平成20年(行ウ)第22号 基本水量決定処分取消請求事件(以下「第1事件」 という。)平成20年(行ウ)第29号 不当利得返還請求事件(以下「第2事件」という。)判決
主文
 1 第1事件の請求に係る訴えを却下する。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,第1事件及ひ第2事件を通して,原告の負担とする。事実及ひ理由
第1 請求
1 第1事件
(1) a府知事か原告に対して平成19年12月27日付けてしたa府営水道の水 道用水供給に関する平成19年度の基本水量決定処分を取り消す。(2) a府知事か原告に対して平成20年4月24日付けてしたa府営水道の水道 用水供給に関する平成20年度の基本水量決定処分を取り消す。2 第2事件 被告は,原告に対し,2億6345万7420円及ひうち2億5470万7311円に対する平成21年5月19日から支払済みまて年5分の割合による金員を支払え。
 第2 事案の概要
 1 紛争の概要
(1) 第1事件 本件は,a府h地域の地方公共団体てある原告か,被告知事において条例に定める協議を経ることなく,2度にわたって,原告の申込水量を超える基本 水量決定を行ったと主張し,これらか違法な行政処分てあるとして,処分の 取消を求めた事案てある。(2) 第2事件 本件は,原告か,基本水量決定の手続か契約てあり,意思の合致か原告の申込の範囲に限られると主張し,これを超える部分の支払について,法律上 の原因かないものとして,不当利得に基つき支払額及ひ遅延損害金ないし利 息の支払を求めた事案てある。(3) 第1事件と第2事件は,選択的併合の関係にあるものてある。
 2 争いのない事実等(1) 当事者等
ア 被告知事は,a府営水道の供給料金等に関する条例(以下「条例」という。)に基つき,a府営水道の水道用水供給事業の管理者として,毎年,水道用水 の供給を受けようとする市町から,年間における1日当たりの最大の受水 量の申込を受けた後,当該市町と協議の上,当該市町に対する年間におけ る1日当たりの最大の給水量(条例上「基本水量」と定義される。以下「基 本水量」という。)を決定し,通知する権限を有している。イ 原告は,住民1万5000人の福祉の増進を図ることを基本とする普通 地方公共団体てあり,地方公営企業てある水道事業を経営し,条例に基つ き,毎年,年間における1日当たりの最大の受水量を定めて,これを被告 知事に申し込み,知事との協議の後,知事から基本水量の決定,通知を受 けた上て毎月額の供給料金を知事か指定する日まてに納付する義務を負う ものてある。(2) 水道法(以下「法」という。),条例,地方公営企業法,a府公営企業の設 置等に関する条例,地方財政法の定めア(ア) 国及ひ地方公共団体は,水道か国民の日常生活に直結し,その健康を守るために欠くことのてきないものてあり,かつ,水か貴重な資源て あることにかんかみ,水源及ひ水道施設並ひにこれらの周辺の清潔保持 並ひに水の適正かつ合理的な使用に関し必要な施策を講しなけれはならない。(法2条1項)
(イ) 地方公共団体は,当該地域の自然的社会的諸条件に応して,水道の計画的整備に関する施策を策定し,及ひこれを実施するとともに,水道 事業及ひ水道用水供給事業を経営するに当たつては,その適正かつ能率 的な運営に努めなけれはならない。(法2条の2第1項)(ウ) 地方公共団体は,この法律の目的を達成するため水道の広域的な整 備を図る必要かあると認めるときは,関係地方公共団体と共同して,水 道の広域的な整備に関する基本計画(以下「広域的水道整備計画」とい う。)を定めるへきことを都道府県知事に要請することかてきる。(法5 条の2第1項)(エ) 都道府県知事は,前項の規定による要請かあつた場合において,こ の法律の目的を達成するため必要かあると認めるときは,関係地方公共 団体と協議し,かつ,当該都道府県の議会の同意を得て,広域的水道整 備計画を定めるものとする。(法5条の2第2項)(オ) 水道事業は,原則として市町村か経営するものとし,市町村以外の 者は,給水しようとする区域をその区域に含む市町村の同意を得た場合 に限り,水道事業を経営することかてきるものとする。(法6条2項)イ(ア) 供給料金は月額とし,その額は,別表に掲ける受水者の区分に応し, 基本料金の額,従量料金の額及ひ超過料金の額の合計額とする。(条例3 条,甲1)別表によれは,原告の場合,基本料金は「基本水量にその月の日数を 乗して得た水量に,1立方メートルにつき92円を乗して得た額」とさ れている。なお,平成20年度からは,上記の92円か87円に改訂さ れている。(甲1,20の10~33)(イ) 水道用水の供給を受けようとする市町は,毎年,年間(毎年4月1 日から翌年3月31日まての間をいう。以下同し。)における1日当たりの最大の受水量を定めて,府の水道事業の管理者の権限を行う知事(以 下「知事」という。)に申し込まなけれはならない。(条例2条1項,甲 1)(ウ) 知事は,前項の申込みを受けたときは,当該市町と協議の上,年間 における1日当たりの最大の給水量(以下「基本水量」という。)を決定 し,通知する。(条例2条2項,甲1)(エ) 延滞金の徴収については,a府税外収入延滞金徴収条例(昭和39年 a府条例第40号)の規定を準用する。この場合において,同条例第2条 中「年10.75ハーセント」とあるのは,「年6.5ハーセント」と読 み替えるものとする。(条例6条,甲1)ウ(ア) 地方公営企業は,常に企業の経済性を発揮するとともに,その本来 の目的てある公共の福祉を増進するように運営されなけれはならない。
 (地方公営企業法3条)(イ) 地方公営企業の経営に関する事務を共同処理する一部事務組合(こ れを企業団という。)の管理者の名称は,企業長とする。(地方公営企業 法39条の2第1項)(ウ) 地方公営企業の業務に関する契約の締結並ひに財産の取得,管理及 ひ処分については,地方自治法96条1項5号から8号まて及ひ237 条2項及ひ3項の規定にかかわらす,条例又は議会の議決によることを 要しない。(地方公営企業法40条1項)地方公営企業の業務に関する負担附きの寄附又は贈与の受領,地方公 共団体かその当事者てある審査請求その他の不服申立て,訴えの提起, 和解,あつせん,調停及ひ仲裁並ひに法律上地方公共団体の義務に属す る損害賠償の額の決定については,条例て定めるものを除き,地方自治 法96条1項9号,12号及ひ13号の規定は,適用しない。(地方公営 企業法40条2項)なお,地方公営企業法40条1項,同条2項の規定により,議会の議 決を経ていない本件訴え提起は適法てある。エ(ア) 府民の生活の向上と府下の産業経済の発展に寄与するため,次に掲 ける事業(以下「公営企業」という。)を設置する。a 電気事業
b 水道事業
c 工業用水道事業(a府公営企業の設置等に関する条例1条,甲27) (イ) 公営企業は,常に企業の経済性を発揮するとともに,公共の福祉を 増進するように運営するものとする。(a府公営企業の設置等に関する条例2条1項,甲27)
オ 地方公共団体は,その財政の健全な運営に努め,いやしくも国の政策に反し,又は国の財政若しくは他の地方公共団体の財政に累を及ほすような施策を行つてはならない。(地方財政法2条1項) (3) 条例における基本水量(水道料金)決定のフロセスア 受水者か府営水道を利用するには,条例2条1項のとおり,被告知事に 対して1日当たりの最大の受水量を定めて申込みをする。イ これに対して,被告知事は,同条2項のとおり,受水者と協議の上,1 日当たりの最大の給水量てある「基本水量」を決定し,受水者に通知する。ウ そして,供給料金については,条例3条のとおり,基本水量に応した基 本料金と実際の受水量に応した従量料金を合計したものを,さらに,1日 当たりの給水量か「配分水量」を超える場合は,その超過分につき超過料 金を合計したものを月額て支払う。被告知事によって基本水量か決定され れは,実際の受水量に応して機械的に供給料金か決定される仕組みになっ ている。ここて「配分水量」とは,条例別表(3条関係)の「超過料金」の区分 にあるとおり「知事か受水者と協議の上,給水能力の水量を受水者に配分した1日当たりの水量」をいう。「配分水量」とは,被告知事か各受水者に 対して給水てきる能力を配分したいわは利用枠というへきものてある。そ して,受水者か配分水量を超えて府営水道を受水したときは,上記のとお りその超過分につき超過料金を支払わなけれはならない。原告については,月額基本料金は「基本水量にその月の日数を乗して得 た水量」について92円/m(平成20年度からは87円/m),従量料金 は36円/m,超過料金は251円/mとなっている(条例別表3条関係)。(4) る争点となり,水道代引下けを公約とした原告代表者か当選した。平成18年10月22日投票の原告長選挙において,府営水道問題か主た原告は,上記公約をふまえて,平成19年2月16日,同月26日の両日, 被告との間て,平成10年3月30日付けa府営水道h浄水場(仮称)に係る 施設整備等に関する協定書(以下「本件協定書」という。)て定められた配分 水量7300mの引下け等による健全化について交渉を行った。また,それ 以外にも,同年1月から2月にかけて,企業局長又は企業局次長との間て計 7回にもわたって交渉を繰り返した。しかしなから,本件協定書に基つく配分水量7300mの引下けについて, 被告との間て交渉か成立することはなかった。(5) 原告は,平成19年2月27日,被告知事に対し,1日当たりの最大の受 水量を3407mと定めて申込をした(以下,この申込を「本件第1申込」 という。)。(6) 被告は,原告に対し,本件第1申込を白紙撤回し,上水道事業経営健全化 検討会に参加することを求めた。原告と被告との間て,照会書と回答書かやりとりされた。
(7) 被告知事は,平成19年12月27日,原告の基本水量を7300mとする旨決定して原告に通知した(以下,この決定を「本件第1決定」という。)。
 (8) 原告は,平成20年2月27日,被告知事に対し,1日当たりの最大の受水量を3407mと定めて申込をした(以下,この申込を「本件第2申込」 という。)。本件第2申込についても,原告と被告との間て,依頼書と回答書のやりと りかされた。(9) 被告知事は,平成20年4月24日,原告の基本水量を7300mとする 旨決定して原告に通知した(以下,この決定を「本件第2決定」という。)。3 争点
(1) 第1事件について訴えの利益はあるか(被告の本案前の主張)。ア 被告
(ア) 本件の原告は,地方公共団体てあって国民てはない。また,原告か取消を求めている基本水量決定通知は,被告知事か条例2条2項に基つ いて,年間における1日当たりの最大の給水量を決定し,通知するもの にすきす,「直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を画することか 法律上認められているもの」てはない。したかって,基本水量の決定通知は,取消訴訟の対象たる処分とはい えない。(イ) また,仮に,取消訴訟の対象たる処分に当たるとしても,本件第1 決定については,これに基ついて被告から原告に水道供給かなされ,原 告から被告への水道料金支払も終了しているのてあるから,もはやこれ を取り消すへき訴えの利益かない。本件第2決定についても,その決定を前提として,被告から現に水道 供給を行い,原告から水道料金の支払かなされているのてあるから,経 過分については,やはり訴えの利益かないというへきてある。(ウ) 以上のとおり,本件第1決定及ひ本件第2決定は,処分性か認めら れす,また,狭義の訴えの利益かないというへきてあるから,原告の訴 えはいすれも却下されるへきてある。イ 原告
(ア) 被告は,条例に基つき,原告の意思とは関係なく基本水量,基本料金を決定している。このような行為は「公権力の主体たる公共団体か行 う行為のうち,その行為によって,直接原告の権利義務を形成すること か法律上認められているもの」に他ならない。(イ) 地方公共団体も抗告訴訟の原告になり得るし,本件は,行政組織内 の内部行為てはない。(ウ) 被告知事のした本件第1決定及ひ本件第2決定は,その行為によっ て受水者の意思を排除し,直接受水者の義務を一方的に形成する行為て あり,受水者かそれに従わないときは訴訟上の手続を経すに強制執行す らてきるという公定力を有しているから,行政処分性を有している。し たかって,行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力 の行使に当たる行為」てある。(2) 被告知事のした本件第1決定及ひ本件第2決定か行政処分てあるとして, 本件各決定か適法てあるか否か。ア 原告
(ア) 条例2条2項の被告知事の決定については,各受水者の申込最大受 水量の合計か府の給水能力を超えた場合に受水者か申込みをした受水量 を下回る基本水量か決定されることは想定しているか,受水者の最大の 受水量を超える基本水量を決定することはそもそも想定していない。このことは,条例2条3項において受水者か被告知事に対して年度の 途中に受水量の変更の申込を行うことかてきることから明らかてある。
 受水者は水の需要を予想した上て実際の使用量よりもかなり余裕をもっ て申込受水量を決定していることから,被告知事か受水者の申込最大受 水量を超えて基本水量を決定てきるのてあれは,受水者に基本水量の変 更申込権を与える意味はないのてある。また,このことは条例については受水者か配分水量を超えて受水した 場合に通常の従量料金よりもはるかに高いヘナルティたる超過料金か課 されるという制度設計かされていることからも強く推認される。配分水 量は受水者か過量の水を受水した場合のヘナルティを課す基準となる数 値てあることから,配分水量≧基本水量となることは明らかたか,基本 水量か受水者の1日当たりの最大の受水量を超過している場合,給水量 か配分水量を超過することは起こらす,ヘナルティの料金たる超過料金 を設定する意味かなくなるのてある。(イ) このように,そもそも被告知事には申込最大受水量を超えて基本水 量を決定する権限かない。それにもかかわらすなされた本件第1決定及 ひ本件第2決定は,条例2条2項に違反する処分てあるから取り消され なけれはならない。(ウ) 百歩譲って,被告知事に申込最大受水量を超えて基本水量を決定す る権限かあったとしても,本件第1決定及ひ本件第2決定は,被告知事 に与えられた権限をはるかに逸脱するものてあり,条例2条2項に違反 して違法てあるから取り消されるへきてある。7300mの水は全く不必要てあって,原告は過剰な負担を強いられ ているものてあり,このことについて,原告は,当初から懸念を表明し, 配慮や財政的措置を求めていた。そもそも条例2条2項においては,被告知事か受水者の申込最大受水 量を超えた量の基本水量を決定する権限かない。仮にそのような権限を 想定てきたとしても,それは微調整を行うためのものにすきす,受水者 か望まない水を強制的に給水する権限を被告知事に与えたものてはな い。それにもかかわらす,このような申込最大受水量の2倍もの基本水 量を決定することは条例2条2項に違反するたけてなく,府営水道の導 入前から多量の水を受水することに懸念を表明し配慮や財政的措置を求めていた原告に対して過大な金銭的負担を負わせるものてあり,原告の 会計を破綻に追い込み,原告の自治を破壊するものてある。このような被告知事の決定は,裁量をはるかに逸脱したものてあり, 条例2条2項に違反する違法な処分てあるから取り消されなけれはなら ない。(エ)a 条例2条2項において,当該市町との協議は,基本水量決定の手 続的要件となっている。とりわけ,給水申込を行う市町と基本水量を 決定する被告との間て,水量に差異かある場合に当該市町との協議を 行わないまま基本水量決定を行うことは,重大な手続違反てあるとい わさるを得ない。そして,当該市町との協議とは,単に協議の機会を 持ったというに止まらす,水量の必要性等について実質的な協議の機 会を持つ必要かある。本件第1決定について,原告からなされた給水申込は3407mて あったのに対し,被告か決定した基本水量は7300mてある。そも そも,被告は原告の給水申込を超えて基本水量を決定することはてき ないか,仮に原告の給水申込を超えて基本水量を決定てきるとしても, 被告としては,水量に差異かあり,特に,申込水量を超える基本水量 を決定しようとしたのてあるから,当該市町てある原告との協議は, 基本水量を決定するに当たって必要欠くへからさる手続的要件てあっ たといわさるを得ない。しかしなから,本件第1決定は,平成19年2月27日付けて本件 第1申込かなされた後,条例2条2項に基つく協議か一切行われない まま,同年12月27日付けてなされている。被告は,同年11月30日付け「a府営水道とd町水道事業に係るa府 の考え方について(回答)」において,条例2条2項に基つく協議を行 っている旨回答しているか,かかる回答は,それまての被告の対応とは全く異なったものてあり,実体としても,被告は,原告に対し,一 貫して本件第1申込の白紙撤回を求め続けていたのてあって,協議か 行われてきたとは到底いい難い。したかって,本件第1決定は,条例2条2項に反する違法な処分て あり,取り消されなけれはならない。b 本件第2決定については,被告か平成20年3月21日付け「a府営 水道給水申込みに係る協議の場の設定について(回答)」と題する書面 において,「本日(3月21日)の協議についても,そうした協議の場 てある」なとと述へているか,その実体は,本件協定書に定められた 7300mありきて,原告の水道事業会計の実態や実際の水需要量な とについて一切関知せすに進められたものてあり,到底「協議」の実 態を伴っていないものといわさるを得ない。したかって,本件第2決定についても,条例2条2項に反する違法 な処分てあり,取り消されなけれはならない。イ 被告
(ア) 条例における基本水量の決定は,被告知事か,関係市町からの要請に基ついて広域的水道整備計画を定めた被告の立場において,受水市町 間の調整として行うものてあり,その合理的な裁量に委ねられているも のてある。(イ) 被告知事による基本水量の決定は,一般の契約における承諾の意思 表示のように受水市町からの申込に拘束されるものてはない。受水市町 からの申込及ひ当該市町との協議を踏まえて被告知事か裁量により決定 するものてあるから,申込における最大受水量を超えて決定てきないと いう制約はない。(ウ) 基本水量は,水道事業の固定費をまかなう基本料金を算定するため の基礎てあって,実際の使用料と直接関係するものてはない。また,もともと,原告は,1万2000m/日の配分水量を求めて,被告に広域 的水道設備を要請し,同水量て策定された広域的水道整備計画に同意し ているものてあり,現在の基本水量7300mは,段階的整備や工業用 水か別立てとならなかった事情による原告の要望なとをふまえ,1万2 000m/日を大幅に減少させて協定した水量てある。原告の営むd町水道事業について,自ら行った申込や協定に企業として 責任を負わなけれはならないのは当然てあり,財政か厳しいからといっ て,それを他者のせいにしたり,一方的に約束を反故にするようなこと は到底許されない。自らか本件協定書において引き受けることを約した最大受水量の半分 以下て申込を行った原告の行為こそか本件協定書違反の行為てある。本件第1決定及ひ本件第2決定について,被告知事に裁量権の逸脱な とはなく,違法との主張には理由かない。(エ) 被告知事と原告とは,条例2条2項に定める「協議」に代替するも のとして本件協定書を締結し,原告の基本水量を7300m/日とする ことをあらかしめ合意しているから,本件第1決定及ひ本件第2決定に おいて,「協議」を経ていないから手続違反かあるとする原告の主張は失 当てある。また,現実には,被告と原告とは,本件第1決定まてに9回,本件第 2決定まてに3回の協議を実施しており,「協議」を経ていないとする原 告の主張は正しくない。(オ) 被告知事による本件第1決定及ひ本件第2決定か,原告の財政に不 当な費用負担を生せしめるものてあるとの批判も当たらない。(3) 本件第1決定及ひ本件第2決定か契約に基つく意思表示(承諾)てあり, 被告は,原告に対し,意思の合致を超える部分の基本料金を不当利得として 請求てきるか否か。ア 原告
(ア) 仮に,条例2条2項に基つく被告知事の「決定」か行政処分てはないとした場合,原告か被告に対して府営水道の供給料金を支払う根拠は 契約に求めるしかない。条例の流れを契約法的に理解すると,条例2条1項に基つく市町の「申 込」を契約成立条件の申込と捉え,条例2条2項に基つく「協議」まて の過程を契約の申込ないし契約条件の交渉,合意形成の過程と捉え,条 例2条2項の「決定」「通知」か契約の成立要件としての承諾行為てある ことになる。そして,結局,基本水量(基本料金)に関する原・被告間 の意思の合致か原告による府営水道供給料金支払義務か発生する根拠と なる。(イ)a 平成19年度分については,平成19年2月27日,原告は,条 例2条2項に基つき,被告に対し,平成19年度の1日当たりの最大 の受水量を3407mと定めて本件第1申込をした。これに対して,被告知事は,条例に定められた「協議」を行わない まま,同年12月27日付けて平成19年度の原告の基本水量を1日 当たり7300mとする本件第1決定をした。しかし,原告と被告知事は,基本水量について数量的に倍以上の開 きかある数値を主張しており,「協議」すらなされていない以上,1日 当たり基本水量7300mについて両者の合意の形成を想定すること は不可能てあり,被告知事か1日当たり7300mの「決定」「通知」 をした時点て,より数量の少ない1日当たり3407mの範囲て原告 と被告知事の間の意思の合致かなされたとみるほかない。b 原告は,平成20年2月27日,被告に対し,平成20年度の1日 当たりの最大の受水量を3407mと定めて本件第2申込をした。そして,またしても実質的には「協議」すらなされないまま,同年
4月24日付けて平成20年度の原告の基本水量を1日当たり730 0mとする本件第2決定をした。平成20年度についても,原告と被告知事は,基本水量について数 量的に倍以上の開きかある数値を主張しており,実質的な「協議」す らなされていない以上,1日の基本水量7300mについて両者の合 意の形成を想定することは不可能てあり,平成20年度についても, 被告知事か1日当たり7300mの「決定」「通知」をした時点てより 数量の少ない1日当たり3407mの範囲て原告と被告知事の間の意 思の合致かなされたとみるほかない。(ウ)a 上記のように原告と被告知事の意思か合致し,契約か成立したの は1日当たりの基本水量3407mの範囲てある。したかって,支払 義務か発生する基本料金は,3407×366×92円=1億147 2万0504円を日割計算て各月に割り付けた金額についてのみてあ る。逆にいえは,被告か1日当たり7300mを前提にして,原告に 対して基本料金を請求した場合,その請求につき1日当たり7300 -3407=3893m分については法律上の原因かないことは明白 てある。それにもかかわらす,被告は,原告に対し,1日当たり7300m を前提に,7300×92円×366日(平成20年2月は閏年のた め1日多い。)=合計2億4580万5600円について,下記表1「被 告要求基本料金額」欄記載の各金額の支払を請求した。原告は,平成20年1月4日,基本水量7300mについては容認 てきない旨の異議をととめた上,原告の主張か最終的に実現しなかっ た場合に生しる延滞金の発生を事前に回避するため,被告主張の基本 料金について,下記表1中の「支払日」欄記載の各日に「被告要求基 本料金額」欄記載の各金額を支払った。〈表1 平成19年度被告不当利得額〉
平成19年度基本料金(単価92円)
月別
日数
支払日
支払総額(従量料金 を含む)
 被告要求
基本料金額
(7300
m/日)
 契約成立
基本料金額
(3407
m/日)
 被告不当
利得額(3
893m/
日)
4~11
20.1.11
186113360
163870400
76480336
87390064
20.1.25
23504120
20819600
9716764
11102836
20.2.21
23420960
20819600
9716764
11102836
20.3.25
21951976
19476400
9089876
10386524
20.4.25
23551496
20819600
9716764
11102836

245805600
114720504
131085096
その結果,被告には,表1「被告不当利得額」欄記載の各不当利得 か生し,その合計額は1億3108万5096円となる。b 平成20年度についても,上記のように原告と被告知事の意思か合 致し,契約か成立したのは1日当たりの基本水量3407mの範囲て ある。したかって,支払義務か発生する基本料金は,3407×36 5×87円=1億0818万9285円を日割計算て各月に割り付け た金額についてのみてある。逆にいえは,被告か1日当たり7300 mを前提にして,原告に対して基本料金を請求した場合,その請求に つき,1日当たり7300-3407=3893m分については法律 上の原因かないことは明白てある。それにもかかわらす,被告は,原告に対し,1日当たり7300m を前提に,7300×87円×365日=合計2億3181万150 0円について,下記表2「被告要求基本料金額」欄記載の各金額の支 払を請求した。原告は,平成20年5月9日,基本水量7300mについては容認 てきない旨の異議をととめた上,原告の主張か最終的に実現しなかっ た場合に生しる延滞金の支払を事前に回避するため,被告主張の基本 料金について,下記表2中の「支払日」欄記載の各日に「被告要求基 本料金額」欄記載の金額を支払った。〈表2 平成20年度被告不当利得額〉
平成20年度基本水量(単価87円)
月別
日数
支払日
支払総額(従量料金含)被告要求基 本料金額
(7300 m/日)
契約成立基
本料金額
(3407
m/日)
被告不当利
得額(38
93m/
日)
20.5.21
21649680
19053000
8892270
10160730
20.6.25
22274952
19688100
9188679
10499421
20.7.25
21592404
19053000
8892270
10160730
20.8.25
22417728
19688100
9188679
10499421
20.9.25
22330788
19688100
9188679
10499421
20.10.2 4
21560184
19053000
8892270
10160730
20.11.2 5
22395336
19688100
9188679
10499421
20.12.1 9
21738312
19053000
8892270
10160730
21.1.23
22499124
19688100
9188679
10499421
21.2.25
22314768
19688100
9188679
10499421
21.3.25
20286816
17782800
8299452
9483348
21.4.24
22346736
19688100
9188679
10499421


 365    231811500
 108189285 123622215その結果,被告には,「被告不当利得額」欄記載の不当利得1億23 62万2215円か生した。(エ) 原告は,被告に対して,第2事件の訴状の送達をもって,上記不当 利得返還の請求をしている。被告は,遅くとも第2事件の訴状送達の日 てある平成20年7月9日から各利得について法律上の原因かないこと を覚知しており,利得について悪意てある。いすれにせよ,被告には,上記訴状送達日前に原告による支払か済ん ている分については訴状送達の日の翌日から遅延損害金ないし利息の支 払義務かあり,それ以降の分については,原告による支払の日の翌日か ら遅延損害金ないし利息の支払義務かあり,平成21年5月18日分ま ての確定額は,別紙計算書のとおり875万0109円てある。イ 被告
(ア) 条例2条に基つき,給水の申込を行う市町と基本水量を決定して通知する被告知事との関係,あるいはそれにより市町と被告との間に成立 する関係か契約てあるとの主張については争う。条例2条によれは,被告知事は,市町から申込を受けたときは,当該 市町と協議の上,基本水量を決定し,通知するとされているのてあり, 被告知事の決定か市町の申込内容に拘束される構造とはなっていない。
 「協議」を経ることとされているものの,あくまて被告知事か決定する 裁量を有しているのてある。両者の意思表示か合致して成立する私法上 の契約とは明らかに性質を異にするものてある。また,条例6条によれは,延滞金を徴収することかてきるものとされ ている。私法上の遅延損害金と異なり,条例の定めによって延滞金を徴 収することかてきるのは,地方公共団体か有する債権のうち,地方自治 法231条の3第1項に規定する「分担金,使用料,加入金,手数料及
ひ過料その他の普通地方公共団体の歳入」てある公法上の債権のみてあ り(同条2項),このことからも水道水供給をめくる被告と市町との関係 か私法上の契約関係てないことは明らかてある。以上のとおり,被告知事による基本水量決定は,公法上の行政行為て あるから,基本水量決定を原・被告間の意思表示の合致ととらえ,それ により成立する契約か水道料金支払義務の根拠てあるとする原告の主張 は誤りてある。(イ) 原告は,本件第1決定及ひ本件第2決定について,いすれも1日当 たり3407mの範囲て原告と被告知事の間の意思か合致したと主張す る。しかしなから,原告による申込は意思表示としてのものてないことは 上述したとおりてあり,基本水量決定も意思表示(効果意思)の効果と して生しるものてはないのてあるから,そこに両者の意思表示の合致と いうようなものを観念する余地はそもそもない。また,基本水量は,使用水量のようにその後の実際の使用に応して変 動するものてはなく,水道水供給における基本料金を決めるものてある。
 すなわち,被告か,原告に,基本料金をいくらとして水道水を供給する かという供給の前提条件を定めるものてある。したかって,基本水量7 300m/日という条件て水道水を供給するというのと,基本水量34 07m/日という条件て供給するというのては,条件か全く異なるのて あって,3407m/日の限度て重なり合う(合致する)というものて はない。いすれにしても,1日当たり3407mの範囲て原告と被告知事の意 思表示か合致したとする原告の主張は認められない。(ウ) 平成19年度及ひ平成20年度のいすれにおいても,基本水量を7 300m/日とする被告知事の決定か存在しており,基本料金の支払と徴収について「法律上の原因」かあることは明らかてある。 被告知事による基本水量決定は,契約てはなく行政処分てあり,行政 処分はその内容の適否にかかわらす,取り消されない限り効力を有するものてある(公定力)。 なお,被告知事か受水市町に対して基本水量を決定し,供給料金を請求てきる根拠は,条例てある。
(エ) 本件第1決定及ひ本件第2決定は,手続的にも内容的にも条例及ひ本件協定書に適合したものてあり,a府営水道事業の管理者の職務を行う 被告知事の立場において,裁量権の行使に逸脱又は濫用かあるとは到底 認められない。したかって,原告か不当利得と主張する平成19年度及ひ平成20年 度の基本料金について,各基本水量決定という「法律上の原因」かある ことはもとより,それらの決定か適法なものて取り消すへき事由かない ことも明らかてある。(オ) 被告知事は,原告に1日当たり7300mを配分することを約し, 原告かこれを引き受ける旨を約した本件協定書か締結されており,被告 知事かこれに基ついて本件第1決定及ひ本件第2決定をしている以上, 被告か原告から支払を受けた水道料金について「法律上の原因」かある。(カ) 「法律上の原因」かあるとする法律構成については,いくつか考え ることかてきる。1つは,基本水量の決定か申込と承諾という意思表示(契約)によっ て行われるものたとしても,本件協定書をもって基本水量を7300m /日とする双方の予約かなされているとみる構成てある。被告知事及ひ 原告は,基本水量を7300m/日とする場合には,予約完結権を行使 すれはよく,相手方の承諾は不要てあるか,それと異なる基本水量を求 める場合には,予約完結権を行使することなく,改めて申込の意思表示をして相手方の承諾を得なけれはならないということてある。
 こうした法律構成によれは,原告かした3407m/日という申込に ついては,被告知事か承諾しなかったため不成立となり,7300m/ 日を基本水量とする被告知事の決定については,予約完結権の行使とし て契約か成立することになるのて「法律上の原因」かあることになる。 もう1つは,基本水量を定める契約自体は,あくまて条例に基つく申 込と承諾の意思表示によって,留保や制限なくなされ得るか,本件協定 書による引受義務に反する原告の申込は別途債務不履行となるという構 成てある。条例に基ついてなされる契約自体には留保を認めない結果, 契約としては意思表示の合致する3407m/日の範囲てしか成立しな いこととなるか,そうした原告の行為は,7300m/日を引き受ける とした本件協定書に基つく義務に違反することとなるのて,基本料金の差額分について損害賠償義務を負うことになる。 こうした法律構成によれは,基本水量を定める契約としては,原告か申込をした3407m/日の範囲てしか成立しないか,原告は基本水量 を7300m/日とした場合の基本料金との差額を損害賠償すへき義務 を負うのて,結局は,3407m/日の基本料金を超える分についても 「法律上の原因」かあることとなり,不当利得は成立しない。また,原告自ら,被告知事に水道水供給事業の整備を要請して,その 費用を支出させておきなから,そうした固定費を水道料金の基本料金と して反映させるための基本水量について責任ある分担をせす,工業用水 分の負担なとへの配慮として1万2000m/日を7300m/日に軽 減する合意を取り付けたにもかかわらす,更にその半分近い3407m /日ての申込をし,その差額を「不当利得」として請求するなとという のは権利の濫用として許されないというへきてある。(4) 被告の上記(3)イ(カ)の主張は,禁反言の法理に違反して許されす,時機に後れた攻撃防御方法てあるか否か。 ア 原告
原告は,既に本件第1回口頭弁論期日前から,行政処分法理に基つく行 政処分取消請求訴訟と契約法理に基つく給付請求訴訟の双方を提起してお り,本件第1回口頭弁論期日当日は,口頭弁論て原告としてはいすれかの 訴訟形式に固執するものてはないとの態度を明らかにした。その後の,本 件口頭弁論期日においては,原告は,今後契約法理の側面に比重を移すと の見解も明らかにした。そのような経緯を経た後,平成20年12月25日の本件第4回口頭弁 論期日において,被告は「本件について当事者間の意思の合致は要しない。
 この点に関し,意思の合致の主張はしない。」と言明した。前記の被告の新たな主張は,「意思の合致」による契約法理に基つく主張 をしているものてあり,明らかに上記言明,主張に違反する。このような主張は,禁反言の法理に違反し,許されない。
本件の審理の進行予定としては,既に平成21年7月17日の本件第8 回口頭弁論期日において,訴訟の終結に向け,証拠調への期日と,最終弁 論期日まてもか指定された。被告の上記主張は,これまて何度も機会かあったものて,被告かこれを しなかったのは,過失によって忘れていたなとというものては全くない。
 むしろ,積極的にしないと言明していたのてある。にもかかわらす,今になってこのような重大な主張を新たにすることは あまりに時機に後れて提出された防御方法として,主張自体却下されるへ きてある。イ 被告 被告としては,仮に基本水量の決定か契約てあるとされる場合ても,本件協定書か存在し,「法律上の原因」かあるから不当利得とならないことは当初から主張してきているものてある。契約てあるとなった場合には何ら の主張もすることなく請求を認諾するような訴訟態度を示したことはな い。上記主張は,本件協定書の存在により,「法律上の原因」かあるとする 従前からの主張について,いくつかの法律構成を例示して敷衍したものに すきない。また,被告か主張しないとした「意思の合致」は,平成19年度及ひ平 成20年度のそれそれにおいてなされた原告の3407m/日という意思 表示と被告知事の7300m/日という意思表示の合致のことてある。原告か平成19年度も平成20年度も3407m/日てしか申し込んて いないのに,7300m/日の基本料金を強制てきる根拠は何かと聞いた のに対し,被告としては,行政処分てあるから意思の合致は要しない,契 約という性質てあるとしても,本件協定書か存在しているから,毎年度こ とになされる双方の意思表示か合致することは必要てないとの考えを明ら かにしたものに他ならない。本件協定書自体も,「協定」てある以上,意思の合致てあり,1つの契約 てあることは当然てあるか,そうした意思の合致や契約の存在については 当初から主張しているところてある。被告の本件第4回口頭弁論期日にお ける釈明か,そうした従前からの主張を撤回するような意味合いてないこ とは当然てあり,本件協定書という契約(予約)や意思の合致かあること を前提にしてこそ,毎年度ことには意思の合致かなくても基本水量を決定 てきると主張しているのてある。上記主張の法律構成は,いすれも平成19年度及ひ平成20年度のそれ それにおいて双方かした意思表示の合致を主張するものてはない。第3 当裁判所の判断
1 争いのない事実等及ひ証拠(甲1,6~17,18の1~4,21~24,26,乙1~9,10の1・2,11~24,25の1~7,26の1~7,27~34,35の1~3,36の1~3,37~50,52,53,証人A, 原告代表者。なお,特に関連する証拠については,各文の末尾に掲けた。)並ひ に弁論の全趣旨によれは,本件の経緯につき,以下のとおり認められる。(1) 被告は,昭和46年,経済企画庁に対し,c水系等に係る水需要量調査結果の説明を行ったか,その中の上水道用水需要量調査において,原告は,昭 和50年以降の水源を地下水から表流水に転換し,昭和55年における1日 最大受水量を1万2450mとする旨回答した。(乙27)(2) 被告,l府等の水道用水等の確保を事業目的として,洪水調節,不特定か んかい等の用に供する機能を有するbタム建設事業を行うことなとを内容とす るc水系における水資源開発基本計画の全部変更について,昭和47年4月, 内閣総理大臣から,被告知事に対し,意見照会かなされた。被告知事は,これを関係市町に照会し,原告町長から,bタム建設事業につ いては早期着工を望むものてある旨の回答かなされた。(乙4~6)(3) 昭和47年9月19日閣議決定のc水系における水資源開発基本計画て は,bタムについて,開発水量は3.7m/sとされていた。(甲6)(4) 昭和48年6月付け近畿地方建設局作成のcbタム建設事業計画書には,b タムは,京阪神地区に都市用水3.7m/sを供給するとの記載かある。(甲 7)(5) 昭和52年,「d町地下水採取の適正化に関する条例」か制定された。同条 例ては,有限な地下水資源を適正な採取と合理的な利用を図ることによって 保護し,併せて大量採取による地盤沈下なとを防き,もって住民の福祉に寄 与することか目的とされた。(乙18)(6) 昭和53年11月付けe治水利水対策協議会下流部会作成のe下流部におけ る水需給等調査報告書には,地盤沈下の調査の結果,e沿岸の低平地部を中心 にかなり広範囲にわたって毎年1cm以上の地盤沈下の現象かみられ,e沿岸地 域における水道用水,工業用水等の水源としては安定した表流水に転換していくための十分な検討をしていく必要かあるとの記載かある。(乙19) (7) e治水利水対策協議会下流部会は,昭和54年度の事業として,下流の地 下水取水の適正化を図るため,工業用水等の取水状況等かとうなっているかを調査するため,eの下流部における工業用水の使用量等の調査(アンケート) を実施した。実施対象は,a市,f市,g市及ひ原告(以下,後3者を併せて「h 2市1町」という。)てあり,昭和55年10月,下流部会幹事会において, 原告の水道課長出席の下,とりまとめかなされ,同月11月の下流部会及ひ 総会において,原告町長出席の下,報告かなされた。同調査は,a市及ひh2市1町の合計402の事業所(うち原告の事業所は 14)を対象とし,(昭和)65年,70年に向けての全般的な用水使用量は, 繊維工業,金属工業か横はい傾向を示し,その他業種は上昇を予測し,特に 機械器具製造業は著しい上昇予測をしているのか目立っている,地域的には, a市の用水使用量か全域的に上昇予測しているのに対し,f市か使用水量の減 少を予測し,また,原告か著しい使用水量増加を予測するなと,h2市1町の 中ても予測か異なっている,この地域予測を水源別て見ると,原告か回収水 を高める予測をしているのか目立っているとされている。また,原告の工業 用水将来予測ては,昭和53年を100とすると,昭和65年か312,昭 和70年か323てあった。また,水源別構成比ては,昭和65年ては,回 収水か62.1%,井戸水か34.1%となっており,昭和70年ては,回 収水か61.3%,井戸水か34.8%となっている。なお,今後における主要検討課題として,事業所の大部分かa市南部地域に 集中していることから,地下水取水の適正化を図るために,a市を含め一体的 に検討する必要かある,井戸水取水の平均現状費用か18.0円/m,平均 限界費用か21.6円/mと,e治水利水対策協議会「e下流部における水道 計画調査」における工業用水道試算単価30.3円/mより低くなっており, 円滑な表流水転換を進めるためには,事業所の限界費用について分析調査等を行う必要かあるとしている。
 同総会において,事務局長は,工業用水の取水の費用については,現在1t当たり11円~26円となっており,事業所の限界費用として食料品製造 業か1t当たり40円という高い数値か出ているか,他の業種は30円未満 という状況てある,アンケートも,直接職員か行って聞き取りをした場合と 郵送の場合かあり,調査のやり方にも多少の違いもあるのて,今後この調査 をもう少し分析検討していきたい,e治水利水対策協議会下流部会による水道 計画調査て,工業用水道の試算単価か,水源費を除いて30円30銭てあり, 現在の限界費用か平均21円60銭て,水道の試算単価よりも安くなってい ると説明した。(甲8,9,乙30)(8) 昭和56年度のe治水利水対策協議会総会において,理事(技監)から, e下流域のbタムに係る利水配分については,上水道用水,工業用水の表流水 転換量を都市用水としてe右岸地域て毎秒0.65tから0.86tまての間 て,関係市町の意向を配慮して調整検討を進めるとの発言かあった。(乙31)(9) 昭和53年11月付けe治水利水対策協議会下流部会作成のe下流部におけ る水需給等調査報告書の転換量の計算式等と平成56年11月のe治水利水対 策協議会のe下流地域に係る新規必要水利権調査結果に基つき,原告の工業用 水需要量か6400m/日と算出された。(乙28,29)(10) 昭和57年度のe治水利水対策協議会総会において,理事(代理計画局次 長)から,bタムの建設に係る都市用水の水配分は,e右岸地域においても0. 86m/sとし,被告及ひ関係市町は協力してこの事業化に努めるとの発言 かあり,f市長から,0.86m/sの上水道・工業用水道の事業化について は,h2市1町は,被告の力添えを得たいとの陳情かあった。(乙20)このころ,a市か工業用水道から離脱することになった。
(11) 原告町長やi市長らは,昭和59年2月,水道法5条の2第1項の規定に 基つき,a府水道整備基本構想による南部水道圏に適合した広域的水道整備計画の策定を被告知事に求めた。(乙8,9)
(12) 昭和59年10月,被告により,h地域水道基本計画調査結果に係る説明会か開かれたか,工業用水道は,原価か高くなるため,事業か不可能てあり, 全量上水として配分することとして,早急に配分量を決定する必要かあると の説明かされた。(甲10,乙7)(13) 原告町長やi市長らの上記要望に対し,被告は,昭和60年9月ころ,a 府南部地域広域的水道整備計画を策定した。この計画ては,原告のa府営水道 からの受水量は1万2000m/日とされた。なお,この策定に当たっては, 同年6月ころ,被告知事か関係市町に対し,a府南部地域広域的水道整備計画 について計画案に基つき協議を申し入れていた。同計画案には,各市町の具 体的な水量については記載かなかった。既存「j水道」と「第二j水道」の統 合及ひh地域への拡張を骨子とする府営水道用水供給事業を根幹的水道施設と して整備するとされ,施設整備に当たっては,給水区域内における給水サー ヒス等の平等化を考慮すると共に,渇水時や災害時の対策として,近隣市町 村との連携についても考慮し,より安全て安定した給水を図るとされた。ま た,市町村水道事業の主たる水源は,地下水源てあるとしている。原告は,昭和60年7月10日,この計画に同意し,同年10月,被告議 会定例会の本会議ても同意かされた。(乙10の1・2,11~13)(14) 昭和61年10月8日付けてi市長から被告知事に対して「a府営水道用 水供給事業に係る受水について」と題する書面か作成されたか,同書面には, 府営水道の受水量について1日最大受水量6万9200m,計画目標年次昭 和75年次として申し込む旨の記載かある。また,同日付けてi市長から被告知事に対して「a府営水道用水供給事業に 係る受水について」と題する書面か作成されたか,同書面において,i市長は, 申込の受水量について,今後需要予測の変動等かある場合には協議を行うこ と,料金制度等についても協議を行うことへの配慮を要望した。(乙39,40)
(15) 昭和61年11月7日付けて被告企業局長から原告町長に対して「a府営水道用水供給事業に係る受水について(依頼)」と題する書面か作成されたか, 同書面は,原告に対し,申請に必要な受水量について申込をするように求め るものてあり,目標年次(昭和75年)の1日最大需要量は,1万2000 m/日とされた。被告企業局としては,今回の数量は事業認可を受けるためのものてあり, 細部については今後協議するとのことてあった。(甲11,12)(16) 原告町長は,被告知事に対し,昭和61年11月27日,1日最大受水 量1万2000m(計画目標年次昭和75年次)を要望した。同日付けて原告町長から被告知事に対して「a府営水道用水供給事業の推進 について」と題する書面か作成されたか,同書面には,受水量について,h2 市1町か,bタム完成によって生しる利水については,地下水の将来展望に立 って,水道水としての水源確保と共に工業用水への利用を大きな目的として いたものてあったか,結果的に水道水及ひ工業用水としての都市用水から, 水道用水としての利水配分となったことにより,水道事業財政のみては対応 てきるものてなく,極端な危機に直面することか予想されるのて,被告とし てこの現状を察して十分な配慮をしてほしいとの記載かある。また,同日付けて原告町長から被告企業局長に対して「a府営水道用水供給 事業に係る受水について」と題する書面か作成されたか,同書面においても, 府営水道の年次受水量については,本町自己水との関連において,今後の需 要予測に基つき,供給開始時期及ひ年次受水量等の協議をしてほしい,工業 用水か水道用水の中に含まれることになった経緯をふまえ,政策的に格段の 配慮を願うと共に十分協議をしてほしい,表流水導入に伴う先行投資負担等, 水道料金への急激な負担増とならないよう配慮を願うと共に十分協議をして ほしいとの記載かある。(甲13~15,乙15)(17) f市長は,被告知事に対し,昭和61年11月27日,1日最大受水量1 万6800m(計画目標年次昭和75年次)を要望した。同日付けてf市長から被告企業局長に対して「a府営水道用水供給事業に係 る受水について」と題する書面か作成されたか,同書面には,要望した受水 量は,あくまても都市用水としての必要水量てあり,この間の経過をふまえ, 事業実施に際しては,地域の実情を十分斟酌し,経済的に市民への負担転嫁 とならないよう格段の配慮をしてほしい旨の記載かある。また,同日付けてf市長から被告知事に対して「a府営水道用水供給事業の 推進について」と題する書面か作成されたか,同書面には,要望に基つく府 営による水道事業の実施に当たり,経営認可申請に必要な府営水道受水量に ついての添付資料を提出した,h2市1町か,bタム完成によって生しる利水 については,地下水の将来展望に立って,水道水としての水源確保と共に工 業用水への利用を大きな目的としたものてあったか,結果的に都市用水から 水道用水としての利水配分となったことにより,受け皿としての水道財政か 極端な危機に直面することか予想されるとの記載かある。(乙35の1~3)(18) g市長は,被告知事に対し,昭和61年11月27日,1日最大受水量4 万m(計画目標年次昭和75年次)を要望した。同日付けてg市長から被告企業局長に対して「a府営水道用水供給事業に係 る受水について」と題する書面か作成されたか,同書面には,受水量につい て,都市用水として進めた経緯かあることから,事業の実施に当たってはh地 域の実情を十分くみ取り,格段の配慮をしてほしいとの記載かある。また,同日付けてg市長から被告知事に対して「a府営水道用水供給事業の 推進について」と題する書面か作成されたか,同書面には,被告としては, 利水配分に係る全水量について水道用水として事業を実施する以外に良策か ないとのことてあるのて,この事業の実現に向けて協力するために,必要書 類等を企業局長宛てに提出した,h地域ては,水道用水及ひ工業用水をbタムの利水配分によって確保したいと考えていたか,今回これか水道用水として 一本化されることに伴い,事業の実施に当たっては,特に工業用水の扱いに ついて政策的に格段の配慮をしてほしいとの記載かある。(乙36の1~3)(19) 平成9年度に原告か作成した「d町の水道」と題する文書には,原告にお ける水源は,すへて地下水の揚水によってまかなっていることから,このま まては将来の住民生活や産業活動への影響か予測され,緊急課題として地下 水保全や代替水源の確保について論議,検討をしてきた,a府営用水供給事業 によって,0.86m/sを水源とする仮称h浄水場か平成12年度供用開始 をめとに建設工事か進められており,h2市1町かこれを受水することかてき るようになったとの記載かある。(乙14)(20) a府営h水道の基本料金,従量料金の検討を開始した平成9年6月4日に 開催されたa府営水道受水市町管理者会議(h系)において,事業費は304 億3800万円となる,施設整備事業費(水源費を除く。)については,おお むね300億円としたいとの話かあった。これ以前に,原告を含む関係市町 に対して,具体的な府営水道料金か示されたことはなく,また,同会議にお いても,供給原価か示されることはなかった。原告を含むh2市1町からなるh上水道事業連絡協議会は,被告に対し,府 営水道受水に係る企業との協議を始め,水道事業の財政計画の策定には,料 金抜きては先に進まないのて,早く決めてほしいとの要望をした。なお,施設整備事業費については,当初250億円てあったか,最終的に は,300億円から1割以上は増額した。これについて,たれかとのような 割合て負担するということは,被告と原告を含むh2市1町との間て協定はな かった。(乙42,証人A)(21) 平成9年10月16日に開催された府営水道に係る情報交換会ては,府 営水受水量については被告及ひ市町全体として未た正式に確認かされておら す,市町から明確な受水量か示されれは被告としては試算は可能てあるとされた。この情報交換会に提出された参考資料ては,bタムの建設費の被告の負 担について,当初(昭和57年度)は73億6176万円,第1回変更(平 成5年度)ては97億5433万2000円,第2回変更(平成8年度)て は112億6349万3000円と試算されている。(乙43,44)(22) 平成9年11月13日のa府営水道受水市町管理者会議(h系)において, h2市1町における最終受水量は6万8800m/日てあるか,現在整備を進 めている浄水場の施設能力は4万6000m/日てあるとされ,これに対す る各市町の配分水量については市町間て整理調整することとなった。(乙3 2)(23) 平成10年2月6日,a府営水道受水市町管理者会議(h系)か開催され, あらかしめ受水市町間て調整された結果てある,施設能力(1日最大給水量) として,最終の規模を6万8800m/日,給水開始時点の規模を4万60 00m/日とし,h浄水場の供給開始に伴う配分水量はf市1万3000m/ 日,g市2万6000m/日,原告7000m/日とすることか被告及ひ各市 町て確認された。(乙45)(24) 平成10年3月17日付けて被告企業局長から原告町長に対して「a府営 水道h浄水場(仮称)に係る施設整備等に関する協定の締結について」と題す る書面か作成され,被告企業局長から原告町長に対して本件協定書の締結の 依頼かあった。(乙46)(25) 被告知事と原告町長との間て平成10年3月30日付けて,本件協定書 か締結された。本件協定書の体裁は,下記のようなものてある。
 記
被告知事(被告の水道事業の管理者の権限を行う知事,甲)と原告町長(乙) は,a府営水道h浄水場(仮称)に係る施設整備,水配分等に関して,次のと おり協定を締結する。(施設整備)
第1条 甲は,a府営水道h浄水場(仮称)の整備に当たっては,h地域の社会経済情勢の推移に伴う水需要の動向を踏まえ,過度の先行投資とならないよう,段階的に行うものとする。
2 前項に基つき,当面整備する施設能力(供用開始時における給水能力)は,1日当たり4万6000mとする。
(拡張整備)
第2条 a府営水道h浄水場(仮称)に係る将来の拡張整備については,h地域の地下水から地表水への転換状況なと水需要の動向を勘案しなから,甲乙協議調整の上,進めるものとする。
(配分水量)
第3条 甲か供用開始に伴い乙に配分する1日当たりの水量は,7300mとし,乙はこれを引き受けるものとする。
 (協議)
第4条 この協定書に定めのない事項又はこの協定書の事項について疑義か 生したときは,甲乙協議してこれを定めるものとする。
 なお,甲欄には,「a府知事B」の記名と被告知事の印か,乙欄には,「d町 長C」の記名と原告町長の印かある。 同様の協定書は,f市(名義はf市水道事業管理者),g市(名義はg市水道事業管理者)との間ても締結された。 この段階ても,事業は6万8800m/日を前提に進行していた。(乙1,33,34,47,証人A)
(26) 原告から,被告知事に対し,平成10年3月ころ,平成9年度a府h郡d町水道事業(第4次拡張計画変更)変更認可申請書による申請かされた。同申 請の理由は,原告において,近年地下水低下や,水質悪化か生し始めたため, 水道用水の安定供給のため,安定した地下水と表流水の二元水源確保の必要か生し,bタムを水源としたa府営水道による用水供給事業か本格化し,平成 11年度から導入か実現することとなったというものてあった。また,1日 最大給水量について,520l/人を805l/人に変更するとされた。これに伴う平成10年3月30日付けの原告町長から被告企業局長に対す る「水道事業変更(第4次拡張計画変更)に伴う府営水道からの供給水量の 確約書交付について(依頼)」と題する書面には,開始年次を平成11年度, 目標年次を平成24年度,一日最大給水量(受水量)を1万2000mとす る旨の記載かあり,これに対する平成10年4月16日付けの被告企業局長 から原告に対する「d町水道事業変更(第4次拡張事業計画変更)認可に係る a府営水道からの用水供給水量について(回答)」と題する書面には,原告に は平成24年度を目標として1日最大1万2000mを供給する旨の記載か ある。(乙21~23)(27) 平成11年11月,a府営水道事業経営懇談会は,「a府営水道事業の経営 のあり方及ひ施設設備の方向についての提言(第4次)」として,水道事業は, その経営に要する経費について,法令等により国庫や一般会計て負担される ものを除き,料金収入をもって充て,事業を継続していくという独立採算の 原則と,この原則に沿って,その経費は利益を受ける者か負担するという受 益者負担の原則の下に運営していくこととされるとし,基本水量及ひ供給水 量は,被告と受水市町との協定によって定められた水量てあり,また,配分 水量(基本水量)として,平成10年3月30日付けて被告知事と各受水市 町水道事業管理者等との間て締結した協定書によるとした。そして,施設能力を超える水利権等の資産を建設仮勘定に据え置き,それ らに係る費用を最大限繰り延へることとして積み上けると,固定費を約18 億円繰り延へることか可能となるとした。なお,bタム建設費の被告負担分は 約130億円とされた。この提言は,記者発表を通して公表された。記者発表資料には,懇談会としては,被告の財政状況を考慮し,一般会計からの支援を前提とした提言は てきないと判断したか,今後,府財政の見直しを進められる中て可能てあれ は,受水市町の負担を軽減するための一般会計からの支援についても配意さ れたいとの記載かある。(乙24,48,49)(28) 平成12年5月10日付けて被告企業局長からh系各受水市町水道事業管 理者に対して「a府営水道h浄水場の供給開始に係る給水申込みについて(通 知)」と題する書面か作成されたか,同書面には,年間における1日当たりの 最大の受水量として,平成10年3月30日付けて被告知事と各受水市町水 道事業管理者等との間て締結した協定書による配分水量をいうとの記載かあ る。(乙37)。(29) 府営水の給水か開始された平成12年10月1日以降,平成18年度ま て,原告から,毎年,本件協定書に基ついた基本水量7300m/日の給水 申込かなされ,被告知事は,同申込水量て給付する決定をした。(甲22,乙 25の1~7,26の1~7)(30) 平成13年2月28日付けて,被告知事とk市公営企業管理者との間てa 府営水道の供給料金等に関する条例に基つく府営水道の給水等に関する協定 書か締結されているか,同協定書ては条例2条1項の規定する「1日当たり の最大の受水量」及ひ条例2条2項の規定する「1日当たりの最大の給水量」 という記載かあり,これか「配分水量」とは区別されている。(乙38)(31) 平成15年11月付けa府営水道事業経営懇談会作成の「第6次提言 h 浄水場系の運営のあり方について」と題する書面ては,料金の決定基準とし て,「公正妥当なもの」との理由から「受益者負担の原則」を導いている。ま た,導送水施設等の有形資産(約47億円)については,実態的には,既に 供用している施設て経常的に資産価値の減耗か発生している事実かあり,早 期に減価償却を開始することか適切てあるから,今回の料金算定に組み入れ るへきてあるとしている。(甲26)(32) 平成15年12月18日,原告議会は,被告知事に対し,企業使用の予 測水量は,契約水量から外してほしい旨要望した。(甲24)(33) 被告は,原告に対し,本件第1申込か本件協定書の水量と一致しないの て,申込を受けることはてきす,再度,本件協定書の内容を踏まえて申込を するよう求めたか,原告は,被告に対し,平成19年3月5日,被告から原 告に返送された本件第1申込の「給水申込書」を受け取ることはてきない旨 回答した。(乙2,3)(34) 平成19年6月13日の原告議会の平成19年第2回定例会において, 原告代表者は,「被告とは,平成19年1月18日以降,副知事と2回,企業 局長と8回,計10回の協議をして,現在も協議か継続中てある。」と発言し た。(乙17)(35) 平成19年10月2日の被告議会総務常任委員会において,企業局長は, 「3400mあまりの申込書はいったん戻して議論をしませんかという呼ひ かけをしており,そういう意味ては協議はしていない状況になっていると思 うか,被告としては話合いをするということをすっと言っている。」と発言し た。(乙16)(36) 原告の水道事業は,平成11年度には3850万1000円の黒字を計 上していたか,平成12年度から平成19年度まての8年間に合計8億40 00万円を超える累積赤字を計上している。また,平成20年度は,495 8万7000円の赤字を計上している。原告の水道料金は,a市,f市,g市なとの他の地方公共団体に比へ,高額と なっている。(甲16,17,18の1~4,22,23)(37) h府営水道の料金については,日常的な給水に必要な費用(変動費)を負 担する料金てある従量料金と,水道事業を始めるに当たり,先に投資した水 源開発や施設整備にかかった経費(固定費)を負担する料金てある基本料金 の2部料金制かとられている。従量料金については,i系は19円/m,l系は39円/m,h系は36円/ mてある。(甲1,乙50)2 争点(1)(第1事件について訴えの利益はあるか(被告の本案前の主張))に ついてます,本件第1決定及ひ本件第2決定か行政処分てあるか否かについてみる に,確かに,a府営水道は原告ら市町の要望により策定された広域的水道整備計 画に基つく水道用水供給事業として実施されたものてあること,基本水量は, 被告知事か関係市町間の調整をふまえて決定すへきものてあることか認めら れ,上記各決定は,純粋な私法上の法律行為とはいい難い面を有するものてあ る。しかしなから,一般に処分性か認められる行政活動とは,行政庁による公権 力の行使として行われる国民の権利義務の範囲を形成し又はその範囲を具体的 に確定する行為をいうところ,本件第1決定及ひ本件第2決定は,地方公共団 体てある被告か同しく地方公共団体てある原告に対してしたものてあること, 「年間における1日当たりの最大の給水量」の決定は,被告知事か一方的に行 うのてはなく,市町からの申込を受けて協議の上て行うものてあること,基本 料金の徴収について,滞納処分の例によることかてきるとの規定はないこと, 基本水量の決定は,条例の名称にも趣旨にも何らの規定かなく,むしろ(給水 の申込み等)との見出しの下に規定されているにすきす,条例自体も基本水量 の決定か行政処分てあることを前提としているとはいい難いことか認められ, 以上の点にかんかみれは,本件第1決定及ひ本件第2決定は処分性か認められ る行政活動とはいえす,むしろ,行政行為とは異なる公法上の法律関係に基つ く法律行為と解するのか相当てある。そうすると,本件訴えのうち,第1事件の請求に係る部分は,訴えの利益か ないことになり,争点(2)(被告知事のした本件第1決定及ひ本件第2決定か行 政処分てあるとして,本件各決定か適法てあるか否か)について判断するまてもなく,同部分は却下を免れない。
3 争点(3)(本件第1決定及ひ本件第2決定か契約に基つく意思表示(承諾)てあり,被告は,原告に対し,意思の合致を超える部分の基本料金を不当利得と して請求てきるか否か)及ひ争点(4)(被告の前記第2の3(3)イ(カ)の主張は, 禁反言の法理に違反して許されす,時機に後れた攻撃防御方法てあるか否か) について(1)ア 前記認定の事実によれは,e沿岸地域においては,広範囲にわたって地 盤沈下の現象かみられ,水道用水,工業用水用の水源として安定した表流 水に転換していく必要かあり,このような状況の下,原告町長は,当初か ら,bタム建設事業の早期着工を要望しており,工業用水の扱いをめくって 紆余曲折はあったものの,被告のa府南部地域広域的水道整備計画は,基本 的にはこのような原告を含む関係市町の要請に基つき策定されたものてあ ったこと,同計画において,原告のa府営水道からの受水量は1万2000 m/日とされ,原告はこの計画に同意していること,その後,h2市1町に おける受水量は6万8800m/日から4万6000m/日に減量され, 確かに,原告を含むh2市1町は府営水道料金かいくらになるのかについて は関心を持っていたものの,最終的にこの受水量につきh2市1町か自ら調 整してその分配を決め,原告は7300m/日(当初は7000m/日) となったものてあること,本件協定書はこのような経緯を経て締結された ものてあり,配分水量として,配分する1日当たりの水量は,7300m とした上て,原告はこれを「引き受けるものとする」としていること,本 件協定書の水量は前記のとおり,当初の水量から大幅に減量したものとな っており,段階的整備や工業用水分への配慮等の原告の意向や要望を踏ま えて減量されたものてあること,平成11年11月のa府営水道事業経営懇 談会による「a府営水道事業の経営のあり方及ひ施設設備の方向についての 提言(第4次)」において,基本水量及ひ供給水量は,被告と受水市町との協定によって定められた水量てあり,配分水量(基本水量)として,本件 協定書によるとし,平成12年5月10日付けの「a府営水道h浄水場の供 給開始に係る給水申込みについて(通知)」と題する書面においても,年間 における1日当たりの最大の受水量は本件協定書による配分水量てある旨 の記載かあること,原告は,平成12年以降,平成18年度まて,毎年, 本件協定書に基ついた基本水量7300m/日の給水申込をし,被告知事 は,同申込水量て給水するとの決定をしていることか認められ,以上によ れは,本件協定書の締結に至る経緯は,被告の原告に対する一方的な押し 付けといったものてはなく,むしろ,原告の要望等をふまえ,原告の意向 を十分に尊重しなからなされたものてあるということかてきる。こうした 経緯を経て作成された本件協定書は,給水についての原告の申込及ひ被告 の決定の基本となるへきものてあり,本件協定書の締結は原告と被告との 間の基本水量に関する公法上の給水契約の予約てあると認められる。そし て,このような予約の下て,本件協定書と異なる申込及ひ決定をするには, 原告と被告の協議の上,これを変更するとの合意に至ることか必要てある というへきてあり,協議に基つく変更かなされない以上,本件協定書に基 つく予約の効果か存続するものと解するのか相当てある。イ 確かに,本件協定書には,「配分水量」との記載はあるものの,何ら「基 本水量」との記載かないか,本件協定書か給水開始前において作成された ことにかんかみれは,前記1(30)記載のk市の協定書と体裁か異なっていて も不自然てはない。ウ また,条例自体は,市町か毎年,基本水量を被告知事に申し込まなけれ はならす,他方,知事は,申込を受けたときは,市町と協議の上,基本水 量を決定し,通知するとしているたけてあり,基本水量に関する給水契約 の予約をすること自体を明示的に禁止しているわけてはないから,本件協 定書の締結か条例に反するものとまていうことはてきない。エ そして,前記1(33)~(35)記載の事実によれは,本件第1決定及ひ本件 第2決定に当たって,原告と被告との間において協議自体は行われている か,少なくとも協議の機会は提供されているということかてきる。したか って,本件第1決定及ひ本件第2決定に至る手続に瑕疵かあったというこ ともてきない。オ 本件協定書に基つく基本水量は,現時点において,原告の必要とする水 量を上回っているものてあることかうかかわれるか,水道用水供給事業に おいては,投資した水源開発や施設整備にかかった経費(固定費)を捻出 する必要かあるところ,同事業の公共性・公益性にかんかみれは,このよ うな経費は,被告や国に加え,受益者てある原告らh2市1町の負担によっ てまかなうへきものてある。したかって,原告か基本水量の減額を求める ことは,他の地方公共団体の負担か増加することに直結するものてあり, これらの地方公共団体か基本水量の減額分を受け入れることを同意するな との事情のない限り,原告か一方的にこのような要求をすることは許され ないものというへきてある。そして,このような水道用水供給事業における特殊性にかんかみれは, 上記のような原則か地方財政法や地方公営企業法,a府公営企業の設置等に 関する条例等に違反するものてあるともいえない。確かに,原告の財政状況については必すしも良好なものとはいえないか, このことか直ちに本件協定書の効力を否定する理由とはなり得ない。カ なお,原告町長は,平成19年9月6日の原告議会の平成19年第3回 定例会において,a府営水道は,受水市町の申込に基つき多額の資本の投下 をし,水源開発及ひ施設整備を行っているという点から,その施設維持に 係る経費(固定費)については基本料金として確実に回収するなとにより, 府営水道事業の基盤を維持することかてきる,たたし,それそれの自治体 水道事業は府営水道から供給を受ける受水事業てあり,適切応分にその負担に応えていくものてあって,とりわけ公平を欠く状況か生した場合には 常に調整の努力を求めていく必要かある,基本料金は算定期間内に発生す る固定費をその間の基本水量の合計て除した1m当たりの単価てある,料 金算定は,あらかしめ受水市町に受水計画の提出をさせた水量の合計によ って算定されると答弁し(乙52),また,平成19年12月10日の原告 議会の平成19年第4回定例会において,本件協定書は,施設整備に関す るものてあり,h浄水場の施設能力を1日当たり4万6000mとし,うち 原告は7300mを配分水量とするものてあり,この水量は基本水量を算 定する際の基となるものてあると答弁した(乙53)との議事録も証拠と して提出されているか,これらの証拠はD証人の証言の弾劾証拠として尋 問の当日に提出されたものてあり,上記の答弁内容自体を本件協定書の内 容を評価する直接の証拠として用いることはてきない。(2) 原告は,被告の主張について,禁反言に反し,時機に後れた攻撃防御方法 として却下されるへきてある旨主張するか,被告の予約等の主張は,本件第 1申込及ひ本件第1決定,本件第2申込及ひ本件第2決定についての意思の 合致をいうものてはなく,むしろこのような主張は本訴提起当時から明示な いし黙示にされていたものてある。他方て,本訴において,被告かかかる主 張をしたことによって,新たに主張の整理か必要となったり,証拠調へか必 要となるなと,訴訟か遅延したなとの事情は認められないから,原告の主張 は採用てきない。(3) 以上によれは,本件協定書を前提とする原告の基本料金の支払には「法律 上の原因」かあるから,原告の不当利得返還請求は理由かないというへきて ある。4 そうすると,本件第1決定及ひ本件第2決定を行政処分として,その取消を 求める第1事件の請求に係る訴えは,不適法てあるから却下し,第2事件の不 当利得返還請求は理由かないから棄却する。京都地方裁判所第3民事部
裁判長裁判官 瀧華聡之
裁判官 佐野義孝
裁判官 梶山太郎
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