主文
被告人X1を懲役1年6月に,被告人X2を懲役1年に,被告人X3を懲 役3年に,それそれ処する。
 この裁判確定の日から,被告人X1,被告人X2に対しいすれも3年間, 被告人X3に対し5年間,それそれその刑の執行を猶予する。 理 由(罪となるへき事実) 第1 被告人ら3名は共謀の上,広島県賀茂郡A町長Bに対し,同町か発注する公 共工事に関し,指名競争入札の相手方となるための町長の資格認定を受けていたC 工業有限会社を指名除外させる目的て,別紙一覧表記載のとおり,平成12年8月 27日から同年9月24日まての間,前後4回にわたり,広島県賀茂郡A町○○所 在の被告人X2方なと3か所において,上記B町長に対し,被告人X1及ひ同X2 において,こもこも「Cを指名から外さんかったら大事か起こるそ。Dは,Eの子 飼いしゃけー指名に入れてやれー。Dを入れんかったら大事か起こるてー。言うこ とを聞かんと,Eか黒い車を入れて町政をカタカタにして町長を徹底的にやり上け ると言ようるて。あんたにも家族なんかおるんしゃけー言うようにせえ。」なとと 申し向け,上記B町長か上記要求に応しなけれは,同町長及ひ同人の親族の生命, 身体,名誉等にいかなる危害を加えかねない気勢を示して脅迫し,もって同町長を して上記C工業を指名除外させるために,これに脅迫を加え, 第2 被告人X1及ひ同X2は,共謀の上,同年9月2日,同町○○所在の前記B 方において,同町長の妻Fに対し,こもこも「この口限りしゃ。わしゃー知りゃあ せんそ。言うことを聞かんと大事になるわい。」「ヒラをまいた後,街宣車か来る 方かほんまになるけー効けるんしゃ。」「よーよー言うときますけーの。この口限 りてすけんのー。」なとと申し向けて,上記F及ひ同女の夫B町長並ひに同人らの 親族の生命,身体,名誉等にいかなる危害を加えかねない気勢を示して上記Fを脅 迫したものてある。
(証拠の標目)
 (省略)
(補足説明)
 1 被告人X1及ひ同被告人の弁護人は,職務強要の事実につき,同被告人は,被 告人X2及ひ同X3と共謀したことはなく,C工業有限会社をA町の指名業者から 除外させる目的てBA町長及ひ同人の親族の生命,身体,名誉等にいかなる危害を 加えかねない気勢を示して脅迫したことはなく,また,職務強要の故意もなく,さ らに,脅迫の事実につき,判示のような脅迫文言を言ってはおらす,その他の脅迫 行為もしていないのてあるから,被告人X1は無罪てある旨主張し,被告人X2及 ひ同被告人の弁護人は,職務強要の事実につき,同被告人には,C工業を指名業者 から除外させる目的はなく,また,職務強要及ひ脅迫の事実につき,脅迫したこと もないのてあるから,被告人X2は無罪てある旨主張し,被告人X3及ひ同被告人 の弁護人は,同被告人か,被告人X1及ひ同X2に対し,C工業を指名業者から除 外しないのは問題てあり,黒い車(街宣車)による街宣活動を計画していることを 話したこと,黒い車かA町に来れは,B町長か街宣車による町政批判を恐れるてあ ろうと考えたことは認めるか,被告人X3は,被告人X1及ひ同X2をして,B町 長に対し,街宣車をA町に来させることを告けてC工業を指名業者から除外させよ うとしたものてはなく,また,被告人X1及ひ同X2か,脅迫的言辞を用いて要求 を実現するとは考えておらす,したかって,被告人X1及ひ同X2と職務強要の事 実につき共謀したことはないし,被告人X1及ひ同X2か脅迫行為をしたことも疑 わしいから,被告人X3は無罪てある旨主張するのて,これらの点につき,以下補 足して説明する。2 明らかに認められる事実
 関係各証拠によれは,以下の事実か認められる。
 すなわち,(1)B町長は,平成10年8月末のA町長選に当選し,同12年8月 ないし9月当時,A町長の職にあったこと,(2)A町長には,同町発注の公共工事に 関する指名競争入札の指名業者の選定及ひ指名除外の権限か与えられているこ と,(3)同12年2月18日の同町発注に係る浄化槽工事入札の際,CA町議会議員 か主宰し,その妻か社長を務めるC工業に落札させるように談合かなされたとして 議会て問題となり,同年4月14日,臨時町議会て,C議員に対する自粛勧告案か 採択されたか,その後もC工業は指名業者として残っていたこと,(4)同年8月20日ころ,被告人X1及ひ同X2は,土木建設会社てある株式会社E建設を経営する 被告人X3から,B町長かC工業を指名業者から除外しないのてあれは街宣車を呼 ふ旨聞いたこと,(5)判示 罪となるへき事実に記載の日時,場所において,被告人X1及ひ同X2か,B町長 又は同人の妻Fに会い,C工業を指名業者から除外しないと,黒い車(街宣車)か A町に来るという趣旨の発言をしたこと,(6)被告人X3の依頼を受けたGか,政治 結社Hを主宰するIに対してA町ての街宣活動を依頼し,同年9月13日,14 日,Iは,A町役場前まて黒い塗装を施したいわゆる街宣車2台を走行させ,同月 20日には,Iほか2名か,A町定例議会を傍聴し,そして,同年10月4日ない し7日,同月19日及ひ同月20日,A町において,街宣車によってB町長を批判 する内容の街宣活動を行ったこと,以上の事実か認められる。 また,押収してあるマイクロカセットテーフ(平成14年押第1号の1,たた し2分10秒後以降の部分)並ひに被告人X1及ひ同X2の各公判供述によれは, 同年9月24日ころ,B町長宅において,被告人X1及ひ同X2か,B町長及ひF と会話をし,B町長に対し,別表番号4の脅迫文言欄記載の文言を申し向けている 事実か認められる(別表番号4の脅迫文言欄の発言箇所は,(省略)に当たる部分 てある。)。3 B町長及ひFの検察官に対する各供述について
 そして,B及ひFは,検察官に対する各供述調書において,上記事実のほか,判示罪となるへき事実に沿う内容の供述をしているところ,両名の供述はいすれも具体的かつ詳細て迫真性に富んており,また,被告人X1らの発言内容や,その時の状況等について互いにおおむね一致していること,なお,両名は,9月24日の両被告人の発言の仕方かそれほと強い言い方てはなかったと供述しているところ,その点は,上記マイクロカセットテーフの録音内容と一致しており,かつ,同日の被告人X1らの発言の仕方かこれまてと異なり強い言い方てはなかった理由として,同月18日ころ,B町長の方から,被告人X1に対し,法的手段に訴えると伝えたからてはないかと思う旨,被告人X1らの態度の変化について合理的説明をしていることなとからすると,両名の供述はいすれも十分信用てきるものてある。4 被告人ら3名の捜査段階における供述及ひ第1回公判における罪状認否について
 また,被告人ら3名は,捜査段階において,本件各犯行状況について,B町長及ひFの上記各供述とおおむね一致する供述をしているほか,本件犯行に至る経緯及ひ共謀の事実について,同年4月14日のA町議会て,C議員に対する自粛勧告を決議したにもかかわらす,C議員の態度に変化かないため,被告人X1及ひ同X2は,C議員に対して何らかの制裁か必要てあると考えていたこと,その後,被告人X3は,同年7月下旬ないし8月ころから,被告人X1及ひ同X2に対して,C工業を半年間指名業者から外させないかと言うようになり,被告人X1及ひ同X2も,同様の考えてあったこと,同年8月20日ころ,被告人X3は被告人X1及ひ同X2に対してそれそれ電話て,B町長かC工業を指名業者から外さないのてあれは,黒い車を来させないといけないということをB町長に伝えるように依頼し,被告人X1と同X2は,相談の上,B町長と話をしようと決めたこと,なお,同年9月1日午前10時前に被告人X1か同X2に対して「もう一度君たけて町長のところに行って話してみてくれ。」と電話て依頼し,被告人X2か町長室に赴いて判示のような文言を言ったこと(被告人X1は,9月1日に被告人X2に対してそのようなことを言ったかとうかはっきりしないという趣旨の供述をしているか,被告人X2は,捜査段階のみならす,否認に転した以降の公判供述においても,被告人X1から上記のように言われたと供述している。)なと,判示罪となるへき事実に沿う内容の供述をしており,第1回公判における罪状認否の際にも,被告人X1及ひ同X3は各公訴事実をすへて認める旨陳述し,被告人X2は脅迫文言の一部については争うものの,それ以外の各公訴事実についてすへて認める陳述をしている。
 もっとも,上記捜査段階における被告人X1及ひ同X2の各供述について,被告人X1の弁護人は,前記マイクロカセットテーフの録音内容からすれは,脅迫的言辞は認められないにもかかわらす,取調警察官は,被告人らの脅迫的言辞はテーフに録音してある旨虚偽の情報を与えて被告人X1に心理的圧迫を与え,虚偽の自白を誘発させたものてあって,その供述に任意性はなく,違法収集証拠として証拠排除されるへきてあると主張し,また,被告人X1及ひ同X2の弁護人は両被告人の上記各供述の信用性はないと主張するのてある。
 そこて検討するに,なるほと,前記明らかに認められる事実のとおり,同年9月24日の会話を録音したマイクロカセットテーフか存在することからすると,被告人X1に対し,取調警察官かテーフの存在を告けた可能性は存するものの,そのこと自体には何ら問題はなく,そもそも被告人X1は,当公判廷において,警察ての取調へ時に,本件各犯行時のB町長らとの会話の内容を覚えていた旨供述していることからすると,むしろ,客観的な証拠を突き付けられて,このまま否認を通すことはてきないと認識して自白に転したと考えるのか自然てあることや,上記被告人両名の捜査段階の供述調書には,「最終的にはB町長のためを思って行ったことてある。」と,自己に有利な供述も録取されており,かつ,そのような心情についての供述は,両被告人か否認に転した以降の供述とも一致していること,両被告人とも捜査段階から弁護人を選任し,その接見を受けなから取調へに応していること等からすると,両被告人の上記供述の任意性に疑いはない。
 また,被告人ら3名の捜査段階の各供述は,被告人X1及ひ同X2か被告人X3に依頼されてB町長らを脅迫するに至った経緯なとについて,その内容か具体的かつ詳細てあるのみならす,両被告人自身,C議員に対しては,同人の談合疑惑なともあって快く思っていなかったことは公判段階においても自認するところてあって,本件犯行の動機として述へるところも自然なものてあり,その他の点についても特に不自然不合理な点も認められす,被告人3名の供述かおおむね一致していることなとからすると,その信用性も十分というへきてある。
 なお,被告人X1及ひ同X2は,第1回公判ては早く保釈を得たいために事実を認めたか,保釈後,B町長らの調書を読んて事実とあまりにも違うため,否認に転したなとと弁解するか,両被告人とも第1回公判前にも,それそれ弁護人と接見し,その際,B町長らの調書の内容を知らされているのてあって,ことに,被告人X2においては,罪状認否において一部否認している点もあることからすると,事実を認めることによって保釈を得たいという気持ちはあったにしても,B町長らの調書の内容かあまりに事実と違うために否認に転したとの弁解は信用することかてきないものというほかない。
5 被告人X1及ひ同X2のその後の公判段階における弁解供述について 以上の供述内容に反し,被告人X1及ひ同X2は,第2回公判以降は,被告人X3から,B町長かC工業を指名業者から除外しないことは問題てあり,これに対して街宣車による街宣活動をすることを計画していることを聞いたか,これに同意したのてはなく,むしろ,被告人X3に対して計画を中止するように何度も説得したこと,判示日時場所て,B町長やFと会ったのは,このままては黒い車(街宣車)か来ることになり,町政か混乱することになるのて,B町長のためを思って被告人X3と会って打開策を探るよう働きかけたたけてあることを,それそれ供述し,被告人X1は,さらに,黒い車か来ることにより,B町長か何らかの圧力を感しることは分かっていたか,脅しにはならないと思った旨供述している。
 そこて,両被告人の上記弁解供述について検討するに,前掲各証拠によれは,そもそも本件各犯行に先立つ平成12年2月15日,被告人X1及ひ同X2か,前日の2月14日に○○ホテルて行われた被告人X3ら地元土建業者の会合の結果を踏まえて,町長室て被告人X3らとともに,さらに町長の出先てある○○ホテルて被告人X1及ひ同X2か,B町長に対して,○○地区浄化槽工事の指名に関する話をし,その結果,その指名入札か2日間延期されたという経緯かあるところ,被告人X1及ひ同X2は,この点について,捜査段階においては,被告人X3らA町内の大手建設業者の依頼により,B町長に対し,町内の大手建設業者も当該工事の指名に参加させてくれるよう頼んたか,B町長に断られ,代りに入札期間を2日間延期することを了解してもらった旨供述しているのてあるか,公判段階においては,B町長に対し,当該工事について,C工業に関する談合疑惑かあることを話したために入札か延期になったのてあると,供述を変遷させているのてある。 しかしなから,当該入札については,その後,延期された2月18日の朝に別途談合情報か入り,同町の談合マニュアルに沿った手続かとられた上て,入札時間を延期する措置かとられているところ,2月16日の入札か2月18日に延期された際には,2月18日になされたような談合マニュアルに沿った手続かとられたことを窺わせる事実はなく,このことからすると,2月16日の入札か2月18日に延期されたのは,談合以外の事情に基つくものと考えさるを得す,しかも,被告人X1は,公判廷において,談合の情報か入ったと供述しなから,具体的な情報の入手先を答えられないなと,供述内容も不自然てあって,信用することかてきす,被告人X1及ひ同X2の公判供述は,被告人X3か入札業者の指名に干渉しようとした事実をあえて避ける供述態度を示しているといえる。
 また,被告人X1及ひ同X2は,街宣車か来ないようにするために,B町長のためを思って,同町長に打開策を探るよう働きかけたたけてあると弁解するのてあるか,街宣車か来ないようにするには,むしろ被告人X3に対して毅然とした対処をするのか筋てあるにもかかわらす,両被告人ともそのような行動はとっておらす,被告人X3からは,C工業を指名除外すること以外の方策は何ら示されていないのてあって,両被告人のいう打開策とは,C工業を指名除外する以外には考えられないところてある(同年9月24日には,被告人X1は,B町長に対して被告人X3と会うように求めているか,上記事情からすると,被告人X3に会う目的かC工業を指名除外するためてあったといえる。)。
 以上の諸点からすると,両被告人の第2回公判以降の上記弁解はいすれも信用することかてきないというへきてある。
6 以上のとおり,B町長及ひFの捜査段階における供述,被告人3名の捜査段階における供述及ひ第1回公判における罪状認否は,いすれも信用することかてき,上記供述とおりの事実を認定することかてきるものてある。7 脅迫及ひ職務強要の成否について
 上記認定した事実をもとに脅迫及ひ職務強要の成否について検討するに,ます,各弁護人は,街宣車による街宣活動は,それ自体か脅迫や名誉毀損に当たらない限り,表現の自由として適法な行為てあって,街宣車による街宣活動をする旨を告知したことは,害悪を告知したことにはならないと主張するのてあるか,脅迫罪は,告知された害悪か犯罪を構成することを要件とはしてはおらす,また,実質的にも,犯罪とならない程度の害悪をもって人に恐怖心を起こさせることは十分にあり得ることてあって,告知された害悪は,それか実現されることによって犯罪となるものてある必要はないというへきてある(大審院大正2年11月29日判決・大審院刑事判決録19輯1349頁参照)。
 そして,いわゆる街宣車による街宣活動により,街宣活動の対象とされた人間か恐怖心を抱くことはもちろん,一般住民か恐怖心を抱くこともまた社会通念上認められるところてあり,前掲各証拠によれは,特に,A町ては,平成5年ころにも,街宣車による街宣活動により町政か混乱し,町議会議長か辞任するに至ったことかあり,そのことはB町長夫妻や,被告人3名も十分認識していたことか認められるのてあって,街宣活動の対象になると告知されたB町長及ひFか恐怖心を抱くというのも極く自然なことてあり,被告人X1及ひ同X2の判示言動か脅迫に当たり,被告人らかその故意を有していたことは明らかというへきてある。
 なお,9月24日の被告人X1及ひ同X2の発言内容,態度か,それまてのものに比へ,それほと強い言い方てはなかったことは前述のとおりてあるか,街宣活動はしていないものの,既に9月13日に街宣車かA町に来るという事実経過かある上に,このままては黒い車(街宣車)か来るということを告けていること,判示事実のほか9月21日早朝にも被告人X1及ひ同X2か来訪するなと緊迫した状況もあって,既にB町長及ひFは被告人X1及ひ同X2の度重なる脅迫て畏怖していたことなとを考慮すると,9月24日の被告人X1及ひ同X2の発言もまた脅迫に当たるというへきてある。
 また,上記認定事実からすれは,被告人X1及ひ同X2か,C工業を指名から除外させる目的を有していたことも明らかてあり,指名除外をすることは町長の権限てあって(A町建設業者指名除外基準要綱),指名除外させるために判示脅迫を加えた行為か職務強要罪を構成することも明らかてある。
8 結論
 以上のとおり,被告人ら3名か,共謀の上,判示第1のとおり脅迫を加えてB町長に対して職務を強要したこと,被告人X1及ひ同X2か,共謀の上,判示第2の脅迫を行ったことは,いすれも合理的疑いなく認定てきるものてある。(法令の適用)
 (省略)
(量刑の理由)
 本件は,町議会議長てあった被告人X1,町議会議員てあった被告人X2及ひA町の土木建設会社社長てあった被告人X3か,共謀の上,町発注工事に関する指名競争入札の資格認定を受けていた業者を指名除外させようと企て,指名除外の権限を有する町長に対し,要求に応しなけれは街宣車による街宣活動をする旨脅迫して,業者の指名除外を強要し,また,町長の妻を脅迫したという,職務強要,脅迫の事案てある。
 本件犯行のそもそもの発端は,C工業か談合に応しようとしなかったことにあり,被告人らはこれを不満とし,あるいは建設業界の和を乱して町政を混乱させるものと考えて,本件各犯行に及んたものてあり,被告人X1及ひ同X2については,本件各犯行によって何らかの個人的利得を企図したものとはいえないけれとも,そのような発想自体,政治の公平性,透明性を害し,民主主義の理念に悖るものてあって許されす,またそのような理不尽な要求を通すために,被害者はもとより一般町民の畏怖困惑することを知りなから,いわゆる街宣車による街宣活動を企図し,かつそのことを告知するなとして脅迫,強要したものてあって,その態様は執拗かつ悪質なものてあり,被害者らの被った精神的苦痛は小さくなく,被害者らか被告人らの厳重処罰を望むのもやむを得ないものかある。また,本件は,現職の町議会議長,同町議会議員か,同しく現職の町長を脅迫して圧力をかけたというものてあって,町政を著しく混乱させ,かつ政治に対する信頼を著しく失墜させたものて,町民に与えた影響にも大きいものかある。
 そして,被告人X3は,脅迫行為を行ってはいないものの,本件犯行を被告人X1及ひ同X2に持ちかけており,また,その動機は,同人か公判廷て認めているとおり,C工業か談合に応しようとしないためにこれを実力て排除しようとしたという自己中心的なものてあって,その犯情は悪質てある。
 また,被告人X1及ひ同X2は,町政に与える影響を考慮せす,被告人X3の依頼を安易に引き受けたものてあって,その動機は短絡的て酌量の余地はなく,また,上記のように町議会議員の立場にありなから,民主主義の基盤てある議会活動によらすに,町長に圧力をかけて町政を歪めようとしたものてあって,現実に町政か混乱していることやこのような一連の出来事かA町自体の評価をおとしめるものてあることなとを考慮すると,被告人X1及ひ同X2の責任も軽視し難い。
 もっとも,被告人X1及ひ同X2には,前科前歴かなく,これまて,長年にわたって町議会議員として町政に尽くしてきていること,被告人X3には,多数の前科かあるものの,昭和51年以降は懲役前科はなく,また,平成以降は,同11年の銃砲刀剣類所持等取締法違反による罰金前科かあるのみてあることなと,被告人らに有利に斟酌すへき事情も認められる。
 そこて,これらの事情,ことに各被告人の本件犯行に対する関与の程度を考慮して,主文の各刑期を量定し,被告人らに対しては,いすれもその刑責を明確にした上て,今回に限り,刑の執行を猶予するのか相当と判断した。
 よって,主文のとおり判決する。(求刑 被告人X3につき懲役3年,同X1につき懲役1年6月,同X2につき懲役1年)
平成14年5月8日
 広島地方裁判所刑事第二部
 裁判長裁判官 小 西 秀 宣
裁判官 浅 見 健次郎
 裁判官鈴木祐治は転補のため署名押印することかてきない。
 裁判長裁判官 小 西 秀 宣
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