主文
一 被告Aは、千葉県安房郡鋸南町に対し、金四〇万円を支払え。
二 被告Bは、千葉県安房郡鋸南町に対し、金二〇万円を支払え。
三 被告Cは、千葉県安房郡鋸南町に対し、金二〇万円を支払え。
四 訴訟費用は被告らの負担とする。
事実及び理由
第一 請求
 主文同旨
第二 事案の概要
 本件は、千葉県安房郡鋸南町の住民である原告が、吉浜興産株式会社の所有する鋸南町内の土地に対する平成九年度及び平成一〇年度分の固定資産税を鋸南町が免除したことは、鋸南町税条例に定める免除の要件を欠いたものであり違法であるなどと主張して、地方自治法二四二条の二第一項四号前段に基づき、右固定資産税の免除当時の鋸南町長であった亡Dの訴訟承継人である被告らに対し、鋸南町に代位して、右両年度の固定資産税相当額の損害の内金の賠償を求めた事案である。一 前提となる事実(証拠を掲げた事実以外は争いがない。)
1 原告は、千葉県安房郡鋸南町の住民である(甲一、弁論の全趣旨)。2 Dは、鋸南町長であり、本訴の被告であったが、平成一一年七月八日、死亡した。被告らは亡Dの相続人であり、被告Aは二分の一、被告B及び被告Cは各四分の一ずつその権利義務を承継した。
3 吉浜興産株式会社は、昭和六二年二月二三日、日本資源株式会社から、β五一八番の雑種地五七七九平方メートル(以下「本件土地」という。)を売買により取得した(甲七)。
4 鋸南町税条例(以下「本件条例」という。)五七条一項は、町長は、一定の固定資産のうち町長において必要があると認めるものについては、その所有者に対して課する固定資産税を減免するとし、減免を受け得る固定資産として、貧困により生活のため公私の扶助を受けるものの所有する固定資産(同項一号)、公益のために直接専用する固定資産(有料で使用するものを除く。同項二号)、町の全部又は一部にわたる災害又は天候の不順により、著しく価値を減じた固定資産(同項三号)の三種を挙げるところ、亡Dは、鋸南町長として、吉浜興産の申請に基づき、本件土地が本件条例五七条一項二号(以下「本件条項」という。)に該当するとして、それぞれ平成九年度の本件土地の固定資産税(税額八一万二八〇〇円)及び平成一〇年度の本件土地の固定資産税(税額八七万三八〇〇円)の各全額を免除した(以下「本件免除」という。甲八、九、乙一、七、弁論の全趣
旨)。
5 原告は、平成一〇年六月一七日、本件免除が違法であるなどと主張して、鋸南町監査委員に対し住民監査請求を行ったが、鋸南町監査委員は、同年八月一四日付けで、右監査請求を棄却した(甲一)。
二 争点及びこれに関する当事者の主張
 本件の争点は、本件免除の違法性の有無、具体的には、本件土地が本件条項の「公益のために直接専用する固定資産」に該当するか否か(争点一)、また、これが違法である場合に鋸南町に損害が発生したか否か(争点二)であるが、この点に関する当事者の主張は以下のとおりである。
(原告の主張)
1 本件免除の違法性(争点一)
 本件土地が本件条項の「公益のために直接専用する固定資産」に該当するか否かは、本件土地で行われている事業により判断されるべきであるところ、本件土地は、ヒラメ養殖事業及びあさり加工業者の施設として使用されているが、右各事業は鋸南町保田漁業協同組合直営の営利事業であり、公益のための事業ではない。このことは、本件土地上には保田漁協所有の複数の固定資産があるが、これらの固定資産税は免除されていないし、右事業からの収益について法人税が賦課徴収されていることからも明らかである。
 そもそも、本件条例は一般的な徴収免除を規定しているにすぎず、施策として特定の固定資産税の徴収を免除するのであれば、本件条例とは別個の条例を制定しなければならないはずであり、本件免除は本件条例に基づくものということはできない。
 したがって、亡Dが、鋸南町長として、営利事業用の土地である本件土地の固定資産税を免除したのは違法である。
2 責任原因
 亡Dは、鋸南町長として、裁量権を逸脱・濫用して本件免除を行ったのであるから、これにより鋸南町が被った損害を賠償すべきであるところ、被告らは、亡Dの右損害賠償債務を法定相続分に従いそれぞれ前記一2のとおり承継した。3 損害の発生(争点二)
 鋸南町は、本件免除により、免除された本件土地の固定資産税額相当(平成九年度につき八一万二八〇〇円、平成一〇年度につき八七万三八〇〇円の合計一六八万六六〇〇円)の損害を被った。
 被告らは、鋸南町長は本件免除を取り消し、新たに賦課決定を行うことができるところ、本件土地の平成九年度及び平成一〇年度の固定資産税の賦課決定期間は経過していないから、損害は発生していないと主張するが、本件条例には一度免除した固定資産税について
免除行為を取り消し、新たに固定資産税を賦課できる旨の規定がなく、かえって、本件条例五七条三項には、第一項の規定によって固定資産税の減免を受けた者は、その事由が消滅した場合においては、直ちにその旨を町長に申告しなければならない旨の規定があることからすれば、納税者が当該年度末までに減免申請を取り下げる旨の申請をしない限り、鋸南町の税の徴収権は消滅し、もはや固定資産税の免除を取り消すことはできなくなると解すべきである。したがって、本件では平成一〇年度の年度末をもって鋸南町の損害が確定したというべきである。
(被告らの主張)
1 本件免除の適法性について(争点一)
(一) 地方税法三六七条は、市町村長は、天災その他特別の事情がある場合において固定資産税の減免を必要とすると認める者、貧困に因り生活のため公私の扶助を受ける者その他特別の事情がある者に限り、当該市町村の条例の定めるところにより、固定資産税を減免することができると定めているところ、本件条例五七条一項は、右地方税法三六七条の規定を受け、鋸南町において固定資産税を減免することができる場合を規定したものである。
 他方、地方税法六条一項は、地方団体は、公益上その他の事由に因り課税を不適当とする場合においては、課税しないことができると規定し、公益性を有するものに対しては非課税とすることができる旨を定めているところ、その趣旨は、当該地域社会における固有の社会経済生活の特殊事情を考慮して、個々の地方団体が、その自主性に基づき、課税除外の措置を採ることができる旨を認めたものであり、右の公益上の事由とは、課税しないことが直接公益(広く一般の利益)を増進し、また課税することが直接公益を阻害する場合をいうものである。
 そして、本件条項が公益のために直接専用する固定資産に対して固定資産を減免することを定めているのは、地方税法六条一項の趣旨をも受けたものであり、したがって、本件条項を解釈するに当たっては、同法三六七条のみならず、同法六条一項の公益上の事由をも重視すべきである。
(二) 鋸南町は東京湾沿岸地域に属し、千葉県内でも特に漁業が盛んな地域であり、従来から漁業は重大な地場産業として鋸南町の社会、経済を支えていたところ、右漁業を担っていたのは漁業協同組合であったが、近年、環境事情その他の問題から、漁業協同組合において漁場、養殖場を町内に確保する
ことが著しく困難になっており、このような状況下において、保田漁協に漁業施設建設の場を提供することは、鋸南町の地域経済に貢献している漁業協同組合の活動を活性化するという意味で鋸南町の住民一般の利益を増進することにほかならないものであった。
 かかる鋸南町固有の事情の下、鋸南町長であった亡Dは、鋸南町の地域経済の振興を図るべく、鋸南町の重大な地場産業たる漁業の保護、育成のため、本件土地を保田漁協の漁業施設の場として確保すべく、本件土地の無償提供者である吉浜興産に対し、本件条項に基づき、本件免除をしたのである。
(三) 以上からすると、本件土地を鋸南町が無償で提供を受け、これを保田漁協に無償で貸し付けている行為は、まさに鋸南町の住民一般の利益を増進する公益を図るものであり、鋸南町は本件土地を公益のために直接専用しているというべく、本件免除は適法である。
2 損害の不発生について(争点二)
 仮に本件免除が違法であるとしても、鋸南町長が本件免除行為を取り消し、新たに本件土地について固定資産税の賦課決定を行い、これを徴収すれば鋸南町に損害は発生しないところ、鋸南町長において本件免除行為を取り消すにつき法令上格別の支障はないのであるから、鋸南町長が固定資産税を賦課しないままの状態が今後も継続し、本件土地にかかる固定資産税の賦課決定をすることができる期間が経過してしまわない限り、鋸南町には損害が発生しないというべきである。
 ところで、固定資産税の賦課決定は、法定納期限の翌日から起算して五年を経過した日の前日まですることができ(地方税法一七条の五第三項)、固定資産税の法定納期限は当該年度の第一期分の納期限とされる(同法一一条の四第一項、三六二条一項)ところ、鋸南町においては、平成九年度分については本件条例五二条一項、二項により平成九年六月二日が、平成一〇年度分については本件条例五二条一項により平成一〇年四月三〇日がそれぞれ第一期分の納期限と定められているから、本件土地の固定資産税の賦課決定をなし得る期間は、平成九年度分については平成一四年六月二日まで、平成一〇年度分については平成一五年四月三〇日までであり、これらの期間はいずれも経過していないから損害は発生していない。第三 当裁判所の判断
一 本件免除の違法性の有無について(争点一)
1 地方税法三六七条は、「市町村長は、天災その他特別の事情が
ある場合において固定資産税の減免を必要とすると認める者、貧困に因り生活のため公私の扶助を受ける者その他特別の事情がある者に限り、当該市町村の、条例の定めるところにより、固定資産税を減免することができる。」と規定するところ、前記第二の一4の本件条例五七条の各規定の内容、文言に照らせば、本件条例五七条が同法三六七条を受けて規定されたものであることは明らかであり、本件条項が「公益のために直接専用する固定資産」について税の減免を認めているのは、同法三六七条で税の減免をなし得る「その他特別の事情がある者」を具体化して条例化したものと解することができる。
2 右の点に関し、被告らは、本件条項は、地方税法三六七条のみならず、同法六条の趣旨をも受けて規定されたものであるから、本件条項を解釈するに当たっては、同法六条一項の公益上の事由をも重視すべきである旨主張するが、同法六条の規定する課税免除は、各地方公共団体が、地場産業の育成などの各種の政策目的や税負担の均衡等の事由により課税を不適当と判断する場合に、一定の範囲の者に対して課税しないことを認めたもので、いわば条例による非課税措置ともいうべきものであり、同法三六七条の税の減免とは基本的な趣旨を異にするものであるから、同法三六七条を受けて規定された本件条例五七条一項の一部である本件条項の趣旨を解釈するに当たり、同法六条の趣旨を読み込むことはできないというべきである。なお、本件条項を含む本件条例五七条一項が右のような同法六条に基づく条例による非課税措置と趣旨、性格を異にする規定であることは、同条一項が、一定の場合に固定資産税を「減」免するとし、また、同条二項が、同条一項各号の規定により固定資産税の減免を受けようとする者は、「納期限」前七日までに申請書を提出しなければならないと規定するなど、すでに課税要件を充足して町に固定資産税債権が成立し、税額が確定されていることを免除の前提としていることからも明らかである。
 したがって、被告らの前記主張は理由がない。
3 そして、地方税法三六七条の税の減免が、法令及び条例の定めるところにより市町村がいったん課税権を行使して地方税債権が発生した後にこれを放棄するものであることや、減免し得る事由を天災や貧困その他特別の事情に限定していることなどに照らすと、同条に基づく固定資産税の減免は、原則として、徴収猶予や納期限の延長等によっても到底納税が困難であるなど客観的にみて納税義務者の担税力が著しく減少している場合に行われることが予定されているというべきであり、公益上の観点から固定資産税の減免を行う場合であっても、租税負担の公平の観点からみて減免を、相当とする程度の強い公益性がある場合、すなわち、当該固定資産がその性質上担税力を生み出さないような用途(道路、公園など)に使用されている場合などに限って減免を行うことができると解するのが相当である。
 地方税法三六七条を受けた本件条項が、減免の対象となる固定資産を、公益のために「直接」「専用」するものに限定しているのも、かかる趣旨に基づくものと理解することができるのであるから、本件条項も、当該固定資産がもっぱら右のような用途に直接使用されている場合に適用されると解すべきである。
4 そこで、前記3の解釈を前提に、本件土地が、本件条項にいう「公益のために直接専用する固定資産」に該当するか否かを検討する。
 証拠(甲七ないし九、一一、一三、一七ないし一九、二二、乙五の1、2、七)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
(一) 本件土地は、昭和六二年二月二三日に、吉浜興産が日本資源株式会社から所有権を取得したが、これに先立つ昭和六一年二月五日、日本資源株式会社、鋸南町及び保田漁協は、保田漁協に本件土地の一部(五七九九平方メートルのうちの一二四五平方メートル)をヒラメ養殖事業の用地として使用させることを目的として、日本資源株式会社が鋸南町に対し右土地を同日から平成元年二月四日までの間無償で貸し渡すとともに、鋸南町が保田漁協に対し同土地を右期間中、無償で貸し渡す旨の使用貸借契約を締結しており、保田漁協は、右契約に基づき、本件土地の一部にヒラメ養殖用の六メートル丸形水槽を一〇基設置して本件土地を使用していた。
(二) その後、鋸南町は、昭和六三年二月二七日、吉浜興産に対し、保田漁協が平成元年度の東京湾漁業振興対策事業の認可を受け、新たに四五基のヒラメ陸上養殖施設を増設するなどして事業を拡張するため、使用貸借の目的土地を本件土地の全部に拡張するよう申入れをし、右申入れに基づき、平成元年二月一日、吉浜興産、鋸南町)及び保田漁協は、使用貸借の目的土地を本件土地五七九九平方メートルのうちの五三八二平方メートルに拡張した上で前記(一)と同様の使用貸借契約を締結し、さらに、平成二年二月一日に、右使用貸借の目的土地を本件土地のすべてとするものと改めた。なお、平成元年及び平成二年の右各使用貸借契約の期間は、いずれも平成七年一二月三一日までとされた。
(三) 保田漁協は、平成元年中に、千葉県及び鋸南町から東京湾漁業振興対策事業として受けた補助金により、本件土地上に新たに養魚池一〇基、作業棟一棟及びポンプ三基を設置し、また、保田漁協の単独事業として、養魚池二八基を設置した。その後、保田漁協は、平成三年三月ころ、平成二年度の東京湾漁業振興対策事業として受けた補助金により、本件土地上に水産物簡易加工施設を設置した。(四) 吉浜興産は、平成七年二月九日付けで、鋸南町に対し、本件土地の使用貸借契約が同年一二月三一日に満了することから、右満了の際、本件土地上の施設を撤去し原状回復をするよう通知した。これに対し鋸南町は、同年八月二九日、吉浜興産に対し、本件土地の使用貸借期間を平成一〇年一二月三一日まで延長するよう申し入れ、これを受けて、吉浜興産、鋸南町及び保田漁協は、平成七年一二月二五日、本件土地の使用貸借期間を平成一〇年一二月三一日までとすることで合意し、前記(一)及び(二)と同様の使用貸借契約を締結した。
(五) 前記(四)の使用貸借の契約期間中、亡Dは、鋸南町長として、平成九年六月五日付け及び平成一〇年四月二三日付けの吉浜興産の申請に基づき、本件土地につき、平成九年度及び平成一〇年度の固定資産税の各全額を免除した(本件免除)。
(六) 前記(四)の使用貸借契約は平成一〇年一二月三一日に終了したが、吉浜興産、鋸南町及び保田漁協は、同月一六日に、本件土地の明渡しを平成一四年八月三一日まで猶予する旨の合意をしたため、本件土地は、現在も前記(三)のような保田漁協のヒラメ養殖事業及び水産物簡易加工事業用地として使用されている。4 以上の事実によれば、本件免除がなされた当時、本件土地は、保田漁協のヒラメ養殖事業及び水産物簡易加工事業の各施設用地として使用されていたことが認められるところ、右各事業は、水産業協同組合法の定める漁業協同組合の業務そのものとして(同法一一条一項は漁業協同組合のなし得る事業として、「組合員の漁獲物その他の生産物の運搬、加工、保管又は販売」や「水産動植物の繁殖保護、水産資源の管理その他漁場の利用に関する施設」等を規定してい
る。)その性質上、一定の収益を挙げることが当然に予定されているのであるから、このような事業に使用されている本件土地が、その性質上担税力を生み出さないような用途に供されているとはいえず、本件土地は、本件条項にいう「公益のために直接専用する固定資産」に当たらないというべきである。
 この点に関し、被告らは、鋸南町においては漁業は重大な地場産業として鋸南町の社会、経済を支えているから、漁業施設を確保することは鋸南町にとって不可欠の要請であり、保田漁協に漁業施設建設の場を提供することは、鋸南町の住民一般の利益を増進することにほかならず、本件土地を鋸南町が無償で提供を受け、これを保田漁協に無償で貸し付ける行為は、公益を図るものであり、鋸南町は本件土地を公益のために直接専用しているというべきであると主張するが、前記2からすれば、右のような意味での公益上の必要性に基づき固定資産税を免除するのであれば、地方税法六条に基づく条例を設け、別途その適否の審査を経て課税免除をすべきであって、これによらずに同法三六七条に基づく本件条項による固定資産税の減免をなすことは許されないというべきである。
 したがって、この点に関する被告らの主張は理由がない。
5 以上のとおり、本件土地は、本件条項にいう「公益のために直接専用する固定資産」ということはできないから、本件免除は、本件条例五七条一項の固定資産税免除の要件を欠くものであり、違法である。
二 責任原因
 亡Dは、当時の鋸南町長として本件免除を行った者であるが、本件免除が違法であることは前記一のとおりであるところ、同人は鋸南町長として、本件条項の趣旨が前記一3のようなものであり、したがって、本件土地につき本件条項に基づいて固定資産税を免除することが違法であることを知り、又は知り得べきであったと認められるから、亡Dは、本件免除につき少なくとも過失があったというべきであり、鋸南町の被った後記損害を賠償すべき義務を負う。
三 損害(争点二)
 鋸南町は、本件免除により、本件免除がなければ得べかりしはずの本件土地の固定資産税相当額(平成九年度分八一万二八〇〇円、平成一〇年度分八七万三八〇〇円)の損害を被ったということができる。
 この点につき、被告らは、鋸南町長が本件免除行為を取り消した上で、新たに本件土地について固定資産税の賦課決定を行い、これを徴収すれば鋸南町に損害は発生しないところ、本件土地にかかる固定資産税の賦課決定をなし得る期間は経過していないから、鋸南町には損害が発生していない旨主張するが、本件条例にはいったんなされた固定資産税の免除を取り消して再度賦課徴収するための手続に関する規定は存しないし、本件免除を取り消し得るとしても、前記一のとおり、本件条項に基づく免除は、いったん発生した固定資産税債権を放棄するものであり、これにより右債権は消滅するのであるから、将来本件免除が取り消された場合にその時点で損害がなくなるか否かはともかく、現時点においては消滅した右債権分の損害が発生していることは明らかであり、右被告らの主張は理由がない。四 以上によれば、亡Dは、鋸南町に対し、一六八万六六OO円を賠償すべき義務を負っていたところ、前記第二の一2のとおり、被告らは法定相続分に従い右損害賠償義務を相続したのであるから、被告Aは、その二分の一である八四万三三〇〇円を、被告B及び被告Cはその四分の一である四二万一六五〇円ずつを、いずれも鋸南町に対し支払う義務を負う。
 したがって、右損害の各内金の支払を求める原告の請求は理由がある。第四 結論
 よって、原告の請求は理由があるからこれを認容し、主文のとおり判決する。千葉地方裁判所民事第一部
裁判長裁判官 及川憲夫
裁判官 瀬木比呂志
裁判官 澁谷勝海
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