売 先は,最上耳鼻咽喉科てはなく,その経営者の妻てあって,原告の顧客て はない。h・iは,ホロニックか販売したのてあって,ハイオネットか販 売したのてはない。jは,被告Aか販売したものてはない。(2) 不正競争防止法違反について
ア 争点1(本件各名簿に記載された顧客情報は営業秘密に該当するか)について (原告の主張)
本件各名簿に記載された原告の顧客情報は,原告事務所内のハーソナルコンヒュータにテータか保管されており,利用し得る社員か限定されてい る上,当該社員には秘密保持誓約書を差し入れさせて秘密保持義務を負わ せるとともに,毎月行われている営業会議等て流出させないよう注意喚起 をするなとし,客観的に秘密と認識し得る状態て管理されていたから,秘 密として管理されていた情報てある。また,本件各名簿に記載された顧客 情報は,原告か創業時から行ってきた医療関連機器等の販売活動の中て集 積したものてあり,当該顧客紹介先への販売活動アフターサーヒスに 役立つから,有用な情報てあるとともに,原告以外ては一般に入手するこ とかてきないから,非公知の情報てもある。したかって,本件各名簿に記載された顧客情報は,営業秘密に該当する。
 (被告らの主張)原告のハーソナルコンヒュータ内に保管された顧客情報は,ハスワート の設定かなく,利用し得る社員も限定されていなかった上,秘密管理規定 は遵守されす,営業会議等て注意喚起かされたこともなかったから,客観 的に秘密として管理されていた情報てはない。また,本件各商品は,高額 て大きく,耐用期間も長く,同し顧客か再ひ購入することは少ないから, 本件各名簿に記載された顧客情報は,有用な情報てはない。さらに,本件 各名簿に記載された顧客情報は,その半分以上か被告Aにおいて原告に入 社する前から知っていたものてある上,特に別紙ティーラー名簿1・2に 記載された顧客情報は,顧客名と住所たけてあり,インターネット電話 帳て調へられるから,非公知の情報てもない。したかって,本件各名簿に記載された顧客情報は,営業秘密に該当しない。
イ 争点3(被告Aか本件各名簿を取得したのは,不正の手段によるものか,仮に不正の手段によるものてない場合,被告Aかハイオネットに本件各名 簿を開示し,ハイオネット・被告オキシーヘルスて原告の顧客らに対して 販売活動を行うなとしたことに,図利加害目的かあるか)について (原告の主張)(ア) 被告Aは,平成20年5月,事情を知らない部下に対し,前記(1) イ(原告の主張)(ア)のとおり,虚偽の理由を告けて別紙ティーラー名 簿1・2を取得するとともに,原告から無断て別紙ティーラー名簿3を 取得したから,被告Aか本件各名簿を取得したのは,不正の手段による ものてある。(イ) 仮に不正の手段によるものてないとしても,被告Aかハイオネット に本件各名簿を開示し,ハイオネット被告オキシーヘルスて原告の顧 客らに対して販売活動を行ったのは,前記(1)イ(原告の主張)(ウ)の とおり,原告とハイオネット被告オキシーヘルスとを競業させる目的 に基つくものてあり,図利加害目的かある。(被告らの主張)
(ア) 被告Aか本件各名簿を取得したのは,前記(1)イ(被告らの主張)(ア)の理由によるものてあって,不正の手段によるものてはない。
(イ) 被告Aかハイオネットに本件各名簿を開示したのは,前記(1)イ(被 告らの主張)(ア)の理由によるものてあるし,ハイオネット被告オキシーヘルスて原告の顧客らに対して販売活動を行ったのも,前記(1)イ(被告らの主張)(イ)の理由によるものてあって,図利加害目的かない。
 ウ 争点4(因果関係・損害)について(原告の主張) 前記(1)ウ(原告の主張)(ア)のとおり,原告は,被告らの不正競争防止法違反により,年間粗利て1億5236万4918円の損害を被った。 仮に前記損害か認められないとしても,前記(1)ウ(原告の主張)(イ)のとおり,被告らは,平成20年6月から平成22年8月まての2年3か 月間に,合計6645万3943円の利益を得ており,不正競争防止法5 条2項により,この利益額か原告の損害額と推定される。 (被告らの主張)前記(1)ウ(被告らの主張)と同様の理由により,争う。 (3) 債権侵害の不法行為についてア 争点1(被告Aについてハイオネットに財産を不当に流出させ,ニュー ロサイエンスを経由した被告オキシーヘルスへの事業譲渡をさせるな としたことによる債権侵害の不法行為か成立するか)について (原告の主張)ハイオネットは,平成20年6月以降,借入金の返済多額に上る固定 費の負担,代表取締役てあるDの浪費等により,資金繰りに窮するように なり,翌7月には,本件各商品等の輸入資金か不足することになったもの の,その時点ては破産原因は生していなかった。これを受け,被告Aは,平成20年7月23日,Dに対し,ニューロサイエンスか輸入ファイナンスを付けてくれるとして,アンス代表取締役兼ニューロサイエンス取締役てあるBとホロニック代表取締役兼ニューロサ イエンス監査役てあるCを紹介した。その結果,ハイオネットは,ニュー ロサイエンスとの間て輸入代行契約を締結させられるとともに,アンスと の間てコンサルティンク契約を締結させられ,D・Fの個人保証ハイオ ネットの実印・銀行印,通帳等も奪われ,実権を握られた。その上て,被告Aは,ニューロサイエンスの代表取締役てあるEBと 共謀の上,ハイオネットに,ニューロサイエンスから高額な仕入れアン スへの低額な販売を行わせたり,商品を低額に見積もったニューロサイエ ンスへの代物弁済を行わせたりして,財産を不当に流出させた。また,平成20年10月30日にはハイオネットからニューロサイエン スへ,同年11月4日には同社から設立中の被告オキシーヘルスへ,順次, 事業譲渡をさせ,ハイオネットを無資力に陥らせて破産させた。その結果, 原告は,ハイオネットに対する本件貸付け等に係る債権か回収不能となる 損害を被った。したかって,被告Aは,ハイオネットに財産を不当に流出させたりニュ ーロサイエンスを経由した被告オキシーヘルスへの事業譲渡をさせたり し,ハイオネットを倒産させて原告の本件貸付け等に係る債権を無価値に したものてあるから,債権侵害の不法行為か成立する。 (被告らの主張)ハイオネットは,前記(1)ウ(被告らの主張)の理由により,平成20年 7月,本件各商品等の輸入資金か不足するようになり,その時点て既に破 産原因か生していたものてある。被告AかDに紹介したのは,Cてあり,同人かEとBを紹介したものて ある。その結果,ハイオネットは,輸入代行契約コンサルティンク契約 を締結したか,同社からの要望によるものてあるし,DFか個人保証を 行ったり同社の実印・銀行印,通帳等を預けたりしたものの,実権を握ら れたわけてはない。個人保証は,支払確保のために必要てあるし,実印・ 銀行印通帳等を預けたのは,Dか出張て不在なことか多かった上,同人 か債権者に押印を迫られないようにするためにすきない。ハイオネットによるニューロサイエンスからの仕入れか高額たったり, アンスへの販売ニューロサイエンスへの代物弁済て見積もった商品か 低額たったりしたことは争う。高額な仕入れは,ニューロサイエンスに対 する融資の返済も含むものてある。低額な販売も,資金調達のために行っ たものてあって,その額ても原価を下回ってはいない。また,被告オキシーヘルスは,平成20年11月,米国オキシーヘルス Cから国内総輸入販売権を取得するとともに,ハイオネットから本件 各商品に関する顧客原告の顧客情報を引き継いている。しかしなから, それは,ハイオネットを国内総輸入販売元にしたままては本件各商品等の 輸入を継続することかてきなくなるおそれかあったからてある。被告オキ シーヘルスを国内総輸入販売元に変更することて本件各商品の輸入を継 続することかてきるようにした上て,同被告の利益をハイオネットに回す 予定てあった。ハイオネットは,8000万円て申し込んたセーフティネ ット保証付き融資を2000万円しか受けられなかった結果,破産したに すきない。したかって,被告Aは,ハイオネットに財産を不当に流出させたりニュ ーロサイエンスを経由した被告オキシーヘルスへの事業譲渡をさせたり したものてはない上,仮に財産の不当な流出事業譲渡か認められても, ハイオネットには既に破産原因か生していたから,不法行為を構成しな い。イ 争点2(因果関係・損害)について (原告の主張)
原告は,ハイオネットか破産した平成20年12月17日当時,同社に 対して本件貸付けに係る債権等2662万5617円を有していたとこ ろ,被告らの不法行為により,全額か回収不能となる損害を被った。
 (被告らの主張)争う。
(4) よって,原告は,被告A及ひ同被告か代表取締役を務める被告オキシーヘルスに対し,原告の就業規則48条,49条,秘密保持誓約1条,4条の労 働契約又は不正競争防止法3条1項,2条1項4・5・7・8号に基つき, 本件各名簿を使用した別紙商品目録記載の各商品に関する販売業務の差止め を求めるとともに,不正競争防止法3条2項,2条1項4・5・7・8号に 基つき,本件各名簿の廃棄を求め,また,労働契約違反の債務不履行,労働 契約違反,不正競争防止法違反若しくは民法上の不法行為又は会社法350 条に基つき,主位的には,連帯して労働契約違反又は不正競争防止法違反の 損害賠償金1億5236万4918円と債権侵害に基つく損害賠償金2662万5617円の合計1億7899万0535円の内金5000万円及ひこれに対する平成22年8月27日付け訴えの変更申立書送達の日の翌日てあ る同年9月4日から支払済みまて民法所定の年5分の割合による遅延損害金 の支払を,予備的には,連帯して労働契約違反又は不正競争防止法違反の損 害賠償金6645万3943円と債権侵害に基つく損害賠償金2662万5 617円の合計9307万9560円の内金5000万円及ひこれに対する 上記訴えの変更申立書送達の日の翌日てある同年9月4日から支払済みまて 民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,それそれ求める。第3 当裁判所の判断
1 労働契約違反に関する争点1(被告Aはハイオネット・被告オキシーヘルスて本件各名簿を使用して原告の顧客に対し別紙商品目録記載の各商品に関する 販売活動を行ったか)について(1) 販売活動を行った商品について 前記第2の1(前提事実)(3)オ・(4)イのとおり,被告Aか原告の顧客に対し,ハイオネットては本件各商品等を,被告オキシーヘルスては本件各商 品を,それそれ販売していた事実は,当事者間に争いかない。また,証拠(甲 119の1・2)によれは,被告Aか被告オキシーヘルスて別紙商品目録記 載10ないし14の各商品を販売している事実か認められ,上記争いかない 事実と総合すれは,被告Aか被告オキシーヘルスて原告の顧客に対して別紙 商品目録記載10ないし14の各商品を販売している事実を推認することか てきる。他方,被告Aか原告の顧客に対し,ハイオネットにおいては同目録 記載10ないし14の各商品を,被告オキシーヘルスにおいては同目録記載9の商品を,それそれ販売していた事実については,いすれも証拠かない。(2) 本件各名簿の使用について 本件各名簿には,原告の顧客てある代理店エントユーサーの名称,住所,電話番号,販売年月日,販売した商品の種類・シリアルナンハー・価格・修 理歴等の情報か最大て953件記載されている。相当数の名称住所程度の 情報ならまたしも,1000件近い顧客の名称住所,電話番号,販売年月 日,販売した商品の種類・シリアルナンハー・価格・修理歴等の情報につい てまて,本件各名簿を使用せすに原告の顧客らに対して販売活動を行うこと は,事実上不可能てある。また,前記認定のとおり,被告Aかハイオネット に対して本件各名簿に記載された情報を開示するとともに,被告オキシーヘ ルスかハイオネットから本件各名簿に記載された情報を取得したのは,ハイ オネット被告オキシーヘルスての原告の顧客らに対する販売活動に,本件 各名簿に記載された情報か必要たったからこそというへきてある。これらを 総合すれは,被告Aかハイオネット被告オキシーヘルスて本件各名簿を使 用して原告の顧客に対する販売活動を行っていたことを推認することかてき る。この点につき,被告らは,被告Aか原告の顧客に対する販売活動を行って いるのは,本件各名簿を使用したことによるものてはなく,本件各名簿に記 載されていた原告の対応に不満を抱く顧客からの購入希望によるものてある 旨主張し,同旨の陳述をするノースハラマ株式会社,株式会社オフィスナカ ツ,有限会社柔薬品商事及ひスホーツハンク株式会社の各陳述書(乙3ない し5,29)を提出する。確かに,被告らの上記主張と証拠を前提とすれは,一部の原告の顧客の名称住所,電話番号程度の情報は使用しなかった可能性かある。しかしなから,当該顧客は,被告Aにとって新規の顧客てはなく, 自らか対応してきた旧知の顧客てあるから,販売時期販売した商品の種 類・シリアルナンハー・修理歴等,過去の取引に関する情報を基に対応する ためには,本件各名簿を参照せさるを得ないことはらかてある。したかっ て,被告Aは本件各名簿を使用して原告の顧客に対する販売活動を行ってい たものと容易に推認することかてきるのてあって,被告らの上記主張証拠 は採用することかてきない。(3) 小括 以上によれは,被告Aは,本件各名簿を使用して原告の顧客に対し,ハイオネットては本件各商品等(別紙商品目録記載1ないし9)の各商品に関す る販売活動を,被告オキシーヘルスては本件各商品(同目録記載1ないし8) 及ひ同目録記載10ないし14の各商品に関する販売活動を,それそれ行っ ていたものというへきてある。2 労働契約違反に関する争点2(被告Aかハイオネットに原告の顧客情報を開 示し,ハイオネット・被告オキシーヘルスて原告の顧客らに対して販売活動を 行うなとしたことに,正当な理由かあるか)について(1) 顧客情報の開示について 被告らは,原告の顧客情報か原告とハイオネットの間て計画されていたショイントヘンチャーを円滑に開始させ,ショイントヘンチャーかアフターサ ーヒスを行ったり保険を掛けたりするのに必要てあった上,原告とハイオネ ットとか競合する関係にもなかったため,被告Aかハイオネットに原告の顧客情報を開示したことには正当な理由かある旨主張する。
しかしなから,証拠(甲13,16,115,116,乙1,2,14, 15,証人F,同D,原告代表者,被告A本人)によれは,1原告とハイオ ネットは,平成19年ころから売上けか減少し,同年秋ころからは特に落ち 込んていたため,平成20年3月ころ,両者の間に共同てショイントヘンチ ャーを設立して経費削減等を図る計画か持ち上かり,同年5月21日,今後 の全体的な方針を合意するための初会合か行われたこと,このため,上記会 合に原告の顧客情報なと詳細な情報は必要なかったこと,その上,上記会合 は,人事案等て折り合わすに即日裂したこと,また,2本件各商品等に保 険を掛けるためには,設置場所の情報かあれは足り,本件各名簿に記載され た情報は必要かなかったこと,さらに,3本件覚書2・3条には,ハイオネ ットか原告に対して国内の医療関連施設への「asis2」本体付属 品等の販売を一任し,万一原告とハイオネットの間て競合等による紛争か発 生した場合,協議により対等に,かつ,誠意をもって対処する旨規定されて いることか認められる。前記認定の事実によれは,被告Aか前記会合に先立って原告の顧客情報を 開示する必要はなかった上,上記会合てショイントヘンチャーを設立する計 画は裂したため,上記会合後も原告の顧客情報を開示する必要はなかった ものというへきてある。また,原告とハイオネットは,同し「asis 2」本体付属品等を販売することによる競合の可能性かあったため,本件 覚書て競合か発生した場合には協議して対処する旨を合意していたものとい うへきてあって,競合を生しさせるような原告の顧客情報の開示か許容されていたとはいえない。仮に被告らの主張する被告Aか原告の顧客情報を開示した理由を前提としても,原告の就業規則48条,秘密管理規定8条,秘密 保持誓約書1・4条には,原告の社員か原告の許可なく顧客情報を開示する ことを禁しる旨か規定されていたのてあるから,被告Aにおいて原告の許可 を得て開示すへきてあったのに,被告Aか原告の許可を得たことについては, 証拠かない。そうすると,被告Aかハイオネットに原告の顧客情報を開示したことに正 当な理由かあるとはいえない。(2) 原告の顧客らに対する販売活動について
ア 被告らは,ます,被告Aかハイオネットて原告の顧客らに対して販売活動を行ったのは,上記顧客らか原告の対応に不満を抱いて被告Aに対応を 求め,DFからも対応するよう命しられたからてあり,また,そもそも ハイオネットか原告の顧客らに対して販売活動を行うことも禁しられて いなかったから,上記販売活動には正当な理由かある旨主張する。しかしなから,被告AかDFから顧客らの求めに対応するよう命しら れたことについては,DとFのいすれもかその証人尋問において否定して おり,他にこれを認めるに足りる証拠かない。また,仮に原告の顧客らか 原告の対応に不満を抱いて被告Aに対応を求めていたとしても,前記第2 の1(前提事実)(5)ア(ア)のとおり,被告Aは,原告の就業規則49条 により,原告の承諾を得ないまま原告の顧客情報を利用して競業的行為を 行うことか禁しられていたのてあるから,原告の承諾を得た上て本件各名 簿に基つく原告の顧客らへの販売活動を行うへきてあったにもかかわらす,証拠(甲20,108,110)によれは,被告Aは,原告の承諾を得ないまま秘密裏に本件各名簿を使用して原告の顧客らに対する販売活 動を行っていたことか認められる。さらに,前記(1)のとおり,原告とハ イオネットか本件覚書て競合か発生した場合には協議して対処する旨を 合意していたことに照らすならは,競合を生しさせるような原告の顧客ら に対する販売活動か許容されていたとはいえない。そうすると,この点て,被告Aかハイオネットて原告の顧客らに対して 販売活動を行ったことに正当な理由かあるとはいえない。イ 被告らは,次に,被告Aか被告オキシーヘルスて原告の顧客らに対して 販売活動を行っているのは,米国オキシーヘルスCか被告オキシー ヘルスに対してハイオネットの行っていたアフターサーヒスを継続する よう求めたからてあって,上記販売活動には正当な理由かある旨主張す る。しかしなから,前記アと同様,被告Aは,原告の承諾を得ないまま原告 の顧客情報を利用して競業的行為を行うことか禁しられているのてある から,被告オキシーヘルスにおいても,原告の承諾を得た上て本件各名簿 を使用した原告の顧客らに対する販売活動を行うへきてあるのに,証拠 (甲115,乙15,原告代表者,被告A本人,弁論の全趣旨)によれは, 原告の承諾を得ないまま本件各名簿を使用した原告の顧客らに対する販 売活動を行っていることか認められる。そうすると,この点て,被告Aか被告オキシーヘルスて原告の顧客らに 対して販売活動を行っていることに正当な理由かあるとはいえない。ウ 被告らは,さらに,本件覚書て定められた原告の販売先か医療関連施設に限られていたから,被告Aかハイオネット被告オキシーヘルスて医 療関連施設以外の原告の顧客らに対して販売活動を行ったことには正当 な理由かある旨主張する。しかしなから,証拠(甲4,19,89,115)によれは,ハイオネ ットは,当初,医療分野への販売は原告に,他の美容・スホーツ・リラク セーション3分野への販売は別の3社に,それそれ委託していたものの, 別の3社の販売実績か上からなかったため,原告に対して上記3分野への 販売も委託するようになり,原告の販売先か医療関連施設に限られなくな ったことか認められる。そうすると,この点ても,被告Aかハイオネット被告オキシーヘルス て原告の顧客らに対して販売活動を行ったことに正当な理由かあるとは いえない。(3) 小括 上に述へたところによれは,被告Aかハイオネットに原告の顧客情報を開示したりハイオネット被告オキシーヘルスて原告の顧客らに対して販売活 動を行ったりしたことに正当な理由かあるとはいえない。したかって,被告Aは,原告の就業規則48・49条,秘密管理規定8条 及ひ秘密保持誓約1・4条に基つき,原告の許可を得ることなく原告の顧客 情報を開示したり原告の承諾を得ることなく原告の顧客情報を利用して競業 的行為を行ったりしない義務を負っていたにもかかわらす,正当な理由なく, ハイオネットに原告の顧客情報を開示したりハイオネット・被告オキシーヘルスて本件各名簿を使用して原告の顧客に対する販売活動を行ったりしたのてあるから(以下,これらの行為を「本件各行為」という。), 債務不履行責任を負う。
3 労働契約違反に関する争点3(因果関係・損害)について
(1) 証拠によれは,次の事実か認められる(1円未満切捨て)。
 ア 原告の本件各商品等に関する総売上高及ひ売上総利益原告の本件各商品等に関する総売上高及ひ売上総利益(総売上高から売 上原価を控除した粗利益。以下同し。)は,次のとおりてある。総売上高
(ア) 平成17年3月~同18年2月 6億3730万7782円 (月平均 5310万8981円 (イ) 平成18年3月~同19年2月 13億7123万6708円売上総利益 1億9204万1553円
1600万3462円) 4億7602万4042円 3966万8670円) 2億7242万1971円2270万1830円) 4153万4754円 1384万4918円) 3402万2427円567万0404円) 4194万9019円 599万2717円) 5746万7205円478万8933円)
(月平均 (ウ) 平成19年3月~同20年2月
(月平均 (エ) 平成20年3月~同年5月 (月平均
(オ) 平成20年6月~同年11月 (月平均
(カ) 平成20年12月~同21年6月 (月平均 (キ) 平成21年7月~同22年6月 (月平均1億1426万9725円 9億2837万3621円 7736万4468円 1億3106万3348円 4368万7782円 1億2839万6857円2139万9476円 1億6718万1618円 2388万3088円 1億9059万9461円1588万3288円
(甲120の1ないし4)
イ ハイオネットの本件各商品等に関する総売上高及ひ売上総利益ハイオネットの本件各商品等に関する総売上高及ひ売上総利益は,次の とおりてある。(ア) 平成18年3月~同19年2月 (月平均 (イ) 平成19年3月~同20年2月 (月平均(ウ) 平成20年3月~同年10月 (月平均
総売上高 8億6250万4906円
7187万5408円 6億3791万8354円 5315万9862円 2億8678万9747円3584万8718円
売上総利益 1億8272万7060円
1522万7255円) 1億5343万9705円
1278万6642円) 1億2375万3815円
1546万9226円)
(甲121ないし123)
ウ 被告オキシーヘルスの本件各商品に関する総売上高及ひ売上総利益被告オキシーヘルスの本件各商品に関する総売上高及ひ売上総利益は, 次のとおりてある。総売上高
(ア) 平成20年11月~同21年9月 1億0524万0437円 (月平均 956万7312円 (イ) 平成21年10月~同22年9月 3951万0237円 (月平均 329万2519円(乙16の1,17,18)
エ 本件各商品等の売上高の推移等
売上総利益 5067万7937円
460万7085円) 1762万8981円 146万9081円)本件各商品等の売上高は,有名スホーツ選手による「asis2」 の使用かマスコミに報しられたことから,平成18年の秋冬にかけて急増 した。しかし,平成19年以降はフームか終了して減少に転し,同年秋こ ろからは売上けか落ち込んていった上,平成20年6月には財団法人日本 アンチ・トーヒンク機構か医療機器としての高圧酸素カフセルの使用はト ーヒンク違反の疑いかあるとして使用の自粛を求めたため,更に売上けか 落ち込んていった。ハイオネットは,同年7月ころから,百貨店に対する 販売か増えてきたものの,同年9月ころ,「asis2」本体か相次 いて破裂する事故か生したため,多数の返品を受けるとともに,2か月間 にわたって百貨店から取引を停止され,資金繰りに窮するようになった。
 (甲111の1・2,115,116,乙1,2,6,15,証人D,原 告代表者)オ 原告,ハイオネット及ひ被告オキシーヘルスの各利益の関係等 原告,ハイオネット及ひ被告オキシーヘルスは,いすれも「asis2」本体付属品等を主に販売しており,被告Aか原告を退職する前は, 国内総輸入販売権を有するハイオネットの販売する本件各商品等の約8 割か原告を経由して販売されていたため,ハイオネットと原告の双方に販 売益か生していたのに対し,被告Aか原告を退職した平成20年6月以降 は,ハイオネット同社を引き継いて国内総輸入販売権を取得した被告オ キシーヘルスの販売する本件各商品等か原告を経由せすに販売されてい るため,ハイオネット被告オキシーヘルスには販売益か生しているものの,原告には販売益かほとんと生していない状態にある。そして,前記アないしウのとおり,総売上高に占める売上総利益の割合(粗利益率)は, 平成20年3月から同年5月まての原告か約32%,平成20年3月から 同年10月まてのハイオネットか約43%,平成20年11月から平成2 2年9月まての被告オキシーヘルスか約47%てある。(甲9の1ないし 3,10・11・103の各1・2,115,120の1ないし4,12 1ないし123,乙16の1,17,18,原告代表者)(2) 前記認定の事実によれは,原告の売上けは,被告Aか本件各行為を行い始 める以前の平成19年ころから,継続的に減少していたのてあるから,被告 Aか本件各行為を行い始めた後に生した原告の利益の減少分か直ちに本件各 行為に起因するものとは認められないというへきてある。もっとも,ハイオネットか平成20年6月以降に被告Aの販売活動により 原告の顧客に対して販売した売上けは,被告Aか本件各行為を行わなけれは 原告の売上けになったものと認められるから,被告Aかハイオネットて原告 の顧客に対して販売した売上額に原告の限界利益率を乗したいわゆる限界利 益の額の限度て,本件各行為に起因する損害と認めるのか相当てある。また,被告オキシーヘルスは,平成20年11月以降,ハイオネットから その顧客を引き継いたのてあるから,被告オキシーヘルスの限界利益のうち 本件各行為に起因するものか占める割合は,ハイオネットの限界利益のうち 本件各行為に起因するものか占める割合と同様てあると認めるのか相当てあ る。ア 被告Aかハイオネットて行った本件各行為に起因する損害額(ア) 被告Aかハイオネットて原告の顧客に対して販売した売上額被告Aかハイオネットて原告の顧客に対して販売した売上額は,前記 第2の1(前提事実)(3)オの2077万6000円のほか,証拠(甲2 1,107,110)によれは,次のとおり,1366万7600円と 認められ,合計て3444万3600円となる。時期(平成20年) 販売先
販売価格 2万8800円 3万円 2万8800円 3万円 225万円 300万円 660万円 170万円 この点につき,原告は,被告Aか平成20年8月12日に最上耳鼻咽 喉科に対して「asis2mild」1台を128万7000円て 販売した旨主張するか,証拠(甲21,34の4)によれは,最上耳鼻 咽喉科てはなく,その経営者の妻か個人的に購入したものてあることか認められ,同女か原告の顧客てあったことを認めるに足りる証拠はない。
 また,原告は,被告Aか同年11月20日にセントラルメティカル株式 会社に「asis2mild」1台を128万7000円て販売し た旨も主張するか,被告Aか販売したことを認めるに足りる証拠はない。したかって,上記原告の各主張は,いすれも採用することかてきない。1 6月
2 6月
3 6月
4 6月
5 8月
6 8月 710月10日 810月21日
松本針灸整骨院 松本針灸整骨院 玉井整骨院 玉井整骨院 有限会社アフトワーク 安山整骨院 ノースハラマ株式会社 ノースハラマ株式会社商品 数量 O2リキット 10本 O2オイル 10本 O2リキット 10本 O2オイル 10本 OasisO2 1台 OasisO2 1台 OasisO2 3台 OasisO2 1台8日
また,被告らは,前記1ないし5かキャンセルされた旨主張するか, これを認めるに足りる証拠はない。また,被告らは,前記6か医療関連 施設てはないスホーツハンク株式会社を経由して販売された旨主張する か,前記2(2)ウのとおり,原告の販売先は医療関連施設に限られておら す,証拠(甲4,19)によれは,スホーツハンク株式会社も原告の顧 客てあったことか認められる。さらに,被告らは,前記7・8を販売し たのはホロニックてあってハイオネットてはない旨主張するか,証拠(甲 20,22,24,26,証人F,同D)によれは,ホロニックは,ハ イオネットか原告の顧客に対して販売活動を行っていることを隠すため に経由されていた会社にすきないことか認められる。したかって,上記 被告らの各主張は,いすれも採用することかてきない。(イ) 原告の限界利益率 証拠(甲121)によれは,ハイオネットの平成20年3月から同年10月まての変動費は,荷造運賃の926万9553円,保険料609 万7742円及ひ旅費交通費1064万0321円の合計2600万7 616円てあり,前記(1)イ(ウ)記載の同期間における売上総利益(月平 均1546万9226円)から上記変動費(月平均2600万7616 円÷8月)を控除した限界利益額の同期間における総売上高(月平均3 584万8718円)に対する限界利益率は,約34%てあることか認 められる。そして,原告の限界利益率は,前記ハイオネットの限界利益率に,平成20年3月から同年10月まてのハイオネットの粗利益率(前記(1)イ(ウ)の売上総利益(月平均1546万9226円)を総売上高(月平 均3584万8781円)て除した割合。約43%。)に対する同年3 月から同年5月まての原告の粗利益率(前記(1)ア(エ)の売上総利益(月 平均1384万4918円)を総売上高(月平均4368万7782円) て除した割合。約32%。)の割合を乗して求めるのか相当てあり,約 25%てあることか認められる。
 (計算式)(1546万9226円-2600万7616円÷8月)÷3584万8718円=34%(ハイオネットの限界利益率) 34%×32%÷43%=25%(原告の限界利益率)(1円未満切捨て・百分率は小数点以下四捨五入)
(ウ) 小括 そうすると,被告Aかハイオネットて行った本件各行為に起因する原告の損害額は,前記(ア)のハイオネットての売上額合計3444万36 00円に上記原告の限界利益率25%を乗した861万0900円とす るのか相当てある。(計算式)3444万3600円×0.25=861万0900円
イ 被告Aか被告オキシーヘルスて行った本件各行為に起因する損害額前記のとおり,被告オキシーヘルスは,平成20年11月以降,ハイオ ネットからその顧客を引き継いたのてあるから,被告オキシーヘルスの限 界利益のうち本件各行為に起因するものか占める割合は,ハイオネットの 限界利益のうち本件各行為に起因するものか占める割合と同様てあると 認めるのか相当てある。証拠(乙16の2,17,18)によれは,被告オキシーヘルスの平成 20年11月から平成21年9月まての変動費は,旅費交通費393万5 945円,保険料31万8100円,運賃101万9698円,荷造包装 費3万0975円,販売奨励金50万0850円及ひ販売手数料554万 2439円の合計1134万8007円てあり,同期間の限界利益は,1 か月平均357万5448円てあること(前記(1)ウ(ア)の売上総利益の 月平均460万7085円-1134万8007円÷11月),平成21年10月から平成2 2年9月まての変動費は,旅費交通費236万9551円,保険料11万 9790円,荷造運賃60万4813円及ひ販売手数料408万1403 円の合計717万5557円てあり,同期間の限界利益は,1か月平均8 7万1118円てあること(前記(1)ウ(イ)の売上総利益の月平均146万 9081円-717万5557円÷12月)か認められる(1円未満切捨て)。そうすると,平成20年3月から同年10月まての間のハイオネットの 限界利益(前記(1)イ(ウ)の売上総利益1億2375万3815円から前 記ア(イ)の変動費2600万7616円を控除した金額)のうち,前記ア (ウ)のとおり,本件各行為に起因すると認められる861万0900円も のか占める割合は,約9%てあるから,被告Aか被告オキシーヘルスて行 った本件各行為に起因する損害額は,440万2099円とするのか相当 てある(353万9693円+86万2406円)。
 (計算式)861万0900円÷(1億2375万3815円-2600万7616円)=9%357万5448円×0.09×11月=353万9693円(平成20年11月~平成21年9月の損害額)
87万1118円×0.09×11月=86万2406円(平成21年10月~平成22 年8月の損害額)(1円未満切捨て・百分率は小数点以下四捨五入)(3) 小括 以上によれは,原告の労働契約違反に関する請求は,原告か,被告Aに対しては,原告の就業規則48条,49条,秘密保持誓約1条,4条の義務に 基つき,本件各名簿を使用した本件各商品及ひ別紙商品目録記載10ないし 14の各商品に関する販売業務の差止めを求めるとともに,上記義務違反の 債務不履行に基つき,ハイオネットて行われた本件各行為に起因する損害賠 償金861万0900円及ひこれに対する平成22年8月27日付け訴えの 変更申立書送達の日の翌日てある同年9月4日から支払済みまて民法所定の 年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,被告らに対しては,上記債務 不履行又は会社法350条に基つき,連帯して被告オキシーヘルスて行われ た本件各行為に起因する損害賠償金440万2099円及ひこれに対する上 記申立書送達の日の翌日てある同年9月4日から支払済みまて民法所定の年 5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度て理由かある(被告オキシ ーヘルスに対する,差止請求及ひハイオネットて行われた本件各行為に起因 する損害賠償請求は,被告Aか被告オキシーヘルスの代表取締役を務めてい る事実たけては,これを認めることかてきす,理由かない。)。4 不正競争防止法違反に関する争点1(本件各名簿に記載された顧客情報は営 業秘密に該当するか)について不正競争防止法上の営業秘密とは,秘密として管理されている生産方法,販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報てあって,公然と知られていないものをいうところ(同法2条6項),ある情報か秘密として管理 されているというためには,当該情報に接し得る者か制限され,当該情報に接 した者に当該情報か秘密てあると認識し得るようにしていることか必要てある と解される。証拠(甲1,16,乙15,原告代表者,被告A本人,弁論の全趣旨)によ れは,1原告は,平成20年当時,資本金の額か2400万円て社員数か約3 0人弱の中小企業てあり,大別して「asis2」と医学教育関連製品, 血圧計等の健康機器をそれそれ販売する3部門に分かれていたこと,2原告て は,全社員に秘密保持誓約書を提出させていたこと,もっとも,3本件各商品 等の取引実績等から構成される顧客情報か蓄積された原告事務所のハーソナル コンヒュータは,他のハーソナルコンヒュータとAて接続されるとともに, 上記顧客情報にはハスワートか設定されていなかったため,本来は「asi s2」の販売部門に所属する営業社員たけか上記顧客情報を閲覧したり印刷 したりすることか許されていたにもかかわらす,実際には原告の従業員てあれ は派遣社員アルハイトても自由に上記顧客情報を閲覧したり印刷したりする ことかてきていたことか認められる(原告は,営業会議等て顧客情報を流出さ せないよう注意喚起するなとしていた旨主張するものの,これを認めるに足り る証拠はない。)。前記認定の事実によれは,原告は,中小企業てあって,情報を管理しすい 環境にあった上,就業規則秘密管理規定て秘密の管理に関する規定を定めた り全社員に秘密保持誓約書を提出させたりして,情報を管理しようとしていたことはうかかわれるものの,実際には,顧客情報の閲覧印刷に原告代表者の事前の承認許可を得るという秘密管理規定て定められた手続か遵守されてい なかった上,ハスワートの設定等による物理的な障害も設けられていなかった ため,権限のない原告従業員ても自由に閲覧したり印刷したりすることかてき たものてある。以上を総合すれは,原告は,本件各名簿に記載された顧客情報に接し得る者 を制限し,上記情報に接した者に上記情報か秘密てあると認識し得るようにし ていたとはいえないから,本件各名簿に記載された顧客情報は,秘密として管 理されていたとはいえす,不正競争防止法上の営業秘密には当たらないといわ さるを得ない。以上より,原告の不正競争防止法違反に関する請求は,その余の点について 判断するまてもなく,理由かない。5 債権侵害の不法行為に関する争点1(被告Aについてハイオネットに財産を 不当に流出させ,ニューロサイエンスを経由した被告オキシーヘルスへの事業 譲渡をさせるなとしたことによる債権侵害の不法行為か成立するか)について(1) 証拠によれは,次の事実か認められる。
ア ハイオネットは,平成20年7月ころ,資金繰りか悪化し,本件各商品等の輸入資金か不足したため,同月23日,ニューロサイエンスから輸入 資金の融資を受けたものの,その後も,状況は改善せす,金融機関から融 資を受けられる見込みはなく,輸入代金の支払を怠って「asis2」 本体付属品等の国内総輸入販売権を失うおそれか現実化してきた。この ため,Dは,同年8月ころから,被告AB等との間て,新会社を設立して当該新会社に負債を除いたハイオネットの全事業を引き継かせ,金融機関から融資を受けるとともに,国内総輸入販売権を維持する方法を協議す るようになった。(甲48,49,乙1,14,15,111の1・2, 証人D)もっとも,ハイオネットは,再ひ本件各商品等の輸入資金か不足したた め,平成20年8月29日,ニューロサイエンスとの間て,ハイオネット か返済を怠ったときは「asis2」に係る営業権と商品を譲渡する 旨の停止条件付事業譲渡契約を締結した上て,同年9月2日,ニューロサ イエンスから,弁済期を同年11月2日とし,連帯保証人をDとFとする 約定て,輸入資金約1402万円の融資を受けた(甲53,55の1ない し5,56,乙14,24,証人D)。イ ハイオネットは,平成20年9月ころに生した「asis2」本体 の破裂事故により,多数の返品を受けるとともに,2か月間にわたって百 貨店から取引を停止されることとなった。このため,ハイオネットは,資 金繰りに窮することとなり,同年10月には,ニューロサイエンスに対す る約3000万円の借入債務を同月末の弁済期に返済することかてきな いことか判した(甲111の1・2,116,乙1,証人D)。そこて,Dと被告A等は,平成20年10月25日,計画倒産になる旨 主張して反対していたFを押し切り,ハイオネットのニューロサイエンス に対する前記事業譲渡は実行するものの,同社には本件各商品等の販売体 制かないため,新会社として設立される被告オキシーヘルスかニューロサ イエンスから更に事業譲渡を受けることにより,「asis2」の販売事業を継続させることとし,同社の了解も得た(甲46,111の1・2,116,乙14,15,証人D,被告A本人,弁論の全趣旨)。
 その上て,ハイオネットは,平成20年10月30日,ニューロサイエ ンスとの間て,「asis2」に係る営業権と商品を譲渡する旨の事業譲渡契約を締結するとともに,ニューロサイエンスは,同年11月4日, 設立中の被告オキシーヘルスとの間て,上記営業権と商品を譲渡する旨の 事業譲渡契約を締結した(甲52,54,乙1)。ウ ハイオネットは,資金を得る目的て,平成20年11月4日には,東京 都中央区長に対して中小企業信用保険法2条4項所定の特定中小企業者 の認定(いわゆるセーフティネット保証)を申請し,金融機関に対して8 000万円の融資を申し込むとともに,ニューロサイエンスに対して「 asis2」(サイス)5台と「asis2home」21台を 約54%割り引いて販売し,アンスに対し,翌5日には,「asis 2」(サイス)5台と「asis2home」21台を約54%割 り引いて販売し,翌6日には,「asis2home」21台を約6 6%割り引いて販売し,翌7日には「2リキット」3875本と「2 オイル」6937本を80%割り引いて販売し,同月14日には,ニュー ロサイエンスに対し,「asis2」(サイス)3台と「asi s2」(サイス)2台,「asis2home」5台を約76% 割り引いた代物弁済を行い,ニューロサイエンスから,同月18日と同月 20日には,「asis2home」各1台を約3.7倍の価格て仕 入れるなとした。(甲57の2,58の1,61,67ないし73,86,101,102,116,乙14,証人F)
エ 被告AとD,Bは,平成20年11月21日,米国オキシーヘルス Cの代表者Gを訪ね,ハイオネットからニューロサイエンスを経由した被 告オキシーヘルスへの事業譲渡について了解を得た。その結果,被告オキ シーヘルスは,同月25日,米国オキシーヘルスCから国内総輸入販 売権を取得し,以後,本件各商品別紙商品目録記載10ないし14の各 商品を販売している。(甲103の1・2,116,119の1・2,乙 1,14,15,証人D,被告A本人)オ ハイオネットは,平成20年11月27日,セーフティネット保証付き 融資を申し込んていた金融機関から,2000万円しか融資か下りない旨 の回答を受けたことから,事業継続を断念し,同年12月1日に事業廃止 の上,同月17日,破産手続開始定を受けた(甲6,111の1・2, 乙14)。カ 原告は,ハイオネットに対し,同社からニューロサイエンスを経由した 被告オキシーヘルスへの事業譲渡か開始された平成20年10月30日 の時点て,本件貸付けを含む1404万3294円の金銭債権を有してお り,ハイオネットか破産した同年12月17日の時点ては,2662万5 617円に増加していた(甲92の1・2)。(2) 前記認定の事実によれは,被告AかDと共に平成20年10月30日から 同年11月4日まての間にかけて「asis2」に係る営業権と商品を ハイオネットからニューロサイエンスを経由して被告オキシーヘルスに譲渡 させたのは,金融機関から融資を受けるとともに,国内総輸入販売権を維持するためてあったということかてきるから,これをもって原告を含むハイオネットの総債権者に対する害意かあったものとはいい難く,この点について 被告Aか不法行為責任を負うものとはいえない。この点につき,原告は,被告AかEBと共謀の上,ハイオネットに,ニ ューロサイエンスから高額な仕入れアンスへの低額な販売を行わせたり, 商品を低額に見積もったニューロサイエンスへの代物弁済を行わせたりした 旨主張する。確かに,前記(1)ウのとおり,ハイオネットかニューロサイエン スから高額な仕入れアンスへの低額な販売を行ったり,商品を低額に見積 もったニューロサイエンスへの代物弁済を行ったりしたことは認められるも のの,これらの事実たけては債権侵害による不法行為の違法性を基礎付ける ものとはいい難い上,被告Aかこれらの行為に共謀したことを認めるに足り る証拠はない。したかって,この点に関する原告の上記主張は,採用するこ とかてきない。以上より,前記以外の不法行為に関する請求は,その余の点について判断 するまてもなく,理由かない。6 結論 以上によれは,原告の請求は,前記3(3)のとおり,被告Aに対しては,本件各名簿を使用した本件各商品及ひ別紙商品目録記載10ないし14の各商 品に関する販売業務の差止めを求めるとともに,損害賠償金861万090 0円及ひこれに対する平成22年9月4日から支払済みまて年5分の割合に よる遅延損害金の支払を求め,被告らに対しては,連帯して損害賠償金44 0万2099円及ひこれに対する上記同日から支払済みまて年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度て理由かある。
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 阿部正幸
裁判官 山 門 優
裁判官 志 賀 勝
(別紙 ティーラー名簿1ないし3は省略)
(別紙)
当事者目録
東京都文京区<以下略>
原 告 日本ライトサーヒス株式会社 同訴訟代理人弁護士 稲 見 友 之 同 田邊勝己 同片岡剛 同 江口公一 同 尾山祐介 同金帝憲 同 平田香織 同 伊倉吉宣 同寺島哲 同 世利英之千葉県市川市<以下略> 被告A
東京都台東区<以下略>
被 告 オキシーヘルスシャハン株式会社 被告ら訴訟代理人弁護士 辻 惠 同 樋口卓也同石田亮
同 石渡敏暁
(別紙)
商品目録
1 高気圧エア・チェンハー・システム「asis2」
2 高気圧エア・チェンハー・システム「asis2home」
 3 ウォーターサーハー「xyserve」4 携帯用高濃度酸素水「xygeniquid4」
5 酸素オイル「xygenTreatmentil」
6 サフリメント「Green2」
7 マイクロハフルハス「icroBubbleBath」8 ヘット用健康器具「Dogs2」
9 高気圧エア・チェンハー・システム「asis2mild」
 10 高気圧チェンハー「Fortius」11 高気圧チェンハー「uamvis」
12 高気圧チェンハー「EI」
13 高気圧チェンハー「ACE」
14 高気圧チェンハー「VITAEI」
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