主文
一 被告がAに対し、金三一九五万三〇〇〇円の支払を求める請求を怠る事実が違法であることを確認する。
二 訴訟費用は、被告の負担とする。
事実及び理由
第一 請求
 主文と同旨。
第二 事案の概要
一 本件は、被告の委任を受けた小田原市総務部収納課長のAが、平成七年度において、「小田原市納税貯蓄組合に対する市税取扱奨励金支給要綱」に基づき、同市内の各納税貯蓄組合に対し、市税取扱奨励金の名目で合計三一九五万三〇〇〇円を支出したところ、小田原市の住民である原告が、納税貯蓄組合法一〇条一項は、地方公共団体が組合に補助金を交付する場合の要件として、組合の事務に欠くことのできない事務費を補う目的であること及び交付額は組合が使用した費用の金額を限度とすることを規定しているが、右要綱は、右規定とかかわりなく、市税の納期内納付率が一定割合以上であることのみを納税貯蓄組合に対する奨励金の支給基準としているから、違法であり、これに基づく奨励金の支出も違法であるとして、地方自治法二四二条の二第一項三号に基づき、被告が、右奨励金を支出した職員であるAに対し損害賠償請求を怠たる事実が違法であることの確認を求めている住民訴訟である。
二 争いのない事実等(末尾に証拠等の記載がないものは当事者間に争いがない。)
1 原告は、小田原市の住民である。
2 平成七年当時、Aは、小田原市総務部収納課長の職にあった。
3 納税貯蓄組合(以下「組合」という。)は、納税貯蓄組合法(以下「法」という。)に基づく社団であり、法二条一項によれば、「個人又は法人が一定の地域又は勤務先を単位として任意に組織した組合で、組合員の納税資金の貯蓄のあつ旋その他当該貯蓄に関する事務を行うことを目的とし、且つ、政令で定める手続によりその規約を税務署長及び地方公共団体の長に届け出たものをいう。」とされる。
 小田原市には、平成七年三月三一日現在、二一六の組合があり、組合員数は、一万三九六九人である。
4 小田原市は、「小田原市納税貯蓄組合に対する市税取扱奨励金支給要綱」(以下「本件要綱」という。)により、納期内に納付した個人の市民税等一定の市税の納付率が八五パーセント以上の組合に対して、当該組合の納期内納付額に、毎年度別に定める交付率を乗じて得た額を市税取扱奨励金(以下「奨励金」という。)として交付するとしている。その交付率は、納期内納付率に応じて最高一・〇パーセントから最低〇・六パーセントまで三段階に区分され、限度額は、期限内納付額に応じて最高一五万円から最低四万円まで五段階に、組合員数に応じて最高一五万円から最低四万円まで三段階にそれぞれ区分されている。なお、平成九年六月一日以降、交付率が、それまでの最高二パーセント、最低一・二パーセントから、限度額が、最高三五万円、最低八万円から右のとおり改められた(乙二号証の一ないし三)。
 また、小田原市は、本件要綱に基づく奨励金とは別に、「小田原市総務部収納課所管に係る補助金交付要綱」により小田原市納税貯蓄組合連合会に対し、納期内納付率の区分に応じて定める交付率に従い、補助金を交付している。
5 Aは、被告の委任を受け、平成七年度小田原市納税貯蓄組合市税取扱奨励金の名目で、組合に対する三二〇〇万円の支出を決定し、うち三一九五万三〇〇〇円を執行した(乙一号証、弁論の全趣旨、以下、これを「本件奨励金」という。)。6 原告は、平成八年七月一二日、小田原市監査委員に対し、本件奨励金の支出について監査請求をしたが、同監査委員は、同年八月二九日付けで、本件奨励金は、法一〇条一項の補助金には当たらず、地方自治法二三二条の二に基づくものであるから、その支出は違法不当な公金の支出には当たらないとして、これを棄却し、その旨の通知は、同日、原告に到達した(甲一号証、弁論の全趣旨)。三 争点
 本件の争点は、本件要綱に基づく本件奨励金の支出が、組合に対する補助金交付の要件を定めた法一〇条一項等の規定に反し、違法であるかどうかである。
 これについての当事者双方の主張は以下のとおりである。
(原告の主張)
 法一〇条一項は、「国又は地方公共団体は、納税貯蓄組合に対し、組合の事務に必要な使用人の給料、帳簿書類の購入費、事務所の使用料その他欠くことのできない事務費を補うため、予算の範囲内において、補助金を交付することができる。但し、国及び地方公共団体が交付する補助金の合計額は、組合が使用した当該費用の範囲をこえてはならない。」とし、組合に対する補助金の支給要件を定めている。また、法一〇条三項を受けた納税貯蓄組合法施行令(以下「施行令」という。)四条一項一号は、組合は、法一〇条一項による補助金の交付を受けようとするときは、毎年四月から九月まで又は一〇月から翌年九月までの期間内に使用した同項の費用の金額及びその費途別の内訳を記載した補助金交付申請書を、毎年四月から九月までの分をその年一〇月末日までに、その年一〇月から翌年三月までの分をその年四月末日までに、当該組合の規約の届出をした税務署長又は当該補助金の交付を受けようとする地方公共団体の長に提出しなければならないと規定している。
 そして、本件奨励金も、これらの規定の要件を充足する場合に、支出が認められるものであるが、本件要綱は、市税の納期内納付率が一定の割合以上であることのみを奨励金の支給基準としており、それが、組合の事務に欠くことのできない事務費を補うためのものであることや、支給額が、組合の使用した事務費の金額の範囲内でなければならないということは、要件とされていない。また、奨励金の支給を受けようとする組合は、市税取扱奨励金支給申請書に、前年度収支の明細書を添付して、市長に提出する扱いがされているが、組合が支出した事務費の金額や、そのうち、どの程度が欠くことのできない事務費に当たるかということは、奨励金の支出に当たり、具体的な審査の対象とはされていない。
 このように、本件要綱は、法一〇条一項、三項、施行令四条一項一号に違反するものであり、したがって、これに基づく本件奨励金の支出も違法である。
 被告は、法一〇条一項の「組合の事務」とは、法二条一項が組合の目的とする「貯蓄のあつ旋事務その他当該貯蓄に関する事務」をいうところ、本件奨励金は、納税意識の高揚のために組合が行う事務に対し交付されるもので、右事務は、「当該貯蓄に関する事務」とは性質が異なるから、法一〇条一項等の規制は及ばないとする。しかし、法は、その提案理由のとおり、滞納の発生を防止し、堅実な納税が行われるよう納税貯蓄団体に一定の基準を与え、若干の助成措置を講じて、その活動を活発ならしめることを目的とするから、法二条一項の「当該貯蓄に関する事務」には、納税意識の高揚を図るために組合が行う事務も含まれるというべきである。また、右提案理由は、組合の事務は、納税資金のあっ旋その他その貯蓄事務に限られるとしているのであり、組合が、これらの事務と全く性質の異なる事務を行いうるものではない。
 したがって、このような事務に対し支出される奨励金についても、法一〇条一項の要件を逸脱することは許されない。
 被告は、納税意識の高揚のために組合が行う事務は、公益に資するものであるから、これに対する奨励金の支出は、地方自治法二三二条の二の「公益上必要がある場合」に当たり、適法であるとする。しかし、前述のように、本件要綱に基づく奨励金の支出にも、法一〇条一項等の規制が及ぶ以上、本件奨励金の支出が、これらの規定の定める要件を充足しない限り、右支出を適法と解する余地はない。そして、このような一般条項を根拠に、地方公共団体が、組合に対する補助金支出の基準を自由に定めうるとすれば、法が組合に対する補助金の交付要件を具体的に規定した趣旨が没却されることになる。
 また、補助金の交付に「公益上必要がある」か否かの判断に当たっては、当該地方公共団体の財政上の余裕の程度を考慮すべきところ、小田原市の平成九年度歳入予算に占める国庫支出金、県支出金及び地方債の割合は、神奈川県下の政令指定都市を除く一七市の平均より三・五パーセントも高い。神奈川県下の地方公共団体のほとんどが、組合に対する補助金等の支給を廃止している現状において、このように、国や県の補助、地方債に対する依存度が高い小田原市が、依然、組合に対する奨励金の支給を続けていることは、財政上の余裕の程度に見合ったものとは到底いえない。
 さらに、本件奨励金は、納期内納付率のみを基準に交付率が定められるもので、いわゆる報奨金に当たるが、租税法律主義に照らせば、報奨金の交付については、具体的な法令の根拠を要すべきところ、地方税法上、報奨金の交付が認められるのは、四一条一項、三二一条二項により、市町村民税、都道府県民税を、三六五条により、固定資産税を、それぞれ納期前に納付した場合に限られる。したがって、これらの規定をみだりに拡張解釈して本件奨励金の支給を認めることは、地方税法の趣旨に反するというべきである。
 なお、組合に対し、法一〇条一項の事務補助金以外の名目で、地方自治法二三二条の二の任意補助金として完納奨励金を支出しうるかについては、地方税法の趣旨から消極に解すべきであるとの自治省通達が、再三にわたり発せられているところである。
(被告の主張)
 法一〇条一項の「組合の事務」とは、法二条一項の定める「納税資金の貯蓄のあつ旋その他当該貯蓄に関する事務」をいう。しかし、組合は、右の事務のほかに、研修会の開催や各種の公報活動、納税相談など、納税意識の高揚を図るための事務を行い、市税の期限内納付の促進や滞納事務の軽減に貢献しており、現に、小田原市の平成七年度における組合取扱いの普通徴収分市民税、固定資産税等の納期内納付率は、九四・九パーセントの高率に達している。
 組合が行うこのような事務は、法二条一項の「当該貯蓄に関する事務」とは性質が異なり、法一〇条一項の「組合の事務」には含まれないが、公益に資するものであるから、右事務に対する補助は、地方自治法二三二条の二の「公益上必要がある場合」に当たると解される。
 小田原市は、これを受け、本件要綱で、納税意識の高揚、市税の納期内納付の促進を目的として、組合に対する奨励金を定め、予算及び決算につき市議会の議決を経て支出しており、これまで、右支出につき市議会の議決が得られなかったことはない。
 このように、本件要綱の定める奨励金は、法一〇条一項の補助金とは、交付の目的や対象となる活動が異なり、地方自治法二三二条の二に基づくものであるから、本件要綱の支給基準が、法一〇条一項等の規定に則っていなくても、違法であるとはいえず、したがって、本件奨励金の支出も違法であるとはいえない。
 原告は、法二条一項の規定からして、組合が「当該貯蓄に関する事務」以外の事務を行うことはありえないとするが、法が、国民の納税意識が乏しい状況の下で、組合の健全な発達を図り、租税の容易且つ確実な納付に資せしめることを目的として(一条)制定されたことからすれば、法は、右目的を達するため、組合があらゆる業務を行うことを当然に予定しているというべきである。したがって、組合の行う事務は、「当該貯蓄に関する事務」に限られない。
 また、原告は、完納奨励金を組合に支出することは、地方税法の趣旨から消極に解されるとの自治省通達を、本件奨励金の支出が違法であることの根拠であるかのように主張するが、右通達は、組合に対し、完納奨励金的な支出を行うことは妥当でないとしているにとどまり、これが違法その当否及び金額のいかんは、納税意識の確立や、口座振替制度等の浸透の度合に応じて決せられるべき政策問題にほかならない。そして、小田原市は、近時、市民の納税意識や納税環境が格段に変化していることや、監査委員が、奨励金の取扱について、今後も時代に適合した適切な措置を講ずるべきであるとしていることを踏まえ、平成八年度は、奨励金の支給額を半額程度に削減し、平成九年度も、さらに減額を図る予定である。
 なお、小田原市が国庫支出金等に対する依存度が高いからといって、本件奨励金の支出が直ちに違法となるものではなく、奨励金の支出が「公益上必要がある」かどうかは、各地方公共団体が、地方自治の本旨に基づき、支出目的の達成度や財政状況を考慮して、自主的に判断すべきである。
第三 争点に対する判断
一 法一〇条一項は、「国又は地方公共団体は、納税貯蓄組合に対し、組合の事務に必要な使用人の給料、帳簿書類の購入費、事務所の使用料その他欠くことができない事務費を補うため、予算の範囲内において、補助金を支出することができる。但し、国及び地方公共団体が交付する補助金の合計額は、組合が使用した当該費用の金額をこえてはならない。」と規定し、同条三項を受けた法施行令四条一項一号は、組合は、法一〇条一項による補助金の交付を受けらない。」と規定し、同条三項を受けた法施行令四条一項一号は、組合は、法一〇条一項による補助金の交付を受けようとするときは、毎年四月から九月まで又は一〇月から翌年九月までの期間内に使用した同項の費用の金額及びその費途別の内訳を記載した補助金交付申請書を、毎年四月から九月までの分をその年一〇月末日までに、その年一〇月から翌年三月までの分をその年四月末日までに、当該組合の規約の届出をした税務署長又は当該補助金の交付を受けようとする地方公共団体の長に提出しなければならないと規定する。
 ところで、前記争いのない事実等に加え、証拠(乙二号証一ないし三、弁論の全趣旨)によれば、本件要綱は、個人の市民税等一定の市税の納期内納付率が八五パーセント以上の組合に対し、右納付率に応じて区分された交付率を乗じた奨励金を一律に支給することとしており、それが、欠くことのできない組合の事務費を補うためのものであることを支給の要件としてはいないこと、また、納期内納付額や組合員数に応じて支給の限度額を定めているものの、支給額が組合の使用した費用の金額をこえてはならないとの制限は設けていないことが認められる(なお、前掲各証拠によれば、奨励金の支給を受けようとする組合は、市税取扱奨励金支給申請書に前年度の収支の明細書を添付して市長に提出することとされているが、右明細書に、組合が使用した費用の金額や費途別の内訳を記載すべきものとはされていないことが認められる。)。
 このように、本件要綱は、法一〇条一項、三項、施行令四条一項一号の要件とかかわりなく、独自の基準により、法に定める補助金として、組合への奨励金支給を認めるものといえるから、右法令に反するものとして違法であり、したがって、これに基づく本件奨励金の支出も違法であるといわざるを得ない。
 被告は、本件要綱は、組合が納税意識の高揚を図るため広報活動や納税相談、口座振替の推進などを行い、納期内納付率の向上に貢献していることに対し、奨励金を支給するもので、これらの事務は、法二条一項が組合の目的とする「当該貯蓄に関する事務」とは性質が異なり、法一〇条一項の「組合の事務」には当たらないと主張する。
 しかしながら、本件要綱は、前述のように、納期内納付率に応じて定められた交付率による奨励金を一律に支給することとしており、組合が納税意識高揚のための事務を行うに当たり要した費用を補う目的で奨励金を支給するとしているわけではない。したがって、組合が、現にそのような事務を行い、納期内納付率の促進に貢献しているといえるとしても、本件奨励金が、そのような事務を直接の対象として支給されるものであるとはいえない。
 仮に、本件奨励金が、このような事務に対し支給されるものであるとしても、甲二号証によれば、法は、滞納の発生を防止し、堅実な納税が行われるように、納税貯蓄団体に一定の基準を与え、若干の助成措置を講じてその活動を活発ならしめることを立法理由とするものであることが認められるから、法二条一項の「当該貯蓄に関する事務」には、広く、納税の促進、滞納防止のために組合が行う事務が含まれると解すべきである。そして、納税意識高揚のための事務も、結局は、納税の促進、滞納防止のために組合が行うものにほかならないから、これを、ことさら「当該貯蓄に関する事務」から除外すべき理由はない。したがって、このような事務も「組合の事務」に当たり、これに対する奨励金の支出についても、法一〇条一項等の適用が及ぶというべきである。被告の主張は、いずれにせよ、理由がない。
 また、被告は、本件奨励金は、納税意識の高揚、納期内納付の促進という公益に資するものであるから、その支出は、地方自治法二三二条の二の「公益上必要がある場合」に当たり、適法であると主張する。
 しかしながら、前述のように、本件奨励金の支出についても法一〇条一項等の適用が及ぶ以上、これらの規定の定める要件を充足しない限り、当該支出を適法であるとする余地はない。また、地方公共団体が、「公益上必要がある」として、これらの規定とかかわりなく、独自の基準により自由に組合に奨励金を支出しうるとすれば、法が、組合の事務に不可欠の費用に限って補助金の交付を認め、その金額は、組合が現実に使用した金額を限度とするとして、組合に対する補助金交付の要件を具体的に規定した趣旨が損なわれることになる。
 また、前記認定の事実によれば、本件奨励金は、市税の完納に対する報奨金としての性格を有するものと解されるところ、現行法上、このような報奨金を定めたものとしては、地方税法四一条一項、三二一条二項、三六五条、七〇二条の八第一項が、それぞれ、個人が都道府県民税、市町村民税、固定資産税及び都市計画税を納期前に納付した場合に、条例の定めにより報奨金を交付する旨の規定が存するのみである(都市計画税については、固定資産税との合算額による。)。そして、これらの報奨金は、特定の税目に限り、納期前納付に対する代償として交付されるものであるのに対し、本件奨励金は、税目のいかんを問わず、納期内納付率が一定の割合以上であるということのみで、支給が認められるものであることからすれば、このような報奨金を、地方公共団体が独自に創設しうるとすることは、地方税法の趣旨に反するものといわざるをえない。
 被告は、本件奨励金の支出に関する予算、決算につき、議会の議決を経ていることを、右支出が適法であることの根拠であるかのようにも主張するが、本件奨励金の支出は、被告の委任を受けたAが独自の権限により決定するものであり、同人は、右支出の可否について議会の議決に拘束されるものではないから、前記予算、決算について議会の議決を経ていることを根拠に、本件奨励金の支出が適法であるとはいえない。
 なお、証拠(甲三号証、乙一号証、三号証、弁論の全趣旨)によれば、法一〇条一項に基づく補助金の支出については、同項の規定に副った支出であることが必要であり、同項の事務費と関連なく税金の完納をもって納税額の一定割合を組合補助金の名目で支出することは、法の趣旨に反し妥当性を欠くとの自治省見解が存すること、平成九年六月一日現在、神奈川県下の一九の市のうち、横浜市ほか八市は、組合に対する補助金ないし奨励金の支給を廃止し(殊に、大和市と座間市では、組合そのものが解散に至っている。)、川崎市ほか八市は、法一〇条一項に基づく事務費として補助金等を支出しているのに対し、小田原市のみが、依然、地方自治法二三二条の二を根拠に、本件要綱に基づき奨励金を支給していること(その支給状況は、平成七年度の予算額が三二〇〇万円、執行額が三一九五万三〇〇〇円で、平成八年度は、予算額が同額、執行額が一四九八万六六〇〇円に減額され、平成九年度も、予算額が一三〇〇万円に減額されており、平成一〇年度以降もさらに減額の見込みではあるが、本件要綱を廃止する等には至っていないこと)が認められる。二 Aは、前記のとおり、被告から本件奨励金の支出権限の委任を受け、これを決定、執行したものであるが、前記認定の事実等によれば、同人は、小田原市総務部収納課長として、本件要綱が法一〇条一項等に反し、これに基づく本件奨励金の支出も違法であることを容易に知り得たというべきであるから、同人は、その権限を逸脱し、公金を違法に支出したというべきであり、そうすると、小田原市に対し、不法行為に基づき本件奨励金相当額の損害賠償責任を負うものと認められる。そして、平成七年度において支出された本件奨励金三一九五万三〇〇〇円相当額について、小田原市の市長である被告が、現にAに対し、右損害賠償請求権を行使していないことは明らかであるから、それは、財産管理を怠る事実に違法があるというべきである。
三 結論
 よって、本件請求は、理由があるのでこれを認容することとし、主文のとおり判決する。
横浜地方裁判所第一民事部
裁判長裁判官 浅野正樹
裁判官 近藤壽邦
裁判官 近藤裕之
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