事件番号 平成20年(行ウ)第49号 不当利得部分返還請求行為請求事件 判主文
1 被告は,候補者4及ひ受注業者3に対し,各自3万7202円を支払うよう請求せよ。
2 被告は,候補者2及ひ受注業者2に対し,各自3万9710円を支払うよう請求せよ。
3 被告は,候補者16及ひ運転手19に対し,各自1万2500円を支払うよう請求せよ。
4 原告らのその余の請求をいすれも棄却する。
5 訴訟費用(補助参加費用を含む。)は,原告らの負担とする。
事実及ひ理由
第1 請求
1 被告は,別表1の「候補者名」欄及ひ「受注業者名」欄記載の者らに対し,それそれ,同表の「請求金額」欄記載の額の金員を支払うよう請求せよ。(以 下「請求1」といい,上記「候補者名」欄記載の者らを「請求1候補者」,上 記「受注業者名」欄記載の者らを「請求1業者」という。)2 被告は,別表2の「候補者名」欄及ひ「運転手名(受注業者名)」欄記載の 者らに対し,それそれ,同表の「請求金額」欄記載の額の金員を支払うよう請 求せよ。(以下「請求2」といい,上記「候補者名」欄記載の者らを「請求2 候補者」,上記「運転手名(受注業者名)」欄記載の者らを「請求2運転手」 という。)3 被告は,別表3の「候補者名」欄及ひ「賃貸人名(受注業者名)」欄記載の 者らに対し,それそれ,同表の「請求金額」欄記載の額の金員を支払うよう請 求せよ。(以下「請求3」といい,上記「候補者名」欄記載の者らを「請求3 候補者」,上記「賃貸人名(受注業者名)」欄記載の者らを「請求3賃貸人」 という。)
第2 事案の概要
本件は,京都府木津川市(以下,単に「木津川市」又は「市」という。)住 民てある原告らか,平成19年4月22日に投票か行われた木津川市長選挙及 ひ木津川市議会議員選挙(以下,合わせて「本件選挙」という。)に関し,公 費負担の制度に基ついて市から支払われた選挙費用について,真実とは異なる 内容の申告かされたこと,不当に高額な金額て契約か行われたことなとにより, 市は候補者及ひ支払を受けた者らに対して不当利得返還請求権又は不法行為に 基つく損害賠償請求権等を有しているのに,これら請求権を行使すへき市長て ある被告かその行使を怠っているのは違法てあると主張して,その行使を求め た住民訴訟てある。1 前提事実 (1) 当事者等
ア 原告らは,木津川市の市民てある。
イ 被告は,木津川市長てあり,市の有する不当利得返還請求権及ひ不法行為に基つく損害賠償請求権等の債権を行使する権限を有する者てある(地方自治法149条6号,240条参照)。
ウ 請求1候補者,請求2候補者及ひ請求3候補者は,いすれも,本件選挙の候補者てあった者らてあり,また,請求1候補者は,本件選挙における, 公職選挙法143条1項5号にいう選挙運動のために使用するホスター (以下「選挙運動用ホスター」という。)の作成に係る費用(以下「ホス ター代」という。)について,後記(2)の公費負担制度の適用を受けた者ら, 請求2候補者は,本件選挙における,同法141条1項にいう選挙運動の ために使用される自動車(以下「選挙運動用自動車」という。)の運転手 の報酬(以下「運転手報酬」という。)について,後記(2)の公費負担制度 の適用を受けた者ら,請求3候補者は,本件選挙における,選挙運動用自動車の借入れに係る費用(以下「賃借料」という。)について,後記(2)の公費負担制度の適用を受けた者らてある。
エ 請求1業者は,本件選挙における請求1候補者の選挙運動用ホスターの作成者として,後記(2)の公費負担制度に基つき,ホスター代の支払を市か ら受けた者ら,請求2運転手は,本件選挙における請求2候補者の選挙運 動用自動車を運転した者として,後記(2)の公費負担制度に基つき,運転手 報酬の支払を市から受けた者ら,請求3賃貸人は,本件選挙における請求 3候補者に選挙運動用自動車を賃貸した者として,後記(2)の公費負担制度 に基つき,賃借料の支払を市から受けた者らてある。(2) 木津川市における公費負担の制度(甲1の1・2,乙1,2)ア 本件選挙の当時,木津川市ては,市町村の選挙の費用の公費負担に関す る公職選挙法141条7項・8項,143条14項・15項の規定を受け て,「木津川市議会議員及ひ木津川市長の選挙における選挙運動の公費負 担に関する条例」(以下「本件条例」という。)及ひ「木津川市議会議員 及ひ木津川市長の選挙における選挙運動の公費負担に関する規程」(以下 「本件規程」という。)により,次のような公費負担の制度か定められていた(以下「本件公費負担制度」という。)。
 イ 運転手報酬及ひ賃借料の関係市議会議員選挙及ひ市長選挙における候補者は,公職選挙法93条1項 等の規定により当該候補者に係る供託物か市に帰属することとならない限 り,6万4500円に候補者の届出日から選挙期日の前日まての日数を乗 した金額の範囲内て,選挙運動用自動車を無料て使用することかてきる(本 件条例2条)。この適用を受けようとする候補者は,選挙運動用自動車の借入契約そ の運転手の雇用に関する契約なとの有償契約を締結した上,市選挙管理委 員会に届け出なけれはならない(本件条例3条)。市は,1賃借料に関しては,自動車それそれにつき使用された各日につ いてその使用に対し支払うへき金額(たたし,道路運送法上の一般乗用旅 客自動車運送事業を経営する者以外の者との間の契約の場合は,1万53 00円を超える場合には1万5300円。)の合計金額を,2運転手報酬 に関しては,運転手(同一の日に2人以上の運転手か雇用される場合には, 候補者か指定するいすれか1人の運転手に限る。)それそれにつき,運転 業務に従事した各日についてその勤務に対し支払うへき報酬の額(たたし, 1万2500円を超える場合には1万2500円。)の合計金額を,当該 借入契約の相手方当該運転手からの請求に基つき,これらの者に支払う (本件条例4条柱書,同条(2))。ウ ホスター代の関係 市議会議員選挙及ひ市長選挙における候補者は,公職選挙法93条1項等の規定により当該候補者に係る供託物か市に帰属することとならない限 り,選挙運動用ホスターの1枚当たりの作成単価に作成枚数(たたし,選 挙か行われる区域におけるホスター掲示場の数(なお,本件選挙について は,209てあった。乙2)に相当する数を超える場合には,当該相当す る数。)を乗して得た金額の範囲内て,選挙運動用ホスターを無料て作成 することかてきる(本件条例9条)。この適用を受けようとする候補者は,ホスターの作成を業とする者との 間て,選挙運動用ホスターの作成に関する有償契約を締結した上,市選挙 管理委員会に届け出なけれはならない(本件条例10条)。市は,ホスター1枚当たりの作成単価(たたし,作成単価か510円4 8銭に上記掲示場の数を乗して得た金額に30万1875円を加えた金額 を上記掲示場の数て除して得た金額を超える場合には,その除して得た金 額。)にホスターの作成枚数を乗して得た金額を,当該ホスターの作成を 業とする者の請求に基つき,その者に対して支払う(本件条例11条)。エ 本件規程2条~6条は,市選挙管理委員会への届出に関する事項,その 他提出すへき書類,その様式等について,具体的に定めている。(3) 本件選挙の実施 本件選挙については,平成19年4月15日に選挙期日の告示及ひ立候補の届出か行われ,同月22日に投票か行われた。(乙2)
(4) 本件選挙におけるホスター代,運転手報酬及ひ賃借料(以下「本件選挙費用」という。)の支払 本件公費負担制度に基つき,本件条例及ひ本件規程の定めに従った届出等かされた上,同定めに従い,市は,平成19年5月21日,同月30日,同 年6月15日,同月29日又は同年8月20日に,請求1業者に対しホスタ ー代を(各業者ことの具体的な金額は,別表1の「請求金額」欄記載のとお り。たたし,候補者のうち候補者7(業者は受注業者5)については,同欄 記載の金額てはなく,40万8177円。なお,候補者7については,平成 20年9月16日に,うち5万2723円か返還された(甲6の1)ため, 原告らは,上記「請求金額」欄記載の金額(35万5454円)を請求する よう求めているものてある。),請求2運転手に対し運転手報酬を(各運転 手ことの具体的な金額は,別表2の「請求金額」欄記載のとおり。たたし, 同欄の金額は,候補者1名につき複数名の運転手かいる場合には,その複数 の運転手らに支払われた合計額てある。),請求3賃貸人に対し賃借料を(各 賃貸人ことの具体的な金額は,別表3の「支払金額」欄記載のとおり。), それそれ支払った。(甲7の1~3・5,甲8の1・2,甲9の1~5,甲 10の1・3・4)(5) 住民監査請求及ひ提訴 原告らは,平成20年8月8日,上記(4)等の本件選挙費用等について,水増しなと真実に反する請求あるいは最少限度を超える請求なとにより生した 損害かあるとして,その損害の回復のために候補者,業者及ひ運転手等にその損害分の金員の返還を求める措置の勧告と,木津川市長かその損害の回復 を怠ることの違法性の認定及ひこれに対する必要な措置の勧告なとを求めて, 監査請求をした。(甲5。以下「本件監査請求」という。)木津川市監査委員は,同年10月7日,調査の結果,一部に不適切な支出 か確認されたか,これら支出については既に支払を受けた者らから返金かさ れ,損害か回復しているから,措置の必要性か消滅したなととして,本件監 査請求を棄却した。(甲6)そこて原告らは,同年11月5日,本件訴訟を提起した。
 2 争点及ひ争点に関する当事者の主張(1) ホスター代関係(請求1関係)
ア 請求1候補者すへて又は請求1業者すへてに関する主張
(ア) 地方自治法2条14項,地方財政法4条1項の趣旨の違反の有無 (原告らの主張)請求1候補者か請求1業者との間て締結した契約の代金は,いすれも, 特段の事情もないのに実勢価格民間における相場(200枚程度のホ スターの作成てあれは単価500円~600円)を超える高額なものて あり,より少ない金額て目的を達成てきることからかてあるのに,あ えてそれを大きく超えた条件て契約を行ったものてあって,これを無効 としなけれは地方自治法2条14項,地方財政法4条1項(最少費用最 大効果原則)の趣旨を没却する結果となるから,上記契約は無効てある。したかって,市は,請求1業者に対し,支払金額相当額(たたし,受 注業者5の候補者7に係る部分については,支払後に返還された5万2 723円を引いた金額。)の不当利得返還請求権を有している。(被告の主張) 争う。
原告らの主張する実勢価格相場の金額は根拠か不てある。また,最少費用最大効果原則の名宛人は,地方公共団体てあって,地方公共団 体に請求を行う候補者業者てはない。上記原則を,市とは異なる候補者と業者との間に適用してその効力を 左右することは,契約自由の原則を害することにもなる。したかって, 市か不当利得返還請求権を有する旨の原告らの上記主張は,前提を欠く。(イ) 背任行為の有無 (原告らの主張)
上記(ア)(原告らの主張)のような高額単価て契約をすることは,市 との関係て背任行為に該当する。背任行為の結果市にされた請求は不法 行為に該当し,当該不法行為は請求1候補者と請求1業者の共謀により されたものてあるのて,共同不法行為てある。したかって,市は,請求1候補者及ひ請求1業者に対し,支払金額相 当額(たたし,候補者のうち候補者7及ひ業者のうち受注業者5の候補 者7に係る部分については,上記(ア)の5万2723円を引いた金額。) の共同不法行為に基つく損害賠償請求権を有している。(被告の主張) 争う。
上記(ア)(被告の主張)のとおりてあるし,候補者及ひ業者か他人の 事務を処理する者といえるかは疑問てある。(ウ) 信義則上の義務違反の有無 (原告らの主張)
本件選挙の候補者は,市に対して必要最少限度の費用て選挙運動用ホ スターを作成する信義則上の義務を負っている。そして,上記(ア)(原 告らの主張)のように,市場価格を無視した高額単価て契約を締結する 行為は,上記義務に違反する。したかって,市は,請求1候補者に対し,支払金額相当額(たたし,候補者のうち候補者7については,上記(ア)の5万2723円を引いた金額。)の,上記義務の不履行に基つく損害賠償請求権を有している。
 (被告の主張)争う。
イ 請求1候補者及ひ請求1業者のうち特定の者に関する主張(原告らの上記アの主張との関係ては,予備的主張てある。)
(ア) 請求1候補者のうち候補者23及ひ候補者24並ひに請求1業者の うち受注業者13に関する主張
 (原告らの主張)
納品書等(甲54の2~7)によれは,単価49円・350枚として 契約・納品かされたことになるのに,市には単価1212円・209枚 として申告され,その金額か支払われている。なお,京都府相楽郡a町 議会選挙ては,受注業者13は単価165円てホスターの作成を行って いる。以上によれは,上記申告は,架空の契約に基つくものてあり,受注業 者13か市から支払を受けた金額については,法律上の原因かないし, そのような架空の契約に基つく請求を市に対して行うことは,不法行為 (共同不法行為)に該当する。したかって,市は,受注業者13については支払金額相当額50万6 616円の不当利得返還請求権ないし不法行為に基つく損害賠償請求権 を有しているほか,候補者23及ひ候補者24に対しては,それそれ2 5万3308円の範囲て受注業者13と連帯しての不法行為に基つく損 害賠償請求権を有している。なお,被告は,納品書(甲54の2・5)は室内用ホスターのものて あり,原版作成なとの費用を先行する掲示板用ホスター作成の際に支払 っていたことなとから,金額か安くなった旨主張している。しかし,ホスター等の印刷において最もコストを要するのは,原版の作成費用てあ るにもかかわらす,原版の作成費用を公費負担の対象てある掲示板用ホ スターにのみ転嫁する被告の主張は相当てはない。これを認めてしまう と,本来公費負担の対象てはない室内用ホスターを,実質的に公費て安 価に作成てきることになってしまう。原版の作成費用も,1枚ことの金 額を計算するへきてある。(被告の主張) 争う。
納品書(甲54の2・5)記載のホスターは室内用のものてあり,掲 示板用ホスターの納品書とは異なる。掲示板用の209枚のほかに,室 内用の350枚か追加て別途作成(印刷)されたものてある。そして, 掲示板用の209枚の契約書の作成後に室内用の350枚か追加発注さ れたのて,掲示板用ホスターの代金には写真撮影を含むテサイン,色校 正,原版作業等の諸費用か含まれている一方,室内用ホスターは,掲示 板用ホスターの原版を再版して追刷り的に印刷したため,印刷業界の慣 行として,印刷前の諸費用は一切含まれておらす,印刷のみの費用とな ったものてある。掲示板用ホスターは屋外に掲示することから,耐水性 に優れ破れにくいユホ紙を使用し,裏面を全面シールにしたタック紙と いう用材を使用し,太陽光による色とひを防くため耐光インキを使用し たか,室内用ホスターについては,これらは必要なく,用材はコート紙 を用いて作成された。これらの結果,作成単価に違いか生した。また,a町議会選挙て受注業者13か作成したホスターは,カラーて なく2色刷りてあること,写真は候補者からの支給品を使用したこと, テサインは従来のものを踏襲したためテサイン料かかからなかったこと, 色校正を行わなかったこと,ユホ紙てなく普通紙を使用したことなとか ら,単価か異なっている。以上によれは,原告らの上記主張は失当てある。
(イ) 請求1候補者のうち候補者4及ひ請求1業者のうち受注業者3に関 する主張
(原告らの主張)
単価1954円・230枚の合計44万9420円て契約したと市に 申告し,うち209枚分に当たる40万8386円の支払を受注業者3 は受けているか,残りの21枚分については受注業者3か候補者4に寄 付し,支払を免除されていることからすると,上記申告のような内容て 合意したというのは虚偽てあり,実際には,候補者4と受注業者3は, 230枚を40万8386円(単価1776円)て契約したものといえ る。よって,受注業者3か市に対して本来請求てきる金額は,1776 円に209枚を乗した37万1184円てある。正確な単価計算に基つき請求可能な部分を超過する分の支払による利 得は,法律上の原因を欠くから,市は,支払金額と上記の本来請求てき る金額の差額てある3万7202円について,受注業者3に対する不当 利得返還請求権を有している。また,本来請求てきない部分に関してま て請求を行うことは,詐欺による不法行為(共同不法行為)に当たるか ら,市は,候補者4及ひ受注業者3に対し,同額の共同不法行為に基つ く損害賠償請求権を有している。(被告の主張) 争う。
印刷業界ては,切りのいい枚数て注文するのか通常てあり,汚れ破 損に備えて余剰枚数を無償て付することも慣行とされている。したかっ て,候補者4と受注業者3との間て,230枚のホスターの作成契約を し,代金をホスター209枚の金額相当額とし,残りの21枚をサーヒ スとすることも,契約自由の原則により有効てある。また,原告らの主張は,当初の届出ては単価1954円・230枚の 合計44万9420円とされていたのを,市か割り戻し計算をして,単 価1954円・209枚の合計40万8386円を認めたという経緯を 無視した上,受注業者3の寄付という選挙費用支出後の候補者・業者間 の事情を持ち込む点て失当てある。(ウ) 請求1候補者のうち候補者2及ひ請求1業者のうち受注業者2に関 する主張(原告らの主張)
a 候補者2は,証人Aと同しような経緯て,同し内容の契約を受注業者2と締結している。その内容は,合計250枚を税込3万2813 円(単価131円)とするか,本件公費負担制度の適用を受けられる 場合には,市に対してその上限額の40万8595円を請求すること について双方か協力するというものてある。したかって,本来は,1 31円に209枚を乗した2万7379円しか市に請求することは許 されないのに,候補者2は,単価1955円・209枚の合計40万 8595円て受注業者2と契約を結んたと市に申告し,受注業者2は 同額の支払を受けているか,209枚を40万8595円て作成する 旨の契約書は,そもそも実体を欠くものて無効てある。以上によれは,上記申告は,架空の契約に基つくものてあり,受注 業者2か市から支払を受けた金額については法律上の原因かないし, そのような架空の契約に基つく請求を市に対して行うことは,不法行 為(共同不法行為)に該当する。したかって,市は,支払金額相当額40万8595円について,受 注業者2に対する不当利得返還請求権並ひに候補者2及ひ受注業者2 に対する共同不法行為に基つく損害賠償請求権を有している。b 候補者2及ひ受注業者2の主張は,否認する。
仮に候補者2の主張のとおりてあったとしても,候補者2と受注業 者2は,単価1765円・250枚の合計44万1407円て契約し たものといえるのて,受注業者2か市に対して本来請求てきる金額は, 1765円に209枚を乗した36万8885円てある。正確な単価計算に基つき請求可能な部分を超過する分の支払による 利得は,法律上の原因を欠くから,市は,支払金額と上記の本来請求 てきる金額の差額てある3万9710円について,受注業者2に対す る不当利得返還請求権を有している。また,本来請求てきない部分に 関してまて請求を行うことは,詐欺による不法行為(共同不法行為) に当たるから,市は,候補者2及ひ受注業者2に対し,同額の共同不 法行為に基つく損害賠償請求権を有している。以上のbの主張は,aの主張との関係て,予備的主張てある。
 (被告の主張)いすれも争う。
証人Aか結んた契約と候補者2か結んた契約は,依頼時に同人らか同 行した事実かあるとしても,契約としては別個てあり,また,事後の事 情も同人らては異なり(証人Aは,供託物没収により本件公費負担制度 か適用されなかった。),これを同様に論しる原告らの主張は失当てあ る。なお,原告らは,証人Aと受注業者2との間ては単価131円・25 0枚の合計3万2813円(税込)て契約をしたと主張しているか,証 人Aか市に提出した契約書(乙5)等には単価1955円・209枚の 合計40万8595円てホスターを作成する旨の記載かあること,証 人Aの収支報告書に添付された領収証(乙6の1,2)によれは,証人 AはA3ホスター一式(250枚)等として12万6787円を,ホス ター加工費等として17万7712円を受注業者2に支払っていることになることからすると,証人Aと受注業者2は,市から公費負担しても らえる場合には公費負担の金額てよい旨の合意をして契約書等を作成し, その後本件公費負担制度の適用かなかったため,受注業者2か上記領収 証の金額の受領にととめたというへきてある。(被告補助参加人候補者2の主張) 候補者2と受注業者2との間ては,合計250枚のホスターを,209枚分については公費負担による40万8595円て,残りの41枚を 私費による3万2812円て作成するとの契約を結ひ,候補者2はその 後,3万2812円については受注業者2に対して先払いをした。(被告補助参加人受注業者2の主張) ホスター209枚を40万8595円て作成する旨候補者2と受注業者2との間て合意した契約書は,実体を欠くものても,無効てもない。
 候補者2は,3万2812円を受注業者2に対して先払いした。原告らの上記bの主張については,そのように考えるのてあれは,3 万2812円と見積書(甲58の2)の46万2000円の合計49万 4812円て250枚のホスターを作成したことになり,単価か197 9円となり,これに209枚を乗しると41万3611円となるから, 受注業者2は市に40万8595円を請求てきるのてあり,返還の必要 はない。(エ) 請求1候補者のうち候補者1及ひ請求1業者のうち受注業者1に関 する主張(原告らの主張) 実際は,244枚のホスターを,単価1914円,合計46万7220円て作成した(内訳は室外用ホスター209枚を40万8595円, 室内用ホスター35枚を5万8625円。甲60の2)にもかかわらす, 市に対しては,単価1955円て合計300枚を作成したと申告し,受注業者1は,うち209枚分の40万8595円の支払を受けている。 本来,受注業者1か市に対して請求てきる金額は,上記の1914円に 209枚を乗した40万0026円てある。正確な単価計算に基つき請求可能な部分を超過する分の支払による利 得は,法律上の原因を欠くから,市は,支払金額と上記の本来請求てき る金額の差額てある8569円について,受注業者1に対する不当利得 返還請求権を有している。また,本来請求てきない部分に関してまて請 求を行うことは,詐欺による不法行為(共同不法行為)に当たるから, 市は,候補者1及ひ受注業者1に対し,同額の共同不法行為に基つく損 害賠償請求権を有している。(被告の主張) 争う。
室内用ホスターと室外用ホスターは仕様か異なるものてあり,受注業 者1は,室外用ホスター209枚について市に費用を請求したのてあっ て,市に提出した契約書て300枚となっているのは,事務整理の手違 いによるものてある。したかって,このような異なるホスターをわさわ さ合算し,単価を計算し直し,209枚を乗した金額のみを請求し得る 金額と理解することは,相当てない。(オ) 請求1候補者のうち候補者8及ひ請求1業者のうち受注業者6に関 する主張(原告らの主張) 見積書(甲61の2)等によれは,実際は,250枚のホスターか,単価550円て発注・納品されたことになるにもかかわらす,市に対し ては,単価1900円て250枚を作成したと申告され,うち209枚 分の39万7100円の支払を受注業者6は受けているか,受注業者6 か市に対して本来請求てきる金額は,550円に209枚を乗した11万4950円てある。
 正確な単価計算に基つき請求可能な部分を超過する分の支払による利得は,法律上の原因を欠くから,市は,支払金額と上記の本来請求てき る金額の差額てある28万2150円について,受注業者6に対する不 当利得返還請求権を有している。また,本来請求てきない部分に関して まて請求を行うことは,詐欺による不法行為(共同不法行為)に当たる から,市は,候補者8及ひ受注業者6に対し,同額の共同不法行為に基 つく損害賠償請求権を有している。(被告の主張) 争う。
上記見積書は正式に依頼を受ける前の仮見積りてあり,最終的に定 された価格てはない。候補者8と受注業者6との話し合いの末,最終的 に価格は単価1900円として契約かされた。(2) 運転手報酬関係 (原告らの主張)
請求2候補者か届け出た運転手は,実際に運転をしていないにもかかわら す報酬請求をしている。したかって,市は,請求2候補者及ひ請求2運転手 に対し,それそれ支払金額相当額の共同不法行為に基つく損害賠償請求権を 有している。特に,請求2運転手のうち運転手19(請求2候補者のうち候 補者16の関係。)は,実際のところ選挙運動用自動車の運転をしていない にもかかわらす,7日分の運転手報酬を得ている。被告か主張するような,運転手のうち1人か代表として報酬を受け取り, その後分配をすることは,本件条例の規定によれは,制度上予定されていな い。(被告の主張) 争う。
仮に複数の運転手に依頼をしていたとしても,そもそも選挙運動用自動車 の運転は一定期間にわたるものて,各日の担当をとうするのか,無償か有償 かは,候補者と依頼された者との間て協議すへき事項てあり,また,運転手 か複数いる場合には,1人か代表者として費用を請求して受領し,その運転 手か中心となって協議をし,実際に運転をした時間等に応してこれを分配す ることは,制度上当然に予定されているというへきてある。また,運転手19は全く運転をしていなかったわけてはないし,候補者1 6は,告示日兼立候補届出日の時点において,運転手の代表者として運転手 19を届け出たものてあり,運転手19も公費負担受給の代表者として請求 しているというへきてある。(3) 賃借料関係
ア 請求3候補者のうち候補者4,候補者12,候補者22,候補者23,候補者26,候補者27,候補者28,候補者32,候補者33及ひ候補者35並ひに請求3賃貸人のうち賃貸人3に関する主張 (原告らの主張)上記各候補者らと賃貸人3との間ては,賃貸人3か近畿運輸局京都運輸 支局に提出している貸渡料金表に定められた料金を超過(1.6倍以上) する契約か締結されている。当該超過については,料金についての特約に該当すると解されるか,賃 貸人3か近畿運輸局京都運輸支局に提出している貸渡約款1条2項によれ は,特約は約款及ひ細則の趣旨,法令及ひ一般の慣習に反しない範囲て認 められるところ,選挙費用を市に負担させることかてきるからといって通 常の貸渡料金の1.6倍以上の料金を徴収するのは,地方財政法4条1項, 地方自治法2条1項に反しており,市か負担する場合には通常の貸渡料金 より高額てよいとする慣習もない。したかって,上記契約は,上記貸渡約 款に違反する特約かされているものてある。自家用自動車の貸渡事業を営む賃貸人3か,自らか定め,所轄の陸運局 に届け出た約款料金表に違反した内容の契約を締結することはてきない ことは自てあるから,上記契約のうち,上記貸渡約款に反する部分,す なわち,上記貸渡料金表に定められた通常料金を超過する部分は,無効て ある。なお,道路運送法80条及ひ同法施行規則52条か,自家用自動車の貸 渡事業の許可申請に当たり,貸渡料金及ひ貸渡約款の添付を要求している のは,事業の公共性から,契約内容に制限を加える趣旨てあると解される。以上によれは,市は,賃貸人3に対し,上記超過分に相当する支払金額 の合計額てある60万9525円の不当利得返還請求権を有している。(被告の主張) 争う。
道路運送法に違反する事実かあったとしても,そのような行政法規違反 か候補者と業者との間の私法上の契約の効力を左右するものてはない。(被告補助参加人賃貸人3の主張) 選挙運動用に自動車を貸渡す場合には,通常と異なる使用目的,使用態様等の事情かあるから,通常の貸渡料金と異なる料金を個別に定めるのも 合理的てあり,契約自由の原則からも当然に認められる。貸渡約款におい ても,こうした場合に個別に料金を定めることは当然想定している。また, 賃貸人3か契約しているのは各候補者個人てあって,地方公共団体と直接 契約しているわけてはないから,地方自治法地方財政法の規定は直接に 契約の有効性を規律するものてはない。イ 請求3候補者のうち候補者6,候補者8,候補者15,候補者16,候 補者24及ひ候補者25並ひに請求3賃貸人のうち賃貸人5に関する主張(原告らの主張) 賃貸人5か近畿運輸局京都運輸支局に提出している貸渡料金表に定められた選挙運動用自動車の料金は,通常料金に比して2~3倍程度高額とさ れているところ,当該料金設定は通常料金との関係ては特約に該当する。
 賃貸人5か近畿運輸局京都運輸支局に提出しているレンタカー貸渡約款1 条2項によれは,特約は約款の趣旨,法令及ひ一般の慣習に反しない範囲 て認められるか,上記のような高額な料金設定の合理的根拠はなく,これ は地方財政法4条1項,地方自治法2条1項,一般の慣習に反する。したかって,上記各候補者らと賃貸人5との間ては,上記貸渡約款に違 反する特約かされているものてあり,よって,上記アと同様に,上記貸渡 料金表の通常料金を超過する部分については,契約は無効てある。したかって,市は,賃貸人5に対し,上記超過分に相当する支払金額の 合計額てある31万4160円の不当利得返還請求権を有している。(被告の主張) 争う。
ウ 請求3候補者のうち候補者1,候補者2,候補者5,候補者9及ひ候補 者34並ひに請求3賃貸人のうち賃貸人1,賃貸人2,賃貸人4,賃貸人 6及ひ賃貸人13に関する主張(原告らの主張) 上記各賃貸人らは,道路運送法80条1項に基つく自家用自動車有償貸渡しに係る許可を受けていない。市は,法令に違反してその事務を処理し てはならす(地方自治法2条16項),本件条例においても,適法な許可 を受けた業者との契約に係る自動車の賃借料の支払か前提とされているの てあって,無許可業者との間て選挙運動用自動車の賃借をした候補者にそ の賃借料を支払うことは全く想定されていない。候補者も,市との関係て, 法令に違反する業者から選挙運動用自動車を賃借してはならない信義則上 の義務を負担している。したかって,上記のような無許可業者と契約を結 ひ賃借料の支払を受ける行為は詐欺に当たる。よって,市は,上記各候補者ら及ひ上記各賃貸人らに対し,支払金額相 当額の共同不法行為に基つく損害賠償請求権を有している。(被告の主張) 争う。
地方自治法2条16項は,法治行政なとの運営に関し,関係法規を遵守 すへきとの当然の趣旨を定めたものにすきす,賃借料についての請求かさ れた際に賃貸業者か道路運送法80条1項の許可を受けているか否かは, 地方自治法2条16項とは次元の異なる議論というへきてある。また,賃借料を請求された市としては,架空請求てあれは格別,賃借料 の発生に疑いのない事案について,費用の支払を拒絶することはてきない 以上,不法行為に基つく損害賠償請求権は発生しない。エ 請求3候補者のうち候補者10,候補者13,候補者17,候補者20 及ひ候補者21並ひに請求3賃貸人のうち賃貸人7,賃貸人8,賃貸人9, 賃貸人11及ひ賃貸人12に関する主張(原告らの主張) 上記各候補者らは,平成19年4月9日又は10日から同月21日まて,上記各賃貸人らから選挙運動用自動車を賃借しており,実質的,経済的に は,支払対象期間てある同月15日~21日の7日分の賃借料として市か ら支払われる額て,それ以上の賃借期間を賄っていたことになる。したか って,市から支払を受けた賃借料を実際の賃借した日数て除した金額7日 分と支払金額の差額については,上記各賃貸人の利得に法律上の原因かな い。よって,市は,上記各賃貸人らに対し,上記の差額(個々の金額は別表 3の「請求金額」欄記載のとおり。)の不当利得返還請求権を有している。(被告の主張) 争う。
候補者と個人の賃貸人との間て,道路交通法上の制限外積載許可を受け るために,選挙期間前に貸借する期間を無償にした上,選挙運動期間を有 料にするとの合意も想定し得る。(被告補助参加人候補者20の主張) 請求3候補者のうち候補者20については,賃貸人てある賃貸人11は,選挙時に使う際は有料,それ以外は無料て候補者20に自動車を貸していた。
第3 当裁判所の判断
1 争点(1)(ホスター代関係)について
(1) 地方自治法2条14項,地方財政法4条1項の趣旨の違反の有無(争点(1)ア(ア))について 原告らは,請求1候補者と請求1業者との間の契約代金か,実勢価格民間における相場を超える高額なものてある旨主張している。
 そこて検討すると,一般に,ホスターの作成費用・価格は,使用される材 料の質,色の種類・構成等の仕様,テサインの内容,作成枚数,納期等によ って異なってくるものと考えられ,また,選挙運動用ホスターは,候補者か 有権者に対して自己の氏名人物像を訴えるための重要な媒体てあり,その 点から上記の仕様,テサイン等の面において通常とは異なる配慮か必要とな ってくるものと考えられるところ,原告らの主張するような金額(単価50 0円~600円)てホスター自体を作成することは不可能てはないと考えら れるけれとも,その場合にとの程度の質のものか作成てきるのかは証拠上 らかてはなく,その関係て,上記のような特質のある選挙運動用ホスターを, 必す原告らの主張するような上記の金額の範囲内て作成てきるような質のも のにしなけれはならないかとうかについても,本件の証拠からは全くらか てはない。以上に加えて,本件においては,請求1業者によって作成された 選挙運動用ホスターか,選挙運動用ホスターについて許容される質を大きく超え,請求1候補者と請求1業者との間のホスターの作成契約を無効としな けれは,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項の趣旨を没却するとい い得るような状況に至っていると認めるに足りる証拠はない。したかって,原告らの主張するような事情を根拠として,請求1候補者と 請求1業者との間の選挙運動用ホスターの作成契約か無効になるとは認めら れない。よって,この点を理由に,市か,請求1業者に対し,不当利得返還 請求権を有しているともいえない。(2) 背任行為の有無(争点(1)ア(イ))について 上記(1)の検討結果に加えて,本件ては,その他に,請求1候補者と請求1業者との間の選挙運動用ホスターの作成契約の代金か,必要以上に高額てあ ると認めるに足りる証拠はない。したかって,請求1候補者か他人の事務を処理する者といえるか否かにか かわらす,原告らの主張するような背任行為かあったとは認められない。よ って,この点を理由に,市か,請求1候補者及ひ請求1業者に対し,共同不 法行為に基つく損害賠償請求権を有しているともいえない。(3) 信義則上の義務違反の有無(争点(1)ア(ウ))について 上記(1)の検討結果に照らせは,仮に請求1候補者か,原告らの主張するような信義則上の義務を一般的に負っているとしても,これに違反したとは認 められない。したかって,原告らの主張するような事情を根拠として,市か,請求1候 補者に対し,信義則上の義務の債務不履行に基つく損害賠償請求権を有して いるとはいえない。(4) 候補者23,候補者24及ひ受注業者13の関係(争点(1)イ(ア))につ いてア 原告らは,単価49円・350枚として契約したのに,市には単価12 12円・209枚て契約したと申告され,その金額か支払われているから,市への申告は架空の契約に基つくものてあると主張している。これに対し, 被告及ひ受注業者13は,掲示板用の209枚のほかに,室内用の350 枚を追加て別途作成したものてある旨主張している。イ この点に関し,証拠を検討すると,納品書(甲54の2・5)によれは, 受注業者13は,平成19年4月2日,候補者23及ひ候補者24それそ れに対し,単価49円の選挙運動用ホスター350枚(合計金額1万71 50円)を納品していることか認められ,他方,木津川市に対しては,候 補者23の関係につき,平成19年3月23日付けの,数量209枚・契 約金額25万3308円・納入期限同月30日と記載のある選挙運動用ホ スター作成契約書(甲33の3)か,候補者24の関係につき,平成19 年3月19日付けの,数量209枚・契約金額25万3308円・納入期 限同年4月5日と記載のある選挙運動用ホスター作成契約書(甲34の3) か,それそれ提出されていることか認められる。以上の事実,特に,納品日各契約書に記載された日付等の事実に照ら して考えると,少なくとも,上記の被告及ひ受注業者13の主張のとおり の事実かなかったとか,原告らの主張するように,市への申告か架空の契 約に基つくものてあったとまてはいえない。ウ なお,原告らは,a町議会選挙の際に受注業者13か作成したホスター の代金と上記の申告された代金とに差かあることを,契約か架空てあった ことの根拠として主張しているか,a町議会選挙の際に受注業者13か作 成したホスターの仕様等は証拠上らかてはなく,したかって,代金の額 を単純に比較しても,それを根拠に,契約か架空てあるとまてはいえない。また,被告及ひ受注業者13の主張するとおりの契約かされていたとす ると,掲示板用ホスターの単価(1212円)と室内用ホスターの単価(4 9円)は大きく異なることになるところ,この点につき,被告及ひ受注業 者13は,室内用ホスターは掲示板用ホスターより後に作成したため,印刷業界の慣行として,原版作成費用等の印刷前の諸費用は含まれす,印刷 のみの費用となったこと,掲示板用ホスターは屋外に掲示するため,雨 太陽光に対応するなとのため,紙質・材料インキ等につき室内用ホスタ ーより高額なものか使われていることなとかその理由てある旨説してい る。これに対して,原告らは,本来公費負担の対象てはない室内用ホスタ ーを,実質的に公費て安価に作成てきることになってしまうから,印刷に おいて最もコストを要する原版作成費用等は,掲示板用と室内用の数を合 計した上,1枚ことの金額を計算するへきてあると主張している。この点 については,既に原版作成費用等か計上されていた場合に,後に発注され た分について原版作成費用等を含めすに単価を設定することは,契約当事 者の行為として合理的てあり,本件ては,掲示板用ホスターの発注時に既 に室内用ホスターの発注か予定されていたことを認めるに足りる証拠はな い。また,上記の被告及ひ受注業者13の主張するような理由て,掲示板 用のホスターの方か,材料等について高額のものか用いられるというのも, 合理的てある。以上によれは,本件において,原告らの主張するように, 原版作成費用等を1枚ことの金額に引き直して請求しなけれは不法行為に なるとか,契約か原版作成費用を考慮した額との差額部分について無効に なるということはてきない。エ したかって,原告らの主張するような理由によって,市か,受注業者1 3に対する不当利得返還請求権,受注業者13,候補者23及ひ候補者 24に対する不法行為に基つく損害賠償請求権を有しているとはいえない。(5) 候補者4及ひ受注業者3の関係(争点(1)イ(イ))についてア 原告らは,公費負担の認められなかった枚数分について受注業者3か支 払を免除したことから,実際にはホスターの単価か1954円より低かった旨主張している。
イ この点に関し,前記第2の1の前提事実並ひに証拠(甲14の2~6,甲57の2・6)及ひ弁論の全趣旨によれは,候補者4と受注業者3は, 単価1954円・230枚の合計44万9420円て契約し,市には,そ のうち請求可能な209枚について,単価1954円・209枚の合計4 0万8386円(ほほ公費負担の上限額)を請求し,同額か市から支払わ れ,公費負担のなかった21枚分については,受注業者3の取締役か個人 として寄付をしたため,受注業者3は候補者4に対し代金の支払を請求し ていないことか認められる。ここて,印刷業者か納入したものに汚れ破損かあった場合に備えて余 剰分を納入することは合理的といえるものの,上記の事実関係からすると, 受注業者3は,元来同一の製品につき,公費負担のある部分を有償とし, 公費負担のない部分を無償としているのてあって,有償分の単価に無償分 の費用を上乗せしていることになるといわさるを得す,単価の定め方か不 合理てあるというほかない。そうすると,候補者4と受注業者3とは,結局のところ,230枚を4 0万8386円て契約したということになり,その単価は1776円とな る。ウ したかって,原告らの主張するように,受注業者3か市に対して本来請 求てきる金額は,1776円に209枚を乗した37万1184円てあり, 支払金額との差額3万7202円について,市は,受注業者3に対する不 当利得返還請求権を有し,また,候補者4及ひ受注業者3に対し,同額の 共同不法行為に基つく損害賠償請求権を有することになる。(6) 候補者2及ひ受注業者2の関係(争点(1)イ(ウ))について ア 原告らの主張aについて(ア) 原告らは,候補者2は証人Aと同し内容の契約を受注業者2と締結 しており,したかって,候補者2及ひ受注業者2の市に対する申告は 架空の契約に基つくものてある旨主張している。(イ) 証人Aと受注業者2との間の契約内容について この点に関し,証拠を検討すると,証人Aに対し受注業者2か発行した領収証(乙6の2)には,その内訳欄に,「A3ホスター一式(25 0枚)」という記載かあり,この領収証と総金額か一致する納品書(甲 4の2)及ひ請求書(甲4の3)には,いすれも,A3ホスターの版下 テータ制作費か一式て1万5000円,A3ホスターの印刷代か単価6 5円・250枚の合計1万6250円てある旨の記載かある。また,証 人Aに対し受注業者2か発行したこれらとは別の領収証(乙6の1)に は,その内訳欄に,「ホスター加工費」という記載かあり,この領収証 と総金額の一致する納品書(甲4の5)及ひ請求書(甲4の6)には, いすれも,ホスター用両面テーフか数量1て1万8000円,ホスター 用両面テーフ作業代か数量250て単価20円の合計5000円という 記載かある。他方て,市に対し,証人A及ひ受注業者2は,平成19年 3月16日に単価1955円・209枚の合計40万8595円て契約 した旨申告し(乙4),その旨の内容の契約書(乙5)も提出されてい ることか認められる。以上について,受注業者2の代表者は,上記の1万5000円と1万 6250円の合計に消費税を加えた金額については,代金の一部を前払 いしてもらったものてある旨説し,また,契約全体については,25 0枚を代金約60万円ということて証人Aと合意した旨述へている(証 人B)。他方,証人Aは,公費負担制度の適用を受けられた場合,ホス ター代は公費負担の金額てよいか,適用を受けられなかった場合には, 上記の1万5000円と1万6250円の合計に消費税を加えた金額と いうことて受注業者2と合意した旨述へている(陳述書・甲59,証人 A。なお,陳述書ては,両面テーフに関する上記の1万8000円と5 000円(及ひこれらに対する消費税)についても,適用を受けられなかった場合に払うへき金額に含まれるものてあったという趣旨の供述を している。)。また,この点に関連して,証拠(甲4の1~6,59, 乙6の1・2,証人A,証人B)によれは,証人Aは,結局,本件公費 負担制度の適用を受けられなかったこと,受注業者2は,証人Aに対し, 上記の1万5000円と1万6250円の合計に消費税を加えた金額と, 両面テーフに関する1万8000円と5000円の合計に消費税を加え た金額以外に,その後ホスターに関する費用を請求していないことか認 められる。以上の事実からすると,証人Aと受注業者2との間の契約内容は,本 件公費負担制度の適用を受けられる場合には合計40万8595円をホ スターの代金として支払うという内容てあった可能性かあるといえる。
 これは,原告らか主張するように,合計250枚を税込3万2813円 (単価131円)て契約したものてあり,40万8595円については, 実質的には,ホスター代としての合意てはなく,本件公費負担制度の適 用を受けられる場合に市に対して公費負担の上限額を請求するよう双方 か協力するというものてあったとみることも不可能てはないか,直ちに そのようなものてあったといえるとも限らない。(ウ) 候補者2と受注業者2との間の契約内容について 仮に,原告らの主張するように,証人Aと受注業者2との間の契約内容と候補者2と受注業者2との間の契約内容か同一てあったとしても, 上記(イ)の検討結果に加え,前記第2の1の前提事実並ひに証拠(丙E 1)及ひ弁論の全趣旨によれは,候補者2は本件公費負担制度の適用を 受けていること,受注業者2は,候補者2との契約に関して,3万28 12円を候補者2から,40万8595円を市からそれそれ受領してい る事実か認められることからすると,証人Aと受注業者2との間の契約 内容も,候補者2と受注業者2との間の契約内容も,ホスターの代金は,13万2812円に2本件公費負担制度の適用を受けられる場合には4 0万8595円を加えるというものてあった可能性かあり,これを,4 0万8595円については,ホスター代としての合意てはなく,本件公 費負担制度の適用を受けられる場合に市に対して公費負担の上限額を請 求するよう双方か協力するというものてあったとまていえるとも限らす, 結局,候補者2と受注業者2との間の契約内容か,原告らの主張するよ うなもの(250枚を税込3万2813円(単価131円))てあった とまては認めることかてきない。(エ) まとめ 以上によれは,候補者2と受注業者2との間の契約か実体を欠くものて無効てあるとか,候補者2及ひ受注業者2の市に対する申告か架空の 契約に基つくものてあるとまてはいえない。よって,このような点から, 市か,受注業者2に対する不当利得返還請求権,受注業者2及ひ候補 者2に対する共同不法行為に基つく損害賠償請求権を有しているとはい えない。イ 原告らの主張bについて
(ア) 上記アを被告に有利に解すると,候補者2と受注業者2か,合計250枚のホスターを,209枚分については公費負担による40万85 95円て,残りの41枚を私費による3万2812円て作成するとの契 約を結んたことになり,これは,原告らと候補者2とか主張するところ てある。ここて,公費負担のある部分の単価は1955円て,公費負担 のない部分の単価は800円となるところ,元来同一の製品につき,公 費負担のある部分と,公費負担のない部分とて,単価に差かあるのは不 合理てあり,公費負担のある部分の単価に公費負担のない部分の単価を 上乗せしていることになるといわさるを得す,単価の定め方か不合理て あるというほかない。そうすると,結局のところ,250枚のホスターを40万8595円と3万2812円の合計44万1407円て契約したことになり,その単価は1765円となる。
(イ) この点につき,受注業者2は,250枚を3万2812円と46万2000円(見積書・甲58の2の金額。)の合計49万4812円て 合意した旨主張するか,そもそも46万2000円は見積りにすきない し,公費負担による40万8595円と上記の3万2812円以外に, 候補者2か受注業者2に対し,ホスターそのものの代金として金員を支 払ったことをうかかわせる証拠はないのてあって,失当というほかない。むしろ,候補者2及ひ受注業者2は,市に対し,平成19年3月16 日に209枚を代金合計40万8595円(単価1955円)て契約し た旨申告し(甲12の2),その旨の契約書(甲12の3)を提出して いることなとに照らせは,候補者2と受注業者2との間の契約の内容は, 上記(ア)のように解するのか合理的てある。(ウ) したかって,原告らの主張するように,受注業者2か市に対して本 来請求てきる金額は,1765円に209枚を乗した36万8885円 てあり,支払金額との差額3万9710円について,市は,受注業者2 に対する不当利得返還請求権を有し,また,候補者2及ひ受注業者2に 対し,同額の共同不法行為に基つく損害賠償請求権を有することになる。(7) 候補者1及ひ受注業者1の関係(争点(1)イ(エ))についてア 原告らは,受注業者1の作成したメモ(甲60の2)に,ホスター20 9枚につき40万8595円,室内用ホスター35枚につき5万8625 円という旨の記載かあることから,これらを合計してホスターの単価を計 算し,それか1914円になることから,候補者1受注業者1か市に申告した単価1955円か虚偽のものてあった旨主張している。
イ しかし,上記(4)て検討したとおり,室外用のホスターと室内用のホスタ ーては単価か異なることも合理的といえる場合か十分にあり得るから,必すしも上記のメモに記載されたホスターの数量をすへて合計した上て単価 を計算しなけれはならないとはいえないし,室外用と室内用のホスターそ れそれを別個に計算することか不当てあるとも必すしもいえない。以上によれは,上記メモの記載から,候補者1及ひ受注業者1か,単価 1955円として市に申告したことか虚偽てあったとは認められない。ウ したかって,原告らの主張するような理由によって,市か,受注業者1 に対する不当利得返還請求権,候補者1及ひ受注業者1に対する不法行 為に基つく損害賠償請求権を有しているとはいえない。(8) 候補者8及ひ受注業者6の関係(争点(1)イ(オ))についてア 原告らは,候補者8に対し受注業者6か発行した見積書(甲61の2) を根拠に,実際は,250枚のホスターか単価550円て発注・納品され たにもかかわらす,市にはこれと異なる申告かされており,本来は上記単価に基ついた計算かされるへきてある旨主張している。
イ この点に関し,証拠を検討すると,市に提出された契約書等の書類(甲 18の2,3)においては,単価1900円・250枚の合計47万50 00円とされていること,弁論の全趣旨によれは,上記見積書は仮見積書 てあり,その後候補者8と受注業者6との話し合いの末,最終的な価格か上記の市に提出された契約書等の書類のとおりとなったことかうかかわれ, これに反する証拠もないことから,候補者8と受注業者6との契約におい て,ホスターの単価か550円てあったとは必すしもいえない。ウ したかって,原告らの主張するような理由によって,市か,受注業者6 に対する不当利得返還請求権,候補者8及ひ受注業者6に対する不法行 為に基つく損害賠償請求権を有しているとはいえない。2 争点(2)(運転手報酬関係)について
(1) 請求2候補者のうち候補者16以外の候補者らの関係
原告らは,請求2候補者か届け出た運転手は実際に運転をしていないにもかかわらす,報酬請求かされているから,市は,共同不法行為に基つく損害 賠償請求権を有している旨主張している。しかし,請求2候補者のうち候補者16以外の候補者らについての請求2 運転手か,選挙期間中に実際に選挙運動用自動車を運転しなかったことを認 めるに足りる証拠はない。よって,原告らの主張するように,市か,これら候補者ら運転手らに対 し,共同不法行為に基つく損害賠償請求権を有しているとはいえない。(2) 請求2候補者のうち候補者16の関係
ア 原告らは,候補者16の届け出た運転手てある運転手19は,実際のところ選挙運動用自動車の運転をしていないにもかかわらす,7日分の運転手報酬を得ている旨主張している。
イ この点,運転手19は,陳述書(丙C1,4)において,候補者16の選挙運動用自動車の運転をした旨述へており,他方,原告Cは,運転手1 9は選挙期間中運転をすることかなかった(陳述書・甲63),あるいは, 自分か候補者16を手伝いに行った日に運転手19か運転をしていた記憶 かないなとと述へている(原告C本人)。しかし,Cは,陳述書ては,選 挙運動用自動車の運転をしていたのは合計4人しかいなかった旨述へなか ら,本人尋問においては六,七人いたと訂正したり,陳述書ては,運転手 19は全く運転していなかったという趣旨の供述をしなから,本人尋問て は,記憶かないという表現をするにととまった上,自分か手伝いに行った 日以外は運転手19か運転していたか否かは関知していないのてわからな い旨供述するなと,運転手19の運転状況に関する重要な事実について供 述か変遷していること等からすると,Cの供述を採用し,その内容とおり の事実を認めることはてきないといわさるを得ない。ウ 他方,運転手19は,陳述書(丙C4)において,選挙期間のうち,平 成19年4月15~18,20及ひ21日に運転をした旨述へており,同月19日に運転をしたとは述へていない。
 したかって,少なくとも,同月19日に運転手19か候補者16の選挙運動用自動車を運転していなかった事実は,これを認めることかてきる。 エ そして,本件公費負担制度における運転手報酬の支払については,本件 条例4条(2)は,「運転手(同一の日に2人以上の選挙運動用自動車の運転 手か雇用される場合には,候補者か指定するいすれか1人の運転手に限 る。)のそれそれにつき,選挙運動用自動車の運転業務に従事した各日に ついてその勤務に対し」報酬を支払う旨定めており,この条文の文言から すれは,運転手報酬の支払を受け得るのは,選挙期間の各日について,そ の日に実際に運転をした者のみてあり,しかもそれか複数の場合は,うち 1名のみてあると解するほかなく,被告の主張するように,選挙期間全体 を担当した運転手か複数いる場合に,そのうちの1人か代表者として費用 のすへてを請求して受領し,その後協議をしてこれを他の運転手に分配す ることか制度上予定されていると解するのは,困難てあるといわさるを得ない。 したかって,運転手19か市から支払を受けた運転手報酬(合計8万7500円)のうち,運転手19か運転をしていなかった同月19日の分(1 万2500円)については,本来は,市から支払を受け得ないものてあっ たのに,候補者16及ひ運転手19は,これを請求していたものというほ かない。オ よって,市は,候補者16及ひ運転手19に対し,1万2500円の共 同不法行為に基つく損害賠償請求権を有している。3 争点(3)(賃借料関係)について
(1) 賃貸人3の関係(争点(3)ア)について
ア 原告らは,選挙運動用自動車を賃貸人3の貸渡料金表を超過する金額て 貸し渡すのは特約てあるところ,賃貸人3は,貸渡約款て,約款及ひ細則の趣旨,法令及ひ一般の慣習に反しない範囲てしか特約を認めておらす, 通常料金を超過して本件のような料金を徴収するのは,地方財政法4条1 項,地方自治法2条1項という法令に反するなとしているから,上記特約 は貸渡約款に反し,そして,賃貸人3は,貸渡約款に違反した内容の契約 を締結することはてきないから,賃貸人3と候補者との間の契約のうち, 貸渡約款に反する部分,すなわち,貸渡料金表に定められた通常料金を超 過する部分は無効てある旨主張している。イ そこて検討すると,ます,道路運送法80条2項は,国土交通大臣は, 自家用自動車の貸渡しの態様か自動車運送事業の経営に類似していると認 める場合を除くほか,同条1項の許可をしなけれはならないと定めている ことからすれは,同条1項は,上記の同法の目的を達成するため,自家用 自動車の業としての有償ての貸渡しか,同法にいう自動車運送事業に対す る同法の規制を潜脱するものとなることを防止する趣旨て定められたもの と解される。原告らは,この点につき,道路運送法80条及ひ同法施行規 則52条により貸渡料金及ひ貸渡約款の添付か要求されているのは,事業 の公共性から,契約内容に制限を加える趣旨てある旨主張するか,上記に 照らし,採用てきない。また,同法には,同条1項に違反して締結された契約の効力を否定する 旨の規定は存在しないし,同法施行規則にも,同規則52条の求める貸渡 料金及ひ貸渡約款に違反して締結された契約の効力を否定する旨の規定は 存在しない。以上のような,同法80条1項及ひその申請方式について規定する同法 施行規則52条の趣旨等によれは,同条により要求される貸渡約款に反す る契約か締結されたとしても,その契約は,その違反を理由に,必すしも 私法上無効になるわけてはないと解される。ウ また,選挙運動用自動車の賃貸について,通常の場合よりも高額の料金設定かされること自体については,一般に,選挙運動用自動車は,連続し た長時間,しかも連日使用されること,看板等を積載・設置して使用され ること,接触等により損傷か発生することも予想されすいことなとの事 情かあると認められるから,これらを理由として,通常の貸渡料金より高 額の料金設定か行われたとしても,直ちに不合理てあるとはいえない。そ して,本件において,賃貸人3は,いすれの候補者に対しても,日額1万 5300円て選挙運動用自動車を賃貸したのてあるか(甲10の3,14 の12・13,22の10・11,32の10・11,33の8・9,3 6の14・15,37の10・11,38の8・9,42の10・11, 43の8・9),この日額は,賃貸人3か近畿運輸局京都運輸支局に届け 出ている料金表(平成20年10月1日時点のもの。甲53)の2日目以 降の日額と比較すると,約2.2倍~3.2倍となっていることかうかか われるところ,上記の諸事情にも照らせは,上記の日額は,必すしもその 金額設定か不合理てあるという程度にまて達しているとはいえす,原告ら の指摘するような,地方財政法4条1項,地方自治法2条1項といった法 令に違反するとか,一般の慣習に反するとまてはいえない。したかって,本件選挙につき賃貸人3か候補者らと締結した賃貸借契約 における貸渡料金か通常より高額てあることを理由に,その契約の一部か, 私法上無効になるということはてきない。エ 以上によれは,原告らの主張するような理由により,市か,賃貸人3に 対して不当利得返還請求権を有しているとはいえない。オ なお,原告らは,賃貸人3から選挙運動用自動車を賃借した候補者らに 対して,賃貸人3に請求すへきとする額と同額の請求をするよう被告に求 めているか(請求3の一部),この部分については,そのような請求のて きる根拠,すなわち,市かこれら候補者らに対して法律上有する請求権の 内容,その請求原因に当たる事実の主張かされていないから,当該請求部分には理由かないというほかない。
 (2) 賃貸人5の関係(争点(3)イ)についてア 原告らは,賃貸人5か届け出ている貸渡料金表に定められた選挙運動用 自動車の貸渡料金は,通常料金に比して高額とされているか,この料金設 定に合理的な根拠はなく,地方財政法4条1項,地方自治法2条1項等に 反しているところ,賃貸人5は,貸渡約款て,特約は約款の趣旨,法令及 ひ一般の慣習に反しない範囲て認められるとしているか,上記の選挙運動 用自動車用の貸渡料金は特約に当たるから,上記の法令違反かある以上, この特約は貸渡約款に反しているのて,賃貸人5と候補者らとの間の契約 のうち,上記貸渡約款に反する部分,すなわち,通常料金を超過する部分 については無効てある旨主張している。イ そこて検討すると,ます,上記(1)イのとおり,貸渡約款に反する契約か 締結されたとしても,その契約は,そのことを理由に,必すしも私法上無 効になるわけてはないと解される。ウ また,上記(1)ウのように,選挙運動用自動車の賃貸については,通常の 場合よりも高額の料金設定かされても,直ちに不合理てあるとはいえない ところ,賃貸人5は,いすれの候補者に対しても,日額1万5300円て 選挙運動用自動車を賃貸したのてあるか(甲16の12・13,18の1 0・11,25の10・11,26の10・11,34の8・9,35の 8・9),この額は,賃貸人5か近畿運輸局京都運輸支局に届け出ている 料金表(法人用・代車用・選挙用てないものて,平成20年9月16日時 点のもの。甲50)の2日目以降の日額と比較すると,約1.5倍~2. 9倍となっていることかうかかわれるところ,上記(1)ウて指摘したような 諸事情に照らせは,必すしもその金額設定か不合理てあるという程度にま て達しているとはいえす,法令一般の慣習に違反しているともいえない。よって,本件選挙につき賃貸人5か候補者らと締結した賃貸借契約における貸渡料金か通常より高額てあることを理由に,その契約の一部か,私法上無効になるということもてきない。
エ 以上によれは,原告らの主張するような理由により,市か,賃貸人5に対して不当利得返還請求権を有しているとはいえない。
オ なお,原告らは,賃貸人5から選挙運動用自動車を賃借した候補者らに 対して,賃貸人5に請求すへきとする額と同額の請求をするよう被告に求 めているか(請求3の一部),賃貸人3の関係と同様,この請求部分につ いては,請求原因に当たる事実の主張かされておらす,理由かないというほかない。
(3) 賃貸人1,賃貸人2,賃貸人4,賃貸人6及ひ賃貸人13(以下「(3)の賃貸人ら」という。)の関係(争点(3)ウ)について
ア 原告らは,(3)の賃貸人らは道路運送法80条1項の許可を受けていないところ,市は法令に違反してその事務を処理してはならす,本件条例にお いても,適法な許可を受けた業者との契約に係る支払か前提とされており, 許可を受けていない業者から選挙運動用自動車の賃借をした候補者にその 賃借料を支払うことは想定されておらす,候補者も,市との関係て,法令 に違反する業者から選挙運動用自動車を賃借してはならない信義則上の義 務を負担しているから,許可を受けていない業者と契約を結ひ賃借料の支 払を受ける行為は詐欺に当たる旨主張している。イ そこて検討すると,道路運送法80条1項は,自家用自動車は,国土交 通大臣の許可を受けなけれは,業として有償て貸し渡してはならない旨を 定めており,確かに,原告らの主張するように,(3)の賃貸人らは,この許 可を受けていない(甲47,48)。ウ しかし,ます,そもそも(3)の賃貸人らか行った本件選挙の候補者への選 挙運動用自動車の賃貸か,同条1項にいう業としての有償貸渡しに該当す るとの事実を認めるに足りる証拠はない。エ また,本件条例ては,選挙運動用自動車の賃貸人については一定の親族 を除くほかは限定かされておらす(3条,4条(2)ア),賃貸人か同法80 条1項の許可を受けていることも要求されていないことに加え,上記(1)イ のような同条1項の趣旨,同法には,同条1項に違反して締結された契 約の効力を否定する旨の規定か存在しないことなとに照らせは,本件条例 か,上記のような同法の規制の潜脱となるような場合を除いて,同条1項 の許可を受けていない業者との間て選挙運動用自動車を賃借した場合の賃 借料を支払うことを想定していないとは解されないし,また,候補者か, 市との関係て,同条1項の許可を受けていない業者から選挙運動用自動車 を賃借してはならない信義則上の義務を負担しているとも解されない。そして,本件ては,(3)の賃貸人らによる候補者への選挙運動用自動車の 賃貸については,運送行為を行っているなと,その態様か同法にいう自動 車運送事業の経営に類似しているとは認められないから,上記のような同 法の規制の潜脱となるような場合てあるとはいえない。オ 以上によれは,(3)の賃貸人らと契約を締結し,賃借料の支払を市から受 ける行為か不法行為に当たるとはいえない。したかって,市か,(3)の賃貸 人ら及ひ同人らから選挙運動用自動車を賃借した候補者らに対し,共同不 法行為に基つく損害賠償請求権を有しているとはいえない。(4) 賃貸人7,賃貸人8,賃貸人9,賃貸人11及ひ賃貸人12(以下「(4) の賃貸人ら」という。)の関係(争点(3)エ)についてア (4)の賃貸人らから選挙運動用自動車を賃借した請求3候補者(賃貸人7につき候補者10,賃貸人8につき候補者13,賃貸人9につき候補者1 7,賃貸人11につき候補者20,賃貸人12につき候補者21)か,そ の使用する選挙運動用自動車について,道路交通法上の制限外積載乗車許 可を受けた日付(候補者10,候補者13,候補者17及ひ候補者20に つき平成19年4月9日,候補者21につき同月10日。甲44)によれは,(4)の賃貸人らとこれら候補者らとの間ては,選挙期間(同月15日~ 21日)よりも前まてに,その使用する選挙運動用自動車の引渡しか行わ れていたものと認められる。原告らは,このことから,これらの候補者らは,選挙期間前から選挙運 動用自動車を賃借しており,実質的,経済的には,選挙期間(支払の対象 となる期間)てある同月15日から21日まての7日分の賃借料として市 から支払われる額によって,それ以上の賃借期間を賄っていたことになる と主張している。イ しかし,証拠(甲20の1,23の1,27の1,30の1,31の1) によれは,(4)の賃貸人ら及ひ上記の候補者らについては,上記の選挙期間 について賃貸借契約かされ,その賃借料か実際の支払金額相当額てある旨 の申告かされていることか認められ又はうかかわれるにすきす,それ以外 の期間について賃貸借契約かされていたこと,それ以外の期間について の賃貸借契約における賃借料か上記の金額以上には定められていないこと なとを認めるに足りる証拠はない。そうすると,上記のように,選挙期間よりも前に選挙運動用自動車の引 渡しか行われ,仮にこれによって賃借期間か選挙期間前に始まっていたと しても,その選挙期間以外の期間の賃貸借か支払金額相当額によって賄わ れていたとまては認められない。ウ したかって,原告らの主張するように,交付された賃借料を実際の賃借 した日数て除した金額7日分と支払金額の差額か(4)の賃貸人らの不当利 得になるということはてきす,市か,同額について(4)の賃貸人らに対し不 当利得返還請求権を有しているとはいえない。なお,候補者20については,同人は,選挙期間以外の期間は無償てあ った旨主張し,その旨を述へる候補者20賃貸人11の陳述書等を提出 しているか(丙A1,4~6),これを前提とすると,選挙期間中の使用に支払金額か対応していることになるから,上記の原告らの主張するような状況か生しることはなく,市に不当利得返還請求権は発生しない。エ また,原告らは,上記の候補者らに対して,(4)の賃貸人らに請求すへき とする額と同額の請求をするよう求めているか(請求3の一部),賃貸人 3及ひ賃貸人5の関係と同様,この請求部分については,請求原因に当たる事実の主張かされておらす,理由かないというほかない。
(5) 原告らは,請求3候補者のうち候補者19及ひ請求3賃貸人のうち賃貸人 10に対して,別表3の「請求金額」欄記載の額の請求をするよう求めてい るか(請求3の一部),この請求部分についても,請求原因に当たる事実の主張かされておらす,理由かないというほかない。
 第4 結論以上のとおり,市は,候補者4及ひ受注業者3に対し3万7202円の,候 補者2及ひ受注業者2に対し3万9710円の,候補者16及ひ運転手19に 対し1万2500円の,それそれ請求権を有していると認められ,被告はその 行使を違法に怠っているといわさるを得ないか,その他には,被告かその行使 を怠っている請求権の存在は認められない。したかって,原告らの請求は,被告に対し,候補者4及ひ受注業者3に各自 3万7202円,候補者2及ひ受注業者2に各自3万9710円並ひに候補者 16及ひ運転手19に対し1万2500円の各支払を請求することを求める限 度て理由かあるから認容し,その余はいすれも理由かないから棄却し,訴訟費 用の負担については,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法64条たたし書,66 条を適用して,主文のとおり判する。 京都地方裁判所第3民事部
裁判長裁判官 瀧 華 聡 之
裁判官梶 山 太 郎
裁判官高 橋 正 典
判例本文 判例別紙1

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