主文
1 本件訴えのうち,名古屋市選挙管理委員会を処分行政庁とする処分の取消しを求める訴えを却下する。
 2 原告のその余の請求を棄却する。
 3 訴訟費用は原告の負担とする。事実及ひ理由 第1 当事者の求める裁判
1 請求の趣旨
(1) 処分行政庁名古屋市α区選挙管理委員会か,原告に対し平成22年12月9日 付けてした,名古屋市議会解散請求者署名簿の効力に関する異議申出を棄却する旨の 定を取り消す。(2) 処分行政庁名古屋市選挙管理委員会か,Aほか9名の名古屋市議会解散請求代 表者に対し平成22年6月2日にした,別紙1の様式の署名簿を使用することによっ て署名を無効とすることはてきないとの処分を取り消す。2 被告の答弁
(1) 本案前の答弁
主文第1項と同旨
(2) 本案の答弁
原告の請求をいすれも棄却する。
第2 事案の概要
1 本件は,名古屋市議会の解散を請求する署名簿の署名の証に関し,名古屋市議会議員てある原告か,処分行政庁名古屋市α区選挙管理委員会(以下「α区選挙管 理委員会」という。)に対し異議の申出をしたところ,これを棄却する旨の定(以 下「本件棄却定」という。)を受けたのて,その取消しを求めるとともに,処分行 政庁名古屋市選挙管理委員会(以下「市選挙管理委員会」という。)か上記解散請求 の署名収集に先立ち,その請求代表者らに対し,別紙1の様式の署名簿を使用することによって署名を無効とすることはてきないとの処分をしたと主張して,その取消し を求める事案てある。2 関係法令の定め
(1) 地方自治法(以下「法」という。)76条1項によれは,普通地方公共団体の 議会の議員及ひ長の選挙権を有する者(以下「選挙権者」という。)は,政令の定め るところにより,その総数の3分の1(選挙権者の総数か40万を超える場合にあっ ては,その超える数に6分の1を乗して得た数と40万に3分の1を乗して得た数と を合算して得た数)以上の者の連署をもって,その代表者から,当該普通地方公共団 体の選挙管理委員会に対し,その議会の解散請求をすることかてきるものとされてい る。政令指定都市における市議会の解散請求の具体的な手続の概要は,別紙2のとお りてある。(2) 地方自治法施行令(以下「令」という。)100条て準用する令91条ないし 93条,98条の4によれは,市議会の解散請求をする場合には,命令て定める様式 により調製した解散請求書,解散請求代表者証書,解散請求者署名簿等を使用しな けれはならないところ,これらの様式については,地方自治法施行規則(以下「規 則」という。)て,次のとおり定めている。第9条 普通地方公共団体及ひ特別区の条例制定又は改廃請求書,条例制定又は改 廃請求代表者証書,条例制定又は改廃請求者署名簿,条例制定又は改廃請 求署名収集委任状,条例制定又は改廃請求のための署名収集委任届出書,条 例制定又は改廃請求署名審査録及ひ条例制定又は改廃請求署名収集証書は, 別記様式のとおりとする。(第2項は省略)
第11条 普通地方公共団体及ひ特別区の議会の解散請求書,解散請求代表者証書,解散請求者署名簿,解散請求署名収集委任状,解散請求のための署名収 集委任届出書,解散請求署名審査録及ひ解散請求署名収集証書は,第9条 第1項の別記様式の例によるものとする。(第2項は省略) 規則9条1項の別記様式のうち,条例制定(改廃)請求者署名簿の様式は,別紙3のとおりてある。
3 前提事実(以下の事実は,当事者間に争いのない事実及ひ後掲の証拠から容易に認定てきる事実てある。)
(1) 当事者等
原告は,名古屋市議会議員てある。
 被告は,市選挙管理委員会及ひα区選挙管理委員会を含む合計16の区選挙管理委員会(以下総称して「各区選挙管理委員会」という。)か属する地方公共団体てある。 各区選挙管理委員会は,法76条4項,74条の2第1項,令100条,98条の 3第1項により,署名簿の署名の効力を定し,その旨を証する権限を有する機関てある。 市選挙管理委員会は,各区選挙管理委員会を指揮監督する権限を有する機関てある(令174条の48第1項)。
(2) 本件の解散請求の概要
ア 名古屋市議会の解散請求の請求代表者ら(以下「請求代表者ら」という。)は,平成22年8月27日(以下「平成22年」の記載は省略する。),名古屋市議会解 散請求の請求代表者証書の交付を受け,市選挙管理委員会は,同日,請求代表者証 書の交付の告示をした(乙16)。令100条,92条4項により,請求代表者ら か署名を収集することかてきる期間は,同日から9月27日まててある(以下,この 期間を「署名収集期間」といい,署名収集期間中に署名を集める活動を「本件署名収 集活動」という。)。イ 市選挙管理委員会は,署名収集期間の開始前に,後の本件署名収集活動の事務 局となる者から,署名簿の様式に関し,1枚のA3判用紙の両面を利用し,その1面 に署名簿表紙,解散請求書又はその写し,請求代表者証書又はその写し,委任状の 様式,裏面に署名用紙を印刷した様式により署名簿を作成し,それを使用して署名収集を行うことの可否について,相談を受けた。市選挙管理委員会は,その際,奈良県 生駒市における市議会議員解職請求て,上記様式と同しように1枚の紙の両面を使用 した署名簿か使用されたことを聞いたのて,生駒市選挙管理委員会及ひ奈良県選挙管 理委員会に確認したところ,その様式を使用したことのみをもって無効としていない との回答を得た。また,市選挙管理委員会は,愛知県選挙管理委員会を通して,直接 請求を所管する愛知県総務部の担当部署にも照会したところ,同様の見解を得た。そ こて,市選挙管理委員会は,上記様式による署名簿は,法令の定める必要書類か付さ れており,署名簿かこの様式てあることのみをもって署名を無効とすることはてきな いと判断し,6月2日,その旨の見解を,上記事務局になる者に伝えた(以下,この 見解を伝えたことを「本件表」という。以上につき,乙1,弁論の全趣旨)。ウ 本件署名活動に用いられた署名簿(以下「本件署名簿」という。)の様式は, 別紙1のとおりてある。すなわち,本件署名簿は,A3判用紙の片面に「名古屋市議 会解散請求者署名簿」の表題等を記載した表紙に相当するもののほか,請求代表者ら の名古屋市議会解散請求書及ひ請求代表者証書を縮小コヒーしたもの並ひに委任状 の様式か印刷されており,その裏面に「署名年月日」,「署名者住所」,「署名者氏 名・印」及ひ「生年月日」欄から成る署名欄並ひに「有効・無効の印」,「番号」, 「代書をした場合の記入」及ひ「備考」の各欄か印刷されている。本件署名収集活動においては,請求代表者らか署名を集める場合も,受任者か署名 を集める場合も,本件署名簿か用いられた。エ 署名収集期間中,市選挙管理委員会に対し,本件署名収集活動について,対面 てない方法によって署名か収集されているなとといった署名の収集方法の問題点を指 摘する情報か寄せられた。そこて,市選挙管理委員会の委員長は,8月31日,署名 の仕方署名収集の方法については,法に厳格な定めかあり,これに基つかない署名 は無効となること,及ひ署名か無効となる主な事例を委員長談話として発表し,その 内容は報道された。その後も,市選挙管理委員会には違法な署名の収集についての情 報か伝えられたのて,市選挙管理委員会は,本件署名収集活動の推進母体てあるB事務局宛てに,情報か寄せられた問題となる署名収集の具体的な事例を知らせるととも に是正を促した(甲19ないし22,乙12,13の1ないし3)。オ 請求代表者らは,10月4日,各区選挙管理委員会に対し署名簿を提出し,署 名簿に署名し印を押した者か選挙人名簿に登録された者てあることの証を求めた。
 各区選挙管理委員会に提出された署名簿の冊数(別紙1の様式の本件署名簿1枚を1 冊と数える。以下同し。)は合計6万5190冊,署名は合計46万5602筆てあ った(乙19)。カ 各区選挙管理委員会は,請求代表者らからの署名簿の提出を受けて,審査を開 始した。提出された署名簿には,委任状の受任者欄に受任者の氏名及ひ住所の記載か ある署名簿と,これらの記載のない署名簿か混在していた。委任状の受任者欄に受任 者の氏名及ひ住所か記載されていない署名簿の数は,合計2万0768冊(全体の3 1.86%),署名の数は,合計11万4805筆(全体の24.66%)に上った (乙20)。キ 市選挙管理委員会は,委任状の受任者欄に受任者の氏名及ひ住所の記載のない 署名簿に記載された署名について,全数調査を実施する必要かあると判断して,10 月21日に開催された市選挙管理委員会及ひ各区選挙管理委員会の合同会議において, 審査期間を1か月程度延長し,委任状の受任者欄に受任者の氏名及ひ住所の記載のな い署名簿の署名者全員に対し,調査票を送付して,署名を求められた状況の調査を行 う方針を確認した(乙6,弁論の全趣旨)。ク 各区選挙管理委員会は,調査票の作成及ひ発送のための準備を進め,11月5 日から9日にかけて,同月17日を回答期限とする調査票の発送を開始した(以下, この調査を「本件調査」という。乙21の1,2,弁論の全趣旨)。調査票の質問内容は,1自身て署名をしたか否か,2とのように署名を求められた か,3誰から署名を求められたかの3点てあり,これらの質問についてあらかしめ設 定した選択肢の中から選んて回答する方法により調査を行った。設定した選択肢は, 質問1に対しては「1 署名しました(質問2へ)」「2 署名していません(質問終わり)」の2肢,質問2に対しては「1 街頭て対面により求められた(質問3 へ)」「2 自宅,職場等て対面により求められた(質問3へ)」「3 回覧板なと 対面てない方法て求められた(質問終わり)」「4 郵便等て署名簿か送られてきた のて,署名して返した(質問終わり)」の4肢,質問3に対しては「1 請求代表 者」「2 受任者」「3 請求代表者か受任者かわからない」「4 請求代表者ても 受任者てもない方」の4肢とした。市選挙管理委員会か定した判定基準は,質問1て「2 署名していません」と回 答のあった署名,質問2て「3 回覧板なと対面てない方法て求められた」又は「4 郵便等て署名簿か送られてきたのて,署名して返した」と回答のあった署名,質問3 て「2 受任者」又は「4 請求代表者ても受任者てもない方」と回答のあった署名 については無効とし,その他の回答(質問3て「1 請求代表者」又は「3 請求代 表者か受任者かわからない」と回答)のあった署名については有効とするものてあっ た(以上につき,乙4,7,8,21の1ないし3)。ケ 市選挙管理委員会は,11月17日,回答か返送されなかった場合における署 名の効力の判定基準について,有効とすることを公表した(乙23の1,2)。コ 本件調査において,全市て9万9873件の調査票を発送したところ,回答の 最終的な返送件数は,7万7080件てあり,返送率は約77%てあった。そのうち, 回答に不備のなかったもの7万1788件の回答の内訳は,次のとおりてあった(乙 22)。1 質問1
「1 署名しました(質問2へ)」
「2 署名していません(質問終わり)」
2 質問2
「1 街頭て対面により求められた(質問3へ)」
「2 自宅,職場等て対面により求められた(質問3へ)」 1万8911件 「3 回覧板なと対面てない方法て求められた(質問終わり)」 862件7万0866件 922件
5万0461件
「4 郵便等て署名簿か送られてきたのて署名して返した(質問終わり)」 632件3 質問3
「1 請求代表者」
「2 受任者」
「3 請求代表者か受任者かわからない」
「4 請求代表者ても受任者てもない方」
サ 各区選挙管理委員会は,11月24日,請求代表者らから提出された署名簿の署名の効力を定し,その旨を証した。全市において有効と定された署名数は, 35万3791筆,無効と定された署名数は11万1811筆てあった。また,α 区において有効と定された署名数は1万5069筆,無効と定された署名数は5 166筆てあった(甲40,乙24)。これらの署名の効力の定において,各区選 挙管理委員会は,本件調査の調査票の質問3て「2 受任者」又は「4 請求代表者 ても受任者てもない方」と回答のあった署名については,当該署名のみを無効とし, その署名か記載されていた署名簿の全部の署名を無効とすることはしなかった(弁論 の全趣旨)。なお,同日の時点における名古屋市の選挙人名簿登録者数(9月2日現在)は17 9万4766人てあり,これを基に算出した法76条1項に規定する法定署名数は3 6万5795筆てあった(乙25,弁論の全趣旨)。シ 各区選挙管理委員会は,11月25日から12月1日まて署名簿を縦覧に供し た。各区選挙管理委員会は,縦覧期間中にされた異議の申出に対して,12月15日 まてに定を行った結果,全市における有効署名数は36万9008筆,無効署名数 は9万6594筆となり,有効署名数か前記法定署名数を上回った。なお,α区にお いては,有効署名数は1万6468筆,無効署名数は3767筆となった(乙28)。ス 請求代表者らは,12月20日,市選挙管理委員会に対して名古屋市議会解散 請求を行い,市選挙管理委員会は,これを受理し,同日,その旨を告示した(乙29345件 2万1942件 3万5886件 2199件
9)。
セ 市選挙管理委員会は,12月21日,名古屋市議会の解散投票の投票期日を平成23年2月6日とし,投票期日の告示日を同年1月23日とすることを定した (乙30)。(3) 原告の異議の申出等
ア 原告は,α区選挙管理委員会に対し,12月1日,名古屋市議会解散請求の署 名簿の証について異議を申し出た。その要旨は,次のようなものてあった(甲1, 乙26)。(ア) 本件署名簿の様式自体に瑕疵かあるのて,全ての署名を無効とすへきてある。(イ) 仮に,本件署名簿の様式に瑕疵かないとしても,委任状の受任者欄か空白の署 名簿は,瑕疵ある署名簿として無効とすへきてある。(ウ) 本件調査の調査票の質問3て「受任者」と回答した署名者か掲載されている署 名簿は,無効とすへきてある。(エ) 請求代表者ても受任者てもない者か収集を行った署名等の違法な収集による署 名は,調査の上,無効とすへきてある。イ α区選挙管理委員会は,12月9日,次の理由により,原告の異議の申出を棄 却する本件棄却定をした(甲2,乙27)。(ア) 上記ア(ア)ないし(ウ)については,請求代表者らと市選挙管理委員会との事前協 議において,市選挙管理委員会は当該様式の署名簿を使用することによって無効とす ることはてきないとしているか,α区選挙管理委員会においても,同様の見解てある。(イ) 上記ア(エ)については,現時点て署名収集方法か違法てあったことを確認・立 証することは困難てあり,無効とすることはてきない。ウ 原告は,12月22日,本件訴えを提起した。
4 争点及ひ当事者の主張 本件の争点のうち本案前の争点は,市選挙管理委員会のした本件表か取消訴訟の対象となる行政処分に当たるか否か,本案の争点は,α区選挙管理委員会のした本件 8棄却定の適法性てあり,具体的には,1 本件署名簿は令及ひ規則に違反するもの てあるか否か,2 請求代表者らか提出した署名簿のうち,受任者欄か空白のものは, 瑕疵ある署名簿に当たるか否か,3 本件調査において,署名者か本件調査の調査票 の質問3について「2 受任者」又は「4 請求代表者ても受任者てもない方」と回 答した署名のみを無効とした措置の当否,及ひ
 4 α区選挙管理委員会の行った審 査の方法又はその判断基準の相当性てあり,これらに関する当事者の主張は,次のと おりてある。(1) 本案前の争点について
(被告の主張) 行政事件訴訟法3条2項所定の処分の取消しの訴えの対象となる「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」とは,公権力の主体たる国又は公共団体か法令の規 定に基つき行う行為のうち,その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその 範囲を確定することか法律上認められているものをいう。しかしなから,市議会解散請求において,選挙管理委員会か請求代表者らに対して 事前に署名簿の効力に関して説することは,法令上何ら求められておらす,本件に おいて市選挙管理委員会かした本件表は,後に署名収集の事務局となった者らから 署名簿の様式に関して事前に任意に相談かあったため,それに対する見解を任意に伝 えたものにすきない。また,この行為によって名古屋市民の権利義務を形成し又はそ の範囲を確定するものてもない。したかって,本件表は,「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当 たらないことはらかてあるから,その取消しを求める原告の訴えは不適法てある。(原告の主張)
市選挙管理委員会か,事前協議において行った本件表は,本件署名簿のような1 枚の用紙から成る署名用紙を有効な署名簿とするという効果を生しさせるものてあり, これにより,本件署名収集活動ては,本件署名簿か成規の署名簿として通用すること になった。また,本件表は,各区選挙管理委員会か署名の効力を定するに当たり,本件署名簿を有効な署名簿として扱わなけれはならないよう,その判断を拘束した。
 このように,本件表は,単なる見解の表にととまらない重大な意味を持つ。そ の上,α区選挙管理委員会は,本件表を援用して本件棄却定を行っており,本件 表は,本件棄却定の定的理由となったのてあり,その後,選挙人の投票により 名古屋市議会の解散かまれは,原告は名古屋市議会議員の身分を失うという不利益な法律効果か発生するのてある。 したかって,本件表は,原告の現在の地位に影響を及ほすものてあるから,取消訴訟の対象となる行政処分に当たることはらかてある。
(2) 本案の争点について
(被告の主張)
ア 1について 本件署名簿は,令100条て準用する令92条て定められた必要な書類か全て付されているものてあり,直接請求署名簿として一般的な冊子状のものてないからといっ て,署名簿自体か無効となるような瑕疵かあるとはいえない。そもそも,令及ひ規則において,「表紙」「請求書(写)」「代表者証書 (写)」「委任状」を「付す」あるいは「つつり込む」ものとされている趣旨は,請 求代表者あるいは受任者か署名を求める際に署名者か「請求の要旨」を理解した上て 署名てきるようにするとともに,署名者に対して署名収集者か収集する資格を有する 者てあることを示すことかてきるようにすることにより,適正な署名収集を確保する ことにあると考えられる。この点から考えれは,署名簿か冊子状のものてなくても, 「表紙」「請求書(写)」「代表者証書(写)」か付され,さらに受任者か収集す る場合は「委任状」か付されていれは,令及ひ規則か求める趣旨に合致するものてあ り,署名簿の様式か冊子状てあるか否かは,本質的な差異てはない。イ 2について
署名簿は,政令指定都市における解散請求の場合は区ことに作製しなけれはならな いとされているか,請求代表者及ひ受任者か署名を収集する場合に,必す署名簿を分冊しなけれはならないものてはない。すなわち,請求代表者及ひ複数の受任者か,区 ことに共通の署名簿を使用して収集することもてきるものてあり,請求代表者か,受 任者に対して交付された有効な委任状か付された署名簿を用いて署名を収集すること もてきるものてある。本件署名簿の様式は,全ての署名簿に委任状の様式か付されている。たたし,付さ れている委任状の様式は,署名収集の委任行為かなされ受任者に対して交付されたと きに,初めて委任状としての効果をもつものてある。したかって,本件署名簿に付さ れた委任状は,委任行為かなされ,委任状の交付を受けた受任者か署名収集を行う際 には委任状としての効果をもつものてあるか,請求代表者か署名収集を行う場合には, そこには委任行為は存在しないため,署名簿に付されている委任状は委任状としての 効果をもつものとはいえない。すなわち,請求代表者か収集する際の本件署名簿に委 任状の様式か付されていることは,たた単に余分なものか添付されているものにすき す,これか付されていることにより本件署名簿自体か無効となるものてはない。ウ 3について
本件調査は,本件署名簿の記載上,請求代表者か収集したこととなっている署名簿 に記載された署名者に対して行ったものてあるため,「1 請求代表者」と回答した 者の署名は有効とし,「2 受任者」又は「4 請求代表者ても受任者てもない方」 と回答した者の署名は,法令の定める成規の手続によらない署名として無効とした。「3 請求代表者か受任者かわからない」と回答した者の署名については,請求代 表者以外の者か収集したと確認てきないため,有効としたものてある。署名の効力判定に当たっては,同一の署名簿の中に一人ても「2 受任者」あるい は「4 請求代表者ても受任者てもない方」と回答した者かいた場合ても,そのこと により当該署名簿を全て無効とはせす,個々の回答により,個々の署名の効力につい て判定を行った。この点について,数名の受任者か1冊の署名簿て署名を収集した場合,その中の一 人か無資格者てあったときの署名の効力について,無資格者か収集したと認められる署名のみ無効とし,署名の効力について個々に判断を行うものとした行政実例かある。
 そこて,本件においても,本件署名簿にそれ自体か無効となるような瑕疵かなかったため,署名の効力を個々の署名ことに判断したのてある。
エ 4について 署名は,成規の手続によらないものは無効となる(法76条4項,74条の3第1項1号)。本件署名収集活動に関しては,市選挙管理委員会に対して,違法と思われ る方法により署名収集を行っているとの情報か多数寄せられたこともあり,委任状の 様式に受任者の住所及ひ氏名の記載かない署名簿に記載された署名者に対して調査 (本件調査)を行った。この調査において,「自身て署名していない」「郵便回覧 の方法により署名をした」等の違法な方法により収集されたことか判した署名につ いては,α区選挙管理委員会を含めた各区選挙管理委員会において,無効と定して いる。署名審査において,選挙管理委員会は,署名簿を外形的,形式的に審査するたけて はなく,署名の効力を判断するために必要な調査をする権限を有している。また,一 定の限られた審査期間内にとのような調査をとの範囲て行うかについては,選挙管理 委員会の合理的な裁量に委ねられていると解されている。今回の署名者に対する調査 は,調査か必要てあると判断した署名について,必要かつ合理的な方法により裁量の 範囲内て調査を行ったものてあり,この調査は何ら違法なものてはない。(原告の主張)
ア 1について 令100条,98条の4,規則11条,9条によれは,解散請求に係る署名簿には,表紙の次に,「請求書又はその写し」及ひ「請求代表者証書又はその写し」を「請 求者署名簿ことにつつり込むもの」とされ,受任者か署名を収集する場合の署名簿に は,「請求署名収集委任状はこれを表紙の次につつり込むもの」とされている。そし て,ここていう署名簿とは,その文言からして数枚の用紙を綴したものと解釈されて いる。直接請求署名は,住民意思か適正に反映されなけれはならす,一定の署名数か集まった場合に重大な法律的効果を生するものてあって,それに応した厳格な形式か 要求されるから,法令の定める様式に従わない署名簿による署名は無効てある。本件署名収集活動に使用された本件署名簿は,1枚の紙の片方の一面に,「請求 書」委任状まてもか一式印刷されており(たたし,委任者の押印を除く。),「委 任状の交付」の余地かなく,法令か求める必要書類を「つつり込むもの」となってい ない。そしてもう一方の片面に署名欄を印刷したものにすきない。この様式は,上記 法令の定める「署名簿」というに値しない。この瑕疵は,軽微なものということはて きす,本件署名簿は違法てあり,本件署名簿を使用して収集した署名は,無効てある。被告は,「『つつり込む』ものとされている趣旨を,署名を集める際に署名者か 『請求の趣旨』を理解した上て署名てきるようにするとともに署名者に対して署名収 集者か収集する資格を有するものてあることを示すことかてきるようにすることによ り,適正な署名収集を確保することにあると考えられる」としている。そして,署名 簿か冊子状のものてなくても必要書類か付されていれは「令,規則か求める趣旨に合 致し,本質的な差異てはない」と主張するか,本件署名収集活動ては,多くの場合, 署名欄のみを提示して署名を求めており,その裏側となる請求の趣旨,請求代表者証 ,委任状等は,署名者に対して内容に関してはもちろん存在自体さえ示されていな いのか実情てあった。このように署名用紙を裏返して署名欄たけ示すという使われ方 か可能となった署名用紙たからこそ,受任者欄空白のまま収集され,署名収集者か不 等の事態か起こったのてあり,被告の主張は,令,規則か厳重な形式を求めた趣旨 を省みないものてあり,失当てある。イ 2について
令100条,92条1項ては,請求代表者か署名を収集する場合の署名簿の様式を 規定した上て,同条2項て受任者か収集する場合について,さらに「委任状」を付す ことを規定している。すなわち,請求代表者用と受任者用とは署名簿の様式か異なる ものとして峻別されている。このように,請求代表者又は受任者か,それと分かる様 式をもって,署名候補者と対面することによって,署名を収集しなけれはならないとするのか法令の求めてあるから,請求代表者か用いる署名簿と受任者か用いる署名簿 とは確に区別されなけれはならない。本件署名簿には委任状か付されているから,この受任者欄に受任者の氏名か記入さ れ,これを用いて当該受任者か署名を収集すへきものと予定されているものてある。
 これに対して,上記の法令の趣旨に照らせは,請求代表者か行う署名収集には委任状 を要せす,請求代表者か用いるへき署名簿には委任状か綴り込まれないことになる。 したかって,委任状か付け加えられている署名簿は,受任者による署名収集か予定さ れたものというほかないのてあって,本件署名簿て受任者欄か空白の署名簿について は,署名収集受任者か不と判断せさるを得ないのてあるから,瑕疵ある署名簿とし て,同署名簿の署名は全て無効と認定されなけれはならない。本件においては,市選挙管理委員会は,本件署名簿の受任者欄か空白のものを請求 代表者用の署名用紙として流用することを容認したか,これは,重大な法律解釈の誤 りといわねはならない。ウ 3について
署名を集めることかてきるのは請求代表者と受任者に限られているから,同一の署 名簿につき「受任者」か収集したと答えた者かいる場合には,当該署名簿は受任者か 集めたものと推定されるへきてある。また,「とちらてもない」と1人ても回答のあ った署名簿についても,請求代表者ても受任者てもない者か収集したものとも推定さ れるへきてある。「わからない」と答えた者の署名は,請求代表者において集めたも のたと判断してよい根拠はいかさかも存しない。同一署名簿内において各署名者の回答内容か錯綜した場合,結局誰か当該署名簿を 利用して署名を収集したのか判しないのてあるから,その署名簿の署名は全て無効 とされなけれはならない。それにもかかわらす,α区選挙管理委員会は,「わからな い」とした回答者について,請求代表者か収集したものとみなし,この署名を有効と しており,違法てあるエ 4について
街頭て,請求代表者てもなく受任者てもない者か署名用紙を16区分用意して署名 収集を行っていた,という情報も市選挙管理委員会等に通報されていた。市選挙管理 委員会自身,受任者欄白紙の署名簿に対して違法署名か行われた可能性を疑って本件 調査を行ったのてある。これらを考え合わせれは,各区選挙管理委員会は違法な収集 による署名てあることを承知の上て,本件棄却定を行ったものとの批判を甘受せさ るをえない。α区選挙管理委員会の審査と判断は,厳格に判断されるへき署名の効力 について甚たしい誤りを犯したものて,違法てある。第3 当裁判所の判断
1 本案前の争点について 請求の趣旨第2項に係る訴えは,市選挙管理委員会による本件表か行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たるとして, その取消しを求めるものてある。しかしなから,同項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」とは, 公権力の主体たる国又は公共団体か行う行為のうち,その行為によって直接国民の権 利義務を形成し又はその範囲を確定することか法律上認められているものをいうと解 するのか相当てある。本件表は,後の本件署名収集活動の事務局となる者らから署 名簿の様式について事前に相談を受けた市選挙管理委員会か,その相談者らに対し, 当該署名簿により集められた署名の効力に関して一定の見解を任意に示したものてあ って,全くの事実上の行為にすきす,これにより,国民の権利義務を直接形成し又は その範囲を確定するものてないことはらかてある。原告は,本件表は,本件署名簿のような1枚の用紙から成る署名用紙を有効な署 名簿とするという効果を生しさせるものてあると主張するか,そのような効果は本件 表の法的効果として生するものてはない。また,原告は,本件表は,各区選挙管 理委員会か署名の効力を定するに当たり,本件署名簿を有効な署名簿として扱わな けれはならないようその判断を拘束した旨主張するか,本件表は,市選挙管理委員 会か相談者に対して任意に一定の見解を表したものにすきす,各区選挙管理委員会の判断を法的に拘束する効力を持つものてはない。本件表か取消訴訟の対象となる 行政処分に当たるとする原告の主張は,独自の見解というほかなく,採用することか てきないよって,請求の趣旨第2項に係る訴えは,不適法な訴えというへきてある。2 本案の争点について
(1) 1(本件署名簿は令及ひ規則に違反するものてあるか否か)についてア 令100条により準用される令92条1項,2項によれは,議会の解散請求代表者は,解散請求書又はその写し及ひ請求代表者証書又はその写しを付して選挙権 者に署名を求めなけれはならす,受任者か署名を収集する場合には,上記各書面に加 えて請求代表者の委任状(原本)を付した署名簿を用いなけれはならないものとされ ている。解散請求の署名の収集について,これらの書面を付することか求められてい るのは,解散請求に関して署名をしようとする者か,署名をする際に,解散請求書に 記載されている請求の趣旨を確認することによりその主張内容を理解した上て署名か てきるようにするとともに,請求代表者証書等によって署名の収集者かその資格を 有する者てあることを確認することかてきるようにするためてあると解される。そして,令100条により準用される令98条の4により,議会の解散請求の署名 簿は,命令て定める様式て調整しなけれはならないとされ,この規定を受けて定めら れた規則11条1項,9条1項によれは,解散請求書又はその写し及ひ請求代表者証 書又はその写し及ひ委任状は,署名簿の表紙の次につつり込むものとされている (別紙3の規則の別記様式備考2項)。規則において,このように解散請求書等を署 名簿の表紙の次につつり込むという様式か定められたのは,前示の解散請求書等を署 名簿に付する趣旨,すなわち,解散請求に関して署名をしようとする者か,署名をす る際に,解散請求書に記載されている請求の趣旨を確認することによりその主張内容 を理解した上て署名かてきるようにするとともに,請求代表者証書等によって署名 の収集者かその資格を有する者てあることを確認することかてきるようにするという 趣旨にかなうものと考えられ,また,「つつり込む」という様式を採用することによって,解散請求書等と署名欄部分か分離されて署名の収集活動か行われることを防こ うとしたものと解される。イ 本件署名簿の様式は,別紙1のとおり,A3判用紙の片面に「名古屋市議会解 散請求者署名簿」との表題等を記載した表紙に相当するもののほか,請求代表者らの 名古屋市議会解散請求書及ひ請求代表者証書を縮小コヒーしたもの並ひに委任状の 様式か印刷され,その裏面に規則の別記様式て定める署名欄等か印刷されているもの てあるから,表紙の次に解散請求書等をつつり込むという様式にはなっていない。し かしなから,本件署名簿の上記のとおりの様式は,その一覧性にかんかみ,令か解散 請求書等を署名簿に付することとした前示の趣旨にかなうという点ては,表紙の次に 解散請求書等をつつり込むという様式に何ら劣るものてはなく,また,解散請求書等 と署名欄部分の一体性か確保されているから,これらか分離されて署名収集活動か行 われる危険性もないものてある。こうした点にかんかみると,本件署名簿について,表紙の次に解散請求書等をつつ り込むという様式にはなっていないという点のみから,令及ひ規則の規定に違反する ものと解するのは相当てなく,本件署名簿によって収集された署名をもって,法令の 定める成規の手続によらない署名てあるということはてきないというへきてある。本件署名簿の様式の不備をいう原告の主張は,以上の説示に照らし,採用すること かてきない。(2) 2(請求代表者らか提出した署名簿のうち,受任者欄か空白のものは,瑕疵あ る署名簿に当たるか否か)について解散請求のための署名収集活動は,請求代表者として適式に申請し証を受けた者 及ひその者から適式に委任を受けた者(受任者)のみか行い得るものてあり,解散請 求者署名簿に請求代表者証書委任状を付して署名収集活動を行うことを義務付け た趣旨は,前示のとおり,これらの書面によって,署名の収集者かその資格を有する 者てあることを確認することかてきるようにするためてある。ところて,令100条,92条2項によれは,受任者は,委任状等を付した解散請 17求者署名簿を用いなけれはならないか,請求代表者か行う署名収集活動につき,委任 状を付した署名簿の使用を禁止する規定は存しない。そして,解散請求者名簿に請求 代表者証書委任状を付して署名収集活動を行うことの趣旨を上記のとおり解する ならは,受任者か行う場合には,署名簿に付した委任状により受任者か署名収集活動 をしていることを示する必要はあるか,請求代表者か行う場合には,請求代表者証 書により,請求代表者か当該署名活動をしていることからかにされていれは,解 散請求のための署名簿を受任者か行う場合と区別する必要はないというへきてあり, したかって,請求代表者の使用する署名簿に委任状か付してあったとしても,これに より,請求代表者の収集した署名か無効となると解することはてきない。原告は,令92条により請求代表者か使用する署名簿と受任者か使用する署名簿は 峻別されるへきてあると主張するか,請求代表者か委任状の付された署名簿によって 署名収集活動を行うことか禁止されると解する根拠はない。本件署名簿は,請求代表者らか使用するものてあっても委任状の様式か付されてい るか,上記判示によれは,本件署名簿は,請求代表者らか署名収集活動を行うために 用いるものとして瑕疵かあるものということはてきない。(3) 3(本件調査において,署名者か本件調査の調査票の質問3に対し「2 受任 者」又は「4 請求代表者ても受任者てもない方」と回答した署名のみを無効とした 措置の当否)について前記前提事実のとおり,α区選挙管理委員会を含む各区選挙管理委員会は,請求代 表者らか提出した署名簿のうち,委任状の受任者欄に受任者の氏名及ひ住所の記載の ない署名簿の署名者全員に対し調査票を送付して本件調査を行い,その調査票の質問 3(誰から署名を求められたかを尋ねるもの)に対し,「2 受任者」又は「4 請 求代表者ても受任者てもない方」と回答のあった署名については,当該署名を無効と したか,その署名か記載された署名簿の全部の署名を無効とすることはせす,また, 上記の質問に対し,「請求代表者か受任者かわからない」と回答のあった署名につい ては有効としたものてある。この取扱いに関し,原告は,1 同一署名簿内において各署名者の回答内容か錯綜 した場合,結局,誰か当該署名簿を利用して署名を収集したのか判しないのてある から,その署名簿の署名は全て無効とされなけれはならない,2 「請求代表者か受 任者かわからない」と回答のあった署名を請求代表者か収集したものと判断してよい 根拠はないとして,その判断に誤りかある旨主張する。しかしなから,上記1の点については,同一の署名簿に記載された署名てあっても, 必すしも同一人か連続して収集したものとは限られないのてあり,1冊の署名簿の中 に請求代表者らによって収集された署名とその他の者によって収集された署名か混在 することかあり得るのてあるから,本件調査の調査票の質問3(誰から署名を求めら れたかを尋ねるもの)に対し,「2 受任者」又は「4 請求代表者ても受任者ても ない方」と回答のあった署名か記載された署名簿の署名全部を一律に無効としなかっ たとしても,そのような取扱いか直ちに誤りてあるということはてきない。もとより, 上記のような回答かあった場合,関係人の出頭及ひ証言を求めて(法76条4項,7 4条の3第3項),署名の状況について更に詳しく調査することも可能てあるか,そ のような調査をするかとうかは当該選挙管理委員会の裁量に委ねられた事柄てある。
 法か署名簿の署名の審査期間を20日と定めて迅速な審査を求めていること(法76 条4項,74条の2第1項)更なる調査による関係人の負担等を考慮すれは,α区 選挙管理委員会において,上記のような更に詳しい調査をすることなく,「2 受任 者」又は「4 請求代表者ても受任者てもない方」と回答のあった署名に限って無効 とし,その署名か記載された署名簿の全部の署名を無効としなかったことは,署名審 査の判断として相当性を欠くものということはてきない。また,2の点については,請求代表者らか真実収集した署名てあっても,当該署名 者においてその相手方か請求代表者らてあることを確に認識しているとは限られな いのてあるから,α区選挙管理委員会において,本件調査の調査票の質問3に対し, 「請求代表者か受任者かわからない」と回答のあった署名について,法定の無効事由 は認められないものとして,有効と判断したことに誤りはないというへきてある。本件調査に係る署名審査の判断の誤りをいう原告の主張は,いすれも採用すること かてきない。(4) 4(α区選挙管理委員会の行った審査の方法又はその基準の相当性)について原告は,本件署名収集活動において請求代表者ても受任者てもない無資格者により 集められた署名か多数あり,α区選挙管理委員会はこの事実を見落として署名の審査 をした旨主張する。原告の主張は,個別の署名を特定してその無効事由を主張するも のてはないから,結局のところ,α区選挙管理委員会か行った審査の方法又はその判 断基準か不当てあるという主張に帰するものてある。ところて,市選挙管理委員会及ひ各区選挙管理委員会は,前記前提事実(2)エ記載 の本件署名収集活動の違法を指摘する情報を踏まえ,本件調査を行ったものと認めら れ,各区選挙管理委員会は,前記前提事実(2)サ記載のとおり,本件調査において調 査票の質問3(誰から署名を求められたかを尋ねるもの)に対し「2 受任者」又は 「4 請求代表者ても受任者てもない方」と回答した者の署名を無効としたものてあ る。そして,本件調査に係る判断に誤りかあるとはいえないことは,前示のとおりて ある。原告の上記主張を踏まえても,α区選挙管理委員会か行った署名の審査の方法又は その判断基準にこれを違法とすへき誤りかあるとは認められない。(5) まとめ 以上によれは,原告の異議の申出を棄却した本件棄却定は適法と認められる。
 3 結論 よって,本件訴えのうち,市選挙管理委員会のした本件表の取消しを求める訴えは不適法てあるからこれを却下し,その余の請求は理由かないからこれを棄却するこ ととし,主文のとおり判する。名古屋地方裁判所民事第9部
裁判長裁判官 増 田 稔
裁判官 鳥居俊一
裁判官 杉浦一輝
別紙2 政令指定都市における市議会解散請求の手続の概要
(1) 解散請求をしようとする代表者(以下「請求代表者」という。)は,その請求 の要旨その他必要な事項を記載した解散請求書を添えて,市選挙管理委員会に対し, 文書により「解散請求代表者証書」(以下「請求代表者証書」という。)の交付 を申請する(令100条,91条1項)。市選挙管理委員会は,請求代表者か選挙人 名簿に登録された者てあると確認した場合は,請求代表者に対し,上記証書を交付 するとともに,その旨を告示する(令100条,91条2項)。(2) 請求代表者は,選挙権者の連署を求めるために,区ことに市議会解散請求者署 名簿(以下「署名簿」という。)を作成する(令100条,93条)。請求代表者は, 解散請求書又はその写し及ひ請求代表者証書又はその写しを付して,選挙権者に対 し署名押印を求めなけれはならない(令100条,92条1項)。また,次の(3)の とおり,署名の収集を他の選挙権者(後記,受任者)に委任する場合には,上記のも のに加え,後記の委任状(原本)を付した署名簿を用いなけれはならない(令100 条,92条2項)。(3) 請求代表者は,署名の収集を選挙権者に委任することかてきる(令100条, 92条2項)。請求代表者からの署名収集の委任は,規則11条1項,9条1項所定 の様式を備えた署名収集委任状(以下「委任状」という。)を受任者に交付すること より行い,請求代表者かこの委任を行ったときは,直ちに,市選挙管理委員会及ひ受 任者の属する区の区選挙管理委員会に文書をもって届け出なけれはならない(令10 0条,92条3項,98条の3)。なお,受任者か署名を収集てきる範囲は,当該受任者か属する区の区域に限られる か,請求代表者には,この制限はない(令100条,92条2項,98条の3)。(4) 署名収集の期間は,原則として,請求代表者証書交付の告示かあった日から 1か月てある(令100条,92条4項)。(5) 署名者は,署名簿に,氏名を自署し(一定の場合には,代筆か認められている 22〔法76条4項,74条7項,8項〕。),押印し,その他の所定事項を記載するこ とか必要てある(令100条,92条1項,2項)。(6) 請求代表者は,署名収集を終えたときは,署名収集期間満了の日の翌日から起 算して5日以内に,署名簿に署名し印を押した者か選挙人名簿に登録された者てある ことの証を求めるため,署名簿を区選挙管理委員会に提出しなけれはならない(法 76条4項,74条の2第1項,令100条,94条1項,98条の3)。(7) 署名簿の提出を受けた区選挙管理委員会は,提出の日から20日以内に審査を 行い,署名の効力を定し,その旨を証しなけれはならない(法76条4項,74 条の2第1項,令98条の3)。(8) 収集された署名のうち,法令の定める成規の手続によらない署名及ひ何人てあ るかを確認し難い署名は,無効となる(法76条4項,74条の3第1項)。(9) 区選挙管理委員会は,署名の効力を定するに当たり,必要かあると認めると きは,関係人の出頭及ひ証言を求めることかてき,その場合には,法に特別の規定か ある場合を除き,民事訴訟法の証人尋問に関する規定か準用される(76条4項,7 4条の3第3項,4項,100条2項,3項,7項,8項,令98条の3)。(10) 区選挙管理委員会は,署名簿の審査か終了したときは,個々の署名ことに署 名簿の有効,無効の欄に印を押す方法により,署名の効力の証を行う(令100条, 94条2項,98条の3)。(11) 区選挙管理委員会は,署名簿の審査,効力の定,証か終了したときは, 直ちに署名簿に署名し印を押した者の総数及ひ有効署名の総数を告示し,かつ,公衆 の見すい方法により掲示する(令100条,95条の2,98条の3)。(12) 区選挙管理委員会は,署名簿の署名の証か終了したときは,その日から7 日間,指定した場所において署名簿を関係人の縦覧に供する。区選挙管理委員会は, 予め,署名簿の縦覧の期間及ひ場所を公示し,かつ,公衆の見すい方法によりこれ を公表しなけれはならない(法76条4項,74条の2第2項,3項,令98条の 3)。(13) 署名簿の署名に関し異議かある関係人は,上記(12)の縦覧期間内に区選挙管 理委員会に異議を申し出ることかてきる。区選挙管理委員会は,その異議の申出を受 けた日から14日以内に定をしなけれはならない。なお,区選挙管理委員会か14 日以内に定をしないときは,申出を退ける定かあったものとみなされる(法76 条4項,74条の2第4項,5項,257条2項,令98条の3)。(14) 区選挙管理委員会は,上記(13)による全ての異議についての定をしたとき は,その旨及ひ有効署名の総数を告示するとともに,署名簿を請求代表者に返付しな けれはならない(法76条4項,74条の2第6項)。(15) 上記(13)の定に不服のある者は,その定のあった日から14日以内に地 方裁判所に出訴することかてきる(法76条4項,74条の2第8項前段)。(16) 請求代表者は,上記(13)の定に関し不服かないときは,署名簿の返付を受 けた日から5日以内に,解散請求書に有効署名かあることを証する書面及ひ解散請 求の署名簿を添えて,市選挙管理委員会に解散の請求をすることかてきる(法76条 1項,令100条,96条1項)。(17) 市選挙管理委員会は,上記(16)の請求を受理したときは,直ちにその旨を請 求代表者に通知するとともに,請求の要旨等を告示・公表し,20日以内に市議会か ら弁書を徴する(法76条2項,令100条,98条1項,104条1項)。そして,受理の告示から60日以内に選挙人の投票に付されることになる(令10 0条の2第1項)。
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