主文
 本件につき当裁判所が昭和四六年四月一五日付でなした別紙決定はこれを取消す。
昭和四六年四月一六日
(裁判官 ●川則正 岩川清 安原浩)
(別紙)
 異議陳述書
 異議の理由
一、本件集団示威運動は、申立人の許可申請書によれば、昭和四六年四月一六日午前九時一〇分から一〇時一〇分までの間、申立人三団体連絡会議の主催により、「天皇の慰霊碑参拝に関して抗議の意を示威するため」を目的として、参加人員約一〇〇名、宣伝車一台をもつて、「広島市千田町一丁目広大正門前~鷹の橋~白神社~袋町電停~本通電停~ユニード前~元安橋東詰~大手町第一公園で流れ解散(車道左側を通行する)」を進路として行なうものである。
二、本件集団示威運動当日、天皇・皇后両陛下には、午前一〇時、お泊所(広島グランドホテル)を御発、紙屋町交差点を経て、一〇時九分白神社交差点を通過、一〇時一三分平和公園に御着、原爆慰霊碑にお立ち寄り、一〇時二〇分平和公園を御発、新住吉橋を経て舟入幸町の原爆養護ホームを御視察、一〇時五五分同所を御発、小網町交差点を経て、一一時二分西平和大橋、一一時四分白神社交差点を通過され、比治山展望台、産業会館、東洋工業、盲学校にお立ち寄り、護国神社に参拝のうえ、午後三時五十分、お泊所に御着の予定である。
三、ところで、本件主催団体たる三団体連絡会議は、広島県部落解放研究会連合、広島県青年アジア研究会、被爆者青年同盟で構成されているが、右三団体の実態は、広大全共闘(中核系)の戦線別組織であり、広島県反戦青年委員会とともに、過去いくたびか集団的暴力行為を行なつた危険性のきわめて高い団体である。
 本件主催団体は、前述のごとき目的をもつた本件集団示威運動を、天皇・皇后両陛下の行幸啓に際して行なうことにより、両陛下の平和公園へのお立ち寄りを阻止し、あわせて数万の奉迎者の参集する平和公園一帯を混乱状態におとしいれることを企図している。
四、本件集団示威運動の主催団体、主催意図に加えて、当日天皇・皇后両陛下の行幸啓に際しては、沿道ならびに平和公園には、数万の奉迎者の参集が見込まれ、かつ、同日は全国から相当数の右翼団体の結集も予想されている。かかる状態において、本件申請に対し広島県公安委員会が、「集団示威運動、集団行進及び集会に関する条例(昭和三六年三月三〇日広島県条例第一三号)」に基づいて行なつた本件集団示威運動不許可処分の効力が停止され、集団示威運動が行なわれるときは、これら右翼団体と本件主催団体内の過激分子との激突は免れず、本件集団示威運動実施地域一帯において集団的暴力行為による極度の混乱状態を引き起こし、集団示威運動参加者はもとより、多数の一般市民も右の混乱状態に巻き込まれ、その結果、これらの者の生命、身体、財産に重大な損害が加えられ、秩序の平穏がいちじるしく阻害されることとなる。
 以上の事態は、公共の福祉に重大な影響をおよぼすおそれがあるものといわざるを得ない。
昭和四六年四月一六日
 内閣総理大臣 佐藤栄作
判例本文

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