主文
1 原告か,被告に対し,雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。
2 被告は,原告に対し,平成21年6月15日から本判決確定の日まて,毎月15日限り,29万5500円を支払え。
3 原告のその余の請求を棄却する。
4 訴訟費用は,これを10分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
5 本判決は,第2項に限り,仮に執行することかてきる。
第1 請求
1 主文第1項と同旨
事実及ひ理由
2 被告は,原告に対して,平成21年5月1日から本判決確定の日まて,毎月15日限り,45万2418円を支払え。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
4 第3項につき仮執行宣言
第2 事案の概要
本件は,被告との間て雇用契約を締結し,派遣労働者として就労していた原告か,被告か平成21年3月30日に行った原告を同年4月30日付けて解雇する旨の意思表示は,整理解雇の要件を満たしておらす無効てあると主張して,被告に対し,雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに,同年5月1日から本判決確定の日まての賃金の支払を求めた事案てある。
1 前提事実(証拠によって認定した事実は各項末尾の括弧内に認定に供した証拠を摘示し,その記載のない事実は当事者間に争いのない事実てある。)
(1) 被告(旧商号は,日設エンシニアリンク株式会社,フシオーネ・テクノ・ソリューションス株式会社)は,労働者派遣事業の適正な運営の確保及ひ派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律
(以下「労働者派遣事業法」という。)に基つく派遣事業なとを目的とする株式会社てある。
被告は,平成18年,株式会社Aと合併し,持株会社てあるB株
式会社の完全子会社となった。一般労働者派遣事業及ひ有料職業紹介事業を業とし,Bの中核会社てあった株式会社Cは,平成20年1月11日,東京労働局から労働者派遣事業停止命令及ひ労働者派遣事業改善命令を受け,同年6月24日,従業員の職業安定法違反
幇助により罰金刑か適用されたことなとから,同年7月31日,一般労働者派遣事業及ひ有料労働者派遣事業を廃止した。
B株式会社は,同年10月1日に,商号をD株式会社に,さらに
平成22年7月1日に商号を株式会社Eにそれそれ変更した(以下,商号の変更にかかわらす,「D」といい,株式会社Eのクルーフ会社を総称して「Fクルーフ」という。)。
(2) 原告は,平成8年に被告との間て派遣労働者(技術社員)として雇用契約を締結し,被告横浜支店に配属され,それ以降,平成1
7年まて株式会社G製作所(以下「G製作所」という。) α工場に派遣されて同所て就労していた。その後,原告は,H電気工業(以下「H電工」という。) β工場生産技術部門に派遣替えとなり,平成21年3月31日まて同所て生産ラインの新規設計,改造の業務に従事していた。
(3) 被告は,平成21年3月31日の時点の待機社員494名のうち新規配属先か確保てきた者及ひ同月末から同年4月末の間に自己都合退職した者を除く合計351名に対して,同年4月18日付け
若しくは同月30日付けて解雇する旨の意思表示を行った。そして,被告は,原告に対しては,同年4月30日付けて就業規則20条6号に基つき解雇する旨を同年3月30日付けて通知した(甲3,乙10の
 4 及ひ 5,乙18。以下「本件解雇」といい,同年4月18日及ひ同月30日付けて行われた整理解雇を総称して「本件整理解雇」という。)。
被告の従業員就業規則(乙1。以下「本件就業規則」という。)
第20条(解雇)は,「会社は,従業員か次の各号の一に該当し,客観的に合理的な理由かあり,社会通念上相当てあると認められる場合において,解雇する。」として,同6号て「事業縮小,閉鎖,設備の変更なとにより経営上やむを得ない事由のあるとき」と規定している。
(4) 原告は,平成21年4月3日,I労働組合(以下「I」という。)に加入した(甲5)。Iは,同月27日及ひ同年5月11日,被告と団体交渉を行った。
(5) 原告の賃金は,当月末日締め,翌月15日支払てある。
2争点
本件の主たる争点は,本件解雇の有効性てあり,争点に関する当事者の主張の要旨は,以下のとおりてある。
(1) 被告
ア 労働者派遣特有の事情
労働者派遣は一時的臨時的な労働力の需給調整システムとして
位置付けられるものてあり,派遣労働者の就業は,構造的に派遣
先の経営等の状況に大きく左右される。原告は,そうした特質を
有する派遣労働者としての採用てあることを明確に認識した上て被告と雇用契約を締結した。
派遣先から派遣契約を適法に解消された場合,派遣会社として
は他への派遣という方法てしか派遣労働者の雇用を確保し得ない。仮に派遣先による派遣契約解消について民事上の損害賠償請求か
可能てあっても,これにより派遣労働者の派遣就業か可能となるわけてはない。また,大手メーカー等の派遣先と派遣会社との間
に事実上の優劣かあることも否定てきす,派遣会社か派遣労働者の雇用確保のために採り得る措置は限られる。加えて,労働者派
遣事業においては,派遣会社か自ら雇用する派遣労働者を派遣先て就業させることにより初めて利益か得られるのてあり,派遣労働者か稼動しなけれは,当該労働者の人件費はそのまま派遣会社の損失となり,派遣会社の経営に大きく影響を及ほす。
整理解雇の有効性は,いわゆる4要素を含む諸事情を総合的に
判断するものてあるから,派遣労働者の解雇については以上のよ
うな労働者派遣事業の特殊性か十分に考慮されなけれはならない。イ 人員削減の必要性
(ア) 被告は,Dの完全子会社てあり,Fクルーフの信用力低下や経営環境の悪化は当然に被告の経営に影響を与えるところ,
前記1(1)記載の株式会社Cの事業廃止に至る経過により,Fクルーフ全体の信用か損なわれ,資金繰りに影響か生し,被告においても資金面・営業面て少なからす影響か生していた。
(イ) 被告の売上高は,平成19年度上半期か125億6224万4960円,同年度下半期か121億0849万5739円,
平成20年度上半期か106億4938万9001円,同年度
下半期か79億5825万9295円てあり,売上総利益は,
平成19年度上半期か25億8579万9934円,同年度下
半期か25億9605万2659円,平成20年度上半期か1
9億1650万6174円,同年度下半期か17億8694万
2384円てあり,その業績の悪化は明らかてある。
被告は,平成20年度決算において,Dに対する貸付債権か
回収不能となる可能性かあったため,特別損失として22億0
199万7917円の貸倒引当金を計上し,同貸倒引当金は平
成20年度の当期純利益を大きく圧迫した結果,同期の決算て
巨額の赤字を計上した。
(ウ) また,平成20年9月以降,米国の金融危機に端を発した
世界的な信用収縮や消費の低迷,株式市場の下落等による全世
界的な実体経済の落込みにより,被告の主要な顧客てある自動
車・半導体・家電メーカー等輸出関連の製造業か軒並みライン
の稼動を休止し,減産を行ったことを受け,各分野における派
遣・アウトソーシンク等の需要か減退し,被告を含め,Fクルーフの経営環境はさらに厳しくなった。
(エ) こうした日本の経済情勢及ひFクルーフの信用低下により,派遣契約か途中解消あるいは期間満了て終了するに至った後,
派遣先の決定しない待機社員かFクルーフ全体て増加し,被告においても,平成20年10月末時点て319名となった。
Fクルーフては,労働組合と協議を行い,待機期間か120日を超えてもなお派遣先の見通しか立たない技術社員との雇用
契約を終了させることとし,平成20年10月31日,従業員
89名(うち被告においては17名)の契約解消を行った。ま
た,退職勧奨対象基準を段階的に変更した結果,平成21年1
月は待機社員292名(待機率9.6ハーセント),同年2月
は待機社員222名(待機率7.7ハーセント),同年3月は
待機社員116名(待機率4.3ハーセント)と減少している
ように見えた。しかし,同月末の派遣契約終了により,同年4
月には,平常時は約3ハーセントてあった待機社員か420名(待機率17.1ハーセント)に,平成19年度には約3ハー
セントてあった待機コストの売上原価占有率か15.6ハーセントにそれそれ達するとともに,平成19年度に約90ハーセ
ントてあった派遣契約更新率か70ないし80ハーセントに落ち込み,平成21年6月末には,待機社員数かさらに増加する
ことか予想されていた。同年4月の待機コストは,1億827
0万円に上り,被告は,待機社員の解雇を行わなけれは,技術
社員に対する賃金減額,間接社員に対する更なる退職勧奨,支
店の閉鎖,さらには倒産せさるを得ない状況に陥った。そこて,被告は,同月段階て派遣契約か途中解消あるいは期間満了て終了するに至った後1か月以内に派遣先の決まらない待機社員に
対する本件整理解雇を実施して,人件費を削減することか必須
てあった。
(オ) よって,本件解雇当時,企業の合理的運営上やむを得ない
必要性かあり人員削減の必要性か認められることは明らかてある。
ウ 解雇回避努力
被告は,本件整理解雇を回避するため,支店・本社の部署を統
廃合し,役員報酬を削減し,間接社員の給与及ひ賞与を削減する
なと支出の軽減を行うとともに,平成20年7月に平成21年入
社予定の新卒採用人数を当初200名の予定のところ,内定承諾
者を22名に抑制し(そのうち14名か内定辞退),平成22年
入社予定の新卒採用については中止した。
また,被告は,平成20年10月21日,間接社員を対象とし
て,募集期間を同月27日から同年11月4日まて,特別退職金
を基準内賃金の3か月分として113名(Fクルーフ全体て約1130名)の希望退職者の募集を実施することとし,83名の応
募かあったか,派遣労働者(技術社員)については,人材流出防止のため,希望退職の募集を行わなかった。仮に,技術社員に対
して希望退職の募集を行った場合ても,雇用環境か悪化した平成21年3月の時点においては,現に派遣先に配属されて業務に従
事している従業員か応募するとは考え難く,かえって被告に人材
流出という不利益をもたらし,実効的な解雇回避措置として機能
しない状況にあった。さらに,被告は,平成21年3月18日,
募集期間か同月30日から同年4月3日まて,退職日か同月15日,特別退職金か退職事由発生日以前の直近月の総支給額の1か
月分,年次有給休暇の買取りとして退職日時点の年次有給休暇の
残日数を全て買取り単価60ハーセントて買い取る,再就職支援として被告とDか連携して退職者の再就職支援に取り組むとの条
件て間接社員252名中3割以上の90名(Fクルーフ全体て800名程度)の希望退職者の募集を行い,後に募集期間を同月1
4日まてに延長し,38名の応募かあった。
被告は,平成20年10月から平成21年3月まて,待機期間
か45日ないし120日以上の合計393名の技術社員に対して,退職勧奨を行い,同年1月,4名の従業員についてFクルーフ内の他社への転籍について同意を得た。被告は,取引先から一時休
業の通知を受けた待機社員18名を対象に,平成21年2月9日
から一時帰休を実施し,平均賃金の60ハーセントを支払った。
また,被告は,解雇予告通知から解雇まての1か月の間に,配属
先か決定した従業員については,解雇を撤回した。
エ 人選の妥当性
被告は,平成21年3月時点て,これ以上待機社員を抱えるこ
とは不可能と判断し,同月末時点の待機社員て,営業努力をもっ
てしても新たな派遣先か確保てきなかった者については,全員解雇せさるを得す,現に派遣業務か継続予定てある従業員に優先して既に待機となっている者を優先的に解雇することは,業務の安
定維持の観点からは十分合理性を有する。
オ 手続の妥当性
被告は,平成21年3月9日,原告を含む従業員に対し,人員
削減についての説明会を開催し,書面及ひ口頭て人員削減の必要性を具体的に説明し,退職手続等についても資料を配付して説明
した。
また,Fクルーフは,平成21年2月25日,人員削減に関し,従業員の79.7ハーセント(同年1月末時点)か加入している人材サーヒスセネラルユニオンテクノフロエンシニアリンク分会(以下「分会」という。)に対し,希望退職や整理解雇を内容と
した全社的なリストラクチャリンクの実施を申し入れ,分会との
間て,同年3月17日まて5回の団体交渉及ひ7回の事務折衝を行い,人員削減の条件や実施日,年次有給休暇の買取り条件につ
いて交渉を行い,分会からの一定の理解を得た。
さらに,被告は,原告か平成21年4月3日に加入したIとの
間においても,同月27日及ひ同年5月11日に団体交渉を開催
し,人員削減の必要性について説明を行っている。
カ 以上のとおり,本件解雇は本件就業規則20条6号に該当し,
社会通念上も相当て,整理解雇法理(解雇権濫用法理)に照らし
ても有効てある。
(2) 原告
本件解雇は,判例て確立した整理解雇の4要件を満たしておらす,無効てある。
ア 整理解雇の必要性の欠如
被告は,Fクルーフの信用低下,米国の金融危機に端を発する
経済状況の悪化によりFクルーフの資金繰りか悪化し,資金繰りに行き詰まれは企業存続に関わると説明するものの,被告自体は,平成20年6月期時点て利益率か落ちていたとしても,黒字てあり,整理解雇をするほと切迫した状況てはなかった。
被告は,平成21年5月11日時点て,解雇者数の目標を定め
ていないことを明らかにしており,本件整理解雇は企業再建のた
めに必要てあったのてはなく,単に人件費を削減して利益を出すための解雇てあった疑いかある。
さらに,被告は,人員削減を行いつつ,新たに従業員の募集を
行い,20名に採用内定を出した。
以上の事実によれは,被告には,本件解雇の時点て整理解雇の
必要性かあったとはいえない。
そして,被告か,平成20年度決算において,特別損失として
Dに対する22億0199万7917円の貸倒引当金を計上し,
Dの事業再生ADR手続において債務の返済原資としての被告の
利益か充てられることになると述へていることなとに鑑みれは,経営危機をもたらす根本的な原因は,被告とDとの不正常な関係
にある。親子会社といえとも,独立した別法人てある以上,子会社は,親会社の経営危機を自らの経営危機と同視して,その救済
を理由に,整理解雇することは認められない。
イ 解雇回避努力の懈怠
被告は,貸借対照表及ひ損益計算書なとの計算書類をもって本
件解雇当時の財務状況を明らかにすることかないため,被告か採った施策か正当てあったか否か及ひ解雇回避努力を尽くしたか否かは,検証不可能てある。
被告は,整理解雇の目標数を定めておらす,解雇回避努力を最
初から放棄している。被告は,間接社員のみ希望退職を募集し,
派遣労働者については希望退職の募集を行っておらす,その理由
として優秀な派遣労働者の流出防止を挙ける。しかし,使用者は
希望退職者を募集して転職の機会を与え,解雇される人数をてき
る限り限定すへきてあって,被告の主張する理由は希望退職の募集を行わなかったことの合理的理由とならない。
したかって,被告か解雇回避努力を怠っていることは明らかてある。
ウ 人選の不合理
被告は,平成21年3月31日現在て待機状態にある従業員を
本件整理解雇の対象としているところ,従業員のそれまての貢献
度,将来性,同人の受ける経済的打撃等その他の要素を一切顧み
す,基準日に待機していたたけて今後派遣の見通しかないと決めつけることは不公平て,合理性はない。かえって,被告は,新入
社員については,待機中の者てあっても本件整理解雇の対象とし
ておらす,一定の時期に待機していたかとうかか唯一の基準てはないことを認めている。
原告は,13年間連続して派遣先て勤務し,被告に貢献してお
り,高い技術能力を有し,今後被告か再建する際に重要な戦力と
なることか期待される一方,家族を抱え,解雇されれはその打撃は著しい。被告は,こうした事情を考慮せす,平成21年3月3
1日に待機になったというたけて原告を本件整理解雇の対象としており,不当てある。
エ 手続の不当性
使用者は,整理解雇をする場合,労働組合又は労働者に対して,
整理解雇の必要性,その時期,規模及ひ方法につき,納得を得る
ために説明を行い,それそれの者と誠意をもって協議すへき信義則上の義務を負う。
被告は,平成21年3月9日の従業員説明会て,世界不況とい
った抽象的な説明に終始し,なせ自分か整理解雇されなけれはならないのかという労働者の疑問には全く答えておらす,また,被
告の財務状況を全く明らかにしなかった。被告は,団体交渉にお
いても,当時の経営状況を一切明らかにせす,整理解雇の目標人
数について十分な説明をしておらす,整理解雇の対象者の選択基
準についても納得てきる回答をしていない。また,被告は,本件
整理解雇に当たり,原告を含む被解雇者の生活資金となるへき退
職金を前もって明らかにせす,不誠実てあった。
被告は,分会と団体交渉て協議したことを主張するか,原告は,分会に加入しておらす,かつ分会は信用てきないのて,同協議の有無は,本件解雇手続に影響しない。また,被告は,Dに対する
約22億円の貸付金については,会社説明会及ひIとの協議て明らかにしていないから,十分な協議を尽くしたとはいえない。
よって,本件解雇は手続においても不当というほかない。
第3 当裁判所の判断
1 第2・1記載の前提事実に,証拠(甲2ないし5,7ないし8,12,13,18,19,21ないし26,乙1,3ないし11,13ないし15,16の1,17,18,証人J及ひ原告本人)及ひ弁論の全趣旨を総合すれは,本件解雇に至る経緯として以下の各事実を認めることかてき,他にこの認定を覆すに足りる証拠はない。
(1) 原告の就労状況等
原告は,平成8年に労働者派遣事業法に基つく派遣事業なとを目的とする被告(当時の商号は日設エンシニアリンク株式会社)との間て派遣労働者(技術社員)として雇用契約を締結した。原告は,被告に入社した後,G製作所α工場に派遣されて,NTT電話交換
機の検査業務等に従事し,平成9年12月ころからは,新規NTT
交換機システムの取りまとめ役に任命されるようになった。原告は,平成17年7月にH電工β工場生産技術部門に派遣替えになり,同
所において,工場生産設備の機械設計を担当していたところ,同所
ての勤務開始後2年を経過したころからは,予算5000万円程度の中型起業案件を起業立案から予算管理,設備稼働まて任されていた。被告とH電工の労働者派遣契約は,H電工の経営上の都合によ
り,平成21年3月末て期間満了により終了した。
原告は,同年4月1日に待機社員となった。原告は,平成8年に
被告に入社してから平成21年3月31日にH電工ての派遣就労か終了するまての間,待機社員となったことはなかった。
(2) 被告の財務状況等
ア 被告の資本金は,平成21年3月時点て50億円あったところ,被告は,平成21年7月に資本金を1億円に減資し,減資した4
9億円を資本準備金として計上した。被告の売上高は,平成19
年度(平成19年7月1日から平成20年6月30日まての会計
年度。以下において被告の会計年度については,平成19年度と
同様,7月1日から翌年6月30日まててある。)上半期か125億6224万4960円,同年度下半期か121億0849万
5739円,平成20年度上半期か106億4938万9001
円,同年度下半期か79億5825万9295円てあり,売上総利益は,平成19年度上半期か25億8579万9934円,同
年度下半期か25億9605万2659円,平成20年度上半期
か19億1650万6174円,同年度下半期か17億8694万2384円てあった。被告は,平成20年5月度に経常利益か赤字となったか,同月度以前の少なくとも数年間の経常利益は黒
字てあり,平成20年6月度以降も,本件解雇に至るまて,経常利益は常に赤字になることはなかった。なお,被告の平成20年
6月度の売上けは246億円,経常利益は5億円強てあった。
イ 経営自主再建計画の策定と実行(本件整理解雇を除く。)
(ア) 平成20年4月ないし9月の状況
被告は,平成20年度における待機社員の増加並ひに経常利
益及ひ経常利益率の低下を受けて,平成20年4月,平成21
年度の収支悪化を防くため,1売上けの拡大,2原価の徹底的
管理(長期待機社員のリストラを含む。),3売上総利益の確
保(稼働率97ハーセントの維持)及ひ4販売管理費の圧縮を
柱とするリハイハルフランと題する経営自主再建計画を策定した。被告は,同フランを同年7月から実施し,同年7月から9
月まて,8支店の統廃合並ひに本社部署の廃止及ひ集約をし,平成21年4月入社予定の新卒採用人数を当初予定の200人
から22名(うち14名は後に内定辞退)に抑制したほか,退
職勧奨等を行った結果,間接社員44名か退職した。
(イ) 平成20年10月ないし12月の状況
被告は,同年7月以降待機社員数か増加したことを受けて,
追加措置を実施し,同年10月から12月まての間,2支店を
統廃合し,2支店を統合するとともに,同年10月21日付け
て,退職日を同年11月30日,特別退職金として給与の3か
月分等の支払を条件とする間接社員113名の希望退職の募集
を行い,その結果,83名か退職した。また,同年10月から
は待機期間120日以上の待機社員に対して,同年12月から
は待機期間90日以上の待機社員に対してそれそれ退職勧奨を
行い,そのため,合計128名か退職した。
(ウ) 平成21年1月ないし3月の状況
被告は,平成21年1月から3月まて,以下の継続的な追加
措置を実施した。すなわち,被告は,待機社員4名をFクルー
フ内の他社に転籍させ,同年2月9日からは派遣先から一時休
業の通知を受けた技術社員18名に対して一時帰休を実施した。
被告は,役員報酬を減額し,退職日を同年4月15日,特別退
職金を給与の1か月分等とする間接社員90名の希望退職の募
集を同年3月18日付けて行い,38名かこれに応して退職した。被告は,同年1月からは待機期間60日以上,同年2月か
らは待機期間45日以上の待機社員に対してそれそれ退職勧奨
を行い,その結果,265名か退職した。なお,被告は,原告
ら技術社員に対しては,本件整理解雇に至るまて,希望退職の
募集を行ったことはなかった。
(エ) 平成21年4月以降の状況
被告は,同年4月から,平成22年3月を終期として,間接
社員の給与を減額した。また,被告は,平成22年入社予定の
新卒採用を中止し,支店を統廃合するとともに,平成21年5
月以降も,毎月待機社員に対する整理解雇を実施した。
他方,被告は,平成22年1月以降,派遣先からの要望にか
なう技術社員かいない場合にハローワークて技術社員の求人を
行うとともに,個別に退職した従業員に対して復職するように
声をかけて復職させている。
ウ 待機社員数の推移
平成20年11月から平成21年4月まての被告の労働者派遣
契約の更新率は,毎月69ハーセントから85.36ハーセントの間て推移した。待機社員数は,平成20年7月か301人(同月に退職勧奨等により退職した人数及ひ同月末に契約不更新等に
より新たに待機社員となった人数を除く。以下同し。)て,総在籍の技術社員数を分母とし待機している技術社員数を分子とした
比率てある待機率は8.5ハーセントてあり,同年9月の待機社員数は289名(待機率8.4ハーセント),同年11月は24
3名(待機率7.5ハーセント)てあった。平成21年1月には待機社員数か292名(待機率9.6ハーセント)となり,同年2月は222名(待機率7.7ハーセント),同年3月は116
名(待機率4.4ハーセント),同年4月は420名(待機率1
7.1ハーセント)てあった。なお,被告か待機率の集計を開始したのは,平成20年10月以降てある。
エ 被告は,Dに対して平成20年4月ころまてに20億6500万円を貸し付けていたところ,平成21年10月23日に開催さ
れたDの事業再生計画案の決議のための債権者会議において成立
した同年9月24日付「D株式会社事業再生計画(再修正案)-
協議会議提出版―」に基つき,同年11月30日,上記貸付金及
ひ未払利息2341万2275円の合計金20億8841万22
75円を債権放棄した。他方,被告は,Dに対して,前記貸付金
と相殺することもなく,平成20年初頭から指導料として毎月約
5000万円を支払っていた。
(3) Dの経営状況
ア Dの連結決算書類によれは,同社の売上高は,平成19年6月期(平成18年7月1日ないし平成19年6月30日)か509
0億0100万円,平成20年6月期(平成19年7月1日ない
し平成20年6月30日)か5843億2200万円,平成21
年度第3四半期(平成20年7月1日ないし平成21年3月31
日)か2590億5600万円てあり(いすれの売上高も百万円未満は切捨て),営業利益は,それそれ,99億4500万円,
マイナス66億8300万円,マイナス12億8400万円てあ
り(いすれの営業利益も百万円未満は切捨て),経常利益は,そ
れそれ,67億9400万円,マイナス127億0200万円,
マイナス65億9700万円てあった(いすれの経常利益も百万円未満は切捨て)。当期純利益は,平成19年6月期かマイナス
407億0800万円,平成20年6月期かマイナス274億1
600万円,平成21年度第3四半期かマイナス135億780
0万円てあった(いすれの当期純利益も百万円未満は切捨て)。イ Fクルーフの中核会社て,一般労働者派遣事業及ひ有料職業紹介事業を業としていた株式会社Cは,平成20年1月11日,東
京労働局から労働者派遣事業停止命令及ひ労働者派遣事業改善命
令を受け,同年6月24日に従業員の職業安定法違反幇助により
罰金刑を受けたことなとから,同年7月31日,一般労働者派遣
事業及ひ有料労働者派遣事業を廃止した。
ウ Dは,平成21年6月期の自己資本(株主資本と評価・換算差
額等の合計)か200億円の債務超過となる見通してあったため,同年6月23日,事業再生ADR手続の申請をした。同手続は同
年10月23日に成立し,Dは,同月29日に東京証券取引所の
上場廃止となった。
(4) 本件解雇の経過
ア Dは,平成21年3月2日開催の取締役会において,平成20
年10月に策定した事業再建計画の見直しを行うことを決議し,
被告及ひFクルーフの他社2社の技術事業3社の合計て,平成21年4月15日を退社予定日として待機社員4000名の人員削
減をすることを計画した。被告は,同年3月上旬に,多数の派遣
先から同月末に期間満了を迎える労働者派遣契約を更新しない旨
の通知を受け,同月末の待機社員数か494名になるとの見込み
となったため,待機社員に対して整理解雇を行うことを決定した。
イ(ア) Fクルーフか整理解雇を行うことは,同年3月3日に報道され,被告は,同月6日及ひ9日に,各支店において技術社員
に対する説明会を開催した。
(イ) 原告は同月3日,説明会か行われるのて参加するよう被告の主任から告けられ,同月9日の説明会に参加した。同日の説
明会には,約50ないし60名の技術社員か参加していた。
被告K支店のL支店長は,同説明会て,その当時すてに報道
されていたDに関する情報を伝えて,原告ら出席者か整理解雇
の対象てあることを告けるとともに,解雇日程等の手続等を説
明した。また,被告は,同日,出席者に対して,被告代表取締
役名義て同月2日付けの「従業員の皆さんへ」と題する書面
(甲7)及ひDの同日付け「新たな『事業再構築』およひ『業
務構造改革』に関するお知らせ」と題する書面(甲8,23)
を配布した。前者には,平成20年10月以降事業再建のため
様々な手段を尽くしたかサフフライム問題に端を発した世界経済の変化により同年12月以降の経営環境か悪化し,平成21
年3月末の契約更新企業及ひその件数か想定より悪化するため,技術社員の人員削減を決定した旨か,後者には,経済情勢の著
しい変化と景気低迷長期化予想なとに対応するため,被告,株
式会社M,株式会社Nの技術事業3社の待機社員を対象として,
平成21年4月15日退職(予定)日として4000名の人員
削減を行うことなとか,それそれ記載されていた。なお,同書面には,被告若しくはDの具体的な財務状況及ひ人員削減の基
準は記載されていない。
これに対し,説明会出席者からは,出席者らか解雇対象者と
なった具体的理由なとの説明を求める質問か提出され,L支店
長は,詳しい回答は後日行うと回答した。そして,L支店長は,
同年3月15日,同説明会て寄せられた52の質問に対する回
答か記載された電子ファイル(甲9)を電子メールて送信した。原告は,同回答に納得せす,L支店長に対して,その後も電話
や電子メールて質問をしたか,回答はなかった。
ウ 被告は,原告を含む同年3月31日の時点の待機社員494名
のうち,同年4月中に新規配属された者及ひ同年3月末から同年
4月末の間に自己都合退職した者を除く全351名に対して,同
年4月18日付け若しくは同月30日付けて解雇する旨の意思表
示を行った(本件整理解雇)。原告には,同年4月30日付けて
解雇する旨の同年3月30日付け解雇予告通知書(甲3)か送付
され,同月31日に到達した。同通知書には,平成20年10月
時点のFクルーフとしての「事業再建計画」作成時の想定を超える経営環境及ひ雇用状況の激変による収益力の急速な低下並ひに平成21年3月末の契約更新件数悪化か予想されることなとか解雇の理由として記載されていた。
その後,本件整理解雇の対象となった技術社員のうち,36名
は新たな派遣先か確保てきたため,解雇は撤回された。
原告は,同年5月15日支払期日の給与の支払を受けた。また,
原告は,同月,約27万円の退職金を受領した。
エ 再就職支援
被告は,退職した従業員を対象とする再就職支援として,同年
4月18日から同年10月31日まてFクルーフ専用ウェフサイトて求人情報等を公開するとともに,再就職支援係か個別の退職者からの問合せに対して情報提供を行った。
オ 労働組合との交渉の状況
(ア) Fクルーフは,同年2月25日,従業員の約8割か加入している分会に対してリストラクチャリンクの実施を申し入れ,
同年3月17日まてに5回の団体交渉及ひ事務折衝を継続した。分会は,緊急合同連絡会,フロク,分会ニュース配布によって,組合員の意見集約を行った上て,同日,リストラクチャリンク
の条件について被告と合意に至った。そのうち,平成21年3
月11日ないし同年4月1日まての間に復社して待機状態とな
る予定の技術社員に関する条件は,「1解雇,または合意退
職:3月31日まてに解雇予告通知を行い,4月30日を以て,
解雇する。但し,合意退職条件に同意する者については,解雇
日と同日付けての合意退職(会社都合退職)とする。尚,3月
末日を以て一時帰休を終了するのて4月1日に復社する技術社
員に対しては,一時帰休を実施しない。2残有給休暇は買い上
けない。※兼業を許可」というものてあった。
(イ) 原告は,同年4月3日にIに加入した。被告と原告及ひIとの間ては,同月27日に第1回団体交渉か開催され,被告側
からは,J取締役,O管理本部・人事総務部シニアマネーシャ
ー,P管理本部・人事部労政担当か出席した。同日の団体交渉
て,被告は平成20年6月度の売上け,経常利益,技術社員の
待機率,リハイハルフランに基つき行った措置及ひ本件解雇に至る経緯なとを明らかにした一方,当期の損益や経常利益につ
いては質問を受けても明らかにすることはなかった。
原告及ひIは,同年5月11日,被告と第2回団体交渉を行
い,被告側からは,J取締役らか出席した。被告は,この際に
も,平成20年6月期以外の財務状況を明らかにせす,現在の
財務状況については黒字てあると述へるたけてあった。
2 以上の認定事実を踏まえて,争点について判断する。
(1) 本件解雇は,いわゆる整理解雇に該当するところ,整理解雇は,労働者の私傷病や非違行為なと労働者の責めに帰すへき事由による解雇てはなく,使用者の経営上の理由による解雇てあって,その有効性については,厳格に判断するのか相当てある。そして,整理解雇の有効性の判断に当たっては,人員削減の必要性,解雇回避努力,人選の合理性及ひ手続の相当性という4要素を考慮するのか相当てあり,以下このような観点から本件解雇の有効性について検討する。ア 人員削減の必要性
前記第3・1(2)ア及ひウの認定事実によれは,平成20年度における被告の売上け及ひ売上総利益かいすれも平成19年度より減少していたこと,平成21年3月末まてに派遣契約解消のため
待機社員となる技術社員か494名,同年4月の待機社員か420名(待機率17.1ハーセント)に上っていたことか,それそれ認められ,こうした待機社員の増加か,派遣事業を目的とする
被告の経営に影響を及ほすことは否定てきない。また,第3・1(3)のとおり,Fクルーフの中核会社てあった株式会社Cか,平成20年1月11日に労働者派遣事業停止命令等を受けたことを経
て同年7月31日に労働者派遣事業を廃止するに至ったこと及ひ
Dの業績悪化は,クルーフ会社てある被告の信用力等に一定の影響を与えたと推認される。
しかしなから,第3・1(2)アのとおり,被告は,平成20年5月度に経常利益か赤字に陥った以外,本件整理解雇以前の少なく
とも過去数年間は一貫して黒字てあり,本件整理解雇にあたって
被告における人員削減の目標を定めていたか否かも明らかてない。また,第3・1(2)イ(エ)のとおり,被告は,本件解雇予告通知日から約10か月後の平成22年1月からは求人を行うとともに,
退職者に声をかけて復職させている。そして,被告は,平成20
年度決算(同年7月から平成21年6月まて)て22億円を超える貸倒引当金を計上したと主張するか,原告か提出を求めている貸借対照表及ひ損益計算書等の客観的な経営資料を提出しておら
す,貸倒引当金について,その裏付けとなる経営資料等か提出されないため,かかる事実を認めることはてきない。加えて,第
3・1(2)エのとおり,被告は平成20年4月ころまてにDに対して20億6500万円を貸し付け,平成21年11月30日には
その貸付金及ひ未払利息2341万2275円の合計金20億8
841万2275円もの債権放棄をする一方て,前記貸付金と相
殺することもなく,平成20年初頭から指導料として毎月約50
00万円もの支払を続けていたのてあって,この点も,被告にお
ける人員削減の必要性を考えるに当たって消極的に判断すへき要
素というへきてある。
そして,これらの事情を総合すれは,被告の経営状態は好まし
くない方向に推移していたものと認められるものの,本件整理解
雇にあたり,その時点て,被告に切迫した人員削減の必要性かあったとまては認めるに足りない。
イ 解雇回避努力
前記第3・1(2)イのとおり,被告は,リハイハルフラン若しくは追加措置に基つき,平成20年7月以降,支店・本社の部署を
統廃合等して賃料及ひ人件費を削減したこと,役員報酬及ひ間接社員の給与の減額をしたこと,平成21年入社予定の新卒採用人
数を抑制し平成22年入社予定の新卒採用は中止したこと,間接
社員を対象として希望退職者の募集を実施して合計121名か退
職したこと,待機期間45日ないし120日以上の技術社員に対
して退職勧奨を行って合計393名か退職したこと,待機社員4
名をFクルーフ内の他社へ転籍させたこと,一部の待機社員の一時帰休を実施したことか,それそれ認められ,解雇を回避するために,一定の措置を講したといえる。
しかし,先に判示したとおり,被告か本件整理解雇当時に人員
削減の目標を定めていたかも明らかてはなく,また,第3・1(3)及ひ(4)記載のとおり,被告は,技術社員に対する希望退職者の募集を一切行わないまま,平成21年3月末時点の待機社員の人数
か494名に上るとの予測を受けて,直ちに原告を含めた待機社
員351名にも及ふ本件整理解雇を実施することを決定し,その
解雇通知を行っている。こうした事情によれは,人員削減の手段
として整理解雇を行うことを回避するため,希望退職の募集なと
他の手段により本件整理解雇を回避する努力を十分に尽くしたと
は認められない。
なお,被告は,技術社員に対する希望退職か,被告にとってか
えって人材流出という不利益をもたらし実効的な解雇回避措置と
して機能しない状況にあったと主張するか,かかる主張は,その
具体的な裏付けに乏しい上,先に認定した本件整理解雇に至る経
緯に照らせは,本件整理解雇に当たって一切の希望退職を行わな
いことの合理的根拠となり得ないというへきてある。
ウ 人選の合理性
先に判示したとおり,本件解雇当時の人員削減の必要性及ひそ
の程度は明らかてはなく,被告の人員削減の目標も明確てはないところ,第3・1(4)ウのとおり,被告は,平成21年3月末時点て待機状態にあり同年4月に新規配属されない若しくは同年3月
末から同年4月末の間に自己都合退職しないというたけて,これまての就業状況等を一切考慮せす待機社員351名を本件整理解雇の対象としているため,本件整理解雇の人選基準か,一般的に
合理性を有するとは認め難い。そして,この点を原告について個
別的に見るに,原告か被告と雇用契約を締結してから13年間に
わたり継続的に派遣先て勤務し,平成21年3月末に初めて待機
社員となったことは第3・1(1)のとおりてあり,このような原告の就業状況等を顧みることなく直ちに同年4月末に本件整理解雇
の対象としたことに,合理性を見出すことは困難というほかない。
以上のとおりてあるから,本件整理解雇については,その人選
基準それ自体に合理性かない上,本件解雇に至るまての原告の稼働状況に照らしても,原告を本件整理解雇の対象とすることには
合理性かない。
エ 手続の相当性
前記第3・1(4)イ,ウ及ひオのとおり,Fクルーフか,平成21年2月25日,分会に対してリストラクチャリンクの実施を申
し入れて,同年3月17日まてに団体交渉及ひ事務折衝を継続し,同日,人員削減の条件等について合意に達したこと,被告か,同
年3月9日,原告を含む解雇の対象者に対し,人員削減について
の説明会を開催し,説明会て出された質問事項については後日従
業員に対し回答書を電子メールて送付して説明したこと,原告か加入したIとの間においても2度の団体交渉を開催したことか,そ
れそれ認められる。
上記説明会及ひIとの団体交渉における被告の説明等は,被告
か具体的な財務資料等を提出しないことなとから原告にとって必すしも納得のいくものてはなかったことか窺われるか,被告か一定の説明及ひ協議を行っていること並ひに上記分会との交渉及ひ合意に至った経緯も総合すれは,被告の対応か明らかに相当性を欠くとまてはいえない。
オ 以上の諸事情を総合的に勘案すると,本件整理解雇の時点て被告に切迫した人員削減の必要性かあったとまては認められない上,被告において,本件整理解雇に先立ち,解雇回避努力を尽くした
とは言い難く,本件整理解雇の対象者の人選についても合理性を
認めることかてきないから,従業員及ひ労働組合との協議・説明については明らかに相当性を欠くとはいえないことを考慮しても,
本件整理解雇の一環としてなされた本件解雇は,本件就業規則2
0条6号の「経営上やむを得ない事由のあるとき」に該当すると
は認められす,また,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上
相当てあるとは認められない。したかって,本件解雇は無効てあって,原告は被告に対して,労働契約上の権利を有する地位にあ
ると認められる。
(2) 第2・1(5)のとおり,原告の給与は,当月末日締め,翌月15日払いてあり,証拠(甲6の
 1 ないし 3,乙16の
 1 及ひ
 2 並ひに原告本人)によれは,原告の平成21年2月度ないし4月度の各月の給与は,残業手当及ひ通勤時なとにおける自動車の使用に対する手当てある調整金を除き,職責給20万2500円,成果給8万8000円及ひ住宅補助5000円の合計29万5500円てあることか認められる。
以上によれは,原告は,被告との間の雇用契約に基つき,本件解雇後の直近の賃金支払日となる平成21年6月15日から本判決確
定の日まて毎月15日限り29万5500円の賃金支払請求権を有する。
第4 結論
以上によれは,原告の地位確認請求は理由かあり,賃金請求は,本件解雇後の直近の賃金支払日となる平成21年6月15日から本判決確定の日まて毎月15日限り29万5500円の支払を求める限度て理由かあるから,これらを認容し,その余については理由かないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担について民事訴訟法64条本文,61条を適用し,仮執行の宣言について,原告は訴訟費用についてのみこれを求めているか,当裁判所に職務上顕著てある原告及ひ被告間の当庁平成21年(ヨ)第478号地位保全賃金仮払仮処分申立事件の決定に照らすと,賃金請求について仮執行の宣言をするのか相当てあるのて,同法259条1項を適用して職権てこれを付すこととして,訴訟費用の部分については仮執行は相当てないのて付さないこととし,主文のとおり判決する。
横浜地方裁判所第7民事部
裁判長裁判官 深見敏正
裁判官薄井真由子
裁判官林まなみ
判例本文

この判例ページのURL

LINEで送る
Pocket